Trados Studioのマッチ率について
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最近、こちらの更新がすっかり少なくなってしまいました。
私自身のTrados使用率が下がっているということもありますが、最近は通翻クラスタの中でも、私などよりずっとStudioに詳しい人が増えてきたおかげでもあります。
それでも久しぶりに、これは書いておかないと、というネタがあったので、GW初日の空き時間を使って書きとめておきます。
SDL Trados 2007以前と比べて、Studioになってから解析に疑問があるということを、これまでも何度か書いてきました(参照:side TRADOS: Trados Studioの解析に大きな疑問)
この前提で特に注意したいのが、
マッチ率ごとの支払い条件
です。具体的に言うと、
Studio案件の場合、50-74%レンジの単価が新規翻訳の単価より安い条件は、翻訳者に圧倒的に不利
だということです。
ご存じのように、Trados案件の単価はマッチ率によって逆スライドするのが一般的です。

マッチ率は、この図のように
100%
99-95%
94-85%
84-75%
74-50%
新規
というレンジに分けて計算されます。このうち、フルの単価が支払われるのは「新規」分で、それ以外はパーセンテージに応じて単価が下がっていきます。そのパーセンテージ設定は、翻訳会社によって異なりますが、おおむねの傾向は、こちらのブログを参照してください。
リンク:七転八倒バナナ: ファジーマッチレートについても書いてみた
100%とか99-95%の、いわゆるハイファジーや、その次の94-85%、84-75%あたりのレンジの設定が極端に不利な会社はあまりないようですが、問題は 74-50% のレンジです。
私が知っている範囲では、74-50%レンジもフル単価というところが多いのですが、もしそうでない場合は、断固として
74-50%レンジはフル単価
と要求すべきです。
なぜなら、このレンジになると、いくら既訳があっても実質的には新規と手間は変わらないからです。
実は、もっと根本的な問題があります。
翻訳会社から届くパッケージを展開すると、プロジェクトの設定はたいてい、こうなっているはず。[一致精度最小値]は、デフォルトの70%のままです。
ということは、
マッチ率が70%未満の既訳はあっても再利用しなくていい
という設定なわけです。にもかかわらず74-50%レンジの単価を下げるというのは、Trados運用の理屈に合いません(厳密に言えば、単価を下げてもいいのは74%~70%の範囲だけです)。
そして、この問題がさらに深刻なのがStudioの場合です。以下のスクリーンショットをご覧ください。特に、マッチ率に注目です。
前から書いているように、新旧の差分がわかりにくいのですが、ちょっとカスタマイズしてあります。青の太字が追加された箇所、赤の小さい字が削除された箇所です。といったって、これで差分を確認するという気にはとうていなれませんね。
旧
You’ve finished your planning, everything’s recorded in your calendar, and now you just want to shred through your to-do items and get things done.
新
So you can spend your planning time working on deeper things, like how you are actually going to approach your items and get them done.
共通点は下線を付けた部分だけ。これが、Studioでは
55%
と言われているわけです(実際、同じ条件をTrados 2007で再現すると、一致精度最小値を30%まで下げてもヒットしません)。
問題なのは、Studioのこの解析ロジックですが、たぶんSDLさんは直してくれないでしょう。であれば、翻訳者が自衛するしかありません。
01:19 午後 バージョン - Studio共通 | URL
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コメント
boldhatterさん、こんにちは。
この記事には関係ないのですが(とはいえ、この記事の内容も自分自身ちょっとよく考えてみないと、という感じですが...)、Trados関連の最新記事がこちらなので、こちらのコメント欄に質問させてください。
現在使っているTradosはStudio 2014ですが、原文のコピー(Ctrl+C)が効きにくいことがよくあります。その前はTrados 2007を使っていましたが、こちらでも同様の不満があったような...
boldhatterさんのお手元でも同じ現象が起きますか?
なんとなく以前から気になっていて。そんなときは再度Ctrl+Cを力いっぱい押すとコピーできるのですが、「そんなことってあり???」と毎回突っ込んでいます。(^_^;)
投稿: めぐり | 2016/07/14 14:52:02
めぐりさん、お久しぶりです。
「Ctrl+Cが効かない」という現象、Studioやそれ以前のTradosを使っているときに特に発生したという経験はありません。
ただし、
> 再度Ctrl+Cを力いっぱい押すとコピーできるのですが、「そんなことってあり???」と毎回突っ込んでいます。(^_^;)
こちらは、実は経験があります。
今使っているキーボード(http://www.diatec.co.jp/products/det.php?prod_c=2)を買ってからまもなく、まさしくこれと同じ症状がありました。
あるいは、キーボードが原因ではなく、その年のATOKのバージョン(私は毎年更新しているので)のせいかもしれません。結局、今もって原因はわかっていないのですが、いつの間にか、あまり起きなくなっています。
ハードウェア的な原因なのか、何らかのソフトウェアどうしの相性なのか……。
めぐりさんの環境では、最近そうなったということではなく、以前からなのですよね? Trados使っているときだけですか? ほかのソフトを使っているときは起きません?
投稿: baldhatter | 2016/07/15 5:57:35
boldhatterさん、お忙しい中ご返信いただきありがとうございます。
ご無沙汰しておりました(ますますのご活躍は陰ながら拝見しております(*^_^*))。
昨夜、こちらで質問させていただいた後もTradosで作業していたのですが、どういうときにその現象が起きるのかわかりました。
1)Studioの訳文側で作業している
2)原文の単語がコピーしたくなったので、マウスで原文側の対象ワードをハイライトする(この際、原文側のフィールドをクリックするのは、ハイライトの始点の1回だけ)
3)Ctrl+Cを押す
4)Ctrl+Vを押す
5)貼り付けできない
6)原文側のハイライトを外して、再度ハイライトする
7)Ctrl+Cを押す
8)Ctrl+Vを押す
9)貼り付けできる
この手順2で、原文側の単語がハイライトできているにもかかわらず、カーソルは訳文側に残っているという現象がときどき(?)起こっているようです。
なので、たぶん手順2でいったん原文フィールドをクリックし、再度ハイライトの始点をクリックしてから(つまり、原文側で最低2回はクリックする)Ctrl+Cを押すと問題なくなるんだと思います(もしくは訳文側→原文側の移動でF6を押して明示的に移動するか...)。
そうなると、Trados 2007のときの説明がつかないような気もしますが、少なくとも2014では上記のとおりです。
投稿: めぐり | 2016/07/15 9:55:08
何度もすみません。
はい、Ctrl+Cが効かないのはTradosを使っているときだけです。
投稿: めぐり | 2016/07/15 9:58:03
めぐりさん、詳しい解説ありがとうございます。
ちょっとだけ分かりました。
完全に原因が分かったわけではありませんが、少なくともハイライトの動作については分かります。これ、Trados Studioのインターフェースでハイライトの動作が特殊なせいです。
> 2)原文の単語がコピーしたくなったので、マウスで原文側の対象ワードをハイライトする(この際、原文側のフィールドをクリックするのは、ハイライトの始点の1回だけ)
> 3)Ctrl+Cを押す
ここまでやった状態で、ためしに訳文側をクリックしてみてください。そしたら、原文側のハイライトは解除される...と普通は思いますよね。でもハイライトされたままでしょ? さらに、そのまま訳文側をどこか範囲選択してみてください。
すると、原文側と訳文側のどちらもハイライトされた状態になりませんか?
これが「ハイライトの特殊な動作」です。
なんでこんなことになっているかというと、このように原文側と訳文側でそれぞれ範囲選択し、MultiTermに訳語のペアを登録するためなんです。
さらに試しとして、原文側と訳文側のそれぞれに範囲選択がある状態で、そのどちらかの上で右クリックしてみると、コンテキストメニューに[新しい用語の追加]と[新しい用語のクイック追加]がありますよね。それが、その登録機能です。
で、原文側で範囲選択しても、何かの拍子にカーソルがそこを離れてしまうと、いわば「ハイライトはされてるけれど範囲選択はされていない」みたいな状態になります。だから、その状態で Ctrl+C を押しても、コピーする対象がない。だからコピーされない。
■
> もしくは訳文側→原文側の移動でF6を押して明示的に移動するか
ちなみに、私はこのF6というデフォルト設定が大嫌いで、原文/訳文の切り替えには[Tab]を割り当てています。
投稿: baldhatter | 2016/07/15 12:54:38
boldhatterさん、ありがとうございます!
あ~、すっきりしました。
原因の大半は私の無知だったという...。
わかりやすく教えていただいて、ありがとうございます。
そうか、ハイライトって、そういうことだったのですね。
そういえば、原文側ハイライト→訳文側作業の流れで、原文側にハイライトが残っているの気持ち悪いなぁ~と思っていたんですが(特に、ハイライトの色が黒なので)、「まぁ、支障ないからいっか~」と放置していました。(^_^;)
事情を説明すると、昨年9月にStudio2014に変えてから、MultiTermを使わなくなったんです(汗)(なので、訳語ペアの登録手順、教えていただいたとおりにしようしたら、当然ですが[新しい用語の追加]も[新しい用語のクイック追加]もグレー表示されていました。その後、前に一度支給されたことのあるMultiTermのメモリを読み込んでみたら、ちゃんとこれらのメニューも表示されました)。
Tradosで作業するのはほぼ某M社の案件で、用語はいつもオンライン用語集に確認しにいくので、まず原文を訳文側に挿入してから訳文側で検索したい単語のコピーを済ませているんです(余談ですが、このオンライン用語集(認証ありの方)も先月の長期メンテナンス後に改悪されてしまって悲しい...)。
それとここ最近はめっきりメモリを使いまわす案件が減っているので、Studio2014では使わない機能はこれまた放置していたのでした。
そんなわけで、あまり原文側⇔訳文側の行き来をしないんですが、訳文側を完成させてから「ん?あの単語の意味もう一度確認しておこう」と思ったときにだけ原文側に行ってコピーしようとすると、例のCtrl+Cの空振り問題が発生して「???」となっていたというわけです。
(Ctrl+Cを必死に強く押していた自分がはずかしい...)
確かに原文側⇔訳文側の移動でF6は使いにくいですね。あんまり使わないのでまたまた放置していたんですが、私もTabに変えようかなぁ。
本当にどうもお騒がせしてすみませんでした。
投稿: めぐり | 2016/07/15 15:02:02
お久しぶりです。数年前に一度コメントしたことがあるのですが、その後、Tradosは自分の作業効率化のためだけに使用し、Studio案件は受けないまま、今日に至りました。が、とうとうStudio、いまさらですが本腰入れて導入しなければならなくなり、Studio 2017に更新しました。疑問点をいろいろつぶしていたところ、またこちらに再会することができました!本当にありがとうございます。Tradosの知識だけでなく、耳寄り情報、フリーランス翻訳者としての注意点などなど、とても助かります。引き続きよろしくお願いいたします。
投稿: mabutanuki | 2018/07/11 13:08:18
mabutanukiさん、コメントありがとうございます(公開と返信が遅くなりました)。
なにか少しでもお役に立てているようであれば幸いです。
そもそも、Tradosについては本家SDLから発信される情報が少なすぎる、であれば、必要そうな情報は記録として残しておこう、と思って書きはじめたのがきっかけです。最近は、それでも少しはSDLその他から出てくる情報が増えましたが、Googleで検索すると拙ブログがヒットすることが多いようです。
最近、side Tradosはあまり更新していないのですが、今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: baldhatter | 2018/07/20 1:42:49