# 原文-訳文の縦並びと横並びについての仮説
翻訳フォーラムが通年で実施する勉強会、「めだかの学校」が昨日から始まりました。
今まで、1~2年に1度実施されてきた「ほぼ丸一日、課題文についてえんえん議論する翻訳勉強会」、--- 去る3月のシンポジウムではこれを模擬公開形式で実施しました --- を、1年間全6回かけてやってみようという、フォーラム初の試みです。
その内容をここではご報告しませんが、課題文そのものの検討にとどまらず、翻訳についていろいろと熱い議論が飛び交うのは、いつものとおりでした。
そこで話題になったことのひとつが、「訳文は縦書きがいいのか横書きがいいのか」という、まあおなじみのテーマ。
その話が頭にあったせいか、帰宅してからぼんやりと、私が忌み嫌っている
原文-訳文の横並びインターフェース
の問題点について、ひとつの仮説が浮かんだので、書きとめておこうと思います。
今回扱ったのは、3月のシンポジウムに続いて『赤毛のアン』だったので、訳文は縦書きで提出したわけですが、比較のための表などは、どうしても横書きになります。
また、「最近は書籍の縦書きもだいぶ無理があるよねー」というBuckeyeさんの話もあって、たとえば縦書きのノンフィクションで、
i
P
h
o
n
e
と書かなきゃいけないのはかなり苦しいと、これはよくわかります。
一方、「横書きのほうが読むスピードは速い」と一般的には言われていますが、日本人が日本語を読むときは、はたしてそう言い切れるんだろうか(やっぱり縦書きのほうが速いんでは?)という話も出ました。
そういう話の流れで、「でも、文庫本を横書きにしたら、たぶん1行が短すぎて読みにくいかもね。今の文庫本は縦書き前提でしょう」という話になり --- これについてはいろんな意見もあると想定されます ---、私が「でも、iPhone上のKindleなんかだと、横書きの1行がかなり短いから、逆に斜め読み、速読に向いている気がする」と言ったら、
「それは"縦に読んでる"からでしょう」
と言われて、なるほど、と思いました。つまり、1行がかなり短い場合には、その1行をひとかたまりとして見て、そのまま縦に読んでいるイメージです。
そういう、横方向の読み方と、縦方向の読み方というイメージを抱えたまま帰宅し、ふと翻訳支援ツールのことを考えてみたわけです。
- 横方向というのは、「ずんずん読み進んでいく」ことには向いている。
- ずんずん読み進めるられるゆえに、横1行のまとまりは「1ユニットの情報」として頭にインプットされるのではないか。
- となると、原文-訳文が横に並んでいると、やはり「1ユニットの情報」としてインプットされてしまうので、別々の情報単位として比較するには適していないのではないか。
- 逆に、原文-訳文が縦に並んでいると、別々の情報単位としてとらえやすいのはないか。
- もっと言うと、横書きの(1つまたは2つの)センテンスを「横に読む」ときの脳のはたらきと、横書きの2つのセンテンスを「見比べる」ときの脳のはたらきはけっして同じものではないはずなので、「横に読んで横どうしを比較する」より、「横に読んで縦どうしを比較する」ほうが、脳はきちんと機能するんじゃないか、そんなイメージ。
実に漠然とした勝手なイメージだけで、実際、「横並びのほうが断然いい」という方も多いようなので、まったくもっていいかげんな話ではあるのですが、個人的には、ちょっとだけ腑に落ちています。
■
diffツールの縦並び/横並びについては、並ぶ単位が違うので、話が別です。
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コメント
大昔の高校時代のノートの作り方を思い出しました。
A.左右ブロック方式
ノート1頁の真ん中に縦線を引いて左右の区画に分け(あるいは、見開き2頁を一組として使い)、左の区画に英文、右の区画に和訳を書き込む
B.上下並列行方式
英文の行の下の行に、和訳を書き込む。
の2つのやり方がありました。
私は B上下並列行方式 が好みでした。
理由は、全訳をせず部分訳で済ませたり、単語の意味だけ記入しておくという手抜きをする時にも、照合しやすいから。
A左右ブロック方式 では、部分和訳が英文のどこを抜き出したものか、分かりにくい。
←手抜きを頻繁にしていた事実が窺われます。
古文の現代語訳でも、縦書きですが同様にB並列方式でやっていました。
Aブロック方式派からの批判は、B並列行方式では回答がいつも見えてしまい、後でもう一度訳してみるというテストができない。
B派の私は、後でテストなんかしないも~んでしたw それに、本当にテストしたければ、教科書の英文を見ればよいのです。
投稿: 白い都 | 2014/05/30 14:03:05
白い都さん、こんな専門外の内容にまでコメントありがとうございます。
やっぱそうですよね。上下のほうが照合しやすい。縦書きの場合は想定してませんでしたが...
投稿: baldhatter | 2014/06/13 3:10:10
自分のシマシマ方式の原文訳文原文訳文が縦にならぶ方式と、「色deチェック」で、原文と訳文が横に並ぶ方式を日常的に比較しているのですが、内容までチェックしようとすると、慣れもあるかと思いますが、段落単位だと、シマシマ方式でないとつらいというのが実感です。
横並びの対訳表のときは、もう、文単位までぶったぎって(句点を改行2つと置換するだけですが)、文単位で比較して、抜けのチェックだけをしています。
横並びは、言われているほど万能ではないように思います。
(「色deチェック」は、そのあたりはよくできていて、表のカラムの幅を好き放題変えたり、いろいろ調節がきくので、折衷的なあれこれを工夫でき、上に書いたとおりの問題が生じているわけでもなかったりはします。)
投稿: Sakino | 2014/06/16 21:25:49
> 横並びの対訳表のときは、もう、文単位までぶったぎって
> 段落単位だと、シマシマ方式でないとつらいというのが実感
おっしゃるとおり、そうなんです。内容までちゃんとチェックするという機能が、横だとはたらきません。
最近、Tradosを使いながら最低限パラグラフで、というのを、もう少しTrados使いの間で浸透させられないかとよく考えています。
投稿: baldhatter | 2014/07/07 14:05:44