# forwad compatibilityとbackward compatibility
某所で出題した課題文に、forward compatibilityという用語が出てきます。
forward compatibility
backward compatibility
ついでに、
upward compatibility
downward compatibility
さらに、
upper compatibility
lower compatibility
まで含めると、用法がカオスになっています。英語だけ見ても使われ方は混乱してますし、訳語もばらばら。そして、あらためて調べてみたら、少なからぬ辞書で説明までいいかげんであることが分かりました。
手元にある辞書やオンラインの用語サイトなどから、
forward compatibility/backward compatibility
upward compatibility/downward compatibility
の訳語と語義を一覧にしてみました。
compatibility訳語・語義一覧
(ExcelファイルがDLされます)
upper compatibility/lower compatibility
を含めなかったのは、ざっとの感触でしかないのですが、この組み合わせが日本語サイトで多くヒットするわりに、英語サイトのはあまりヒットしない感じだからです。
英語としての用法についても、訳語まで含めた場合でも、「これが絶対に間違いない記述」と断定できる資料はありません。しかたがないので、以下の一例を基準にしました。
Word 2007以降で、docxだけでなくdocも開ける……AWord 2003で、docxを開ける(プラグイン必要)……B
一般的に、Aの互換性のほうが簡単ですね。プレステ2でプレステのゲームも動くとか。逆に、Bのほうが難しいのは感覚的によくわかります。プレステではプレステ2のゲームはまず動きません。実現する場合でも、Wordのプラグインのような工夫が必要。「白黒テレビでもカラー放送を受信できた」のはBの例ですね。
私が作った表では、このうちAをクリーム色、Bを水色に塗り分けてみました。
これを見ると、有名どころの辞書でも、訳語にばらつきがあるだけでなく、説明までけっこう杜撰なことがわかります。
リーダーズには、4つのうち3つのエントリがありますが、よく見ると説明がどれも同じになっています。
英辞郎は、訳語のうえでは対がとれていますが、やはり説明が4つとも同じ。
ランダムハウスや、日外アソシエーツの『コンピューター用語辞典』など、多くの人が頼っているはずの辞書でさえ、実は解説が
何を言ってるかよく分からない
(分かる人いたら教えてください)。
研究社の『英和コンピューター用語辞典』でも、対になっているはずの概念の説明がやっぱり同じでした。
ここまで混乱している概念/用語も、なかなか珍しいのではないでしょうか。
【追記】
OEDに、upper compatibilityだけ語義の記載があったので、Excelファイルを更新しました。
この記事へのコメントは終了しました。

![福原 麟太郎、山岸 徳平: ローマ字で引く 国語新辞典 [復刻版]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41kRdXDR3gL._SL75_.jpg)














コメント
これは、面白くて為になるお話でした。
素人的には、「互換性」にいろいろなケースがある、ということが驚き! 私の頭の中では全てゴッチャになっていました。
具体例を示されると、よく分かります。
(A~DはExel表の分類です)
B(水色):forward compatibility 前方互換性
Word 2003で、docxを開ける(プラグイン必要)
C(黄色):backward compatibility 後方互換性
Word 2007以降で、docxだけでなくdocも開ける
辞書の説明は間違っていますね。間違いの方向性はおおむね、Bの意味を分かっていない。
でもそのココロは何となく理解できます。
世間一般には、互換性というと「C:backward compatibility」しか考えないから。
「B:forward compatibility 前方互換性」は出来なくて当たり前。この世に存在しない現象(プラグインするくらいなら、新バージョンに入れ換えるも同じ)と思っているから、
説明がいい加減になってしまうのでは。
--------
D:upward compatibility 上位互換性
より上位の機種やモデルに対して使用可能なこと
E:downward compatibility 下位互換性
より下位の機種やモデルに対して使用可能なこと
厳密には、上位・下位は、新・旧とは異なる概念ですよね。
新版=上位であることが多いかもしれませんが。
例を示すと、OSのWindowsスタンダード版とPro版、Win7の32ビット版と64ビット版で、それぞれソフトやデータが扱えるかというような趣旨でしょうか?
そうすると通常、Eはあり得るが、Dは出来なくて当たり前(プラグインが必要なら上位版を買うも同じ)
ユーザーとしては、新/上位版は、すべからく旧/下位版を使えるものであってほしい。backward/downward compatibility があることを期待する。
逆forward/upward compatibilityは、さすがに求めない。
けれど、現実にはbackward/downward compatibilityも、必ずしも保証されないのですね。
投稿: 白い都 | 2013/07/16 11:55:14