# 「JTF 翻訳セミナー in Osaka」に行ってきた~その2
井口耕二さんのセッションで注目されたのは、大きく言って次の 2 点だろうと思います。
1. この案件を井口さんが訳すに至った経緯
2. どのくらいハードなスケジュールだったか
2. については、こんなスライドがありました。
ちょっと見えにくいかもしれませんが、縦軸がワード数(万単位)、横軸が時間スケールです。6/10 すぎ辺りから伸びている水色のラインが当初予定、緑のラインが実際の経緯です。
1. については、まず 4/18 の井口さんご自身のブログをご覧ください。
リンク: iSteve: Buckeye the Translator
ボツになったタイトルが出回ったこの時点で、訳者はもちろんのこと、日本でどの出版社が翻訳版権をとるかも決まっていませんでした。もし日経BPさんが版権をとったら、プレゼン本とイノベーション本の実績から言って、井口さんに話がくるのは間違いなかったでしょう。でも、日経BPさんは版権をとれませんでした。その筋からの話によると、
「桁が違っていた」
んだそうです。よほど売れる本になると、原著の版元はこの時点で想定していたわけですね。
で、どの出版社がその「桁違いの」版権をゲットしたか井口さんにもわからなかったのですが、(ゴニョゴニョゴニョ)な経緯があって、それが講談社さんだと判明。
※「ゴニョゴニョゴニョ」のところ、別に特大マル秘情報ってわけじゃありません。どう書けばいいか私が困っただけです。ほんとほんとw
講談社は、井口さん自身もブルーバックス 1 冊しか仕事の経験がありませんでした。これです。けっこう楽しい本ですよ。
そして、出版社というのは基本的に、
取引実績のない人とはなかなか仕事をしたがらない
のだそうで、まして今回はタイトなスケジュールになるかもしれない。そうなると、今まで付き合いがなくて、何かあったときの反応が予測できない人は敬遠する、のだと。
でも、やはりジョブズ本の実績は講談社の担当さんもご存じだったので、しばらくしてコンタクトがありました。その時点で、候補は井口さんを含めた 2 人だったそうです。
なんでも、版権の価格から言って、講談社としてはこの伝記を少なくとも 30 万部は売りたかった。その点、井口さんの場合はプレゼン本とイノベーション本でそれに近い実績があったから、というのが候補として絞り込まれた重要な要因だったようです。担当者との面談の結果、最終的には井口さんに決定するわけですが、そのときもうひとつ決め手になった要素があったと井口さんはおっしゃっています。それは、
「9月末までに15万ワード」
という、それでさえ普通にはかなりキツいスケジュールを、その場で「できます」と答えられた点だったろう、と。
Buckeye さんの翻訳スタイルとスピードをご存じの方なら納得できる話かもしれませんが、こう答えられた自信と実力、そして何より
「とりたい仕事に向かったときのプロとしての意識」
こそが、今回のこの伝説的な翻訳仕事につながった最大の勝因と言えるのではないかと、そう感じました。
この記事へのコメントは終了しました。




![福原 麟太郎、山岸 徳平: ローマ字で引く 国語新辞典 [復刻版]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41kRdXDR3gL._SL75_.jpg)














コメント