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2008.12.02

# collateral - 訳語選択の実例として

マーケティング資料の翻訳で最近ときどきお目にかかるのが collateral という単語。ただし名詞です。

ふつうに辞書をひくと、いくつか名詞の語義が並んでいる(担保とか、傍系親族とか、付帯事実とか...)はずですが、私が遭遇するのは、たとえば

print collateral

という使われ方です。

print につながるような語義は、手元にひととおり揃えてある辞書にも、オンラインの各種辞書にも載っていません。唯一、英辞郎(v.102)にだけ、以下の記述があります。

collateral
営業促進用の品[カタログ]

英辞郎にしか載っていない訳語をそのまま使う翻訳者はいないと思いますが、今回は少なくとも「どうやらマーケティング関連の用語?」という手掛かりにはなりました。これを手掛かりにしてオンライン検索すると、Wikipedia の記述にたどり着きます。

Marketing collateral, in marketing and sales, is the collection of media used to support the sales of a product or service.

この後もいくつか日本語と英語の用例を検索し、その内容を自分なりに納得して今回は一応「販促物」としました。

この例などは、現時点で何らの権威による裏付けもありませんが、私としては得られた情報の範囲でこのように判断するしかないわけです。ほんとうは、元々の語義がどんな経緯でこのような使われ方をするようになったのか、そこまで追跡できればもっと確信を持てるのですが、まだそこまでは調べきれていません。

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ちなみに、同じようなマーケティング資料では offering という単語もけっこう厄介です。

10:15 午後 翻訳・英語・ことば |

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コメント

それがいるんだなぁ……英辞郎にしか載っていない訳語をそのまま使う翻訳者。っていうか、英辞郎に載っていることを基準に訳語を選ぶ訳者が。なぜこの訳語かという問いかけに対し、「英辞郎に載っていた」という回答をもらったなんて話、けっこうアチコチで聞いたことがありますよ。

そのココロは、売られている辞書だから、かなぁ。

それはさておき。

私なら、画像検索をしてみるパターンだと思います。「"print collateral"」の画像検索と通常検索で意味するところを把握しようと試みるわけです。

原文の英文が何を意味しているのかよくわからないとき、具体的なものなら画像検索がけっこう効いたりします。百聞(百読)は一見にしかず、なので。ダメでもマイナスはないわけで、ダメもとですし。

投稿: Buckeye | 2008/12/03 7:59:30

マーケティング分野は(ほかにもたくさんありますが)米国が最先端プレイヤーであるため、次々に新しい用語(当然英語の)が生まれてきて、翻訳者としては悩まされ、苦しまされるところですね。
この「collateral」ってやつ、私も最初悩みました。いろいろ調べたり、文脈から推測して、「販促用品」かなと当りをつけたところに、英辞郎の説明を見つけ、「辞書としては英辞郎にしか載っていなかった」のですが即座に採用しました^^;
なぜこんな意味になったのかは、「Accompaniment to something else」(=添え物)ということからではないかと思います。

投稿: Jack | 2008/12/03 9:05:48

> 画像検索

あ、迂闊でした。
ハードウェアとか自動車関係を訳すときは画像検索を多用していますが、今回はなんとなくそういう「モノ」だという発想がなかったみたいです。

> それがいるんだなぁ……

はい、実はいるんです :P ある時期から書籍の体裁をとったのがいけないんでしょうか。Jack さんのコメントのように、

> 「販促用品」かなと当りをつけたところに、英辞郎の説明を見つけ、「辞書としては英辞郎にしか載っていなかった」のですが即座に採用

これはアリなんですよ(同じコースをたどることあります)。英辞郎にだって一応「ユーザーが実際に遭遇した語義や用例データの集積」という取り柄はあるわけで。

> 添え物

別ルートで、ずばり collateral material の定義を紹介してくれた人もいるので、やはり元々は「付随する」という修飾語だったのが、単独で名詞化したという定番のひとつみたいですね。

投稿: baldhatter | 2008/12/03 9:48:38

「モノ」だという発想がないとき画像検索をしてみたら「なぁんだ~」となった経験が何回か、あります。空振りが多いですけどね。なので、わからないときの試行錯誤では、基本的に画像検索も入れることにしています。

投稿: Buckeye | 2008/12/03 11:39:34

うぅん、このごろは、youtubeもわすれずに、と一言アドバイスしないといけないかなぁ、と思っています。もちろん、「補助的に」「ダメモトで」、ということですが。

ためしにcollateral materialsでどうぞ。

投稿: Sakino | 2008/12/03 14:15:32

佐藤信彦です。

僕も以前「collateral」で悩んだようです。よく覚えていませんが、自作辞書には「(マーケティング分野では)チラシ、パンフレット、名刺、ダイレクト・メールといった営業/販売促進用の紙媒体らしい。」と追記してあります。いろいろ調べた結果、確信は持てないもののこのように判断したんでしょうね。

最近は記憶力が衰えてきたせいか、過去の行為をつい他人事にしてしまいます:-)

投稿: 佐藤信彦 | 2008/12/03 16:40:45

> 「モノ」だという発想がないとき画像検索をしてみたら「なぁんだ~」となった

私も今度からルーチンにします。

> youtubeもわすれずに

おお、これは盲点でした。今日はなんだか得しちゃったなぁ。

投稿: baldhatter | 2008/12/03 17:04:06

佐藤信彦さん、コメントありがとうございます。
(ご存じない方のために: 佐藤さんのサイトはこちら → http://nobusato.tripod.com/ ブログもあります)

> 僕も以前「collateral」で悩んだようです

あ、ほんとだ。公開版に載ってる。ここまで多用される用語だと、やっぱりみなさん遭遇しますね。

私の PDIC 辞書にもときどき「~らしい」とか「○/△時点で未確認」とか書いてあります。silo なんて単語も、今見ると懐かしいエントリです。

投稿: baldhatter | 2008/12/03 17:12:59

こういうときは、必ずその分野に友人なりのスレッドを持つことだと思います。Yahoo!知恵袋だったかな、日本人が集まって英語の単語の意味をあれこれ詮索しているのを見たことがあり、思わず笑ってしまいました。ネイティブが一人も加わっていない。中にはそれなりのレベルと公言している人がいたのですが、残念なことに間違ったことをとうとうと述べていました。これが怖い。

餅は餅屋、ですよね。ゼロを積み上げてもゼロ。何人集まってもわからないものはわからない。知識を探す、よりも知識を持つ人を友に持つことだろうと思うのです。

かくいう私は米国でMBAを取得しました。コラテラルという単語は全くのJargonですが、マーケティングに身を置いていると何となく常識的な用語なんです。こういう業界用語ってどこにでもありますよね、辞書にはないのが普通、辞書に聞いてもダメなんですよね。

投稿: Shino-P | 2013/04/01 15:54:10

Shino-Pさん、コメントありがとうございます。

> 必ずその分野に友人なりのスレッドを持つこと

そうですね。最大のリソースかもしれません。

投稿: baldhatter | 2013/04/10 9:03:31

collateral 助かりました。解説ありがとうございます。

投稿: 竹花 | 2015/07/19 16:55:41

お、隊長のお役に立ちましたか。それはそれは……。

投稿: baldhatter | 2015/07/27 18:56:46

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