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2008.06.08

# 「誤訳」の話題

リンク: スタンダール『赤と黒』 新訳めぐり対立 「誤訳博覧会」「些末な論争」 (1/2ページ) - MSN産経ニュース

原典が英語ではないので自分では検証できないところが、なんとも隔靴掻痒なわけですが。

「まるで誤訳博覧会」-。光文社古典新訳文庫から昨年刊行されたスタンダールの『赤と黒』について、誤訳が数百カ所にのぼり、全面的な改訳が必要だと批判する書評が、スタンダールを研究する専門家でつくる日本スタンダール研究会の会報に掲載された。
 新訳文庫の訳者は東京大学大学院准教授の野崎歓氏で、これを手厳しく批判したのは立命館大学教授の下川茂氏。
 「『赤と黒』の新訳について」と題した下川氏の書評は「前代未聞の欠陥翻訳で、日本におけるスタンダール受容史・研究史に載せることも憚(はばか)られる駄本」と同書を断じ、「訳し忘れ、改行の無視、原文にない改行、簡単な名詞の誤りといった、不注意による単純なミスから、単語・成句の意味の誤解、時制の理解不足によるものまで誤訳の種類も多種多様であり、まるで誤訳博覧会」と書いた上で、「生まれてこのかた」という成句になっている「Delavie」を「人生上の問題について」とするなどの具体例も列挙している。

「訳し忘れ」は、もしかしたら読みやすさを優先するための意図的な省略かもしれません。「改行の無視、原文にない改行」というのは、光文社編集長の言うところの "瑞々しい新訳" を目指すための工夫とも考えられます。慣用句の訳については、文脈がないと何とも言えません。

また、今年3月15日付で発行された同書の第3刷で19カ所が訂正されたことについて、「2月末に誤訳個所のリストの一部が(訳者に)伝わっている。そこで指摘された箇所だけを訂正したものと思われる」と指摘。改版とせずに、初版第3刷として訂正したことを「隠蔽(いんぺい)」だと非難している。
(中略)
一方、光文社文芸編集部の駒井稔編集長は「『赤と黒』につきましては、読者からの反応はほとんどすべてが好意的ですし、読みやすく瑞々しい新訳でスタンダールの魅力がわかったという喜びの声だけが届いております。当編集部としましては些末な誤訳論争に与(くみ)する気はまったくありません。もし野崎先生の訳に異論がおありなら、ご自分で新訳をなさったらいかがかというのが、正直な気持ちです」と文書でコメントした。

本当に些末なのかどうか、その具体的な指摘の適否はわかりませんが、専門家からこれだけの指摘があった以上、出版社の態度としてはなはだ疑問です。

少なくとも、編集長氏がコメントするだけでなく、当事者である翻訳者が出てくるべきでしょう。

07:36 午後 翻訳・英語・ことば |

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コメント

>「生まれてこのかた」という成句になっている「Delavie」を「人生上の問題について」

確かに文脈ですよね。成句になっているからって、高校生の英文解釈のつもりでしょうか。

これ亀田兄弟みたいに逆に売れる可能性があるのではと思います。

バトルスター・ギャラクティカを英語で見ましたが、あれは思い入れが強すぎで、字幕で見たらこの人みたいに怒りだすと思います。自分で訳すなんてことは、絶対しません。そういう意味では下川茂氏の言い分もわかりますが、文句を言うならやってみろ当然だと思います。

投稿: 竹花です。 | 2008/06/08 20:56:05

今気づいたのですが、この記事で取り上げられている "Delavie" というのはたぶん "de la vie" のことで、それだけ(of the life)では「生まれてこのかた」でも「人生上の問題について」でもありませんね。
引用のしかたに問題があります。

投稿: baldhatter | 2008/06/08 21:21:16

こんな問題はC'est la vieと落としてみました。

投稿: 竹花です。 | 2008/06/09 22:38:50

> こんな問題はC'est la vieと

座布団 3 枚!!

投稿: baldhatter | 2008/06/10 9:43:11

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