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2018.08.10

# SDL Trados Studio 2019ファーストインプレッション、その1

5月の製品発表イベント「春季ロードショー」で概要を聞いて、「ちょっとおもしろいかも」と思ったStudio 2019。

正式リリースは予定より少し遅れたようですが、7月末にダウンロード販売が始まりました。

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ダウンロードが始まった直後はStarterエディションがなくなっていて、あれ? と思いましたが、ちゃんと続いているようです。新規、更新とも年間10,000円です。


ということで、Studio 2019のファーストインプレッションを書きとめておきます。


5月のロードショーでもう分かっていましたが、

実質的な新機能はない

と言って差し支えありません。


それでも私がちょっと興味を持ったのが、

オンデマンドガイダンス と、

Tell me機能

です。そのほか、プロジェクトの作成や、プロジェクトへのファイルの追加が簡単になるというのも、まあユーザーエクスペリエンスとしては進歩と言えるでしょう。


「オンデマンドガイダンス」は、主に初心者を対象に、Tradosの主な機能をカテゴリー別に教えてくれる機能。

"Tell me"のほうは、ヘルプの発展版のような感じで、知りたい操作を調べると、ヘルプを参照できるほか、該当するインターフェースが直接開く

という紹介でした。

つまり、これまでヘルプを含めた情報提供が圧倒的に遅れていた---このブログを始めた理由もそこにあったわけですが---SDLさんが、ようやく

ユーザーへの情報提供に本気に

なってくれたかな、と思ったからです。特に"Tell me"が、もし本当に謳い文句どおりに機能するなら、けっこう便利そうです。


新機能については、まとめたページも公開されています。

SDL Trados Studio 2019の新機能をご確認ください


オンデマンドガイダンス、と紹介されていた機能は、[ヘルプ]リボンにある[役立つヒント集]と、どの画面でもウィンドウ右端に見えている[役立つヒント]というポップアップタブでした。

要するに何のことかというと、

初心者向けのチュートリアルとビデオをまとめた

というだけのことです。まあ、ないよりはマシでしょう。

ちなみに、上記ページにあるビデオはまだインターフェースが英語で、この機能は「便利なヒント」と紹介されています。UI の翻訳より先に作ったんでしょうか。


一方、私が期待していた"Tell me"のほうは

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どの画面でも見えている

[行いたいことを入力してください……]

というボタンとして実装されました。英語インターフェースにしてみると、"Tell me what you want to do..." です。

実際の挙動はというと……結論から言うと

(今のところ)ほとんど期待外れ

です。ただし、もしかすると、後述するように翻訳が間に合っていないとか、そういう事情もありそうなので、「今のところ」と条件付きにしておきました。


たとえば、セグメントを結合したい、としましょう。

まず、Studio 2017のヘルプで「結合」を検索してみます。

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ずばり「分節の結合」という項目のほか、関連しそうな内容がちゃんとヒットします(その内容がちゃんと役に立つかどうかは別として……)。


では、Studio 2019の[行いたいことを入力してください……]ボタンを使ってみます。

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こういうダイアログが出てくるので、「結合」と入力します。

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ヘルプを参照しにいくようです。Studio 2017でヘルプを参照したのと同じことですね。ところが……

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表示される情報は、2017のときと比べて明らかに少なくなってしまいました。参考になりそうな項目がひとつもありません。


翻訳が間に合ってないのかな? と思ったので、mergeと入力してみました。すると……

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さっきは表示されなかった[コマンド(1)]という欄が出てきて、「分節の結合」と書かれています。ただし、グレー表示になっていて、何も機能しません。

本当は、この「分節の結合」がクリックできるようになっていて、そこから実際のインターフェースが開くんじゃないでしょうか……。


そこで、今度は「分節の結合」と入力してみます。

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おっ、今度は[コマンド(1)]のほかに[オプション(1)]という欄が増えて、そこに「エディタ → 自動化」という項目があります。しかも、これはクリックできます。

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おお、確かに、オプションのインターフェースが開きます!

でも、このオプションって「結合」というキーワードが出てくるオプションの一部にすぎません。たとえば、「結合」操作のショートカットは参照できない。

これはいよいよ、

実装がまだ中途半端

ということが濃厚になってきました。重要なキーワードを適当に入力してみます。

「プロジェクト」だと、かなりいろいろ出てきます。

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あ、カッコ内の数字は該当する項目数なんですね。

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たしかに、関連するインターフェースを開くことができます。


「翻訳メモリ」と入力しても、いろいろ出てきました。

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ただし、「メモリ」だけでは何も表示されませんし、「翻訳メモリー」と表記が違うと、まったく機能しなくなります。

「用語ベース」ならヒットしますが、「用語集」ではヒットしません。

「分節」は見つかりましたが、「セグメント」にすると何も出てきません。

「訳語検索」は教えてくれますが、「コンコーダンス」だと知らんぷりされます。

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「訳語検索」の検索結果は、リンクしている項目とグレーの項目が混在していました。

また、日本語がダメでも英語は受け付けてくれることがあります。「コンコーダンス」はダメですが "concordance"はOKです。"memory"、"terminology"も受け付けてくれました。


やはり、翻訳と実装がまだ間に合っていない、ということなんですね。逆にも、もしこれで完成形だとしたら、あまりに悲惨です。


まとめると、現状では

●正確なSDL Trados用語でないと検索できない(表記も含め)
(業界で通用している用語でもダメ)

●何か見つかってもリンクが機能していないものがある

ということのようです。

この辺もクリアしてくれないと、たぶん、あまり使いものになりません。特に、「正確な用語を知らないと検索できない」のでは、せっかくの機能が台無しです。


見切り発車で発売しちゃって、後から実装していくってことですか……。今回も、SDLらしいアップグレードだなぁ。

12:41 午後 バージョン - Studio 2019 | | コメント (4) | トラックバック (0)

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