Windows XP以降のTrados環境
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もう2カ月も経ってしまいましたが、以前の記事に、こんなコメントをいただきました。
現在Windows XP+Office 2003をメインで使っています。(中略)来年XPとOffice 2003のサポート終了とのことでどのように対策すればいいのかそろそろ検討を始めようというところです。何かアドバイスがあればお願いできますでしょうか。
私自身もそうですが、TradosとWordを使う場合は、
Windows XP
+
Office 2003
+
SDL Trados 2007
という組み合わせが、最も安定し、かつ使いやすい環境でした。
なんだかんだで10年近く続いてきたことになりますから、移り変わりの激しい電脳世界にあっては、異例に長寿だったと思います。
が、このコメントにあるように、この黄金時代も終焉まで1年を切ってしまったわけです。Windows XPもOffice 2003も、
2014年4月9日(日本時間)
をもってサポートが終了し、Windows Updateの対象ではなくなります。
サポートされなくなるというのはどういうことか。念のために書いておくと、WindowsやOfficeに脆弱性が見つかってもその修正パッチが開発されず、攻撃のし放題になるということです。そんなPCをインターネットに接続しておくのは、とても危険です。
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そこで、私自身も最近いろいろ考えているので、「Windows XPなき後のTrados環境」に触れておこうと思います。
オペレーティングシステム
選択肢は、Windows 7かWindows 8ですが、少なくともTrados使用を想定するのであれば、
Windows 7を推奨
します。
SDL Trados 2007 (Suite)
Trados Studio 2009
Trados Studio 2011
のいずれも動作確認されています(2007については、動作しないという報告もあり)。サポートも2020年まで(今のところ)予定されているので、あと7年大丈夫ならいいんじゃないかなー。
ただし、量販店や大手パソコンショップの店頭で買おうとすると、Windows 7はほぼ姿を消しつつあります。メーカーの直販とか、オンラインのカスタマイズ、中古などを探す必要があるかもしれません。
Office
最新版のOffice 2013が出ましたが、Office 2010もまだ買えます。2010と2013で大きな違いはないと思いますが、
Office 2013とSDL Trados 2007の組み合わせは未確認
なので注意してください。Tradosのテンプレート Trados8.dotm の動作保証がまったくないからです。テンプレート、要するにマクロ関係はバージョンが違うとダメな場合が多いので、どなたかのレポートを待ちたいところです。
OfficeとTradosの組み合わせ
Officeとの組み合わせが問題になるのはSDL Trados 2007だけで、Studioは 2009も2011も、環境を特に気にする必要はありません。
上にも書きましたが、テンプレートの問題があるので、SDL Trados 2007を今後も使うのであれば―その可能性はおおいにあります―、
Office 2010 との併用を推奨
します。
以上の内容を表にまとめてみました。
クリーム色が従来の安定環境、水色が、今後当面の推奨環境です。
・Vistaは私が使ってないので、入っていません。
・Office 2007は、あと3年しかサポートされないので、非推奨。
ということで、SDL Trados 2007を使い続ける場合、今後しばらくの推奨環境は、
Windows 7
+
Office 2010
+
SDL Trados 2007
になるようです。
以上の表に、追加レポートがあればぜひご連絡ください。
【追記】
Microsoftで公表されている、WindowsとOfficeのサポート期間は、以下のページをごご覧ください。
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
気になる情報をまとめていただいてどうもありがとうございます。
現在、Win7+Office 2007+Trados 2007ですが、Office 2010にしておけばとりあえず2020年までどうにかなりそうだとわかり、助かりました。
Studio 2011はすでに購入してあるものの、ダウンロードすらしておりません。Wordに自作のマクロを入れ多用しているので、これがすべてStufioでは使えなくなる(ですよね?)と思うと、移行する気がまったく起きなくて。
投稿: ks | 2013/06/21 21:15:53
ksさん
> Wordに自作のマクロを入れ多用しているので、これがすべてStudio
> では使えなくなる(ですよね?)と思うと、移行する気がまったく
> 起きなくて。
よーく分かります。私も実案件でスタジオを使ったのは、まだようやく片手を超えたくらいです。それ以前に一応アップデートして使っていたのは、ひとえこのブログがあったからです。
で、世の中にはまだまだ Workbench+Word 環境で作業したい人がいるようで、それも可能になっています。
SDLEXLIFF to Legacy Converter
という補助アプリケーションです。ちょうどいいので、近々記事にしますね。
投稿: baldhatter | 2013/06/21 21:52:26
え?Workbench+Word 環境で作業が可能なのですか?!
それは、朗報です!
「Trados 2007 End of Life」で「SDL Trados Studio でマクロを再構築できますか。」という質問に対する回答を見て、気を失って倒れたきりでおりました。
記事を楽しみに待っております。
投稿: ks | 2013/06/22 7:30:44
Windows 8 + Office 2013 + Trados 2007の組み合わせは、これによると大丈夫みたいですね。
http://www.proz.com/forum/sdl_trados_support/247571-is_sdl_trados_2007_compatible_with_windows_8.html
もし、これで間違いがなければ、本当に嬉しいです。
Wordのマクロを使った翻訳環境を維持できるので。
投稿: ks | 2013/06/30 9:12:40
ksさん、そういうことで「Studio環境でマクロの使用はまったく想定できない」ということを最新エントリのほうのコメントに書きました。
> 現在、Win7+Office 2007+Trados 2007
ということでしたらむしろ、今動いているWordマクロをOffice 2007 → 2010(以降)に移す準備を進めておくほうがよさそうですよね。
投稿: baldhatter | 2013/06/30 21:02:29
Prozのコメントによれば、32bitのOfficeを使うところがミソのようですね。
>APIを解読してOpenExchangeアプリケーションを作るか、あるいは内部ファイルであるsdxliffファイル上でXMLを操作する
これは、私の技量ではどうにもならない世界ですね。頻繁に繰り返される同一の作業を、ちょっとマクロで記録してそれを実行、という初心者にうぶ毛が生えた程度の知識ですので。
Office 2010を購入するつもりだったのですが(3 PCライセンスでNZ$200)、2013も視野に入れて値段を調べて改めて考えてみます。
どうもありがとうございました。
投稿: ks | 2013/07/04 8:17:10
Win8 の64ビット環境では、Workbenchは起動しましたが、
どう頑張ってもTrados2007のアドイン(Trados8.dotm)が
機能しませんでした。
投稿: | 2014/07/06 19:44:14
> どう頑張ってもTrados2007のアドイン(Trados8.dotm)が
機能しませんでした。
ご報告ありがとうございます(返信遅くなりました)。
Windows 7までと、Officeが使うパス構造がまったく違うからでしょうか...?
投稿: baldhatter | 2014/07/28 9:53:46