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2012.07.13

ワードカウントは必ず自分でも実行

★★
この話はもっと早く書いておくべきでした。

(関連エントリ: Workbench の設定- [オプション]-[翻訳メモリ オプション]


Trados案件、特にマッチ率のレンジによる重み付け(=ファジーマッチの単価は完全新規の何分の一かになる)がある案件の場合、あらかじめお客さんからワードカウントが送られてきて、それが発注額になるというケースも普通です。

先方がTradosを正しく使っていれば、このワードカウントが間違っていることはそれほどありません。自分の環境で実行しても、ほぼ同じ結果が出ます(まったく同じ条件でカウントしても、たいていは誤差が出ます。その原因はよくわかりませんが、これは単価換算の幅でおおむね吸収できる程度の誤差です)。


ところが、ごくまれに、お客さんが出してくるワードカウントが間違っている場合があって、気をつけないとこちらが損をしてしまいます。


ワードカウントに影響するのは、Workbenchの[オプション]→[翻訳メモリ オプション][ペナルティ]タブの設定です。


なお、このタブの設定については、幸い日本語化されている標準添付のマニュアルに記載されています。詳細は、そのマニュアルも併せてご覧ください。

[プログラム]→[SDL International]→[SDL Trados 2007 Freelance]→[Documentation]→[Translator's Workbench User Guide]

の2-36から2-40ページです(パスはバージョンによって少し違います)。

デフォルトでは、このようなペナルティ設定になっています。

1207131


しかし、実際の現場では次の赤丸のように設定を変えていることも少なくありません。

1207132

[整合ペナルティ]は、WinAlignを使っていなければ関係ありませんし、[機械翻訳によるペナルティ]も同様です。

HTMLやXMLの場合はもともとファイル上の書式はどうでもいいので、[異なる書式によるペナルティ]も影響ありません。

お客さんとは、ワードカウントのときこのペナルティをどのように設定しているのか、まず相互に確認するようにしましょう。

タグ付きファイルにいちばん影響があるのは、[固定要素の不一致によるペナルティ]です。しかし、実際には

[原文のタグが異なるときはペナルティを課す]

というオプションもオンにしておかないと、タグの違いがマッチ率に十分反映されません。


実例で示します。

1207133
:[原文のタグが異なるときはペナルティを課す]オフのとき

1207134
:[原文のタグが異なるときはペナルティを課す]オンのとき

このオプションの違いだけで、2%の差が出ています。


実は、Trados Workbenchは、既訳と原文でタグに差があるときは原文の現状に合わせてタグを自動的に置換することになっているので、これが十全に機能するのならタグにペナルティを課さなくてもいいわけです。ところが実際には、上の例でわかるように、この機能はまともに機能しないことのほうが多い。

したがって、このペナルティの差は実質的な作業負荷に影響してくるのです。

1207135

上の行がこのペナルティをオンにした場合、下の行がオフにした場合です。特にマッチ率の高いレンジに差が出ます。


こういう細かい話、SDLさんでも説明される機会が少ないせいか、実際にTradosを使っている会社でもちゃんとわかっていない場合があるようです。送られてきたワードカウントを鵜呑みにしていると、知らないうちに損をしているかもしれません。


念のため、キットを受け取ったら自分でも必ず解析を実行するようにし、もし大きい差異があったら、きっちり確認をとるようにしましょう。

07:41 午前 Trados 機能 |

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コメント

こんにちは。初めまして。

ぼちぼちと中国の翻訳会社から切れっぱしみたいな仕事だけもらってる駆け出し翻訳者です。

ブログの記事、興味深く拝見させていただきました。ありがとうございます。

駆け出し翻訳者としては、経験不足を補うためになんとか仕事を取らねばならず、需要の多そうなローカリゼーションを海外の翻訳会社から取ることを考えています。そのためにTRADOSの購入を検討していました。

購入しようとすると、2011バージョンと2007バージョンがあって、両方購入すべきかどうか考えています。2007もまだ現役で使われているのでしょうか。買うなら2007も購入すべきなのでしょうか。その場合、まずマスターすべきなのは2007なのか2011なのかどちらなのでしょうか。

いきなりの質問になってしまいすみません。よろしくお願いいたします。

投稿: lalaport | 2012/07/16 12:51:30

翻訳者側が得をするような場合に正直に
「これこれこういう理由で仕事がはかどりましたので、
こんなにお支払いになる必要はありません」
と申告なさるのでしょうか?

投稿: 古本一番堂 | 2012/07/25 19:27:58

古本一番堂さん、鋭すぎますw

そういうケース、なくはありませんけど、さすがにその申告はしませんねー。

投稿: baldhatter | 2012/07/28 19:04:56

初めまして。米国在住の同業者です。Trados ユーザー用の情報がたくさん詰まっていますね。まだ少ししか拝見させてもらっていませんが、いろいろ参考にさせてもらいます。私も Trados はもう 10 年以上使用していますが、最近はサーバーベースの CAT ツールを使用する会社が非常に多くなってきており、Trados を使用する機会がここ数年でかなり減ってきている傾向にあります。ですので、時々、初歩的な問題に対して、「これど~やって処理したんだっけ?」と考えてしまうことがあります・・・トホホ。

投稿: Taka | 2012/08/04 1:19:53

Takaさん、コメントありがとうございます。レスコメント遅くなり、失礼しました。

> 最近はサーバーベースの CAT ツールを使用する会社が非常に多くなってきており

海外案件のほうが、サーバー/クライアント環境の利用は増えてきている気がします。私は、何回か新規の打診を受けたことがありますが、未だ経験していません。というか、Tradosも含めて複数の作業者によるメモリー共有環境もほとんど未経験です。あれをたくさんやってたら、たぶんTradosユーザーやめてますw

投稿: baldhatter | 2012/08/30 0:39:25

はじめまして。中国の会社でTrados2007を使い始めた者です。
効率的な使い方があるのではないかと思い、検索してこちらのブログを発見しました。
日本語で、使用法について整理して丁寧に解説してくださる(しかも中国で開ける)サイトは、今のところこちらだけです。
開くのにとても時間がかかるので頻繁には読めませんが。。。
社内マニュアルは英語版しかないので、助かります。
今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: yazi | 2012/12/27 20:19:32

yaziさん、コメントありがとうございます。

少しでも何かのお役に立つようなら嬉しいかぎりです。そのつもりで当ブログも続けております。

> しかも中国で開ける

その辺りの事情がなかなか微妙そうですね...

投稿: baldhatter | 2012/12/29 22:51:08

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