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2011.11.20

SDL Trados Studio 2011 詳細 2~Wordバイリンガルファイル


さて次は、今回のバージョンアップの大きな目玉のひとつ(と少なくとも私は思っている)、Word バイリンガルファイルの直接処理についてです。

ちなみに、2009 でバイリンガル状態の Word ファイルを開こうとするとこうなります。

2011word1

このメッセージでわかるように、2009 では翻訳前の Word ファイルしか開けなかったのでした(Only monolingual files are supported)。

Word バイリンガルファイルを追加するまで

プロジェクトを作成してからでも、ファイル単体で開いてもいいのですが、今回のテストではいちおう最小限のプロジェクト(メモリーも用語集もなし)を作ってファイルを追加してみました。

ところが、ファイルを追加しても先に進めません。

2011word2

なぜかというと、ファイルの使用目的が「リファレンス」となっていて、「翻訳対象のファイルが指定されていない」ことになるからです。そこで、その上にある[ファイルの使用目的の変更]をクリックして、ファイルの使用目的を変更、

2011word3

してみたのですが、これもエラーになりました。

2011word4

この理由にはすぐ気づきました。Word バイリンガルファイルというのは、あくまでも doc 形式でないといけないんでした。

2011word5

元のファイルを doc で保存しなおして追加すると、このように「翻訳対象」として認識されました。2007 までは rtf が標準だっことを考えると、いささか整合性を欠いています。

ファイルを追加したら、初期の一括タスクで翻訳形式(*.sdlxliff)に変更すると、doc ファイルは内部的に docx 形式に変換されます。

2011word6

これを見てもわかるように、SDL Trados Studio プラットフォームで doc ファイルを扱うときは、docx が標準形式になっています。そのため、バイリンガルファイルの編集までは、Office 2003 までの環境でも対応しますが、プレビュー機能などには、Office 2007 以降が必要である、ということがリリースノートにも書いてあります(Excel ファイルについても同様)。


Word バイリンガルファイルの保存

これも、2009 ではできない処理でした。上で書いたように、2009 でも翻訳前の doc ファイルはもちろん開けますが、保存後のバイリンガル形式は *.sdlxliff になってしまい、バイリンガル doc として保存することはできませんでした。

でも、この保存方法がちょっと不思議。[ファイル]メニューには、「バイリンガルで保存する」ようなオプションがなく、あるのは

[別名(原文のみ)で保存]
[別名(訳文のみ)で保存]

しかありません。ところが試してみると、どちらを使ってもバイリンガル状態で保存されるのです。いったいどうなっているのか、ヘルプ情報などもまだ確認できていません。

これで、Word バイリンガルファイルを Studio 環境で直接扱えるようになりました。

といっても、もちろん私は使わないのですが、バイリンガルファイルをそのまま Studio 環境に持ち込めると、ひとつ大きなメリットがあります。それは、わりと充実してきた

QA Checker の機能を、Word ファイルにも使える

ということです。QA Checker については、この次のエントリに書きます。

ちなみに、ヘルプはまだ英語版しかないみたいです。2009 では、インターフェースの言語を切り替えればヘルプの内容も変わったのですが、2011 では --- 残念ながら想定どおり --- 日本語の翻訳が進んでないようです。

それどころか、2011 をインストールしてある方は、

[プログラム]→[SDL]→[SDL Trados Studio 2011]→[Documentation]→[Quck Start Guide]→[Japanese]→[Translating and Reviewing]

を開いてみてください。英語版は 2011 なのに、

日本語版は 2009 版

のままですよ。これはちょっとヒドいんじゃありませんか、SDL さん。

04:41 午後 バージョン - Studio 2011 |

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こんにちは。富山で化学翻訳を営むヨシダヒロコ(@chiruru)です。医薬翻訳者の駆け出しでもあります。スペイン語、イタリア語勉強してます。 だいぶ前のことになりますが、書いておきます。それまでどうも調子が悪...... [続きを読む]

受信: 2011/11/25 0:39:27

コメント

>ちなみに、ヘルプはまだ英語版しかないみたいです。

えー、それなのに、こないだ電話で聞いた通り
「ローカラーズの手間がありますので」日本版
を買ってくれというんですか?2006からのアッ
プデートだと価格差1万はありますよ。

ひどいですねー。

しかも電話口のお姉さん、「日本語版も英語版も
関係ない。どっちでもいっしょ」みたいなこと
言ってましたよ。

投稿: ヨシダヒロコ | 2011/11/20 18:18:05

> 「ローカラーズの手間がありますので」日本版を買ってくれ

まあ、商売ですから当然そう言うしかないんでしょうが、なんというか、いつもセミナーを担当してらっしゃるみなさんは、実際の製品機能とかヘルプドキュメントとか、どう思ってるんでしょうね。そもそも見てるのかなぁ。

投稿: baldhatter | 2011/11/22 8:26:25

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