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2011.11.20

SDL Trados Studio 2011 詳細 3~QA Checker

★★
今回、私が 2011 のインストールと検証を試みる気になったのには、理由があります。

それは、ふだんとちょっと違う UI 翻訳の案件があって、パラメータとか特殊文字がたくさん出てくる、しかもそれが Word ファイルベースで届いたからです。ためしに、2007 TagEditor の QA Checker を使ってみましたが、やはり用が足りません。

2011 なら、バイリンガルファイルをそのまま読み込んで、2011 の QA Checker を利用できるはずです。

以下、今回は UI 翻訳という特殊な用途なので、話が細かくなっていますが、QA Checker の充実ぶりはおわかりいただけるかと思います。

UI 翻訳では、%s とか %d とか、そんなパラメータ(変数、プレースホルダ)が、原典どおり正しく訳文に残っていなければなりません(クライアントによって専用ツールを持っている場合には、その検証機能が実装されている場合も多い)。

まず、こんな風に設定してみます。「原文は一致するが訳文は一致しない」

2011qa1_2

文字どおり、「原文にあって訳文にない」場合はエラーになりますが、「原文と訳文で数が一致しない」場合はエラーになりません(訳文で 1 つは一致があるので)。

2011qa2_2

そこで条件をこのように変えてみます。「両方に一致するが一致回数が異なる」

2011qa3_2

今度は逆に、「回数が一致しない」場合だけエラーになり、「訳文にない」場合はエラーになりません。

2011qa4_2

2009 までの QA Checker では、オプションはここまででした。が、2011 にはこんなオプションが追加されていました。

2011qa5_2

「グループ化された検索条件 - 原文は一致するが、訳文が一致しない場合に報告する」

はっきり言って、意味がわかりません。でもこれ、今回は翻訳のせいじゃないみたいです。英語版のヘルプを見てもよくわからないんですよ。

Grouped search expression – report if source matches but not target: This uses backreferences from the groups specified in the source RegEx to construct a string in the target expression to search the target segments. If the target does not contain the correct string it is reported

正規表現でよく言う「グループ化」とは違うようですし...。でも、結果的に、今回はこれで用が足りることがわかりました。

2011qa6_3

パラメータが訳文にまったくない場合も、数が一致しない場合も、どちらもエラーとして報告されています。

というわけで、今もまだ 2007 までのプラットフォームで Workbench + Word(または TagEditor)を使っている作業環境でも(まだまだ圧倒的に多数のようです)、2011 のこの機能はなかなか魅力的なのではないでしょうか。

もちろん、同等の機能をすでに実装しているクライアントや翻訳会社さんも多いと思いますが、フリーランスの個人翻訳者レベルにはお奨めです。


06:05 午後 バージョン - Studio 2011 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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SDL Trados Studio 2011 詳細 2~Wordバイリンガルファイル


さて次は、今回のバージョンアップの大きな目玉のひとつ(と少なくとも私は思っている)、Word バイリンガルファイルの直接処理についてです。

ちなみに、2009 でバイリンガル状態の Word ファイルを開こうとするとこうなります。

2011word1

このメッセージでわかるように、2009 では翻訳前の Word ファイルしか開けなかったのでした(Only monolingual files are supported)。

Word バイリンガルファイルを追加するまで

プロジェクトを作成してからでも、ファイル単体で開いてもいいのですが、今回のテストではいちおう最小限のプロジェクト(メモリーも用語集もなし)を作ってファイルを追加してみました。

ところが、ファイルを追加しても先に進めません。

2011word2

なぜかというと、ファイルの使用目的が「リファレンス」となっていて、「翻訳対象のファイルが指定されていない」ことになるからです。そこで、その上にある[ファイルの使用目的の変更]をクリックして、ファイルの使用目的を変更、

2011word3

してみたのですが、これもエラーになりました。

2011word4

この理由にはすぐ気づきました。Word バイリンガルファイルというのは、あくまでも doc 形式でないといけないんでした。

2011word5

元のファイルを doc で保存しなおして追加すると、このように「翻訳対象」として認識されました。2007 までは rtf が標準だっことを考えると、いささか整合性を欠いています。

ファイルを追加したら、初期の一括タスクで翻訳形式(*.sdlxliff)に変更すると、doc ファイルは内部的に docx 形式に変換されます。

2011word6

これを見てもわかるように、SDL Trados Studio プラットフォームで doc ファイルを扱うときは、docx が標準形式になっています。そのため、バイリンガルファイルの編集までは、Office 2003 までの環境でも対応しますが、プレビュー機能などには、Office 2007 以降が必要である、ということがリリースノートにも書いてあります(Excel ファイルについても同様)。


Word バイリンガルファイルの保存

これも、2009 ではできない処理でした。上で書いたように、2009 でも翻訳前の doc ファイルはもちろん開けますが、保存後のバイリンガル形式は *.sdlxliff になってしまい、バイリンガル doc として保存することはできませんでした。

でも、この保存方法がちょっと不思議。[ファイル]メニューには、「バイリンガルで保存する」ようなオプションがなく、あるのは

[別名(原文のみ)で保存]
[別名(訳文のみ)で保存]

しかありません。ところが試してみると、どちらを使ってもバイリンガル状態で保存されるのです。いったいどうなっているのか、ヘルプ情報などもまだ確認できていません。

これで、Word バイリンガルファイルを Studio 環境で直接扱えるようになりました。

といっても、もちろん私は使わないのですが、バイリンガルファイルをそのまま Studio 環境に持ち込めると、ひとつ大きなメリットがあります。それは、わりと充実してきた

QA Checker の機能を、Word ファイルにも使える

ということです。QA Checker については、この次のエントリに書きます。

ちなみに、ヘルプはまだ英語版しかないみたいです。2009 では、インターフェースの言語を切り替えればヘルプの内容も変わったのですが、2011 では --- 残念ながら想定どおり --- 日本語の翻訳が進んでないようです。

それどころか、2011 をインストールしてある方は、

[プログラム]→[SDL]→[SDL Trados Studio 2011]→[Documentation]→[Quck Start Guide]→[Japanese]→[Translating and Reviewing]

を開いてみてください。英語版は 2011 なのに、

日本語版は 2009 版

のままですよ。これはちょっとヒドいんじゃありませんか、SDL さん。

04:41 午後 バージョン - Studio 2011 | | コメント (2) | トラックバック (1)

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SDL Trados Studio 2011 詳細 1~インストールその他


SDL Trados Studio 2011をインストールして実際に使ってみました。現時点での詳細レポートをお届けします。

SDL 社サイトの[マイダウンロード]というページからインストーラをダウンロードするのが一般的だろうと思いますが、リリースノートとインストールガイドは、インストーラと一緒にはダウンロードされず、

2011inst1

別途リンク先に用意されています。アプリケーションをインストールするときの常として、リリースノートとインストールガイドにはまず目を通しておきましょう。

……という基本を怠ったせいで、私は今回いきなり、「あれっ?」となってしまいました。

2011の新規インストールなら問題ありませんが、2009 既存ユーザーの方はご注意ください。

Studio 2011は、2009 とは別環境にインストール

されます。したがって共存が可能です。というより、既存ユーザーであれば、まだ 2009 をアンインストールするわけにはいかないようです。

MultiTerm は、2009 が必須かどうか不明ですが、やはり 2011 と 2009 が別環境にインストールされます。

ファイルの物理的な配置を確認してみると、Program Files 以下にある SDL Trados Studio の下には 2 つのフォルダができていました。「Studio1」が 2009、「Studio2」が 2011 です。

2011inst2

MultiTerm も同様ですが、こちらは内部バージョン番号になっていて、「MultiTerm8」が 2009、「MultiTerm9」が 2011 です。ちなみに、MultiTerm については 2011 で何がどう変わったのか、私自身がほとんどわかっていません。

ライセンスのアクティベーション、幸い私の環境ではスムーズにいきました。

2011inst4

私の場合は 2009 からのアップグレードですが、2009 のライセンスを返却する必要はないようです(同じマシンで 2009 と 2011 を同時に起動するのも OK っぽい)。

アクティベーションについて「幸い」と書いたのは、案の定というべきか、ライセンスの返却/アクティベーションに伴ってトラブルも出ているようだからです。その辺りは、SDL さんの公式ブログをご覧ください。

リンク: [サポート便り]非アクティブ化したのに「マイライセンス」に在庫が戻らない場合の対処方法 - SDL Japan

リンク: [サポート便り]Studio 2011でライセンスが返却できない場合の対処方法 - SDL Japan

リンク: [サポート便り]「ライセンスは別のコンピュータ用にSDLに登録されたままです」エラーへの対処方法 - SDL Japan

リンク: [サポート便り]ライセンスのアクティブ化ができない場合の対処方法(Single-user Licenseの場合) - SDL Japan

ちなみに、アクティベーション後には、[ヘルプ]→[製品のアクティベーション]メニューからこういうダイアログが開きます。

2011inst5

ただし、私が製品紹介セミナーに参加したときに書き取ったメモが正しければ、このプロセスを踏まなくてもアンインストールストすれば「非アクティブ化」されるはずだそうです【未検証ですので、あてにしないように】。

すでに 2011 を使ってみた方から、2009 との互換性についての苦情があがっています。2009 と 2011 の間で、プロジェクトパッケージの互換性は保証されていたと思うのですが、こちらも私の手元のメモを確認してみたところ、

「2011→2009はプロジェクト形式を選択可」

と書いてあって、「選択可」ではなく「2009形式を選択しないと、2009 では開けない」ということのようです。詳細は、こちらの公式ブログをご覧ください。

リンク: [サポート便り]SDL Trados Studio 2011とStudio 2009との互換性 - SDL Japan

ただし、この互換性の話、実はなんだか錯綜しているようで、ぜひ一度しっかり確認したいと思っています。

まず、上のリンクで使われている用語が曖昧です。「プロジェクト」という概念(*.sdlproj)と、「パッケージ」という概念(*.sdlppx など)はまったく違うもので、「プロジェクト」は Freelance 版でも作成できますが、「パッケージ」は Professional 版でないと作成できない単位です。にもかかわらず、公式ブログで「プロジェクトパッケージ」などという曖昧な用語を使われたのでは、いったい

どのレベルの互換性のことなのか

わかりません。

そのほか、私の知っている範囲では、プロジェクトでもパッケージでもなく、Studio 独自のバイリンガルファイルである *.sdlxliff のレベルで 2011 → 2009 方向の互換性がない、という話も出ています。

03:07 午後 バージョン - Studio 2011 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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2011.11.13

TagEditor のバグを直してください、SDLさん


SDL Trados 2007 の TagEditor には、

日本語をまともに入力できない

(ちょっとしたことで英語直接入力になる)という重大な欠陥があることを、前から何度か書いています。ほとんどの人は、そのつど入力モードを戻してしぶしぶ使っているようですが、やはりこれは耐えられません。

最近は、プラットフォームが Studio に移行し、2007 はおまけ扱いになったので、バグ修正が止まってしまうのはしかたがないかなと思っていたのですが、現在の製品ラインアップを見るかぎり、そうは言えない気になりました。

SDLショップ

現在のラインアップを見ると、2007 はおまけではなく、ちゃんとその分の

値段が付いている

からです。

1111131

企業向けであれば 40,000 円

1111132

フリーランス版でも 16,000 円が 2007 のライセンス分なのです。

料金をとる以上、

不具合は引き続き修正する

義務があるはずです。このバグを放置しておくことは企業として許されません。

私も、このバグについては機会があるごとに訴えていきたいと思います。

10:56 午後 Trados 全般 | | コメント (2) | トラックバック (0)

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