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2011.09.08

SDL Trados Studio 2011発表セミナー


去る 9/6 に開かれた、SDL Trados Studio 2011の製品発表セミナーに行ってきました。午前中が個人翻訳者(フリーランス)向け、午後が企業向けということなので、午後の部の内容はわかりません。

ところで、今 SDL さんの 2011 紹介ページ(SDL Trados Studio 2011の概要)を見てみたら、いちばん下のほうに

SDL Trados Studio 2011の新機能

というリンクがありますが、そのページに進んで「ダウンロード」をクリックしても、ダウンロードされるファイルを開けないんですけど......

現在のライセンス数

いきなりぶっちゃけた話を書いちゃいます。SDL Trados の出荷実績は、現時点で 185,000 ライセンス、Studio 2009 発売以前はおよそ 170,000 だったそうです。ってことは、Studio になってから売れた(新規)ライセンス数は多くても 15,000 ってことになります。それって、1 バージョンの数としては多いのかな、少ないのかな。

前にも書いたことがありますが、アーキテクチャがいきなり大きく変わってしまったので、新規もアップグレードも、思ったほど伸びなかったというのが正直なところなのではないでしょうか。

今回の Studio 2011 では、そんな状況を打破して Studio アーキテクチャへの移行を大きく進めようという意欲がいろいろと感じられる新機能や機能強化が目立ちました。SDL さんの動機はともかく、ユーザーにとってプラス方向と言えるアップグレードとして一定以上、評価できると思います。


あらゆる単位で資源を再利用

まあ今までに何度も聞いたフレーズではありますがw

単語のレベル …… MultiTerm 用語ベース
フレーズレベル …… AugoSuggest
センテンスレベル …… TM
ドキュメントレベル …… PerfectMatch 2.0

ということで、PerfectMatch 機能が復活します。PerfectMatch 機能というのは、旧版と新版のドキュメントどうしを比較して、差分のないところはそのまんま再利用するというもの。ふつうの 100% マッチとは違い、ドキュメント構成上の出現箇所まで見て埋め込むので、「100% 以上の既訳」という扱いになります。

ただし、このドキュメント比較から埋め込みを行えるのは、企業向けの Professional 版のみで、フリーランス版では今までの Studio 2009 のときと同じく CM(Context Match)として表示されます。書き換えは可能。

また、PerfectMatch 機能が対応しているファイル形式は、*.sldxliff、*.ttx、*.itd ということで、応用性はどうでしょうね。


Word バイリンガルファイルへの完全対応

Studio アーキテクチャへの移行を促すという目的ではいちばんの目玉だろうと私が思っている新機能です。

今までも、従来の Word ファイルを Studio 2009 で開き、編集することは可能でしたが、その場合はネイティブフォーマットである *.sldxliff に変換されてしまうので、今までの作業環境と互換性がまったくありませんでした。訳文のみの Word ファイルを生成することはできましたが、バイリンガル形式の Word ファイルとしては保存できなかったからです。以前から Trados 環境を構築して作業してきたベンダーなどで移行が進まなかった最大の理由はここにあります(たぶん)。

Studio 2011 では、すでにバイリンガル状態になっているファイルを Studio で開き、(内部的には sldxliff として処理されるはずですが)、翻訳して、またバイリンガル Word ファイルとして保存できるようになりました。つまり、

- 翻訳ベンダーの環境は 2007(以前)
- 翻訳者は Studio 環境しか持っていない

という状況でも発注・受注が可能になるので、これはいろいろな方面にとって都合がよさそうです。

ただし、Studio 2011 で開くバイリンガルは、未翻訳の部分もセグメントになっていなければなりません(バッチ翻訳で処理可能)。おそらく、Studio 2011 内部では、セグメントになった状態を XML 構造に置き換えて翻訳対象とすることはできるけど、セグメントを開く操作に対応していないのだと思われます。

また、この機能は相手の Word が 2003 まででも大丈夫です。デモで使われていたファイルも doc 形式でしたし、質問して確認もしました。


レビュー対応 - 編集履歴機能

これも、Studio 環境の不揃いに対応する新機能でしょう。特に、レビューする側(翻訳ベンダー、クライアント)に Studio 環境がない、あるいは Studio 上ではなく今までのように Word 上でレビューと編集を行いたい、という場合に使えます。

Studio 2011 の環境で、Word とほぼ同じ操作性の編集履歴機能を使えます。編集履歴を記録し、最終的に「反映」/「却下」を選んで確定できます。

たとえば、レビューを受ける側は翻訳の終わった状態で Word ファイルとして保存し、レビューアに提出。レビューアは Word 上で通常の編集履歴機能を使って Word ファイルを返す。これを Studio で開けば、レビュー内容を確認したうえで確定し、最終版として仕上げることができる。そういう流れになります。

ただし、こちらは、Office 2007 以上が必要です。というのは、編集履歴を残して保存できる Word ファイルの形式が、*.docx だけだからです。以前、OpenExchange のアプリケーションとして紹介した SDL XLIFF Converter と同じですね。というか、そのコンポーネントを利用した機能だからです。


その他の機能

Word のスペルチェッカーを利用可能
※これ、対象のバージョンは確認できませんでした。

表示フィルタ
似たような機能が Idiom にあります。特定ステータスのセグメントだけフィルタリングして表示。

QA Checker 3.0
「設定をファイルへ書き出し」と資料には書いてあるのですが、今までも全体の設定は書き出せました。

参考:禿頭帽子屋の独語妄言 side TRADOS: QA Checker 3.0 はそれなりに使える

私がぜひバージョンアップしてほしいのは、「単語リスト」と「正規表現」を読み書きです。こちら、プレゼンターの山田勝志さんにも、Massimo Ghislandi さんにも伺ったのですが、保留中です。回答をいただいたら、この記事を更新します。

【9/9 更新】
フィールドマーケティング担当ディレクタ Massimo Ghislandi さんからメールで回答をいただきました。正規表現と単語リストの書き出し/読み込み機能、あるそうです。これは大きい進歩ですね。QA Checker の機能にあたる検証ツールは、たいていの翻訳ベンダーが自前で作ったりしてますし、私自身もそれなりのツールを作っていますが、Trados Studio のように、翻訳しながらリアルタイムで検証機能が返ってくるというのは、けっこう便利なものです。

【9/12 再更新】
Early Access Program でベータ版をダウンロードしてみました。インポート/エクスポート機能があるのは、「正規表現」のみで、「単語リスト」にはありませんでした。

ライセンス管理

これまで、Trados をアンインストールするときには、必ずその前に「ライセンスの返却」が必要でした。これをせずにうっかりアンインストールしてしまうと、ライセンスが使用中のままとなり、別のマシンにインストールできなくなります。さすがにこの仕様は不便だったらしく、アンインストールすれば自動的にライセンスが返却されるようになります。


ライセンスとアップグレード

まず、アップグレード対象。SDL Trados 2006 以降であれば、Studio 2011 にアップグレード可能。つまりそれ以前のライセンスだと、2011 は新規購入になります。

Studio 2011 のリリース前、つまり今の時期であれば、Studio 2009 を買うと 2011 に無償でアップグレードできます。この場合、もともとそうだったように、SDL Trados 2007 Suite のライセンスも付いてきて、2011 にアップグレードしてからも有効です。

では、Studio 2011 のリリース後になったら、2007 のライセンスはどうなるのか。これも気になるところだったので質問してみました。

「Studio 2011 単独ライセンス」と「2011 + 2007 併用ライセンス」を選べるようになる

という回答でしたが。その差額はいかほどか......。こちらは、この日参加していた別の翻訳者さんが問い合わせてくれたので、わかりしだい教えてくれるそうです。

【9/9更新】
新規購入の場合の、Studio 2011 単独と 2007 ライセンス付き、それぞれの価格もわかりました(tamb7 さん、ありがとうざいます)。

SDL Trados 2011 Plus ---> 115,000円
SDL Trados 2011 Plus + 2007 Suite ---> 135,000円
(どちらも Freelance 版)

価格差 20,000 円。新規購入の方であれば、これはかなりリーズナブルだと思います。

実は、今すでにベータ版が公開されていて、「マイアカウント」を利用できるユーザーであれば、「Early Access Program」に参加して試してみることができます。こちらを試して報告できればいいのですが、ちょっとその時間がとれません。

05:37 午後 Trados 全般バージョン - Studio 2011 |

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コメント

禿頭帽子屋
記事を読ませていただき勉強になります。小生はまだ駆け出しのFREELANCERなのでTRADOSのことがわかっておりません。最近になってボチボチと2009を使い始めました。ほとんどの場合はWORDへ訳文のみ書いて納品なのでTRADOSを使っても訳文保存でいけるのですが時々は左右にコラムを作ってあり原文と訳文を並列で書くようにも求められます。TRADOSは訳文しかOUTPUTできないと思っているので仕方なしに手作業で埋め込んでいきます。で、たまたま貴殿の上記記事に2011からはWORDの並列で保存ができるとあったのですぐにアップグレードを購入しました。しかしどうも2009とどこが変わったのかわからずどうすれば並列のWORD出力ができるのか迷っています。自分なりに印刷プレビューでブラウザーに表示させHTMLで保存してからWORDに読み込ませてDOCX形式で保存し直すとできるにはできますが、それだと2009ででもできたことなのになぁと首をかしげてしまいます。どのようにすればよいでしょうか。それと2007しか持ってないお客さんには対応できないものでしょうか。TTXというファイルにするしかないのでしょうか。ながながと書いてしまい申し訳ありません。厚かましいお願いですが、なんらかのご教示いただければ幸いです。ibuki

投稿: ibuki naoya | 2011/10/24 9:34:39

ibuki さん、コメントをありがとうございます。また、ご返事が遅くなってすいませんでした。

2011 での doc(または docx)の扱い、実際にどうなるのか私もまだわかっていません(アップグレードはしてありますが、2011をインストールしていません)。

> TRADOSは訳文しかOUTPUTできない

2009まで、Wordについてはそうでした(Wordバイリンガルでは保存できない)。それが2011で可能になった...はずなのですが、具体的にはまだお答えできません。

もう少し時間ができたらいろいろ検証してブログをアップする予定です。申し訳ございません m(__)m

投稿: baldhatter | 2011/11/04 8:50:10

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