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2011.08.27

Idiom プロジェクトファイルの中身を参照する


Idiom Desktop Workbench は、私の知る限り最悪の翻訳環境です。インターフェースの操作性も劣悪ですが、それ以上にメモリーや用語の参照性、再利用効率が悪いという、アーキテクチャとして致命的な欠陥を持っています。

それでも、今でもときどき亡霊のように、これを使う案件が飛び込んできたりするので、自分用のメモも兼ねて、せめてもの Tips を紹介しておきます。

Idiom 環境のプロジェクトは、*.xlz または *.wpz(サブプロジェクト)という拡張子のファイルで、この中に翻訳対象もメモリーも用語集も含まれています。どちの形式も、実は圧縮ファイルなので、

拡張子を zip に変えて解凍

すれば、中身を直接参照することができます(XML ファイルです)。

Idiom では、Trados などのコンコーダンス検索(に当たる機能)を実行しても必要な情報を得られることはほとんどありませんが、この方法でプロジェクトファイルを直接参照すると、既訳などの情報を拾えることがけっこうあります。XML ファイルの構造をもう少し解析すれば、その情報のあり方まで判ると思うのですが、そこまで付き合う気はないので、話はこんだけなのですけど。

03:48 午前 関連ツール | | コメント (0) | トラックバック (0)

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2011.08.24

「フィールド情報」について

★★
メモリーを利用するときは、既訳がどこから来たものか、ということを意識したほうがいい場合があります。

たとえば、何回かの部分改訂を通じて使い続けられているメモリーの場合、常に最新の情報だけが利用されるようにメンテナンスされていればいいのですが、支給されたメモリーに

類似の既訳がいくつも並んでいる

ということも珍しくありません。そういうとき、2007 Suite までの環境であれば Workbench のフィールド情報を参照するのが普通です。

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[作成日]、[作成者]、[更新日]、[更新者]という 4 つの情報が表示されるので、たとえば作成日や更新日が新しいものを優先するとか、複数のユーザー名が登録されている場合には誰の訳文を信用するとかw、そのような補足データとして使うことができます。

※この欄が表示されていない場合には、[表示][表示領域拡大]が選択されてしまっている可能性があります。ショートカットが Ctrl+B なので、うっかり触って消えているかもしれません。このチェックをオフにしてください。

上の図で表示されている 4 つのフィールドはシステムフィールドで、特に設定しなくても必ず既訳ペアに追加される情報です。これとは別に任意の情報フィールドを追加したい場合には、[ファイル][設定][フィールド]タブを使います。

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[テキスト フィールド]と[属性フィールド]にはペナルティに影響するかどうかという差がありますが、それはまた別の機会に。メモリーの運用方法によっては、この追加フィールドでいろいろな情報を示して既訳を使い分けることもできますが、あまりに煩雑だと使うほうがイヤになります。

さて、このような使い途のある情報フィールドですが、Studio 2009 では、従来のように表示させる方法が見つかっていません。

[翻訳メモリ]ビューにすると、

1108246

こんな風に[カスタム フィールド]と[システム フィールド]として表示されるのですが、通常の翻訳作業時、つまり[エディタ]ビューのときには、2007 までのようにアクティブなセグメントに対して必ず表示されるのではなく、

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このように、メモリセクションにカーソルを置いたときポップアップ表示されるだけです。これではいかにも不便なので、[エディタ]ビューでフィールド情報を常時表示する設定はないものかと探しているのですが、未だに見つかっていません。ご存じの方がいらっしゃったら、ぜひお知らせください。


04:45 午前 Trados 機能 | | コメント (2) | トラックバック (0)

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2011.08.06

翻訳支援ツールのインターフェース


翻訳支援ツールのインターフェースは、大きく言って、

1108061

このように原文と訳文が縦に並ぶパターンと、

1108062

こんな風に原文と訳文が横に並ぶパターンがあります(色付けに特に意味はありません)。ここでは、前者を「V 型」、後者を「H 型」と呼ぶことにします。

すでにご存じのように、Trados の場合は 2007 までずっと V 型でしたが、Studio 2009 から H 型に移行しました。SDLX は昔から H 型です。

これって、どっらが使いやすいんでしょうか。私個人は --- 慣れの問題かもしれませんけど---、V 型のほうが原文と訳文を見比べやすいし、語句レベルの見落としなども減ると感じているのですが。

V 型と H 型のどちらを採用するか。これは当然、Trados や SDLX のような市販アプリケーションだけでなく、Omega-T のようなフリーウェア系でも、あるいは大手 IT クライアントが社内で使っている --- 表立って名前を言うこともふつうは御法度とされている --- 専用ツールでもつきまとう問題です。

好みによって V 型/H 型を選べたら話は簡単だと思うのですが、そういうツールはまだひとつも出てきていないようです。と言っても、翻訳支援ツールって実はもうたくさんあって、私が知っているのはそのごく一部にすぎません。もし V/H 選択可能なツールがあったら、ご紹介ください。

以下、私が直接知っている支援ツールの一部を挙げておきます。

Trados
2007 までは V 型。Studio 2009 から H 型。


SDLX
H 型。


Idiom Desktop Workbench
H 型。


A 社のツール
変則型。
このツール、10 年以上前にちょっと使ったことがあっただけでしたが、最近また動かす機会がありました。記憶の中では V 型だったのですが、実際には違ってました。原文と訳文が別々のフィールドになっているのではなく、一見するとただのエディタ上で、アクティブなセグメントだけが編集可能になり、メモリーを参照しながら上書きするという形式です。私にはイマイチ使いにくいのですが、ふつうに上書き翻訳している感覚に近いのかな。よくわかりません。


B 社のツール
V/H 併用型。
同じインターフェースの中に、原文と訳文を示すテーブル形式のセクション(H 型)と、原文と訳文が縦に並ぶ編集セクション(V 型)が同時に表示される形式。

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前後関係がテーブルで見やすくなっている一方、実際の翻訳作業は V 型部分で行えるので、個人的にはけっこう気に入っています。しかもこのツールの場合、中間ファイル(バイリンガル形式でこのアプリケーションが使うファイル形式)が XML ファイルなのですが、xliff などよりずっと見やすい形になっていて、加工操作なども簡単。こういうシンプルなアーキテクチャって好感が持てます。

ただし、このツールで扱えるターゲットはやはりこの会社独自のファイル形式に限られるようで、一般のファイルに対する汎用性はあまりなさそうです。


C 社のツール
V/H 混在型。

B 社のように V 型と H 型が同時に表示されるのではなく、最初は H 型のグリッド表示になっており、セグメントを選択すると別の編集ウィンドウが開き、その編集ウィンドウは V 型になっている。混在型というより混乱型と言いたくなるような困りもののインターフェースです。しかも、メモリーからの候補は編集ウィンドウで別タブに切り替えなければなりません。

こいつについては、そのほかにも文句はたくさんあるのですが、詳しく書くとマズいかもしれないのでいちおう自粛しておきますw

IT 業界の大手各社が翻訳支援ツールを自社開発してしまうというのは、発想としてはよくわかります。発端はおそらく、ドキュメントの翻訳ではなくソフトウェアリソース、つまり UI 翻訳の必要性にあったのだろうと推察されます。

よく言われるように、UI をそれだけで訳すのはなかなか大変です(文脈がないので)。どうしたって、翻訳後にはそれを実際のアプリケーション画面に表示してみて、適切かどうか検証するプロセスが必要になります。となれば、翻訳後のファイル形式なども自社アプリケーションのリソースとして使いやすいほうがいいに決まっています。ファイル形式でも文字列操作でも、市販製品をカスタマイズするより自分ちで開発しちゃったほうが早いし小回りもきく、そう考えたのだと思います。

でも、大手として開発力があればあるほど、翻訳者の発想とはかけ離れたツールが出来上がってしまう、そんな気がします。翻訳者の視点 --- まあそれも個人差があるでしょうけど --- で考えればありえない、そんな作りや動作があまりにも多いですから。

そんなわけで、世に言う「翻訳支援ツール」はけっして「翻訳」を支援してくれるものではなく、単に翻訳工程の効率化 --- しかもたいていは開発側にとっての効率 --- とコストダウンを図るための、「翻訳作業支援ツール」にすぎず、まして社内専用ツールとなれば、その度合いはますます強くなる、ということのようです。

「翻訳作業」ばっかりやってて「翻訳」ができなくならないように、くれぐれも注意しなければなりませんね。自戒自戒。

Omega-T とか MemoQ とか、実は試してみなければならない支援ツールがまだまだたくさんあります。それらは、もしかするともう少し「翻訳支援」になっているのでしょうか。実際に使っている方のご意見を聞いてみたいところです。

06:02 午前 ローカリゼーション, 関連ツール | | コメント (6) | トラックバック (0)

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