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2011.03.26

Word 上のフォントの問題

★★★
Workbench + MS Word という環境で作業していると、Word 上のフォントが不ぞろいでかなり汚くなる場合があります。

110326_tra_font_1

たとえば、赤で囲んだ部分は、最初がMSゴシックで始まり(「この章は」)、その次は原文からコピーしたので Times New Roman になり(「Oracle Database」)、その後から入力した部分はMS明朝になっています。しかも途中からは、Workbench のウィンドウからコピーしたためにフォントサイズまで変わっています。青で囲んだ部分もMSゴシックとMS明朝が混在しています。

この問題、実はごく初期の頃からよく知られており、しかも 2007 に至るまでとうとう解決されないまま終わってしまいました。なぜかというと、翻訳作業に MS Word を使う場合でも、最終的なファイル形式は HTML や FrameMaker などに変換されてしまうので、Word 上のフォントは何も問題にならないからです。最終的に Word 形式(doc など)になる場合でも、たいていは DTP 工程でテンプレートを当てるので、やはりフォントは何でもいいことになります。

つまり、これから書くことはほぼ私個人の趣味的な領域であって、Trados 使用にどうしても必要という内容ではありません。

Word 上でフォントが不ぞろいになってしまうのは、「Word 上の標準スタイル」と「Workbench のフォント設定」が違っているからです。上の例でも、Word(このファイル)の標準スタイルは、

110326_tra_font_4

[書式]が[MS 明朝]ですが、Workbench の[ファイル]→[設定]→[フォント]を見ると、

110326_tra_font_5

[訳文の既定フォント]が[MS ゴシック]になっています。

Workbench と MS Word を組み合わせて使うとき、この 2 通りのフォント設定は以下のように機能します。

1. セグメントを開いて文字を入力すると Workbench の[訳文の既定フォント]が優先される。
2. 原文から文字をコピーすると、その直後からは Word 上の「標準スタイル」に切り替わる。
3. 標準スタイル割り当てのショートカット(後述)を使うと、当然「標準スタイル」に切り替わる。
4. メモリーから[取得]すると Workbench の[訳文の既定フォント]が使われる。

翻訳作業中には、当然これらの作業が入り交じるので、フォントがぐちゃぐちゃになるわけです。3. に書いた「標準スタイル割り当て」というのは、内部タグを挿入した直後に必要になります。Word 上では、タグも文字スタイルとして設定されているだけなので、

110326_tra_font_7

タグの後にそのまま入力を続けると、こんな風になってしまいます。そこで、</strong> の後でこのショートカットを使います。デフォルトでは[Ctrl]+[Space]キーです。

書式が違うだけで 100% 一致が正しく認識されないこともあり、

110326_tra_font_2

この状態で Trados メニューの[取得]を使うと、

110326_tra_font_3

こうなります(上記 4. の動作)。

最初に書いたように、ふつうはこういう操作でフォントが混在していても何も問題はないので、たいていの人はその状態で納品しているみたいですが、私はどうしてもこの混在が我慢できません。訳文を見直すときに気が散るし、そもそも

MS明朝の汚さ

に耐えられないからです(100% 表示ならあまり気にならないのですが、私はだいたいいつも 140% くらいで表示しています)。

そこで、何の役にも立たないと思いますが、フォントをそろえるための私の設定/操作を紹介しておきます。


Word の[形式を選択して貼り付け]機能をキーに割り当て

Word の通常のコピー&ペースト操作では書式情報が維持されます。原文から文字列をコピーするとき、書式情報を持たないテキストとして貼り付ければ、標準スタイルを引きずらずに済みます。Word の[編集]→[形式を選択して貼り付け]で、

110326_tra_font_6

テキストを選択すればいいのですが、もちろんこれでは手間がかかりすぎので、マクロ化してキーを割り当てています。マクロはこんな感じ。

Sub A_pasteText()
 Selection.PasteSpecial Link:=False, DataType:=wdPasteText, Placement:= _
  wdFloatOverText, DisplayAsIcon:=False
End Sub


選択した文字列にフォントを指定

選択した文字列を「すべてMSゴシック」にするとか、「すべて MS UI Gothic」にするという操作をマクロにして使います。


[Ctrl]+[Space]は使わない

翻訳の途中ではなく、最後にだけタグを挿入するようにすれば、[Ctrl]+[Space]は使わずに済みます。

どうでもいいような "ひと手間" なのですが、ひとつだけ利点があります。Workbench 標準の書式([訳文の既定フォント])だけを使うので、メモリーに不要な書式情報が増えないということです。

[訳文の既定フォント]以外を使っていないメモリー
110326_tra_font_8

フォントが混在しているメモリー
110326_tra_font_9

こように書式情報の入っているメモリーは、後々の処理でもけっこう邪魔になることを、知っている人はよく知っていると思います。

06:51 午後 Trados Tips | | コメント (0) | トラックバック (0)

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2011.03.20

迷惑なマーカータグ

★★★
今のように落ち着かない状況で書くほど緊急性のある話でもないのですが、しばらく前から続いている案件で、あまりに鬱陶しいタグの処理を見かけるので、書きとめておきます。

以前、索引マーカータグ <:imk xx> が笑えるほどたくさん並んでいる例を紹介しました(索引マーカー盛りだくさん)が、似たようなタグとして、<:hmk xx> というのもあります(Word + Workbench の環境ではたいてい、内部タグ)。これはハイパーリンクのためのマーカータグで、これが付いている箇所をクリックすると、指定されたリンク先にジャンプします。

そのハイパーリンクマーカータグをこんな風に処理してある既訳が次々と出現するので、ちょっと辟易しています。

110320_hmk1

過去にここを担当した人は、原文が同じような形になっているということで、忠実にこういう処理をしたんだろうと想像されます。

110320_hmk2

原典 PDF に当たってみると、category という単語全体にハイパーリンクがかかっている(<:cs "Links" 2>~</cs> で囲まれている)ので、<:hmk 667> というマーカー自体はその中のどこにあってもよく、単語の途中にある必要などまったくないのですが、おそらく FrameMaker データ上ではこのように単語に割り込む形でマーカー情報が入っていて、それがそのまま rtf に落ちてくるのだと思います。

したがって、これを翻訳するときには、原典で category の途中にタグがあるからといって、律儀にそれに合わせて

カテ<:hmk 667>ゴリ

などと処理する必要はまったくなく、ちゃんと「カテゴリ」と読めるように、

110320_hmk3

とやっても、最終的な PDF 上の機能としてまったく問題はないはずなのです。

ローカリゼーションというものが単なる翻訳ではない、というのは、たとえばこういうことです。翻訳というより、何かもっと別の特殊技能というところでしょうか。

ちなみに、このタグの位置が少しずれただけでも、Trados 上ではマッチ率に影響します。原典ファイルを作成するメーカーさんは、その辺もう少し考えたほうがいいと思いますよ。まったく意味のない翻訳料金が発生しますから。

11:49 午後 Trados 雑記 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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2011.03.02

Studio 2009 - 日本語版クイックスタートガイドがあった


SDL Trados Studio 2009 をお持ちの方はご確認ください。プログラムグループから

[SDL]→[SDL Trados Studio 2009]→[Documentation]→[Quick Start Guides]

を選択して表示されるガイドって、英語版ですよね? 私の環境は SP3 ですが、それでも英語版のままです。

今までも何回か触れたように、SDL さんのドキュメントは十分に日本語化されたためしがないので確認すらしてなかったのですが、ひょんなことで、このクイックスタートガイドなどが

実は日本語化されていた

ことがわかりました。SDL さんって、どうしてこう、

ユーザー対応が下手

なんでしょうね。ドキュメントの翻訳だけでなくサイトの作りも今みっつくらいだし。そういう点で損してる部分はかなり大きいはずです。

"sdl trados studio 2009" "クイックスタートガイド"

でググってみると、「SDL Trados Studio 2009へのアップグレードサポート」というページが 2 つヒットします(2011/3/2 午前 8:30 時点)。

http://www.translationzone.com/jp/landing/sdl-trados-studio-2009-upgrade.asp
http://www.sdl.com/jp/language-technology/landing-pages/stt/sdl-trados-studio-2009-upgrade.asp

ただし、このページには各種ドキュメントへのリンクがありますが、いずれも英語版、もしくはリンク切れです。上に挙げた URL の 1 つ目など、SP2 公開時のままです。やはりサイトの管理もダメダメのようです。

そこで思い出したのが、SDL から送られてくるメール。ただし、一般の営業メールではなく、登録ユーザーに送られてくるアップデート情報などのサポートメールです。探してみたら、2010/11/15 付で「SDL Trados Studio 2009 SP3 についてのお知らせ」というメールがあり、その中でクイックスタートガイドが日本語化されたと書いてありました。

110302

メール中のリンク先ページは、さっきググって見つけたページとほぼ同じですが、内容が更新されています。

リンク: SDL Trados Studio 2009へのアップグレードサポート

このページに、3 冊のクイックスタートガイドへのリンクがありました。
- 翻訳メモリ管理(pdf 1278 KB)
- 翻訳とレビュー(pdf 2838.2 KB)
- プロジェクト管理(pdf 2111.1 KB)

クイックスタートガイドのほか、「インストールとライセンス登録」などにも日本語ドキュメントがあります。ただし、「アップグレードプロセス」のセクションにあるドキュメントは依然として英語版でした。

これは SDL さんに限ったことではないのですが、IT 企業でも翻訳(ローカリゼーション)会社でも、外資系は最近、日本語環境が以前ほど優遇されなくなった感じです。日本のユーザーなのか日本というマーケットそのものなのかわかりませんが、かなり軽視されています。

私がここでたびたび書いているようなことは重々承知という人も、SDL ジャパンの中にはいるはずなのですが、製品についてもユーザーサポート態勢についても、なかなか思うようにいかないようです。

とは言え、SDL さんにとって日本はそれなりのマーケットには違いないでしょうから、あまり長くこんな状況が続いたら、いつかは見放されると考えていただきたいと思います。

ちなみに、私が手元のメールに気づく前にたまたま日本語版クイックスタートガイドを見つけたのは、

trados studio sqlite

というキーワードで検索した結果からでした。SQLite で Studio 2009 のメモリーを触れないものか、とちょっと考えていたところです。

09:14 午前 Trados 全般, バージョン - Studio 2009 | | コメント (4) | トラックバック (0)

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