« Microsoft HTML Help Workshop - ヘルプのデコンパイル | トップページ | MultiTerm - SP3 アップデート後のエラー »

2010.12.03

Studio 2011 は桜とともに? - SDL 製品セミナー


昨日(12/2)、SDL が開く今年最後の「SDL Language Technologies製品セミナーのご案内」に行ってきました。

次期バージョンとなる SDL Trados Studio 2011 の紹介があるという案内だったので、その情報収集が最大の目的でしたが、それ以外にも個人的には収穫がけっこうありました。

対象は「一般企業または翻訳会社の方」ということになっていましたが、フリーランスの私でもまったく問題ありませんでした。会場は、いつものように明治記念会館。神宮外苑とその周辺は、色づいた銀杏がきれいでした。

以下は、「翻訳者」としての立場をあえて忘れることにして書いています。理由は最後に書きます。

アジアパシフィック・セールスディレクター新井康郎さんの挨拶に続き、最初のプレゼンテーションは、英国 SDL の Massimo Ghislandi さんによる製品戦略。ローカリゼーションの世界で、なぜ機械翻訳が不可欠になっているのか、GIM(Global Information Management)というさらに大きい枠組みが求められるのか、そういう背景が実によく整理されていました。

ローカリゼーション業界の末端に位置するただのフリーランス翻訳者でも、こういう大局的な動きはやはり知っておいたほうがいい。機械翻訳とか翻訳支援ツールを否定的にばかり捉えるのではなく、こういう変化はきちんと追っておき、では自分がそれにどう対応するのかを考えていくことが必要なのだろうと感じました。

その次が、お待ちかね、次期バージョンの話(山田裕光さん)。ただしまだαバージョンの段階で未確定の部分も多いとのことで、配付資料もありませんでした。

リリース時期は、「来年、桜の咲く頃」が目安だそうです。Studio 2009 は、アーキテクチャとしてまだ 2007 を引きずっている部分があり、たとえば機能の一部がまだ ttx ファイルに依存していて完全な XLIFF ベースとは言えなかったり、WinAlign のように一部のコンポーネントが統合されずに残ったりしていました。2011 では、完全に XLIFF ベースとなる一方で ttx のサポートも継続され、WinAlign も統合される予定とのこと。

そのほかにもいろいろ、特にユーザビリティのレベルが着実に進歩しているのですが、詳しいことは、もう少し開発が進んだ段階で書くことにします(懇親会で、口頭レベルの NDA めいたものがあった関係で)。

また、先日発表された Open Exchange(SDL OpenExchange Beta - なるほど、そう来たか)から、便利そうな機能は順次、製品に実装されるそうです。

次は、Studio 2009 SP3 の話(山田勝志さん)だったので、ここでは紹介を割愛します。

SP3 に関連しては、懇親会で「Auto Suggest はいつ日本語に対応するのでしょうか」と質問したのですが、なんと、「日本語(マルチバイト言語)については対応されないままかもしれない」とのことでした。ところが、別の話として「公式には未対応で、表示にも不具合があるが、日本語で使えないことはない」という話もありました。これについては、近いうちに検証して、こちらでご報告したいと思います。

同じく懇親会では、現行の WinAlign に文字化けのバグがあるという報告はしておきました。

そうそう、誰でも閲覧できるナレッジベースを教えていただきました。
リンク: >Customer Portal

登録ユーザー(サポート契約は不要)であれば、ここから "Your Ideas" にアクセスすれば、機能に関するリクエストなどを送信したり、実装予定の機能を確認したりできるようになっています。ユーザーからのフィードバックについては、かなりオープンに声を聞きたいという姿勢です。

前半の残りは、導入事例の紹介と、LSP パートナープログラムの話。最後に、TM Server と MultiTerm Server というサーバー製品の紹介。私自身、Trados のサーバー環境で実際に翻訳案件があった経験はないのですが、ひとつだけ。

翻訳単位が 200,000 を超えたら、デスクトップ TM(ふつうの Trados TM)ではなくサーバー TM のほうがいいとのこと。「サーバー TM に接続するほうが時間がかかる」という誤解があるが、クエリーの処理性能自体は、デスクトップ TM(Workbench)より、TM Server のほうがはるかに高いし、返されるデータはテキストベースなので、TM Server が遅いということはない。制限要因は、通信環境だけ。

実は、今回のセミナーに参加していちばん強く感じたのは、「ローカリゼーション」(厳密な定義は難しいですが)というプロセスにおいて、翻訳者の関与する部分は質的にも量的にもまちがいなく変わりつつあるということ。

私のように「IT 翻訳者」という看板を出していても、ローカリゼーションに関わろうとする場合には、プロセスの全体をある程度は把握したうえで、純粋に「翻訳」という部分ではどう関与していけるのか、を考えていくべきなのだと思います。さらには、これはもう好みしだいですが、「翻訳」以外の部分でどう関与できるのか(できないのか)も、今から念頭に置いておくべきです。

ただし、こういう方向はもう「翻訳者」とは呼べないかもしれませんね。「ローカライザー」とか、そんな新しい職種になるのかな。そんな世界にはいたくない、と考える人だってきっといるでしょう。そういう人は、ローカリゼーション以外、さらには IT 分野以外にシフトするしかない。

私自身の中には、「翻訳」にこだわっていきたい部分ももちろんありますが、上に書いたようなローカリゼーションのプロセスに関わっていたい部分も実はあったりします。そのふたつが、共存できないとは別に思っていませんし。

07:07 午後 Trados 全般 |

はてなブックマークに追加

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Studio 2011 は桜とともに? - SDL 製品セミナー:

コメント

お久しぶりです。このコーナー、ますます充実してきましたね。

ここのところ、仕事ではTradosにはすっかりご無沙汰しているのですが、趣味の翻訳?で、Studio 2009 SP3用の用語ベースをMultiTerm 2009 SP3で作成しようとしたら、「CLSID {5EE7FC2F-BE14-4979-AF01-76271D7EE291} を含むコンポーネントの COM クラス ファクトリを取得中に、次のエラーが発生しました: 800736b1」というメッセージが表示され、作成できません。TM サーバーに接続できないというメッセージも出るので、明示的にTMサーバーを使用しない設定にすれば解消できるかと思ったのですが、そういう設定は見当たりません。

必要な.NET Framework関連のコンポーネントが見当たらないという意味のメッセージらしいので、Studio 2009 SP3とMultiTerm 2009 SP3を再インストールしてみましたが、症状は変わりません。念のため、SDLのナレッジベースを調べたら、Hot Topicsに "Resolving Server connection errors after installing SDL MultiTerm 2009 SP3 (+Cumulative Update 8/9)" という項目があります。エラーコードが違っているようなので少しためらいましたが、修正パッチ RepairSDLMultiTermDesktop2009SP3.zip を適用したら無事、解決しました。

このようなパッチがすでにあるところをみると、このエラーはかなり一般的に生じるのではないかと思い、Trados関連でご覧になる方の多いであろう、こちらのブログにレポートしておきます。

投稿: ミストラル | 2010/12/10 12:15:27

ミストラルさん、情報ありがとうございます。

このパッチ、登録ユーザーとして[My Account]→[マイ ダウンロード]に行っても公開されてませんから、Proz でこの記事を見ない限り誰も知らないですね。もちろんサポートからメールなど来てませんし。

さっそく新しいエントリとして紹介します!

投稿: baldhatter | 2010/12/10 15:19:47

コメントを書く

## コメントは承認制なので、公開されるまでに時間のかかることがあります。



(必須ではありません)