20周年記念 JTF 翻訳祭 - C3&4セッション
C-3&4 「ローカリゼーション・ソリューション模擬コンペティション」
無事に終わった今だから白状しちゃいますが、準備段階から直前まで、はたしてセッションを最後までうまく進められるのかどうか、どんな展開になるのかまったく予想できていませんでした。
ローカリゼーション・ソリューション・ベンダーの大手 3 社に集まっていただき、ソリューションをいっぺんに披露してもらうという構想は良かったのですが、各社の持ち時間はかなり短く(20 分ずつ)、スライドも三者三様に個性的で、はたしてセッションとしての統一性を図れるのか、何とも心許ないかぎりでした。また来場者の構成についても、翻訳会社と個人翻訳者の比率が高くクライアント企業は少なかったようなので、はたしてそういうオーディエンスを対象に、このセッションをどう展開すればいいのかも難題でした。
何より心配だったのは、3 社のプレゼンテーションが終わってから休憩をとるというタイムテーブルにしていたため、休憩時間が終わったら誰も残っていないという事態。
が、結果的には、3 社の担当者様がそれぞれさすがに手慣れたプレゼンテーションを行ってくださり、手前味噌のようですが、セッションの趣旨に沿っていながら各社の個性もよく現れた内容になっていたおかげで、休憩後もほぼ満席のまま最後まで進めさせていただくことができました。
私自身がモデレーターとして適切に機能したかどうかは今でも判りませんけど、セッションが終わってから何人かの方にお声をかけていただいた限りでは、セッション自体の意義はそれなりに感じていただいたようで、ひとまず安堵しました。
Welocalize Japan の儀武氏は、英語版スライドだけという意表を突いた登場。自社を紹介しつつも、広くローカリゼーション・ソリューションのこれからの方向性を示してくださり、トップバッターとしていいスタンスでした。どうせなら、プレゼンテーション自体も英語でやっていただいてよかったかもしれません(ふだんはそうみたいです)。
リンク: Welocalize 翻訳 | ローカリゼーション | 国際化
ライオンブリッジジャパンの水村さんは、ある意味でもっともスタンダードなプレゼンテーション。あれだけの枚数のスライド、ぜったい全部は消化できないだろうと思っていたのですが、なかなか見事でした。その分ちょっと早口になりすぎたかもしれません。
リンク: Translation Services, Product Engineering, Content Development | Lionbridge
SDLジャパンの並木氏は、IT 翻訳/ローカリゼーションの世界ではかなりの有名人。企画段階でも並木氏にはたいへんお世話になりました。自社のソリューションを過不足なくアピールしてくださったのはもちろんですが、トーク自体が巧みなので、トリとして期待どおりの存在感を発揮していただきました。
リンク: グローバル情報ソリューション - 翻訳 - ローカリゼーション - グローバリゼーション - SDL
休憩後のディスカッションと質疑応答では、プレゼンターのみなさんが嫌がるかも、というのは承知の上であえて、「翻訳者と翻訳会社は、各社ソリューションの中でどんな位置を占めるようになるのか」という質問を、まず私からぶつけました。その後も、会場から IBM の吉野さんをはじめ、クライアント企業からも翻訳会社からもセッションの趣旨に相応しい質問が次々と出る一方、私からもときどき補足的な説明を入れたりすることができました。
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ローカリゼーションプロセスの機械化、自動化がどんどん進めば自分たちはどうなるのか。翻訳会社と翻訳者には今、そういう大きい危機感があります。今回のセッションは、もしかしたらその危機感をさらに煽る結果になったかもしれません。少なくとも、今までと変わらない対応を続けたら仕事は減っていくでしょう。そういうことを考えるきっかけになったとすれば、私としてはこのセッションは成功だったと思っています。
そういう危機感を抱いた多くの方が、おそらくこのセッションと同じ部屋で続いて Buckeye さんの講演(C-5)をお聞きになったのではないでしょうか。
産業翻訳、特に IT 翻訳/ローカリゼーション業界は今、大きな転換期を迎えています。
一人ひとりがよく考え、自分にとって幸せな道を選びましょう
この言葉の重み。私もしっかり受け止めたいと思います。
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