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2010.09.23

Studio 2009 初歩 - 2 つの翻訳メモリーの存在

★★
今回、こちらにまとめて記事を書こうと思い立ったそもそもの理由は、Studio 2009 における翻訳メモリーのあり方を、自分も初めて知ったからでした。しかも、そのことが書かれているまとまったドキュメントは --- 例によって --- 見つからず、ヘルプからいくつかの情報をつなぎ合わせて、ようやく理解できたので、これは書いておかねば、と思った次第です。

私が遭遇した ??? な状況から説明します。前回開いた「FHONYAKU-Sample-100923」プロジェクトの、2days-chap2-en.htm.xliff ファイルを開いて、新しい訳文を登録してみました。

Tra2009100923editorview4

この原文-訳文ペアがメモリーに登録されたことを確認するために、メモリー内検索(コンコーダンス検索)を実行してみると、ちゃんと表示されます(コンコーダンス検索は、2007 までより良くなっています)。

Tra2009100923concordance

ところが、[翻訳メモリ]ビューで開いたメモリーでは、いくら検索してもこのペアが出てこなかったのです。

Tra2009100923memviewsearch1

トリックは、2 つのメモリーの存在にありました。ヘルプで探したところ、「メインの翻訳メモリー」「プロジェクト用翻訳メモリー」という区別がありました。

メインの翻訳メモリーとは、プロジェクトを作成するときに追加した、オリジナルのメモリーファイルのこと。

プロジェクト用翻訳メモリーとは、プロジェクトを作成して、プロジェクトディレクトリ(My Document ...以下)にコピーされたメモリーファイルのこと。

なんだそうです。

つまり、前々エントリ(Studio 2009 初歩 - プロジェクトファイルの物理的な配置)でも書いたように、作業の進行中オリジナルのファイルはいっさい(翻訳対象ファイルもメモリーも)更新されず、プロジェクト用ファイルだけが更新されていく、その仕組みの一環なわけでした。

で、私が「いくら検索しても出てこない」と思っていたのは、[翻訳メモリ]ビューで開いていたメモリーが、このプロジェクト用翻訳メモリーではなく、オリジナルのほうだったからです。

たしかに、オリジナルのメモリーファイルは、タイムスタンプも更新されていません。

Tra2009100923exp1

というわけで、[エディタ]ビューで次々と翻訳ペアを確定していくときに更新されるのは、My Document 以下にあるプロジェクト用翻訳メモリーだったという結論。

オリジナルのメモリー、つまりヘルプで言うところの「メインの翻訳メモリー」を更新するコマンドは、別にちゃんと用意されています。[ファイル]→[一括タスク]→[メインの翻訳メモリの更新]です。

ここまで理解するのに、半日くらいかかりました。

有料の講習会では、こういうところもキチンと教えてくれるのでしょうか。

03:47 午後 バージョン - Studio 2009 |

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コメント

2010 年 7 月末に受講した SDL Trados Studio 2009 初級コースのハンズオン認定トレーニングでは、「メインの翻訳メモリー」と「プロジェクト用翻訳メモリー」は出てこなかったですね。

「プロジェクト」という観点では、「プロジェクト パッケージである *.sdlppx ファイル」が送られてきて、作業完了後、「返却パッケージ である *.sdlrpx ファイルを作成して送信する、という場面が想定された演習はありました。

そこでは、送られてきた TM をコピーして元の形の TM を念のため残した上で翻訳作業することは習いました。

「プロジェクト パッケージ」->「返却パッケージ」という流れが確立するまでには、時間を要するかもしれませんね。

だから、ここで示しくださった「メインの翻訳メモリー」と「プロジェクト用翻訳メモリー」は、貴重な情報だと思います。ありがとうございます。

[プロジェクトの新規作成 (Ctrl + N)] のデフォルトの「一括タスク」をくぐった後の「プロジェクト用翻訳メモリー」は、どの程度信用できるのかなぁ……。

投稿: 野咲 aka sam | 2010/09/25 12:35:33

野咲さん、引き続きコメントありがとうございます。

なるほど、「パッケージ」という単位で考えるとこの点も腑に落ちますね。

「プロジェクトパッケージを支給される → Studio 2009 上で作業する → 編訳パッケージを作成して納品する」というフローだけ考えていれば、メモリーの状態とか配置場所を気にする必要はないわけですね。私がここでやったように「オリジナルのメモリー」というものがあるわけではなく、支給されたパッケージから My Document 以下に各ファイルが展開されるだけですからね。

Idiom プラットフォームも同じようなフローです。

> 「一括タスク」をくぐった後の「プロジェクト用翻訳メモリー」は、どの程度信用できるのかなぁ

「一括タスク」から選択するメモリー更新のコマンドは、以前の Trados では「訳文を作成」コマンドで「TMを更新」オプションをオンにした動作に当たるようです。

投稿: baldhatter | 2010/09/25 12:48:45

baldhatter さん

お返事ありがとうございます。

まずは、誤記訂正させてください。


|だから、ここで示しくださった「メインの翻訳メモリー」

だから、ここで示してくださった「メインの翻訳メモリー」


です、ごめんなさい。

|> 「一括タスク」をくぐった後の「プロジェクト用翻訳メモリー」は、どの程度信用で
|きるのかなぁ

ここでいう「一括タスク」とは、[プロジェクトの新規作成 (Ctrl + N)] の作業を進めていくと出てくる「プロジェクトの準備」という画面で見える「一括タスク」です。

さらに、そのタスクにある「プロジェクト用翻訳メモリの入力」で作成されるプロジェクト用翻訳メモリです。

ヘルプ (F1) で出てくるところの

--------------------------------
プロジェクト用翻訳メモリについて
プロジェクト用翻訳メモリには、プロジェクト用に選択したメインの翻訳メモリから抽出された翻訳が含まれます。指定した最小の一致要件を満たす翻訳のみが、プロジェクト用翻訳メモリに抽出されます。
--------------------------------

です。

私がサンプル的に [プロジェクトの新規作成 (Ctrl + N)] で作成したプロジェクト用翻訳メモリは、メインの翻訳メモリより、ずいぶん小さくなりました。「指定した最小の一致要件を満たす翻訳」が少なかったからでしょうが、どこでも「指定した」覚えはないのですが……、この点はさらに調べる必要があるのかもしれません。


こういった複雑さは、「プロジェクト パッケージ」を作成する場合でも似たようなものがあるのかもしれませんね。仕事先にとっても、翻訳者に依頼する作業量の算定に影響がありそうですものね。

これも、Studio 2009 の案件がなかなか出てこない一因になっているのかなぁ……。

投稿: 野咲 aka sam | 2010/09/27 11:50:01

こんにちは。

今、2007から2009への移行テストしているけど、少し分かってきました(社内なのでパッケージは使用しないが)。

要するにプロジェクトの設定で翻訳メモリをいろいろ登録しておいて、どれを使用するか、優先するか、検索してもいいか、更新対象にするかなど、ファイルによってその都度設定してプロジェクト用メモリを作成し、必要に応じてメインを更新すればいいわけですね。

でも分からないのが、いくつかあって、プロジェクトに複数のメインの翻訳メモリを登録し、優先順位をつけても、[翻訳メモリ]ビューには、その順番で表示されないので、どれをを優先しているのかは分からない。

でも、翻訳単位の沢山あるメモリと優先順位の高い空のメモリを登録し、いったん翻訳し(プロジェクト用メモリが作成される)、メインを更新すると空のメモリが翻訳単位が入ってくるのでので、プロジェクトには翻訳単位のあるメモリを使い、空のメインを更新したことになるので、動作としては問題なさそう。

優先順位というのは、プロジェクト用メモリを作成するとき、同じマッチ率なら優先順位が高いものがプロジェクト用メモリに使用される、と考えれば、合点がいく(どこにも書いてないけど)。


不思議なのは、(たぶん)メインを更新した際、同じ更新日と日付を持ったプロジェクトファイルが2つできること。試しに片方を有効でなくして、ファイルを開くと、有効の方が適用される。その前に見たときはプロジェクト用メモリは1つしかなかったのに。

あと、複数のメインの翻訳メモリがある場合って、更新が有効ならいずれもプロジェクト用メモリで更新されてしまうのかなぁ。間違ったら関係ないものも影響を受けてしまう(テストはしてないけど)。

とりとめのない文になってすいません。

投稿: | 2010/10/06 19:43:10

追記テストです。

翻訳中のドキュメントに、途中でメインの翻訳メモリを追加・設定してもそのままではプロジェクト用翻訳メモリは作成されない。「プロジェクト用翻訳メモリへの入力」タスクを実行した時点で作成される。

どうも、プロジェクトにメインの翻訳メモリを設定し、かつ有効にすると、その設定の数だけ対応するプロジェクト用翻訳メモリが作成される。

ちなみに、プロジェクト用翻訳メモリを作成しないと、そのメインの翻訳メモリへ更新も行われない模様。この更新はバイリンガルファイルの翻訳単位が更新に使用されるのだから、プロジェクト用翻訳メモリは作らなくてもいいような気がしたが、できなかった。

複数のメインメモリを作成し、更新を有効にしておいてたら、更新でどちらも同様に更新された。更新の際には、注意が必要です。

あとは、まだよくわかってないのが、これまでのTMXなどを移行する際の「翻訳メモリのアップグレード」の「互換性」タブの選択。ヘルプを読んでもいまいちだけど、要するに、書式やタグ情報をもつか、持たないか、持つものと持たないものを両方をにするか、ということでしょうか? 

投稿: | 2010/10/07 11:45:38

社内翻訳者13号さん、詳しいコメントをありがとうございます。

13号さんもお書きになっているように、今の時点で、かつ有料の講座などを受けていない限り、ドキュメントやヘルプを読んでも普通に操作できるようになっていない(翻訳の質も含めて)。そのことがこの製品の最大の問題点だと思います。

購入しただけでは使えず、有料の講習を受けなければならないとしたら、製品価格をいくら値引きしようと、結局は講習代金込みが正規料金という感じさえします。

私が気に入らないのは、「プロジェクト単位がすべての基本」というアーキテクチャです。発注側の管理上の都合ばかりが前提になっており、翻訳者視点が完全に欠落していると感じます。

投稿: baldhatter | 2010/10/10 10:36:31

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