翻訳後のチェック - TagEditor の場合 - 検証機能
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TagEditor の検証機能は、しばらく前のバージョンから実装されていましたが、使い勝手が今ひとつだったため、あまり使わず、確認もしたことがありませんでした。2007、2007 Suite ではそれなりに使えるようになった面もあるので、ご紹介しておきます。
※検証機能と、検証のためのプラグインについては、『TRANSLATOR’S WORKBENCH ユーザーガイド』にもある程度情報が載っています。Trados は、日本語化されているマニュアルが多くありませんが、数少ない日本語版です。
TagEditor の[ツール]→[プラグイン]を選択すると、こんなウィンドウが開きます。
検証に使う各機能が、このようにプラグインという形で追加されている、ということになっています。
それぞれのプラグインを選択して[プロパティ...]をクリックすると、チェックを細かく設定できるようになっています。
以下、前エントリの omiso.dot のチェック機能に対応するように並べてみました。
SDL TRADOS QA Checker
SDL TRADOS QA Checker 2.0
この 2 つは、名前から判るとおり機能の一部が重複しています。2007 SP2 で 2.0 が追加されましたが、本当はその時点で番号なしバージョンのほうが削除されるはずだったんだろうと思います。なぜか私の環境では両方が存在します。
このプラグインに、omiso.dot 相当として以下のチェック機能があります。
・訳抜けチェック
・数字の不一致
・原文と訳文で極端に長さの異なるセグメント
・原文と訳文が同一の場合のチェック
また、omiso.dot にない機能もいろいろと揃っています。
・チェックから除外するセグメントの指定
・訳文の長さチェック
・句読点(原文と訳文で句読点が同じ、等)や、不要なスペースのチェック
・同じ原文に対して訳の異なるセグメントのチェック
・商標使用のチェック
・原文または訳文における正規表現パターンの検出
・原文と訳文で正規表現のペアの検出
・指定した正誤のチェック
正規表現のチェックが 2 種類あって煩雑ですが、最初のほうは単に原文または訳文、あるいはその両方に、指定した正規表現パターンが出現するかどうかをチェックするだけです。それに対して後者、「正規表現のペアの検出」というのは、「原文に○▲というパターンがあり、訳文に△○というパターンがある」というペアを検出できます。
この「正規表現のペア」を使えば、たとえば TagEditor で UI を翻訳するとき(そういう案件は多くありませんが)、「原文に三点リーダーがあったら訳文でも三点リーダーを使う」とか、「原文に $s という変数があったら訳文にも同じ変数が必要」という UI 翻訳固有のルールをチェックすることができます。
また、これらの項目は設定をリストとしてエクスポート/ロードできるので、案件ごとにプロファイルを変更して対応することもできるのですが、残念なことにエクスポート/ロードのファイル形式が XML なので、タブ区切りみたいな単純なリストを読み込むことができません。この辺の小回りの悪さは典型的。
SDL TRADOS Generic Tag Verifier
omiso.dot と同じく、原文と訳文でタグの一致を検証します。ただ、TagEditor の場合には順次翻訳するときにもタグがチェックされているので、誤ってタグを削除してしまうことはほとんどありません。
SDL TRADOS Terminology Verifier
用語チェック機能ですが、これがいちばん使いものになりません。まず、チェックに使う用語集が、omiso.dot のように単純なタブ区切りファイルではなく、MultiTerm 形式の用語ベースです。その時点でもう、この機能を使うしきいがいきなり高い。しかも当然、リストに正規表現は使えません。
そして何より、このプラグインの実行結果には False Positive が多すぎるという重大な欠点があります。用語の出現個数までチェックしているのかどうか、結果を見てもよく判らないのですが、エラーと思えないセグメントがエラーと認識されることがほとんどで、実効性がありません。
以上に紹介した以外にも、ファイル形式別も含めていろいろなプラグインがあり、それぞれで細かい設定が可能な場合もあるのですが、必要がないので試していません。「それなりに使えるようになった」と冒頭に書きましたが、それが当てはまるのは、QA Checker くらいかもしれません。
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