翻訳前後の処理 - その1「解析」
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9/30 翻訳フォーラムの勉強会では、時間制限もあって実際の Trados 操作はごく一部しか紹介できませんでした。フォローの意味で、ここで少しずつ説明してみようと思います。
まず、翻訳前後に行う処理として「解析」、「翻訳」、「訳文の生成」について説明します。
[解析](アナライズ)
翻訳対象の原文ファイルが、メモリーとどのくらい一致しているか(マッチ率)を解析する機能。翻訳ベンダーから受注した Trados 指定ジョブの場合、あらかじめ解析ログも支給されるのが普通ですが、途中で残りの作業量を知りたいときとか、自分でも使う場面はけっこうあります。
★Trados 指定ジョブの場合、ワード単価はマッチ率に応じたスライド制になっているのが一般的です。たとえば、新規箇所が 10円/word なら 85-94% は 5円/word みたいな感じ。
[ツール]→[解析]を選択して、ファイルを指定するだけですが、「ログファイル」で指定されているファイルが存在しないと叱られます(前回のログファイルを削除したりしているとよく叱られる)。
解析する対象のファイルは、オリジナルのまま(html、xml、doc、ppt など)でも、TagEditor 形式(*.ttx)でも、S-Tagger などで変換した rtf でもかまいません。
オプションについても一部説明しておきます。
[頻出分節をエクスポート]
「繰り返し」としてカウントされたセグメントをエクスポートします(出現回数はボックスで指定可能)。たとえば、大きいドキュメントを複数の翻訳者に分けて進めるとき、同じセグメントの訳を統一するために、翻訳ベンダーのほうで先行翻訳してから社外に割り振る、なんていう使い方も考えられますが、実際にはうまくいった試しがありませんでした。なぜなら、「繰り返し」だからといって定型訳が可能とは限らず、けっきょく前後の文脈を見なくてはならないからです。
[プロジェクト用TMの作成」]
これ、フリーランス版では使えないので省略。
[解析済み翻訳メモリを使用]
名前がちょっと判りにくいですが、状況によってはけっこう使い途のある機能です。
たとえば、ある翻訳プロジェクトで、参考用として旧版の原文ファイルが支給されたとします。ただし、その内容は今回使用するメモリーには含まれておらず、旧版がどのくらい流用できるのかも判りません。こういう場合に、
1. 旧版の原文ファイルを対象に「解析」を実行します。
2. 「解析済み翻訳メモリを使用」オプションをオンにします。
※つまり、1. のときはオフでないとだめです。
3. 今回の翻訳対象を「解析」します。
こうすると、旧版の原文ファイルについて計算したマッチ率を保持しておき(=解析済み翻訳メモリ)、それを元に今回のファイルのマッチ率を計算します。つまり、旧版と新版がどのくらい一致するかが判るということです。この結果がそれなりに高ければ旧版は参照する意味がありますが、低ければあまり参照しなくてよい、という判断の材料になります(もちろん、ファイル形式とかいろいろな制約で状況は変わりますが)。
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解析のログは、.csv 形式と .txt ファイルの両方が生成されますが、ここでもちょっと注意が必要です。
ログのファイル名を変えずに解析を何回か実行した場合、
- テキストファイルの内容は累積される
- csv ファイルは毎回上書きされる
という違いがあります。
解析結果をざっと見るときはテキストファイルが便利ですが、細かいデータを検討したいときは、csv ファイルを Excel で開いたほうが確かです。
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