バージョンのまとめ、改訂版
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前回の「バージョンのまとめ」からすでに 2 年が経過してしまったので、加筆改訂してみました。
実用的な加筆は「SDL Trados 2007 Suite」と「SDL Trados Studio 2009」ですが、そのほかにも細かく書き換えています。
こちらに Trados 25 周年記念のサイトがあり、簡単な歴史が判ります。
SDL TRADOS Timeline
Trados 2.x
事実上、最初の商用バージョン。
TRADOS 社の社史によると、Workbench より MultiTerm のほうが開発が先だったそうです(発表は 1990 年。かなり古いですよ)。どうりで、MultiTerm だけ長いあいだ 16 ビットだったわけだ。
Trados 3.x
2.x は不具合が多く、わりとすぐ 3.x が登場しました。一応は実用レベルですが、自前のバイリンガルファイル・エディタである TagEditor はまだまだ使い物にならないダメっ子ツールでした。この後の 4.x というバージョンは市場に出ていません。
この頃まで、ライセンスはハードウェアキー、つまりドングルというマッチ箱サイズの機器をパラレルポートに挿す形式でした。ところが、このドングルが妙に choosy で、パラレルポートとの相性が問題になることが多く、たとえばカスタム PC などでポートを後から増設したような場合はたいていドングルが認識されませんでした。私の半カスタムマシンでもダメでした。
Trados 5.x
TagEditor がおおむね実用に耐えるようになったバージョンです。バイリンガルファイルの形式が変更されて互換性がなくなりました。「5.x」と書きましたが、見たことがあるのは「5.5」ばかりです。
この頃から、ドングルに USB タイプが登場しました。会社で 1、2 度見かけたくらいです。旧式のドングルを USB タイプにアップグレードする料金も設定されていましたが、ただそれだけのことなのにやたらと高かった記憶があります。
Trados 6.x
MultiTerm(用語管理ソフト)のファイル形式が大きく変わり、これ以前と以降では互換性がまったくなくなりました。ソフトウェア・ライセンスの登場もここからだったと思います。6.5 が、買収される前の Trados としては最後のバージョンとなりました。
SDL Trados 2006(Trados 7.5.x)
SDL 社に買収されてからはこんな名前になりました。正式な製品名としては "SDL" を冠して最後に西暦が付くようになり、バージョン番号は内部的にのみ存続しています。ユーザ間で話をするとき、ちょっと厄介です。使用頻度の高い機能のショートカットなど、細かい修正があります。また、SDLX もコンポーネントのひとつとしてインストールされるようになりました。
ちなみに、このバージョンからは[スタート]メニューに表示されるプログラムグループ名も変わりました。6.5 までは「TRADOS 6.5 Freelance」でしたが、これ以降「SDL International」というグループ名になります。Studio 2009 になるとまたグループ名が変わりますけど(「SDL」だけになる)。
SDL Trados 2007(Trados 8.x)
Synergy というプロジェクト管理ツールが追加されました。本体については引き続きマイナーバージョンアップといったところですが、ユーザビリティは少し向上しました。特に、私は次に挙げる Suite 版までインストールしていなかったので気づいていなかったのですが、検索機能が進歩しました。
このショットで判るように、検索対象を原文と訳文で選べるほか、ワイルドカード指定が追加されています。
SDL Trados 2007 Suite(Trados 8.x)
前項の SDL Trados 2007 に Passolo というリソース翻訳コンポーネントを追加したほか、本体も少しバージョンアップ。
同じ 2007 ながら、Suite ではさらにタグ内容も検索できるように更新。細かい変化ですが、ユーザーにとっては重要です。
SDL Trados Studio 2009
TRADOS 社創立 25 周年を期して、また SDL + Trados + Idiom という翻訳支援テクノロジーの集大成として、おそらくは社運を賭して(?)大々的に発表された新バージョン。すでに他のエントリでご報告しているとおり、アーキテクチャもインターフェースもまったく変わり、互換性も限定的です。
この記事を書くために初めて確認しましたが、内部バージョンは「SDL Trados Studio 9.1.0.0」となっているので、内部的には前バージョン 8.x の後継となっているようです。
Studio 2009 には、2007 Suite のライセンスも付いてくるので、今から新たに 2009 を購入しても、従来の Trados 使用を求められるジョブには対応できます。2007 より古いバージョンは共存できなくなりました。
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