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2009.09.30

Trados 専用ブログ開設

side A のトップにも告知を載せましたが、そんなわけで、こちらが Trados 専用ブログです。

インデックスなど、もう少し工夫したいと思いますが、よろしくお願いいたします。

10:58 午前 Trados 雑記 | | コメント (2) | トラックバック (0)

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2009.09.21

バージョンのまとめ、改訂版


前回の「バージョンのまとめ」からすでに 2 年が経過してしまったので、加筆改訂してみました。

実用的な加筆は「SDL Trados 2007 Suite」と「SDL Trados Studio 2009」ですが、そのほかにも細かく書き換えています。

こちらに Trados 25 周年記念のサイトがあり、簡単な歴史が判ります。
SDL TRADOS Timeline

Trados 2.x
事実上、最初の商用バージョン。
TRADOS 社の社史によると、Workbench より MultiTerm のほうが開発が先だったそうです(発表は 1990 年。かなり古いですよ)。どうりで、MultiTerm だけ長いあいだ 16 ビットだったわけだ。


Trados 3.x
2.x は不具合が多く、わりとすぐ 3.x が登場しました。一応は実用レベルですが、自前のバイリンガルファイル・エディタである TagEditor はまだまだ使い物にならないダメっ子ツールでした。この後の 4.x というバージョンは市場に出ていません。

この頃まで、ライセンスはハードウェアキー、つまりドングルというマッチ箱サイズの機器をパラレルポートに挿す形式でした。ところが、このドングルが妙に choosy で、パラレルポートとの相性が問題になることが多く、たとえばカスタム PC などでポートを後から増設したような場合はたいていドングルが認識されませんでした。私の半カスタムマシンでもダメでした。


Trados 5.x
TagEditor がおおむね実用に耐えるようになったバージョンです。バイリンガルファイルの形式が変更されて互換性がなくなりました。「5.x」と書きましたが、見たことがあるのは「5.5」ばかりです。

この頃から、ドングルに USB タイプが登場しました。会社で 1、2 度見かけたくらいです。旧式のドングルを USB タイプにアップグレードする料金も設定されていましたが、ただそれだけのことなのにやたらと高かった記憶があります。


Trados 6.x
MultiTerm(用語管理ソフト)のファイル形式が大きく変わり、これ以前と以降では互換性がまったくなくなりました。ソフトウェア・ライセンスの登場もここからだったと思います。6.5 が、買収される前の Trados としては最後のバージョンとなりました。


SDL Trados 2006(Trados 7.5.x)
SDL 社に買収されてからはこんな名前になりました。正式な製品名としては "SDL" を冠して最後に西暦が付くようになり、バージョン番号は内部的にのみ存続しています。ユーザ間で話をするとき、ちょっと厄介です。使用頻度の高い機能のショートカットなど、細かい修正があります。また、SDLX もコンポーネントのひとつとしてインストールされるようになりました。

ちなみに、このバージョンからは[スタート]メニューに表示されるプログラムグループ名も変わりました。6.5 までは「TRADOS 6.5 Freelance」でしたが、これ以降「SDL International」というグループ名になります。Studio 2009 になるとまたグループ名が変わりますけど(「SDL」だけになる)。

SDL Trados 2007(Trados 8.x)
Synergy というプロジェクト管理ツールが追加されました。本体については引き続きマイナーバージョンアップといったところですが、ユーザビリティは少し向上しました。特に、私は次に挙げる Suite 版までインストールしていなかったので気づいていなかったのですが、検索機能が進歩しました。

2007search_3

このショットで判るように、検索対象を原文と訳文で選べるほか、ワイルドカード指定が追加されています。


SDL Trados 2007 Suite(Trados 8.x)
前項の SDL Trados 2007 に Passolo というリソース翻訳コンポーネントを追加したほか、本体も少しバージョンアップ。

2007suite_search_2

同じ 2007 ながら、Suite ではさらにタグ内容も検索できるように更新。細かい変化ですが、ユーザーにとっては重要です。


SDL Trados Studio 2009
TRADOS 社創立 25 周年を期して、また SDL + Trados + Idiom という翻訳支援テクノロジーの集大成として、おそらくは社運を賭して(?)大々的に発表された新バージョン。すでに他のエントリでご報告しているとおり、アーキテクチャもインターフェースもまったく変わり、互換性も限定的です。

この記事を書くために初めて確認しましたが、内部バージョンは「SDL Trados Studio 9.1.0.0」となっているので、内部的には前バージョン 8.x の後継となっているようです。

Studio 2009 には、2007 Suite のライセンスも付いてくるので、今から新たに 2009 を購入しても、従来の Trados 使用を求められるジョブには対応できます。2007 より古いバージョンは共存できなくなりました。

12:04 午後 Trados 全般 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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2009.09.16

TagEditor と Word の違い、訂正

(オリジナル投稿 2009/8/25)★★

昨日のエントリにさっそく、めぐりさんからコメントをいただきました。

2006 → 2007 のバージョンアップではほとんど変わりがない、とタカをくくってちゃんと確認しなかった私の怠慢でした。いつも正確な記述をモットーにしているのに、お恥ずかしい限り。

念のために手元の 2007 で確認しましたが、「2. 検索機能の違い」についてはめぐりさんのご指摘どおり。それ以外は 2007 でも変わっていませんでした。

2. 検索機能の違い - 訂正版

TagEditor の名誉のために、2007 バージョンの検索ウィンドウはこれ。

Tageditor2007search

[訳文のみを検索する]オプションが増えたほか、[ワイルドカードを使用する]というオプションも追加されています。使えるのは ? (任意の1文字)と * (任意の複数文字)だけですが、ないよりマシでしょう。[訳文のみを検索する]はもちろん置換機能にもあるので、訳文だけの置換も可能になっています。

そしてもうひとつ。[タグの内容を検索する]も追加されたことに注目。やっぱり、この機能の要望はあったようなのでした。

10:31 午前 Trados 機能 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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TagEditor と Word の違い - その2

(オリジナル投稿 2009/8/24)★★★

続きです。

TagEditor と Word の違いといってもいろいろあるはずなのですが、ここでは私が不便に感じていることばかり書いています。

3. 訳語検索するときの挙動

訳語検索(コンコーダンス)、つまりメモリ内検索を実行すると、Word では検索語がクリップボードに格納されますが(つまりマクロの 1 ステップとして文字列をコピーしてるんですね)、TagEditor ではコピーされません。

訳語検索でヒットしなかったら別の用語集ファイルを検索したい --- こういう場面はよくあることだと思うのですが、Word だとクリップボードに検索語があるので、次の検索行動にすぐ移ることができます(秀丸エディタ上であれば、クリップボードの内容を即検索/grep できるマクロも組んであるので)。

しかし TagEditor では検索語がコピーされていないので、別の検索を行うには改めて TagEditor 上で Ctrl + C しなればならず、腱鞘炎持ちには辛いことになるわけでした。


4. コピー&ペーストの挙動

これも、単語を検索したいときにつきまとう問題。文字列をコピーしたときの挙動は、どちらにもそれぞれ困った問題があります。

Word では、段落に箇条書きが設定されていると、コピーした内容をそのまま辞書などで検索できない、という問題があります。

Wordcopy

こんなとき、文頭の単語(Flexibility とか「パラメータ」)をコピーして貼り付けると、こうなって ---

Wordcopy2

当然すんなりと検索はできません。

TagEditor でも似たような、ただし Word のときよりなかなか気づきにくい現象に遭遇します。たとえば次のようにセグメントを開いた状態で、

Tageditorcopy

この Designation をコピーし、たとえば Jamming の検索ウィンドウに貼り付けても、なぜか検索結果がゼロの場合があります。これも実は見かけだけでは判らない症状。今コピーしたばかりの内容を、そのまま Word 上に貼り付けてみると、実はこんな風になっているのでした。

Tageditorcopy2

なんと、Designation の前に {0> という邪魔な文字列が入っています。これ、Word 上で Trados を使っている方なら見慣れていると思いますが、セグメントの単位を区切る隠し文字なんですね。TagEditor 上ではまったく目に見えませんが、実はセグメントを開いたときには Word のときと同じ隠し文字が存在しているらしいのでした。

--------------------
その 1、その 2 と続けましたが、私が困っているのはだいたい検索に関係してくる機能や動作が多いわけでした。こういった不便さが、はたして Studio 2009 ではぜんぶ解消するのでしょうか。

10:30 午前 Trados 機能 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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TagEditor と Word の違い - その1

(オリジナル投稿 2009/8/24)★★

Studio 2009 のレポートはちょっとお休み。世間の需要はまだまだ 2007 までが主流でしょうということで、実際の Trados 翻訳作業で、TagEditor を使うときと MS Word を使うときにどんな違いがあるか --- つまりは、その違いのせいで困ることが多いということですけど --- ということを書きとめておきます。

まず説明が必要かもしれませんが、TagEditor を使うか Word を使うかという選択は、翻訳者が決めるということは稀で、クライアントや翻訳会社から送られてくる作業ファイルがどんなファイル形式かで一方的に決められてしまうほうが多いようです。

つまり、FrameMaker ベースの場合は、Trados のツールで変換した rtf ファイルを Word 上で作業することになるし、HTML/XML ベースの場合は TagEditor を使うことになります(HTML/XML を直接開くこともあれば、バイリンガル形式の中間ファイルである ttx が支給されることもある)。

1. タグデータの違い

Trados 翻訳につきものと言えるのがタグ。Word 上では、タグは特殊なスタイルが設定されているだけの通常の文字列です。たとえば、

Wordtag

このように文中に出現する赤いタグ(内部タグ、などと呼ぶ)の場合は tw4winInternal というスタイル設定で、文字色は赤。Word をお使いなら想像できると思いますが、このタグの直後に訳を入力しようとすると、直前のスタイルを受け継いでしまうので、入力した文字列は訳文ではなくタグの一部としてメモリに登録されてしまい、よろしくありません。ここんところは、たぶん Trados を使い始めて最初の頃に注意するよう指示されると思います。

通常の文字列なので、削除もできてしまうという危険性があります。

これに対して、TagEditor のほうは Trados 専用ツールだけあって、タグが特殊処理されていて、書式を引きずってしまうことも、削除してしまうこともありません。

Tageditortag

そんなわけで、タグ付き文書を扱うには TagEditor のほうが便利なのですが、逆に TagEditor では文字列でないためにタグ自体を検索することができない、という欠点があります(イタリック指定のタグだけ検索したいとか、そういうことがあるのです)。


2. 検索機能の違い

TagEditor の検索/置換機能がいかに使いものにならないかということは、以前すでに書きました。
リンク: # TRADOS - TagEditor の検索/置換機能

今回はもっと笑える話。

たとえば、原文では "KB" という単位が使ってあり、訳文ではこれを「KB」ではなく「キロバイト」と表記しなければならない規則になっている。そこで、訳文に「KB」が使われていないことを検索したい、とします。

こんなとき、Word 上では原文が隠し文字、訳文は通常文字になっているので、検索ウィンドウで書式オプションを指定すれば、訳文の中に「KB」がないかどうか、すぐに確認できます。ところが TagEditor ではそんな区別ができないので、検索しようとするといちいち原文中の「KB」も引っかかってしまう。

さて、TagEditor のウィンドウ下部にはこんなタブがあって、実は「原文のみ表示」と「訳文のみ表示」を切り替えることができます。それなら、「訳文のみ表示」した状態で「KB」を検索すればいい、と普通は考えるわけですが、これを実行するとどうなるか。なんと、

表示は訳文だけになっていても、見えない状態で存在しているらしい原文の該当箇所にヒットする

のです。判りにくいですが、上の例で言えば、訳文の中に「KB」が使われていなくても検索で該当なしとならず、見えない原文にヒットすることになり、この場合の目的には使えないわけです。Trados をお持ちの方はお試しください。

その 1 はここまで。

10:29 午前 Trados 機能 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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Studio 2009 レポート - エディタ上の検索機能

(オリジナル投稿 2009/6/30)★

TRADOS 社が満を持して、というか相当の覚悟をもってアーキテクチャを刷新しただけあって、実際に操作してみると、今までのインターフェースで不満だった点が随所で改善されていることが判ってきました。

ただし、今はまだファーストインプレッションの段階であり、それが実際に使いものになるかどうかは、もう少し様子を見る必要があります。

まず気づいたのは、エディタ上の「検索/置換」機能です。

機能改善 - 検索/置換

Editorsearch

このショットの[検索と置換]ダイアログを見れば一目瞭然ですが、TagEditor 上より数段向上しています(つーか、今まではショボすぎたわけですが)。Word の検索機能と同レベルとは言いませんが、[使用]というオプションをオンにすると、[ワイルドカード]と[正規表現]が両方使えるということになっています。正規表現では、具体的にどんなパターン表現が使えるのか、ヘルプ(英文)を見てもよく判らないのですが、基本的なパターンは使えました。

ところで、このダイアログで誤訳発見です。

[ファイルの場所]と書いてあるので、てっきりgrepが可能なのかと思ったのですが、ヘルプを見てみると原語は "Look in" らしく、つまりは「検索範囲」のことなんですね。ここで[選択]を選ぶと選択範囲のみから検索できるというオプションです。

ヒットした箇所のハイライト表示もかなり見やすい。

10:27 午前 Trados 機能, バージョン - Studio 2009 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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Studio 2009 レポート - てはじめに - その2

(オリジナル投稿 2009/6/30)★★

ファーストステップの続きです。

プロジェクトの完成

これまでの手順でプロジェクトの設定が終わると、メインの画面にこんな風に表示されます。
Project

インターフェースの好みは人それぞれですが、「未翻訳」と「翻訳済み」のバー表示とか、見やすさに工夫があることは一定度評価できるかと。

このメイン画面で、ファイルを選択して実際に翻訳する場合は左ペインの[ファイル]ボタンをクリックし、開いているファイルの編集に戻る場合は[エディタ]をクリックします。で、メモリーを操作する場合は[翻訳メモリ]をクリック、というように機能ごとに画面を切り替える、まあ、ありがちな統合インターフェースではあります。

ファイルリストはこんな感じですが、
Filelist

このような概要表示だけでなく、解析結果とか進捗ステータスとか、いろいろと「プロジェクト管理」的な発想で表示を切り替えられるようになっています(翻訳者として使える機能かどうかは別)。

ファイルをエディタ上で実際に開いたところは......えーと。今回は、私の実際のジョブファイルをプロジェクトにしてみたので、ちょっとエディタ画面はお見せできないんでした。アハハ。

「てはじめ」は、ひとまずここまで。

10:26 午前 Trados 機能, バージョン - Studio 2009 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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Studio 2009 レポート - てはじめに - その1

(オリジナル投稿 2009/6/30)★★

詳細レポートの第 2 弾、実質的なファーストステップです。

アーキテクチャもインターフェースも一新となった今回のバージョンアップ。いちばん気になるのは、「今までとどう違うのか、従来のプロセスをどう変える必要があるのか」という点だろうと思います。そこでまず、私の手元にある、今までと同じジョブのセットを Studio 2009 で「プロジェクト」としてスタートする手順を示してみました。

セット内容は、メモリー 2 つと、作業対象の rtf です。用語集は含まれていません。

プロジェクトの新規作成

「プロジェクト」という考え方は今回が最初ではなく、2007 Suite から始まっています。要は、ターゲットファイル + メモリー + 用語集という複数のファイルを 1 つのセットにまとめ、その設定情報を XML 形式で保存しておく、ついでにプロジェクトの進捗(既訳と未訳の量)なども管理してしまう、という発想です。

従来のように、ファイルとメモリーを別々に開いて作業することも可能かもしれませんが、まずは「プロジェクト」を新規作成してみました。

[ファイル]→[新規作成]→[プロジェクト]

を選択して、ウィザードに沿って進みます。1)プロジェクト名やパスの設定、2)ソース/ターゲットの言語設定、3)ターゲットファイルの選択(ファイル単位/フォルダ単位)、あたりまでは特に問題なく進められます。その次がメモリーの設定になりますが、既存のジョブを 2009 環境に移行する場合は、ここが最初のポイントになります。

Projmem

Studio 2009 からはメモリーが、*.sdltm というファイル形式に変わりますが、このステップで[追加]ボタンを押せば、従来形式(*.tmw またはエクスポートした *.tmx)のメモリーを変換して追加することができます。ただし、私の環境では直接 *.tmw を選択するとエラーになってしまい、*.tmx しか受け付けてくれませんでした。

メモリーを旧形式から変換するときは細かいオプション設定も可能ですが、ひとまずデフォルト設定で問題なく変換されました(tmx ファイルは、あらかじめ 2007 上でエクスポートしておきました。形式は「tmx 1.4」を選択したので、それ以外の形式が正常に変換されるかどうかは未検証です)。

新機能 - 1 つのプロジェクトで複数のメモリーを指定可能

上記の過程で、メモリーは複数指定することができるようになりました。今回は 2 つ指定したので、こんな風になります。
Projmem2

このショットのチェックボックスでも判るように、各メモリーを検索対象にするかしないかを指定できるほか、メモリーごとにペナルティも設定できるので、複数メモリーの優先度をここで調整できることになります。

新機能 - 事前プロセスの一括処理

プロジェクトの設定が終わると、指定したメモリーとターゲットファイルを使って、事前処理が始まります。以前は個別に行っていた、解析→翻訳(既訳の埋め込み)という一連の作業を一括で処理できます。
Pre

このプロセス周りについても、けっこう細かい設定が可能になりました。
たとえば、このステップでは、
Pre04_2

些細な追加ですが、解析結果を示す数値範囲を変更できるようになっています。

プロジェクトの完成

これまでの手順でプロジェクトの設定が終わると、メインの画面にこんな風に表示されます。
Project

インターフェースの好みは人それぞれですが、「未翻訳」と「翻訳済み」のバー表示とか、見やすさに工夫があることは一定度評価できるかと。

このメイン画面で、ファイルを選択して実際に翻訳する場合は左ペインの[ファイル]ボタンをクリックし、開いているファイルの編集に戻る場合は[エディタ]をクリックします。で、メモリーを操作する場合は[翻訳メモリ]をクリック、というように機能ごとに画面を切り替える、まあ、ありがちな統合インターフェースではあります。

ファイルリストはこんな感じですが、
Filelist

このような概要表示だけでなく、解析結果とか進捗ステータスとか、いろいろと「プロジェクト管理」的な発想で表示を切り替えられるようになっています(翻訳者として使える機能かどうかは別)。

ファイルをエディタ上で実際に開いたところは......えーと。今回は、私の実際のジョブファイルをプロジェクトにしてみたので、ちょっとエディタ画面はお見せできないんでした。アハハ。

「てはじめ」としては、ひとまずここまで。

10:24 午前 Trados 機能, バージョン - Studio 2009 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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Studio 2009 レポート - システム要件

(オリジナル投稿 2009/6/20)★

詳細レポートの第 1 弾です。

まず、自分がひっかかった点を含めて、システム要件を挙げておきます。

この情報って、本当は購入/アップグレードする前に簡単に確認できるようになっているべきなのですが、例によって TRADOS さんのサイトでは見つかりません。

ハードウェア要件
- プロセッサ: Pentium4 1GHz 以上、RAM: 1GB 以上(最小)
- プロセッサ: デュアルコア以上、RAM: 2GB 以上(推奨)
- グラフィック: 1280 x 1024 以上

===>
快適に動かすには、それなりの環境が必要です。ちなみに、私が今回インストールした環境は、
Core2 Duo(1.66GHz)
RAM 2GB
というサブマシンですが、それでも起動や PDF ファイルのオープンは遅いと感じます。


オペレーティングシステム
- Windows XP SP2 以上
- Windows Vista SP1 以上

===>
間もなくリリースされるはずの Windows 7 がリストされていないのですが、ディスク領域の要件を書いてある別の箇所には Windows 7 も挙がっているので、たぶん大丈夫なんでしょう。


ソフトウェア要件
- Microsoft Word 2003 以上(2007 推奨)
- Microsoft Excel 2000、2003、2007

===>
私が今回ひっかかってしまったのがここでした。
今回インストールを試したマシン、実はまだ Office が XP (2002)のままでした。その状態だと、Word ファイルは開けるのですが、PDF を Studio 2009 上で開くことができませんでした。あわてて Office 2003 をインストールしたら PDF も開けました。

ちなみに PDF ファイルの場合、「コピー不可」などのセキュリティがかかっていると開けません(詳細はいずれ)。また、PDF から書式情報を維持して Word に落としたファイルは、フォント変更情報などが多すぎて実用に耐えないようでした。


その他
システム要件が書かれているヘルプのページには、「以前のバージョンの SDL Trados を削除する必要はない」と書いてありましたが、これはおそらく、「それぞれ正規ライセンスを所有している場合」の話と推定されます。

前エントリで書いたように、アップグレードライセンスの場合、旧バージョンがある状態で 2009 をインストールしようとするとエラーが出ます。

10:22 午前 Trados 全般, バージョン - Studio 2009 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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SDL Trados Studio 2009 - ライセンス更新とインストール

(オリジナル投稿 2009/6/20)★

ライセンスのアップデートについて TRADOS から回答があったので、さっそくインストールしてみました。まだ Studio 2009 の実用には至っていないので、今回はひとまず、ライセンス更新とインストールについてのレポートです。

私は現在、
- SDL Trados 2007 のライセンスを所有
- SDL Trados 2006 をメインに使用
という状態なので、「Studio 2009 にアップデートするとき 2007 のライセンスを返却したら、2006 も使えなくなるのか?」という点が最大の疑問でした(2006 と 2007 移行では、ライセンスの認証方法が異なる)。

TRADOS さんからは、次のような回答がありました。

Trados2007のライセンスを返却すると、Trados2009Studio(新)とTrados2007(再)のライセンスが発行されます。 この手続きはTrados2006のライセンスに影響いたしません。

SDL Trados 2006 は引き続き使えるようなので、ライセンス返却に踏み切りました。以下の Flash ページが参考になりますが、おおまかな手順はこんな感じです。
リンク: Accessing and upgrading your new license

1. SDL Trados 2007 の License Manager を起動してライセンスを返却
この手順を実行するまで、Studio 2009 のライセンスは表示されません。

2. SDL TRADOS サイトにログインし、「マイライセンス」ページで新しいライセンスを表示
返却すると「マイライセンス」ページが更新され、Studio 2009 のライセンスを表示できるようになります。

3. SDL Trados 2006、2007 をアンインストール
実は当初、2007 だけアンインストールし 2006 は残した状態で Studio 2009 をインストールしようとしたのですが、「古いバージョンがインストールされているよ」というメッセージが出てエラーになりました。つまり、「2006 のライセンスは残るが、Studio 2009 と同じマシン上で共存はできない」ということになります。言い換えれば「2006 は別のマシンで使ってね」と。ここんとこ、注意が必要です。

4. SDL Trados 2007 Suite をインストールし、ライセンスをアクティベート

5. SDL Trados Studio 2009 をインストールし、ライセンスをアクティベート
2009 をインストールする際、.Net 3.5 SP1 がインストールされていない場合は自動的にインストールが始まります。ただ、今日は Microsoft のサイトへのつながりが悪かったのか、ちっともインストールプロセスが進みませんでした。 しかたがないので、先に .Net 3.5 SP1 を手動でインストールしました(このときも、デフォルトのインストーラではなくフルパッケージをインストールしたほうが速く終わるようです)。

両方のライセンスをアクティベートすると、「マイライセンス」ページはこんな風になりました。2006 のライセンス(ソフトキー)が残っています。
Sdllicense

License Manager ではこのように表示されます。
Sdllicensemanager_2

ちなみに、Studio 2009 の起動時間はけっこう長い模様。

10:20 午前 Trados 全般, バージョン - Studio 2009 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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SDL Trados Studio 2009 へのアップグレード

(オリジナル投稿 2009/6/16)★

入院する直前に SDL Trados Studio 2009 のセミナーがあって、入院中に製品版とアップグレード版のダウンロードが始まっていました。

退院してさっそくダウンロードしてみましたが、新規購入ではないアップグレード・ライセンスの場合、ちょっと注意が必要のようです。

SDL TRADOS のサイトに、次のような注意書きがあります(> ホームページ > ショップ > デスクトップ製品)。

SDL Trados Studio 2009にアップグレードされる方には、SDL Trados 2007 Suiteの永久ライセンスも提供されます。 両製品は同時にインストールすることができます。 新しいライセンスを受け取る前に、以前のソフトウェアライセンスを停止する必要がありますので、ご注意ください。 SDL Trados 2007 Suite以前のバージョンを使用し続けたい場合は、新しくフルライセンスのご購入を検討されることをお勧めします。

つまり、私のように SDL Trados 2007 からアップグレードしただけの場合、

●SDL Trados Studio 2009 と SDL Trados 2007 Suite 両方のライセンスを受けられる(共存インストールが可能)
●ただし、そのためには以前のライセンスを返却する必要がある

ということのようです。これだけの寡占企業にしては、なんだかケチくさい、しみったれた話ですよねぇ。

2007 のライセンスを返してしまうと、SDL Trados 2006 も使えなくなるのかどうか、今ちょっと問い合わせ中です。

ちなみに、
 - SDL Trados 2006
 - SDL Trados 2007
 - SDL Trados 2007 Suite
という 3 つの製品、前から書いているようにコアの翻訳メモリ周りはほとんど変化していません。

・SDL Trados 2006 に SDL Trados Synergy というプロジェクト管理の統合環境を追加したのが SDL Trados 2007。
・SDL Trados 2007 に Passolo(ローカライズツール)を追加したのが SDL Trados 2007 Suite。

というだけです。SDL Trados 2007 Suite の本体部分は、SDL Trados 2007 SP3 であると、リリースノートに書いてありました。

いずれにしても、今回は製品のアーキテクチャ自体が大きく変わるだけでなく、このようにライセンスポリシーまで変わるということで、ユーザーはあちこちで混乱しているに違いありません。Trados の ML では、インストール途中の不具合も報告されているようですし。

そんなわけで、Studio 2009 の実用レポートはまだ少し先になる予定。

10:19 午前 Trados 全般, バージョン - Studio 2009 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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SDL Trados Studio 2009 紹介セミナー - その2

(オリジナル投稿 2009/5/27)★

今回の紹介で判った範囲で、細かい機能について触れておきます。

まず、前回のエントリで勝手に予想した機能から ---

AutoSuggest
Idiom の Suggestion 機能(訳文の一部を勝手に置き換える)と同じかと危惧しましたが、違ってました。Google ツールバーとか ATOK でおなじみの「入力内容の推測機能」のことです。独自に用意した辞書やメモリの内容から、入力内容を推測して提示するそうです。ドキュメントの性質によっては便利かも。

Context Match
これは前回の予想どおり、Idiom の ICE マッチを踏襲した機能です。

リアルタイムプレビュー
XML ファイルにどのくらい対応できるのか、聞きそびれました。

PDFファイルのサポート
ファイルを開くとき以外は、思ったほど重くない感じで動いていました。ただし、当たり前ですがセキュリティ設定でコピーとかテキスト抽出が不可になっているファイルには対応しません。

複数メモリへの対応
リスト上の順番で優先順位を指定できるほか、画面を見たところ、メモリごとにペナルティを設定するとか、それなりに細かい設定項目がありました。


つづいて、今回わかった内容 ---

自動翻訳
はなっから、たいして期待はかけていない機能ですが、なんでも自動翻訳用のサーバーにアクセスして訳文を構成させるんだそうで。まず使いものにならないでしょう。

Auto Propagation
複数回出現している原文に訳文を反映させる機能。今までの Trados ではファイルをいちど閉じて[翻訳]コマンドを実行する必要がありました。Idiom から踏襲された機能ですが、Idiom より動作がまともそうでした。

メモリ内の訳語検索
今までできなかったのが信じられない、というところですが、訳文に対しても訳語を検索できるようになります。検索精度がどのくらい変わるのか、あまり突っ込んで聞き出せなかったのですが、「大小文字の区別」と「ワイルドカード指定」のオプションはさすがに追加されてました。

メモリのメンテナンス
メンテナンス用の画面はだいぶ使いやすくなるようです。メモリの内容がスプレッドシート形式で表示され、かなり簡単に編集できる模様。

キーボードショートカットのカスタマイズ
こんなもん、今さら謳い文句になるほうがどうかしてますが、信じられないことに今までは TagEditor でも Workbench でもカスタマイズはまったく不可でした。

その他
XLIFF 形式に対応(バイリンガル形式の XML ファイル)
バッチ処理(解析、翻訳など)の機能を改善
バイリンガル状態で HTML として出力可能

--------------------
インターフェースが大きく変わるので、今まで Trados も Idiom も使っていた人なら比較的スムーズに移行できそうですが、Trados オンリーだった方がいきなりこの環境に移るのは難しい気がします。

もうひとつ、今までスタンダードだった MS Word 形式のバイリンガルファイルが使われなくなるということで、たとえば今までその形のファイルでレビューを行っていたクライアントなども、簡単に移行はしないでしょう。SDL TRADOS さんとしては、「ソースクライアントも Studio 2009 を用意する」ことを想定して、その路線で営業をかけるものと想像されますが、どーなんでしょうね。

翻訳者の側にしても、基本的には翻訳ベンダーやクライアントに指定されたバージョンの Trados を使うはずで、独自に Studio 2009 の導入に踏み切るというケースは多くないでしょう。

10:18 午前 Trados 全般, バージョン - Studio 2009 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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SDL Trados Studio 2009 紹介セミナー - その1

(オリジナル投稿 2009/5/27)★

4/25 のエントリで書いたように、SDL Trados で大幅なバージョンアップが予定されており、その紹介セミナーに行ってきました。

5/26 の午前中が個人ユーザー向けで、たぶん午後が企業ユーザー向けだったようです。

予定されていた定員数からすると参加者は少なかったようでした。

インターフェースが大きく変わって、Idiom クライアント(Desktop Workbench)に似た統合環境になるというのは 4/25 に書いたとおりです。

- 原文-訳文が横並び表示される
- その間のカラムにマッチ率やステータスなどが表示される
- Context Match 機能がある

などなど、インターフェース的にも機能的にも Idiom がベースになっている部分が多いのですが、

- Idiom 用のパッケージを開ける

という説明がありましたので、一般的なファイル形式に対応するだけでなく、Idiom 翻訳プラットフォームについてもこの統合環境で対応するという意図のようです。

※質問したところ、従来の Idiom Desktop Workbench はすでにメンテナンスモードに入っており、バージョンアップはないとのことでした。

インターフェース画面を見たときから、Idiom クライアントの欠点がそのまま引き継がれているのでは、ということが心配でしたが、デモで見る限りそれはないようでした。さすがに、これだけのメジャーチェンジということで従来製品の "いいとこどり" に仕上がっていると期待できるかもしれません。

ただし、マッチ率の計算ロジックとか、メモリ内検索の機能性とか、肝心な翻訳エンジンの部分がどの程度改善されているかは、今回の紹介ではわかりませんでした。

実際のリリースは 6 月ということなので、使えるようになったら使用レポートをアップする予定です。

10:17 午前 Trados 全般, バージョン - Studio 2009 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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SDL Trados 2009 - ついにメジャーチェンジか?

(オリジナル投稿 2009/4/25)★

SDL Trados から、SDL Trados 2009 の紹介ウェビナーやセミナーの案内メールが届きました。

リンク: SDL Trados Studio 2009: 革新的技術を提供
(こちらはフリーランス版のページです)

スクリーンショットを見てみると......

Sdltrados2009

なんだか Idiom ライクですよ......

SDL、Idiom と大きなプラットフォームを吸収しておきながら、今まで Trados 本体に大きな変化はありませんでしたが、ここに来てついにインターフェースごと大きく変わることになったようです。翻訳インターフェースとして Word や TagEditor を使うのではなく、翻訳画面、メモリ、用語集をすべて統合した独自環境になるようです。

2007 からのアップデート料金はわりと手頃なので、今回はちょっと手を出してみようかと思います。5/26 のセミナーにも出席する予定ですので、詳しくはその後またレポートしたいと思いますが、現時点でこのサイトの内容を勝手に解説してみます。

AutoSuggest
入力時に翻訳メモリ内の語句を提示し、セグメント一致をしのぐ機能を提供します。
これ、もし Idiom と同じ Suggest 機能だとしたら、かなりいただけないことになります。Suggestion と称して、訳文の一部を勝手にメモリ内の訳語と入れ替える機能ですが、日本語でこの機能がまともに役立った記憶はほとんどありません。
コンテキスト一致
ロケーションとコンテキストを認識することで「100%超」の一致を実現し、最適な翻訳を実現します。
これはきっと、Idiom プラットフォームで実装されている、「100% 一致のうち、前後のセンテンスも見比べた位置関係で確定する」という機能です。それなりに有効ではあります。
リアルタイムプレビュー
完成したドキュメントを確認しながら翻訳できるため、DTPの作業時間が短縮し、翻訳の調整がしやすくなります。
なかなか便利そうに聞こえますが、ターゲットが XML ベースの場合、正しいスタイルシートを指定しないかぎりプレビューはできないでしょう。もし、汎用的なスタイルシートを用意して擬似的なプレビューが可能だとしたらほめてあげたいところです。
リアルタイムのQAとスペルチェック
翻訳時の間違いやスペルミスを瞬時に修正し、一貫性と正確性を確保します。
Trados の現状の QA 機能だってまだまだ使えないレベルですけどね......
PDFファイルをサポート
PDF用の新しいフィルタが欲しいというご要望に応えました。 オリジナルのソースファイルを入手できない場合でもPDF文書のプロジェクトを受注できます。
重そうだよなぁ。
優先順位を指定できる翻訳メモリ
複数の翻訳メモリに同時にアクセスし、翻訳メモリの使用方法を柔軟に制御できます。
複数メモリへの対応は大きな進歩ですが、問題はメモリをエクスポートして手軽に扱うことができるかどうか、ですね。TMX(翻訳メモリの標準形式)はサポートしているみたいですが。

ここまで大きく変わると、翻訳会社でも作業フローをいろいろ変更しなきゃならなくなりますから、翻訳案件が「2009 指定」となることは当分ないでしょうね。よほど劇的にプロジェクト管理が簡単になるとか、コスト削減につながるとか、目に見えるメリットがないかぎり。

10:15 午前 Trados 全般, バージョン - Studio 2009 | | コメント (2) | トラックバック (0)

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Workbench の「訳語検索」、さすがにこれはヒドイ

(オリジナル投稿 2008/12/27)★★

Trados Workbench の「訳語検索」(通称、コンコーダンス検索)機能が使い物にならないという話を何度か書きましたが、たとえばこんな具合です。

Workbench_lookup

たまたまアポストロフィを含む単語を検索しようとしたら、

's の部分だけ

検索してくれました(画像は一部のみ切り出しましたが、98 ヒットのうちほとんどがこれ)。どうにかなんないんでしょうかねー。

10:09 午前 Trados 機能 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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ツッコミどころ満載、と笑ってばかりもいられない

(オリジナル投稿 2008/12/27)☆

SDL TRADOS からのお知らせメール、あいもかわらず愉快です。

新しい SDL Trados 2007 Suite の年末特別セール!
最近行われた調査によると、翻訳するテキストの 27% は繰り返し出てくるフレーズで構成されています。
翻訳メモリ を使用しないと、1 年で 120,000 語* も余計に翻訳することになります。 SDL Trados ROI 計算ツール をお試しください。翻訳メモリがどれだけ便利なものか実感していただけます。

SDL Trados 2007 Suite、この業界をリードする翻訳メモリ ツールの最新バージョンには、自動翻訳機能** といった新しい機能が追加され、これまでにないスピードでの翻訳を可能にします。

なんの根拠も出典も示さずに、いきなり 27% という数字を出してくる辺りは、実に大胆不敵な手法と思わせます。

その一方、「1 年で 120,000 語も余計に翻訳」というのは、脚注によれば「1日 2,000 語を年間 240 日翻訳する場合」なんだそうですが、
 2,000 x 240 x 0.27 = 129,600
ですから、普通なら「130,000 語」と書くところ。こちらは一転して控えめになります。

なんのことはない。ただ数字の扱い方を知らないだけのようです。

言語ツールを売っている会社とは思えないお粗末な日本語も、もちろんお約束どおり。

"IT 翻訳" の現状と実情が、こんなところにも如実に表れている......のだとは思いたくないんですけどね。

10:08 午前 Trados 雑記 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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SDL Trados 2007 をインストールしてみた - その3

(オリジナル投稿 2008/10/28)★

SDL Trados 2007 の不満ばかり書きましたが、1 つだけ(今のところ)メリットを見つけました。

今までもメインマシンとサブマシンの両方に SDL Trados 2006 をインストールしてありましたが、同時に起動することはできません。ネットワーク上で別のインスタンスが起動していることを検出したというメッセージが表示され、Workbench が閉じてしまいます。これは、「同じユーザーが複数のマシンにインストールしてもいいけど、同時に 2 つ使うことはできないかんね」という本来の仕様です。

今回は、まだ試験的な導入のつもりだったので、サブマシンの方にだけ 2007 をインストールしてみましたが、両方を同時に起動できるようになりました。おそらく、ライセンス認証が変わって

- メインマシン上の SDL Trados 2006 はローカルのライセンスファイル
- サブマシン上の SDL Trados 2007 はオンラインのアクティベーションコード

となったためかと思われます。

もっとも、Trados を 2 台で同時に使いたい場面なんて、そうあるものではないですけどね。

10:07 午前 Trados 全般 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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SDL Trados 2007 をインストールしてみた - その2

(オリジナル投稿 2008/10/27)★

まず、このツールを紹介しておきます。

参考リンク: ApSIC Localization Solutions - Products - Xbench

これは、Trados Workbench の「訳語検索」(通称、コンコーダンス検索)機能を補うフリーのツールなのですが、つまりはそれだけ Trados 本来の機能に不満を持つユーザーが多いという証でもあります。

翻訳で使うメインのインターフェースである Workbench と TagEditor がなかなか進歩しない、ということは今までもここで書いてきましたが、2007 になってもその辺はまったく変わっていませんでした。

Workbench の訳語検索はまったく進歩なし。マッチ率設定が 30%~100% まで、最大ヒット数が 99 件までという意味不明なオプションもそのままであり、検索ロジックもどうやら変わっていない模様です。

TagEditor で IME がすぐ日本語オフになってしまう(参考記事: 禿頭帽子屋の独語妄言 side A: # Dさんの日本語じゃなきゃイヤン)という問題点、少なくともこれだけは改善されていると思ったのですが、まったく変わっていません。

本来の翻訳作業にとって重要性が高い問題点をここまで無視されてしまうと、Trados がいかに発注側 --- と、せいぜいが翻訳ベンダーまで --- にとっての効率化しか念頭に置いていないかということがますます露骨になってきたと言わざるをえません。

まあ、翻訳支援ツールというものの発想の出発点がそもそもそこにあるわけですし、SDL + Trados + Idiom という拡大からして、そういう指向性は見え見えだったのですが、今回はちょっと「翻訳者としての失望感」が大きすぎます。

今持っているライセンスで使えるのはこの 2007 までなので、次期バージョンになったらまた出費がかさみます(アップグレードで済むのか、新規購入になるのか不明)。それでもメインのツールに進歩がないとしたら、翻訳者の立場ではもうバージョンアップはしたくなくなりますね。

--------------------
ちなみに、冒頭で紹介したフリーツールですが、ソースとターゲットのどちらからでもコンコーダンス検索ができるという点はスグレモノですが、本来のコンコーダンス検索のように "曖昧" 検索はできず、正規表現にすら対応していません。それであれば結局、エクスポートテキストをエディタ上で検索したほうがいい。今後の発展に期待というところです。

10:06 午前 Trados 全般 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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SDL Trados 2007 をインストールしてみた - その1

(オリジナル投稿 2008/10/27)★

先日催された SDL Trados のイベントには出そびれたのですが、tratool のメーリングリストでいくつかの情報を拾うことができました。その情報を確認していた流れで、長らく放置していた SDL Trados 2007 をインストールしてみることになったので、ちょこっとメモしておきます。

参考リンク: Feature enhancements 2.pdf

※PDF が開きますのでご注意ください。

SDL Trados 2006 をすでに使用している環境に SDL Trados 2007 をインストール

私の場合、購入した時期の関係で、SDL Trados 2006 から 2007 へのアップグレード権がライセンスに含まれていました。しかし実際の翻訳ジョブでは Trados の最新版を要求される機会はむしろ少ないのでアップグレードは放置していたのですが、上記のリンク先にあるバージョン比較表を見ていて思うところがあり、Workbench と TagEditor の状況を確認してみたかったわけです。

■ライセンス(アクティベーションコードについて)
SDL Trados 2006 でのライセンス認証では、license.lic というライセンスファイルを指定していましたが、2007 では方式が少し変わっています。ライセンスファイルを指定するオプションもありますが、試したところなぜか認識されませんでした(ダイアログではOKになるが、デモモードでしか動かない)。ファイルを指定するのではなく、"アクティベーションコード" を入力しなければならないようです。このコードは、Trados のサイトでライセンス確認用ページにアクセスすれば確認できました。

■SP1 と SP2 について
リリースから時間が経っているので、すでに SP1 と SP2 Patch がリリースされています。SP1 はフルセットのインストーラなので、元々の 2007 をインストールしていなくても実行できます(インストールしていれば上書き)。SP 2 はパッチなので、SP1 をインストールしていないと実行できません。

全体に、インストールすべきアプリケーションが 2006 までと比べて増えています。

■SDL Trados Synergy について
2007 の最大の目玉が、新しいアプリケーションである Synergy であるようです。画面はこんな感じ。

Synergy

実力のほどは、もちろん使ってみなければ判りませんが、なんとなく「使ってみたくないなぁ」という印象のインターフェースです。翻訳プロジェクトをトータルに扱いやすくする、というコンセプトなのだろうと推測されますが、どちらかというと "大きなお世話" 的な存在にしか思えません。

プログラマのみなさんが最初に IDE 環境を目にしたときって、こんな印象だったのではないか。ふとそんなことを考えました。

そんな小手先のことより、メインの翻訳インターフェースである Workbench と TagEditor はどうなってるのか。私としては、それが知りたいわけでした。この稿、続きます。

10:06 午前 Trados 全般 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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TagEditor の検索/置換機能

(オリジナル投稿 2008/10/8)★★

何度か書いているように、Trados には Workbench と組み合わせて使う標準エディタとして TagEditor というツールがあります。

Edition 3 の頃にはまだまだ使いものにならない、「ちょっと作ってみましたけど」程度のアプリケーションでしたが、最近はようやくまともに動くようになりました。それでも、まだまだ商用アプリとしてどーなの、というような不備が多々あります。以前に書いた、入力モードがすぐ英数字になってしまう(日本語 IME がオフになる)こともそのひとつですが、検索/置換という、もっと実用的な部分にも「使えねー」的な不備があります。

まず検索。

検索ダイアログを閉じた状態で順次検索ができない --- この話はいずれまたします --- という Internet Explorer 的な不便さは当たり前のように踏襲されていますが、それだけでなく [単語単位で探す] や [大文字と小文字を区別する] のオプションが、ダイアログを閉じるたびにオフになります。これはかなり頭わるい部類でしょう。

次に置換。これはもっと頭わるい。

まず、[文書を保護] オプションが有効な状態では置換が機能しません(調べてみましたが、このことはヘルプやマニュアルに記述が見当たりません)。次に、置換は原文と訳文を区別せずに機能します。

つまり、

原文と訳文に同じ文字列があって、訳文のほうだけ一括置換することはできない

とゆーことになるのです。そんなケースがあるのかいと思われるかもしれませんが、少なくとも IT 翻訳では、たとえば <table_name> という変数表記を、訳文でだけ <テーブル名> にしたい場合だってあるわけです。

同じような不便は Word 上でもありうるのですが、Trados + Word を使用する場合は、原文と訳文に異なる書式が設定されるので、それを指定すれば訳文のみでの置換は可能なんでした。

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TagEditor がこんなにお馬鹿なので、実際には ttx ファイルをテキストエディタで直接開いて編集するほうが置換処理などは楽です。

ただし、上記のように原文と訳文で同じ文字列の場合は、普通に置換したのではやはりどちらも変更されてしまいます。その場合、たとえば秀丸エディタであれば、正規表現で「前方一致」を使い、そこに <Tuv Lang="JA"> を指定するという方法が考えられます。

<Tuv Lang="JA"> というのは、ttx 上で訳文文字列の開始を識別するタグです。ただし、その後にフォント指定のタグがあったりして、一筋縄ではいかないのですが。

10:04 午前 Trados 機能 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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TagEditor が落ちるとき

(オリジナル投稿 2008/10/4)★★

これもただのメモですが......

TagEditor は、Ctrl-Z(つまり操作の Undo)を使うと落ちることがあります。たぶん Windows API との間でコマンドの受け渡しがうまくいっていないからではないかと想像するのですが、常にではありません。

TagEditor を使っているということは同時に Workbench も起動していて、たいていは落ちる前までの訳文がメモリに登録されているので、リカバリが手間ではないところがせめてもの救い。ただし、TagEditor が落ちるときはその少し前から Workbench の動作もおかしくなっている可能性があり、いくつかの文はメモリに登録されていない場合もあるので注意が必要です。

それにしても、Google 検索で自分のブログくらいしかヒットしないときは、ちょっと悲しい。この現象も、ほかに報告例はないみたいです。同じ現象に遭遇したことのある方がもしいらっしゃれば、ぜひご一報ください。

10:02 午前 Trados 雑記 | | コメント (2) | トラックバック (0)

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解析機能 - Word と比較して

(オリジナル投稿 2008/10/3、改題)★★★

今回もまた、Buckeye さんのエントリに便乗。

リンク: Buckeye the Translator: ワード数のカウント

Buckeye さんは Word のワードカウント機能を調べていらっしゃるので、私としてはやはり Trados における同機能(「解析」)について報告しておねばならないでしょう :)

・Electrical/Electronic architecture → 2ワード(3ワードにならない)
・partnering (who/when/how) to design → 4ワード(6ワードにならない)
・The XXX includes a battery-backed time-of-day module → 7ワード(10ワードにならない)
・With microcomputer-controlled kilowatt-hour meters → 4ワード(6ワードにならない)
・a you-can't-get-fired-for-saying-no attitude might prevail → 5ワード(11ワードにならない)

要するに Word 上では、単語とは「スペースで区切られた文字の連続」としか判定されていないということです。

ついでに言うと、カンマやピリオド、疑問符のような punctuation でさえ単語の区切りとして認識されません。

 This is a sentence, is it?

という文は 6 ワードとカウントされますが、これはカンマの後に "たまたま" スペースが空いているからそこで区切られたにすぎません。したがって、

 This is a sentence,is it?

のようにカンマの後にスペースがなければ、このセンテンスは 5 ワードとカウントされます(カンマやピリオドの後にスペースが落ちている原文って、けっこうよく遭遇しますよね)。

さて、上記の 5 つのセンテンスを Trados の「解析」にかけてみたところ、すべてカッコ内のようにカウントされました。つまり、ハイフンやスラッシュも単語の区切りとして機能しています。

さらに確認しましたが、脚注やテキストボックス内の文字も正しくカウントされました。

まあ、Word のおまけ機能と違って、Trados の場合は正確な解析もウリのひとつなわけですから、このくらいはできてもらわないと困るわけですけどね。

【10/5 追記】
アンダースコアで結ばれた単語(INDEX_TABLE のような形)のカウントは、さすがに 1 ワードでした。

--------------------
ところで、翻訳作業量の算定方法としては、

- 原文のワード単価
- 訳文の原稿用紙(400字)単価

の 2 つがあるのですが、私はもっぱら前者でしか仕事をしていないので、自分のスループットを原稿用紙に換算するのが苦手です。聞いたことのある範囲でも、換算式としては

120ワード = 400 字
148ワード = 400 字

などなどけっこうな幅があるようです。

09:48 午前 Trados 機能 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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TagEditor における見かけの書式 - その1

(オリジナル投稿 2008/8/17)★★

ここしばらく TagEtitor + Workbench を使うプロジェクトが続いていて、以前から不思議だったことをちょこっとメモしておきます。

それは、TagEditor 上の「見かけの書式」が意外とキタナくなるということです。いろいろと検索してもあまりヒットしないところを見ると、普通はあまり気にならないのかもしれませんが......

TagEditor は、その名のとおり HTML とか XML とか、タグ構造を持つファイルを扱うのがもっぱらのお仕事です(その他のファイルも扱えますが)が、WYSIWYG 表示というのがウリのひとつらしく、タグで指定されている書式がそのままエディタウィンドウ上に反映されることになっています。

つまり、<b>~</b> で囲まれている部分は画面で実際にボールド表示されるというわけです。

ところが、この機能の実装に何らかのバグがあるらしく(SDL Trados 2006)、書式属性を持つタグペアが閉じた後の文字列にも前の部分の書式が適用されしまう、いわゆる「書式を引きずる」という現象がたびたび発生します。たとえば、

  詳細については、<リンクタグ>XXXXX</リンクタグ>を参照してください。

こうなるべき箇所が、

  詳細については、<リンクタグ>XXXXX</リンクタグ>を参照してください。

こんな風になってしまうわけです。

これは TagEditor 上の見かけの問題だけなので、最終的に生成されるターゲットファイルには何の影響もないのですが、それでも一応の翻訳成果物の見栄えとしては気に入らない。何とかならないものかと以前から思っていました。

そして、この動作を回避することはできないまでも、最終的に正常化する方法は見つかりました。手間は増えますが、

一度閉じたセグメントをもう一度開いて、100% で登録されている訳文を再取得

すればいいのです。つまり、見かけは変でもメモリに格納された書式情報は正常だということなんですね。

これ、新しいバージョン(2007)ではどうなってるんでしょう。

09:46 午前 Trados 機能 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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Word についてほとんど書かれないこと

(オリジナル投稿 2008/8/4、改題)★★

『稼げる実務翻訳ガイド』という定番ムックで「×文節、○分節」という誤字があるという話を先日のエントリで書きましたが、ほかにも気になる記述がありました。

Wordをそのままま使えるということは、多機能な検索や、技術に強い方であればVBA(マクロ)も自由に動かすことができるということを意味しています。

Trados 紹介の記事では、Word をフロントエンドとして使用することがこのようにメリットとして書かれることも少なくありませんが、そこに落とし穴もあるということはなかなか語られないようです。

Trados + Word という環境については、このムックに限らず今までの多くの紹介記事でもほとんど触れられていない重要な点があります。それは、

Word 上の Trados 機能はマクロで組まれている

ということです。Trados をインストールした Word で[ツール]→[マクロ]を見てみると、"tw4win" という文字列で始まるマクロがたくさんあります。Word 上の Trados 機能は、実はこのマクロ群で実現されているに過ぎません("TRADOS7.dot" 等の名前のテンプレートが追加されている)。

Word 上で訳文を処理するときは、これらのマクロが 1 ステップずつ実行されています。何らかのセグメント操作後に[編集]メニューで UNDO 履歴を見てみれば、「ブックマークの編集」とか見たことのない VBA とかが並んでいるはずです。ファイルを破棄してもかまわなければ、Ctrl + Z を何回も繰り返してみると、画面上で面白い動作を見ることもできます。

で、これの何が問題かというと、マクロを構成する複数ステップの途中で処理が止まってしまうと、セグメントの処理がおかしくなって進退きわまることさえあるということなのです。「複数ステップの途中で処理が止まる」などということは普通なさそうなのですが、訳文の処理中にたとえば Ctrl + Z を使うことはあるわけで、不用意にそうした操作をすると、「セグメントが壊れた状態になる」ことが実はしばしばあります。

Trados もそのことは判っているらしく、メニューには[文書の修正]という機能があるのですが、これで修正できないこともたびたびあります。

Trados を使い始めた人がこのトラブルに陥ることはけっこうありそうに思うのですが、この点は一向に大きく扱われていないようです(ヘルプやマニュアルにも見当たりません)。

私自身が人に Trados の使い方を教えるときは、もちろん早々にこの点を伝えるようにしていました。

09:37 午前 Trados 機能 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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分節

(オリジナル投稿 2008/7/31)★

日本語文法で扱う単位「文節」ではありません。

Trados が処理する単位(センテンス、パラグラフ、その他)を、英語版では segment と言いますが、その訳語が「分節」です。文字どおりの直訳。

ところが、あまり一般的な用語ではないため、Trados を扱った文章でも誤って「文節」と書かれていることが少なくありません。

『稼げる実務翻訳ガイド』

という毎年刊行されているムックの 2008 年度版で Trados の特集が組まれていますが、その中の入門記事でさえ「文節」となっていました(p.96)。

09:36 午前 Trados 全般 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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タグをめぐる話

(オリジナル投稿 2008/7/19)☆

Trados を使うと少なくとも処理が簡単になる点として、タグの処理を挙げることができます。HTML や XML などのいわゆるマークアップ言語系ファイルをネイティブに扱う場合には、たとえばテキストファイルのまま扱うより、タグを壊してしまう危険性がはるかに少なくなります。

もっとも、この恩恵を受けるのも結局はローカライズや IT 翻訳が中心になるわけで、それ以外の分野には特にありがたみのない機能だとも言えます(IT 以外の分野でも FrameMaker マニュアルは人気があるようで、それをコンバートした STF(RTF)ファイルというのも Trados が得意とするファイル形式のはずなのですが、これについてはまたいろいろと問題点があるので、その話はまたいずれ)。

ここで書きたいのは、そのタグ処理機能のことではなく、ある翻訳者さんとのマークアップ言語ファイルをめぐるやりとりについてです。

初めにお断りです。ときには意外と狭い業界だったりもするので、もし以下の話にお心当たりのある方がいらっしゃいましたら、もう時効ということでご容赦いただきたいと思います。

私が翻訳会社に勤務していた頃の話です。あるとき非常に優秀な翻訳者さんの応募があり、もちろん即採用となってさっそくジョブを打診したのですが、初回からいきなり断られてしまいました。

依頼内容は HTML 形式ヘルプの翻訳だったのですが、「タグ処理その他、翻訳に直接関係のない "作業" が多すぎる。私は翻訳者なので、純粋に文章の翻訳なら引き受けるが、それ以外は引き受けられない」というのが、受注不可の趣旨でした。

私も社内の PM もこの反応に最初は驚いたのですが、よく考えてみれば、翻訳の腕に自負があってそれなりの実績も残している人なら、こういう方針を貫くのも当然といえば当然なのでした(と同時に、ローカライズ業務というものの認知度の低さを感じる出来事でもありましたが)。

★HTML や XML のタグを理解したうえで、その処理も翻訳者が行う★

のかどうか、実はローカライズベンダーの中でもその方針は分かれているようです。翻訳者にはタグをすべて削除したファイルを渡して翻訳だけしてもらい、戻ってきた内容を社内でマークアップファイルに戻すというベンダーもあれば、タグ処理を原則的にすべて翻訳者に委ねるというベンダーもあります。比率としてどちらが多いのか、私は知りません。

私が在籍していた会社はたまたま後者だったので、タグ処理(や関連の検証作業)を翻訳者が行うのは当たり前と思っていましたし、私はそういった作業が嫌いではなかったのですが、ローカライズ以外の翻訳者さんから見れば、「そんなのは翻訳者の仕事じゃない」というのも、しごく当然の意見だろうと思います。

ローカライズというのがそれくらい特殊な世界であって、Trados が現在もっとも真価を発揮しているのがその特殊な業界である、ということは承知しておくべきでしょう。

09:35 午前 Trados 機能 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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普及の背景

(オリジナル投稿 2008/7/17)☆

前エントリの最後に、誤った Trados 導入のことを書きましたが、そういったことも起きかねない、今の業界の悪しき風習というものがあります。

Trados は本来、ローカライズのような特殊な分野を限定的にターゲットとして開発されてきたツールのはずです(さすがにローカライズや IT だけではありませんが)。それが、まるで産業翻訳全般で必須のツールであるかのような扱いをされている。そんな状況になってしまった要因は主に 2 つあると思っています。

1. メーカー側が巧みな営業を展開してきた
2. ドキュメンテーションコスト削減のニーズに合致していた

私が 1. のように考えるひとつの理由は、「対応フォーマットこそ拡張を続けているものの、基本機能(特に構文解析エンジン)は初期バージョンからほとんど進歩していない、それにもかかわらずこれだけ普及してきた」という点です。これほど進歩しないアプリケーションも珍しいのではないかと、個人的には感じています。

2. については、Trados が普及してきたこの 10 年ほどというのが、ちょうど景気の悪くなっていく時期に当たり、IT 系に限らずどの企業でもドキュメンテーション部門のコスト削減は大歓迎という風潮があったという状況があります。「翻訳資産の再利用」という謳い文句が、それにうまく一致したわけです。実際にも、ドキュメンテーションコストを削減できた事例は少なくなかったでしょう。

ところが、そういう営業や成功事例に動かされたと思しき会社が、その業種や業態、ドキュメンテーション practice の差異などを無視して「Trados を導入したい」と相談してくる例を、私も勤務時代にたくさん見てきました。そういう会社を見ていると、実は今でも、導入の成果をあまり考えずとにかく Trados を導入してしまったというところがありそうです。

と、そんなことを書きつつ Buckeye さんのブログを覗いたら、最大の問題点はもうご指摘済みでした(今朝ですね)。

翻訳メモリとか機械翻訳ソフトとかの現状について私が問題視するのは、「功罪半ばするソフトだ」という情報がない点です。「こんなにいいソフトだ」「これからは、こういうソフトが使えないとダメ」という話ばかりで、訳文を作るという翻訳者にとって一番コアな部分にどういう悪影響があるのかというデメリットの話は誰も言いません。せいぜいが「操作がややこしくて覚えるのが大変」くらいで。

もうひとつの問題点として私は「ヨーロッパ言語中心の発想ばかりである」点も挙げたいと思いますが、その話はまた別の機会に。

09:33 午前 翻訳メモリー | | コメント (0) | トラックバック (0)

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つづきの話

(オリジナル投稿 2008/7/17)☆

Trados に関する先日のエントリ、
禿頭帽子屋の独語妄言 side A: # TRADOS - ではどうやって使おうか
に対して Sakino さんからいただいたコメントを受けて、もう少し Trados の話をします。

以下、"Trados" と書くときはおおむね「翻訳支援ツール」と同義です。

翻訳作業のどの部分をどう機械サイドに預けながら機械と一緒に作業していくか(私の言い方としてなら、《どのようなサイボーグとなることを主体的に選択するのか》ということになりますが)というところから、やりなおした方がいいような気がします。

「サイボーグとなることを主体的に選択する」、この比喩は面白い。サイボーグ化として捉えると、そこには生理的な好悪まで含まれてきますから、かなり面白い話になりそうです。ただ、この辺の議論は私などより Buckeye さんたちを交えて展開した方がずっと有意義なものになりそうですので、私としては、自分が判る範囲として

でも、そうすると、ローカライズという、かなり特殊な(そして、それはそれで大切な?)分野を切り落とした議論になっちゃうという批判が来そうだし……うぅぅん。

こちらの方向だけをまず考えてみたいと思います。

まず、ローカライズというのは以前に私も書いたようにもともと翻訳業界の中では特殊な部類ですので、ノウハウを論じるとき「切り落とす」というか別枠になるのは当然だと思います。ローカライズの人はその辺の事情を判っているでしょうから、批判は来ません、たぶん :)

ローカライズやその周辺業界(またはその出身)の人が Trados 擁護的(一概にではないにせよ)になるのは、おそらく長所も短所も知り尽くしているからです。業務上やむをえず使う場合でも、長所だけをうまく使って他の分野にまで応用する場合でも、その短所に振り回されることがない。もちろん「道具に使われる」こともない。Jack さんのエントリ(Party in My Library: TRADOSを使う理由)も、私はそういうことだと理解しています。

実際、個人翻訳者で Trados を使っているのは、クライアントからの要請なりで業務上必要だったから導入したというケースがほとんどでしょう。そういう人たちの中でも、必要とされる最低限だけ使っている場合もあれば、必要とされない場面にも積極的に活用している場合もある。しかしそういった必要もないのに最初から自ら進んで Trados を導入し、活用しているという人はほとんどいないと思われます。

つまり、「はじめに Trados ありき」かそうでないかで意見はずいぶん分かれる。ツールの話というのは、そもそもからして「相性」とか「慣れ」とか感覚的な部分に偏りがちなので、Trados に関する議論が噛み合わない理由の一部はもそんなところにありそうです。

ちなみに、翻訳を仕事にしようと志す人がいきなり Trados を使ったりするのは(産業翻訳業界の傾向を誤って捉えてしまったら、そういうこともないとは限らない)、百害あって一利なしだと思います。もし「初心者歓迎。Trados 購入必須」みたいな翻訳ベンダーがあったら、かなり怪しいと言えるでしょう。

09:19 午前 翻訳メモリー | | コメント (0) | トラックバック (0)

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ではどうやって使おうか

(オリジナル投稿 2008/7/2)☆

Buckeye さんのそもそもの TM に関する言及ですが、

さらに余談ながら、だから私は翻訳メモリを使いたくないし、力をつけたいなら使わないほうがいいとアドバイスをしている。

これは「翻訳全般」の話として読んだときに首肯できるのであって、ローカライズという世界はちょっと例外です。だから翻訳者を志望するなら、(需要は常に多いけれど)いきなりローカライズの世界に飛び込んだりはしない方がいい。翻訳とローカライズはかなりの部分別物、この辺を翻訳雑誌さんなどももう少し強調してくれた方がいいと思います。

TM を使うとき、

既訳(過去に訳した原文―訳文のペア)の再利用を必須の義務と考えるのではなく、訳文考案の補助手段と割り切る

という方向性が、"本来の" 翻訳にもメモリというツールをある程度有効活用できるカギになるだろうと最近ときどき考えています。というか、そういう使い方を個人的にしています。

自分が過去にこういう訳をした。それと似ている原文が目の前にある。この言い回しとこの訳語は使い回せる。この訳語は言い換えなければならない。センテンスの構造は今回はこうしなければならない。

そういう風に考えて訳文を組み立ててゆく使い方もありではないかと。もちろんこれは、単純ローカライズの翻訳案件では使えません。

と、この辺まで書きかけて仕事をしていたら、Buckeye さんのところでさらにコメントが。

なんといっても大きいのは「なぜ翻訳メモリを使うのか」です。これが「訳文の再利用ではない」なら、つまり、翻訳メモリ最大の機能を捨てるのであれば、問題はないと思います。

つまりそういうことです。「最大の機能を捨てる」とまで言わなくとも、いいとこ取りだけすればいい。

ツールはツール。♪敵~に渡すな大事なリモコン。
(すいません、ツールの運用論ということになると、どうしてもこのフレーズが浮かんでしまう世代です)。

09:17 午前 翻訳メモリー | | コメント (0) | トラックバック (0)

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翻訳メモリの是非

(オリジナル投稿 2008/7/2)☆

Buckeye さんのところで翻訳メモリ(以下、"TM")についてコメントが続いています。

こういう流れになるのなら、Buckeye さんのブログではなく、それこそ翻訳フォーラムで展開した方がいいと思うのですが、とりあえず私個人の見解はこちらに書いておこうと思います。

まずツールを論じるときの大前提(当たり前のことだけですが)。
- 機能と運用は切り分けて考える
- 用語を常に整理する

翻訳メモリを使うからといって、「どの文脈にでもそれなりにはまる訳文にする」ことはありませんし、そう要求されたこともありません。(コメント欄より)

これはクライアントや翻訳ベンダーによって(場合によってはそれぞれの担当者レベルによってさえ)かなり事情が変わってくる、運用面の話です。

「どの文脈にでもそれなりにはまる訳文にするよう」要求されたことが今までないというのは、ある意味でラッキーだったと言えるでしょう。私が接したことのある事例だけでも、「日本語の自然さを多少犠牲にしても利用率と最終的なコスト削減が優先」と考えるクライアントもあれば、「読みやすさを考慮してください」という方向性を堅持しているクライアントもあります。多くの場合その差は各社の台所事情からくるようですが、会社によって翻訳やローカライズに関する文化はこんなに違うのかと痛感しました。

ローカライズの場合、一番の問題点は、その肝心の「文脈」が翻訳者に見えにくい、という点(コメント欄より)

これは、ローカライズ作業の代表である UI (ユーザーインターフェース)などの翻訳のみを指しているように思われます。たしかにあれは、文脈など皆無の世界であり、それゆえの誤訳・珍訳はいろいろと例に挙がってきました。UI 翻訳は、「翻訳」の中でもかなり特殊部門であって、一般の翻訳論はほとんど通用しないと考えています。

一方、マニュアルやヘルプであれば文脈は間違いなく存在していますし、それは単純な操作系の説明であってさえそうです(だからこそ、前エントリの to 構文のような話にもなる)。

要は、あらゆるツールがそうであるように Trados だって「使い方しだい」ではあるのですが、この話は項を改めます。

--------------------
さて、Trados と Wordfast の訳語検索の話。
Wordfast は、かなり前に講習を受けたことしかなく、今回は製品をダウンロードしてちょっと確認してみただけなのですが、たしかに検索の機能は Trados より優れているようです。というより、むしろ Trados の検索機能がショボすぎるのですね(参照: 禿頭帽子屋の独語妄言 side A: # TRADOS - 「訳語検索」の Tips)。だからこそ、テキストにエクスポートして grep という原始的な手段に頼らざるをえない。訳語検索のエンジンに、せめて Google 検索なみの解析機能があればと思います。

しかも、訳語検索のお粗末さはごく初期のバージョンからいっこうに変わっていませんから --- ただし最新バージョンは未確認 --- 、これからも機能向上はあまり期待できないのでは、と思っています(SDL とか Idiom の機能を取り込んでいくのかもしれませんが)。

09:15 午前 翻訳メモリー | | コメント (0) | トラックバック (0)

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翻訳メモリーによる弊害の実例

(前エントリの続き - オリジナル投稿 2008/7/1)☆

Buckeye さんはこのようにまとめています。

一つめの断層は、文と文のつながりというか、ある文がその段落内でどのような働きをしているのか、ある段落がそのセクションや章の中でどのような働きをしているのか、そういった部分に多少なりとも注意している人とそうでない人との間にあると思う。

「二つめの断層」もあるのですが、今回はこの「一つめ」に話を絞ります。

この Buckey さんのご指摘を、レベルは低くなりますが卑近な例で考えてみます。

ローカライズの日常的な翻訳では、「○○を選択して、△△をクリックします」のような定型が多いと書きましたが、そんな単純な構文の訳し方にさえ、Buckeye さんの言う断層があったりします。

翻訳入門的な内容でよく取り上げられることの多い to 不定詞の訳し方もその代表です。

Click Cancel to leave the window without saving the settings.

[キャンセル] をクリックし、設定を保存せずにウィンドウを閉じます。
設定を保存せずにウィンドウを閉じるには [キャンセル] をクリックします。
設定を保存せずにウィンドウを閉じる場合は [キャンセル] をクリックします。
設定を保存せずにウィンドウを閉じるために [キャンセル] をクリックします。

ちょっと単純化しすぎていますが、文脈によってこうした複数の訳し方は当然ありえる、それを無視して効率を上げようとしているのが TM の基本姿勢です。つまり、本来なら考慮すべき文脈の違いを無視して許容範囲を思いきり広げているとも言えます。

こうした傾向と MT の普及はニワトリタマゴの関係ですが、こと IT 業界に関しては、ドキュメンテーション部門、特に翻訳に要するコストを削減したいという要望がグローバルに強くなってきたことが大きな要因になっているようです。

その流れにあるのが、Trados などの TM のさらに先にある機械翻訳の試みと、Idiom(旧称 Deju Vu)などのプロジェクト管理ツールで、そこまでいくと文脈などはもっと軽視されているのが現状です。これらのツール開発がヨーロッパ言語を基準にしているというのも大きな問題ですが、その話はまた別の機会に。

Trados などには、もちろん同一の英文に複数の訳語を登録する機能があったりはするのですが、それはこの問題の本質ではありません。Buckeye さんのブログを見たら、私のトラックバックより一足早く「段落単位で翻訳できる」というコメントがありましたが、これも同じように本質的な解決にはなりません。

09:13 午前 翻訳メモリー | | コメント (0) | トラックバック (0)

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ローカライズ業界の話

(オリジナル投稿 2008/7/1)☆

翻訳メモリ(以下、"TM")に関する Buckeye さんのご指摘は、TM をある程度以上使っている人なら深く肯けるものだと思います。

リンク: Buckeye the Translator: 文脈に合わせて訳文を組みたてる

余談ながら、全体の流れを切り捨てることで訳文リサイクルによるコスト効率アップを実現するのが翻訳メモリという考え方だ、と私は考えている。
さらに余談ながら、だから私は翻訳メモリを使いたくないし、力をつけたいなら使わないほうがいいとアドバイスをしている。

この流れで言えば、TM の活用頻度がもっとも高いと思われるローカライズ業界における「翻訳」などは「翻訳」のうちに入らないんだろうなと私も考えます。実際、ローカライズの現場で見られる日常的な作業のかなりの部分は「翻訳」と直接関係のないファイル操作です。

だから、「翻訳(者|家) になりたい」という志望と、ローカライズ業界というのは実はかなり縁が遠いとも言えます。

幸い私の場合は、純粋な翻訳だけでない諸々の作業も性に合っていたので、ローカライズというのは結果的に良い選択だったと思っています。

ローカライズ分野で典型的な、「○○を選択して、△△をクリックします」みたいな定型ばっかりだったら、おそらくかなりの部分を機械翻訳でカバーできるでしょう(実際にその方向を試みているクライアントも多い)。

ところが、たいていのマニュアルはそんな定型句ばかりでなく機能や概念の説明もあるし、さらにはローカライズの枠を越えて IT 系全般ということになれば、Web ページやホワイトペーパー、マーケティング用マテリアルと範囲が広がってきて、そのような素材を同じ翻訳者が訳すと、たちまちボロが出てしまうというケースも実は少なくありません。application が文脈をどんなときにも「アプリケーション」と訳されていたりするのはそんなときです。

この項、続きます。

09:11 午前 Trados 雑記 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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Workbench が落ちるとき

(オリジナル投稿 2008/6/30)★

ただのメモです。

Trados Workbench と TagEditor(または MS Word)を開いて作業しているとき、タスク切り替えを誤って Workbench のウィンドウがアクティブなときに入力操作をしてしまうと、Workbench が落ちることがある。

※Workbench のバージョンは、7.5.0.756(Build 756)

こんな風に Workbench が落ちたときは、以下の点に注意(他の状況で Workbench が落ちた場合でも、あるいは)。

- 落ちた瞬間よりしばらく前のセグメントから訳文が登録されていないことがある。
 (遡って確認するのが吉)

- にもかかわらず、訳文を登録しようとすると
 "Key already exists in <パス>" というエラーメッセージが表示され、登録できないことがある。

- このエラーが出たときは、メモリーの「最適化」を実行すると直る場合が多い。
 (つまり、落ちた時点でメモリの DB が一部破損しているらしい)

★★ある翻訳メモリーを開いてから一度も Workbench を正常終了したことがない状況で Workbench が落ちた場合は、次に起動すると 1 つ前に開いていたメモリが開かれるので注意(これは Workbench に限らずアプリケーションエラーではよくある話)★★

09:10 午前 Trados 雑記 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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Tips - メニューバー

(オリジナル投稿 2007/12/20)★★★

わりとよく見かけますが、Trados の翻訳インタフェースとして MS Word を使っていると、メニューバーやツールバーにトラブルが起きることがあります。

Wordbar

これは正常なマシンの方で開いた Word のツールバーですが、もうひとつのマシンで、メニューバーにあるはずの [Trados] メニューがとつぜん消えてしまいました。

調べてみるといくつか解決方法があがっているのですが、どうも症状が違うようです。

Word を起動して画面を見ていると、[Trados] メニューが一瞬だけ現れて、その上に [MultiTerm] メニューが上書きされてしまうのでした。

テンプレート(*.dot ファイル)の置き換えとか、Workbench の再インストールとか、いくつか試してみても改善されず、最終的には、

- MultiTerm をいちど完全削除
- MultiTerm を再インストール。ただしそのとき、Word との連動機能をオンにしないようにする

こうすれば、Word のメニューバーには [MultiTerm] メニューが表示されなくなります。結果的に、[Trados] メニューが無事に残りました。根本的な解決策ではありませんが、今はこれで十分です。

09:07 午前 Trados Tips | | コメント (0) | トラックバック (0)

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Tips - パス名にもご注意

(オリジナル投稿 2007/11/11)★

翻訳者に限らずお仕事でファイルを直接やりとりする人は、自分の PC のパス設定なんかにも、ちょっとだけ気をつけた方がいいかもしれません。

ファイルの種類によっては、作業ディレクトリなどの情報が自分も知らないうちにファイルに取得されていることがあり、見ようと思えば簡単に見られてしまうからです。バイナリファイルならまだよいのですが、テキストファイルは要注意。特に XML 系のファイルは、いろいろな情報をメタデータとして簡単に持つことができるので、どんな情報が載っかっているか判りません。

たとえば、Trados 標準の TagEditor というツールで HTML や XML ドキュメントを翻訳すると、バイリンガルファイルとして *.ttx という形式のファイルが生成されるのですが、*.ttx 自体も XML ファイルなので、この中には本文情報のほかにもいろいろなデータが記録されています。

テキストエディタで開いてみると、たとえば <ToolSettings> というタグの中に Trados のバージョンなどが入っていることが判ります。

そして、<UserSettings> というタグの中には、SourceDocumentPath という属性の値として、自分が翻訳対象ファイルを置いたフォルダまでのパス名がしっかり記録されているわけです。つまり、そのパスが

SourceDocumentPath="C:\Job\Current\Target\Hoge.html"

とかであれば問題はないのですが、迂闊にも、

SourceDocumentPath="C:\お仕事\A社以外\翻訳対象\Hoge.html"

だったりすれば、A社と取引のあることがバレてバレになりますし、

SourceDocumentPath="C:\Work\Trans\急ぎ\Hoge.html"

なんかであれば、やっつけ仕事をしたような誤解の原因にもなりかねません。

テキストファイルの納品物は、念のため一度は開いてみた方がいいかも...と思う一方で、こーゆーのは個人情報保護の観点から言ったらどーなんでしょうね。

09:06 午前 Trados Tips | | コメント (5) | トラックバック (0)

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お節介な機能

(オリジナル投稿 2007/9/4)★★

Trados Workbench には、数字や単位、日付だけが異なる場合にはその部分を自動置換するという機能があります。

つまり、たとえば "512MB RAM" というセグメントを「512MB の RAM」と訳せば、その次に "1GB RAM" が出てきたときには「1GB の RAM」という訳に置き換えて 100% 一致と見なしてくれるわけです。便利そうでしょ。

ところが、実はこれが要らぬお節介であって邪魔になるだけというケースもあるので注意が必要です。

数字や単位の変換は、[ファイル]→[設定]→[置換]タブで設定します。

Trados_0709042_2

このように、置換する対象にチェックを入れておきます。ところが、この置換が中途半端な場合があります。

Trados_0709041

つまり、2007/9/4 のような単純形式を「2007 年 9 月 4 日」と訳したのであれば別の日付も正しく置換してくれるのですが、この例のような dd, yyyy 形式には上記の置換設定では対応できないわけです(別のオプションを組み合わせればこの形式に対応できるはず)。

しかも、それでいて 100% 一致してしまうので、この誤置換は見逃してしまう危険性があります。翻訳会社によってはこの機能をオフにするよう指定してくるところもあるくらいです。

09:04 午前 Trados 機能 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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Tips - 原文と訳文の入れ替え

(オリジナル投稿 2007/8/14)★★★

どーゆー場面で必要になるのか、実はいまひとつよく判らないんですが、TRADOS コミュニティでときどき見かけるのがこの質問。つまり、たとえば
 原文=英語
 訳文=日本語
というメモリ資産があって、その原文と訳文の言語を入れ替えたいというリクエストですね。

Trados (Workbench)固有の機能だけでこれを行うことは、たぶんできません。

☆新しく、TRADOS というカテゴリーを設けました。

【8/20 訂正: ちょっと勘違いがありました】

小生がすぐ思いつくのは、
1)メモリテキストのエクスポート/インポートを使う
2)言語設定を逆にして WinAlign で整合する
3)Excel を使う
といったあたりでしょうか。

1 番目の方法はこんな手順。
- テキスト形式(つまり TMX ではない)でメモリをエクスポート。
- 新規メモリを作成(言語設定を逆にして)して、上のテキストをインポート。

2 番目の方法は、原文と訳文がきれいに対応していればいちばん簡単でしょう。

3 番目の方法は、原文と訳文が改行まで含めてきれいに対応している必要があります。もしそんな理想的な状態なら、
- Excel の A 列と B 列に原文と訳文を貼り付けて、C 列に以下の関数を入力。
 =CONCATENATE("{0>",A1,"<}100{>",B1,"<0}")
- 当然、ファイルの最後までこれを下方コピー。
- C 列を選んで Word に貼り付ける。
 ※形式選択してペースト、または一度テキストファイルを介してからペーストするが吉。
- この Word を訳文生成して TM を作成。

個人的には最初の方法がいちばん好みです。

【8/20 訂正】
実は、1 番目の方法をとるとき、最初は「テキストを開いて、原文と訳文を逆にする」つまり、

 原文
 訳文

という 2 行の順序を逆にして

 訳文
 原文

のようにする作業が必要かと思いこんでいました。

でも、これらのラベルに原文/訳文の区別はなく、順序も関係ないということが判りました。したがって、ただエクスポートして、言語設定を逆にした TM を作成してインポートすれば済むんですね。ちょっとした発見。

ただ、以上のような行の入れ替えが必要なときの参考に書いておくと、秀丸エディタの場合の置換パターンはこうなります。

 検索文字列 : \f.*\f\n\f\f.*
 置換文字列 : \3\4\2\0\1

08:55 午前 Trados Tips | | コメント (4) | トラックバック (0)

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バージョンのまとめ

(オリジナル投稿 2007/8/11)★

半分は自分用のメモですが、判っている範囲で Trados のバージョンを整理しておきます。

ただし、コーポレート版、フリーランス版、サーバ版などのバージョン構成はほぼ毎回のリリースごとに変化していてトレースもできないので区別していません。

Trados 2.x
事実上、最初の商用バージョン(だったと思います。もうだいぶ以前のことなので。補完情報のある方はぜひお知らせください)。

Trados 3.x
2.x は不具合が多く、わりとすぐ 3.x が登場しました。一応は実用レベルですが、自前のバイリンガルファイル・エディタである TagEditor はまだまだ使い物にならないダメっ子ツールでした。この後の 4.x というバージョンは市場に出ていません。

Trados 5.x
TagEditor がおおむね実用に耐えるようになったバージョンです。バイリンガルファイルの形式が変更されて互換性がなくなりました。

Trados 6.x
MultiTerm(用語管理ソフト)のファイル形式が大きく変わり、これ以前と以降では互換性がまったくなくなりました。ソフトウェア・ライセンスの登場もここからだったと思います。6.5.x が、買収される前の Trados としては最後のバージョンとなりました。

SDL Trados 2006(Trados 7.5.x)
SDL 社に買収されたてからはこんな名前になりました。正式な製品名としては "SDL" を冠して最後に西暦が付くようになり、バージョン番号は内部的にのみ存続しています。ユーザ間で話をするとき、ちょっと厄介です。使用頻度の高い機能のショートカットなど、細かい修正があります。

SDL Trados 2007(Trados 8.x)
アップグレードしていないので、まだ実機を見たことがありません。

--------------------
Trados って、IT 系翻訳、特にローカライズ業界ではデファクトスタンダードとまで言われていますが、そのわりに情報はあまり出回っていませんよね。「Trados バージョン 歴史」でググったら、自分の書いたエントリがヒットしちゃったくらいです。いくらシェアが高いと言っても、所詮は限られた世界でのことなわけですね。

メモリや用語ファイル、バイリンガルファイルなどの上位/下位互換性については、バージョンごとにかなり状況がややこしいことになっています。

08:51 午前 Trados 全般 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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Tips - 「訳語検索」

(オリジナル投稿 2007/4/19)★★

Trados Workbehch には、メモリ内で原文を検索する「訳文検索」という機能があります。ギョーカイの人は、英語メニューのまま「コンコーダンス一致」なんて言ったりします。

知ってる人は知ってるかもしれませんが、その使い方のヒントです。

検索対象として複数の単語を入力した場合の動作は、AND 検索です。だから熟語などはそのまま入力して検索したくなりますが、実はここに、気付きにくい落とし穴があります。この機能で複数単語を指定した場合、

品詞による重み付けはない

ということです。どういうことかというと、たとえば "...each role that participates in..." という英文に遭遇した場合、人間なら、that や in を辞書でひいたりせず、role または participate という意味上の重要度の高い単語から調べていきますね。その重要度の判断を「重み付け」と、ここでは言っています。

ところが Workbench で "role" や "participate in" の既訳を確認したい場合、そのまま "each role that participates in" と入力してしまうと、その中の 5 単語がまったく平等に検索されることになります。運よくそのままの用例があれば求める訳文にたどり着くのですが、そうでないと、これらの単語が無関係な文脈に、しかも順不同で出現している訳文しか返ってこないことになります。

この例では結局、"participate" だけで検索したら、求める既訳が見つかりました。

--------------------
Trados Workbench の検索ロジックが今一つおバカなのは「訳語検索」に限ったことではありません。ふつうにセグメントを翻訳しているときの検索動作も実は意外と頼りにならないことを、Trados ユーザならたぶん知っていると思います。少なくとも、複数の候補がヒットしたときは、一致率の低い候補も確認してみることをお勧めします。

08:41 午前 Trados Tips | | コメント (2) | トラックバック (0)

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