2018.02.07

# 『翻訳英和辞典』補完計画 5 - apparently

apparently pp.25-26

このシリーズで外すことのできない単語ですが、なかなかいいタイミングです。

先日2/4のセミナーで、私が当日の課題としてarguablyを出したら、深井裕美子さんがまっ先に

「arguably、イヤ~。apparentlyと同じくらいイヤ~」

と叫びました。そのapparentlyが、本書でも取り上げられています。

どのような文脈に使われていても,この語を「明らかに」と訳す人が(英文科の学生にも翻訳者にも)多いが,要注意。『プログレッシブ』は、第3版になって,「『明らかに』の意で用いるのは((まれ));evidentlyが普通」と的確な説明をつけた。

続いて、『グランドセンチュリー』(三省堂、2000年)からも「(実際にはともかく)外見上は,見たところ……らしい(seemingly)」という語義も紹介されています。

このシリーズ、いつも記事を書きながら手元の辞書をいろいろと引いているわけですが、今回は引く前に予想してみます。

おそらく、(今はもう)ほとんどの辞書がこうなっているんじゃないでしょうか。

1 ADV ADV with cl/group, ADV before v vagueness
You use apparently to indicate that the information you are giving is something that you have heard, but you are not certain that it is true.
* Oil prices fell this week to their lowest level in fourteen months, apparently because of over-production.

2 ADV ADV with cl/group, ADV before v
You use apparently to refer to something that seems to be true, although you are not sure whether it is or not.
* The recent deterioration has been caused by an apparently endless recession... 【COB】

外見、という観点はまったくないのがおもしろいですね。1. は「伝聞」、2. は「確度の不足」というところでしょうか。


1. [sentence adverb] based on what you have heard is true, although you are not completely sure about it:
Nelson apparently committed suicide.Apparently, it was a really good party.

2. according to the way someone looks or a situation appears, although you cannot be sure:
Campaign funds have been used for apparently illegal activities. 【LDOCE5】

Longmanも、1. は同じです。2. がCOBUILDとは違い、「外見や様子」という解釈になっています。


1 based only on what you have heard, not on what you are certain is true
2 used for saying what seems to be true when people do not yet know all the facts of a situation 【MED2】

用例は省きました(以下同)。Macmillanの語釈もCOBUILDとほぼ同じですが、yetと入っているところが、おもしろい。たしかに、「まだよく知らないこと」について言う場面は多そうです。


1 見たところでは, 見掛けは, 外見上, どうも…らしい (seemingly).
2 《まれ》 明白に (evidently).
3 《廃》 公然と (openly), はっきりと. 【新英和大】

【1】《文修飾語》 外見上,見たところでは,どうも…らしい:
【2】明らかに,明白に
*この意味では通例 evidently を用いる.【RHD2】

1 [しばしば文修飾](実際はともかく)見たところは…らしい《◆only, merely と共に用いることが多い;cf. evidently, obviously》
2 明らかに∥(Very)
3 [文修飾](予測・見かけとは違って)実際は(in fact) 【G大】

三大英和は、さすがにしっかりおさえています。『新英和大』に《廃》語義 3. が載っているところは、「Shakespeare から IT まで」という同書のモットーどおりです。

『ランダムハウス』には、ラベルはありませんが語法の注意書きがあります。ちなみに、RHD2の親辞書と同内容の『Random House Webster's Unabridged Dictionary』には、形容詞apparentしか載っていませんでした。

『ジーニアス大』が語法を詳しく書いているところにも、この辞書の特徴がよく出ています。


『リーダーズ』は、第2版になかった《まれ》というラベルが第3版で追加されいます。


最後に紹介するのは、これ。

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1802072

どうですか、この詳しさ!

圧倒的じゃないか、ウィズダムは!

と、思わず銀河万丈の声で叫んでしまいたいほどです。

[推測]
[疑念]
[矛盾]

のように大まかな意味が書かれていますが、このスタイル、私はけっこう好きです。「英和辞典の使い方」を見ると、

機能語や多義の項目,談話辞などでは,語義の冒頭に[[ ]]に大まかな意味・用法を示す.

と説明してありました。


学習英和辞典の良さを紹介するとき、これからはapparentlyを使うことにしましょう。

『ジーニアス英和』も、かなりのスペースを割いています。G4とG5でもだいぶ違うので、お持ちであれば比べてみてください。


なお、apparently はこちらの本でも取り上げられています。

私が持っているのは、分冊だった時代のやつで、これの第1巻と第3巻に登場します。

この本の説明、河野先生とちょっと違います。お持ちの方は、見比べてみるのも一興です。


今は、合本にさらに改訂を加えたこちらが出ていますよね。

01:41 午後 『誤訳をしないための翻訳英和辞典』補完計画 | | コメント (0)

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2018.01.31

# 『翻訳英和辞典』補完計画 4 - anything but

anything but pp.24-25

p.20の and とか p.22の another なんかもネタになりそうなのですが、あまり細かく取り上げていると挫折しそうなので、なるべくどんどん進みます。

anythingでもnothingでも後にbutがつくと,翻訳のベテランでも一瞬いやな感じに襲われるもの。

ほんと、そうですよね...。で、お題になっているのは、こんな文。

Those easy-to-use home medical tests can be anything but.(TIME誌,3/26/2001号)

anything but のうしろに名詞などがなく、そこで終わっています。

「とんでもない,まるでだめ」という訳を出しているのは『リーダーズ』,『ジーニアス』,『ロイヤル』,『プログレッシブ』くらい。『コウビルド』の用例は的確ではっきりしている。

ここに書かれている『ロイヤル』というのは、『ロイヤル英和辞典』(旺文社、1994)で、現在は絶版。私の手元にもありません。


これはぜひ、みなさんも手元の辞書環境で引いてみてください。成句なので、どう使えば引けるのか、自分の辞書環境ごとに確認するいい機会です。

なお、東京と大阪で開催する『脱・辞書の持ち腐れ』セミナーでは、こういうポイントも取り上げます。


以下、私の手元で検索した結果をご覧ください。

Jamming、前方一致

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Wiktionary(2017年9月版)に、anything butで終わる語義と例文が載っていますが、全体にヒットはあまり多くありません(17件)。新英和大には、以下の記述があります。

・[独立的に] You look like a gentleman. ―(I'm) anything but. ご立派な紳士とお見受けしますが―とんでもありません.

これは第6版ですが、第5版にも載っています(このシリーズのために、第5版、買い直しました!)。語義としては近い気もするのですが、上の課題文とは使い方が違うという判断だったのでしょうか。


Jamming、一網打尽、[熟語]

前方一致では見出しか検索されないので、成句があまりヒットしないのは当然です。Jammingの場合、成句を引くには[一網打尽]というオプションを使います。細かい違いはあるのですが、ひとまず[前][後][条][複][ク]はすべて押し込みます。いちばん右を[熟語]にすると、anything butを熟語として検索する、つまりこの語順限定で検索します。

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全部で20件と表示されていますが、増えたのは、「R2」だけですね。用例は……

・Did you enjoy your visit?―Anything but. ご旅行はよかったですか―まるで.

これ、新英和大と同類です。河野先生、リーダーズにはあったとおっしゃっていますが、新英和大には言及なさっていません。まあ、載っている辞書をすべて書かなきゃいけないわけではないのですが……。


Jamming、一網打尽、[And]

ヒット件数が一気に増え、1,797件になりました。同じ[一網打尽]ですが、右端を[And]にしています。こうすると、語順は関係なく、「anythingとbutをともに含む」という指定になる(but...anything...のような用例もヒットしてしまう)ので、いきなり増えるわけです。ただ、こうしないと成句がヒットしない辞書もあります。

つまり、成句を万全に引くには[And]を指定するしかないが、検索結果が多くなりすぎる、という困ったジレンマがあるということです。

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RHD2、G大など、一気に増えました。


Logophile、[前][後]

同じ辞書タイトルが入っているわけではありませんが、Logophileの前方一致だとゼロ件です(スクリーンショット略)。[前][後]ボタンを押し込んで、つまり「後方一致」も合わせると、新英和大、うんのさん、英辞郎v145などがヒットします(計4件)。


Logophile、[前][後][キ]、[成句]

Jammingで[一網打尽]の[熟語]を使うのとほぼ同じになるのが、Logophileでは[前][後][キ]のボタンを押し込み、[成句]を選んだ状態です(それ以外のボタンは、このスクリーンショットと同じようにしてください)。

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※私のLogophileは、このように英英学習辞典が中心になっています。

Jammingと同じように、Logophileでも[And]に切り替えると結果が増えますが、やはり不要なヒットだらけになってしまいます(スクリーンショット略)。

さて、河野先生はCOBUILDの例文も載せていらっしゃるのですが、私のCOBUILDには同じ例文が載っていません。版の違いかと思いますが、私の手元には第4版、第5版(2006)、第6版(2009)しかありません。ダメ元でオンラインのCOBUILDを見たらありました。

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ちなみに、これはEBWin4の画面です。EBWin4はこのように、Web検索もできてとても便利です。


EBWin4、[前方一致]

スクリーンショットは略しますが、EBWin4でも[前方一致]だとほぼ同じ結果です。

EBWin4、[自動検索]、"anythingbut"で検索

あまり知られていませんがJamming/Logophile/EBWin4いずれでも、スペースを空けずに成句を入力すると「熟語・成句」の検索、つまりこの語順限定の検索になります。スペースを空けると、AND検索するのと同じことになります。

Jammingの[一網打尽]、Logophileの[キ]とほぼ同じになるのが、EBWin4では[自動検索]です。

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検索語にスペースを入れて"anything but"とすると、And検索(語順を考慮しない)になってしまい、2,700件近くヒットしてしまいます。

辞書によっては、[複合検索]を使わないと成句がヒットしない場合もあります。私のEBWin4環境では、たとえば『研究社 英和中辞典7』がそうです。

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LogoVista、[成句]

汎用辞書ブラウザに比べて使いにくいと不評なLogoVistaブラウザですが、辞書によっては[成句]インデックスがあって、確実に成句を検索できる場合があります。

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このように、汎用辞書ブラウザで成句を引くには、ブラウザの機能と辞書ごとの作りを把握しておく必要があります。もちろん、紙の辞書の時代のように、中心となる単語を引いて項目内を見ていく(Ctrl+Fで検索する)という方法もありますが、せっかく電子媒体なのですから、機能をうまく使えるようになりたいところです。

ちなみに、アプリ(特に物書堂の)だと、「成句」「用例」の検索オプションがあって、かなり楽です。

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(ウィズダムより)

10:06 午前 『誤訳をしないための翻訳英和辞典』補完計画 | | コメント (5)

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2018.01.28

# 『翻訳英和辞典』補完計画 3 - ancient

ancient pp.19-20

ancientはアメリカの口語で,very, very oldという意味の,ややおおげさで自嘲的な言い方。訳してみれば,「よぼよぼのもうろくじいさん/ポンコツ老人/ヨイヨイの年寄り/くたばり損ないのじじい」といった感じ,<古代生物>という意味はまったくない。自分勝手に解釈をして感動にふけるのは自由だが,読者に間違った情報を与えてはいけない。

けっこう厳しい口調です。続いてジーニアスが登場、

学習者向けの手近な英和辞書を見てみても― 『ジーニアス 第2版』:《略式》[通例おどけて]時代がかった,古くさい(◆old のおおげさな表現)(後略) と正しく雰囲気をつかんでいる。

さらに、

なお,『ジーニアス 第3版』では「[通例おどけて]」の説明が消えているが,これは入れておいたほうが親切であろう。

と続いています。

本書ではG3までしかフォローされていないので、その後の状況を見てみました。

ちなみに、河野先生が引用なさっているG2とG3はこうです。

1801281g2_2

これがG2。形容詞に《略式》[通例おどけて]、名詞に《古》[おどけて]というラベルが付いています。

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こちらがG3。たしかに、[通例おどけて]と[おどけて]がなくなりました。


これがG4ではこうなり、

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G5ではこうなっています。

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なんと、G4、G5では、

《◆old のおおげさでおどけた表現》

という形で、「おどけて」の文言がちゃんと復活しています。もしかしたら、ジーニアスの編集部(もしくは執筆者のどなたか)が、この本を読んでいたのかもしれません。

2001年 - G3 刊行

2002年 - 『誤訳をしないための翻訳英和辞典』初版刊行

2006年 - G4 刊行

という時系列ですから、その可能性は十分にありそうです。

また、G4では語義2としてまとめられていたのがG5では語義3として独立しているほか、この意味の名詞がなくなっています。


ということで、ジーニアスの着実な進化の一例がうかがえるサンプルでした。

02:19 午後 『誤訳をしないための翻訳英和辞典』補完計画 | | コメント (0)

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2018.01.26

# 『翻訳英和辞典』補完計画 2 - aloud

aloud pp.17-18

これほど簡単な副詞を,どうしてこれほど多くの訳者が誤解しているのか不可解。(中略)aloudは「声に出して;ふつうの声で」の意味に用いられることが多く,今ではほとんどの辞書が「aloudをloudlyの意味に用いるのは《古》」と記している。

aloudの話は、授業でもお話しになったことがあり、よく憶えています。「今ではほとんどの辞書が~」とあるので、そこの事情を見てみましょう。

ちなみに、『誤訳をしないための翻訳英和辞典』で引用されている辞書のなかには、版が古いものがあります。

『広辞苑 第4版』(1991)
最新版はもちろん第七版(2018)ですが、私の手元はまだしばらく第六版(2008)です。

『ジーニアス英和辞典 第2版』(1998)、『ジーニアス英和辞典 第3版』(2001)
最新版はG5(2014)。私の手元には第2版からすべてあるので、必要に応じて参照してみます。

『新英和大辞典 第5版』(1980)
現在は第6版(2002)。この20年間の隔たりは、かなり大きそうです。

『新明解国語辞典 第4版』(1989)
最新版は第七版(2011)。私の手元には、第六、第五、第四があるので、必要に応じて参照してみます。

『リーダーズ英和辞典 第2版』(1999)
最新版は第3版(2012)。

このほか、『誤訳をしないための翻訳英和辞典』改訂増補版では、旧版にはなかった『オーレックス英和辞典』と『オーレックス英和辞典』が加わっています。しかも、それぞれ2013年、2016年と書いてあるので、本編のどこかに反映されているはずです。追加された「増補60」の内容かもしれません。

また、『ニューサンライズ英和辞典』(旺文社,1998)と『ロイヤル英和辞典』(旺文社,1994)は、増補版で「2017年現在絶版」と注記されました。


三大英和と、うんのさんには、ちゃんとラベルがあります。

2 《古》 大声で, 声高らかに. 【新英和大】

【3】《古》 大声で,声高に,声高らかに 【RHD2】

2 ((古)) 大声で(loudly). 【G大】

《古》 大声で[声高く, 高らかに] 【うんの】


R2、R3にもありました。


学習英英辞典になると、もっとハッキリしています。

CALD3、COBUILD、MED2、MWALには、loudlyの意味すら載っていません。

LDOCE5には、次のような注意書きもあります。

Do not use aloud to mean ‘in a loud voice’. Use loudly: You need to speak quite loudly for the people at the back.

同じLongmanでも、LAAD2(米語辞書)になると、

literary in a loud voice: He cried aloud in pain.

が載っていて、やはり literary というラベルが付いています。

おもしろいのがOALD8です。

2 in a loud voice She cried aloud in protest.

と、何のラベルもなく載っていますが、ちゃんと次のような語法情報を載せているからです。

1801261
※見やすいので、OALD9製品版の画面を載せました。内容はOALD8でも同じです。

「aloudは、out loudと同じで、「人に聞こえるように」の意だ、と。ただし、「大声で」の意味でも使える、としています。

OALDでもうひとつおもしろかったのは、かなり古い第3版(1974)です。こちらには、

2. loudly, so as to be heard at a distance: He called ~ ;for help.

というのがまだ載っていて、語義の変化を見ることができます。ちなみに、OALDの歴史については、JTF発行の『日本翻訳ジャーナル』第284号(2016年7/8月号)、「帽子屋の辞典十夜」連載第2回で詳しく紹介しています。


最後に、学習英和辞典を見てみます。

2 大声で《★通例次の句以外は {古}》 【英和中】

2 《文》 大声で(loudly) 【ウィズダム】

2 大声で(loudly) 【オーレックス】

2 大声で(≒loudly) 【ライトハウス】

2 《文》=loudly 【G4】

2 =loudly 【G5】

気になるのはジーニアスで、G4まであった 《文》 のラベルが、G5ではなくなっていました。しかも、リンク先のloudlyに関する語法情報も変わっています。

loudly
1. 大声で(←→softly)《◆(1) speak, sing, laugh, cry, play などと共に用いる;loud より堅い語. (2) aloud は silently の反対で「声に出して」;出す声の大きいのが loudly, 小さいのが low》 【G4】

loudly
1. 大声で(←→softly)《◆say, speak, sing, talk, sigh, laugh などと共に用いる;loud より堅い語 【G5】

なぜ、こうなったのでしょうか……。


01:31 午後 『誤訳をしないための翻訳英和辞典』補完計画 | | コメント (0)

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2018.01.24

# 『翻訳英和辞典』補完計画 1 - absent

ということで、『誤訳をしないための翻訳英和辞典』補完計画を始めます。

なお、このシリーズで使う辞書名の略記については、こちらのファイルをご覧ください。

翻訳者が使う定番辞書 一覧 - 2018年1月25日版
(Wordファイル約50KB)


absent p.12

Absent an unlikely delay, he will die without the benefit of the latest DNA test...
このabsentは前置詞で,「~がないので,~がないかぎり」の意味。(中略)
比較的よく使われる用法だが、中型の英和辞書には記載のないことが多い。


「中型の英和辞書には~」と書かれているとおり、三大英和(新英和大、RHD2、G大)にはいずれも載っているし、R2、R3にも載っています。

では、中型、学習英和辞典を見てみましょう。

―前
《米・かたく》 ...がなければ; ...がないので(without) 【ウィズダム】

―前
《米》 ...なしで(without)
absent any other evidence ほかの証拠がないので 【オーレックス】

preposition
without
Absent a detailed plan, the project was doomed from the start. 【CALD3】

4 PREP
If you say that absent one thing, another thing will happen, you mean that if the first thing does not happen, the second thing will happen. (AM FORMAL)
* Absent a solution, people like Sue Godfrey will just keep on fighting. 【COB】

prep US formal : in the absence of (something) : WITHOUT
〈Absent any objections, the plan will proceed.〉
〈Absent such an agreement we can go no further.〉 【MWALD】

―前 《米》 …なしに, …がなければ《しばしば非正用法とされる》. 【英和中】

―前 《米正式》 …なしに, …がないので;…がない場合は(without)
Absent scientific evidence, her claims were rejected.
科学的証拠がなかったので, 彼女の主張は退けられた. 【G5】

手元にある代表的な辞書には、だいたい載っていました。英和中が「しばしば非正用法」と書いているのは、新英和大と同じです。


ちょっと苦労しそうなのは、「~ないので」という確定条件なのか、「~なければ」という仮定条件になるのかが文脈しだいだろうということでしょう。

『誤訳をしないための翻訳英和辞典』のp.12で、河野先生はランダムハウスに載っている例文の訳をおかしいと指摘なさっていますが、その判断もちょっと難しいのかもしれません。

11:54 午後 『誤訳をしないための翻訳英和辞典』補完計画 | | コメント (0)

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