2020.08.05
#『マスコミ用語担当者がつくった 使える! 用字用語辞典』
ちょっとおもしろい用字用語辞典が出ました。
『マスコミ用語担当者がつくった 使える! 用字用語辞典 』 (三省堂)です。 私たち翻訳者が準拠する用字用語辞典といえば、
『共同通信社 記者ハンドブック』
とか
『時事通信社 最新 用字用語ブック』
が一般的ですが、「マスコミ用語担当者がつくった」と謳っているだけあって、なかなかおもしろい工夫があります。
しばらくは、これをいろいろと使ってみようと思います。
『記者ハンドブック』のように項目ごとに章立てするのでなく、ほぼすべての情報がふつうの国語辞典と同じように五十音順 で並んでいます。
あ、そうそう。横書き なのも用字用語辞典としては珍しい。
まとう [◆纏う]「身にまとう」
のように常用漢字外の漢字は◆で、また
けれん [◇外連]「けれん味のない文章」
のように常用漢字外の読みなどは◇で表し、最小限の例文を「一般的な表記」のほうで示しています。このあたりは他の用字用語辞典とだいたい同じですが、漢字の使い分け情報などは記者ハンより詳しい気がします。
おさまる・おさめる 収まる・納める 中に入れる。収拾する。取り込む。良い結果を得る。 「争い・インフレ・風=が収まる / 丸く収まる / 不平が収まらない / 怒り・成果・利益=を収める / カメラに収める」納まる・納める あるべきところに落ち着く。とどめる。引き渡す。納付・納入する。「椅子・写真・ビデオ=に納まる / 得意先に品物を納める / 税金を納める / ひつぎ・胸=に納める / 納まり返る / 歌い・聞き・見・仕事=納め」治まる・治める [←→乱]問題のない状態になる。鎮まる。統治する。癒える。「痛み・気・せき・国=が治まる / 暴動・水・領地=を治める」修まる・修める 人格・行いを立派にする。身につける。「身持ちが修まらない / 学業・身=を修める」
漢字の意味と使い分けの例が、このように簡潔に、かつ必要十分に書かれています。国語辞典や他の類語辞典でも、なかなかこうはいきません。簡単なコロケーション集にもなっています。
かと思うと、
マティーニ [martini][カクテル]
マナグア [Managua]ニカラグアの首都。
マツダ 日本企業。*1984年に「東洋工業」から社名変更。ロゴは「MAZDA」。
といった百科的な名詞が、ごく簡単な説明とともに(場合によっては英語の綴りも)載っています。[カクテル]というのはカテゴリー表記ですね。ちなみに、「マティーニ」は記者ハンのカタカナ語リストにも載っていますが、記者ハンには英語綴りも説明もありません。「マツダ」の説明文も、分量と加減がなかなかいい感じじゃありません?
まつもと 姓松本 松本幸四郎(歌舞伎俳優。十代目=1973~)松元 松元恵実(ミュージカル俳優。1988~)
代表的な日本人の姓を示した項には、主な著名人が登場します。
コロコロ |商|〔ニトムズ〕→ 粘着式クリーナー
manaca (マナカ)|商|〔名古屋交通開発機構、エムアイシー〕 → 交通系ICカード
登録商標の言い換えは、かなり充実しています。何がいいって、上の〔ニトムズ〕みたいに、商標を所有している企業が書かれているところです。これはなかなか楽しい。
ってか、「コロコロ」って商標だったんですね。「チンする」みたいな、ただの俗称かと思ってました。また、この逆に、
サイコロキャラメル *商標は「北海道サイコロキャラメル」〔明治〕
と一般名詞から商標を教えてくれる項目もあります。
誤用や俗用も載せていますが、一方的に「誤り」とするのではなく、世論調査のパーセンテージを示したうえで、○や△を付けるという方針です。
しきいがたかい 敷居が高い |世論調査|「あそこは敷居が高い」 ○相手に不義理をしてしまい、行きにくい。*2008年度 42.1% △高級過ぎたり、上品過ぎたりして、入りにくい。*同45.6% △「店構えが立派過ぎて私には敷居が高そうだ」は「気後れしそうだ 」などと言い換える。「ゴルフを始めていきなりコースに出るのは敷居が高い」のように、達成するには難度が高いと言う場合は「ハードルが高い 」などとする。
誤用には、こういう重言の指摘もあります。
|重|初デビュー → デビュー *debut(仏語)=初舞台。
「ソーシャルディスタンス」とか「コロナウイルス」「COVID-19」などの新語が載っているあたりは、さすがに新刊だけありますが、そのほかにも、たとえば
ディーエイチシー DHC 日本企業。*登記名は「ディーエイチシー」。DHCは旧社名「大学翻訳センター(Daigaku Honyaku Center)」の略。
こんなのまでありました。
そのほか、本書は「マスコミ」が前提なので、アクセントの表記や解説もたっぷり。たとえば、
「時」を表す言葉のアクセント
というコラムには ①「おととい は雨だった」 ②「おととい 受けた試験」 この2つで「おととい」のアクセントが違うことも解説されています。
ただし、「言い換え」が必要という点ではぜひ載せてほしい不快語・差別語はあまり(ほとんど?)載っていません。「外人 → 外国人」など、わずかです。
また、記者ハンにある「肩書きの付け方」とか「数字の書き方」などの情報はまったく載っていないので、記者ハンなどを完全に代用するものではありません。
かなり実用的で、それでいて、ときどきおもしろい発見がありそう。近年にない収穫です。
※記事中、|重|、|商| のように表記した箇所は、実際には丸付き文字です。
10:14 午後 書籍・雑誌 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2020.07.15
# 「おうちでレッスンシリーズ」始まります!
すでにご連絡しているとおり、翻訳フォーラム のリアルイベントも今年は中止になりました。
その代わりとして、しばらく前から過去のイベントの内容をYouTubeチャンネルでお届けしています。
side A:# 翻訳フォーラムのYouTubeチャンネル
今のところ、動画が9本アップされています。
そして、いよいよ「レッスンシリーズ」 もオンラインで再開することになりました。
リンク:「最初に買う辞書・使う辞書」(翻訳フォーラム・おうちでレッスンシリーズ#1)
第1回は今月の26日(日)、午後2時から。
講師は深井裕美子が務めます。
今までのレッスンシリーズと違って、日本の
世界中どこからでも
参加できます!(時差はいかんともしがたいのですが……)
[題材・持参物について]
※以下の講義で使用した「犬のビデオ」を使います。
「犬のビデオ」って何? という方は、ぜひご参加ください。翻訳学習中でも翻訳のベテランでも、きっと「目からウロコ」の体験を味わえます。
あ、そうそう、念のため。「ビデオ」というのはあくまでも素材であって、映像翻訳に寄った講座ではありません。分野に関係なく 、翻訳に必要なお話です。
「犬のビデオ」で「ああ、あれね!」と思った方、2度目でもかなりの確率で発見があるはずです。私自身、今までに3回くらい参加していますが、毎回「あぁ、なるほど」と思わされました
↑ なんか、怪しい講座の体験談みたいですが、これ本音です。
そもそも、同じ言葉を扱っても毎回なにかしら違うことを発見する って、そのこと自体、翻訳に大いに通じるところがあると思いません?
■
「おうちでレッスンシリーズ」は今後も、不定期ですが続く予定です。
「おうちで」がとれて、リアルの「レッスンシリーズ」を再開できる日が待ち遠しいのは確かですが、オンラインにもいろいろなメリットがあります。今後とも、ご期待ください!
05:24 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2020.06.28
# では、有料の辞書サイトだったらどこまでいける?
前回の記事、
「# 無料の辞書サイトでどこまでいける?」
の最後にまとめた総論をもう一度引用します。
無料で使える辞書サイトは―
・英英 は◎ 学習レベルから一般レベルまで、無料サイトだけでも十分 。
・英和・和英 は× 無料サイトだけではどうにもなりません 。
・国語は△ 大辞泉、大辞林は役に立ちますが、小型国語辞典は必要 です
これでわかるように、英和・和英と国語を補完しなければなりません。
では、有料の辞書サイトまで広げ てみたら、上記の不足分を補完して、翻訳者としていちおう恥ずかしくない
最低限の辞書環境 を
そろえられるのでしょうか。そろえられるとしたら、
どのくらいの投資が必要
なのでしょうか。
有料の辞書サイト一覧
まず、有料の辞書サイトにどんなものがあるか、いくらかかるのかを一覧にしてみます。料金はすべて税込みです。
ジャパンナレッジ
JKパーソナル …… 16,500円/年
JKパーソナル+R …… 22,000円/年
※JAT、JTFの会員は2割引き
研究オンライン・ディクショナリー KOD
個人スタンダード …… 6,050 円/年
個人アドバンスト …… 12,100円/年
※
このほか、三省堂にも有料サイトはあるのですが、今年の9/30で終了になると発表されているので今回は除外しました。
DONGRI
辞書ごとに購入。1コンテンツあたり1,000円/年前後から。
三省堂デュアル・ディクショナリー
サイト自体は無料だが、書籍辞書の購入が必要
Oxford English Dictionary
$295/year
前々回の記事 で詳しく書きました。
Merriam Webster Unabridged
$29.95/year
前回の記事で軽く触れています。
最後の2つは英英の一般辞典で、ここまでは要らないという人も多そうなので除外し、国内の辞書サービスに限って見ていくことにします。
なお、前回の無料サイトにはありませんでしたが、「専門辞典」というカテゴリーも加えています。有料サイトになると、専門系の辞書も充実してくるのが特長のひとつだからです。
●ジャパンナレッジ
(クリックで拡大できます。以下同)
詳しくは、コンテンツ一覧 をご覧ください。アスタリスク*を付けたコンテンツは、「パーソナル+R」で使えます。
英和・和英辞典のラインアップ:
『ランダムハウス英和大辞典』
『プログレッシブ英和第5版、和英第4版』
『ビジネス技術実用英語辞典V6』(うんのさん)*
専門辞典のラインアップ:
研究社『理化学英和辞典』*
研究社『医学英和辞典』*
小学館『SPED理工系英和辞典』*
小学館『プログレッシブビジネス英語辞典』*
国語辞典のラインアップ:
小学館『日本国語大辞典第2版』
小学館『デジタル大辞泉』
小学館『デジタル大辞泉プラス』
ランダムハウスをオンラインで使えるのは、現在ここだけ です。プログレッシブは、コトバンクより版が1つずつ上がっています。うんのさんは、パーソナル+R コースでないと使えませんが、オンライン版は更新が続いています。
このほか、+R にすると各種専門辞書がぐっと増えるので、6,000円弱の差額分の価値は十分あります。+Rで増える専門辞典のうち、『プログレッシブビジネス英語辞典』は、日向清人さんも執筆に加わっている名辞典の電子版です。
国語辞典は、日国を除くと無料のコトバンクと変わりません。日国は、あればもちろん便利なのですが、さらに上級向けという位置付け。ひとまず辞書をそろえたいというニーズから考えると、翻訳者必携というほどではない でしょう。
(帽子屋よりひと言)
残念ながら、総合的には文句なくトップランクと言えるジャパンナレッジも、こと英和・和英に関しては△です。英和・和英の拡充という目的だけ考えると、お薦めからやや外れてしまいます。国語辞典も一般的には十分ですが、翻訳者の用途を考えると、まだ△です。一方、専門辞典の充実ぶりは、他のサイトの追随を許しません。
●研究オンライン・ディクショナリー KOD
アスタリスク*をつけたコンテンツは、「アドバンスト」で使えます。上のスクリーンショットで選択できないのがアドバンストのコンテンツです(私はスタンダード契約なので)。
英和・和英辞典のラインアップ:
研究社『新英和大辞典第6版』
研究社『新和英大辞典第5版』
研究社『リーダーズ第3版+プラス』
研究社『ルミナス英和・和英』
研究社『新編英和活用大辞典』*
専門辞典のラインアップ:
研究社『英和コンピュータ用語辞典』*
研究社『理化学英和辞典』*
研究社『医学英和辞典』*
国語辞典のラインアップ:
三省堂『スーパー大辞林3.0』
研究社『日本語表現活用辞典』*
研究社『類義語使い分け辞典』*
翻訳者必携の新英和・和英大辞典とリーダーズがオンラインで使えるのはここだけ です。これだけでも、使う価値は十分。そのうえ、オンラインの特性を生かして、新語も定期的に追加されています(Oxford や Merriam Webster ほどの早さはありませんが)。
アドバンストコースにすると専門辞典が増える点はジャパンナレッジと同じですが、日英翻訳に欠かせない『新編英和活用大辞典』 も使えるようになります。また、国語系も増えるのがKODの特長です。
『日本語表現活用辞典』は、こちらの書籍の電子版。
また、『類義語使い分け辞典』の元本はこれ。
(帽子屋よりひと言)
翻訳者必携の英和・和英をオンラインでそろえる、という条件だけ考えれば、KODは唯一の選択肢となります。こちらも、どうせならアドバンストにして専門辞典も利用できるようにするといいのかもしれません。
●DONGRI
少し前に記事を書きました(# 辞書サービス「DONGRI」 )。
辞書コンテンツを年間ライセンスで購入するタイプです。学習者(小中高生)がメインのターゲットなので、翻訳者ご用達のコンテンツは多くありません 。
ただし、どこでも電子化されていない『現代国語例解辞典』があります。それも含めて、『明鏡国語辞典 第二版』と『新明解国語辞典 第七版』もあるので、オンラインで小型国語辞典を使いたい というニーズなら、ここしかありません。
『明鏡国語辞典 第二版』 1,100円/年
『新明解国語辞典 第七版』 980円/年
『現代国語例解辞典』 980円/年
と、お値段も手頃です。『明鏡国語』の再現性もなかなかです。
●三省堂デュアル・ディクショナリー
サイト自体は無料で、
書籍辞書を購入すれば利用できる
という変わったサービスです。『ウィズダム英和辞典』のほかにもコンテンツはありますが(多くありません)、ウィズダムのためだけに利用しても十分に元が取れるサービスです。ちなみに、ウィズダムに関しては、第2版~第4版までそろっています。
(帽子屋よりひと言)
個人的には、ある意味、最も理想的な辞書サービスの形態 だと思っています。学習英和辞典は、やはり紙で引きたいときが少なくありません。基本語などを集中的に読みたい場合などです。その一方で、オンラインの手軽さも捨てられない。その両方を満たしてくれるからです。『三省堂国語辞典 第七版』 もぜひ収録してほしい。
以上が有料の辞書サイト。思いのほか少ない。ちなみに、英辞郎にもWeblioにも有料版はありますが、ちょっと趣旨が違うので今回も取り上げていません。
さて、無料で足りなかった分を、有料サイトで補完できたでしょうか。
●英和・和英辞典
まず選択肢になりそうなのは、KODのスタンダードでしょうか。6,050 円/年ですから、まだ初期投資が厳しい学習段階などでも手が届きそうです。ただし、三大英和のうち『ランダムハウス英和大辞典』と『ジーニアス英和大辞典』はあいかわらず欠けたままなので、翻訳者の辞書環境としては、ぎりぎり最低限です。
もう少し余裕があるなら、ジャパンナレッジのパーソナル+R なのですが、22,000円/年というのはかなり割高感があるでしょうか。他のヨーロッパ語もときどき扱うとか、いろいろな分野を相手にするので百科系が必要という方にはお薦めなのですが……。
学習英和は、ルミナスとプログレッシブばっかりです。ウィズダムの書籍版を買って、ぜひデュアル・ディクショナリーを使いましょう。
●国語辞典
有料まで広げても、一向にそろわないのが国語辞典です 。どうも、世間的には中辞典とか大辞典があればいいだろうという認識なのでしょうか。
「辞書に限っては、大が小を兼ねない」というのは、出版社側として当然の常識のはずなのに、小型の国語辞典がどうも冷遇されています。そんななかで唯一DONGRIだけは、小型国語辞典が充実しています。『明鏡国語辞典』と『現代国語例解辞典』の2冊を使うためだけでも、利用する価値があります。
●専門辞典
専門辞典は、KODでもジャパンナレッジでも、上級コース(アドバンスト、+R)にしないと使えないようになっています。はなっから、専門辞典は投資の対象という前提のようです。
以上、前回と今回とで「無料と有料の辞書サイト」をまとめてご紹介しました。翻訳者として仕事をしていける辞書環境をそろえるには、やはりまだ足りません。
では、オンライン以外の辞書に、あとどのくらい投資すればいいのでしょうか。次の記事をお待ちください。
p.s.
個人的には、オンラインでどれだけそろったとしても、それだけで安心はできない と考えています。無料サイトは、明日いきなりサービスが終了しても文句が言えません。実際、『ランダムハウス英和大辞典』はしばらく前まで、無料のgoo辞書で使えましたが、何の予告もなく、いきなり消えてしまいました。
有料サイトでも、サービスの終了(今回の三省堂のように)もありますし、先方のサービスが落ちたり、最悪のシナリオとして自分のネット接続が不調になったりしたら、たちまち使えなくなってしまいます。
それでは、プロが使う道具
とは言えない、そんな気がします。
05:35 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2020.06.27
# 無料の辞書サイトでどこまでいける?
前回は、オンライン辞書のなかでもおそらく最も料金の高いサイトを取り上げました。そこで、今回は逆に
無料の辞書サイトで、どこまでまかなえるか
を考えてみます。オンライン辞書については、これまでも何回かご紹介していますが(参照:オンライン辞書サイトを比較してみた )、情報は毎回新しくなっているので、何度やってもいいでしょう。
なお、英辞郎とWeblioは取り上げていません。自己責任でお使いください ^^;
無料で使える辞書サイト
●コトバンク
(クリックで拡大できます。以下同)
国内の無料辞書ポータルとしては最大です。収録されている辞典・事典の一覧はこちら 。更新情報も載せているので、辞書ポータルとしては良質と言えます。
【概要】
国語辞典と百科事典は充実しています。英語系は学習レベルのみ 。
【英語系コンテンツ】
小学館『プログレッシブ英和中辞典(第4版)』
小学館『プログレッシブ和英中辞典(第3版)』
プログレッシブの最新は英和が第5版(2012年)、和英が第4版(2011)ですが、学習辞典という目的からは問題ないでしょう。
(帽子屋からひと言)
学習英和としては悪くありませんが、さすがに、翻訳者として使う以上これだけではどうにもなりません。コトバンクは小学館系列のサイトなのですから、せめて『ランダムハウス』が入ってくれたら、それなりに翻訳者ご用達になると思うのですが……
【国語系コンテンツ】
小学館『デジタル大辞泉』
小学館『デジタル大辞泉プラス』
三省堂『大辞林 第三版』
小学館『精選版 日本国語大辞典』
大辞泉シリーズは、どちらもオンラインで更新され続けているので、版の表示はありません。『デジタル大辞泉プラス』は、
人物・企業・商品・文学や映画などの作品・作中人物・観光スポットなどを広く集めた「固有名詞に特化した辞典」
なので、映像とかエンタメ系の翻訳者には便利です。
『大辞林』も、最新は第4版(2019)ですが、翻訳者が使う国語の中辞典としては『広辞苑』より向いています。
『精選版 日国』は、なんで無料で使えるの? というラインアップですが、翻訳者が常用する国語辞典ではありません。
(帽子屋からひと言)
翻訳者に必要なのは、大~中規模の国語辞典よりむしろ小型国語辞典です。語法にうるさい『明鏡国語辞典 第二版』 (大修館)や、現代日本語の相をよく反映している『三省堂国語辞典 第七版』 、『新明解国語辞典 第七版』 (三省堂)などが別途必要です。
【百科系・現代用語系コンテンツ】
小学館『世界大百科事典 第2版』
ブリタニカ・ジャパン『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』
小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』
朝日新聞出版『知恵蔵』
百科系は、ほぼ十分という感じです。
その他、人名事典とか、各種のビジネス系用語辞典も収録されています。よくも悪くも、とりあえずまず調べてみるサイト、と位置付けておけそうです。
●ルミナス英和・和英辞典
ご存じのように、研究社にはKODという有料の辞書サイトがあります。『ルミナス英和・和英』はそちらにも収録されていますが、なぜかルミナスだけは無料版もあります(明記されていないが、内容は第二版のはずです)。
(帽子屋からひと言)
無料で使える英語系のコンテンツは、以上で終わりです(Weblioには少しある)。三大英和辞典やリーダーズなど、翻訳者として必携と言えるメインの辞典は、オンラインだろうとインストール版だろうと、やはりお金を出してそろえる必要があります。
ここからしばらくは、英英辞典が続きます。
●Collins Dictionary
同じサイトで、COBUILD(学習英英)も、English版、American版も一度に見られるのが便利です。上の図は、私がよくCOBUILDの特徴を説明するために示す insight の例です。COBUILDの「センテンス定義」がなぜ英語学習者にとって、ひいては日英翻訳にも有益か、この例でおわかりいただけると思います。
If you gain insight or an insight into a complex situation or problem, you gain an accurate and deep understanding of it.
① 可算としても不可算としても使える名詞であること、② gainという動詞を使うこと、③ 後ろの前置詞には into を使うこと、という文法・語法まで、意味と同時にわかるわけです。
さらには、コロケーションとかトレンドといった情報も載っていて、情報はなかなか充実しています。
(帽子屋からひと言)
英英の辞書サイトとして必ず押さえておきたい筆頭です。なお、しばらく前からEBWin4 では表示できなくなっています。表示できないだけではなく、EBWin4自体が死んでしまう ので、いったん[Web辞書の編集]機能で[Enabled]のチェックを外しておくといいでしょう。
●Cambridge Dictionary
辞書特集などでもあまり名前はあがってこないのですが、Cambridge University による辞書サイトです。イメージ的に古そうな印象があるかもしれませんが、ちゃんと新しい単語や語義も載っています。
ちなみに上の例は、「プレスカンファレンス」の意味の presser です。現時点で、英和辞典にはほぼどれにも載っていません。
おもしろいのは、BUSINESS としてときどきビジネス系の語義が載っていること。
予想以上に、産業翻訳にも使えるということです。
(帽子屋からひと言)
学習英英として、Cambridge Advanced Learner's Dictionary 3rd(CALD3)が手元にありますが、その内容をベースに新しい単語・語義が追加されているので、思いのほか重宝します。用例も豊富。なお、English-Japanese にも対応していることになっていますが、出てくる日本語は……まあ、期待できません^^
●LONGMAN
●macmillan dictionary
語義説明の流儀によって、お好みでどうぞ。個人的に、Macmillan の平易さはけっこう好きです。
(帽子屋からひと言)
Macmillan のほうは最近、新語に強くなりました……と思ったら、どうやら読者投稿による語義が載るようになったようです。これは鵜呑みにはできません。
●Merriam Webster
"Webster"という名前は、紆余曲折を経て、辞書を表す一般名詞になってしまいましたが、こちらはいわゆる「Webster の大辞典」(Webster's Third New International Dictionary)の伝統を継ぐ本家 Merriam Webster のサイトです。さすがに、新語対応が早い。内容は Collegiate 版に当たります 。
●Merriam Webster Learner's Dictionary
Merriam Webster 版の学習英英です。学習英英といっても、Longman やCOBUILDより定義がネイティブ向けに近く、こちらのほうがしっくり来るときも、よくあります。
(帽子屋からひと言)
LogoVista から出ている『メリアム・ウェブスター英英辞典』 は、上の学習英英に当たります。製品名称が非常によろしくない。また、上の2つとは別に、Webster's Third New International Dictionary に当たる Unabridged 版は、有料サイトとして公開されており、しかもオンラインで更新が続いています。第4版が出る見込みはまずないということでしょう。
●Oxford Dictionary
ちょっと、入口が使いにくくなった印象です。ODE(Oxford Dictionary of English)に相当する無料版は、Lexicoという名前になりました。
●LEXICO
こちらも新語対応が早く、Thesaurus や Grammar へのリンクもあります。Oxford はもちろんイギリス英語のサイトですか、US にも対応しています。
(帽子屋からひと言)
Oxford系の辞書といえば青系、だったのですが、Lexico では基調が緑になりました。何があったのでしょうか^^
●Wordsmyth
ご紹介するのは初めてです。しばらく前に見つけたのですが、一般の出版社系ではなく、Robert Parks さんという人が始めたプロジェクトから生まれ辞書サイトのようです。
このサイトでおもしろいのが、検索フィールドの下にある
・Beginner's Dictionary
・Intermediate Dictionary
・Advanced Dictionary
というレベル選択の機能です。たとえば、同じく insight を[Beginner]で引いてみると、
definition 1: the power to understand deep meanings or truths.
definition 2: an instance of this power.
と定義されています。1と2の違いは、COBUILDが "insight or an insight" と説明していた可算/不可算の違いに当たります。レベルを[Advanced]にしてみると
definition 1: the power of mind to grasp an essential meaning or truth.
definition 2: the understanding or knowledge of essential meanings or truths.
とだいぶ詳しくなります。こんな風に、レベルを変えて説明されていると多角的に把握しやすくなることがある ので、とらえにくい単語に遭遇すると、ときどき使っています。
●ライフサイエンス辞書
名称とは違い、科学一般の語句に広く対応しています。
英和・和英のインターフェースだけ使っていると、ただの用語集くらいにしか見えませんが、[シソーラス]に切り替えると、類語ではなくいろいろな関連用語が見つかります。また、[コーパス]にすると、
膨大な数のコーパスを見ることができます。
(帽子屋からひと言)
『ライフサイエンス辞書』は、毎年EPWINGデータも販売されています。絶滅危惧種のEPWING仕様を応援したい方は、こちらの購入もご検討ください。
●DictJuggler.net 辞遊人
一見すると、古風な辞書ポータルといったインターフェースなのですが、ここにある「翻訳訳語」は、たいへん貴重な辞書です。詳しくは、こちらの説明 をご覧ください。
以上、無料で使える辞書サイトについてまとめると、こういうことになります。
・英英は◎ 学習レベルから一般レベルまで、無料サイトだけでも十分。
・英和・和英は× 無料サイトだけではどうにもなりません 。
・国語は△ 大辞泉、大辞林は役に立ちますが、小型国語辞典は必要です。
02:04 午前 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2020.06.26
# OEDのオンライン版~まさに格の違い~
3月くらいから、Oxford English Dictionary(OED)のオンライン版を使い始めました。
通常のサブスクリプション料金は
年間215ポンドまたは295ドル と、国内辞書サイトで最も高いジャパンナレッジと比べても、かなりいいお値段です。
さすがにこの値段だし、手元にはCD-ROM版の『OED 2nd』がある(こちらでも、2006年くらいまでの比較的新しい語句が Draft Entry として収録されている)ので、今まで見送っていたのですが、3月頃ふと見たら、割引きキャンペーン中でした(来年の3月いっぱいやってます)。なんと
年間90ポンド!
当然その先は通常料金に戻るのでしょうが、それでもこれはお試しのいい機会、ということで使い始めました。
結論から先に書くと、産業翻訳者にも間違いなく役に立ち ます。私は、来年以降も正規料金で使い続ける予定です。それ以上に、ひと言で言って、
辞書(サイト)としての格の違い
をまざまざと見せつけられた思いです。
「世界最大の辞書」の名にふさわしい内容は言わずもがな、辞書サイトとしての機能という点でも、他のサイトを圧倒しています。
まず、インターフェースに品があります。日常的に使う以上、これって実は重要。
(クリックで拡大できます。以下同)
検索フィールドのほか、最新の更新情報なども載っていることがひと目でわかります。
たとえば、私がつい先日調べた presser という単語を引いてみます。
最初の検索結果ページでは、
・2 つのエントリがあること、
・各エントリの概要(最初の2行)
などが示されます。それだけではなく、Widen search? として、いま調べている単語を phrase 検索する、definition の中から検索する、full text 検索するなどのオプションが並んでいます。
しかも、ページの右のほうにはさらにオプションが表示されていて、いろいろな観点で検索を絞り込むことができます。
今回探していたのは、noun の2番目です。そちらをクリックしてみると、
いわゆる「プレスカンファレンス」を意味する口語 ということがわかります。ちなみにこの語義、今のところ英和辞典ではどれにも載っていません。英辞郎くんも含めて。一方、英英だと American Heritage とか Cambridge、Merriam Webster に載っていました。英語圏の辞書サイトと、日本の各出版社との間で時差がある一例でしょう。
項見出しのすぐ下には、View as: Outline | Full entry というスイッチがあります。右上にはQuotations: Show all | Hide all という切り替えもあり、もちろん Thesaurus などへのリンクもあります。
ページの右端には、前後の見出しも出ています。
そして、「辞書(サイト)としての格の違い」の最たるポイントが、
This is a new entry (OED Third Edition, March 2019).
Entry history
Entry profile
と書かれた部分。この見出しがいつ収録されたか、初出の用例はどこから採取したかといった詳しい情報が載っています。
まあ、ふつうに辞書を使っている分には、こんなところまで見ることはそうそうないかもしれませんが、この例のように新しい語義だと、「いつ頃から使われてるんだろ?」と疑問に思いますよね。そういう情報がちゃんと載っている。
別の例として、authenticate という動詞を引いてみます。
6. の語義 Computing というラベルで、IT の文脈に出てくる意味がちゃんと載っています。自動詞も他動詞もあり、初出は1977年の Computerworld 。IT 屋さんにはおなじみの雑誌名ですね。1993年の用例も UnixWorld 。
そして、ここで注目なのが、右のほうにある書誌情報(←この用語の使い方はあってるのかな……)です。
この項目が2014年6月に更新されていることがわかるだけでなく、Previous version: OED2 (1989) というリンクもあります。そう、
旧版の様子まで見られる
のです。これって、すごくないですか? 「格の違い」ということを、わかっていただけたでしょうか。
■
OEDの偏執狂的なまでの編集方針については、ご存じの方も多いと思います。
とか、
あるいは
が参考になります。OEDの背景にある哲学を簡単には言い表すことはとてもできませんが、
英語という言語の、時間的にも空間的にも広大な世界に散らばっている、そしと次々と現れる無数の言葉の実相を記録にとどめておきたい
そんな執念が形をとったものと言えます。その執念が、オンラインでも見事に再現されている、そんな感じがします。
■
OEDなんて、英文学の専門家くらいしか使わないんじゃん?――
OEDという辞書の存在は知っていても、大半のイメージはこんなものではないでしょうか。でも、繰り返しますが、産業翻訳者にも間違いなく役に立つはずです。ためしに、
Updates to the OED
のページを見てみてください(こちらはサブスクライブしてなくても見られます)。今年4月だけでも、
Covid-19
infodemic
self-isolate/isolation
self-quarantine
social distancing
などが追加されています。
08:33 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2020.06.20
# 日本通訳翻訳フォーラム2020(JITF)のご案内
日本会議通訳者協会(JACI) が主宰するオンラインイベントのご案内です。
日本通訳翻訳フォーラム2020
8月のまる1か月をかけて開催するという、通訳翻訳業界としてはおそらく史上最大規模のイベントになります。
申し込みサイトはこちら 。早割は本日まで。
なお、こちらは
「翻訳フォーラム」のイベントではありません。
「翻訳フォーラム 」(http://www.fhonyaku.jp/ )は毎年5月末に「シンポジウム」を開催していましたが、今年は中止になったことをお伝えしたばかりです。
また、略称はJITF で、
日本翻訳連盟(JTF)のイベントでもありません。
とは言いつつ、私も登壇しますし、翻訳フォーラムの4人(高橋さきの、井口耕二、深井裕美子、高橋聡)も登壇します。さらに、高橋さきの、深井裕美子のセッションもそれぞれあります。
翻訳フォーラム:「翻訳者のなり方・続け 方」
高橋さきの、白倉淳一:「翻訳者と通訳者が語順について語る」
深井裕美子:「パンクチュエーションのひみつ」
高橋聡:「翻訳者と辞書」
そのくらい、通訳・翻訳業界を広く巻き込んだイベントになる予定です。ということで、かなり豪華な顔ぶれです。
(クリックで拡大できます)
■
翻訳フォーラムのYouTubeチャンネルでも、さっそく4人で紹介しています。
VIDEO
オンラインということで、いつものイベントとは違った雰囲気になると思いますが、お楽しみに!
06:24 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2020.05.15
# ウィズダム英和辞典 オンライン版の使い方
「三省堂デュアル・ディクショナリー」は、書籍版の辞書を買うと、対応しているオンライン版も使えるという、三省堂さんのすばらしいサービスです(どういう仕組みかは、調べてみてください)。私も、『ウィズダム英和辞典 第4版』 をいつもここで使っています。
ただし、インターフェースの使い勝手に以前から疑問がありました。ちょっと調べてみましたので、デュアル・ディクショナリー普及のためにも、記録しておきます。
疑問があったのは、主に成句など複数語を検索するときの動作です。
ログインすると、こういう画面になります(※以下、スクリーンショットはクリックで拡大できます)。
検索フィールドの左にあるドロップダウンメニューから[見出し語・複合語で]と[成句で]を選択できます。1単語の見出しや複合語(下の例、day off とか health care)は、ふつうに検索できます。左カラムに結果候補が出るので、それをクリックすればOK。
ところが、実は
成句がうまく引けない
のでした。下の図のように、検索メニューが[見出し語・複合語で] のままだとダメ、これはわかります。
では、検索メニューを
[成句で] にしたらできるだろう……と思ったのですが、これができないわけです。
ちなみに、iOSで使える物書堂アプリだと、[成句]で問題なく検索できます(インデックスの関係なのか、put off については[見出]のままでもヒットしました)。
そこで、検索フィールドの上にある
「使い方」 を見てみることにします。
成句…慣用句など、2語以上の語の結びついたもの
という説明があり、[成句で]の検索メニューも表示されていますが、検索例は plane という1単語。ここを見ても、成句の検索方法は確認できませんでした。そこで、今度は「便利な検索」を調べてみます。
なるほど、AND検索(/)とOR検索(|)が使えるのですね。どちらも半角です。
まさか……と思ってやってみたら、
なんと、成句検索でもスラッシュ(/)を入れてAND検索にしないといけない ようです。11件ということで、物書堂アプリと同じ検索結果を、ようやく得られました。
そして、この動作は「用例検索」でも同じです。
as well as を引こうとしましたが、このまま入力してもヒット件数は0。そこで、スラッシュを入れて as/well/as としてみたところ―
53件がヒットしました。
ということで、
成句や用例を調べるにはAND検索のスラッシュが必要
というのが、デュアル・ディクショナリー版ウィズダム英和辞典の仕様のようです。
ちょっと予想外の結果でした。Googleでもそうですが、何も記号を使わずに複数語を入力したら、暗黙的にAND検索になるのがふつう だと思うのですが……。
使えば慣れるかもしれませんが、できたら改善されるといいなぁ……
05:37 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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# 翻訳フォーラムYouTubeチャンネル、これまでの動画
しばらく前に、翻訳フォーラム・シンポジウムの中止と、翻訳フォーラムYouTubeチャンネルの開設についてお伝えしました。
その後、何本か動画を公開しましたので、まとめてご紹介します。
ご挨拶編もあわせて、全部で5本が公開されています。
【字幕付】シンポジウム&大オフ2020中止とYouTubeチャンネル開設のお知らせ
VIDEO
【字幕付】お籠り読書のススメ①シルヴィア先生とサラ先生(翻訳フォーラムYouTube Ep.2)
VIDEO
【字幕付】コーパスで文例を探そう①青空WINGと国語辞典(翻訳フォーラムYouTube Ep.3)
VIDEO
【字幕付】コーパスで文例を探そう②オンラインコーパスいろいろ(翻訳フォーラムYouTube Ep.4)
VIDEO
【字幕付】お籠り読書のススメ②日本語の接続詞(翻訳フォーラムYouTube Ep.5)
VIDEO
01:47 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2020.05.13
#十人十色のオンラインイベント!
翻訳者はもともと慣れているとはいえ、引きこもり生活にもいささか疲れてきたところではないでしょうか……。
そんななか、同業者の皆さんにうれしいお知らせです。
Facebookの翻訳勉強会「十人十色」 が、駒宮俊友さんを講師にお招きして、オンラインのセミナーを開催します。
2020年5月24日10時~
プロ翻訳者に役立つ「翻訳ストラテジー」入門編 #1
https://peatix.com/event/1480614
2020年5月24日14時~
プロ翻訳者に役立つ「翻訳ストラテジー」入門編 #2
https://peatix.com/event/1480638
2020年5月25日18時~
プロ翻訳者に役立つ「翻訳ストラテジー」入門編 #3
https://peatix.com/event/1481393
2020年5月25日14時~
駆け出し翻訳者にも役立つ「翻訳ストラテジー」入門編
https://peatix.com/event/1481412
上の3つがプロ(現役)向けで、#1~#3は同じ内容です。都合に合わせて選んでいただけるよう、日付と時間帯を変えて3回開催します。
最後の1つは初心者(翻訳学習者)向け。
それぞれのリンク先は Peatix のサイトですが、閲覧にはパスワードが必要です。パスワードは、Facebookグループ、翻訳勉強会「十人十色」のページをご覧ください。
※つまり、このイベントに参加するには、FBグループ「十人十色」への参加が必要ということです。まだ参加していない方で、今回のオンラインセミナーに興味のある方は、ぜひグループにご参加ください。翻訳者、翻訳学習者と確認できしだい、承認します。
■
さて、セミナータイトルにある「翻訳ストラテジー」って何でしょうか。以下、募集記事から引用します。
翻訳とは、原文を単にフィーリングで訳して終わり、 という仕事ではありません。はじめに原文内容を分析し、 翻訳の想定読者や使用用途を検討し、 さらにクライアントからの指示を踏まえたうえで、翻訳の方向性や 訳し方を決めていきます。こうした「翻訳の作戦」を決める過程を、 翻訳学の世界では翻訳ストラテジー(translation strategies)と呼んでいます。
駒宮さんの著書
のなかでもキーワードになっています。私も発刊当時に読んでブログ記事を書いているので、あわせてご覧ください。
リンク:# 『翻訳スキルハンドブック』と、記念トークショー
今回のセミナーも、その「ストラテジー」を中心にお伝えします。翻訳者でも翻訳学習者でも、目からウロコ! の発見があるはずです。
11:05 午前 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2020.04.04
# 翻訳フォーラムのYouTubeチャンネル
ここ数年、だいたい5月くらいに開催してきた翻訳フォーラム・シンポジウムですが、今年は昨今の社会状況を踏まえて中止と決まりました(6月上旬にIJET福岡が予定されていたため、こちらは例年より少し遅くして、6月末に開催する予定でした。ちなみに、IJET福岡も来年に延期となりました)。
かわりに、当面はオンラインで何かしらのコンテンツを配信していく予定です。
その準備として、YouTubeに翻訳フォーラムのチャンネル を作りました。
翻訳フォーラム公式
VIDEO
主に、過去のシンポジウムのコンテンツなどを配信する予定ですが、新しいコンテンツもあるかもしれません。
ぜひ、チャンネル登録 をお願いします!
あ、そうそう。上の動画をご覧いただくと、手術後の私の頭も見られます。
11:51 午前 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2020.02.26
# 「翻訳訳語辞典」バージョンアップ支援のクラウドファンディング
故・山岡洋一さんがお作りになった「翻訳訳語辞典」。今も DictJuggler.net として運営・公開されています。
リンク:翻訳訳語辞典
実際の翻訳で使われた「活きた訳語」が載っていて、しかも類語辞典ともリンクしているとあって、翻訳者に定評があります。私も、常用というほどではありませんが、ときどきお世話になっています。
その「翻訳訳語辞典」が、整備と拡充のために、クラウドファンディングで資金を募っています。
リンク:READYFOR:「翻訳訳語辞典」のバージョンアップ
私も、ささやかながら参加しました。その時点ではまだ1桁万円でしたが、2日ほどでこの金額まで進んでいます。目標額はクリアしそうですが、みなさんもよろしかったらどうぞ。
※上のREADYFOR内の説明文、山岡さんの名前が「山岡洋二氏」になってます。関係者の方、修正お願いします!
さて、この「翻訳訳語辞典」、現在のデータであれば、ブラウザでも使えますし、EBWin4のWeb検索機能に登録して使うこともできます。
が、どうせEBWin4を使うなら、こちらのEPWINGデータを使って他の辞書と一緒に使うのがおすすめ。URLがクリッカブルになっていて、そのままサイトを開くことができます。
方法は、3年くらい前に書いた以下の記事をご覧ください。
リンク:# 『翻訳訳語辞典』の見出しEPWINGデータが登場!
EPWINGデータなのでJammingでも使えますが、表示されるURLからリンク先に飛ぶことはできません。ぜひEBWin4でどうぞ。
08:24 午前 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2020.02.23
# サン・フレアで単発セミナー「帽子屋の辞書講座 とことん実践編」
※最近の記事、セミナーや講座の告知ばっかりでごめんなさい。
リンク:帽子屋の辞書講座 とことん実践編~辞書から考える、英和翻訳の日本語表現~
2020年4月4日(土)13:30~17:30
サン・フレアさん、前回のセミナーは、TQE過去問も使って主にマーケティング翻訳を中心に扱いましたが(おかげさまで満員御礼でした)、今回は分野を特に限定せず、
辞書から訳し方を選ぶ、決める
過程を文字どおりとことん突き詰めるということをしてみます。久しぶりに4時間のロングコース(午前中のフェローが始まる前なので、早めに始められるのです)。
上記のセミナー案内ページでは、loyal、loyaltyという単語を例にあげました。これ、私が最近ずっとやってる仕事にたびたび登場し、しかも loyal である人間の関係が毎回違うので、そのたびに頭を抱えている単語です。ちなみに、当日はこれの元ネタが何かも公開します^^。
英和、英英、英語の類語、国語辞典、国語の類語 …… あらゆる辞書を駆使して、納得できる訳し方 を見つけるまでのプロセスを一緒に考えていきます。
同業者であれば毎日のように繰り返している作業で、そのプロセスを少しでもクリアにできれば、という趣旨の講座です。
loyal のように語義の範囲が広い単語、日英で概念がずれていて苦労させられる単語、英和辞典ではカバーしきれていない単語、凝った言い回、
さらには、povide のような定番中の定番の訳し方まで取り上げます。
単に「辞書にこういう訳し方があります」ということではなく、
・どんな辞書を探せばいいのか
・辞書でどの情報をどう見ればいいのか
・どういう経路で訳し方を見つけていくのか
・最終的にどう訳すのか
という流れを、例文ひとつひとつについて、じっくり解きほぐします。
辞書の使い方にも多少は触れますが、今回はあくまでも、
訳し方にたどり着くプロセスを確認する
ことが目標です。
今までの私の辞書講座は、そろえ方・使い方・調べ方・読み方が中心で、具体例を出しても訳し方まで進めることはほとんどありませんでした。今回は、そういう
辞書引きの最終段階
まで突き詰めることになります。どうぞ、お楽しみに。
03:01 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2020.02.19
# アビリティ・インタービジネス、今年も開講します - 体験授業あり
2018年、2019年と続いたAIBS(アビリティ・インタービジネス・ソリューションズ)の翻訳講座、今年2020年も開講します。
リンク:AIBS翻訳スクール:プロフェッショナル翻訳者育成コース
今年は4/8(水)開講。申し込み締め切りは3/25。
昨年と同様、これに先立って体験授業も実施します。
リンク:翻訳体験講座
2時間の授業が3,500円
ですから、たいへんお得です^^;
帽子屋がこんなことを話す、というのを聞きにくるだけでも、ぜひ。
■
AIBSさんのスクールでは、フェロー・アカデミーのコースのように特定分野には特化せず(マーケティングの英文も扱いますが)、
・総合的な翻訳スキル
・日本語ライティング
・実際の翻訳業務に必要な知識
を身に着けることを主眼に置いています。というのがこちらの講座の特長です。つまり、翻訳課題を解く一方で、私がふだんからあちこちで情報発信しているノウハウもお伝えするという構成になっています。
・辞書のちゃんとした使い方
・日本語文法や英文法
・翻訳者として知っておきたい検索技術
・翻訳に必要な背景知識
・翻訳者として呼んでおきたい参考図書
など、課題中心の講座だけではなかなかお伝えできない内容がもりだくさんです。
01:34 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2020.02.11
# 『この英語、訳せない!』、インデックスデータをEPWING化
越前敏弥さんの近著『この英語、訳せない!』
同業者の皆さんは、もうお読みになっているかと思います。関連イベントもすでに何回か開かれました(私は、どれも都合がつかず、泣く泣くあきらめました)。
同業者も含め、英語に携わっている人であれば何度も首がもげるくらい頷くこと必至。逆に、(私は)知らなかった話もたくさんありました。読み物として楽しく通読できるのですが、この本を辞典的にも使えるようにということで、著者の越前さんがインデックスデータを公開してくださいました。
リンク:翻訳百景:『この英語、訳せない!』インデックス
せっかくなので、index.txtを元に、EPWINGデータも作ってみました。以下のリンクからダウンロードできます。
ダウンロード - echizen_yakusenai_index.zip
解凍したら、EPWINGデータを読み込める辞書ソフト(Jamming、Logophile、DDWin、EBWin4)でお使いいただけます。
※ごめんさない、私自身はJammingとEBWin4でしか動作確認していません。
他のEPWINGデータと同じく、辞書追加の手順で、CATALOGファイルを選ぶだけです。
言うまでもなく、項目にただ原著のページ数(部、項目番号も)が書かれているだけです。もしまだの方は、この機会にぜひ著書をお買い求めください。
07:19 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2020.02.02
# フェロー・アカデミー、2月の集中講座
これまでに2度(2019年の今頃と夏)やった集中講座が、この2月にも開講されます。
リンク:翻訳のためのPCスキル・一般教養講座
これまでは全5回でしたが、今回は全4回のコース。
2/19(水)から毎週水曜19:00~21:00 です。
第1回(2/19)
PCの基本・作業環境/文字入力/検索スキル(ワイルドカード、
ネット検索)/便利なツール
第2回(2/26)
翻訳者の辞書環境/情報収集について
第3回(3/4)
ヨーロッパ文化と英語圏文化(ギリシャ・ローマ神話から聖書・
シェイクスピアまで)
第4回(3/11)
現代の英語圏文化についての雑学(映画など)/トライアルと
今後の勉強方法
第3回と第4回は、翻訳フォーラムなどでやった、通称"サブカル講座"の拡大版ですが、古典の内容が増えています。第2回も、辞書について最新の情報に更新してお伝えする予定です。
なお、フェローはこの2月末に校舎を移転しますが、この講座はひとあし早く移転後の新しい校舎(麹町) で開かれます。
どごて呑もうかな~ ^^;
11:55 午前 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2020.01.15
# 関山先生のJTF関西セミナーに、「おまけ」が付きます
●はじめにお断り●
ここ数年このブログでやってきた年頭あいさつ、今年はできずじまいでした。年末28日に自転車で転倒して軽いケガをし、年末・年始をばたばたと過ごしたためです。年賀状も出せませんでした。各方面、申し訳ございません。
■
さて、先月来お伝えしているとおり、来週1月24日(金)に、辞書学の関山健治先生がJTF関西セミナーにご登壇なさいます。
その追加情報なのですが、私も10分くらい「おまけ」としてお話をすることになりました。
リンク:シソーラスは”宝物”:-たくさんのことばと出会える魔法の辞書を使いこなす-
【追加情報】
帽子屋こと高橋聡(個人翻訳者、JTF理事)もちょっとだけ登壇します。翻訳者ならではの視線で、辞書に関する最新情報をお伝えします。10分ほどですが、お楽しみに!
関山先生のお話を伺うと、いつも、辞書という広大で深い世界に圧倒されます。私たち翻訳者も、世間一般と比べれば辞書と仲良くしている部類ですが、専門家の知識と経験、そして辞書愛にはとうてい及びません。特に、類語辞典となると、知らないことがまだまだあります。
類語辞典についてのイメージがガラっと変わるはず
です。
一方、おまけの私からは、
翻訳の現場で類語辞典をどう使うか
という観点で同業の皆さんにとって身近なお話をする予定です。
申し込み締め切りは21日(火)です。みなさん、大阪でお会いしましょう!
01:37 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2019.12.26
# 関山先生がJTF関西セミナーに!
辞書学の関山健治先生(中部大学)のことは、翻訳者もしくは辞書好きの方ならご存じかと思います。
私も、辞書の話をするたびにこの本(2017年刊)を推薦しています。
その関山先生、2017年のJTF(日本翻訳連盟)翻訳祭と、翌2018年のJTF翻訳セミナーにお呼びしましたが、今回はいよいよJTF関西セミナーに、ご登壇くださります。
リンク:シソーラスは”宝物”:-たくさんのことばと出会える魔法の辞書を使いこなす-
日時:2020年1月24日(金)14:00~17:00、懇親会17:00~19:00
会場:大阪大学中之島センター 3階304(大阪市北区中之島4-3-53)
類語辞典・シソーラスが、英語でも日本語でも翻訳者にとって不可欠なツール であることは言うまでもありません。これまでの翻訳祭と翻訳セミナーでは総論的なお話でしたが、今回はぐっと具体的に、私たち翻訳者にとって必聴 の内容になりました。以下、講演のポイントです。
【講演のポイント】
◎シソーラス=類義語辞典?
◎アルファベット順(五十音順)配列と意味分類順配列
◎英語のシソーラスと日本語のシソーラスの違い
◎シソーラスに語義は必要か?
◎ロジェのシソーラスとWord Menu
◎シソーラスとしてのWordNet
◎こんなシソーラスはいかが?
◎シソーラスとコロケーション(連語)辞典
類語辞典の必要性は感じていながら、使うきっかけがつかめない、類書の違いがわからない、使いこなせていない、という方には熱烈おすすめです。
大阪開催ですが、
この内容を聞き逃すわけにはいかない
というわけで、私も参加します。
それもあって、今月のはじめ、もうひとりの理事(関西セミナーの委員)と一緒に、中部大学の研究室にお邪魔してきました。
中部大学は、名古屋からJR中央本線で約30分の「神領」という駅から、さらに15分ほどバスに揺られた山の上にあります(愛知県春日井市)。
キャンパス人口が1万人を超えるというマンモス校なんですね。
平地より明らかに寒かったのですが、先生の研究室は、予想を超えるパラダイスでした(個人の感想です)。
(主に英語系)
(主に国語系)
左右の壁に、おおむねカテゴリー別に辞書がぎっしり。壁際だけでなく、机の周りからその周囲の床にも辞書の山ができていて、ほとんど人が入る余地もないほど^^
毎日こんななかで仕事している先生が、とても羨ましい(いえ、もちろん、大学のお仕事にはいろいろとご苦労も多いことは承知していますが)。
床だけではなく本棚の上方にも隙間はなく、「地震が来たら~」とつい心配になりました。
手書きで番号が書いてあるのは、Concise Oxford Dictionary(通称、COD)の各版ですね。ちなみに、ウチには4、5、6版と復刻初版しかありません(電子版は10、11、12がありますが)。
そして、関山先生がほかの辞書マニアとひと味違うのは、膨大な数の電子辞書端末もコレクションなさっていること。そのなかで、異色のモデルを見せていただきました。
今はなきSII(セイコーインスツル)の製品ですが、ふつうの電子辞書端末よりふた回りくらい小さく、左上に十字カーソルがあって片手で操作できるというモデルです。しかも、左のモデルは珍しいCOD搭載版。
書籍版ではこんなのもあって、これはとても楽しかったので、帰りがけに思わずポチりました。
10:35 午前 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2019.11.24
# Google検索でWeblioが邪魔 - AHKで排除
先週の11月17日、告知していたとおり、東京ほんま会の「初級AutoHotKey講座」を開催しました。
テリーさんと私がかけ合いで進める形(と言いながら、主にテリーさんに喋ってもらって、私が補足するくらいでしたが)で、かつ内容もかなり絞り込んだ結果、みなさん、いつも以上に満足していただけたようです。こんなブログ記事も。
リンク:東京ほんま会、初級AHK講座のレポート
まず、講師が2人という形式でちょっとした質問もためらわずにできます。また、いただいたマニュアル資料は全7ページで簡潔かつ理解しやすいものでした。これでマニュアルが何十ページもあると初心者は強い抵抗感を覚えるわけです。
進め方と資料については、こちらが狙った以上の効果があったようで、これはとてもうれしいレポートです。Yujiさん、ありがとうございます!
■
さて、それで今回のお題になるわけですが――
最近のGoogle、何か検索すると、やたらとWeblioが上位に出てくる ようになってませんか? 後でいくつか例を出しますが、特に簡単な日本語を検索したときがヒドい。
聞くところによると、やはり検索結果で上位に来るような「施策を多量に、かつ継続的に行って」いるんだそうです。
そういうことなら、こちらも自衛策をとるしかありません。Google検索では、除外キーワードを指定できるのと同様、
マイナス記号でサイトごと除外
することもできます。そして、先週の初級講座でやったように、AutoHotKeyでGoogle検索するようになっていれば、これも簡単に実装できます。
先週の初級講座で説明したGoogle検索のスクリプトはこうでした。
vk1D & g:: ※無変換キー+G の場合
Clipboard =
Send ^c
ClipWait,1
Run https://www.google.com/search?q=\"%Clipboard%\"
Return
この、Runの行にサイト除外を指定するだけです(下記の太字部分)。
Run https://www.google.com/search?q=\"%Clipboard%\" -site:weblio.jp
■
参考までに、Weblioが現状どのくらい邪魔かというと、
・専門性の高い単語になると、それほど出てこない
・日本語でも英語でも、簡単な語句になるとたちまち上位に顔を出す
という感じです。いくつか例をあげてみます。
これ(root of trust)はセキュリティの専門用語なので、さすがに出てきませんが……
このくらいの用語(retail price)とか、
こういう基本英語(curation)になると、ほぼ上位に来ます。英辞郎さんは、残念ながらいつも後塵を拝していますね^^、それ以外の辞典サイトは、さらにその後です。
日本語になると顕著になる。
このくらいの慣用句(先例にならう)とか、
こんな基本語彙(従う)になると、圧倒的にWeblioが優勢。しかも、複数の項目が並ぶので、ウザいことこの上ない。
サイト除外を使うと、たとえば最後の2例はこうなります。
指定したオプションが効いています。
もちろん、Weblioを除いた検索結果が即信用できる、ということではありません。が、煩わしさはずっと減ります。
AHKを導入できた方は、お試しあれ。
12:51 午後 翻訳・英語・ことば 翻訳者のPCスキル | このエントリ
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2019.11.23
# よい子のみんな 大人の言うことには気をつけようね
通訳・翻訳者をめざしているみんな、見てるかな。
さいきん、「だれでも通訳になれる」ってせんでんしてる "こうざ"(おべんきょう、だね)のサイトがあるの、見たことあるかな。
英語講師
翻訳
通訳
自由度
塾や予備校に通い、拘束時間が長い。勤務地か別の件になることもしばしば
納期があり間に合わなければ長時間になることも
自分の都合のいい日に決まった時間で可能
競 合
参入敷居の低さから同業が多く、競争が激しい
・能力が低いとワード単価も低くなってしまう・すぐに高い単価はなかなか取れない
需要過多のため参入すればすぐに稼ぎ出すことが可能
難易度
高い
中~高
低い
漢字が多くて、みんなにはちょっとむずかしいかな。かんたんに言うと、
通訳にはなるのは、かんたん!
ってこと。
だから、だれでも通訳になれるんだって。
すごいね~。あこがれちゃうよね~。この "こうざ" って、聞いてみたくなるよね。
でもね、ちょっとフシギなんだけど、おなじ人 が、ついこの前まで、翻訳者になる "こうざ" もせんでんしてたんだけど、そのときはね、こう言ってたんだよ。
通訳はネイティブ並みに英語を話せることはもちろんのこと様々な分野の幅広い知識が必要とされるためかなり難易度が高かったり、クライアントに付きっきりで仕事しないといけないため拘束時間がかなり長いのです。
これも、漢字が多くてむずかしいけど、
通訳になるのは、むずかしい
ってことなんだ。
あれれ~、おかしいぞ。まったくぎゃくのこと言ってるよね~。
そうなんだ。いいかい、大人のなかには、こういう変なことを平気で言う人がいるんだよ。
みんも、気をつけようね~。
06:18 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2019.10.05
# 翻訳フォーラム・レッスンシリーズ #15「『翻訳と〝絵〟』ワークショップ」
先週、私が担当した「辞書のホントの使い方」が終わったばかりですが、11/9(土)には次のレッスンシリーズが決まっています。
リンク:「『翻訳と〝絵〟』ワークショップ」(翻訳フォーラム・レッスンシリーズ#15)
11/9(土)13:00~
定員 35名程度
翻訳フォーラムのシンポジウムやレッスンシリーズでは、ことあるごとに
絵を描く
ということを言います。これを聞いて、どのくらいピンくるでしょうか。
・文芸翻訳じゃないんだから、絵は描けなくていいんじゃない?
・わかる気はするけど、実際にはどうすればいいの?
・絵は苦手~!
・原文から訳文へ、言葉を置き換えてるだけかも―
そんな方は、ぜひ今回のレッスンシリーズにお越しください。
絵がうまい必要はありません。
でも、絵を、イメージを思い描けなければ、それは原文をちゃんと読めたことになりません。原文をちゃんと読めなければ、正しい訳文にはつなげられません 。
「絵を描く」ことは、「しっかり原文を読み取る」ために不可欠だということです。
「絵を描く」とはどういうことなのか、実際にはどうすればいいのか、「絵を描く」コツはあるのか ―― 原文読解の真髄に、じっくり取り組んでみませんか。
12:58 午前 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2019.09.23
# EBWin4 v4.7.2 - 短縮名の完全制御が可能に!
辞書ブラウザ「EBWin4」、8月28日に最新版が公開されていました。Ver.4.7.2です。
リンク:EBWin4
4.7.0でドッキングウィンドウ化されたとき 、作者のishidaさんがそろそろ最終形みたいなことをおっしゃっていましたが、今回のバージョンアップでいよいよ本当に最終形に近づいた気がします。ついに、辞書の「短縮名」が自由に編集できるようになったからです。
EBWin4に辞書を登録すると、デフォルトでは3文字の名前が辞書バーにならびます。これが辞書の「短縮名」です。
特に何もしなければ、内部的に設定されている名前が自動的に使われますが、[ファイル]→[辞書の編集]で[短縮名]に任意の名前を入力して変更することができる……はずなのですが、実はそれがうまく反映されないことがあって、長らく不満でした。
4.7.2.では、これがちゃんと変更できるようになりました。個人的には、とてもうれしい進化です。
注意:
EBWin4、進化しているのはうれしいのですが、バージョンアップしようとしてインストールに失敗する例も報告されています(私の環境でもありました)。必ず旧バージョンのインストーラは確保しておいてください。また、公式ページに「EBWin4.5.5 R2 - ドッキングウィンドウ化前の安定版」というのが公開されているくらいなので、4.7.0以降は特に不安定になっている可能性もあります。
原因は前からわかっていました。
たとえば、"うんのさんの辞書"(ビジネス技術実用英語大辞典)の第1版から第6版改訂版(6.0.2)までを登録したグループを作ると、デフォルトでは辞書バーはこうなります。
(拡大してご覧ください)
ぜんぶ違う辞書のはずなのですが、「ビジネ」とか「用例フ」とか、同じ短縮名がいくつも並んでいます。[辞書の編集]でがんばって短縮名を変えてみても、うまくいませんでした。原因は、EPWINGを格納しているフォルダー名にあります。
うんのさんの辞書、ここ最近はフォルダー名が変えてあるのですが、少し前のEPWINGデータを見ると、
バージョン5:
EIWAWAEIフォルダー(本文)
YOUREIフォルダー(用例)
バージョン4:
BODYフォルダー(本文)
BODY2フォルダー(用例)
バージョン3:
BODYフォルダー(本文)
YOREフォルダー(用例)
バージョン2:
BODYフォルダー(本文)
YOREフォルダー(用例)
バージョン1:
BODYフォルダー(本文)
YOREフォルダー(用例)
と、特にバージョン4以前はフォルダー名が重複しています。こうなっていると、EBWin4がグループデータを設定するとき、このフォルダー階層が優先されてしまい、[辞書の編集]で[短縮名]をいくら変更しても上書きできない仕様になっていたようです。
今回のバージョンアップのおかげで、「うんのさん」グループの辞書バー、とてもきれいになりました。
うんのさんの辞書、持っていないバージョンもあったので、オークションやフリマアプリで探し回り、少し前にコンプリートしました。
06:07 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2019.09.14
# 知識不足、経験不足で語る強さ|怖さ - 最新のある事例について
1週間ほど前から、ある事例が翻訳業界を騒がせています。
すでに、テリーさんもブログ記事にしてくださいました。 リンク:翻訳横丁の裏路地 - 翻訳会社関係各位:ご注意を もちろん、テリーさんは名指ししていませんし、私もURLなどはいっさい出しません。ただし、テリーさんが書いている実績疑惑は問題の一角 にすぎません。その問題のほとんどは、渦中の人物の知識不足・経験不足に起因しています。
このブログを呼んでくださっている同業者は先刻ご承知のことばかりですが、最近は志望者や学習中の方もけっこう読んでくださっているので、念のために私が把握している問題点を挙げておきます。以下、渦中の人のことはZ氏と書きます。
なお、以下はすべて、公開されている情報から私が確認した範囲の内容です。
●「翻訳実績」の記載について
これについては、すでにテリーさんが記事で書いています。
練習問題やトライアルで扱った題材を「実績」として載せてよい
こんな話が通用しないのは、翻訳に限らずどんな業界でも常識です。
実際の功績・成果。【岩国五】
それまでに残してきた成績や功績。【明鏡二】
実際にやり遂げた成果・業績。【大辞林】
当たり前すぎてどの業界でも「実績」の定義などしていないでしょうが、日本語として当たり前のことです。だからこそ、その常識の裏をついてきたとも言えますが、動画を見るとZ氏は必ず
「~と思います」 と付けていることに注意してください。
練習問題などで扱った題材は「実績」と書いていいと思います
です。つまり、これはあくまでもZ氏の個人的見解にすぎません。翻訳会社が100社あれば100社とも拒否するはずです。こんな言説を、うかうかと信用してはいけません。
●翻訳に英語力は要らない。大切なのは検索力
具体的には「TOEIC 500点あれば」という数字をあげています。いちばん問題な発言はこれです。というか、巧妙に論点をずらしている(あるいは、気づかずに論点がずれているのかも)。
これが、「
今はTOEIC 500点くらいの英語力でも、私の指導を受ければ(英語力が上がって)翻訳者になれます 」という言い方なら分かる。それを本当に実践しているとしたら、むしろ頭が下がります。でも、翻訳するのにTOEIC 500点くらいの英語力しか必要ない、というのがZ氏の主張。英語力や専門知識がなくても、今の時代は辞書とネットをちゃんと検索できれば翻訳はできる、のだそうです。
そんなやり方でいい翻訳なんて、残念ながら、というか幸いにして、私は知りません。
実際、そうやってZ氏が検索だけで英文を「翻訳」している例も、ある動画で見ることができますが、そこで示されている訳文は商品として通用するレベルではありませんでした。
参考までに、TOEICは翻訳の実力の目安になるとかならないとかよく取り沙汰されますが、一般的に翻訳会社が出すのは800~900点の範囲です。そのうえで「TOEICの点数だけでは何の参考にもならない」と言っています。
●トライアルに受かれば仕事が来る、プロになれる
これ、私の知っている常識とはずいぶん違います。私はいつも、「トライアルに受かっても、すぐに仕事が来るとは限らない」と話していますし、業界内でもたいていそうだと聞いてるんですけど、私、間違ってます?
Z氏によると、CVにいいかげんな「実績」を載せる理由もここにつながっています。「トライアルに受かれば仕事は来るのだから、トライアルにたどり着くことが必要。そのためにはCVにいろいろ盛る必要がある」んだという理屈です。
●トライアルより実際の案件のほうがずっと簡単
これも初耳です。そうなんですか? そんなお仕事があるんだったら、紹介してもらいたくらいですけど……。いや、やっぱ要らない。
●特に「産業翻訳」は簡単
Z氏が請けているのは「産業翻訳」で、「産業翻訳」とは「マニュアルや企業のホームページ」なんだそうです。IT分野もあるけど、それは「IT翻訳」とは別だということで、この分け方も私にはよく分かりません。
特許翻訳は難しいので取得に時間がかかる。映像翻訳は特殊。金融や法律は専門知識が欠かせない。だけど、「産業翻訳」は簡単なので英語力も専門知識もたいして要らない、と。いったい、どんな世界の「産業翻訳」なのかなぁ。
●翻訳学校には通うな
個人的には、かなり迷惑する謳い文句ですね^^ Z氏も半年間通ったけどまったく役に立たなかったんだとか。まあ、そういうことはなくもないので別にいいのですが、問題はこんな発言です。
「翻訳学校というのは、
課題を出して添削して答えを示すだけ。翻訳するプロセスを示してくれない から、通っても意味がない」
あー、うーん、なかにはそんな指導をしている学校もあるの? ないと思うけどなぁ。少なくとも、私はしてませんし、私が知っている範囲で講師をしている人に、そんな授業やってる人はひとりもいません。
●トライアル不合格の分析をしている
法的にいちばん問題かもしれないのはここです。Z氏の講座では、トライアルに受からなかった場合に、その理由を分析しているそうなのですが、ってことは、トライアルの文章を共有してるってことですよね? これ、
業界的には完全にアウト
の行為ですからね。トライアルの文章を受領するとき、たいていは部外秘であることが書いてあります(書かれていないこともあるんですが)。それを、たとえ一部とはいえトライアル受験当事者以外に公開・共有しているとしたら、これは重大なルール違反になります。
しかも、Z氏は
この行為の問題性 を認識しているはずです。というのも、実は1年ちょっと前に、Z氏はある翻訳者グループで「トライアルの課題と答えを共有しませんか」と持ちかけたことがあり、そのとき他の翻訳者から厳重にたしなめられているからです。本人もそのときには「わかりましたから」と発言しています。
●機械翻訳の精度はまだまだ低い
だから、翻訳という仕事は10年~20年は安泰だ、と。うれしいお言葉ですね^^
でも、Z氏は「検索力とITスキルだけで翻訳はできる」と謳っているわけで、それってまさに、近いうちに機械翻訳にごっそり持っていかれる部分なのでは?
要するに、どうやら極端に狭いご自分の経験と知識だけで物を言っているように、私には見えます。それが、意図してのことなのか、気づいてすらいないのか分かりませんが、どれもこれも業界の一般常識に反することばかりです。一般常識に反していても、なにか画期的な学習方法とか翻訳方法でイノベーションを起こそうとしているということなら、百万歩譲ってまだ分かりますが、別にそういうわけではない。
そんなやり方がそうそう通用するほど、翻訳業界は甘くありませんよ。
運よく自分はそれで通用しているのかもしれないけど、よく分かっていない素人を巻き込むのも考えものです。
02:35 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2019.08.22
# 「英語辞典ナイト(昼)」(笑)、ついに開催!
JACET(大学英語教育学会)さんで、こんなイベントがあります。
JACET英語辞書研究会:「英和辞典を日本語から考える」
日時:2019年10月19日 (土) 13:00〜16:20
場所:早稲田大学11号館4階
情報は、こちら。
大学英語教育学会 英語辞書研究会
2019年度JACET英語辞書研究会:「英和辞典を日本語から考える」
または、こちらから。
日本語学会 学界消息(新着順)
JACET英語辞書研究会:「英和辞典を日本語から考える」
イベントって呼んじゃいけないのかな。学会ですしね。JACETさんの研究会、私も昨年の12月に英辞郎の話をさせていただきました(参考:# 英辞郎についてのセミナー )。
でもでも、です。今回はあえて「イベント」と呼びたくなるようなメンバーなわけですよ、これが。
なにしろ、セッションの内容が。
Part 1「英語辞書のヒトと国語辞書のヒトが見る「英和辞典」」 司会:小室夕里(中央大学)
吉村由佳(『ウィズダム英和辞典』編集委員)
見坊行徳(国語辞書マニア・校閲者)
Part 2 飯間浩明先生(国語辞典編纂者)ご講演 司会:大塚みさ(実践女子大学短期大学部)
ですからね(敬称略)。
吉村さんは、私の推し辞書ウィズダムの編集委員ですが、そのほかは、見坊さんと飯間さん。そう、国語辞典ナイトの常連おふたり です。
だから、裏タイトルとしては「国語辞典ナイト(昼)」 (見坊さんの命名)。
もちろん、私もフェローが終わってから走ります。
03:19 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2019.08.01
# 「辞書のホントの使い方」、ちょっと詳しくご紹介
先日お伝えした翻訳フォーラム・レッスンシリーズ#14「辞書のホントの使い方」ですが、どんな内容になるのか、ちょっとだけ具体的にご紹介します。
本日時点で、すでに定員の3分の2くらい席が埋まっています。直前枠(9/20~)もありますが、なるべくお早めに^^
たとえば、5月のシンポジウムや先日の大阪でのセミナーで井口耕二さんが例に出した
millions of
は、いわゆる三大怪獣 英和大辞典ではどうなっているでしょうか。
『研究社 新英和大辞典第6版』 (以下、「新英和」)
3 [pl.] 多数, 無数. ・millions of books 無数の 本.
『ランダムハウス英和大辞典 第2版』 (以下、「RHD2」)
3 《millions》million で表される数量[額],100万台
▶ 100万以上10億未満 :
His fortune was in the millions of dollars. 彼の財産は何百万ドルにものぼった.
『ジーニアス英和大辞典』 (以下、「G大」)
[語法]
(1)数詞または数量詞がつく場合も -s をつけない( →hundred [語法](1)): two ~ 200万 / several ~ 数百万.
(2)端数のあるとき及び名詞を修飾するときも -s をつけない: six ~, three hundred and five thousand 630万5千.
5 [~s of ...] 何百万という…;((略式))非常に多数の…(→hundred 9)∥Fossil fuels are called nonrenewable resources because it takes millions of years to replace them. 化石燃料は回復するまで何百万年もかかるので回復不可能資源と呼ばれている.
この例だけでも、三大怪獣 英和の特徴がよくわかります。
「新英和」の売りは、「バランスのよさとピンポイントの精度」 です。この3つのなかではいちばん情報量が少ない。にもかかわらず、millions ofの訳としては、不正確になる可能性がある「何百万の」ではなく「無数の」を載せている。この的確さが新英和です。だから、私は「ひとまず引く」ときにはまずここから引きます。
「RHD2」で目を引くのは、なんといっても「100万以上10億未満」という注釈でしょう。かつては専門用語の多さも身上のひとつでした。さすがに少し古くはなりましたが、今でも基本的な専門用語については頼りになります。それも含めて「語義分類と事実の解説の細かさ」 がRHDの特長です。たとえば、他の辞書が5項目に分けている単語がRHD2では8項目というように、分け方が細かい。millions ofに対するこの注釈も、細かい解説の一例です。
「G大」では、他の大英和にない「語法」情報が光ります。ジーニアスは、学習用の『ジーニアス英和辞典』が先に編纂され(このとき、業界に先駆けて本格的にコーパスが使われました)、それをふくらませてG大が作られました。そのため、大英和でありながら、学習辞典のような情報が豊富に載っている 。加算と不可算の記号を名詞すべてに付けているのも、G大だけです。
三大英和については、これだけ押さえておくだけでも、使い分けができるようになるはず。
■
次は、英英辞典のCOBUILD。
セキュリティの文脈でよく出てくる
vulnerability
という単語。語法に詳しいG大を見ても、[U] つまり不可算という情報しかありません。が、COBUILDを引いてみると、形容詞vulnerableの派生語として載っているだけですが、ちゃんと使い方がわかります。
少し古い版(DAYFILER搭載版など)だと、N-VAR というラベルが付いています。最近の版(オンライン版)では、variable noun がこれに当たり、どちらも「基本的に不可算だけど、加算にもなる」名詞というラベルです。念のために、COBUILDの凡例(参考記事:# COBUILDの凡例はこちら )を見ると、こう説明されています。
N-VAR A variable noun typically combines the behavior of both count and uncount nouns in the same sense (see N-COUNT, N-UNCOUNT). The singular form occurs freely both with and without determiners. Variable nouns also have a plural form, usually made by adding -s. Some variable nouns when used like uncount nouns refer to abstract things like hardship and technology, and when used like count nouns refer to individual examples or instances of that thing , e.g. Technology is changing fast ... They should be allowed to wait for cheaper technologies to be developed. Other refer to objects which can be mentioned either individually or generally, like potato and salad : you can talk about a potato, potatoes, or potato.
(http://www.sanseido.biz/main/Dictionary/Hanrei/CobldEJ.aspx より、赤字は引用者)
語法については、最終的に英英の学習辞典も忘れずに確認したい、という例でした。
■
最後は、これも英英辞典ですが、版が変われば情報も変わるという話。
たぶんどの電子辞書端末にも入っているODEで、
compromise
という単語を引いてみてください。あ、動詞のところだけ見ればOKです。
ちなみに、カシオの電子辞書端末だと、ODEは今でも「改訂2版」のようです。DAYFILERの最終モデルあたりでは第3版が採用されています。あ、そうそう。ODEとOEDの違いはご存じですよね?
では、今度はオンライン版のOxford Dictionaries(https://www.lexico.com/en)でも引いてみて、内容を見比べてみてください。
語義の分け方なども変わっていますが、注目すべきはここです。オンライン版にしかありません。
3.1 Cause to become vulnerable or function less effectively.‘yo-yo dieting can compromise your immune system’ ‘last month's leak of source code will not compromise your IT security’
(https://www.lexico.com/en/definition/compromise より)
「危うくする」という元々の意味が、システムとかコンピューターなどについて使われるようになった用法です。「侵害する」とか「侵入する」と訳されることもありますが、まだ載っていない辞書がほとんどです。『リーダーズ第3版』には、「危殆化する」などという特殊な訳語が載っています。
これは、同じ辞書でも版が新しくなれば情報がどんどん変わるという例です。
いかがでしょうか。
ほんの2例だけですが、今回のセミナータイトルに付けた「大辞典・学習辞典・英英辞典はここを読め 」という副題の意味を、ちょっとは感じてもらえたのではないかと思います。
ということで、
・具体例で、各辞典の主な特徴をつかむ
・各辞典の凡例を知る
・われらの味方「うんのさん」の用例を使いこなす
・無料で使えるEPWING辞書「WordNet」を使いこなす
・国語辞典で日本語を調べるとき、読み取るべき情報を知る
などなど、濃~い内容でお届けする予定です。
01:23 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2019.07.23
# 翻訳フォーラム・レッスンシリーズ「辞書のホントの使い方」
前エントリに続いて、セミナーのご案内です。
翻訳フォーラムのレッスンシリーズ、いつの間にか第14回になりました!
「辞書のホントの使い方~大辞典・学習辞典・英英辞典はここを読め~」 (翻訳フォーラム・レッスンシリーズ#14)
(上のリンク・画像から申し込みページを開けます)
日時: 9月28日(土)13:15~16:45
場所 :としま南池袋ミーティングルーム ※いつものIKE Bizではありません、ご注意ください!
その申し込みが、今日7/23の正午 に始まります。いきなり売り切れになるこはないと思いますが、みなさん、スタンバイください^^
以下、案内ページよりもう少し詳しく内容を予告しておきます。
これまで、もう何度も辞書の話をしてきました。
でも、すでにお気づきの方もいらっしゃるとおり、これまでは「辞書環境をどうやってそろえればいいのか」という話が中心でした。
一部のセミナー、たとえば2018年2月の「脱・辞書の持ち腐れ」とか、フェロー・アカデミーの通信講座第3回などでは、実際に辞書のどこを見て、どんな情報を読み取るか ということまで立ち入りましたが、そのときはあくまでも課題文を読み解くという前提でした。
今回は、翻訳者がよく使う辞書(ラインアップは案内ページを参照)について、凡例と特長 をひとつひとつ説明したうえで、
・3大英和辞典の使い分け方
・COBUILDの読み方
・WordNetの使い方
・国語辞典の使い分け方
などを取り上げ、各辞書はどんな作りになっているのか、どんな情報が載っているのか、それをどう読み取ればいいのか、を説明します。
いわば、帽子屋の辞書シリーズ、新章スタート!です。
当日は、実際に辞書を引きながら説明していきます。ご参加くださるみなさんも、PCや電子辞書端末、スマートフォンやタブレットなどを使って手元の辞書を引きながら聞いていただくと、いっそう楽しめるのではないかと思います。
ご参加、お待ちしております!
09:07 午前 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2019.07.21
# 翻訳のためのPCスキル・一般教養講座
フェロー・アカデミーで、今年の1~3月に実施して好評だった講座が、8月22日から、また始まります。
リンク:翻訳のためのPCスキル・一般教養講座
8月22日より 、毎週木曜日、全5回です。
※前回は隔週でしたが、今回は毎週で5週連続となります。
案内文にもあるとおり、
・翻訳者が知っておきたいPCの基本スキル
・検索スキル
・辞書の話
・英語圏の文化に関する基礎的な知識
を集中的に扱います。
前回と違うのは、「古典作品から現代のサブカルチャーまで 」の前半部分を拡大して、
ギリシャ・ローマ神話
も取り上げることにしました。
ご興味のある方、ぜひご参加ください~。
10:19 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2019.07.17
# SII DAYFILERからの移行を考える、2019年7月版、参考価格付き
昨日、リストをアップしましたが、せっかくなので、
移行する場合の参考価格
も付けて更新してみました。一部、修正もあります。
ダウンロード - migration_from_df_190717.xlsx (Excelファイル:約13KB)
価格は、7/17時点のAmazonやLogoVista、AppStoreなどで調べたもので、変動はありますから、ご注意ください。特に、アプリは安売りのタイミングが狙いどき。
合計金額はあえて書きません(笑)が、あらためて、電子辞書端末のコストパフォーマンスには驚かされます。
予算に余裕があるなら…… ・LogoVistaでメインをそろえ、英英はオンラインでまかなう ・アプリでメインをそろえ、英英もそろえる
予算に余裕がなければ…… ・有料オンラインでメインをそろえ、英英はオンラインでまかなう ・PC上には、少しずつ予算をかけて増やしていく
というところでしょうか……。ちなみに、オンラインの場合
・KODアドバンスト:1年間11,880円 ・JKパーソナル+R :1年間21,600円
です。
ただ、最低限必要な辞書だけは、PC上でさっと引けたほうがいいことは、言うまでもありません。
最後に、DAYFILERからの移行に限らず、帽子屋が考える最低限のラインアップ、も考えてみました。
研究社 新英和大辞典 第6版(LV) 研究社 新和英大辞典 第5版(LV) ビジネス技術実用英語大辞典 第6版(EP) リーダーズ英和辞典 第3版(LV) リーダーズプラス(LV) 大辞林(アプリかオンライン) 明鏡国語辞典 第二版(LV) ウィズダム英和辞典 第3版(書籍)
このくらいは、手元にそろえておきたいものです。英英はオンラインで。
以上の辞書であれば、書籍のウィズダムを除いて、EBWin4上で使えます。
ただし、LogoVistaのタイトルはいつ仕様が変わるかわからない ので、EBWin4上で使えない可能性もあります(特に、新しくセットになっている商品は怪しいかもしれません)。その場合は、LogoVistaの辞書アプリケーションで使えます。
12:38 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2019.07.16
# SII DAYFILERからの移行を考える、2019年7月版
Facebookでまた、DAYFILERユーザーさんの投稿がありました。
辞書ビジネスから撤退してからもサポートだけ続けてくださっていたSIIさんですが、そのサポートも
2020年3月末
でとうとう終了するということです。
ちなみに、Windows 7はそれよりひとあし早く、2020年1月14日にサポートが終了します。
で、DAYFILERからの移行については、以前に記事を書きました。
リンク:# SII DAYFILERからの移行を考える
その後また状況も少し変わっているので、最新の状況を一覧表にしてみました。
ダウンロード - migration_from_df_190716.xlsx (Excelファイル:約12KB)
ざっくりとですが、
・英和辞典系はLogoVista版を購入 ・英英辞典はオンライン
で、おおむねまかなえそうです。ただ、今までDAYFILER(だけ)に頼ってきた人だと、かなりの設備投資になります。
オンラインも視野に入れると、
・KOD(研究社オンライン)
が、やはりいい選択肢になるかもしれません。
そう考えたとき、やはりいちばんネックになるのが「ランダムハウス」ですね。コトバンクから外れてしまいましたから、アプリくらいしか選択肢がありません。となると、
・ジャパンナレッジ
も検討の余地が出てきます。
小学館さん、専用インターフェースだけでいいので、再刊してくれませんかね~。
11:52 午前 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2019.07.07
# 今野真二『日日是日本語』
『日本語が英語と出会うとき』 に続いて、こちらも読みました。
『日本語が英語と出会うとき』と違って国語系・国文学系の話が圧倒的に多いので、私には最初のうちちょっと取っつきにくかったのですが、読み進めていくとなかなか味わい深く、示唆に富んだ一冊です。
感想をひとことで。
研究室のお金でいろいろと古書を買えるの、うらやましい~
そう叫びたくなるくらい、いろいろな古書が出てきます。大半は国文学系なので私には無縁ですが、なかには古い辞書もあって、もちろん無制限ではないでしょうが、研究室として購入できるんですね。
そういえば、6月1日のトークショーのときも、日国の初版セットが大学にはなくなっていて(しばらく前に処分されたらしい)、今回のイベントのために古書でそろえ直してもらった、とおっしゃってました。
本書は、タイトルどおり日記形式の本(2018年1月~12月)で、今野先生の日々の心情、言葉に対する思いや考え方がぽろぽろと語られます。『日本語が英語と出会うとき』を執筆なさっていた時期とも重なるので、あわせて読んで正解でした。
印象に残った言葉を拾ってみます。日記ということもあり、全編を通じてけっして声を大にすることはなく淡々と日々の様子と思いを語っているのですが、ときどきハッとするようなくだりがあります。
筆者は自信が購入した本も、預かり物だと思っている。またちりぢりになって次の人の手にわたるまでいったん預からせてもらっている。だから、せいぜいいいコンディションを保つようにする、という気持ちだ。
長野にある古書店「バリューブックス 」の企業哲学ともちょっと通じる考えかもしれません。
歴史に(必然的に)含まれている「詩的なもの」というとらえかたはおもしろい。ふと白土三平の『カムイ外伝』第十九話(『週刊少年サンデー』一九六七年一月八日号初出掲載)で、カムイがリンドウを見ながら「あれがこの世で見る最後のもの……」と思うシーンを思い出した。現在はさまざまなことに「詩的なもの」が欠落している ということはないだろうか。
(赤字は帽子屋)
たしかに、あの話は特に秀逸です。
先生、私より少し年長なだけなので、マンガもけっこうお読みなんですよね。なにしろ、先日のイベントでも、「日国を読み通したときメモに使った」として見せてくださったノートが、バルタン星人の表紙でしたし^^
それにしても、その『カムイ外伝』を紹介するとき、ちゃんと初出の情報を出してくるところが、いかにも、です。
細かな概念差、表現差が捨象されて、おおざっぱな表現になる。それが「わかりやすい」といわば勘違いされているのではないだろうか。筆者などには、こうした(おおざっぱな表現に向かって行く)「日本語再編成」が急速に進行し始めた ように感じられている。
(赤字は帽子屋)
12月21日の記事です。この指摘には、同業者の皆さんも198回くらいうなずくはずです。機械翻訳の話は、この傾向を抜きに語るわけにはいきません。
ちなみに、この次の記事(23日)には、S&GのHomeward Boundが出てきます。やはり世代が近い^^
2冊のご著書とイベントで、今野先生がとても身近になりました。
01:41 午後 書籍・雑誌 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2019.06.13
# 今野真二『日本語が英語と出会うとき』
6月1日に開催されたトークイベント「来たるべき辞書のために」(ジャパンナレッジ主催)は、期待どおり、なかなか充実した内容でした。
といっても、「翻訳者が辞書を使う」という実用のうえで参考になるというより、やはりあくまでも「辞書というモノが好き」という人種向けだろうと思います。
この本も、その延長上にある感じで、翻訳者に即おすすめという内容ではありません。
もちろん、持参してちゃんとサインをもらってきました(仲介してくださったネットアドバンスのNさん、ありがとうございます!)。
本書『日本語が英語と出会うとき』は、幕末から大正あたりまでの英和辞典・和英辞典を、日本語学者である今野先生が、
日本語の側から
俯瞰した内容です。
英和・和英という二国語対照辞典(ときには、英中和、仏英和のような三言語)において、それぞれの時代にコンテンポラリーだった日本語がどう選択され、解釈され、表記されてきたか、という視点で書かれています。つまり、あくまでも辞典という世界で展開される日本語がテーマなわけで、だからこそ、本書のタイトルは
日本語と 英語が出会う
ではなく
日本語が 英語と出会う
なわけです。
そういう視点でいろいろな辞書を読み解いていくと、たとえば日本最初の英和辞典と言われている『英和対訳袖珍辞書』について、こんな記述が出てきます。
つまり、『英和対訳袖珍辞書』初版の時点で、すでに「具体性の付与」「現代的」「ストレート/シンプル」ということがいわば意識されていたことになる。
この辺のくだりは、なかなかスリリング。
また、当時の日本語に関する「類義」語意識、明治期独特の「漢字」の使われ方と変遷、幕末から明治期の印刷事情などについても知ることができます。
1924年刊の『スタンダード和英大辞典』(宝文館)では、前書きに今で言うコーパス活用のような表現が出てくるとか、同辞典の巻末では早くも「ジャパニーズイングリッシュ」を嘆く声が現れているとか、そんなエピソードも楽しい。
本書に出てくる英和・和英(その他)辞典は、おおむね以下のとおりです(編纂に参照された辞典などは載せていません)。
『波留麻和解』1796年 『訳鍵』1810年 『改正増補 訳鍵』 『暗厄利亜語林大成』1814年 『増訂 華英通語』1860年 『英和対訳袖珍辞書』1862年 『改正増補 英和対訳袖珍辞書』1866年、67年、69年 『改正増補 和訳英辞書』1869年 『英和対訳辞書』1872年
『英和・和英語彙』1830年 『英語箋』1857年、63年 『永峰秀樹訓訳 華英字典』1881年 『仏英和辞書』1866年
『袖珍英和節用集』1871年 『西洋画引節用集』1872年 『本朝辞源』1871年 『以呂波/字引 和英節用』1885年 『附音/挿畫 英和玉篇』1886年
『和英語林集成』1867年 『改正増補 和英英和語林集成』
『英華字典』1869年 『訂増 英華字典』1883年 『英華和訳字典』1879年 『英和字典』1872年 『英和双解字典』1885年
『附音挿図 英和辞彙 初版』1873年 『附音挿図 英和辞彙 第二版』1882年
『和英/両訓 伊呂波字引』1882年 『和英大辞典』1896年 『和訳英語聯珠』1873年 『英和和英 辞彙大全』1885年 『和英対訳 いろは字典』1885年 大槻文彦『英和大辞典』原稿 『井上 英和大辞典』1915年 『新訳和英辞典』1909年 『武信和英大辞典』1918年 『研究社 新和英大辞典 第二版』1931年 『研究社 新和英大辞典 第三版』(勝俣銓吉郎)1954年 『冨山房 大英和辞典』 『研究社 新英和大辞典』 『新案/記憶式 和漢英活用字典』1920年 『井上 和英大辞典』1921年 『スタンダード和英大辞典』1924年 『模範英和辞典』1911年 『模範新英和大辞典』1919年
インデントしてあるのは、同辞書の版違いで、そこに意味がある場合です。
今から見れば、まあ「骨董」的な辞書の話ですが、最後のほうでは、私たちが直接知っている『研究社新和英』とのつながりも見えてきます。
ただし、本書で扱われているのは最新でも大正あたりまでです。つまり、「日本語が英語と出会うとき」に起きる化学作用というのは、たぶんその辺でほぼ落ち着いたということ、あるいはそこから先は別の視点が必要になるということかもしれません。
ちなみに、Amazonのカスタマーレビューには「書名が内容と一致していない。明治、大正、昭和におよぶ150年の発展過程の概観を期待して購入するとガッカリ 」という趣旨の声がありますが、本書に登場するのは、上にあげたように1796年の『波留麻和解』から1954年の『研究社 新和英大辞典 第三版』まで。その間は158年なので、けっして書名に偽りがあるわけではありません。
10:36 午前 書籍・雑誌 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2019.06.10
# うんのさん、Ver 6.0.2公開
翻訳フォーラム・シンポジウムから早くも2週間たってしまいました。
標題のように、『ビジネス技術英語大辞典V6』のマイナーバージョンアップがあったということを、シンポジウムのときに海野ご夫妻からお知らせいただきました。
海野さんのこちらのサイトに情報が載っています。
リンク:『ビジネス技術実用英語大辞典V6』
細かい調整だけなのですが、V6が出たとき、見出し語のあとで改行されずに本文が続いていたのは、確かに「あれ?」という感じでした。
その点が改良されただけでも、見た目がずいぶん良くなっています。
そのほか、ラベルを「省略しすぎず見やすくした」などの変更があるそうです。
06:12 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2019.06.03
# EBWin4最新版、タブモードを搭載してDockableに!
辞書ブラウザー「EBWin4」の最新版、Ver.4.7.0が公開されました。
リンク:EBWin4
作者によると、この4.7系が最終版になり、今後はあまり更新されないとのことですが、今回はかなり大きい更新です。いろいろありますが、なかでも大きいのは、
タブモードを採用
ドッキング可能(Dockable)
の2つでしょう。
1. タブモード
今までも見た目はタブのような表示でしたが、実際には辞書を切り替えると1つのタブで内容が切り替わるだけでした。
最新版では、左側の辞書リストから選択すると、辞書の内容が新しいタブで開いていきます。
『学研国語』『岩波国語七』『明鏡国語二』の3つがタブで表示されたところです。ドラッグすれば、タブの順序も入れ替えられます。
ウィンドウの大きさ次第ではタブが増えると表示しきれなくなりますが、右端の下向き▼をクリックすると、すべてのタブが一覧として出てきます。
Web検索の結果もタブになります。この図で「入力 - 基本検索」となっているのが、ジャパンナレッジを検索したタブです。
タブモードは、[設定]のオプション(または[表示]メニューから)オン/オフできるので、今までどおりの動作のほうがよければ、オフにしてください。
2. ドッキング可能
どのウィンドウも、すべて「ドッキング可能(Dockable)ウィンドウ」になりました。
ドッキング可能というのは、ウィンドウを切り離して独立(フロート)させることもできるし、好きなところに配置もできるという仕組みです。Trados Studioのインターフェースに慣れている人はピンとくるかもしません。
左側の[検索結果] リストも、検索結果の各タブ も、さらには[複合検索] (デフォルトでは右端にあります)ウィンドウも自由に配置できるようになっています。
よく見ると、[検索結果]の右側に模様が付いています。これがドラッグできるようになった目印です。
ただ、ここから先の操作はちょっとトリッキーです。ドラッグし始めると、ウィンドウが薄青になります。
同時に、ウィンドウには移動先を選ぶマーカーも表示されます。
薄青くなっている(=移動中)ウィンドウをこのマーカーまでドラッグすると、貼り付く位置がやはり薄青で示され、そのままドロップすると移動します。どのマーカーにもドロップしないでマウスを離すと、独立したウィンドウになります。
検索結果のウィンドウも同じように移動・配置できるので、たとえば、こんな表示もできるようになりました!
複数開いたタブウィンドウは、[表示]→[すべてのドキュメントを閉じる]でまとめて閉じることができます。
また、レイアウト変更がうまくいかなくてメチャクチャになっちゃった場合は、[表示]→[画面レイアウトの初期化] で元に戻ります。
3. [複合検索]を常時表示できるように
以上の機能追加のおかげで、[複合検索] ウィンドウを常に表示しておけるようになりました。個人的には、これがいちばんうれしいかも。
[複合検索]というのは、複数の語を指定して(AND)検索するときに使います。成句や用例を引くときなどに重宝します(※ふつうの検索フィールドで & 演算子を使う手もありますが、検索結果がちょっと変わるようです)。
今までは、検索オプションで[複合検索]を押すとウィンドウが表示され、検索方法を変えれば当然消えていました。それが、デフォルトで右端にある[複合検索]をドラッグすれば、好きな位置に固定して表示しておけます。
これで、今まで使いにくかった[複合検索]も、一気に使いやすくなりました(もちろん、インデックスが対応している辞書のみ)。
4. その他
ちょっとおもしろい無料辞書データ「EDICT2」(詳しくはこちら )がバンドルされたり、PDIC辞書など非EPWING系辞書データでもブックマークできるようになったりしています。
最終形に近いというのはちょっと残念ですが、辞書ブラウザーとして今のところいちばん使いやすいことは間違いなく、ありがたいアプリケーションです。
05:49 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2019.05.18
# ジャパンナレッジのトークイベントに今野真二さん!
6月1日に、ジャパンナレッジのトークイベント第2弾があります。
リンク:来たるべき辞書のために 今野真二×佐藤宏クロストーク
日時:6月1日(土)14:00~15:30(13:30受付開始)
会場:清泉女子大学 2号館4階 240教室(品川区東五反田3-16-21)
参加費:500円
今回の登壇者、お一人は第1弾(後述)にも登壇なさった『日本国語大辞典第二版』の編集長・佐藤宏さん。
そして、もうひとりは、清泉女子大教授の今野真二さんです。今野さんは、最近「東大王」のテレビなどでもよく拝見しますが、何といっても
「日国をぜんぶ読んじゃった」
という変人 とんでもない方です。
こんなお二人のお話ですから、おもしろくないはずがない! しかも参加費はたったの500円!!
辞書マニアはもちろん、日本語を使って仕事をしている方なら見逃せないトークイベントです。
かなり広い会場ですが、主宰のネットアドバンスさんによると、お席はかなり埋まっているとのこと。もちろん私も、フェローの授業が終わったら駆けつけます。
今野さんですが、最近ご著書の新刊が立て続いています。
私も読み始めていますが、さすがに日本語の話がマニアックすぎ。おもしろそうな記事だけ拾い読みしています。
もう1冊はこちら。まだ刊行前で、楽しみに待っているところです。
ちなみに、ジャパンナレッジのトークイベント第1弾は、2月5日に開かれました。このときは、佐藤宏さんと、辞書コレクター・辞書研究家の境田稔信さんのディープなお話でした。イベントレポートが、ジャパンナレッジのサイトに掲載されています。
リンク: ここでしか話せない楽しくてディープな辞書の世界
04:39 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2019.05.12
# 翻訳フォーラム・シンポジウム2019 & 大オフ
こちらでの告知がすっかり遅くなりましたが、もちろん、今年もやります!
5月26日(日)12:00から。場所はいつもどおり、お茶の水女子大。
そして、今年のテーマは「足さない・引かない」です。美味しいウィスキーの話ではありません。翻訳者なら誰しもピンとくる話のはず。
そのせいもあってか、第一次申し込みはあっという間に定員に達しました。直前枠申し込みは、明日
5月13日(月)正午から
です。直前枠はそれほど多くありません。どなた様も、お見逃しなく!
01:57 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2019.04.18
# 辞書編集者の本 x 3
『悩ましい国語辞典』シリーズでも知られる神永暁(かみながさとる)さんの最新刊。
神永さんは、『日本国語大辞典』の元編集長。『現代国語例解辞典』や『使い方の分かる類語例解辞典』なども、神永さんが世に送り出した辞書です。 これを読んだのをきっかけに、辞書編集者の本を立て続けに読みました。
こちらは、岩波書店で『広辞苑』や『岩波国語辞典』を作った増井元さん(2013年刊)。
こちらは、三省堂『大辞林』初版を担当した倉島節尚さん(2002年刊)。
小学館、岩波、三省堂と、いずれも日本を代表する国語辞典を担当してきたベテラン編集者ならではの話をいろいろな角度から読むことができます。ばらばらでなく、続けて読んだのでよけいにおもしろかったかも。
神永さんは、つい先日の国語辞典ナイト9 にも登壇なさり、『辞書編集、三七年』に出てくるエピソードをいくつか紹介してくださったので、なかなか立体的に楽しめました。
(写真真ん中で立っているのが神永さん)
エッセイものとしては、これがいちばん楽しめるでしょう。『日国』第二版のときには、校正が六校からさらに念校、念々校まであったとか、類語情報が詳しい『現代国語例解辞典』や『使い方の分かる類語例解辞典』が生まれた経緯なども書かれています。
国語辞典ナイトでも、話し方がとてもうまく、これからも機会があったらぜひ話を聞いてみたい方です。ちなみに、この本の表紙には『日国』の第二版、第三校のときのゲラがデザインされています。たくさん赤が入ってるのは、昨年末に亡くなった・松井栄一さんの字なんだそうです。
続けての2冊は、この本で紹介されていて買ったものです。
■
『辞書の仕事』の増井元さんは1945年生まれで、30数年の間に『広辞苑』と『岩波国語辞典』を担当してきた方。文章を読んでいても、「たしかに岩国の人だなあ」と感じます。3冊のなかではバランスはいちばんいいので、「国語辞典の編集ってどんな仕事か」を知るには最適です。
第4章「辞書編集者になりますか」には、国語辞典の項目について解説を書くときはどうするかという具体的な話が出ているので、国語辞典をちゃんと読みたい人は必読。第5章「辞書の宇宙へ」の「辞典、各社各様」の項は、国語辞典選びの参考にもなります。
最終章では電子辞書についても触れており、その中に興味深い一節がありました。
データ容量は圧倒的なものがあります。私個人が(中略)その容量を使って遊んでみたいことが二つあります。/一つは、『岩波国語』であれ『広辞苑』であれ、現行の版の他に、初版以来のこれまでの版のすべてを収録して、同一の項目について初版から現在の版にいたる履歴が一望できるようにした辞書が欲しいということです。
これは確かにほしい!
■
『辞書と日本語』の倉島節尚さんは1935年生まれ。三省堂『大辞林』初版の企画段階から、その26年後(1988年)の発行まで共に歩んだきたという、まさに「大辞林そのもの」みたいな人です。
一九八八年に『大辞林』が出た時点では、家内よりも『大辞林』との付き合いのほうが長かった。
ということで、その言葉には重みがあります。
文章がやや冗長な印象もあるのですが、『大言海』など 古い辞書についての言及も多く、辞書の歴史はいちばん詳しく扱われています。第8章「辞書の歴史」では、国語辞典の歴史上重要な3人が取り上げらてれいます。『和英語林集成』のヘボン、大槻文彦、そして見坊豪紀です。
あ、そういえば。国語辞典ナイト9で見坊さんが「"的を得る"を誤用と言ったのは見坊豪紀です」とか、ポロッと言ってたなぁw
そして倉島さんも、「辞書の近未来」と題した丸一章を使って、これからの辞書のことを書いています。ここでおもしろかったのが「電子化辞書」という言葉。つまり、今ある"電子辞書"のほとんどは冊子辞書の媒体を変えただけなので、いわば「電子化辞書」である、と。それに対して、
人間がページを繰って引くことをまったく考慮に入れず、コンピュータで使用することだけを考えて、それに対応する構造と記述形式をもつ辞書
こそが「電子辞書」であり、まだその意味の「電子辞書」は現れていないと述べています。その条件を読むと、この本より後に出てきたWordNet が近いのかなと思われます。
「外国人のための日本語辞典が必要」ということも書かれています。
■
日本を代表する辞書編集者3人。細かいところは別として、基本的な考え方は驚くほど(あるいは当然)共通していました。「辞書は規範ではない」「言葉は変わりゆくもの。辞書はその変化も記録しなければならない」……。
この3冊を読みながら、また手元の辞書と本が何冊も増えたことは言うまでもありません。
こういう方々のおかげで、手元の辞書がとんどん増えていく 私たちの仕事は成り立っているのです。
11:40 午前 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2019.03.31
# 東京ほんま会、WildLight中級講座です!
東京ほんま会、昨年はとうとう1回もセミナーを開催できませんでしたが、今年はなるべく開こうと思っています。
第1弾は、あちこちからご要望があった「WildLight中級」講座を開きます。
リンク:【開催】WildLight 中級セミナー
日時:4月21日(日)13:00~16:30 講師: 齊藤貴昭 氏 定員:10名 受講料:4,000円(事前振込み)
第1部として、Wordのワイルドカード基礎を学んだうえで、第2部でWildLightの具体的な使い方に入ります。WildLightの基本機能を使っていて、さらに充実したWildLight生活をめざしたい人におすすめ。
講師はテリーさんですが、いつものように、ほんま会スタッフがバックアップします。
手取り足取りのハンズオン形式のため、ごく少人数制です。満員の際はご容赦ください。
04:31 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2019.03.29
# 『ウィズダム英和辞典 第4版』対応サイト、オープン!
『ウィズダム英和辞典』は、書籍版を購入するとネット上のサービス Sanseido Dual Dicionary でオンライン版も利用できるようになっています。
三省堂さんのこのサービス、書籍辞書の売上を確保したうえで検索の利便性も提供するという、ある意味この時代にふさわしい形のひとつだと思います。
そして、昨年出た『ウィズダム英和辞典 第4版』に対応したページもついに開設されました。書籍版をご購入済みの方は、
第4版のサイト(http://wisdom.dual-d.net/ej4/) からアクセスして、クイズに答えれば、すぐにオンライン版も使えるようになります。
しかも、Sanseido Dual Dicionaryの素晴らしいところは、旧版もそのまま設置している点。ウィズダムも、第2版、第3版、第4版を別々に使えます。
ウィズダムの進化の例を、先日もひとつ見つけました。
pumpという単語、米語では「ガソリンスタンド」を表すこともあるのですが、これが辞書にはなかなか載っていません。それが、ウィズダム第4版には、at the pumpという成句の形で載りました。
学習英和辞典というと、語義の補足や文法・語法情報の充実が最大の売りなわけですが、こんな風に、私たちの仕事に直結するような新しい情報もちゃんと追加されていく。本当にありがたいことだと思います。
02:37 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2019.03.14
# おおきいすうじ
翻訳のお仕事をしていて出てくる大きい数字といえば、せいぜい
million 百万
billion 十億
trillion 一兆
までなわけですが、ちょっとした確率計算の出てくる案件で、その上の
quadrillion 千兆
というのが出てきました。そのひとつ上が
quintillion 百京
です。国家予算の話とかしていると、たまに「京」は出てくるので、日常的に使う単位といえば、まあこのくらいまででしょう。
そういえば、小学生の頃、漢字で表す大きい数字の単位を覚えました。一、十、千、万、億、兆、京、垓………と、途中まで漢字1文字が続いて、最後のほうになると恒河沙、阿僧祇……と熟語になって、最後が
無量大数
になるやつです。
それで、ふと気になって、英単語では上のほうはどうなってるのか調べてみました。
研究社の新英和大で millionを引くと、ちゃんと表が載っています。
ただし新英和大では、対応する漢字が載ってるのは
quadrillion 千兆
までで、その上からは「10の18乗」のような乗数表現しか載せなくなります。
ちなみに、ランダムハウスとかリーダーズ第2版には、
クワデリリオン
クィンティリオン(クウィンティリオン)
セクスティリオン
・
・
・
とカタカナ表記も載っているのですが、そんなカタカナ使う場面って、ちょっと想像がつきませんよね。
リーダーズ第3版になると、がんばって
sextillion 十垓(がい)
septillion 一𥝱(じょ)
octillion 千𥝱(じょ)
までは載っていて、それ以降がやはり乗数表記になっています。
対応する漢字がほしいなぁ、と思っていたら、ちゃんとまとめている人がいました。
リンク:英語で大きな数を表す|Colorless Green Ideas
これを参考に、表を作ってみました。ついでに、ゼロも並べてみたw
(クリックで大きくなります)
無量大数がいちばん大きいと思っていましたが、英語には
centillion
などというとんでもない単位があるんですね。OEDにも載っている。
もちろん漢字では書けませんし、ゼロを並べるのは諦めました。
06:39 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2019.03.10
# Wifi Keyboardを使うときの注意点
前エントリで書いたとおり、物書堂さんの辞書アプリが統合されたので、Wifi Keyboardを併用する意味がずっと広がってきました。
Wifi Keyboardの使い方は、前エントリでも書いたように、
リンク:side A: # Wifi Keyboard + EBPocketで作る準PASORAMA環境
こちらの記事に書いてありますが、改めて注意するポイントだけ、まとめておきます。
Wifi Keyboardと同様のアプリはAndroid版も出ているようですが、物書堂アプリはiOSにしか対応していない ので、ご注意ください。パソコン側はWindowsでもMacでもOKです。
パソコンとiPad/iPhoneが同じネットワーク上にないといけません。ここが最大のポイント。自宅であれば、有線でも無線でも同じルーターを使っていれば大丈夫なはず。
インストールするアプリはこれです。
同名のアプリがありますが、検証したところ、あまり使い勝手がよくありませんでした。これも注意してください。
基本は無料ですが、240円払わないと、日本語に対応しません。
インストールしたアプリを起動しても、ヘルプが表示されるだけで、何も起きません。
iPad/iPhoneの[設定]で、キーボードとして「Wifi Keyboard」を追加してください。
物書堂の辞書アプリを開いたら、検索モードに切り替えます。
地球儀アイコンをタップしてキーボードを切り替えると、
という表示になり、すぐ
という表示に切り替わります。
ここに表示されたIPアドレスを、ブラウザのURLバーに入力すると、
こういう画面になって入力できるようになります。
これからもよく使うので、この画面はブラウザでブックマークしておきます。
ただし、Wifi Keyboard側のIPアドレスは、ときどき変わる はずです。IPアドレスは、たとえば
192.168.10.9 :8080
というパターンになっていて、この例で言うと「9 」の部分が入れ替わります。家庭用のルーターでは、そういう仕組みになっているからです(詳しい説明は省略)。
検索して、iPad/iPhone側の表示が変わると、ブラウザ上のウィンドウは入力できない状態になります。iPad/iPhone側を検索ウィンドウに戻すと、入力できるようになります。
また、iPad/iPhoneのキーボードはいろいろなタイミングですぐに切り替わってしまいます。他の入力モードに切り替わったときも、ブラウザ上のWifi Keyboardウィンドウは入力を受け付けなくなります。必ず、上記のようにWifi Keyboard用のキーボードになっている状態でつかってください。
というわけで、ハッピーな辞書ライフをお楽しみください。
p.s.
翻訳者ご用達の辞書のうち、どれがアプリでそろうのか、リストをまとめているところです。完成したら公開します。
12:09 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 iPhone/iPad | このエントリ
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2019.03.08
# 物書堂の辞書アプリが統合!
私も辞書セミナーなどでおすすめしている物書堂 さんの辞書アプリが、ついに統合型アプリになりました!
これで、物書堂さんの辞書アプリを
一括 "串刺し" 検索
できるようになったということです。
インターフェースもいろいろ変わり、全体にかなり使いやすくなりました。
今までは「1辞書1アプリ」だったので、それぞれを起動しなければなりませんでした。
EBPocketで「Web検索」に登録すれば串刺し検索も可能ですが、最大8つまでしか登録できず、辞書間の移動もスムーズとは言えません。
そんな不便が一気に解消されます。
こうなってくると、アプリ辞書という選択肢が翻訳者にとっても、がぜん有力な候補になってきた と言えそうです(iOSだけですが)。
●統合版への移行
まず、統合版になった「辞書 by 物書堂」アプリをダウンロードします。
今まで持っていた辞書アプリも、すべてアップデートされているので……
すべてアップデートしてください。
アップデートが終わったら、今までの個別アプリを起動すると、こんな画面が出ます。
["辞書 by 物書堂" に移行する] をタップして、指示に従えば移行できます。
操作が完了しないままウィンドウを閉じてしまい、移行が完全に終わっていない場合は、個別辞書の
このメニューを開けば移行を続けられます。
手持ち辞書の移行がすべて終わって、「辞書」アプリ を開くと、このように[コレクション]ウィンドウが表示されます。
★注意★
まだ一部のアプリは統合に対応していないそうで、その場合は、単体を起動したときに上記のメッセージが出ず、単体のままになります。
私の手元にある辞書だと、『オックスフォード英語類語辞典』、『角川 類語新辞典』などが未対応です。
●統合版の使い方
統合が終わったら、[検索]フィールドに語句を入力すれば串刺し検索ができます。
最初の検索時点では、[国語]・[英和・和英]・[英英辞典]の3つから(独和とか仏和があるときは、増えるのかな?)カテゴリーを選ぶ必要がありますが……
いったん検索したあとは、ドロップダウンリストを使って
すべての辞書間を移動
できるので、もう圧倒的に便利です。
■
さて、物書堂の辞書アプリがこれだけ使いやすくなったら、これはもう、ぜひこちらも試したいところです。
リンク:side A: # Wifi Keyboard + EBPocketで作る準PASORAMA環境
リンク:Wifi Keyboard
こちらの記事では、EBPocket の使い方まであわせて紹介していますが、この部分は不要です。
Wifi Keyboard + 辞書 by 物書堂
だけで、
PCから引ける串刺し辞書環境
が実現します(もちろん、PASORAMAほど便利ではありませんが)
ちなみに、1月に出たアルクの『翻訳事典 2019-2020』、付録DVDにも、Wifi Keyboard の使い方を収録しています(画像がよくないんですが……)。
★★注意★★
……と思ってApp Storeを見にいったら、ほぼ同じ名前で類似のアプリも出ていたようです。
私がおすすめしているのは、上のほう、グレー系のアイコンのやつです。
もうひとつのほう、念のため検証してみたのですが、いまひとつ使い勝手がよくありません(バグもあるっぽい)。しかも、ときどきインターフェースの日本語が変です。
ちなみに、まだ出たばかりでオンライン版のサービスもまだ始まっていないウィズダムの第4版もそっそく物書堂アプリになっています。
ということで、物書堂さん、これからも目が離せません。
05:57 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2019.03.01
# アビリティ・インタービジネスさんの4月期講座 - 体験授業あり
すでにご案内しておりますが、広島の翻訳会社アビリティ・インタービジネス・ソリューションズさんの東京校で、4月17日から私の講座が始まります。
リンク:東京校|AIBS翻訳スクール
それに先立って、体験講座もあります(こちらを案内するの、忘れてました)。
3月6日(水)19:00~
リンク:翻訳体験講座(東京校)|東京校|AIBS翻訳スクール
アビリティさんの講座は、ITや技術系に限定せず、「どの分野にも共通する翻訳スキル」ということを前提にしています。また、それ以上に「実際の翻訳業務に直結する」内容を目指していますので、
・日本語ライティングのコツ
・辞書の引き方
・翻訳の勉強方法
・翻訳に関する情報収集
といった実践的な内容も取り上げます。
3月6日の体験講座も、そういう大前提をふまえた内容です。
事前課題はありませんが、帽子屋があちこちでお伝えしている内容をギューって凝縮してお伝えします。
しかも、本番と同じ2時間の授業としては格安 の受講料^^
01:20 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2019.02.22
# 「翻訳を勉強する会」公開勉強会in東京、いよいよ来週です
お伝えしていました、
「翻訳を勉強する会」公開勉強会in東京
の開催が、いよいよ迫ってきました。来週3月3日(日)です。
(すでに定員に達し、申し込みは終了しています)
ご参加のみなさんには、
・事前課題の提出期限……2/23(土)24:00
・事前アンケートの記入期限……2/24(日)24:00
というご案内のほか
懇親会の出欠確認
もお願いしています。
メールが届いていない、という方は、東京事務局までご連絡ください。
(東京事務局のメールがわからない方は、コメントください)
11:31 午前 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2019.02.11
# 春からのコース開講、2つ
暦の上では立春も過ぎましたが、寒い日が続いています。
とはいえ、冬来たり因幡の白兎春遠からじ。この4月から、また翻訳学校の新学期が始まります。
定番のフェロー・アカデミーでは中級コースと上級コース。そして、昨年から始まったアビリティ・インタービジネス・ソリューションズの講座も開講の予定です。
リンク:フェロー・アカデミー 実務翻訳コース[中級]IT・マーケティング
― 中級は4月13日(土)開講。毎週土曜日です。
リンク:フェロー・アカデミー 実務翻訳コース[上級]IT・マーケティング
― 上級(ゼミ)は4月9日(火)開講で、隔週火曜日。
リンク:AIBS翻訳スクール 東京校
― アビリティは4月17日(水)開講の、隔週水曜日。
フェローのほうは、2018年秋季(この3月で終わります)が、おかげさまで中級・上級ともほぼ定員いっぱいでした。
アビリティのほうは、フェローよりももっと実務よりの授業を展開します。翻訳そのものはもちろん、実務的なハウツーとかツールの使い方も紹介する実践的な内容です。
それぞれ、お楽しみに~。
11:51 午前 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2019.02.07
# 翻訳エージェントと翻訳者をむすぶイベント
紹介が遅くなりましたが、来週2/13(水)にこんなイベントがあります。
「“i” translate.」は、翻訳に関わる翻訳エージェントと翻訳者の方々を結び付け
翻訳業界全体を盛り上げるためのイベントです。
こういうイベントスペースを使うというのは、翻訳業界としてはほぼ初めてのことかもしれません。かなり斬新な試みです。
それだけに、堅苦しくない雰囲気ですし、値段もカジュアル。翻訳祭のような公式イベントではなかなか翻訳会社とコンタクトできない、という人に特におすすめです。
11:30 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2019.02.01
# 『翻訳事典 2019-2020』がすごい!
アルクの『翻訳事典』、最新号が1/31に発売されました。
すでに、FacebookやTwitter、同業者のブログなどでも紹介されており、いろいろと話題になっています。
Amazonでは、「翻訳」カテゴリで1位は当然として、全体でも131位(2/1、2:30am現在)と、大健闘しています。
アルクの佐藤さんによれば、翻訳事典としても新記録になるのだそうです。
毎年1月に出るムックなので、この時期に話題になるのは恒例なのですが、今年はちょっと様子が違います。
全体にすばらしいコンテンツぞろいの今回、特に話題になっているのが、p.33からの特集記事
●「機械翻訳と人間翻訳者
です。
業界全体が機械翻訳(とその後処理としてのポストエディット)一色になろうとしているなか、この特集記事は、その大きなうねりに貴重な疑問を投げかけています。
なかでも、
「ニューラル機械翻訳 翻訳者の目で検証してみよう」(高橋さきの)
「私が考える「翻訳」 機械翻訳+PEと翻訳の違い」(井口耕二)
の2本には、同業者の多くが感動し、歓呼の声をあげています。
今回の「翻訳事典」、なかでもこの機械翻訳特集がこれだけ話題になっているのは、記事のすばらしさもさることながら、そもそも機械翻訳をこういう方向性で取り上げようとしたアルクの、つまりは
編集人の佐藤直樹さん
の方針も大きかったと言えます。
毎年この「翻訳事典」を編集しながら、長年にわたって翻訳業界を真摯な視線で見つめてきた佐藤さん自身が、機械翻訳をめぐる昨今の流れに疑問を感じ、編集者として、出版人として何らかの一石を投じずにはいられなかった---そんな思いが誌面の端々から伝わってくるからこそ、その思いに共感が集まっているのだと感じています。
翻訳者志望の方には、p.45からの特集
●「翻訳者志望者への 直言、助言、愛のムチ」
も必読です。実務翻訳は豊田憲子さん、出版翻訳は田内志文さん(これはかなり珍しい! )、そして映像翻訳はJVTAの新楽直樹さんが担当。ありがちな「あなたも翻訳者になろう」的な内容ではなく、今の翻訳業界をしっかり見据えたうえでの、貴重なアドバイスになっています。
そのほかの記事も、掛け値なしに、読み応えたっぷりです。
●新潮社「翻訳校閲ゼミ」レポート
私も聴講した回ですが、実によくまとまっています。
●辞書をめぐる冒険 レキシコバトル
十人十色が9/8に開催したイベント「辞書をめぐる冒険 Part2」のレポート。私も出てきますが、そんなことより、ほかの登壇者にご注目ください。見坊行徳さん(国語辞典マニア)、和爾桃子さん(出版翻訳者)、関山健治さん(辞書研究者)、大久保克彦さん(言わずと知れたEPWINGジェダイ)、土部隆行さん(インドネシア語翻訳者)
いま思い返しても、よくこれだけ贅沢なメンバーが集まったと思います。簡単ですが、そのときの様子を感じとっていただけるはず。
●フリーランスなら知っておきたい税金のこと
昨年、井口富美子さんと庄野彰さんが登壇したJTFセミナーのレポートです。これから個人事業者になろうという人は必読。
●翻訳で活きる人 ヒト ひと
いろんな同業者が登場します。フェローで私のクラスも受講したことがあり、私なんかよりずっと活躍していらっしゃる方。いつも元気な女性の同業者も何人か登場します。
字幕翻訳の岡田壮平さんとは、昨年ゆっくりお話しする機会がありましたが、こうして活字になっているのはうれしいかぎり。
●特別付録DVD
今回の大きい目玉のひとつは、翻訳事典として初のDVDコンテンツが付いたこと。
「プロ翻訳者の仕事場」では、越前敏弥さんの仕事環境や仕事のしかたをじっくり見ることができます。
「動詞のパワーを全開に!」には、日英翻訳でおなじみの遠田和子さんの講演がそのまま採録されています。
そして、「公開! 辞書ソフトの使い方」は、私がEBWin4の使い方を動画付きで紹介したもの。
……なのですが、ご覧になった方はおわかりのように、画質があまりよくありません。私の手元にはもっと画質のいいファイルがあるんですが、DVD用に変換すると、どうしてもこうなっちゃうんだそうです。
かろうじて画面の字は読めるので、多少なりともお役に立てばいいのですが。
●巻頭マンガ「ススメ! 翻訳ガール」
DVD付録と同じくらい、あるいはそれ以上に新機軸だったのは、この巻頭マンガかもしれませんね^^
まあ、なんというか……。私も驚きましたw
ムックは、書籍と違って基本的に増刷がありません。翻訳事典のバックナンバーは今でも買えますが、ことによると今号は売り切れという事態も考えられます。お買い求めは、ちょっと急いだほうがいいかもしれません。
【2/2 追記】 最高で59位を記録しました! Amazonでは品切れになったようです
03:34 午前 書籍・雑誌 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2019.01.25
# 柳瀬尚紀『辞書を読む愉楽』
個人的にまだ柳瀬尚紀ブームが続いていて、今年に入ってから最初にAmazonで注文したのはこれだった。
柳瀬氏は2016年7月に73歳で亡くなったが、この本に収められているのは、『本の旅人』(KADOKAWA)に1995年11月から2003年1月まで連載していたエッセイ。
タイトルどおり、毎回必ずなんらかの辞書に言及があるので、この本を起点に、また次々と辞書を買ってしまう。とても危険な一冊だ。
辞書の話といってもスゴいのは、連載当時の最新と言える電子版もちゃんと使っているところ。
当時、柳瀬氏は52歳~59歳。
今の自分と大差ないが、氏は1943年生まれで、世代がまったく違う。戦中生まれでありながら、1995年には当たり前のようにコンピューターを使っていらっしゃる。知人に作ってもらったPCに、7連だか8連だかのCD-ROMドライブをつないで電子辞書を使いまくっていたのだそうだ。
だからこのエッセイには、まだ書籍版しかなかった『日国』のような定番だけでなく、OED のCD-ROM版 ver.3.0 などまで登場する。リーダーズのほかにリーダーズ・プラスもそろっていて、国語辞典だと大辞林とか大辞泉も次々とCD-ROM版が出始める時代。その検索性の愉しさに感心する様子が、たびたび描かれている。
それどころか、氏がこの頃使っていたとして紹介されるCD-ROM辞書のなかには、今では手に入らないタイトルまで並んでいて逆にうらやましいくらいだ。
もちろん、辞書の話に限らず、氏のエッセイは読んでいて愉しい。
ちなみに、「インターネット」という記事(1996年11月号掲載)には、
英語では the Internet と、定冠詞がついて頭文字は大文字で記される。
と書かれている。IT系の文書ではだいぶ前から小文字表記も珍しくなかったが、小文字表記が正式に認められたのは、わりと最近の話だ。
柳瀬尚紀は競馬が大好きだったので---東江一紀さんもそうだったらしい---競馬ネタになるとあまり楽しめないのは惜しい。今からでも覚えようかしら。
将棋ネタも多くて、2001年11月号掲載の「定跡」という話には、藤井猛竜王(当時)という名があった。将棋に疎い私は、「最近話題の、なんだっけ、藤井聡太くんか。あれのお父さんかしら」と思って調べてみたが、聡太くんは祖父母に将棋を習ったらしい。
「チューインガム」というエッセイには、イチローが大リーガーとして登場する。2001年6月号の掲載で、野球にもあまり詳しくない私などは
「え、イチローって、あの頃もう大リーグにいたの? もう18年たつのに?」
と思ってしまったのだが、調べてみたら、鈴木一郎は2001年4月にマリナーズで初出場していた。なるほど。
というわけで、どこを読んでも楽しい柳瀬尚紀。
09:44 午後 書籍・雑誌 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2019.01.06
# 「サブカル講座 in 大阪」にお申し込みの方、メールをご覧ください。
1月20日の
「翻訳に使える文化・雑学・サブカル知識」 in 大阪
は、おかげさまで満員御礼となりました。ご参加のみなさん、よろしくお願いします!
ちょうど2週間前ですが、ご参加の皆さんには PassMarket からメールをお送りしました。詳しくは、メールをお読みいただきたいのですが、内容は以下の2点です。
● 事前課題
提出の必要はありませんが、事前課題を添付しています。ぜひ、楽しみながらやってみてください。
●書籍の頒布
こちらの本を、著者から預かって、関西のみなさんにお届けしようと思います。
リンク:悩み別にみる 辞書の選び方 特設ページ
"辞書マニア" 西練馬さんの新作です。
事前に希望の部数を確認したいので、こちらは私宛てにメールを送っていただく ようお願いしています。
「こんなことを調べたい」という場面別に、国語辞典・類語辞典の特徴が紹介されています。
翻訳者にも国語辞典、国語の類語辞典が必須なのは言うまでもありません。そのために欠かせない、最良のガイドブック。ぜひお買い求めください!
05:30 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2019.01.04
# 『図解 英語基本語義辞典』、1月中旬発売の予定です
『図解 英語基本語義辞典』についての続報です。
拙ブログにコメントをくださったアドスリーの三井様から、見本を1部いただきました。Amazonにはまだ情報がなく、hontoでも書影が出ていませんが、こんな表紙です。
実際には、こんな帯が付くはず。
「ロングセラーな」という用法は?ですけど、まあいいでしょう。
発売日は、まだ「1月中旬」までしか発表になっていません。詳しくわかったら、またお伝えします。
ということで、この辞書のおもしろさを改めて、いくつか紹介してみます。
前置詞 into の用法。翻訳者ならもちろん、すでにしっかり把握している概念ですが、「場所」と「様態」の両方があるということをきちんと確認できます。
あるいは、newのこの図。
「時間軸上で新しい」の意味と、「取って代わって新しい」の意味は当然おさえておく必要があります。
次はkey。なんでもない日常語ですが、「点線の先にゴール」が書かれている点が秀逸です。key to successというのは、あくまでも点線の部分であって、successが100%保証されるわけではないということ。
the thing that will do most to help you to achieve something
Macmillanでもこう説明されています。
最後はこれ、mindの項ですが、heartとの比較が付いています。
わかっている人には何でもないことですが、翻訳学校の受講生さんあたりだと、この区別が怪しい人もときどき見かけます。
この違いは、河野一郎先生の『翻訳英和辞典』にも書いてあります。
mindもheartも,抽象名詞としてはともに「こころ」と訳されることがあるので,初学者には区別がつきにくい。いちおうmindには「思考・理性・知性」,heartには「心情・愛情・熱意」などの訳語が当てられているので,おおよその違いはわかるが,次のNewsweek 誌の記事のように併記されると翻訳にとまどう。
How old a child must be to both know in his mind and feel in his heart that lying, stealing, cheating, hurting―let alone murdering―are morally wrong is a matter of scientific debate.
■
ちなみに、昨年の11月に出て「語のイメージ」表示が話題になった『コンパスローズ英和辞典』には、この4語のうちintoだけ図示がありました。
基本語義として「めり込む」まで書いてある点は○ですが、図示のしかたはどうでしょうね。好みもあるかもしれませんが、「状態の変化」という点は『英語基本語義辞典』のほうがわかりやすいと、私は思います。
というわけで、ご予約くださった方は、発売日までもうしばらくお待ちください。
02:44 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2018.12.18
# 『図解 英語基本語義辞典』、奇跡の復刊!
私があちこちでおすすめしている辞書
『図解 英語基本語義辞典』
が、なんと復刊されます。2019年1月に発売されるとのことです!
コメント欄に情報をくださった発行元の方から、チラシもいただきました。
PDFファイルはこちら:図解英語基本語義辞典 復刊チラシ
PDFでチラシをダウンロードしていただくと、注文書が付いています。
コメントをくださった方によると、
本書を全国の書店に配本したく、(中略)そのためチラシにより、「最寄りの書店」さんから「発売元の丸善出版」に注文を出してほしいのです
ということですので、ご購入をお考えの方は、ぜひとも上記チラシをダウンロードし、
書店注文
にてお買い求めください!
元々の値段は分からなくなっているのですが、2,800円というのは、かなりリーズナブルだろうと思います。
この辞書、今年2月のこの記事をはじめ、あちこちでおすすめしています。
リンク:禿頭帽子屋の独語妄言 side A: # 『図解 英語基本語義辞典』と『図解 英単語イメージ辞典』
おすすめしておきながら、実は絶版で、最近は古本もだいぶ高騰していました。6,000円~30,000円超まで!
たびたび残念に思っていたところへ、この記事に発行元の方からコメントをいただきました。
発行元は、学術書などを中心に扱っているアドスリーという出版社。
こちらが、著者である政村秀實先生の許可を得て、丸善出版から出るということです。
最近は、Twitterで話題になってこんな本が復刊するという事件もありましたが、この辞書も、そういう幸運に巡り会えたようです。
06:31 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2018.12.11
# 大阪レッスンシリーズ、予定の新ネタ
リンク:「『翻訳に使える文化・雑学・サブカル知識』 in 大阪」(翻訳フォーラム・レッスンシリーズ#11)
おかげさまで残席わずかとなりました。
大阪編では、9/30に東京でお伝えした内容に加え、新ネタをいくつか増やす予定です。
ひとつは、これです。
リンク:Gigazine:歴史上最も影響力のある映画は「オズの魔法使」
以前も、どなたかに「英語圏のネタ元として、『オズの魔法使い』はどうですか?」と訊かれたことがありました。たしかに、いろいろな場面で比喩として出てきますね。
そのほか、この記事に出てくる映画はいくつか取り上げようと思います。
そして、もうひとつはこちら。
日本語訳としては、ほぼ30年ぶりの新訳です。
これがどうやら、翻訳者の視点で見ても、いろいろ興味深いようです(12/8の十人十色「辞書をめぐる冒険3」で、大久保さんから伺いました)。12/10発刊ということで、間もなく手に入ります。
もちろん、私は聖書について蘊蓄を傾けられるわけではありません。あくまでも、翻訳者としての立場で取り上げます。
ということで、年明け早々1月20日の「レッスンシリーズ in 大阪」 。
御用お急ぎでない方は、ぜひ、お付き合いください。
10:44 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2018.11.30
# 帽子屋のサブカル講座拡大版、大阪でも!
5月の翻訳フォーラム・シンポジウムに続き、9月30日にはレッスンシリーズ第10弾として、
「英語圏の文化・教養・雑学・サブカル~引用に強くなろう~」
という拡大版セミナーを開催しました(台風の影響でバタバタしましたが)。
なかなかのご好評をいただいたおかげで、同じ内容を大阪でも開催することになりました。
リンク:「『翻訳に使える文化・雑学・サブカル知識』 in 大阪」(翻訳フォーラム・レッスンシリーズ#11)
日時:2019年1月20日(日)12:00~
場所:神戸大学学友会大阪クラブ セミナールーム
です。
申込み開始は、12/3(月)正午 。
タイトルは少し変えましたが、基本的に同じ内容をお届けします。ただし、時間が少しだけ長くなる分、さらに発展版にしようと、ネタを仕込み中です。
上記の案内サイトのほか、以下のリンク先もご覧ください。
リンク:side A: # レッスンシリーズ第10弾 - サブカル講座発展編、やっちゃいます!
リンク:屋根裏通信 2018年10月04日
下のリンクは、9/30に参加くださった Sayo さんのブログ記事です。今回、レッスンシリーズ第11弾を大阪に呼んでいただいたのも、実は Sayo さんやしんハムさんが中心になったグループです。お呼びいただき、ありがとうございます!
ということで、新年早々、また大阪にお邪魔します。よろしくお願いいたします。
07:31 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2018.11.24
# 英和学習辞典、新版が立て続けに
強力な学習英和辞典の新版が、あいついで刊行されました。
まず、11月16日にこちらが。
『ライトハウス』の上位版だった『カレッジライトハウス』の系譜、直接的には『ルミナス』の新版だと思いますが、『コンパスローズ』と名前を改めて登場。
続いて、11月22日にこちら。
私がここのところ推薦し続けているウィズダムの新版です。
もうひとつ、
こちらも10月に出ているのですが、まだ確認していません。『オーレックス』より低い学年向けです。
こうやって、学習レベルの英和辞典がきちんと版を重ねているのは、なんともうれしい限りです。しかも、どんどん進化し続けています。
内容がどう変わったか、詳しくはいずれまたレポートしたいと思います。
『コンパスローズ』は、本文も充実していますが、何と言っても売りはこれでしょう。
語のイメージ表示です。絶版になってしまった『図解 英語基本語義辞典』には、まだ及びませんが、かなり迫っている感じです。
この「語義のマッピング」もなかなかいい工夫。
(図は、ともに研究社のパンフレットより)
こういう辞書がある今の高校生って、なんと恵まれているんだろうと、つくづく思います。
収録語彙では、まだざっと見ただけですが
・internetの小文字が載った
・provideの語義が増えた
・leverageとかlogisticsの語義が増えた
など、翻訳者にとっても実用的にうれしい進化を遂げています。
『ウィズダム』も、『コンパスローズ』のように目立った新機軸こそありませんが、確実に進歩しています。
コーパスを中心にした編集に、さらに磨きが掛かっているようです。
語彙レベルでも地味な進化がいくつもあり、「受験・ビジネスに」という謳い文句も伊達ではありません。Internetはまだ大文字だけですが、Internetで始まる関連語は13語ありました。
『コンパスローズ』より60ページくらい多いのですが、それでも『ウィズダム』のほうが薄いのは、さすが「辞書の三省堂」のノウハウでしょうか。
■
オンラインも含めた、今後の電子メディア展開も気になります。
ウィズダムは、最近の電子辞書端末でよく採用されているので、来年のモデルにはきっと第4版が載ることでしょう。
書籍を購入するとオンライン版も使えるようになるDual Dictionaryも、いずれ第4版に対応する予定とのことです。
ちなみに、Dual Dictionaryのサイトは、新版が出ても旧版が残るしくみになっていて、各版ごとに書籍を買っていれば使えることが分かりました(今も、英和第3版と英和第2版、その他があります)。
ただし、その場合のユーザー登録と新規登辞書追加の方法がちょっと分かりにくいので、注意書きを引用しておきます。
一度ユーザー登録と認証クイズをした後で、他の辞書もご購入いただいた場合は、再度のユーザ登録は不要です。 追加でご購入された辞書のログインページからすでにお持ちのID、パスワードでログインされて、最初に表示されるクイズにお答えいただければ、それ以降、その辞書にもお手持ちのアカウント(ID、パスワード)が有効になります。)
アプリはどうでしょうね……。物書堂さん、よろしくお願いします!
コンパスローズは、今ルミナスを載せているKODに収録されるのを期待したいところです。
07:31 午前 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2018.11.20
# オンライン辞書サイト比較 - 更新版、グラフ付き
先週土曜日(11/17)、ジャパンナレッジと翻訳フォーラムのコラボセミナーで配布した比較表ですが、あれは完全版を印刷しやすいようにまとめたものでした。
どうせならということで、完全版にグラフを付けて再アップロードしました。
ファイル:オンライン辞書比較 2018年11月17日版
※Excelファイル(約32KB)のダウンロードが始まります。
そのほか、JKでわかったことがあるので、以下をお読みください。
ジャパンナレッジさんからお話があって、デジタル大辞泉に類語のセクションがあるというのが話題になっています。
ただ、デフォルト状態だと下のほうにあって、なかなか目に触れない存在なんですね。
そこで、[前項目一覧]と[後項目一覧]を折りたたんでしまえば---▲をクリックして▼に---、こうやって類語セクションが上のほうに来ます。
そして、項目によっては、類語だけでなくことわざ、数え方といった関連語も出てくるのでした。
ことわざと類語は大辞泉のデータですが、数え方は小学館『数え方の辞典』のデータですね。この前、古本で買ってきてから、JKに収録されてることに気づいたやつだ ^^;
デジタル大辞泉、人気急上昇中です。
11:23 午前 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2018.11.16
# 英辞郎についてのセミナー
ふだんとはちょっと違う環境で、オンライン辞書「英辞郎」を取り上げるセミナーがあります。
リンク:JACET英語辞書研究会主催「『英辞郎』が拓く未来の英語辞書」
英語辞書研究会というのは、「英語辞書・英語語法に関する研究」を行っている先生方の集まりです。
そんなアカデミックな場なのですが、関山先生に呼んでいただいて、私も英辞郎について少ししゃべることになりました。
日時:2018年12月15日(土) 15.00~17.30(14.30 受付開始)
会場:早稲田大学 11号館 4階 大会議室
参加費:500円
タイムテーブルは、以下のとおりです。
15.00 Part 1:辞書ではない『英辞郎』を辞書学的に解剖
小室夕里(中央大学)「『英辞郎』はなぜ辞書ではないのか」
井上亜依(防衛大学校)「English Phraseology(英語定型表現研究)の観点から見た 『英辞郎』の有用性と発展性」
関山健治(中部大学)「電子辞書時代を駆け抜けた『英辞郎』の魅力と課題:検索インターフェイスの観点から」
15.50 休憩
16.00 Part 2: 『英辞郎』と翻訳者
高橋聡(翻訳者・日本翻訳連盟理事)「『英辞郎』だけで翻訳はできるのか」
16.30 Part 3: 書籍版『英辞郎』とオンラインサービス「英辞郎 on the WEB」の制作サイド
16.40 休憩
16.50 Q&A(ファシリテーター:関山健治)
17.20 閉会
つまり
まずは、大学の先生方が学問的に英辞郎を解剖
私が翻訳者としての立場からコメント
そして最後は、英辞郎の"中の人"が話す
という構成です。
ふだんとあまりに違う環境、こんなスゴいメンバーのなかで話をするというのは、なかなかドキドキものです。
英辞郎を一方的にdisるつもりはありません。無料版とPro版の違いも含め、翻訳者が英辞郎をどう考えればいいのか、具体例を紹介しつつお伝えしようと考えています。
英辞郎について、これだけまとまった形で議論するというのは、かなり珍しい機会だと思います。
事前申し込みは不要のようです。
お時間と興味のある方は、ぜひお越しください。
12:18 午前 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2018.11.11
# オンライン辞書サイトを比較してみた
最初は、「予算別、辞書環境ガイド」みたいな記事を書きかけたのですが、ゼロ円で構築しようとすると、結局はオンライン辞書に頼らざるをえません。
そこで、まずは無料・有料のオンライン辞書サイトのラインアップを比較してみました。
英英と、英辞郎、辞書ポータルは対象外です。
ファイル:オンライン辞書比較 2018年11月11日版
※Excelファイル(16KB)のダウンロードが始まります。
今回気づいたこと:
・goo辞書で、ランダムハウス英和が使えなくなってました。
・コトバンクは、国語辞典だけならひとまず足りますが、英語系は圧倒的に足りません。
・KODは、ラインアップと料金のバランスでやはり優秀かもしれませんが、国語系が足りません。
・ジャパンナレッジは、やはり圧倒的。どうせなら + R がいい。
06:23 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2018.11.06
# フェロー・アカデミーで、こんな単発講座やります
ふだん「IT・マーケティング講座」を担当しているフェロー・アカデミーで、来年の1月から3月、こんな単発講座を開きます。
リンク:実務翻訳に必須の周辺知識
1/15(火)~3/12(火)、隔週の全5回です。
翻訳の周辺で
・必ず知っておきたいこと
・知っておくと仕事に役立つこと
・知っておいたほうが何かとうれしいこと
などなど、これまではまとめて取り上げられる機会がなかったテーマを一気にこなします。
どのテーマも、ごくごく基本の内容から中級くらいの内容まで扱う予定です。産業翻訳者であれば、分野を問わず参考になる情報をお届けします。
10:58 午前 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2018.10.28
# 第28回翻訳祭 - すばらしい出会い
第28回JTF翻訳祭、ひとまず無事に終了しました。
初めて、ではなく実は久しぶりに関西での開催となった今年の翻訳祭。内容については、もちろんご意見ご批判など多々あることと思います。その点について、ここでは詳しく触れません。
京都開催という珍しさもあって、いろいろな方にお会いできましたが、特にうれしかった出会いがひとつありました。
何をおいても、まずそのことを書いておこうと思います。
翻訳祭には毎年、ほんやく検定1級合格者をご招待し、交流パーティーで紹介・表彰しています。今年は、例年よりその参加者が多かったのですが、情報処理の分野で合格したある女性に声をかけていただきました。私を見つけて、えらく勢い込んでこう切り出します。
「わたし、アメリアの定例トライアルで先生にA評価を2回いただいたんです!」
アメリアの定例トライアルについては、ちょっと前にこんなブログ記事が公開されています。
リンク:「定例トライアル」の審査員と評価基準を公開!
リンク:「定例トライアル」評価基準
前任者から引き継いで定例トライアルを担当するようになって5年以上たちますが、「AA」を出したのはたしか1回だけ、「A」はいつも数名です。
また、アメリアには
同一分野で12カ月以内に2回A以上を取得するとクラウン会員登録資格取得!
という規定があります。クラウン会員になると、求人応募が有利になる(らしい)のですが、A評価の頻度から言って当然、これに該当なさる方もごく少数です。
「A評価だったのは、どの問題でした?」などと詳細を伺ったところ、2問とも私が○を付けた(プラス評価した)箇所があったとのこと。たしかに、どちらも難解な厄介な箇所でした。
言うまでもありませんが、採点するときには受験者の名前は分からないしくみになっています。誰にAを付けた、ということも分かりません。
審査員などと偉そうな名前で答案を拝見はしていますが、自分の採点と評価判断にいつも揺らぎない自信があるとは限りません(責任は持っているつもりです)。でも、こうして声をかけていただいたおかげで、
同じ人にちゃんとA評価を出していた
つまり、自分の評価判断に、まずまずブレがなかったということを確認できたわけです。いつも思いがけない出会いがある翻訳祭ですが、今回は個人的にこのうえなくうれしい年になりました。
Kさん、お声をかけていただき、ありがとうございました!
■
このエピソード、さらに驚きが続きます。翌26日、すべての日程が終了した頃のことです。あるセッションにもご登壇くださった広島の翻訳者T氏(だじゃれ魔王の、あの方です)が、このKさんと一緒にいるところを見かけました。T氏は、広島の翻訳会社が運営している翻訳スクールで講師をなさっているのですが、なんと、Kさんはそのスクールの受講生さんだったとのこと。
しかもその翻訳スクール、東京でも今年の春から半年実施され、こちらは私が講師を務めていました。
まとめると、
1 私も縁のある翻訳スクールの受講生さんが
2 私の担当する定例トライアルでA評価を2回とり
3 JTFほんやく検定でも1級をとった
ということです。
もちろん、Kさんは最初から一定以上の実力がおありだったのでしょう。でも、翻訳スクール、定例トライアル、ほんやく検定という3つ別々の場がそれなりの機能をちゃんと果たしているらしい、と改めて確認できたと事例だったと言ってもいいのかな、と。
講師業にしてもトライアル採点業務にしても、同業者の間ではあまり歓迎されない仕事です。翻訳しているのと比べれば、実入りがいいとはけっして言えないからです。でも、こんな出会いがあるだけで、その苦労もいっぺんに報われる思いがします。
今年は、少なくともその点で特別な翻訳祭となりました。
10:11 午前 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2018.09.24
# 「JTFジャーナル」のこと
日本翻訳連盟(JTF)が隔月で発行している「JTFジャーナル」。
今年に入ったあたりから、誌面の傾向が変わったという声がちらほら届いています。同連盟の理事という立場で、別に今のジャーナルを弁護も養護もするつもりはなく、その声は真摯に受け止めたいと思っています。
そんな折も折、日本工業英語協会が発行している「工業英語ジャーナル」の目次を見る機会があり、ああそういうことなのかな、と思い至った点があります。
今のJTFジャーナルは、
情報は豊富だが、コンテンツが少ない
ということなのかもしれません。
「工業英語ジャーナル」最新号の目次はこうです。
・仕事はスピードと精度 ビジネス技術英語ライティングの基本(2) 中山裕木子
・工業英検4級頻出文法(33):動詞3 岡裏佳幸
・職場における「英文ライティング教育」(74):電磁気の基礎(その5) 酒井正臣
・科学技術政策と科学技術英語(45) 高橋正人
・科学技術英文作成における注意すべき英語表現(22) 興野登
・楽しく学ぶ英語語法(73):almostとnearlyの差について 田中成幸
・工業英検2級、1級受験勉強のためのアイデア(32):油と脂肪の話(2) 足立圭介
・技術翻訳としての特許翻訳(13):電気化学的に卑な金属 倉増一
・自動車産業の新たな人材、外国人留学生 郷古実
・特許明細書における論理の重要性(80) 仲吉洋一
・図面の英語(5):図面の注記例文ー成型加工 板谷孝雄
・大学英語教育の現状と課題、その対策と背景(2) 時國滋夫
・平成29年度工業英検 文部科学大臣賞受賞者
・E-コマース/E-ビジネス-テクニカル・コミュニケーションー(27) 藤岡慎弥
これだけ「コンテンツ」がそろっていれば、読んでみたい、という気も起きようというもの。
コンテンツというのは、「ほかでは読めないもの」、「読んでみたい」と思わせる内容 、だと私は思っています。
一方、今年に入ってからの「JTFジャーナル」の特集タイトルを並べてみると―
2018/1月号「第27回JTF翻訳祭」
2018/3月号「巻頭対談:ニューラル翻訳を超える未来へ」
2018/5月号「翻訳会社の声」
2018/7月号「TCシンポジウムに行こう」
2018/9月号「IJET-29大阪/ISO規格の最新動向」
こうなっています。
これは「コンテンツ」ではなく「情報」。翻訳業界の現状や、それを取り巻く技術の動向を知るために、読む必要がある 内容です。
業界団体の雑誌である「JTFジャーナル」には、業界関係者に必要な情報を発信する という大切な役割があります。その情報が業界にとって有益であることも確かです。こうした情報発信は、今後も続けていかなければなりません。
が、有益な情報も、読んでもらわなければ意味がない。雑誌を開いてもらうには、必要に迫られて読む情報だけでなく、読みたいと思えるコンテンツが必要なはずです。
特に個人翻訳者には、そういう「読みたい」という吸引力がなければ、まった振り向いてもらえません。
■
私が「JTFジャーナル」に関わり始めたのは、2011年5月号からです。
まだ内容は刷新されていませんが、少しでも個人翻訳者に興味を持ってもらおうと、翻訳者の間でだいぶ使われ始めていたTwitterのアイコンを並べるようにしました。ちなみに、この号でさっそく登場した Madhatter が当時は私のアイコンでした。
翌2012年には、テリーさんや松田さん、遠田さんと一緒にジャーナル編集委員を拝命し、それぞれが連載コーナーをもつようになります。
手前味噌にはなりますが、このコーナー連載が続いた2012~2015年の4年間は、個人翻訳者にも読んでもらえるコンテンツが、それなりにはあったように思います。
たとえば、この間に私のコーナー「フリースタイル、翻訳ライフ」には、こんな方々に寄稿いただきました。
鈴木立哉さん●朝型フリーランスの優雅な(?)1日
大光明宜孝さん●「ストレスフリーの仕事スタイル
庄野彰さん●生活リズムは夜型ベースで時にランダム。田舎での電脳生活を満喫
仙野陽子さん●字幕翻訳者・仙野陽子のハッピー翻訳ライフ
マーナー摩美子さん●「ちょうどいい」を大切に、マイペースで楽しむフリーランス翻訳ライフ
松丸さとみさん●マインドフル、フルマラソン、充実フリーランス
渡部優一さん●新鮮な刺激を求めて――京都で楽しむフリーランス翻訳ライフ
国枝史朗さん●仕事でも趣味でもことばと格闘
高橋聡●特集:名古屋の翻訳ライフ
青山万里子さん●海を眺めながらのんびり楽しむ翻訳ライフ
セランド修子さん●言語が与えてくれる本質への視点
中村泰洋さん●不明瞭な会社の将来像と明瞭な自身の将来像
大久保雄介さん●「半農半翻訳」はじめました
井口 富美子●かけがえのないもの ― IJET-25実行委員を経験して
三浦朋子さん●ほんやく検定受験 ― 私の場合
中澤甘菜さん●勉強会が教えてくれること
中島拓哉さん●地方都市におけるネットワーキング
糸目慈樹さん/西垣内寿枝さん●ほんまかい
畝川晶子さん●異業種による学びの場「西日本医学英語勉強会」
井口富美子さん●翻訳勉強会十人十色
今こうして振り返ってみても、ご執筆いただいたみなさんには、いくら感謝してもしきれません。
このほかにも、2012~2015年の連載コーナーはいま見ても読み応えたっぷりです。バックナンバーで読めますので、まだの方はぜひ(すべて、無料でダウンロードできます)。
■
2016年の春には誌面が一新し、新しく(ほぼ)固定の執筆陣による連載がスタート。これが2年間続きました。
この連載もバラエティー豊かで、やはりそれなりの「コンテンツ」だったと思うのですが.、いかがだったでしょうか。
この春から、遠田さんなどの連載も始まっていますが、やはりまだバランスが気になります。もう少し、個人翻訳者や、翻訳会社の中の個人に届く「コンテンツ」を増やしたいですよね。
■
ついでに言うと、日本工業英語協会は、個人の年会費が15,000円。これだけのコンテンツが年3回発行され、セミナー等のイベントでも会員と非会員の参加費に2倍の差があります。
これで、個人会員はどのくらいいるんでしょうね、ちょっと気になっています。
01:41 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2018.09.05
# ジャパンナレッジ紹介イベント
翻訳フォーラムは、2016年から不定期で「レッスンシリーズ」を開催してきました。フォーラムの主宰者と幹事が交代で講師を務め、主に、毎春恒例のシンポジウムで取り上げたテーマをさらに深く掘り下げています。
これとは別に、外からゲスト講師をお招きして翻訳に関わるお話をしていただく新シリーズを開くことになりました。題して「レッスンプラス」です。
その第1回を、11/17(土)に開催します。
リンク:「ジャパンナレッジと見坊さん~優良辞書の選び方・使い方~」(翻訳フォーラム・レッスンプラス#1)
申し込みは、すでに上記サイトで始まっています。
今回のテーマは2つ。
ひとつは、日本最大の有料辞書ポータル「ジャパンナレッジ(JK)」の詳しい紹介。
運営会社である株主総会ネットアドバンスの中の人に、JKの詳しい使い方を解説していただきます。JKサイトの検索オプションや、コンテンツの特長など、まだ使っていない人はもちろん、使っている方でも見えていない全貌を知る絶好のチャンスです。また、利用者の希望や、収録辞書に関する要望などを伝える時間も設ける予定になっています。
参考リンク:side A: # 『精選版 日本国語大辞典』と、ジャパンナレッジ
レッスンプラスの参加者には
「ジャパンナレッジ+R」1ヶ月お試し権(2,160円相当)
が付いてくるほか、JKにお申し込みになる場合には
ジャパンナレッジ年会費割引サービス
の適用も予定しています。
JKは、けっして安くはありませんが、翻訳者にとってもそれだけの価値があるリソースです。そのことを、改めてご理解いただけるのではないかと思います。
■
もうひとつのテーマは、見坊行徳さんによる
『場面別にみる辞書の選び方』
見坊行徳さん、知る人ぞ知る辞書マニア。国語辞書マニアが集まって楽しく遊ぶイベント「国語辞典ナイト」のパネリストのひとりですが、ご存じない方は、たとえばこちらの記事をご覧ください。
リンク:#国語辞典ナイト 7 今回は「校正・校閲」大特集!プロの校正者による実演やあのドラマへのツッコミも…? #カルカル
リンク:「チャンピオン」や「りぼん」から国語辞典にのせたい言葉を探す - デイリーポータルZ
見坊さんの話は国語辞典が中心になりますが、どんなことを調べたいとき、どんな辞書を引けばいいかという、翻訳者としては必聴の内容です。
■
そして、さらにおまけ情報。
会場は、新装移転・オープン直後となる、あの日本出版クラブビル (千代田区神田神保町1-32 神保町駅下車2分)です!
これまでは神楽坂にあり、翻訳者にとっては「洋書の森」の拠点としおなじみでした。
このたび、神保町に移転。11月にオープンとなります。いつもの翻訳フォーラムとはちょっと違うぞ、というスペースを使わせていただけることになりました。
02:23 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2018.08.06
# フェロー・アカデミーの講座が新しくなります
フェロー・アカデミーで、この秋から担当講座の名前が変わります。
これまでは、中級・上級とも「IT・テクニカル」という名前の講座でしたが、「IT・マーケティング」として生まれ変わります。
リンク:実務翻訳コース[中級]IT・マーケティング
リンク:実務翻訳コース[上級]IT・マーケティングゼミ
「マーケティング翻訳」っていう言葉、ちょっと変な使われ方をしているようにも思うのですが、ともかく何やらどういうわけか、そういうマーケットがあるのは確かです。
IT系翻訳の求人にしても、そういう内容が圧倒的に増えてきています。同業者にしても私自身にしても、「IT翻訳者」の仕事の比率はだいぶ変わってきました。
マーケティング資料や、製品紹介、Webページ、ニュース、ブログなどは、これまでのコースでも扱ってきましたが、さらにその比重を増やすほか、企業紹介などの動画字幕も扱います。できれば、動画字幕編集のフリーウェアも授業で使ってみたいと考えています。
また、マーケティング翻訳に必要なデジタルマーケティングの基礎知識にも触れるつもりです。
Customer Journey
とか
funnel
とか、ああいうやつね^^
開講は10月。
私としても初めて試みることがたくさんあるので、大変ですが、また楽しい半年になりそうです。
07:41 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2018.07.20
# サン・フレアで辞書セミナー ~TQE過去問も使いながら~
ほぼ2年ぶりくらいだと思いますが、サン・フレア アカデミーさんで、辞書のセミナーを担当します。
リンク:実例から学ぶ辞書活用セミナー~TQE過去問を題材に~ | サン・フレア アカデミー
9月1日(土) 14:00~17:00
の3時間コースです。
辞書については、もうあちこちで話していますし、フェロー・アカデミーでも全3回にわたるオンライン講座が年2回くらいのペースで公開されています。
が、今回は3時間とたっぷり時間のあるコースなので、いろいろな情報をかなりまとまって お伝えできるのではないかと考えています。具体的には―
・辞書の種類(英和、和英、英英、国語、類語:規模など)
・辞書のメディア(書籍、CD-ROM、アプリなど)
・メディアごとの上手な使い方
・汎用辞書ブラウザの特徴と使い方
・LogoVista辞書データの扱い方
・EBWin4の使い方
・各辞書の特徴
・おすすめ辞書ラインアップ
・実際に辞書を使ってみる~TQE過去問を使って~
といったアジェンダを予定しています。特に、赤字で書いた部分は、時間制限の関係で今まであまり取り上げられなかった内容です。
また、扱うTQE過去問は、ITに限定しません。広報やマーケティング、時事関連などの文章も使って、そのなかで特徴的な、ぜひ辞書で確かめたい単語を取り上げます。
いつも、できるだけ「常に新しい情報があること」を心がけていますが、今回も3時間という枠をめいっぱい使って、翻訳者の辞書ライフ充実にお役に立てるような講座にしたいと考えています。
とくとお急ぎでない方は、ぜひお越しください。
01:03 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2018.07.15
# 電子辞書端末にしかできない使い方
前エントリで書いたように、PASORAMA対応の電子辞書端末には、端末上でしか使えない機能がかなりいろいろあるということを、関山先生に教わりました。
ともかく、買ってきたらすぐPCにつないでしまったので、そもそも本体を開いたのは片手で数えられるくらい。機能としても、序文や凡例を端末上でしか見られない、ということくらいしか知りませんでしたので、この情報を得られたのはとても貴重でした。
長くなったので、前エントリと別の記事にしました。
※以下、できるだけ手元の実機(DF-X10000改 )でも確認してみました。さらに、同じ機能を他の辞書環境で使えるかどうかも検証しています。
●平凡社 世界大百科事典
収録項目数が約84,000項目、索引数が約350,000項目です。このうち、PASORAMA上では見出し語の約84,000項目しか検索できませんが、端末上だと索引検索ができるので、候補がずっと増えます。
また、端末上だと分野別のツリー表示もできるそうです。
●リーダーズ第3版
訳語から、和英の逆引きができます。
これは実機で試してみました。
ちなみに、他のプラットフォーム上のR3でも似たような検索はできますが、まったく同じ動作にはならない感じです。
たとえば、PASORAMAの直接の後継に当たる「語句楽辞典」では、「その他」のメニューに「訳語」がありますが、
和英検索というより、用例から「硬い」(およびその活用形)を拾ってきているようです。
LogoVista上では、明確に使い方が書いてありませんが---こういうところが気になるんですよね---、「前方一致」で和英方向の検索ができました。ただ、結果は端末上とも「語句楽辞典」とも違います。
また、LogoVistaデータを登録した汎用ブラウザ上だと、
Jamming/EBWin4の「前方一致」は、LogoVistaと同じで16件、
Jammingの「一網打尽」とEBWin4の「自動検索」がともに18件、
でした。
●OSDを単語の属性で検索
OSD(Oxford Sentence Dictionary)とは、20億語のデータベースからなる「Oxford English Corpus」から採用した約100万の例文集です。DF-X10001や、最近のカシオ製品などにもたいてい収録されています。
PASORAMA上では、「例文検索」機能で出てきますが、「例文検索」だと辞書が選べないため、えんえんとスクロールする必要があります。しかも、辞書メニューからOSDを選ぶこともできません。
こういう使い方をするまでもなく、端末上ならOSDを指定して検索できます。
PASORAMA、成句検索はけっこう強いのですが、用例検索機能はけっこう不完全ですね。
●Britannica Concise Encyclopediaの全文検索
サーチエンジンのように使える、ということです。ふだんから百科はあまり使わないので、これはいいかな^^
●角川類語辞典のカテゴリ検索
たしかに、PASORAMAからは単語でしか検索できません。
iOSアプリ(物書堂)版が、カテゴリ検索に対応しています。
●新編 英和活用辞典の連語パターン検索
ちょっと分かりにくいかもしれませんね。これは、英語のコロケーションを調べる辞書ですから、見出しから、たとえばexciteを引くと、
【副詞1】 例文
【+ 前置詞】例文
【to do】 例文
【+ -selft】例文
【雑】
のように、連語のパターン別に例文が表示されます。ふだんは、こういう分類から例文を探しますが、連語パターン検索だと、最初から連語のパターンを絞って検索できるということです。
たとえば
こうやって条件を絞ってからexciteを検索すると---そのたびに入力が必要なのは不便ですが---、
このように、うしろに前置詞が続くパターンだけ探せるわけです。たしかに、そういう検索が必要になる場面はあるかもしれません。
これ、LogoVistaではできませんが、EPWING汎用ブラウザならできます。
EBWin4なら、検索方法として[複合検索]を選択します。[Complex Seach]というダイアログが開くので、[連結パターン]から[動詞 + 前置詞] を選択し、[単語1]に「excite」と入力します。これで、さっきと同じ結果が得られます(Jammingでもできます。Logophileには「詳細検索モード」というのがありますが、こういう使い方はできません)。
実は、このEBWin4の「複合検索」という機能、私の各種セミナーでもあまり説明はしていません。辞書ごとに、指定する項目かせばらばらだからです。
ただ単語を複数入力して検索する辞書もあれば、この新編活用の「連結パターン」のように指定項目がある辞書もあります。
あ、そうだ。最後に。
電子辞書端末の中古を買うときの注意がありました。液晶画面の経年劣化 の問題です。
「ビネガー症候群」と言うそうですが、液晶画面を使わないまま長期間(場合によっては4、5年程度で)放置しておくと、画面が黒ずんでしまうそうです。開いて使っていれば、つまり液晶画面を「空気に触れさせていれば」いいが、開かずに時間がたつのがよくないらしい。
ちなみに、関山先生は、電子辞書端末を百数十台お持ちだそうです……。
05:21 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2018.07.05
# 7/13(金)JTF翻訳セミナーは、翻訳者必聴!
前々エントリでもご紹介したとおり、来週7/13(金)には、辞書のプロ関山健治先生がJTF翻訳セミナーにご登壇なさいます。
リンク:ネットに頼らない,日英語辞書環境構築入門
以下、講演概要から引用します。
インターネットの普及に伴い,誰もが無料で膨大な情報にアクセスできるようになって久しい。駆け出しの翻訳者も,ベテラン翻訳者も同じ情報検索環境を享受できるようになった一方で,辞書についての正しい知識を身につけ,様々な辞書を使い分けながら,ネット検索では得られない信頼性の高い情報を手にする機会が少なくなってはいないだろうか。
本講演では,昨年秋に開催されたJTF翻訳祭における講演をふまえつつ,英語に加え,日本語の辞書の使い方,使い分け方も紹介したい。英語辞書学の研究者として,実際に辞書の校閲,編集にも携わった経験から,「ことばのプロ」である翻訳者がどのような辞書を揃え,使い分ければいいのかを考える。オークションで安く入手できるようになった電子辞書専用機の意外な活用法,辞書の執筆,編集の現場から見た辞書活用のあり方など,他では得られない内容も盛り込みたい。
申込期限は7/10(火)ですが、翻訳セミナーはいつも直前で一気に席が埋まるので、興味のある方は今週中に申し込んだほうがよさそうです
関山先生については、このブログでも過去に何回かご紹介しています。
side A: # 『英語辞書マイスターへの道』、翻訳者にもおすすめ
これらの本の著者であり、私があちこちでおすすめしている『ウィズダム英和辞典 第3版』でも執筆なさっています。
私もこの数年、辞書についていろいろと話をしていますが、関山先生の知識見識博識眼識にはとうてい及びません。
電子辞書端末、書籍辞書、オンライン辞書、英和・和英・英英・国語と、ともかく私たち翻訳者がふだん使っているあらゆる辞書に精通なさっています。
ふだんは、どちらかというと高校生・大学生を対象にして情報を発信なさっていますが、昨年の翻訳祭でお話しくださった内容からも分かるとおり、私たち翻訳者にとっても有益な情報がたくさん出てきます。
講演のポイントにも注目。
◎ 今,なぜネットに頼らない辞書環境が求められるのか
◎ 電子辞書専用機ならではの機能を翻訳に活かす
◎ 国語辞典の個性を知る
◎ 学習英和辞典・一般英和辞典・和英辞典・英英辞典の「御三家」とは
◎ 特殊辞典はこんな時に役立つ
◎ 翻訳者・辞書編集者・辞書研究者が相互に連携することで辞書は変わる
◎ 昔の辞書・今の辞書・これからの辞書
というわけで、貴重な2時間半になることは間違いなさそうです。
私も、懇親会まで含めて参加します。
02:00 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2018.06.28
# レッスンシリーズ第10弾 - サブカル講座発展編、やっちゃいます!
前エントリで今後のイベントをまとめて紹介しましたが、レッスンシリーズ第10弾について、あらためて詳しくご案内します。
5月の翻訳フォーラム・シンポジウムで私が担当したコーナー「ヲタクじゃないけどサブカル講座」の、拡大発展版です。
リンク:「英語圏の文化・教養・雑学・サブカル~引用に強くなろう~」(翻訳フォーラム・レッスンシリーズ#10)
9/30(日)13:15~16:45
発売開始が来週、7/3(月)12:00 です。
私はちょうど、大阪から京都に移動している頃になってしまうので、早めに告知しました。
【7/4追記】
発売開始から24時間ほどで、定員に達してしまいました。m(__)m
あとは、9/20から直前販売枠があります。
5月のシンポジウムにいらっしゃった方はご存じのように、「サブカル講座」とは言いながら、「サブ」以前の話もいろいろしました。
英語を読んだり訳したりするうえで
・知っておきたい
・知らなきゃいけない
・知っていると楽しい
ことはいろいろあって、それに気づかないと困ったことになる。そういう内容を「文化・教養・雑学・サブカル」とまとめてみました。
いま、「知らなきゃいけない」と書きましたが、何でもかんでも知っているなんてことはできません。
翻訳者として大切なのは、
知らなかったとしても、気づいて調べられる
かどうかです。
そもそも私自身、文化とか教養についてエラそうに人前で語れるような人間ではありません。雑学とかサブカルについてなら、まあ人より少しは知っていることもある、くらいです。
でも、幸いなことに、ある程度の
基本をおさえておけば、勘がはたらく
ようにはなる。その「基本」すらないと、ちょっとマズいかも、ということなのです。
ということで、レッスンシリーズ第10弾では、元ネタについて勘がはたらくくらいの基本をご紹介しようと思っています。
お楽しみに~。
10:53 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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# 今後のイベント予定
5月末に、今年前半のビッグイベント「翻訳フォーラム・シンポジウム 2018」が終わりました。
ここから数か月で私が参加する、もしくは登壇する翻訳関連のイベントを並べておきます。
●IJET-29 大阪
6/29(金)~7/1(日)
公式サイト:IJET-29 大阪
いよいよ明日からですね。私は、翻訳フォーラムのメンバーとして7/1(日)の最終コマ(15:00~)に登壇します。
リンク:翻訳フォーラム・ベストセレクション
帽子屋のパートは「翻訳者の辞書環境、最新情報」ということで、できるだけ最新の情報をお届けする予定です。
IJET自体にも参加するつもりだったのですが、いろいろな事情により、登壇でのみお邪魔します。
●翻訳フォーラム・レッスンシリーズ in 大阪
7/2(日)12:00~16:00
リンク:「『述語から読む・訳す』ワークショップ in 大阪」(翻訳フォーラム・レッスンシリーズ#9)
すでにお伝えしているとおり 、東京で続けているレッスンシリーズを、大阪で初めて開催します。過去のレッスンシリーズで特に好評だった「述語から読む・訳す」です。私はサポート役。
すでに定員に達していますが、「残念、参加したかった!」という声がたくさん上がれば、大阪開催第2弾もきっとあることでしょう…… :)
ついでに、イベントではないんですが、翌日7/3には、10月に開催されるJTF翻訳祭 の会場を下見に行ってきます。
今年は、3月に続いて2度目の大阪です。みなさん、またよろしくお願いしま~す!
●十人十色、辞書セミナーとミニミニ辞書発表会
7/8(日)13:05~17:00
リンク:十人十色「辞書をめぐる冒険 - 辞書セミナー + ミニミニ辞書発表会」
※Facebookグループのイベントページです。十人十色に入っていないと見られません。
川月現大さん、高橋さきのさん、帽子屋の3人が辞書について話しますが、今回の目玉はむしろ、「ミニミニ辞書発表会」でしょう。
参加者全員が、3分以内で自分のイチオシ辞書---実際に役立っている辞書でも、とにかく好きという辞書でも、なんでもかまいません(詳しくはこちら )。
とても十人十色らしい試みで、私も今から楽しみです。
こちらは、いったん満席になりましたが、キャンセルが出て6/28時点で1席だけ空きがあったような……。
なお、十人十色のイベントはもうひとつ決まっているのですが、まだ告知されていないので、発表がありしだい、こちらでも詳細をお伝えします。
●JTF翻訳セミナーに関山健治先生が登場!
7/13(金)14:00~17:00
リンク:ネットに頼らない,日英語辞書環境構築入門
昨年の翻訳祭で好評だった関山先生、拡大版として、JTF翻訳セミナーに登場です。もちろん、私も聴きにいきます。
お申し込みは7/10(火)まで!
●7/14(土)--この日もイベントがあるのですが、全面公開ではないので、ここでは控えます。
●『翻訳地獄へようこそ』刊行記念トーク
7/28(土)
リンク:『翻訳地獄へようこそ』(アルク)刊行記念 翻訳家の天国と地獄
実は私、宮脇孝雄さんのお話を一度も聞いたことないんです。なので、これに申し込みました。
まだ席はあるのでしょうか……。ジュンク堂に電話で申し込めます。
●越前さんが、東江さんについて語る会
8/4(土)『ねみみにみみず』の快進撃
『ねみみにみみず』が出てすぐにもトークイベントはあったのですが、そちらに参加できなかったので、こちらに。
人生初の「朝カル」です。メンバーカードなんとも届いて、ちょっとうれしい。
●サブカル講座、拡大版
9/30(日)13:15~16:45
5月のシンポでやって「ヲタクじゃないけどサブカル講座」の拡大版を、レッスンシリーズ第10弾として開催することになりました。詳しくは、次の記事で。
03:04 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2018.06.14
# 十人十色イベント、「辞書を巡る冒険」
7月8日(日)13:00から、翻訳勉強会グループ「十人十色」のイベントがあります。
リンク:辞書を巡る冒険 - 辞書セミナー+ミニミニ辞書発表会
※Facebook上のイベントページです。アクセスできない方は、以下の情報をご覧ください。
今回は、セミナー形式と、全員参加形式の2本立てです。
参加者全員
が、イチオシの辞書または珍しい辞書について、一人3分以内で発表する形をとります。
発表が必須だからと言って、臆することはありません。不安な方は、以下をよ~くお読みください。
参加者には、ミニミニ発表用の定型フォームを用意しています。
・ふだんよく使っている辞書
・これがなかったら仕事にならない、という辞書
・特定の専門分野にとにかく強い辞書
・電子版がなくてお世話になっている紙の辞書
・こだわって使っている古い版の辞書
・今は手に入らない秘蔵の辞書
・学生時代に赤線を引きまくってボロボロになった辞書
・著者(編者)のサイン入り辞書
・なんらかの思い入れのある辞書
……などなど、どんな内容でもOKです。
「発表」というと身構えてしまうかもしれませんが、心配には及びません。前に出て話すのではなく、各自の席で順に話していくことにしました。いわば、全員で、
辞書について少しずつネタを提供する
くらいの軽いノリで考えれば大丈夫でしょう。
勉強会「十人十色」はもともと、
翻訳に関するいろいろなことを、お互いに見せ合う
ところから始まった会です。
一方的に聴くだけではなく、「自分も発表者になる」ことで見えてくる世界があります。そして、発表しようとすれば、必ず自分の辞書環境について発見、再発見があるはずです。
■
セミナーパートのほうは、以下のような内容を予定しています。
高橋さきのさん 「辞書を科学する」
アルク『翻訳事典2018~2019』に載った「辞書を科学する:辞書は組み合わせて使う」に関連する内容です。
川月現大さん 「頭の中の辞書*を拡張する」
* 頭の中の辞書=メンタルレキシコン(心的辞書)
辞書は「使われる」ものではなく「使う」もの。辞書に正解を求めるだけではいけない。その場面で最もふさわしい言葉を見つけるにはどうすべきか、というお話です。
帽子屋 「紙の辞書もいいぞ!」
私は、紙の辞書の話をします。
■
以下、募集要項を貼っておきます。
★Facebookの参加ボタンを押しただけでは参加になりません★
6月13日(水)午後8時からメールによる募集を開始します。メールの先着順ですが、初参加またはご遠方の方を7名優先します。
◆必ず以下の件名でお送りください(返信される際も件名は変更しないでください。Gmailでは同じ件名はひとまとまりになるので事務処理がしやすく助かります)
【★初参加・遠方:辞書を巡る冒険 - 辞書セミナー+ミニミニ辞書発表会
】+(フルネーム+Facebook登録名)
その他の方は
【★★一般:辞書を巡る冒険 - 辞書セミナー+ミニミニ辞書発表会
】+(フルネーム+Facebook登録名)
としていただき、FBで使用されているフルネームを本文にも記入の上、十人十色のメアド
10.10.honyaku@gmail.com
宛てに、6月13日(水)午後8時以降、メールをお送りください。
★★それより早く届いた方は無効となります★★。
人数が確定した時点で、返信メールを差し上げます(すぐには返信できませんのでご了承ください)。返信メールで参加費の振込先をお知らせいたしますので、振り込まれた時点で参加確定となります。
参加者全員で、楽しく辞書について語り合う―― 十人十色ならではのイベントです。
ぜひ、気軽にご参加ください!
11:36 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2018.06.07
# 柳瀬尚紀の『ことばと遊び、言葉を学ぶ』
先週末に買って読んだエッセイ本を、もう一冊ご紹介。
久しぶりに柳瀬節を読みました。
私の好きな翻訳者のひとりで、エッセイも昔から好んで読んできましたが、最近しばらくまじめに追っていなかったので、うかつにも、『日本語は天才である』というのが出ているのを知りませんでした。
これも慌てて注文しましたが、本書でも
日本語の豊かさを信頼していて、探せば必ずぴったりの語が見つかるという信念があるからです。
という言葉が、とても印象的でした。
さらに、あとがきではこうも書いています。
私は、翻訳というものについて、翻訳者の個性というよりは、翻訳の言葉が日本語のほうから降ってきてくれるものだと考えるようになりました。翻訳をするときには、私は、日本語を通訳しているだけなのです。
英語も日本語もあれほど自由闊達縦横無尽変幻自在空前絶後に操れるようになって初めて出てくる言葉ですね。ずっしりと、重みがあります。
柳瀬氏の訳業は、ルイス・キャロルからロアルド・ダール、ジェイムズ・ジョイスまで幅広く、私もさすがに『ユリシーズ』は読んでいませんが、たとえばこんな作品で手軽に接することができます。
19世紀イギリスのナンセンス作家、エドワード・リア。たぶん、日本には柳瀬氏が紹介したと言っていいはず。
伝承童謡 Nursery Rhymes(マザーグース)から、ルイス・キャロル、そして20世紀的痛烈ギャグ集団モンティ・パイソンまで連綿と続く、英国ナンセンスジョークの系譜に位置する重要なひとりです。
そして、柳瀬氏が、文字どおりぼろぼろになるまで使い込んだというのが、
『熟語本位 英和中辞典』
言わずと知れた、斎藤 秀三郎編の名辞書です。今では、CD-ROMも付いた新版が出ています。
今までなかなか買えずに--むかし書籍版を持っていたので、正確には買い換えられずに--いたのですが、これを機に購入に踏み切りました。
だからといって、柳瀬尚紀の真似ができるわけではとうていありませんが、氏がほれ込んだ辞書に、あらためて触れてみたいと思いました。
■
ところで、本書『ことばと遊び、言葉を学ぶ』のイラストは、古川タクが付けています。
古川タク
って、ご存じでしょうか。知る人ぞ知るアニメーション作家なのですが、日本のいわゆる「アニメ」ではないアニメーション作品の世界の人です。
こんな感じの絵、見たことありませんか?
「みんなのうた」、などでもときどき見かけます。
エドワード・リアは、イラストも自分で描くのですが、古川タクの絵はちょっとリアの絵にも通じるところがあります。
10:08 午後 書籍・雑誌 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2018.06.05
# 東江一紀さんの『ねみみにみみず』
読み終わってから、改めて帯を締めたら、いや本の帯を見たら、
おもしろうてやがていとしきエッセイ集
と書かれていました。まさに、そういう一冊でした。
残念ながら、生前の東江さんには(もちろん、生後の東江さんにも)面識はないのですが、この本を読み終わった頃には、そのお人柄の1億分の1くらいには触れられたかもしれないという気になった感じがしないでもありません。
そんな私がこの本のことを書いたりするのは、僭越至極恐縮千万呉越同舟傍若無人で、畏れ多くて恐れ入谷の鬼子母神なのですが、まあここは私のブログなので、好きに書きます。
翻訳に携わっている人、翻訳者をめざしている人にとって必読かどうかは分かりませんが、少なくとも
「厄介な仕事だ、まったく」
の章だけは読んでください。山岡洋一さんの『翻訳とはなにか』とは、言うまでもなく文体もスタンスも何もかも違いますが、でもこの短い章に書かれていることって、どれも翻訳という仕事の本質です。
もちろん、東江さんの魅力に触れたければ、そのほかの章もやっぱり読みましょう。本が売れたほうが、ご本人もきっと喜んでくださるでしょうし。
アマゾンでひとつだけ付いているコメントを見ると、『ストーナー』などで東江さんの文体に触れた人にとっては、『ねみみにみみず』の全編に流れる"おちゃらけ"文体は意外なようです。
私などは、どちらかというとデイブ・バリーのシリーズみたいなノリが大好きだったので、この文体は、さもありなんでした。
本書に収められた数々のエッセイ、その洒脱な文章の裏に垣間見える故人の巨大さ。まさに「翻訳の巨人」です。
もちろん、こんな巨人の文章を真似しようとしたら火傷をするに決まっているので、翻訳にしてもエッセイにしても、ただただ名人芸を楽しむのみ。
後進を育てる際の厳しさとやさしさも、ときどき顔をのぞかせます。自分の甘さを恥じ入るばかり。
とは言っても、けっして堅苦しい本ではないので、好きなお酒でものみながら読むというのが、本書の正しい取り扱い方でしょう。私もそうしました。
それなのに、そんな読み方をしていても、読み終わると襟をただしたくなるのが不思議です。その秘密のひとつは、たぶん編集後記にあります。
「変な表記、じゃない、編者後記」
と題した編集後記は、編者を務めた越前敏弥さんによるものですが、これが本書の仕上げです。ただの編集後記ではありません。
東江さんの遺した文章を並べて、おそらくは何度も再読し、再構成しながら東江さんの姿を思い出し、そして最後には、遺影のようにその姿を前にしながら、越前さんは編集後記をお書きになったのではないか――勝手な想像ですけど、そう想像したくなるほど、編者後記まで含めて完成した形になっている。私はそう読みました。
■
東江さんと越前敏弥さんのことで、どうしても心残りなことがあります。この機会に書いておきます。
東江さんがお亡くなりになったのは、2014年6月21日でした。
私はというと、ちょうど前日から東京ビッグサイトのそばに泊まって、翻訳業界の一大イベントのまっ最中。そう、東京で開催されたIJET-25のちょうど期間中でした。
そして、越前さんには、私がお願いして、そのIJET-25の2日目(22日)にご登壇をお願いしてあったのです。
たしか、21日のうちに越前さんから「東江さんが亡くなった」と連絡があり、委員会側ではこんなチラシも用意していました。
それでも、越前さんは予定どおり、翌22日にはビッグサイトにお越しくださったのですが、ふだんとは明らかに様子が違っていました。
私はたぶん、哀悼の意すらろくに示さず、ともかく越前さんの登壇するセッションのことしか考えていなかったと思います。
あのときの越前さんのご心中を察していれば、こちらからもっと強硬に、「登壇なんかキャンセルして、あちらにいらっしゃってください」、と申し出るべきだったんじゃないか……。
あれ以来、ずっと気になっていました。
それだけに、編者後記の最後の一文が、よけいに響きます。
01:02 午後 書籍・雑誌 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2018.05.24
# 「うんのさんの辞書」、いよいよV6が登場!
「うんのさん」の愛称を知らない人はモグリと言われる……
『ビジネス技術実用英語大辞典』という正式名称をみんな言えない---私も今、書きながら確認しました---。
これが初めて搭載された電子辞書は大歓迎された---私ももちろん買いました---。
……などと言われるほど、今や翻訳者ご用達となった辞書の新版が、2010年以来8年ぶりに発売されます。
リンク:Project-Pothos.com
リンク:海野のビジネス技術実用英語大辞典
※上のリンク先がプロジェクトポトスの公式サイトですが、以下の内容は下のリンクからのほうが分かりやすいと思います。
現行のV5に続くV6。もちろん、今回も
EPWING
仕様です!
しかも、旧版をお持ちの方には、何パターンかアップグレード割引き があるので、上記の公式サイトで必ず詳細をお確かめください。
そして、いよいよ今週末に迫った翻訳フォーラム・シンポジウム2018 では、海野さんご夫妻から直接、このV6を買えることになっています。
・公式発売より1日早い販売!
・シンポジウム特別価格で、さらにお得
ちなみに、日外アソシエーツやAmazonでも取り扱いは6月からとのこと。
うんのさん公式での割引き価格は、以下のページに説明があります。
リンク:ビジネス技術実用英語大辞典V5からV6へのアップグレード割引
簡単に書いておくと(以下、すべて税込み)、
定価は、12,096円(V5の所有は関係なし)
プロジェクトポトス(公式サイト)直販で、
新規購入の場合は、9,990円
V5のシリアルコードがあれば、番号によって6,480円または5,400円(下記に注)
ということです。
そして、27日の翻訳フォーラム・シンポジウムでは、上記からさらにサービスしてくださいます。
リンク:翻訳フォーラム・シンポジウムにおけるビジネス技術実用英語大辞典V6アップグレード割引
新規購入の場合は、9,000円
V5のシリアルコードがあれば、6,000円または5,000円(下記に注) 端数ばっさり切り捨て!
シリアルコードは、V5のパッケージに入っています。これです。
私のは、コードの末尾番号が 4 でした。
【訂正】
ご指摘いただきました。私のは、たまたま見えてる部分の最後が 4 なだけで、サイトで説明している「末尾の付加番号」ではありませんでした。ハイフン付きの -4 があるかどうか ですね。
たぶん、わりと最近(V6のリリースが決まってから)購入した場合に付いている。つまり、よくあるように「最近V5を買った人は、その分安くV6にアップグレードできる」というパターンです(ってか、ご夫妻にそう説明された気もします)。
シリアルコードが見つからない!
ということもありますよね。そんな場合も、かなり丁寧に対応してくださいます。上記サイトをお確かめください。
パッケージはあんまりとっておかない私の手元に、なんでちゃんとコードがあったかというと、
ご夫妻のサインをもらった大切なパッケージだからです。
リンク:side A: # 「うんのさんの辞書」V5 発刊記念パーティー
このとき購入して、サインをいただきました。
27日のシンポジウムにご参加の方も、ご夫妻から直接V6を購入できる、またとないチャンスです。
きっと、ご夫妻のサインももらえます!
■
今回のV6は、公式データによると、
・英和編 親見出し約24,360語、副見出し1,370語、用例 約115,850件
・和英編 親見出し約27,610語、副見出し160語、用例 約119,310件
ということです。V5が
・英和 ― 見出し22,583語、副見出し1,342語、用例のべ105,588件
・和英 ― 見出し25,753語、副見出し157語、用例のべ109,233件
ということですので、見出しはそれぞれおよそ2,000語、用例は10,000例増えているようです。もちろん、これがどれほど大変な作業だったか、想像に難くありません。
ちょうどいい機会です。V5をお持ちの方は、ぜひ「はじめに」 をお読みになってください。
EBWin4 では[検索]→[メニュー]、Logophile では[検索]→[メニュー検索]です。
特に27日のシンポジウムにいらっしゃる方は、「はじめに」を読んでからご夫妻に会うと、印象が絶対に違うはず。
V6でどんなところが変わっているのか、私も手にするのが楽しみです。
11:01 午前 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2018.05.18
# EBWin4 64bit版
さっき、なぜかEBWin4がまったく起動しなくなりました。原因はわかりません。Windows UpdateなどでOSに変化があったわけでもないしなぁ……。
で、新バージョンも出ているし、インストールし直してみようかと思ったのですが、しばらく前に64bit版も出はじめていたので、試してみることにしました。
リンク:EB series support page
最新版はv4.5.5(4/24)で、インストーラをダウンロードすると、64bit版と32bit版が両方入っています。
以下、注意点と簡単な報告です。
【注意】
2017年7月に公開されたv4.4.5から、インストーラの形式が変わりました。64bit版/32bit版とも、
このように、.exeと.msiが入っています。
初めてインストールする場合には、.exeをダブルクリックすれば必要なコンポーネントも含めて、問題なくインストールできるでしょう。
一方、すでに旧バージョンをインストールしている場合などは、.exeを実行すると途中でエラーメッセージが出て進めなくなります。
この場合は、.msi のほうをダブルクリックすればインストールできるはずです。詳しくは、過去の記事もご覧ください。
参考リンク:side A: # EBWin4 4.5.1 --- いろいろ進化してた!
■
64bit版と32bit版は共存できるということなので、上書きインストールではなく別インストールしてみました。
そうすると、いろいろと設定のし直しが必要かと思いましたが、登録辞書については、今までの設定をすべて引き継いでくれました。
C:\Users\<ログインユーザー>\AppData\Roaming\EBWin4
にあるデータです。これは助かりました。
インターフェースデザインやフォントなど、アプリケーション自体の設定は改めて必要になります。これは以前から変わらない動作。ちなみに、ウチのEBWin4はこんな設定です。
これが一般的な動作設定。
[連続表示]のオン/オフは、インターフェース上でも切り替えられます。[語尾補正]と[アクセント記号を除去して検索]は、たいていオンでOK。
フォントの色は好みですが、[行間]はこのくらいがいいかも。デフォルトは[1/4]ですが、けっこう詰まった印象です。
11:13 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2018.04.30
# 【速報】レッスンシリーズ、大阪開催が決定!
これまで8回、東京で開催してきた翻訳フォーラム・レッスンシリーズ ですが、ついに
大阪で開催
できることになりました。
皆さんもご存じのように、6月29日から7月1日まで、日本翻訳者協会(JAT)の年次イベントIJETが、今年は大阪で開催されます。
リンク:IJET-29 (大阪)
翻訳フォーラムの4人も、最終日に登壇します。
で、せっかくフォーラムとして関西に行くのだからということで、翌7月2日(月)に、レッスンシリーズ第9弾もやっちゃおう、ということになった次第。
お題は、昨年の10月に東京で開催して好評だった、
「述語から読む・訳す」ワークショップ in 大阪
です。
詳細の発表はこれからですが、募集人数は多くない予定なので、興味のある方は今のうちにまず日程だけ空けておいてください。
なお、今回の大阪開催にあたっては、関西在住のSayoさんとしんハムさんが全面的にお手伝いくださっています。
Sayoさんは、昨年10月の「述語から読む・訳す」ワークショップにご参加になり、ブログにそのレポートを書いてくださっています。
リンク:屋根裏通信 「述語から読む・訳す」ワークショップ
「述語から読む・訳す」
という考え方は、これに先立って春のシンポジウムなどでちらっと概念だけ紹介されました。それを、レッスンシリーズの第7弾として実施したのが、このワークショップでした。
Sayoさんのブログにもかなり詳しく書いてありますが、講師である高橋さきのが考案したオリジナル教材を使うこのワークショップは、いま現在どんな形で翻訳と携わっている方にとっても、目からウロコの発見があるはずです。
ということで、詳細はしばらくお待ちください。m(__)m
ちなみに、講師は高橋さきの、進行補助を深井裕美子が務めますが、私もサポートとして参加します。
02:01 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2018.04.27
# シンポジウム2018 & 大オフ、第2次受付中!
翻訳フォーラム主催のシンポジウムと大オフ、第1次発売分はおかげさまで予定数に達し、現在は第2次申し込みを受付中です。
リンク:シンポジウム2018 ~つなぐか切るか~
ギリギリまで日程が固まらない方のために直前枠もありますが、そちらはごく少数です。お申し込みは今のうちに。
そして、シンポジウムのみお申し込みの方、大オフ参加をまだ迷っている方、特に翻訳フォーラムのイベントが初めての方は、
大オフのほうもぜひ
参加してみることをおすすめします。
大オフには、
「人と人とのつながり」
が待っているからです。
翻訳するうえで必要な要素 はなにか、という問いの答えとしてあげられるのは、一般的に
・原文を読みとる「読解力」
・訳文を書く「文章力」
・いろいろなことを調べる「調査力」
の3つでしょう。
しかし、翻訳を仕事にする(仕事として続けていく)うえで必要な要素 となると、もうひとつ
・人とのつながり
も、欠かせないファクターになってきます。
ひと昔前であれば、翻訳者とは「ひとり家にこもって黙々と仕事をするもの」というイメージだったかもしれません(その当否はともかくとして)。
今でも、それで仕事が成り立たないわけではありませんが、そのままでは必ずどこかで壁にぶつかります。
翻訳スキルも伸びにくくなり、仕事の広がりにも影響します。
同業者の多くが翻訳者どうしで勉強会を開き、研鑽に努めているのは、そのためです。また、仕事についても
紹介を通じた請けた仕事のほうが、総じて良い
と、みなさん異口同音に言っています。私自身も、まったく同感です。
そういうつながりを作れる格好の機会が、おおぜいの翻訳者の集まる場です。
そして、翻訳フォーラムの大オフは、そういう翻訳者の集まりに初めて参加するにも最適だと思っています。
・個人翻訳者がたくさん集まる
・社内翻訳者もたくさん集まる
・いろいろな分野の翻訳者が集まる
・いろいろな経験年数の翻訳者が集まる
からです。
「人とのつながり」っておもしろいもので、一度つながりができると、そこから先はおもしろいように広がっていきます。
そういう最初の一歩を作れていないという方こそ、ぜひ大オフにも参加してみてください。
01:29 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2018.04.07
# フェロー・アカデミー、オンライン辞書講座・第3弾
フェロー・アカデミーで、これまでに2回、私の「オンライン辞書講座」が配信されました。
第1弾:翻訳者のための辞書セミナー〜選び方と読み方を見直してワンランク上の翻訳を!〜
第2弾:翻訳者のための辞書セミナー~オンライン英英辞書を使いこなそう!~
※第1弾と第2弾は、すでに配信を終了しています。そのうち、また配信されるかもしれませんが……。
そして現在は、第3弾を配信中です。
第3弾:翻訳者のための辞書セミナー~辞書引きから訳文作りの実践へ~
2月の翻訳フォーラム・レッスンシリーズ、3月のJTF関西セミナーでそれぞれ開催した「脱・辞書の持ち腐れ」に近い内容ですが、第1弾と第2弾の復習にあたる内容も盛り込んでおり、取り上げている課題も異なります。
内容のご紹介:
1.どんな辞書を引くか(約35分)
・英和、和英、英英、国語
・大辞典、中辞典、学習辞典、専門辞典
・辞書の発行年
・辞書の形態
2. どのように引くか(約15分)
・成句をどう引くか――辞書の形態ごとに
・語義や語法をどう読むか
3.課題(事前課題/練習問題)の解説(約30分)
配信期間(4/14~5/6)であれば何度でも視聴することができ、講師である私に1回だけ質問できるというおまけも付いています。
申し込み締め切りは明後日、
4/9(月)
です。
東京と大阪で「脱・辞書の持ち腐れ」にご参加になれなかった方も、ぜひこちらをどうぞ!
12:51 午前 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2018.03.31
# 翻訳フォーラム・シンポジウム2018 & 大オフ
翻訳フォーラム・シンポジウム & 大オフ、今年もやります!
ということで、告知サイトがオープンしました。
リンク:シンポジウム2018 ~つなぐか切るか~
今年のテーマは、「つなぐか切るか」です。
多くの翻訳者が悩むのが、文やパラグラフは、原文通りに切るべきか、状況に応じてつないでも良いものかということ。そこにルールはあるのか、正解はあるのかを、様々な角度から論じます。
申し込みは、まだちょっと先ですが、昨年と同じく第一次と第二次に分けて行い、直前枠も若干ですが用意します。
第1次発売 4/15(日)10:00~5/24(木)10:00
第2次発売 4/20(金)18:00~5/24(木)10:00
直前 販売 5/14(月)10:00~5/24(木)10:00
例年、大オフのほうが先に満員御礼になってしまうので、今年は大オフ会場を大きくしました。
みなさん、今年も、チケット発売開始に向けて、スタンバイをお忘れなく!
シンポジウムの会場は、過去何回かと同じくお茶の水女子大 。
大オフは、池袋ですが、東京芸術劇場の2F という好立地です。
《テーマと登壇者(予定)》
第1部 11:00-12:35
1)「文の構造、段落の構造」高橋(さ)・井口・高橋(聡)
2)「2018辞書最新情報」深井裕美子/高橋(聡)
昼休憩(50分)
第2部 13:25-15:00
3)「ヲタクじゃないけどサブカル講座」高橋聡
4)「今こそ学ぶ!先達の翻訳論」星野靖子(めだかの学校)
5)「パンクチュエーション101」深井裕美子
休憩(15分)
第3部 15:15-17:00
6)「コヒージョンを考える」佐復純子(めだかの学校)
7)「さようならブチブチ文~文章の『きれつづき』」高橋さきの
8)「何が出るかなQ&A」高橋(さ)・井口・高橋(聡)・深井
今年の大テーマは「つなぐか切るか」ですが、第2部の3)と4)は、テーマを離れた余談コーナーです。
そして不肖・帽子屋は、熱いご期待に応えて、ついに
「翻訳者向けのサブカル講座」
をやってみようと思っています。
これとか、
これとか
これとかが、いったい何を表していて、最近の英語圏文化を知るうえでは、
・聖書
・シェイクスピア
・Nursery Rhyme
などと並ぶ周辺知識としてどれだけ欠かせなくなっているか、ということをお伝えしようと思っています。
03:20 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2018.03.20
# フェローのほかでも、授業が始まります
アビリティ・インタービジネス・ソリューションズ
という、広島の翻訳会社さんがあります。
本拠地・広島では、しばらく前から翻訳学校も運営しており、東京でもこの春から「プロフェッショナル翻訳者育成コース」 が開校することになりました。
リンク:AIBS翻訳スクール
その講師を、帽子屋が務めます。
リンク:プロフェッショナル翻訳者育成コース|東京校|AIBS翻訳スクール
開講は4月18日(水)。隔週で全10回を予定しています。
フェローとはもちろん違うカリキュラムですが(全10回)、帽子屋が持っている翻訳のノウハウをとことんお伝えする点は変わりません。翻訳会社の運営なので、フェローより、さらに実践的、実務に即した内容になりそうです。
現在、説明会を随時開催していますので、興味のある方はぜひお問い合わせください。
10:20 午前 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2018.02.27
# 関西セミナー、本日18:00締切です!
すでにご案内しているJTF関西セミナー、いよいよ今週の金曜日に迫ってきました。
脱・辞書の持ち腐れ《60Hz》~どの辞書をいつ引くか~
深井裕美子さんと帽子屋という辞書コンビ、初の関西登壇です。
お申し込みは、本日18:00まで です。
なお、今回の参加者特典として、帽子屋が作った
「EBWin4マニュアル」も配布
します。
ご参加予定のみなさん、よろしくお願いします!
09:50 午前 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2018.02.19
# EBWin4、Web検索URLの更新版
汎用辞書ブラウザEBWin4 で、URLを登録しておいて各種辞書サイトを検索できる「Web検索」の機能については、これまでにも何度かご紹介しました。
昨年7月には、(たぶんレッスンシリーズの後で)私が手元で登録しているURLリストも公開しています。
参考リンク:side A: # EBWin4のURLリスト - 8/17版
ところが、辞書サイトのURLはわりと頻繁に変わったりします。
特に最近多いのは、URLの先頭で http が https に変更されるケースです。
HTTPSで始まるサイトは、大ざっぱに言うとSSLというしくみでセキュリティが強化されています。以前から、オンライン決済を使うサイトなどは必ずHTTPSでした。一般のサイトはHTTPも多かったのですが、Google先生が「HTTPSサイト以外は信頼しないかんねー」と言ったりした経緯もあって、HTTPSに移行するサイトが増えています。
EBWin4に登録してあるURLを調べたところ、やはりほとんどのサイトがHTTPSに移行していました。
HTTPのままでもリダイレクトされるので、使えるには使えるのですが、この際ですから更新しましょう。
今回の更新にはもうひとつ理由があります。
イギリス語系の辞書サイトも、たいていはアメリカ語の検索オプションが用意されています。
こちらはOxford Dictionaryのサイト。
これはCambridgeです。
このようにサイト上では選択できなくても、オプション設定でBritish/Americanを切り替えられるサイトもありました(Macmillan)。
どの場合も、切り替えて検索してみると、結果のURLが違いました。URLのどこかにAmericanとかUSなどの文字列が追加されているケースがほとんどです。
そこで、British/Americanを使い分けられるサイトは、せっかくなのでEBWin4のWeb検索でも登録を分けてしまおうということです。
以下に最新のURLを掲載します。http→ https の変更だけではない場合もあるので、該当する辞書をお使いの場合は、まるっと変更してください。
※昨年7月より、いろいろ増えています。
※以前と変わっていないURLも一部あります。
※赤字が、米語系のサイトです。
ジャパンナレッジ
http://japanknowledge.com/psnl/search/basic/?q1=
WikiPedia(jp)
https://ja.wikipedia.org/wiki/
WikiPedia(en)
https://en.wikipedia.org/wiki/
Wiktionary
https://en.wiktionary.org/wiki/
Google Japan
https://www.google.co.jp/search?output=&sitesearch=&hl=ja&q=
AHD
https://www.ahdictionary.com/word/search.html?q=
Cambridge
https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/
Cambridge American
https://dictionary.cambridge.org/us/dictionary/english/
Collins
https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/
Collins American
https://www.collinsdictionary.com/us/dictionary/english/
Longman ※米語はないようです
https://www.ldoceonline.com/dictionary/
Macmillan
https://www.macmillandictionary.com/dictionary/british/
Macmillan American
https://www.macmillandictionary.com/dictionary/american/
Merriam-Webster
https://www.merriam-webster.com/dictionary/
Webster Learner's
http://learnersdictionary.com/definition/
Merriam Unabridged (有料)
http://unabridged.merriam-webster.com/unabridged/
Oxford Dictionary
https://en.oxforddictionaries.com/definition/
Oxford American
https://en.oxforddictionaries.com/definition/us/
Oxford Learner's
https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/definition/english/
Oxford Advanced American
https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/definition/american_english/
Oxford Reference
[URL]http://www.oxfordreference.com/search?q=
[Post]&searchBtn=Search&isQuickSearch=true
WebLSD
https://lsd-project.jp/cgi-bin/lsdproj/ejlookup04.pl?opt=i&query=
Urban Dictionary
https://www.urbandictionary.com/define.php?term=
Green's
https://greensdictofslang.com/search/basic?q=
訳語辞典
http://www.dictjuggler.net/yakugo/?word=
類語玉手箱
http://www.thesaurus-tamatebako.jp/?s=
コトバンク
[URL]https://dic.yahoo.co.jp/search/?ei=UTF-8&fr=kb&p=
[Post]&dic_id=all&stype=full ※なくても可
goo辞書 (RHD2が使えます)
[URL]https://dictionary.goo.ne.jp/srch/all/
[Post]/m0u/ ※必要
Dictionary.com (レイアウト崩れ)
[URL]http://www.dictionary.com/browse/
[Post]?s=t ※なくても可
The Free Ditctionary (レイアウト崩れ)
https://www.thefreedictionary.com/
OneLook (レイアウト崩れ)
[URL]https://www.onelook.com/?w=
[Post]&ls=a ※なくても可
英辞郎
https://eow.alc.co.jp/search?q=
英辞Pro (有料)
https://eowp.alc.co.jp/search?q=
MSランゲージポータル
[URL]https://www.microsoft.com/ja-jp/language/Search?&searchTerm=
[Post]&langID=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E&Source=true&productid=%E3%81%99%E3%81%B9%E3%81%A6%E3%81%AE%E8%A3%BD%E5%93%81
※必要
KOD (有料)
[URL]https://kod.kenkyusha.co.jp/service/search/search_frame.jsp?back=false&page=form.jsp&methodName=%95W%8F%80%8C%9F%8D%F5&sortkey=index&field=
[Post]&subMethod=wildcard&method=normal&book=normal-set&checkedBook=plus_e&checkedBook=eidai&checkedBook=eiwa&checkedBook=lumi_eiwa&checkedBook=wadai_j&checkedBook=waei&checkedBook=lumi_waei&checkedBook=plus_j
※必要
07:06 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2018.02.18
# Wifi Keyboard + EBPocketで作る準PASORAMA環境
2/4の「脱・辞書の持ち腐れ」セミナーでは、アプリの名前をちらっと出しただけだったので、改めてご紹介しておきます。
かつてのPASORAMAのように、パソコンからスマートフォンやタブレット上の辞書を操作できる環境を、PASORAMAほど完全ではないながら、部分的に再現するしくみです。
≪重要≫
PCとスマートフォン/タブレットは、同じネットワーク上にある必要があります。たとえば一般家庭であれば、PCを有線/無線接続している同じルーターに、スマートフォン/タブレットもWi-Fi接続していることが前提です。
使うのは、次の3つのアプリです。
Wifi Keyboard
EBPocket
Evernote
※私がAndroidを使っていないので、紹介するのはiOS環境だけです。「Wifi Keyboard」はAndroid版もあるのですが、同じかどうか確認していません。
ただし、「辞書を操作できる」と言っても、できるのは基本的に、
PC上のブラウザを使って端末上で入力する
言い換えれば、「ブラウザ上で入力した文字列を端末に渡す」だけです。
PASORAMAのように辞書の内容がPC上に表示されるわけではなく 、表示されるのは端末のアプリ上です。検索以外の操作(検索方法の切り替え、スクロール等)はアプリ側で行うことになりますし、もちろんコピーもできません 。それでも、検索語をPC側、つまりふだんのキーボード上で入力できるというのは雲泥の差です。この環境のおかげで、アプリ辞書の導入がだいぶ気軽になりました。
逆に、「ブラウザ上で入力した文字列を端末に渡す」しくみなので、用途は辞書引きに限りません 。たとえば、PCで見ているページをiPadで開きたいときは、URLをコピーそのままiPadに入力できます。
以下、iPadで説明しますが、iPhoneでもだいたい同じだと思います。
1. Wifi Keyboard
無料アプリですが、日本語対応させるには240円かかります。Wifi Keyboardは自体は、インストールしても何もしません。ATOKなどと同じように、使えるキーボード設定が増えるだけです。
[設定]→[一般]→[キーボード]→[キーボード]と進み、[新しいキーボードを追加...] をタップして[Wifi Keyboard]を選択します。
こうなればOK。
これで、オンスクリーンキーボードを切り替えると、Wifi Keyboardが表示されるようになります。切り替えると、一瞬だけ
と表示され、すぐにIPアドレスの表示に切り替わります。
このIPアドレスを、PC上のブラウザのアドレスバーに入力すれば、
ブラウザ上でこんなインターフェースが開くはずです。この画面で文字列を入力し、Enterキーを押せば、iPad側に文字列が渡されます。
ただし、この入力インターフェースは、iPad上で入力フィールドにフォーカスがある状態でないと使えません。それ以外の状態のときは、
このようにDisconnectedとなって入力できなくなります。
■
このしくみを、iPad上の個々の辞書アプリで使ってもいいのですが、準串刺し環境 になるように組み合わせるられのが、EBPocketです。EBWin4と同じシリーズとしてと公開されているアプリで、iPad上でEPWINGデータを使うことができます(ここでは、EPWING辞書を使うのが目的ではないので、その説明は割愛)。
有料版と無料版がありますが、できれば有料版を。以下に紹介する串刺し的使い方には、有料版が必要です。
EBPocketには、EPWINGデータを登録して使うことができるほか、「Web検索」 という便利な機能があります(有料版のみ)。文字どおり、よく使うWebサイトを登録して辞書引きと並んで検索できる、つまりEBWin4の「Web検索」と同じ機能です。
ところが、EBPocketのWeb検索には、もうひとつ便利な使い方があります。iOSにはアプリから別アプリ呼び出すしくみがあり、その呼び出しをURLで指定することができます。このしくみを「URLスキーム」といい、アプリ固有のURLが公開されていれば、それをふつうのURLと同じようにWeb検索に設定できる のです。
物書堂のアプリはほとんど、このURLが公開されています。
リンク:物書堂のサポートページ
このページを見ると、辞書ごとのスキーム名と、指定方法が書いてあります。
たとえば、物書堂『ウィズダム英和・和英辞典 2』のURLスキーム名はmkwisdom2と分かるので、
設定メニュー(歯車アイコン)から[Web検索]を選んで---
mkwisdom2:///search?text=
と入力するだけです(名前は適宜)。
Web検索に、辞書は8個まで登録できます。
なお、物書堂アプリは、右上の[…]メニューを開くと[URLスキームをコピー]というコマンドが用意されているので、登録はさらに簡単になっています。
実際にブラウザ上で入力し、EBPocketで検索した画面は、たとえばこのようになります。
「内蔵辞書」というのはEPWING辞書。「外部辞書」以下に出てくるのが「Web検索」に登録したアプリ辞書です。ここから辞書名をタップして選択すると、各アプリに移ります。
他の辞書を見るには、いちいちこの画面に戻ってくる必要があります。ただし、物書堂のアプリどうしは、アプリ内でも移動できるようになっています。
ということで、Wifi Keyboardの準備をし、EBPocketでWeb検索を設定すれば、iPad上でアプリ辞書を引くのは格段に楽になります。
■
さて、PASORAMAと大きく違うのは、iPad上で検索した結果をPC側に取り込めないという問題です。これは、Evernoteを使って解決しました。
iPad側で検索結果をコピー(部分でも全部でも)したら、iPad上のEvernoteで新規ノートを作り、そこに貼り付けます。PC上のEvernoteで同期を実行すれば、コピーした内容をPC側ですぐに利用できます。
辞書データがアプリ中心になってきた今、この
Wifi Keyboard + EBPocket + Evernote
というセッティングは、私にとっては重要な辞書環境のひとつになりました。iPadをお持ちの方はぜひお試しください。
02:42 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2018.02.12
# 辞書は、かならず版と発行年を確認して使おう
この1月に『広辞苑』の新版が出て、いろいろと話題になっています。今回が第七版だということも、だいぶ知られているでしょう。
ちなみに、『広辞苑』の最近の発行年はこうでした。
1991年 第四版
1998年 第五版
2008年 第六版
2018年 第七版
大ざっぱに言うと、最近は10年周期で改訂されてきたことになります。
英語でも国語でも、辞書は
発行年
と
版(バージョン)
を確認したうえで使うというのが、基本中の基本です。
しかも、私たち翻訳者は電子データを使うことが多いので、
書籍版と電子版の違い
電子辞書などでの収録状況
まで把握しておかないと、それぞれの辞書を十分には使いこせないことになります。そんな例をいくつか紹介します。
最初に取り上げるのは、『明鏡国語辞典』 (大修館書店)です。
「明鏡」の発行年度と版は次のとおり。
2002年 第一版
2010年 第二版
では、みなさん、お手元の「明鏡」はどちらだか把握していますか?
LogoVista版をお使いであれば、まず第二版です。
カシオの電子辞書、この5年くらいの製品であれば、これもおそらく第二版でしょう。
セイコーインスツル(SII)のDAYFILERシリーズなどは……、これが意外なことに第一版なんですね。
このように、電子辞書端末などのプラットフォームの場合、製品の発売時期と、収録コンテンツの版が必ずしも比例しないことがあります。
たとえばOxford Thesaurus of Englishは、第3版(2009)が最新ですが、カシオの製品では、この2月に出る最新モデルに至るまで、なぜか第2版のままです。こういうところにも、注意が必要ということになります。
さて、その「明鏡」で奇特 という単語を引いてみてください。版によって記述が違うはずです。
《名・形動》 行いや心がけがまれに見るほどすぐれていること。殊勝。きどく。「今時―な人もあるものだ」 [派生]‐さ 【明鏡】
《名・形動》 行いや心がけがまれに見るほどすぐれていること。殊勝。きどく。 「今時━な人もあるものだ」
[注意]近年、「こんなものを買うなんて奇特なやつだ」など、風変わりの意でも使われるが、誤り。 [派生]‐さ 【明鏡二】
(赤字は引用者)
第二版では、最近の使われ方を載せたうえで、それを誤り と断じています。
「明鏡」はこのように「誤り」と断じることが多い辞書です。「奇特」の新しい使い方を、たとえば『三省堂国語辞典 第七版』は、〔俗〕というラベルを付けて示すだけで、「誤り」とは指摘していません。
※『明鏡国語辞典 第二版』で「誤り。」を全文検索すると、557件もヒットします。参考までに、『岩波国語辞典 第七版』では41件、『新明解国語辞典 第七版』では21件にとどまっています。ほかの言い方で指摘しているケースもあるとは思いますが、傾向は明らかです。
「明鏡」の誤り指摘はいきすぎ、という指摘もあります。しかし、翻訳しているときには正用・誤用についてわりと保守寄りのほうが無難なことも多いので、そういう拠り所として「明鏡」は便利です。
■
次は、『ランダムハウス英和大辞典 第二版』(以下、「RHD2」)です。実は、私も今日まで気づいていなかったのですが、RHD2は、
書籍版と(私たちがいま使っているほとんどの)電子版
とで内容が同じではありません。
お手元のRHD2で、meme を引いてみてください。
おそらく、《インターネット》というラベルが付いているはずです。
これがDF-X10001の画面。
こちらは、ジャパンナレッジ収録のRHD2。
RHD2の発行年は1993年ですから、常識的に考えると、このラベルが付くにはちょっと早すぎます(たとえば、『データパル』では1998年版に「インターネット」あり)。
ということで書籍版を確認してみると、meme という単語そのものが載っていないことが分かりました。
※私の手元には今ないので、お持ちの方にご協力いただきました m(__)m
念のために、RHD2の製品ヘルプを見てみると、
ランダムハウス英語辞典 (Windows版)
1998年11月26日 Version 1.0 発行
2002年11月29日 Version 1.5 発行
と書籍版より新しく、またReadmeには
この度は、『ランダムハウス英語辞典』をご購入頂きましてありがとうございます。
『ランダムハウス英語辞典』は、「ランダムハウス英和大辞典」(第2版)を原典とした、最新の英語辞典です。
と書いてありました。
関山先生によると、やはり電子化の段階で、「コンピュータ関係の新語を増補したはず」だということです。
三大英和大辞典の発行年度は、古い順から並べると
1993年 ランダムハウス英和大辞典 第二版
2001年 ジーニアス英和大辞典
2002年 研究社 新英和大辞典 第6版
なので、「ランダムハウスはちょっと古い」という判断になりますが、一部の語彙については必ずしもそうではない、ということになるわけです。
ちなみに、先ほど引いたmeme。
もともとは、言うまでもなくRichard Dawkinsの学説に由来する言葉ですが、最近インターネット上で使われる「ミーム」には、かなり違う意味があります。かなり新しい辞書でないと載っていないかもしれません。
2.
a. An image or short video clip, often accompanied by a humorous saying or popular catchphrase, that is transmitted virally, especially on social media.
b. A humorous saying or popular catchphrase that is transmitted virally, especially as a caption for such an image or video clip. 【AHD】
など、主なオンライン英英には載っています。
2) インターネット上で拡散する画像[動画など].【R3】
さすがに『リーダーズ 第3版』は間に合ったようです。
改訂周期の短い学習英和のうち、『ウィズダム 第3版』(2012)は間に合っていませんが、『オーレックス 第2版』(2013)には載っています。タッチの差ですね。
このように、辞書の版と発行年を再確認するには、自分の持っている辞書をときどき総ざらえするといいかもしれません。私も今回、やってみました。
こんな感じです。
■
以上、「発行年と版を知っておくことが大切」という話でした。ところが、そのわりに、カシオや、かつてのSII、あるいはLogoVistaなどでも、発行年や版についての情報が示されていないことがあるのは、辞書を扱うという観点から、なんとも残念です。
12:08 午前 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2018.02.09
# 『図解 英語基本語義辞典』と『図解 英単語イメージ辞典』
『図解 英語基本語義辞典』という名辞書がありました。
1989年に桐原書店から出版されました(私が持ってるのはこれ)。今は絶版。
まだ中古は出回っているものの、10,000円を超える高値が付くことも珍しくありません(この記事の執筆時点で4,000円ちょっとから、上は30,000円くらいまで)。
その後2012年には、国際語学社というところから再版されましたが、
こちらも今は中古だけのようです。
この辞典の前書き(pp.vii~xi)で、「なぜ語義の図示・図解なのか」 という問いに著者の政村秀實氏は次のように答えています。
簡潔に言えばイメージだからと答えたい.ことばのイメージは,意識して頭の中に描かれるものではなく,人が生まれてから現在に至るまでの生活の実体験を通してつくられるものである.ところが外国語の場合は,ことばと実体験を結ぶ場がきわめて少なく,このために自然な状態でイメージを育てることが非常にむずかしい.
著者には、こういう「イメージ」を中心にした著作がいくつかあります。そして、この2月にはこういう辞典が出ました。
『図解 英語基本語義辞典』の後継なのだろうと予測していましたが、大修館書店のサイト で見本ページを確認できたので、さっそく購入しました。
でも、結論から言うと、
同じ著者の系譜には違いないが、かなり別もの
です。使い途はあるのでもちろん損をしたとは思っていませんが、『基本語義』と比べると、がっかり感が大きかったことも否めません。
まず、収録語数とボリュームがだいぶ変わりました。
『図解 英語基本語義辞典』(以下、『基本語義』 )は500語(辞書には書かれていない。Amazonの商品説明より)で、本文は483ページ。1ページ1単語が原則です。
『[図解]英単語イメージ辞典』(以下、『イメージ辞典』 )は1,416語で、本文は708ページ。1ページ2単語で、例外はなさそう(708 x 2 = 1416)。
これだけ見ると、内容が充実したように見えるのですが(そういう面はもちろんある)、肝心の
図示・図解
の部分がかなり変わってしまいました。また、ページ数は増えた一方で語数が3倍に増えた分、1単語あたりの例文は減っています。
先ほど冒頭を引用した「なぜ語義の図示・図解なのか」を見ると、『基本語義』の図示・図解は、以下のように説明されています。
A.分析的方法
(1)語源の図示・図解
(2)意味の物理的図解
B.感覚的方法
(1)語源のイメージ図示
(2)典型的場面の具体的な図示
たとえば、A(1)の例がembarass。
A(2)の例がanother。中高生にとっても、重要語のひとつです。
また、B(1)例がrunです。
一方、『イメージ辞典』のほうは、「はしがき」にこう書かれています。
絵本のような英語の辞典をつくってみたい という思いが編集部と通じ合い,本書への取り組みが始まりました。すべての見出し語(1461)語にその語義イメージを描き出すこと(一語一絵).これが本書の大きな特徴です。
(赤字は引用者)
つまり、同じ著者ではあるが、方針が違っているらしいということです。
たとえば、上にあげたembarrassはこうなりました。
たしかに、ただの「絵本」です。embarrassingな場面を絵にしただけで、『基本語義』のように「語源の図示・図解」になっていません。ただし、
語源と語義の変遷
については『イメージ辞典』のほうが充実しているので、図示・図解ではなく文字情報を中心として「語源に基づくイメージ辞典」として利用するのであれば、こちらも買い、と言えます。
ただし、『基本語義』では
こういう多面的だった図解が、『イメージ辞典』では
こんな一面的な絵になってしまいましたし、『基本語義』に載っていた
reachとarriveの違いを示した図もなくなってしまいました。
やっかいな前置詞 across も、
これが、
このように変わってしまい、語源解説は詳しいのですが、図示・図解で直感的につかめるという特長は弱くなってしまいました。
ただし、reachそのもの、あるいはlikelyやrunといった語、つまり『基本語義』でBの(1)に分類されていた単語については、わりと『基本語義』時代のままのようです。たとえば、
run などは、『基本語義』よりいい絵ですし、語源と、そこからの語義の展開に関する解説はずっと充実しています。
『基本語義』の分類Aにあたる単語の図解は、いろいろとかなり残念です。
ignore、insult、outsideなど、『基本語義』になかった単語も1,000語近く追加されましたが、ただの「挿絵」です。
explainやpowerのように『基本語義』にあった単語も、ただの「挿絵」になってしまいました。
ということで、『イメージ辞典』のほうが詳しくなった情報も多い反面、旧著と比較してしまうと、かなりもの足りない。両方あれば、いろいろ補完しあっていいかもしれません。
04:51 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2018.02.05
# 帽子屋の辞書ばなし、目録
昨日、翻訳フォーラムのレッスンシリーズ第8弾「脱・辞書の持ち腐れ《50Hz》」が無事に終わりました。
辞書に関する話はずいぶんしてきましたが、毎回やはり初めての方がいらっしゃり、「EBWin4の基礎を知りたい」などのご要望をいただきます。
ちょうど、フェロー・アカデミーの「オンライン講座」(Web上で何度でも視聴できる動画配信)でまた基礎編があるのですが(2/9~28配信)、1/31で締め切られていました。ごめんなさい m(__)m
リンク:フェロー・アカデミー「オンライン講座」
同じオンライン講座で、第2弾として「オンライン英英辞書を使いこなそう!」というのもあり、こちらは2/15申込み開始です。
一定数の需要があれば、辞書ブラウザの基本(昨年7月のレッスンシリーズ第6弾、「手取り足取り」のような)は何度でも再演しますが、私があちこちで書いたものもありますので、よろしければ、そちらもご覧ください。
ということで、帽子屋による辞書ばなしのうち、文字として残っているものの総目録を作っておくことにしました。
なお、昨日の内容に近い話「脱・辞書の持ち腐れ 《60Hz》」を、来月3月2日には大阪でも開催します。
リンク:JTF関西セミナー「脱・辞書の持ち腐れ《60Hz》~どの辞書をいつ引くか~」
懇親会は定員に達してしまいましたが、セミナーのほうはまだ受付中です。関西方面の方、ご参加をお待ちしております。
『プロフェッショナル4人が本気で教える 翻訳のレッスン』
まずはこちら。
辞書ブラウザのことも含め、翻訳者が使う辞書の基本事項をいちばん詳しくまとめてあります(レッスン3)。それ以外にも、翻訳フォーラムのメンバーがお伝えしたいことが凝縮されていますので、まだの方はぜひ。
『翻訳力を鍛える本』
『新・翻訳力を鍛える本』
イカロスのムックです。赤いほうが新しく、昨年10月に出ました。青いほうは2015年10月刊行で、中古なら手に入るかもしれません。
青いほうで基本中の基本を書きました。赤いほうは、それに続いて発展させた内容ですが、基本にもすこし触れています。
書くときでも話すときでも、時期が違うと内容はけっこう変わっています。辞書環境が目まぐるしく変化しているからですが、私の環境や使い方が変わっていくという理由もあります。
私の辞書の使い方が大きく変わってきたのは、簡単に言うと、以前は汎用辞書ブラウザなど
できるだけ1つの環境で辞書を引きたい
という発想でした。それが最近は、
オンラインでも紙でも、使えるものは何でも使おう
と言う考え方に変わったということです。『翻訳力を鍛える本』と『新・翻訳力を鍛える本』で私の記事をお読みいただくと、その変化が分かっていただけると思います。
『通訳翻訳ジャーナル 2016年4月号』
同じイカロスさんでは、季刊誌「通訳翻訳ジャーナル」のこの号にも寄稿しました。内容は、時期的なこともあって上の青い本に似ています。
『翻訳事典 2017』
『翻訳事典 2018』
ムック本でいうと、アルクさんの「翻訳事典」にも辞書の話が載っています。
ただし、私の寄稿ではなく、2017年版(2016年1月刊)はその前年2015年の10月に、今回と同様、深井裕美子さんと帽子屋のふたりがJTFセミナーに登壇したときのレポートです。
また、2018年版(2017年1月刊)は2016年5月の翻訳フォーラム・シンポジウムのレポートです。
どちらも、辞書に関する情報は少なめですが、ほかの記事も充実しているというのでおすすめ。ちなみ、『翻訳事典』の最新版も出たばかりです。年度表記が変わりましたね。「2018-2019」となりました。
JTF発行『日本翻訳ジャーナル』
JTF(日本翻訳連盟)が隔月刊で発行している『日本翻訳ジャーナル』に、2016年5/6月号(#283)から、辞書に関する話を連載しています。
辞書のことを書いたり話したりするといっても、個々の辞典について歴史や特徴を詳しく書ける場はないので、この連載でやっています。題して、「帽子屋の辞典十夜」 。
第8回まで、以下の内容で書きました。
第1回 「Webster 辞書のなぞ」 (2016年5/6月号)
第2回 「ホーンビー博士のOALD」 (2016年7/8月号)
第3回 「Longmanを使い倒そう」 (2016年9/10月号)
第4回 「COBUILD~コーパスから生まれた学習英英」 (2016年11/12月号)
第5回 「日本語と英語の“大辞典”」 (2017年3/4月号)
第6回 「リーダーズの系譜」 (2017年5/6月号)
第7回 「英和大辞典のご三家」 (2017年7/8月号)
第8回 「翻訳者におすすめの学習英和辞典」 (2017年11/12月号)
なお、同ジャーナルには、翻訳フォーラムのメンバーが交代で書いている「続・翻訳者のための作戦会議室」という連載もあります。
ジャーナルのサイトには、このブログの右カラムにある画像からアクセスできます。お読みになるには、メールアドレスの登録が必要ですが、ほかの連載も読み応えたっぷり。(今はまだ)無料でお読みいただけますので、ぜひPDFをダウンロードしてお読みください。
◆
もちろん、このブログでも過去にいろいろと、辞書に関する記事を書いてきました。左カラムにカテゴリー別のリンクがあり、「辞典・事典」からアクセスできます。
あるいは、右カラムにある検索窓に、たとえば「EBWin4」などと入力して検索してみてください。
ただし、けっこうな記事数があるので、ちょっと重たいかもしれません。2005年以来、この記事を除いて141本ありました。たぶん、私が辞書について言いたいこと・書きたいことはほとんど書いてあるんじゃないかと思います。
12:45 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2018.02.02
# ジャパンナレッジ、キャンペーン適用入会
先月もご案内したとおり、JAT/JTF会員の方が、
・現在ジャパンナレッジ を使っていて、
・JAT/JTF会員特典(年会費2割引)を利用したい
場合は、
契約満了を待ってから
キャンペーンコードを使って再入会する必要があります。前回もその手順は書きましたが、私が実際に再入会の手続きを済ませたので、改めてご紹介しておきます。
まず、契約が満了すると、こんなメールが届きます。
普通ならドキっとしてしまいますが、今回はこれで大丈夫。
試しに、これまでのIDでログインしようとすると、こんなメッセージが出ます。
で、再入会の手続きに進むわけですが、通常の入会画面に進んではいけません。会員割引キャンペーンを使いたい場合は、
http://cam.japanknowledge.com/
このURLからアクセスします。
すると、
こういう画面が出るはずなので、ここでJAT/JTFそれぞれのキャンペーンコードを入力します。
注意:
JTFのキャンペーンコードについては、1/19に会員宛てメールが届いています。そこで案内されているPDFをご覧ください。
JATのキャンペーンコードについては、JAT会員専用のフォーラムページに書いてあります。
コードを入力して、[キャンペーンで入会する]ボタンをクリックすると、後は一般の入会手順と同じです。
どうでもいいことですが、「業種・職業」にちゃんと「通訳・翻訳者」という選択肢があるのはさすがです。
入力後の確認画面に進むと、
適用したキャンペーンとして
日本翻訳連盟優待(2割引)
と書かれています。こうなっていることを確認してください。
次に進むとコース選択画面になりますが、ここでも
年会費が割引価格で表示されます(通常は、パーソナルが16,200円、パーソナル+Rが21,600円)。ここも、念のため確認してください。
あとは、支払いのクレジットカード情報を入力し、メールを受信すれば再入会手続きは終わりです。
ログイン画面では、新しいIDを使うのをお忘れなく。
ちなみに、私はよく使うオンラインIDの後に「2018」と付けました。
もちろん、EBWin4のブラウザ連携でジャパンナレッジを使っている場合は、EBWin4でも新しいIDを。
09:18 午前 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2018.01.27
# SII DAYFILERからの移行を考える
セイコーインスツル(SII)の電子辞書「DAYFILER」シリーズ、メーカーのサポートはまだ続いているのですが、PC連携ソフトウェア「PASORAMA」のほうは、
Windows 10 Fall Creators Update
以降は動かなくなります(それ以前は、ドライバのバージョンアップがあって、使えていたようです)。
これまでPASORAMA対応DAYFILERに頼っていた方は、これを機会に辞書環境の移行をお考えになるかもれません。
2016年10月の名古屋勉強会、昨年7月22日の翻訳フォーラム・レッスンシリーズなどにご参加くださった方には、DAYFILERに搭載されている辞書タイトルの代替方法をまとめた資料をお渡ししました。
Windows 10 Creators Updateで、いよいよPASORAMAを使えなくなる人が増えそうなので、同じ情報をこちらにもあげておきます。
【後日の追記】
Windows 10 Fall Creators Updateを適用したマシンでもPASORAMAを使えている 、というご報告をいくつかいただいています。以前から、マシンによっては接続した端末が認識されないとか、PASORAMA機能が使えないという報告もあったので、けっこう環境依存なのかもしれません。
もちろん、かつてのSII製品をすべて網羅しているわけではありません。
DAYFILERシリーズのフラッグシップモデルだった「DF-X10001」と、DAYFILERシリーズになる前の代表モデル「SR-G9003」(NH3などが付くモデルも同じ)のタイトルだけです。
また、ここで紹介するのは辞書・辞典だけで、百科事典や実用書コンテンツは取り上げていません。あらかじめご了承ください。
DF-X10001収録の辞書タイトル
・研究社 新英和大辞典 第6版
・研究社 新和英大辞典 第5版
・研究社 リーダーズ英和辞典 第3版
・研究社 リーダーズプラス
・大修館 ジーニアス英和大辞典
・研究社 新編 英和活用大辞典
・岩波書店 広辞苑 第六版
・大修館書店 新漢語林
・大修館書店 日本語大シソーラス 類語検索大辞典
・大修館書店 明鏡国語辞典
以上のタイトルは、LogoVistaデータ + 辞書ブラウザ に移行できます。以下、「辞書ブラウザ」という場合は、特筆しないかぎり
Logophile
EBWin4
どちらでもかまいません。
『ジーニアス英和大』だけは、EPWING版もまだ入手できそうですが、LogoVista版でも同等に機能するので問題はありません。
・小学館 ランダムハウス英和大辞典 第2版
アプリがありますが、PC用に新たにそろえる手段は、残念ながらありません(中古のCD-ROM版を入手できればラッキー)。ただし、ありがたいことにgoo辞書に完全収録されています。
英和辞書 - ランダムハウス英和大辞典
・ビジネス技術実用英語大辞典 V5(うんのさん)
EPWINGデータ + 辞書ブラウザ に移行できます。V5は現在、ダウンロード購入のみ。もうすぐV6が出そうです。
・日外アソシエーツ 180万語対訳大辞典
・日外アソシエーツ 人文社会37万語英和・和英
EPWINGデータ + 辞書ブラウザ に移行できます。日外アソシエーツのサイトから購入可。高いですけどね~。
・研究社 プログレッシブ和英中辞典 第3版
・Oxford Dictionary of English, 3rd
・Oxford Thesaurus of English, 3rd
以上のタイトルは、アプリで入手できます。『Oxford Dictionary of English, 3rd』については、オンラインの
Oxford Dicitonaries
がほぼ同等のうえ、常に更新されています。
・ロングマン英和辞典
・小学館 精選版 日本国語大辞典
・角川類語新辞典
以上のタイトルは、アプリまたはジャストシステムのATOK用辞書があります。
・Oxford Advanced Learner’s Dictionary, 8th
・Collins COBUILD Advanced Dictionary of English
・Collins Wordbank
・Longman Dictionary of Contemporary English 5th
・Oxford Collocations Dictionary for students of English, 2nd
以上の学習英英辞典は、独自CD/DVD-ROMですが、辞書ブラウザ「Logophile」であれば、登録して使うことができます。詳しくは、過去記事をご覧ください。
なお、OALDは9th、LDOCEは6thが出ていますが、それらはLogophileでは使えません。
リンク:side A: # Logophileのみ対応している辞書タイトル
・Oxford PHRASAL VERBS Dictionary for learners of English, 2nd
・Oxford IDIOMS Dictionary for learners of English
・Oxford Collocations Dictionary for students of English, 2nd
これらは、書籍版のみです。
SR-G9003 収録の辞書タイトル
・研究社 ルミナス英和辞典2版
書籍版のほか、アプリがあります。
・岩波書店 岩波理化学辞典 第5版
LogoVistaデータ + 辞書ブラウザ に移行できます。
・The Concise Oxford English Dictionary, 11th Ed
独自CD-ROMのみです。最新版の12thも出ています。
なお、SIIがiOS用アプリとして展開している「語句楽辞典」という選択肢もありますが、PC上で使えないので、今回は枠から外しました。
こうして見てみると、ほとんどタイトルはEPWING、LogoVista、アプリ、書籍のいずれかで代替できるのですが、『ランダムハウス英和大辞典』だけは移行先がありません。これは何とも残念です。
12:07 午前 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2018.01.25
# 「脱・辞書の持ち腐れ」セミナーでお話しすること
2月4日(日)に東京で、3月2日(金)に大阪で、
「脱・辞書の持ち腐れ」
と題したセミナーをそれぞれ開催することは、すでにお伝えしたとおりです。
リンク:「脱・辞書の持ち腐れ《50Hz》~お題に挑戦~」(翻訳フォーラム・レッスンシリーズ#8)
リンク:「脱・辞書の持ち腐れ《60Hz》~どの辞書をいつ引くか~」(通算第4回)
2月4日《50Hz》東京のほうは、通常申し込みが定員に達し、現在は「直前販売」枠を受付中です(こちらの枠はごく少数)
3月2日《60Hz》大阪のほうは、まだ満席という連絡は来ていないので、たぶんまだ空いてます。
さて、
「いつ」「どの辞書を」「どの単語で」「どのようにして」引くかを、実例を出しながら解説し、「紙辞書」「電子辞書」「CD-ROM辞書」「アプリ辞書」「オンライン辞書」等、さまざまな辞書環境を組み合わせた調べ方についての情報を提供する。
(JTF関西セミナーの告知ページより)
このようにご案内していますが、具体的にはどんなことをお話しするのか、ちょっとだけご紹介しておきます(私だけではなく、深井さんとのコラボですが、全体的にこんな内容になります)。
※2月4日レッスンシリーズのほうは、すでに事前課題 をお送りしています。
たとえば、『英語辞書マイスターへの道』(関山健治、ひつじ書房)の33ページ。
up in the air を英和辞典で引いてみましょう。
という例題はどうでしょうか(ボールドは引用者)。
・紙の辞書
・EPWINGベースの辞書ブラウザ環境(Jamming、Logophile、EBWin4)
・LogoVistaブラウザ
・PASORAMA(SIIの電子辞書端末)
・電子辞書端末
・アプリ
など、いろいろな辞書環境をお使いだと思いますが、成句のヒットのしかたは環境によってかなり違うはずです。
また、『誤訳をしないための翻訳英和辞典』(河野一郎、DHC)の21ページには、
翻訳にまだ慣れていない人たちのとまどいやすい表現に,You and your computer... というよく使われる言い回しがある。「そらまた,きみの口癖の[十八番の]コンピューターが始まった」という意味だが、どの辞書もこの表現はとてもわかりにくいところに隠れている。
とあります(ボールドは引用者)。
自分の使える辞書環境では、どうやって引いたらこの表現が出てくるでしょうか。
このように、まず辞書環境それぞれの特性を知り、使い方を把握しなければ始まりません。道具として「辞書」を使いこなすためのノウハウを、まずおさえます。
■
"I saw a gangly, freckle-faced eighth-grader edging his way into the crowd around the Teletype, all arms and legs and nervous energy," Allen recalled.
これは、元マイクロソフトのポール・アレンが、初めてビル・ゲイツを見たときの印象を語った言葉です。このnervous energy 、辞書で確認できるでしょうか。
controversial という単語はどうですか。
One of the seemingly most controversial aspects of Apple's (NASDAQ:AAPL) flagship iPhone X smartphone is the cutout at the top of the display.
(https://www.fool.com/investing/2018/01/24/apple-inc-is-trying-to-change-this-controversial-i.aspx)
辞書にも載っていますし、わかりにくい単語ではありません。でも、いざ訳そうとすると、けっこう悩まされます。「議論の的になる」とか「異論が多い」とか、フレーズとしての"訳語"しか載っていないので、さらっと簡潔には訳せないのです。
こういうとき、どんな経路をたどれば、うまい訳語にたどり着けるのでしょうか。
inspiring とかencouraging あたりの形容詞も、文脈によってはたびたび苦労させられます。
英和、和英、英英、国語、類語の各辞典をどんな風に使いこなせば、訳語のバリエーションを広げられるのでしょうか。
今までの辞書セミナーであまり踏み込めなかったのが、この部分です。実際に私たち翻訳者は、どうやって訳語にたどり着けばいいのか。そのプロセスを一緒に考えてみたいと思います。
03:48 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2018.01.24
# 『誤訳をしないための翻訳英和辞典』、補完計画を始めます
河野一郎先生の名著のひとつ『誤訳をしないための英和翻訳辞典』。
初版は2002年にDHCから出ましたが、昨年の春「改訂増補版」が出ました。
どのページを開いても、ハッとさせられる内容が次々と目に飛び込んできます。収録されている情報量を考えたら、1,700円というのは格安と言っていいでしょう。
「辞典」という体裁ではありますが、通読すべき一冊。その意味では、宮脇孝雄さんの『英和翻訳基本辞典』などと同じです。私も、少しずつですが読み進めています。
ただし、「○○の辞書に載っている、載っていない」という指摘には、ときどき今の状況に追いついていない部分もあります。
たとえば、『ウィズダム英和辞典』は引用元辞書として取り上げられていません。『ジーニアス英和』は3版までですし、『リーダーズ』も第3版については言及されていません。本書を読みながら、こういう新しめの辞書を確認してみると、なかなかおもしろい発見があります。
そこで、こんなことご本人の前では絶対にできそうにないのですが、僭越ながら勝手ながら、恐れながらさりながら、当ブログでその部分を補ってみることにしました。本書に載っている項目について、最近の辞書ではどうなっているのか、確かめてみようという趣旨です。
題して、
『誤訳をしないための翻訳英和辞典』補完計画
もちろん、自分が読み進めるための動機付け、というのが最大の理由ではあります。
基本的には、本書の構成どおりアルファベット順に進み、もちろん収録項目の全部を取り上げられるはずもないので、私がおもしろいと思った項目だけ紹介していく予定です。
ちなみに、2002年に出た初版はこちら。
増補版で増えたのは、323ページからの「増補60の表現と背景」です。
すべてを精査したわけではないのですが、それ以前の本編に関しては、ページ構成までまったく同じなので、おそらくあまり手が入っていないだろうと推察します。
もちろん、その増補部分にも有用な情報がたくさん載っているので、本書をお持ちでない方は、ぜひ増補版をお買い求めください。
個人的には、河野先生が『ウィズダム英和辞典』をどう評価しているのか、聞いてみたいところです。
01:09 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2018.01.19
# 『翻訳スキルハンドブック』と、記念トークショー
昨年の11月に発売され、翻訳者のあいだで話題になっている本があります。
そして、この本の刊行を記念して、著者の駒宮俊友と、テリーさんこと齊藤貴昭さん との対談イベントがあります。
リンク:駒宮俊友さん×齊藤貴昭さんトークショー 「翻訳者に求められるスキルとは?~みなさんの疑問にプロが答えます!」
日時:1月24日(水)19:00~21:00
場所:ブックファースト新宿店地下2階Fゾーンイベントスペース(新宿区西新宿1-7-3)
後述するように、本書『翻訳スキルハンドブック』は、翻訳を勉強中の方や仕事を始めて日の浅い人にとって最良の指針になるのはもちろんのこと、すでに何年か翻訳で食べている人にも参考になる一冊です。
トークイベントでは、著者の駒宮さんと、"翻訳チェックのプロ" テリーさんに直接、質問もできます。『翻訳スキルハンドブック』を予習して、おふたりに疑問をぶつけてみませんか?
※開催まで1週間を切ってしまいましたが、もちろん、私も聴きにいきます!
『翻訳スキルハンドブック』は、世に出ている翻訳指南書のなかで、いちばん
仕事としての翻訳という現実
を知り、実践するのに適していると言えます。
目次
第1章 翻訳者に求められるスキルとは
第2章 翻訳のプロセスと基本スキル1 原文分析スキル
第3章 翻訳のプロセスと基本スキル2 リサーチスキル
第4章 翻訳のプロセスと基本スキル3 ストラテジースキル
第5章 翻訳のプロセスと基本スキル4‐1 翻訳スキル“翻訳作業スタート編”
第6章 翻訳のプロセスと基本スキル4‐2 翻訳スキル“完成までのブラッシュアップ編”
第7章 翻訳のプロセスと基本スキル5 校正スキル
第8章 納品時の注意点
第9章 より良い翻訳のためのヒント
(目次はAmazonより)
注目すべきは、本書の17ページ以降で紹介される「英日翻訳の基本プロセス」です。
駒宮さん、図版の無断引用、ごめんなさい!
いわゆる翻訳指導というのは、とかく「翻訳」の部分に終始していますが、それ以上に大切なのは、最初の2つのプロセス、
・原文分析
・ストラテジー
です。
簡単に言えば、
・原文をきちんと読み込み(原文分析)
・どう翻訳するか作戦を立てる(ストラテジー)
ということですが、具体的にどんなプロセスかは、ぜひ本書をお読みください。
もちろん、ある程度きちんと翻訳に向かい合った人であれば、とっくに分かっているはずのことでしょう(分かっていなかったら、それはそれで、かなり問題)。
手前味噌ながら、翻訳フォーラムの4人が書いた『翻訳のレッスン』で、「読めないものは訳せない」 とか「準備7割」とか書かれているのも、この部分を指しています。
私も翻訳学校などではこういう点を説明はしていますが、上の図のようにきちんとこの概念を定義して図式化 したうえで、翻訳経験の浅い人にも分かりやすく示してくれているのが、本書最大の特長です。この辺は、インペリアル・カレッジ・ロンドンで翻訳研究を実践したという駒宮さんならではでしょう。
「何年か翻訳で食べている人にも参考になる」と書いたのも、こういう基本姿勢を再確認できるからです。
一方、「翻訳」と「校正」のプロセスに進むと、流儀は人によって違ってくるかもしれません。
たとえば、本書が「校正スキル」として取り上げているなかで---
校正スキル3 長過ぎる主部は短くする
校正スキル6 「柔らかな表現」というテクニック
校正スキル7 読点のプロを目指す
校正スキル8 主語と述語の関係を明確にする
校正スキル9 修飾語の位置を検討する
校正スキル10 言葉のニュアンスを意識する
校正スキル12 重要な情報はなるべく前に
などは、私としては「翻訳」プロセスに入ります。もちろん、見直し・読み直しの段階でこういう点に注意するという姿勢に反対するものではないのですが、こういうポイントを後から仕上げよう とは、あまり考えません。
つまり、よく言われるような「粗訳してから最終的に仕上げる」というのを私はあまりやらないのですが、この辺の翻訳スタイルは人それぞれでいいと思います。
いずれにしても、こんな風に自分のふだんの翻訳プロセスを見直す、いいきっかけにもなる。これも本書の効用です。
逆に、第5章「翻訳」はある意味もの足りないと感じられるかもしれません。が、この部分は類書で補えるでしょう。
本書の肝は第2、3、4章であり、そして全編を通して明晰に整理されている
「翻訳というプロセス」
の全体像です。
24日のトークイベントでも、駒宮さんが考える「翻訳プロセス」がどう語られるのか、とても楽しみです。
しかも、そこにテリーさんがからむというのは、これは必聴でしょう!
【追記】
整理券方式ですが、電話予約もできます。
ブックファースト新宿店 電話:03-5339-7611
01:34 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2018.01.17
# ジャパンナレッジ、JTF/JAT会員向けキャンペーンについて
小学館の有料辞書サイト「ジャパンナレッジ」、今年も「お友達紹介キャンペーン」 が実施されています。1月31日までです。
もし、この紹介キャンペーンをお使いになりたい方は、帽子屋までご連絡ください(メールアドレスは、右カラムの「プロフィール 」から確認できます)。
ただし、昨年ご案内したとおり、ジャパンナレッジ(以下、JK)を
JTF/JAT会員は永年20%割引
で利用できるという特典があります。
リンク:side A: # ジャパンナレッジ、JTF/JAT会員は永年20%割引に!
昨年の今ごろJKに登録した方には、ぼちぼち『更新手続きのご案内』というメールが届き始めているかと思います。このメール案内に従って更新手続きをしてしまうと、JTF/JAT
会員向け特典が適用されない
ので、ご注意ください。
会員特典を適用する手順を、以下にまとめました。
以下、JKの運営会社であるネットアドバンス様からご案内いただいた手順です。
契約満了の1か月前に、登録メールアドレス宛てに『更新手続きのご案内』 というメールが届きます。現在の契約の満了日は、JKにログインして、画面右上のメニューから
[登録情報の確認と変更]→[登録コース確認]に進むと確認できます(途中でアカウント確認が入ります)。
ただし、この案内メールから更新手続きをしてしまうと、割引が適用されません。
現在の登録は何も手続きをしなければ 月末に「自動退会」となります(年間契約は初月無料の特典がありますので、1月31日までの契約期間の場合は2月1日に再入会の手続きを行えばぴったり13か月ご利用いただけます)。
自動退会になるのを待ってから 、改めて下記URLから入会手続きを行ってください。その際にキャンペーンコード(次項を参照)を入力します。
【ジャパンナレッジ 入会手続き(優待利用)】
http://cam.japanknowledge.com/
こういう画面のはずです。
キャンペーンコードは昨年、
・JTF会員向けにはチラシで
・JAT会員向けにはメーリングリスト(およびチラシ)で
届いています。が、おそらく紛失してしまったという方もいるのではないかと思います。そこで、JTF/JATから会員向けにキャンペーンコードを連絡してもらうように手配しているところです。
システムの関係上、再入会手続きの際には、元の会員IDを使えないそうです。新しい会員IDを使ってください。ブラウザのログイン設定なども更新することになります。
特に面倒なことはないと思いますが、退会 → 再登録の際に何かトラブルなどありましたら、ご報告ください。
01:44 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2018.01.14
# EBWin4 4.5.1 --- いろいろ進化してた!
11月から年末・年始は、ほんとに
あっ
という間に過ぎてしまった気がします。その間に、辞書ブラウザEBWin4が大きく進化していました。最新バージョンは、4.5.1です。
リンク:EBWin4
EBシリーズ全体のサイトはこちら 。
着実なバージョンアップ、作者のhishida様、いつも本当にありがとうございます。
【速報追記】
4.5.1をインストールしたら起動しなくなったというご報告がありました。
実はウチでも最初はそうでした。ウチの場合、いったんアンインストールしてから再度インストールしたら、起動するようになりました。原因は不明です。なお、アンインストールしても辞書設定などは削除されません(……のはずです)。EBWin4の設定は
C:\Users\<ログインユーザー>\AppData\Roaming\EBWin4
にあるので、心配な場合はこれをバックアップしてからアンインストールしてください。
フォントのサイズや色など、[ファイル]→[設定]にあるオプションはデフォルトに戻ってしまいますが、これは上書きインストールのときでも同じです。
EBWin4のバージョンアップに伴う最近の大きい変化は、こんなところでした。
2017/06/18 v4.4.4
・コマンドライン引数に/M=検索方法 を追加
たしか、テリーさんのリクエストに応えてくださった形でした。
2017/07/28 v4.4.5
・Visual Studio インストーラに変更。
・PCに必須コンポーネント(.Net Framework4, Visual C++2010 ランタイム)がインストールされていない場合、自動的にインストールを行う。
これ、レッスンシリーズのときに、新しいインストーラでインストールできないケースが出て慌てました。
この後しばらく大きい更新はなかったのですが、11月以降、更新ラッシュがあったようです。以下、特に大きい変更点は赤字にしてみました。
2017/11/08 v4.4.6
・ドラッグ&ドロップによる辞書追加
・GIF画像の表示(EBStudio2で作成できるようになったため)
2017/12/02 v4.4.8
・PDIC/Unicodeの長い訳語が表示できない問題を修正
・PDIC,StarDict,MDictでアクセント記号付Latinはアクセント記号無で検索
2017/12/09 v4.4.9
・PDIC,StarDict,MDictでアクセント記号無で検索をオプション化
2017/12/25 v4.5.0
・ALT+←→で戻る・進む
・辞書バーの複数行表示
・本文中のfile://をリンクとして解釈
・辞書個別CSSサポート。CATALOGSの存在するディレクトリに、<辞書ディレクトリ名>.cssを配置する。
ひと目で分かる変化は、v4.5.0で実装された
辞書バーの複数行表示
でしょう。
今までは、ウィンドウ幅に収まらない分は省略表示(残りを見るには右端をクリック)されていたので、常用辞書をすべては並べきれず、私も「英語グループ」、「国語グループ」のようにグループ分けして使っていました。でも、これでいつでも「すべての辞書」の状態で使えます。これはうれしい。
そして、v4.4.6で実装された
ドラッグ&ドロップによる辞書追加
は、今までの辞書ブラウザになかった画期的な機能です。これで、EBWin4導入のハードルが一気に下がるのではないでしょうか。
使い方はいたって簡単です。
EPWING形式の場合はCATALOGファイル 、LogoVista辞書の場合は.idx(.IDX)ファイル を、EBWin4の辞書リストウィンドウまでドラッグ・アンド・ドロップするだけ。
LogoVista辞書は、ものによって .idx(.IDX)ファイルが複数あったりします(『研究社大英和』などがそうです)。その場合は、いちばん「それらしいファイル名」を選んでください。
この手軽さはすばらしいですよ。
表示名の変更などは、今までどおり「ファイル」→「辞書の編集」を使うことになりますが、追加だけなら本当に簡単。これなら、今までJamming/Logophileなどを使っていてEBWin4をためらっていた方も、手持ちの辞書データをドラッグ・アンド・ドロップで追加して、EBWin4を気軽に試せるのではないでしょうか。
そのほか、表示履歴をAlt + ← → で前後できるというのも、使い勝手のうえではなかなかありがたい更新です。
◆
ただ、インストールのときに困る人が出てくるかもしれないので、インストールについて補足しておきます。
インストーラをダウンロードして解凍すると、
こういう内容が展開されます。setup.exeを実行すると、まずこんなダイアログが表示されるはずです。
「Visual C++ 2010ランタイム」(プログラムに必要な実行環境です)がインストールされるというメッセージですが、これより新しいランタイムがすでに入っているPCだと、次のようなエラーが出てしまいます。
ここで慌ててはいけません。同梱のREADME.txtを読めば、ちゃんと書いてあります。README、大事ですね~。
「より新しいバージョンのMicrosoft Visual C++ Redistributableがコンピューター上で検出されました」
と表示されてインストールが中断した場合は、EBWin4.msiを実行してください。
インストーラのほかにEBWin4.msi というファイルがあるので、こちらから使えということですね。
ただ、マニュアルには書いてありませんが、ここでさらにつまずくことがあります。というか、私は先ほどトラブりました(v4.4.5までは大丈夫だった。たぶん、後述する設定をどこかで変えていたのかも)。
以下は、マシンによって症状が違うかもしれませんので、Windows 7での例として参考までに。
README.txtに書かれているとおりに、EBWin4.msi をクリックしたら、私のマシン(Windows 7 64bit)では、こんなエラーが出ました。
変な日本語ですが、要するにこのマシンのセキュリティ設定によってインストールが制限されているということ。
これを回避するには、ちょっとシステム設定を変える必要があります。
[スタート]メニューから[ファイル名を指定して実行...] を選び、gpedit.mscと入力して[OK]をクリックします。
[ローカル グループ ポリシー エディター]という、なにやらコワそうなダイアログが開くので、下のスクリーンショットのような設定を探します。
[コンピューターの構成]→[Windows の設定]→[セキュリティの設定]→[ローカル ポリシー]→[セキュリティ オプション]の、[ユーザー アカウント制御: 管理者承認モードですべての管理者を実行する]です。これが[有効]になっていると思います。
これをダブルクリックするとダイアログが開くので、オプションを[無効]にします。最後に、PCを再起動。
これで、EBWin4.msi を実行できるはずですが、msi 関連のエラーは、ほかにも何パターンかあるようなので、困った方がいらっしゃったら、EBシリーズのサポートをご利用ください。
01:51 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2018.01.07
# JTF翻訳セミナー、異色のトリオが語る通訳と翻訳
2月のレッスンシリーズと3月の関西セミナーについては、すでに告知したとおりです。
リンク:side A: # 「脱・辞書の持ち腐れ」セミナー、東京と大阪で開催
加えて、急な話ですが、2月のJTF翻訳セミナーにも登壇することになりました。
テーマとしては「通訳と翻訳」を取り上げ、顔ぶれがなかなかユニークです。
リンク:JTF翻訳セミナー「翻訳と通訳のあいだ~思考プロセスの狭間を可視化する」
日時:2月8日(木)14:00~
場所:千代田区紀尾井町3-27 剛堂会館ビル1F(明治薬科大学 剛堂会館)
一緒に登壇するのは、会議通訳者でありJACI(日本会議通訳者協会)理事を務める関根マイク氏 と、実務翻訳者・ライターの松丸さとみさん です。
関根マイク氏は、かなりズバズバとものを言う強烈なキャラクターで知られています。先日の第27回JTF翻訳祭に登壇し、「翻訳者の営業」について、かなりセンセーショナルなプレゼンテーションを演じてくださいました。
冒頭で帽子屋をdisった w
とも聞いていますが、マイク氏の話は、JTFのイベントではなかなか聞けない内容でした。そもそも、話のノリがふだんのJTFセミナーとはかなり違うので、今回の翻訳セミナーも、いい意味で予想のつかない展開が予想されます。
松丸さとみさんは、2年続けて翻訳祭実行委員を務め、今年は交流パーティーの司会も担当してくれました。BBCニュースの翻訳だけでなく、そのナレーションも担当しているだけあって、聞き惚れてしまうような美声です。
また、出版翻訳を語るセッションにも井口耕二さんとのコンビで登壇し、「聞き役」として名人芸を披露してくださいました。今ではすっかり、
翻訳業界の黒柳徹子
と呼ばれています。その異名はだてではありません。
私としては、10月に続いて同じ年度内で2度目のJTF翻訳セミナー登壇、ということになりました。これも異例のことです。マイクさん、さとみさん、帽子屋---この3人で語るお題は、
通訳と翻訳のはざま
です。
JTFが通訳も扱うようになったことは、まだあまり知られていません。通訳の方は、時間と場所の制約があるという業務の性質上、平日のセミナーには翻訳者ほど気軽に参加できないとも聞いています。そこで、通訳だけを対象にするのではなく、
翻訳者と通訳者の基本的な思考プロセスを比べ、市場に求められる翻訳・通訳の品質に関して議論し、ビジネス面も含めて翻訳者から通訳者(またはその逆)へのキャリアシフト、または兼業の可能性を検討する
ことにしました。
通訳・翻訳を問わず、Translationに携わるどなたにも参考になるはずです。
通訳と翻訳のはざまで繰り広げられるバトルにご期待ください。
08:47 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.12.11
# 「脱・辞書の持ち腐れ」セミナー、東京と大阪で開催
ここ数年、翻訳者としてどんな辞書を、どんな環境でそろえればいいのか、それぞれの辞書にどんな特長があるのかといったことを、あちこちで話したり書いたりしてきました。
せっかく辞書をそろえたら、
実際にどう使いこなして翻訳に活かすのか
ということも考えないといけません。そこで、そんなテーマで新しい辞書セミナーを開催します。
しかも、共通するテーマで形式の違うセミナーを
東京と大阪で開催
するという連続企画になりました。
東京編は来年2月4日(日) 、翻訳フォーラム・レッスンシリーズの#8として開催。
大阪編はその1か月後の3月2日(金) に、JTF関西セミナーの第4回として実施。
どちらも、私ひとりではなく、深井裕美子さんとのデュオでお送りします。
リンク:「脱・辞書の持ち腐れ《50Hz》~お題に挑戦~」(翻訳フォーラム・レッスンシリーズ#8)
リンク:「脱・辞書の持ち腐れ《60Hz》~どの辞書をいつ引くか~」(JTF翻訳祭関西セミナー)
東京・大阪とも、申し込みはすでに始まっています。来年の話ではありますが、興味のある方はお早めに!
特に、東京のレッスンシリーズは人数限定のワークショップ形式 で、だいぶ席が埋まりつつあります。
すぐ上にも書いたとおり、レッスンシリーズのほうはハンズオン形式です。
事前課題もあり、当日も例題をいっしょに考えていきます。
「売っている限りの辞書を手に入れて、一瞬で引けるように辞書環境を整えたのに、思うような結果が出ない」「他の人はさっと調べ物ができるのに、わたしは時間がかかって、しかも結果が芳しくない」こういうお悩みはありませんか。
今までレッスンシリーズでは「辞書の選び方」「辞書環境の整え方」を取り上げてきましたが、今回は具体的に「どんな辞書」を「いつ」「どうやって」引くかがテーマです。
事前にお知らせする簡単な「お題」について、参加者の皆さんそれぞれの環境で調べてきていただき、ワークショップ形式でその筋道を比較検討します。また、翻訳作業中に遭遇しがちな辞書引き事例をいくつか取り上げ、「紙辞書」「電子辞書」「CD-ROM辞書」「アプリ辞書」「オンライン辞書」等、さまざまな辞書環境での調べ方をお話しします。
(レッスンシリーズ#8の紹介より)
先日の翻訳祭にもご登壇くださった関山健治先生のこの本と、
翻訳フォーラムメンバーによるこちらの本をあらかじめ読んでおくと、いっそう理解が深まるはずです。
一方、関西セミナーのほうは、いつものような講義形式になります。
翻訳者と辞書は切っても切れない関係だ。優れた辞書を複数手元において、頻繁に参照することは、とても大切である。一方、辞書は数を揃えればいいというものでもない。上手に使ってこそ、辞書が生きてくる。
本セミナーではまず、どの分野の翻訳者も必ず持っていたい辞書は何か、どのようなプラットフォームで揃えるのが良いかといった、辞書の基礎情報について簡単に説明する。
さらに、「いつ」「どの辞書を」「どの単語で」「どのようにして」引くかを、実例を出しながら解説し、「紙辞書」「電子辞書」「CD-ROM辞書」「アプリ辞書」「オンライン辞書」等、さまざまな辞書環境を組み合わせた調べ方についての情報を提供する。
これから辞書環境を整え始める初学者・初心者はもとより、すでに仕事をしている方たち、ベテランの皆さんにも、ぜひご参加いただき、「原文を正確に読む」「原文の内容を過不足なく訳文に記す」という翻訳技術の向上にお役立ていただきたい。
(JTF案内ページより)
事前課題はありませんが、お伝えしたい基本は同じです。
形式が違うので、東京と大阪、両方お聴きくださっても、損はさせません!
深井と帽子屋の辞書引きに関するノウハウを全力でお伝えしようと、今からいろいろと仕込んでいます。
乞うご期待!
12:13 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2017.12.08
# 第27回JTF翻訳祭、補足その他
翻訳祭交流パーティーの後は、いつもであれば事務局が二次会を設定しているのですが、今年はもう好き好きにどうぞということで、敢えて設定しませんでした。
私は、1コマ目にご登壇くださった柴田耕太郎先生たちが集まる少人数の席のご相伴にあずかりました。
「(7月に亡くなった)田中さんがとっておいてくれた日本酒を預けてあるお店があるんです」
ということだったので、神楽坂のお店にお邪魔し、田中さんに献杯。とても美味しいお酒でした。
偶然ながら、同席した女性のひとりも同学でしたが、私の大学時代の同級生に教わったという世代でした(それでもまだ西ヶ原の世代ではあったそうです)。これも、田中さんのお引き合わせだったとしか思えません。
■
さて、第27回JTF翻訳祭については、ご参加くださった方がブログやTwitterでいろいろと感想やレポートなどをあげてくださっています。全部はカバーできていないと思いますが、以下にご紹介しておきます。
漏れがあったら教えてください。
※12/26追記あり
翻訳祭に関するツイートのまとめ
リンク:togetter「第27回JTF翻訳祭まとめ」
翻訳祭1週間前の11/21から、今のところ12/5までのツイートがまとめてあります。
テリーさん、ありがとうございます。
ご参加くださった方々のブログ
※順不同です。
村井理子さんのブログ
リンク:翻訳祭、その他
リンク:20171204 雑記
滋賀県からご登壇くださった、村井理子さんのブログです。
先に何が起きるのか心配するのは、それが起きるであろう5分前で十分だと私は思う。
翻訳祭のセッションでもこのように語られていたそうで、Twitterでもたびたび引用を見かけました。一緒にご登壇くださった、編集者の伊皿子さんも、ありがとうございました!
「雑記」のほうは、翻訳祭に来てくださった児島修さんに関する、村井さんの連続ツイートが引用されています。こちらもぜひお読みください。
Sayoさんのブログ
リンク:屋根裏通信 JTF翻訳祭2017
昨年は、翻訳業界を下支えする翻訳者視点から翻訳祭を考えてみようという、全体的なバランスを考えながら「原点回帰」を試みた年だった(らしい)と記憶しています。
今年は、もう少し広いところから、翻訳と業界を考えてみようという感じになっていたような気がします。
委員会の意図がちゃんと伝わったんだー、と思えるうれしい総評でした。この後にも、Sayoさんが聴講なさった4つのセッションについて、怒濤の投稿が続いています。
リンク:屋根裏通信 JTF翻訳祭 セッション1 「翻訳教育のススメ」
リンク:屋根裏通信 JTF翻訳祭 セッション2 「翻訳の過去・現在・未来」
リンク:屋根裏通信 JTF翻訳祭 セッション3 「書籍を訳すという仕事」
リンク:屋根裏通信 JTF翻訳祭 セッション4 「出版翻訳入門 ~産業翻訳からのアプローチ~ 」
リンク:JTF翻訳祭 おまけ
Sayoさん、ありがとうございます!
Gravity_Heavenさんのブログ
リンク:2017年翻訳祭(1)まっとうであること
リンク:2017翻訳祭(2)こころと、からだ
リンク:2017翻訳祭(3)わがままな翻訳者
1と3は、Sayoさんと同じセッションですが、まったく違う切り口、語り方をお楽しみください。
つまるところ、当たり前のことを当たり前にやるしかないんです。原文の情報をそっくりそのまま、日本語として正しく伝えること。「これだったら機械翻訳でもいいじゃん」と言われるようなミスをしないこと。読み手に「読んでよかった」、「楽しかった」、「参考になった」、「翻訳された情報のおかげで契約が結べた」と思っていただける翻訳をするしかないんです。
こういい感想がいただけるのも、とてもうれしいですね。当たり前がいかに大変か……。
あきーらさんのブログ
リンク:技術者から翻訳者へのシルクロード:人にたくさん会ってきた(十人十色セミナー+翻訳祭+宴×2)
リンク:「二足の草鞋」時代の自分が今回の翻訳祭に出席していたら何を聴講しただろう?
1本目は、前日に開催された十人十人十色の前夜祭に関するレポートもセットです。2本目は、実にあきーらさんらしい視点の記事。
今回聴講した4講演とすべて異なる。ただ、上記の4講演は、今回聞いてみたいと思ったのも事実。それだけ、今回のプログラムが実務翻訳者にとって関心を呼ぶものであったこと、実務経験の多寡にかかわらず魅力を感じる講演が多かったことを物語っているのだと思う。
なるほど~。こういう見方をしたことはありませんでした。
テリーさんのブログ
リンク:翻訳祭:ミニ講演会登壇報告
初めての試みであるミニ講演会に、テリーさん自ら登板してくださいました。さぞ、「超高速」だったのだろうと思います ^^
映像翻訳者集団 Tri-Logue のブログ より、chocoさんの投稿。
リンク:Tri-Logue: 遅ればせながら…今年も参加しました『JTF翻訳祭』と『前夜祭』
映像翻訳のプログラムをなかなか用意できず、申し訳ありません。それでも、
そして、何よりありがたいのは「刺激」を与えてもらえることです。翻訳祭の帰り道には、いつも心の中で自分会議。今回も学びがいっぱいでした!
こうおっしゃっていただけるのは、ありがたいことです。
ローズ三浦さんのブログ
リンク:翻訳祭のミニ講演会の御礼&発表スライドの公開 - 機械学習/ディープラーニング/AIと翻訳
ミニ講演会にご登壇くださった三浦さん。AI翻訳者への道まっしぐら。
主婦ときどき出版翻訳さんのブログ
リンク:JTF翻訳祭 感想 ~出版翻訳は儲からないけれど~: 主婦ときどき出版翻訳 ~千里の道も一歩から~
前エントリでも書いたとおり、今年は意図的に出版系を増やしたので、こうして出版翻訳の方がご報告くださっているのは、実にありがたいと思います。
つくしさんのブログ
リンク:出会い(2017年翻訳祭、その1) : ことりのうたに耳を澄まして
今年は、昨年できなかったこと…ほかの参加者の方との交流…ができたらいいなと思い、翻訳者という看板をやっと掲げたところという私、かなり勇気がいったのですが(超緊張)懇親会まで参加させていただきました。経験年数や年齢、立場や所属(講演者、翻訳会社、クライアント、翻訳者、学習者…)などを問わずお話できる機会というのはとても貴重で、ありがたいことだなと思いました。
これからも、翻訳祭がこうおしゃっていただける場であり続けてほしい、と切に思います。
Shinako Komoriさんのブログ
リンク:JTF翻訳祭のボランティアに参加して
ボランティアだけで、午後のセッションはお聴きになれなかったとのこと。運営にご協力くださり、ありがとうございました! またの機会にゆっくりお聴きください。
カセツウさんのブログ
リンク:JTF翻訳祭で講演してきました
カセツウ代表の酒井秀介さんは、ミニ講演会にご登壇くださったほか、午後はボランティアとしてもご協力くださいました。ありがとうございます! 私自身は拝聴できなかったので、今度どこかでまた、ゆっくりお話を聞かせてください。
テクノプロさんのブログ
リンク:第27回JTF翻訳祭 ミニ講演会のスライド資料 – トライアルに合格していただくために (Hiro)
梅田社長と加藤泰さんも、名コンビでミニ講演会に駆けつけてくれました。いつもありがとうございます。m(__)m
ぽつりと気ままにblog…☆さんのブログ
リンク:翻訳祭2017年を終えて
専門はITって言ってるし、その分野は好きなんだけど、かと言って専門性がめちゃめちゃ高いわけでもないのに、変な情報を公式に発信したらブランディング的に単にマイナス印象なんじゃないかとも思うし、実際そうだと思う。
こういうお悩みをおもちの翻訳者さんは、とても多いはずです。そういう方々に、翻訳祭が少しでもヒントになれば……と思います。
真栄里さんのブログ
リンク:楽しかった翻訳祭(JTF)! | 株式会社 英文契約サポートセンター沖縄|Contract - JAPAN
電車のない沖縄とは違って、東京では、終電間近になると店から一気に人がいなくなる…。
終電というものがない沖縄では、飲みたいだけ何時までも店にいることができるので、終電に合わせてサッと帰る東京の方々は凄い!と思います。
そうなんですか!
いつの日か、沖縄で呑みましょう!
KIZUNAさんのブログ
リンク:JTF翻訳祭(11/29)に行ってきた。 - ニューイングランド師匠
それはそうとして、よく笑う中山さんってキュートな方だ。
同感です。講演は聞けませんでしたが、ご挨拶だけはできました。
まゆみさんのブログ
リンク:JTF翻訳祭
たった10分なのに、こんなにわくわくするお話が聞けるなんて (^^)
通訳案内士をめざして学習中の方だそうです。ミニ講演会、やってよかった。
Memsourceさんのブログ
リンク:JTF翻訳祭 2017 と MEMSOURCE ユーザー交流会のお礼とご報告
書いてるのは、たぶん加藤さんですよね?
Memsource、最近ほんと急上昇中。
ヨシダヒロコさんのブログ
リンク:第27回翻訳祭ミニ講演会『専門外から生物・バイオ系を武器に ~メディカルの基礎にも』資料(1)プレゼン資料(2017/11/29、アルカディア市ヶ谷)
リンク:第27回翻訳祭ミニ講演会『専門外から生物・バイオ系を武器に ~メディカルの基礎にも』資料(2)書籍情報など(2017/11/29、アルカディア市ヶ谷)
こちらも、ミニ講演会にご登壇くださった方のブログです。
いろいろな方に発表の場を提供したい、という考えで新設したこの企画。やはりやってみて正解でした。ヨシダさんの記事、特に2つ目はそのまま資料になりそうですね。ありがとうございます。
「翻訳者の暮らし」、リスノさんのブログ
リンク:JTF翻訳祭2017に参加して
ここでも大学時代に同じキャンパスで過ごした仲間と再会して感慨深かったです。
思わぬ出会いや再会があるのも、翻訳祭のいいところです。たまたま翻訳プラザに顔を出したら、リスノさんが感激の再会をしているところでした。しかも、その相手というのは私がよく知っている、業界のK氏。おもしろいものです。
リンク:JTF翻訳祭2017と来年の開催予定
第4セッションの話と、来年の翻訳祭、その他いろいろなイベントも紹介してくれています。
akoronさんのブログ
リンク:JTF翻訳祭に行ってきました
akoronさん、はるばる広島からご参加くださいました。しかも、前日に開かれた十人十色の前夜祭からです。私もお久しぶりでしたが、ありがとうございました!
白須清美さんのブログ
リンク:フィッシュアンドチップスにうってつけの日
白須さんには、村井理子さんのセッションの書記もお願いしました。ありがとうございます!
COM2 Blogさんのブログ
リンク:第27回JTF翻訳祭に行ってきました
1つのセッションについて、内容を簡潔にまとめてくださいました。いつもありがとうございます。m(__)m ブログ主さんとは、なかなか落ち着いてお話しする機会がないですよねー。
成瀬由紀雄さんのブログ
リンク:「翻訳祭」に参加して考えたこと
JTFについても、翻訳祭についても、だいぶ手厳しいご意見をいただきました。ミニ講演会にもご登壇くださったのですが、
> 講師で10分だけ話せば5000円という法外な参加費が無料になるとのことなので、ついその気になった
そういう動機でご登壇になったという方もいらっしゃるということを、肝に銘じておきたいと思います。
みなさん、ツイートや記事の投稿、ありがとうございました。
08:33 午後 日記・コラム・つぶやき 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.12.07
# 第27回JTF翻訳祭、終わりました!
(なかなか時間がとれず、1週間も経ってしまいました……)
かねてからご案内していたとおり、さる11月29日、日本翻訳連盟主催の「第27回JTF翻訳祭」 が開催されました。
ご参加くださった方の声を聞いたり、その後のブログやツイートを読んだりしたかぎりでは、ひとまず好評のようです。
これもひとえに、実行委員会と事務局のみなさん、当日のボランティア、登壇者のみなさま、そして何より、朝早くからご参加くださった皆さまのおかげです。
あらためて、厚くお礼を申し上げます。
「個人翻訳者にもっと足を運んでもらおう」
という方針のもと、昨年は委員のひとりとして、今年は委員長として2年にわたり翻訳祭の準備・運営に携わってきました。
昨年も今年も、その趣旨に見合ったコンテンツをどうにかそろえることができたようで、
個人翻訳者の目をJTFに向ける
という役目は、ひとまず果たせたのではないかと思っています。
昨年は、前年比で個人翻訳者の参加が2倍になるなど大きい目標は達成できた反面、会場の制限もあって、運営面にいろいろと悔いや課題が残りました。
また、内容面でも、もっと魅力的なコンテンツを用意したい、業界全体が盛り上がるイベントにしたいという欲が出てきました。
(第27回JTF翻訳祭パンフレットより)
そのための核になるもの、翻訳者と翻訳業界を支えているものは何だろう――そう考えて出てきた答えは、やはり「言葉」でした。今年のテーマに委員会一同が込めたのは、そんな思いです。
思いがかたまったとき、コンテンツの方針も自ずと決まり始めました。
出版翻訳 のセッションは絶対に入れよう。
結果的に、出版系としては2つのセッションが実現。委員でもある井口耕二と松丸さとみが、"徹子の部屋"風の対談をやってのけてくれました。
そして、村井理子さん と編集者の伊皿子さん! このお二人をお呼びできたのは、今年の翻訳祭でも特に大きい成果だったと思っています。
もともとは同じく出版系というつもりでお呼びした柴田耕太郎 さんは、私たちの予想を超えた「翻訳教育」という枠で「翻訳」を語ってくださりました。
ひとりでも多くの方 に、業界へ向けて何かを発信してもらいたい。
そんな思いつきから、「10分間ミニ講演会」というのも、初めて企画してみました。はたして応募はあるのか――そんな不安をよそに予想以上の反応があり、1コマ予定だったこの企画を、急きょ2コマとしました。結果的には、これがなかなかおもしろかったそうで(私は見られませんでした)、今後も少しずつ形を変えて続けていけそうな手応えがありました。
通訳のセッション も充実させないと……。
JTFの約款に通訳も加わったため、昨年から通訳のセッションは増えています。
今年は、日本会議通訳者協会 の関根マイク氏に早くから協力を依頼し、単に通訳という枠ではなく「通訳者への転身」(白倉淳一さん)、「大学と通訳翻訳業界の連携」(松下佳世さん)という魅力的な内容をそろえていただきました。
そのマイク氏ご本人も、「ぶっちゃけるので運営による録画も禁止」というくらいの過激さで、個人翻訳者の営業について語ってくれました。
「言葉」がテーマなら、やっぱり辞書の話 を入れたい……。
そんなことを考えていた折も折、以前このブログでも紹介した『辞書マイスターへの道』という本が出ます(7月)。
さっそくコンタクトをとった関山健治先生が快諾してくださり、このセッションは私が自ら司会も務めました(8月には一度お会いし、翻訳祭の2倍以上の時間、個人的にお話を伺いました。ささやかな役得)。
これからの翻訳を考えるなら、翻訳の歴史 を振り返ろう。
今年の5月に"チラ見せ"だった、高橋さきのさんの翻訳史をロングバージョンで再演してもらいました(深井裕美子さんのナビゲーション付き)。
そのほか、フリーランスにとって大切な「お金の話」(古川智子さん)や、「中国語翻訳の品質管理」(村井見栄子さん)などは、今までの翻訳祭になかった異色のセッションです。一方、"定番"としておさえたのが、新田順也さんの「Office製品の活用術」。
機械翻訳 についても、2つのセッションを用意しましたが、予想どおり、どちらも立ち見が出るほどの盛況でした。
日英翻訳 の需要も大きいようで、朝いちばんにもかかわらず、ベンジャミン・トンプキンスさんのセッションは超満員。今まで西日本でご登壇になったことは多かったものの、東京では初開催というのも一因でした。
■
一方、キャパとして限界に近づきつつある会場の混雑をどうするか、というのが、今年の委員会にとって最大の懸念材料でした。
そこで、昨年のMaxより大きい部屋を用意したうえで、「時間割と会場は後から決める」という思い切った方針に踏み切りました。そのために、事前にはセッションの内容だけをご案内し、セッション聴講アンケートの様子を見ながら、後から時間割を決め 、会場まで決定したのは、11月なかばとなりました。
お申し込みの段階でタイムテーブルが分からないということで、皆さまにはご不便をおかけしましたが、結果的には、この方針が功を奏したように思います。幸いなことに、同じ会場、ほぼ同数の参加者数にもかかわらず、昨年のような大混乱はなく当日を乗り切ることができました。
今年は、思い切ってパンフレットのデザインも一新しています。昨年までと大きく変わったパンフレット、いかがだったでしょうか。
このパンフレットをデザインしてくださったのは、JTFジャーナルの編集、デザイン、レイアウトにも協力してくださっている、Charlie's HOUSE の "チャーリー" こと、中村ヒロユキさんです。
■
そして、来年の第28回JTF翻訳祭は、なんと
京都で開催
することが決まっています。今回の交流パーティーのとき、正式に発表されました。日程は、
2018年10月25~26日
です。東京以外での開催というのも初めてなら、2日間(実際は1.5日間)というのも初めてです。
まだJTFサイトはオープンしていませんが、Facebookページができています。
第28回翻訳祭
コンテンツはこれから決めていくわけですが、目玉として、
飯間浩明さん
のご登壇がすでに決定しています!
というわけで、第27回翻訳祭にかかわったみなさん、ありがとうございました!
そして、第28回翻訳祭も、どうぞ、お楽しみに!
07:36 午前 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.11.27
# 第27回JTF翻訳祭、Tipsの追加
翻訳祭にご参加になる、特に初めての方に向けて、いくつかTipsを追加します。
◆会場の移動
受付は3Fですが、講演・パネルディスカッションの会場は5Fと6Fです。
移動には、エレベーターか階段を使うことになりますが、エレベーターは2基しかないため、休憩時間にはそれなりに混み合います。
階段のほうが早そう……なのですが、実は階段もあまり広くありません。ご迷惑をおかけするかもしれませんが、早めの行動が吉です。
◆お手洗い
休憩時間、もっと混み合うのが女性用のお手洗いです。
そこで今年は、
3Fのみ、男子用も女子用
として使うことにしました。不十分ではありますが、すこしはマシになるのではないかと思います。
逆に、3F翻訳プラザにお越しの男性は4F以上、もしくは1F、2Fをご利用ください。
◆座席について
どのセッションも、お席は椅子のみ で、机はありません。
ノートPCやタブレットを使ってメモをとることをお考えの方もいらっしゃるかと思いますが、その場合は文字どおりラップトップで使っていただくことになりますので、あらかじめご了承ください。
◆セッション中の退席について
セッションの途中でご退席いただくのはかまいません。講演者や、他の参加者も軽くご配慮くだされば幸いです。
◆SNSへの投稿、ツイート
翻訳祭の様子や各セッションの内容など、SNSへの投稿やツイートは基本的に自由です。
ただし、登壇者の希望によっては、ツイート等を控えてくださるようお願いするセッションもあります。その場合は、なにとぞご協力のほど、よろしくお願いいたします。
Twitter公式タグは、
#2017JTF
です。
ただし、会場にWi-Fiの用意はありません。
01:14 午前 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.11.25
# 翻訳祭、セッションのタイムテーブル、会場入り
第27回JTF翻訳祭、会場まで確定したタイムテーブルを作成しました。
一昨日の記事でもお知らせしたように、今年はタイムテーブルのタテヨコが変わりますので、それに合わせた形になっています。
当日のパンフレットにもっときれいなテーブルは載りますが、最終的に聴講するセッションをご検討するになるときにお使いください。
こちらは画像ですが、印刷するには解像度が足りないので、元データのExcelファイルもアップします。
ファイル:第27回JTF翻訳祭 タイムテーブル(会場、時間帯確定版)
このファイルを、用紙=横、「1シート1ページ」などの設定で印刷すると、まあまあ実用になるかと思います。
今のところの予報では、29日はわりと暖かい日になるようです。
04:35 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.11.23
# 第27回JTF翻訳祭、参加する方へのTips
今年の翻訳祭、いよいよ来週に迫ってきました。
第27回JTF翻訳祭
日時:11/29(水)9:30~20:30(開場・展示会開始9:00)
場所:「アルカディア市ヶ谷(私学会館)」
東京都千代田区九段北4-2-25
TEL:03-3261-9921
ご好評につき、昼間の有料プログラム(講演、パネルディスカッション)については事前申し込みの時点で定員に達したため、
当日受付なし
となっております。あらかじめご了承ください。
一方、
翻訳プラザ(展示会場)
プレゼン・製品説明コーナー
は、事前申し込みなく、どなたでも
無料で自由にご参加
になれます。
翻訳プラザとプレゼン・製品説明コーナーだけでも、業界関係者とのネットワークを築いたり、最新情報を仕入れたりするには十分です。お時間のある方は、ぜひアルカディア市ヶ谷にお越しください。
◆
昨年も同じ時期にアップしましたが、翻訳祭へのご参加を予定しているみなさんに、ご参加にあたってのTipsを紹介しておきます。
受付のしかたなど、昨年までの変わった部分もありますので、初めてでない方もぜひご一読ください。
まずは、事前準備編---
◆名刺
ぜひ、名刺を用意しましょう。
すでに作ってある方は増刷を。
まだ名刺を作っていない方は、今からでも遅くありません。オンラインサービスだとギリギリくらいかもしれませんが、「ラベル屋さん」のようなユーティリティで自作する手もあります。
Facebook、Twitter、ブログなどで実名を出していない方は、名刺のどこかにオンラインネームも書いておく と、後日のつながり方が大きく違ってきます。
参考までに、私の名刺を載せておきます。
これが表のデザイン。
名前の読みがレアなのでローマ字表記も入れ、ハンドルネーム「baldhatter」と並べてあります。英語ネイティブの方だと、まずこのハンドルネームでおもしろがってくれます。帽子のイラストも、(法人名ともども)初対面の方はたいてい興味を示してくれます。
名刺というのは、相手の記憶に残らないと効果が半減してしまいます。イラストでも写真でも言葉でも、何かインパクトの強いものを載せましょう。
こちらが裏のデザイン。
扱う分野の詳細、肩書き、昨年出た共著の書影、顔写真まで載せました。
ちなみに、これは「ラベル屋さん」を使った自作。エーワンの両面印刷マットタイプ用紙(品番51861)を使っています。
◆服装
堅苦しい格好は不要です。翻訳会社の方はスーツですが、フリーランスは、フリーランスならではのカジュアルな格好でどうぞ。
現在の予報を見ると、29日はわりと温かそうですが、季節としてはもうほぼ真冬です。
ただし、セッション会場はけっこう暑くなることがあるので、脱ぎ着で調節しやすい服装がおすすめです。空調はもちろんありますが、個人差や場所による差もあり、万全には対応できないからです。
なお、アルカディア市ヶ谷の1Fにクロークもあります。特に荷物の多い方など、積極的にご利用ください。
では、いよいよ当日編です。
※お申し込みいただいている方には、事前のご案内メールが届くはずです。必ずお読みください 。
◆交通について
会場となるアルカディア市ヶ谷。最寄りはJR市ヶ谷駅、東京メトロ有楽町線または南北線・市ヶ谷駅、都営地下鉄新宿線・市ヶ谷駅のいずれかです。
JR(総武線)ご利用の場合、ホームから地上に出る階段は新宿寄りです。地下鉄の場合は、A1出口またはA4出口が便利。
◆受付 ★変更あり★
8:45 ~
講演・パネルディスカッション受付:総合受付(3階エレベーター前)
13:00 ~
交流パーティー受付(3階エレベーター前)
変更のポイントは以下のとおりです。
・受付開始が、9:00ではなく8:45 になりました。ご注意ください。
・名刺 、もしくは受付確認メールのプリントアウト をご用意ください。
・参加者の名札は、昼間の分は廃止 となりました。参加証となる首かけ式ホルダーのみお渡ししますので、名刺を入れるなり、ご自由にお使いください。
・交流パーティー用には、従来どおり職種別の名札をお渡しします。
・昼間の講演・パネルディスカッションと、夕刻からの交流パーティーは、受付が分かれました。
・朝からの受付と別に、13:00から交流パーティーの受付を開始します。交流パーティーのみご参加の方は、そこで名札をお渡しします。昼間から引き続きご参加の方には、あらためて交流パーティー用の名札をお渡しします。交流パーティーにご参加になる方は、13:00(2コマ目の終了時)から夕刻までの間に、受付で名札をお受け取りください。
◆配布資料 ★変更あり★
昨年まではJTFの紙封筒でしたが、今年から持ち手のある袋をご用意します。安っぽいですが、持ち運びは楽になると思います。
◆パンフレット ★変更あり★
<11/24追記、加筆>
(特に、例年お越しくださっている方)今年は、パンフレットのデザインが変わります。今までは会場(トラック)がヨコ並び、セッション(時間枠)がタテ並びでしたが、今年はヨコが時間枠、タテが会場となっています。
当日配布されるパンフレットは、会場案内図とタイムテーブルが中心で、各セッションの詳しい内容は載っていません(この点は例年と同じです)。
各セッションの詳細を書いた「セッション内容のご案内」という小冊子が、
・過去にJTFのイベントにご参加くださった方には、お送りしており、
・翻訳祭のサイトにも、PDFをアップしてあります、
ので、必要であればこの小冊子をお持ちいただくか、Webサイトでご確認ください。
「セッション内容のご案内」は、JTFイベント(翻訳祭、翻訳セミナーなど)に初めてお申し込みなった方にはお送られておりません。必要な方は、サイトにあるPDF版をプリントアウトしてお持ちください。
リンク:第27回JTF翻訳祭「セッション内容のご案内」
(直接PDFが開きます)
◆セッションの聴講について
どのセッションも入れ替え制 です。同じ会場で続けてお聴きになる場合も、いったん場外に出て列にお並びいただきますので、ご協力をよろしくお願いいたします。
なお、昨年は予想を大幅に上回るご来場があったため、一部のセッションでかなりの混乱をきたし、ご迷惑をおかけしました。今年は、昨年ほどの大混乱はないと思います。運営側も、ご迷惑をおかけしないよう、全力を挙げて対処する予定です。
◆翻訳プラザとプレゼン・製品説明コーナー ★変更あり★
昨年までは、翻訳プラザの一角で製品説明等のプレゼンを行っていましたが、今年はプレゼン・製品説明コーナーが別会場(4階 鳳凰の間)に移しました。それぞれ、落ち着いてご参加いただけます。
<11/24追記>
事前申し込み不要の無料エリア(翻訳プラザとプレゼン・製品説明コーナー)のみご利用になる場合、名札がわりのホルダーはお渡ししません。翻訳会社や翻訳者との交流を目的にいらっしゃる場合は、自前でホルダーをご用意になり、Twitterアイコンの拡大版とか、なにか目立つものを身に着けているといいかもしれません。
◆ランチについて
アルカディア市ヶ谷の中の飲食店はいっぱいになります。休憩時間を13:00~14:30と長めにとっていますが、外のほうがいいかもれません。
周囲の飲食店については、ご参考までに、こちら など。
また、付近のコーヒー屋さん、ファーストフードとしては、
プロント(アルカディアからJR駅方向)
ドトール(道路をはさんでアルカディアの対面)
タリーズ(アルカディアからJR駅と反対方向、道路反対側)
ルノアール市ヶ谷駅前店(川を渡らず、JR市ヶ谷駅の東側)
ルノアール市ヶ谷外堀通り店(川を渡って右)
マクドナルド(川を渡ってすぐ)
松屋(プロントの隣)
などがあります。
あらかじめ、参加する知人・仲間などが分かっている場合には、事前に打ち合わせておき、ランチ時間もぜひ交流にお使いください。
それでは、11月29日(水)、市ヶ谷でお会いしましょう!
01:56 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.11.13
# 第27回JTF翻訳祭、締め切り間近
先日よりご案内している
第27回JTF翻訳祭
申し込み締め切りが、今週11/15(水) に迫ってきました。
昨年より1週間早くなっている
ので、ご注意ください(特に、法人のみなさん)。
また、昨年と同様、事前申し込みの状況によって
当日申し込みはなくなる
可能性があります。ご参加予定の方は、一刻も早いお申し込みをおすすめします。
11月29日、アルカディア市ヶ谷でお会いしましょう!
10:27 午前 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.11.02
# 『日本人のための日本語文法入門』
私たち翻訳者は、日本語文法の専門家になる必要はありません。
必要なのは、ちゃんとした日本語を書くために必要な最小限の文法概念を理解・整理しておくことです。
これまでも、そんな観点から日本語の文法に関する本を紹介してきましたが、これもかなりおすすめです。
実は、同じ著者のこちらを先に買っていて、
授業で使ったり、紹介したりしていたのですが、こちらは言ってみれば演習編でした。まずは、『日本人のための日本語文法入門』をサクッと読むほうがいいでしょう。
★私が授業で紹介して、『考えて、解いて、学ぶ日本語教育の文法』のほうを先に買っちゃった人、とっつきにくいと思ったら、まず『日本人のための日本語文法入門』から始めましょう。順番が逆になっちゃって、ゴメン!
日本語文法って、いろんな学派・流派があって、言ってることはいろいろ違ってますよね。日本語文法の専門家だったら、お互いに異論反論あるのでしょう。でも、素人である私たちは、納得できる説を見つけて---イイトコ取りして---自分の仕事に活かせばいいんじゃないかと私は思っています。
日本語の文法議論のなかでも、特に議論の的になるのが、たとえば「主語」をめぐる考え方や、「は」と「が」の説明です。テンスとアスペクトについては、ぜひ知っておきたいところです。
この本は、そういう基本について、けっこう納得できました。
目次
第1章 学校で教えられない「日本語文法」
第2章 「主題と解説」という構造
第3章 「自動詞」と「他動詞」の文化論
第4章 日本人の心を表す「ボイス」
第5章 動詞の表現を豊かにする「アスペクト」
第6章 過去・現在・未来の意識「テンス」
第7章 文を完結する「ムード」の役割
第8章 より高度な文へ、「複文」
主語については、「ない」とするのではなく、ひとまず忘れて「述語」を中心に考え始める。述語以外は、主語も含めてすべて、述語に係っていく成分と考える。そのなかに必須の成分と必須でない成分がある。
主語より大切なのは「主題」で、日本語の文は「主題」とそれに関する「解説」で構成されている。「~は」というのは、主題化のための表し方である。
日本語で、自動詞と他動詞とはどういうものか。そこからつながって、ボイスにはどんな機能があるのか。
「あげる」「くれる」「もらう」はどんなはたらきをしているのか
日本語のアスペクトとテンスはどうなっているのか。絶対時制と相対時制も知っておくと便利。
日本語におけるムードとはなにか。
「複文」をどう考えればすっきりするか。
「入門」と題した一般向け新書なので、随所に不足を感じる部分もありますが、その場合は『考えて、解いて、学ぶ日本語教育の文法』を併用するといい感じです。
10:24 午前 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.10.29
# 新しく出る紙の辞書、2点
本が売れない、辞書はもっと売れていない……
辞書の話題になると必ず出てくる話ですが、そんなご時世に、紙の辞書が2点も出ます。
ひとつは、第六版から10年ぶりの改訂となる『広辞苑 第七版』(岩波書店)。
リンク:『広辞苑 第七版』 - 岩波書店
来年1月12日の発売ですが、新語の採用状況などをめぐって、早くもあちこちで話題になっています。
もうひとつは、実に23年ぶりとなる『角川 新字源 改訂新版』(KADOKAWA)
リンク:角川 新字源 改訂新版 | KADOKAWAの辞書
こちらは、明日10月30日に出ます。
『広辞苑』の現行第六版は、ほとんどの電子辞書端末に採用されており、EPWINGデータもいまだに手に入ります。
私のまわりでは当然ながら、電子媒体がどんな形でいつ出るかという点に話題が集中しています。まだ電子媒体についての情報はなく、ひとつだけ見つけたのがこれです。
リンク:広辞苑第六版〔第七版移行版〕 for iOS
いまの第六版を買うと(キャンペーン価格8,800円)、第七版のアプリが出たとき無償で移行できるという、なかなか良心的なサービス。ただし、旧版データは完全に上書きされるため、併用はできないそうです。そういうところ、アプリの売り方としては正しいのかもしれませんが、辞書ファンの気持ちはわかってくれていない。
販売元は計測技研。辞書アプリをそれなりに出している会社で、アプリとしての完成度は物書堂ほど高くない印象もあるのですが、今回はいち早く商売に動いたようです。
『角川 新字源』は、通常版
のほかに、こんな版も出すというのが目を引きました。
このイラストレーター、私は知らなかったのですが、末っ子に見せたら「学校の音楽の教科書、表紙がこの絵師さんだった」と。調べてみたところ、中村佑介さんといって、最近けっこう活躍してらっしゃる方なんですね。
辞書のジャケ買いなんてするのかなぁ……とは思うのですが、どの辞書だったか、ピンク系の装丁のが圧倒的に売れているという話も聞いたばかり。この表紙の効果で、少しでも売れてくれるなら、いい試みでしょう。
せっかくなので、私もこちらを予約してみました。
見かけだけじゃなく、中身もよさそうです。上記の特設サイトから、「もっと読みたい方はこちら 」をクリックすると、PDF 20ページ分もの見本を見ることができます。
なんか、実にすっきりしたデザインで、見やすい。
二色刷ですが、色や記号の使い方がいいのでしょう。見出し字の直下にある情報の示し方も見やすい。視覚的にとても心地よいレイアウトです。漢和辞典で、ここまで楽しくなりそうな作りって、珍しいのではないでしょうか。
03:50 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2017.10.28
# 『新 翻訳力を鍛える本』 - 辞書の話を担当
2年前に出たイカロスさんのムック本、新作が出ました。ちょうど本日発売です。
前回が青い表紙、今回は赤い表紙。まるで、
あるいは、
のようです。
コホン...。
私は前回と同じく、辞書の話を担当しています。
そのほか、どのコーナーも有益な情報が満載です。翻訳のお仕事を始めたばかりの方、学習中の方は、ぜひどうぞ。
2年後には、緑版が出るはずです(ウソ)。
さて、私の辞書の話(pp.20-25)は、2年前の内容とだいぶ変わりました。
いつもどおり、PC上でそろえる辞書環境にも触れていますが、むしろ
PC上の環境を中心に、必要なものは何でも使う
というスタンスです。
ご存じの方も多いと思いますが、辞書の環境については、自分自身、今もなお手探りを続けている状態です。よって、発信する内容も日々変わっています。
今回の赤版で書いたのは、最近で言うと、先月の「博多で翻訳勉強会」 で話した内容がいちばん近いはずです。
それから、私の記事は「効率&スピードを上げる」というコーナーに収録されていますが、そもそも
辞書は効率のために引くんじゃない
ということを冒頭で書いています。
最終的には効率化につながるかもしれませんが、効率化のために辞書環境をそろえる、という話とは少し違っていますから、あらかじめご承知おきください。
◆
同じ「効率&スピードを上げる」のコーナーには、もっと、文字どおり効率化につながる情報がいろいろ載っています。ぜひ参考にしてください。
ただ、そちらだって効率が最終目標でないことは、言うまでもありません。大切なのは、効率化したうえで何をめざすのかです。
そのほかのコーナーは「ミスをなくし品質を上げる」、「英訳力を身につける」、「日本語力を強化する」、「対エージェント力を鍛える」。
青版のときとは、また切り口が違っていますが、いっそう実践的になっている気がします。
07:13 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.10.06
# JTFセミナー、来週です!
いくつかのイベントと一緒にまとめてご紹介したまま、改めて告知していませんでしたが、いつの間にか来週に迫ってきました。
リンク:JTFセミナー:それぞれの翻訳品質 ~発注企業、翻訳会社、翻訳者の視点から~
発注クライアント、翻訳会社、個人翻訳者
という三者がそろって「翻訳品質」とその評価のことを語ります。これって、実はありそうでなかった企画です。
私も、個人翻訳者の立場から、かなり
言いたい放題
を言うつもりです。
告知が遅れてしまいましたが、申し込みの締め切りは
10月10日
だそうです。お急ぎください!
できれば、会場からも個人翻訳者の援護射撃があったりしたらうれしいな、と思っています。
登壇者は、以下のとおり。
ソースクライアントからは、ネットアップの上田有佳子さん。
翻訳会社からは、川村インターナショナルの森口功造さん。
個人翻訳者として、不肖、私。
そして、「翻訳品質評価」について語り、たぶん全体を進行することになるのが、西野 "ドラゴン" 竜太郎さんです。
西野さんは、先日お亡くなりになった田中千鶴香さんの後を継いで、JTF翻訳品質委員会 の委員長に就任なさったばかり。
それ以前から、同委員会では、各国で設けられている品質評価基準のフレームワークについて詳しく研究・紹介するなど、精力的に活動してきました。現在の翻訳業界で、「翻訳品質」を語るのに、彼ほどふさわしい人物はそうそういないでしょう。
◆
「翻訳品質」については、おそらく集まった人の数だけ考え方は違うでしょう。したがって、それをどう「評価」するかという基準も多様です。その評価方法について、統一的なフレームワークを設けるなんて不可能……そういう意見が多数派でしょう。
そんな枠組みを日本でも作ってみたい、と言い出したのは、故・田中千鶴香さんでした。7年前の今ごろ、「標準スタイルガイドを作ってみたい」と言って私を委員会に誘ったときと同じ、いや、おそらくそれ以上に無謀な挑戦です。
今回のセミナーも、実は田中千鶴香さんと西野さんが登壇する予定でした。田中さんはきっと、その無謀な挑戦を業界に向かって宣言するおつもりだったのではないかと思います。新たに決まった登壇者一同は、その田中さんの遺志を継ぐつもりで13日のセミナーに挑みます。
無謀な試みかもしれませんが、それでも翻訳品質というのは、業界の全員が常に考えていなければいけない、最優先事項のはずです。であれば、業界関係者の全員が集まってそれを話し合う場が、もっともっと存在してしかるべきです。
今回のセミナーが、そういう潮流を作るきっかけになれば――そう考えています。
ぜひ、一緒に翻訳品質のことを考えてみませんか。
10:25 午前 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.10.04
# 翻訳祭、セッションのタイムテーブル発表!
今年の翻訳祭、サイトが正式にオープンし、プログラムも発表されましたが、各セッションの時間帯はまだお知らせできていませんでした。
おかげさまで、オープンから2週間ほどで早くもかなりのお申し込みがあり、タイムテーブルを決めることができました。と言っても、
各セッションの時間帯
が決まっただけで会場割はまだなのですが、ご参加の皆さん(と、検討中の皆さん)が、聞きたいセッションをお選びになるには十分お役に立つはずです。
リンク:講演・パネルディスカッション【有料セッション】
こちらのページだと、テーブルになっていないため、一覧性に欠けます。
こちらに、タイムテーブルを用意しましたので、ご覧ください。
(画像のクリックで拡大できます)
「あー、あのセッションとあのセッションが重なっているのかー!」という声が聞こえてきそうです。
ご登壇くださる皆さんのご協力のおかげで、今年もかなり魅力的なコンテンツがそろったのではないかと思います。そろいすぎて、時間帯によってはどうしても重なるセッションが出てきてしまいます。
対象オーディエンスを考えながら、できるだけ重ならないように組んでみたのですが、これが精一杯でした。
というわけで、今年も11月29日に、市ヶ谷でお会いしましょう!
10:57 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.10.02
# 『英語辞書マイスターへの道』、翻訳者にもおすすめ
英語辞書の使い方を主に学習者向けに発信している関山健治先生の新刊が出ています(7月刊)。
関山先生は、今年の翻訳祭にもご登壇 くださいます(私がお呼びしました)。そのご縁で8月には東京でお会いし、先日は拙ブログにもコメントをいただいたところです。
本書も、主な想定読者は高校生や大学生、あるいは英語再学習者(そういうシリーズの1冊)なのですが、辞書を日常的な仕事道具として使っている翻訳者にとっても、役に立つヒントが満載です。
本書の「辞書を引こう」や「やってみよう」にあげられている
例題を自分の辞書環境で
試してみてください。ふだん使っている辞書の特徴や限界など、いろいろな発見があるはずです。
◆
そして、この本には読者向けのうれしい特典があります。本書に収録しきれなかった情報、特に
各辞典の特徴
をまとめた小冊子をダウンロードできるというサービスです。英語の辞書(と、一部の国語辞典)の特徴が実にコンパクトにまとめてあるので、翻訳者必携です。
ただ、本書に掲載されているダウンロードURLが、最近になって機能しなくなってしまいました。
関山先生に問い合わせたところ、さっそく新しいURLを教えてくださり、このブログでも告知していいというご了承をいただきました。本書をお買いになった方は、以下のURLにアクセスしてください。
https://www.dropbox.com/s/gwlxlh9wbt4dcsd/英語辞書マイスターへの道・サポートサイト表紙.pdf?dl=0
(リンクは貼っていません。コピーしてください)
ということで、改めて本書について紹介します。
直接的には、先生の以前の著書
の続編であり、辞書の電子化に伴うアップデート版、といった位置づけです。前著も2007年の発行でしたので、もちろん電子辞書については触れられています。が、中心はあくまでも辞書の使い方の基本---ラベルの見方、語法の読み方など---でした。
10年たって、その内容を電子環境にさらに適応させた、それが本書なので、電子媒体の辞書にふだんからお世話になっている私たち翻訳者の役に立たないはずがありません。
ただし、前著に書かれていたような基本の一部は省かれているので、本当の基本にまで立ち返りたい方は、前著『辞書からはじめる英語学習』も、併せてお読みになるといいかもしれません。
例をひとつだけ紹介しておきます。
辞書を引こう2
up in the air を英和辞典で引いてみましょう。
(p.33より)
この例題を、お手持ちの電子辞書端末、EPWING環境、各種辞書サイトなどの電子環境で引いてみてください。
おそらく、媒体ごとに得意不得意があるはずです。使い方のコツについても、発見があるはずです。
目次
1 辞書メディアの種類と特徴
(冊子辞書、電子辞書専用機 ほか)
2 辞書はこうやって使う
(日常的な英語学習で使う、資格試験の勉強で使う ほか)
3 英和辞典を使いこなそう
(英和辞典の種類、学習英和辞典のその先へ ほか)
4 英英辞典を使いこなそう
(こんな時に英英辞典を、英語学習者向け英英辞典と一般英英辞典 ほか)
5 こんな辞書も使ってみよう
(シソーラス(類語辞典)、コロケーション(連語)辞典)
すでにお気づきのように、私がここ数年のセミナーなどで話している内容にも、当然ですが似ている部分はあります。が、関山先生は辞書の専門家。とらえ方も説明も、私などよりはるかに精確であり、説得力があります。
10:07 午前 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2017.09.27
# 「博多で翻訳勉強会」、登壇報告
何度かご案内していたとおり、福岡翻訳勉強会のみなさんが主催する「博多で翻訳勉強会」に登壇してきました。
会場は、昨年と同じ「ももちパレス」。
それなりに古い公共の施設ですが、付属のレストランも味がいいし、使いやすい環境です。2度目にして、すでに「帰ってきたよ~」という気分。
セッションの内容については、ご参加くださったデシュムク陽子さんが、さっそくブログにまとめてくださっています。デシュムクさん、ふだんはインドにお住まいで、昨年も今年も(一時帰国を兼ねてと本人はおっしゃってますが)はるばるインドからご参加くださいました。フリーランスとは言え、頭が下がります。
リンク:2017年も「博多で翻訳勉強会」①高橋聡先生「辞書を読む、訳語を選ぶ」
リンク:2017年も「博多で翻訳勉強会」②遠田和子先生の「『英語らしさ』って何?」
遠田先生とは、一昨年の合宿以来です。あいかわらず見事な日英翻訳セッション。JATのベンジャミンさんをはじめ、英語ネイティブの方も4人ほど参加なさっており、その方たちからのフィードバックも交えた、日英翻訳談義になりました。
私のほうは、辞書の基本をおさえたうえで、そこからどう訳語を選ぶかというプロセスの話をしました。最終的なテーマは、これまでと大きく変わっています。
電子の辞書がなければ、紙の辞書を引けばいいじゃない
ですw
つまり、今までのように効率重視で電子媒体でいろいろ揃えるのもいいけど、紙の辞書を引くスキルも落としてはいけないんじゃないか、という話。
おもしろかったのは、
この資料について説明したときです。英語ネイティブの方たちが、「これは難しい」とおっしゃっていました。確かにそうかもしれません。
◆
主宰メンバー4人からは、茅乃舎のだしをいただき、
ある参加者には、(先日、オンラインでちょっとした疑問にお答えしたお礼ということで)
日本酒をいただいちゃいました! 獺祭、東洋美人、雁木 というすばらしいセット(しかも、後ろにあるバッグに入れて)。
ご参加くださったみなさん、そして今年も大奮闘ですばらしい会を開いてくださった主宰メンバーのみなさん、ありがとうございました!
なお、福岡翻訳勉強会は、早くもまたすごいイベントを企画していらっしゃいます。遠からず発表があると思うので、お楽しみに!
12:02 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.09.19
# 第27回JTF翻訳祭、プログラム発表!
みなさん、お待たせしました。
第27回JTF翻訳祭
公式サイトでプログラムが発表され、同時に申し込みもスタートしました。
リンク:日本翻訳連盟 - 第27回JTF翻訳祭
リンク:翻訳祭プログラム詳細
ただし、今年はまだ
セッションの時間帯と部屋割りが未定
の状態です。
ご存じのように、昨年は個人翻訳者を中心に参加者が大幅に増えました。ありがたいことでしたが、一部のセッションが過剰なまでの人気となったため、ご参加のみなさんにはたいへんご迷惑をおかけする結果となってしまいました。
今年は、そのような混乱を避けるため、聴講希望について傾向だけでも事前に把握したうえで、時間帯と部屋割りを決めたいと考えています。
もちろん、「時間帯が決まっていないと聴講するセッションを決めにくい」という方も多いと思います。ですので、傾向がつかめしだい、できるだけ早く時間帯から決定していきたいとは思っています。
申し込みの段階では、ひとまず時間帯などは関係なく、「これは聴きたい!」というセッションをお選びください。
今年の翻訳祭、例年と違う点が大きく2つあります。
1. ミニ講演会の開催
リンク:ミニ講演会 10分1本勝負!
通常のセッションのほか、ミニ講演会というものを企画してみました。
1人10分という短い時間で、翻訳にまつわるどんなことでも自由にお話しいただく、という企画です。TED の翻訳祭バージョンという感じ。
初めての試みでしたが、おかげさまで多数のご応募があり、当初は1枠のみの予定だったのを急きょ2枠にして開催します。個人翻訳者から企業の方まで、いろいろな登壇者がそろいました。
2. プレゼン・製品説明コーナー
昨年までは翻訳プラザ(展示会)の片隅で実施していた各社の「プレゼン・製品説明コーナー」を、今年は別の部屋で独立して開催します。各社のプレゼンも落ち着いて聴けますし、逆に展示会の会場が騒がしくなる心配もありません。
こちらは、すでに時間帯も決まっています。
◆
注目のセッションについては、また順々にこちらでも紹介していこうと思います。
03:01 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.09.11
# 「日本翻訳ジャーナル」9/10月号
日本翻訳連盟(JTF)が発行する「日本翻訳ジャーナル」、9/10月号が発行されました。
右カラムの表紙画像からアクセスできます。
※すでにお伝えしている ように、JTF会員には印刷版が配送されます。PDF版をダウンロードするには、会員/非会員とも、ログインが必要です。
今回の号、「帽子屋の辞典十夜」は1回お休みです。
そのかわりに、翻訳フォーラムの連載「続・翻訳者のための作戦会議室」が私の番だったので、そちらで
「なぜ辞書の話をするのか」
という総論めいたことを書いています。
◆
そのほか、7月に急逝した田中千鶴香さんの追悼文も書かせていただきました。
01:04 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.09.09
# Microsoft Bookshelfについて
Bookshelf については、これまでも何度か触れており、一度だけまとめて記事にしたこともあります。
参考リンク:side A: # カシオXD-N10000 - 『日本国語大辞典』とBookshelf
もちろん、今ではふつうに売っている商品ではありませんが、オークションサイトなどで中古が頻繁に出回っています。なかなか魅力的なコンテンツが収録されているものの、バージョンと収録コンテンツがややこしいようなので、整理しておきます。これから入手しようという方の参考になれば。
※以下の内容は、私の知っている範囲で書いています。もっと詳しい方がいらっしゃったら、コメント欄かメールでぜひ補完情報をお寄せください。
BookshelfとBookshelf Basic
まず気をつけるのは、製品版のMicrosoft Bookshelfと、Officeに付属していたMicrosoft Bookshelf Basicがあることです。
製品版「Microsoft Bookshelf」のほうは、「Encarta 総合大百科」という名前で売られていたこともあります。
Bookshelf、Bookshelf Basicとも、1.0、2.0、3.0まで出ていたようです。
1.0 はどんなだったか、持っていないのでわかりませんが、Bookshelf 2.0とBookshelf 3.0は、以下の構成でした。
【9/13追記】
コメント欄に、『英語辞書マイスターへの道』の著者、関山健治様から情報をお寄せいただきました。ラインアップはコメント欄にもありますが、『プログレッシブ英和中辞典』が第2版だったそうです。また、(今回は百科事典系をあまり取り上げていないのですが)データパルも少し古いバージョンの模様。
Microsoft Bookshelf 2.0
収録コンテンツ
・国語大辞典(新装版)小学館
・プログレッシブ英和中辞典 第3版 小学館
・プログレッシブ和英中辞典 第2版 小学館
・The American Heritage Dictionary of the English Language 3rd
・類語例解辞典 小学館
・故事ことわざの辞典 小学館
・電子ブック版・データパル(1991-92 年度版から 1998-99 年度版までの 8年)
ラインアップを見ればわかるように、American Heritageを除けば、すべて小学館のコンテンツです。
『国語大辞典(新装版)』は、
『日本国語大辞典』 の要約を基礎に、新しい情報を加え、新たな工夫をこらしてまとめられた。
と書かれているので、『日本国語大辞典』 初版の1巻本と言ってもいい内容です。つまり、いま私たちが気軽に買えるようになった『精選版 日本国語大辞典』の "叔父さん" といったところでしょうか。これの書籍版は、パッケージの写真と収録語数などから察すると
これらしいのですが、確認はとれていません。
『プログレッシブ英和中辞典』は、現在iOSアプリなどで入手できる第5版の2つ前の版。
『類語例解辞典』については、先日、類語辞典に関する記事 で言及しました。かつてはSIIの電子辞書端末にも収録されていたコンテンツですが、こっちのほうがずっと見やすい。
American Heritageも、やや古い版ながら電子データというのは貴重です(iOS版は第5版ですが、iOS 10になってから、まともに動いていません)。
Microsoft Bookshelf 3.0
収録コンテンツ
・新英和中辞典 第6版 研究社
・新和英中辞典 第4版 研究社
・新明解国語辞典 第五版 三省堂
・Encarta World English Dictionary
小学館オンリーだった2.0から、研究社と三省堂になりました。この間に、いったい何があったんでしょうね。
コンテンツとしては、明らかに2.0より見劣りします。「Encarta 総合大百科」のおまけという位置付けになってしまったからかもしれません。
なのに、なんで最近これを手に入れたかというと、Encarta World English Dictioary というのを見てみたかったからです。あまり見たことのないタイトルの辞書ですが、
しばらく前に読んだこの本に、こんな記述がありました。
1つ目は,特定の国に偏らず,世界の英語圏からのデータを収集したことである。
こういう辞書はちょっと珍しいので、ちょって手に入れておきたいな、と。たとえば、こんな単語が載っています。
lah
particle
Malaysia Singapore used to show informality : added to something said to indicate informality and intimacy(informal)
研究社の英和中・和英中は、現在LogoVista版やアプリ版で入手できる「英和中第7版・和英中第5版」のちょっと前のバージョン。
Microsoft Bookshelf Basic1.0~2.0
1.0はまだ入手できておらず、2.0だけ手元に複数枚ありますが、Wikipediaの記事 によると、1.0と2.0の収録コンテンツは同じだそうです。
【9/10修正追記】
すいません、コメント欄でもご指摘いただきましたが、Wikipediaの記事を読み誤ってました。1.0と2.0ではプログレッシブの版が違うようです。
1.0と2.0は、Office 97、Office 2000時代の付属品でした。
1.0収録コンテンツ
・国語大辞典(新装版)小学館
・プログレッシブ英和中辞典 第2版 小学館
・プログレッシブ和英中辞典 第2版 小学館
2.0収録コンテンツ
・国語大辞典(新装版)小学館
・プログレッシブ英和中辞典 第3版 小学館
・プログレッシブ和英中辞典 第2版 小学館
つまり、Bookshelfからメインのコンテンツのみ抜粋したバージョンということです。American Heritageその他のコンテンツはサンプルだけ入っていて、製品版「Microsoft Bookshelf」の購入に誘導するしくみになっています。
Microsoft Bookshelf Basic3.0
収録コンテンツ
・新英和中辞典 第6版 研究社
・新和英中辞典 第4版 研究社
・新明解国語辞典 第五版 三省堂
これも、Bookshelfの収録コンテンツを絞り込んだ内容ですね。Office XPの付属品。
入手するとしたら
おもしろいことに、ヤフオクやメルカリ(何かと問題のあるサービスですが……)などで、頻繁に出回っています。
製品版のMicrosoft Bookshelfは、さすがに少ないようです。私は今までに、ヤフオクとAmazonマーケットプレイスで2.0と3.0を1回ずつ見つけて落としました。2.0は2,500円(2014年5月)、3.0のほうは7,800円(2017年1月)でした。
3.0はあまり見かけませんが、2.0はかなり安く出回っていることがあります。収録コンテンツを考えれば、とてもお買い得だと思います。
一方、Microsoft Basicのほうは、ほとんど投げ売りのような値段で、いつもたくさん出品されています。ただし、出品者があまり詳しくないせいか、
バージョンがわからない
出品がほとんどです。
見分けるためには、出品写真でOfficeのバージョン番号を確認するといいかもしれません。
Basic 1.0はOffice 97、Basic 2.0はOffice 2000、Basic 3.0はOffice XPの付属品ということですから、この写真のように
Windows NT
Windows 98
と書いてあるのは、1.0か2.0の可能性が高いと考えられます。Basic 3.0の出品が確認できたら、追記します。
修論コンテンツを見ればわかりますが、1.0と2.0が出品されていたら、買っておいて損はありません。『国語大辞典』が載っているからです。
しかも、
手順: Bookself Basic の EPWING 化プロジェクト
などに書かれているように、『国語大辞典』をEPWING変換することもできます(EPStudioは有料ライセンスが必要)。念のために付け加えておきますが、この変換スクリプトは、あくまでもBookshelf Basicにしか対応していません。手元のBookshelfデータで試しても、うまくいきませんでした。
『精選版 日本国語大辞典』とまったく同じというわけではないものの、それとかなり近い内容のEPWINGデータを確保したければ、この手しかありません。
◆
なにしろ古い製品なので、最近のWindowsではインストーラーがまともに動かないこともあります。その場合は、CD-ROMの中身をまるまるハードディスクにコピーして、そこからセットアップを実行するとインストールできたりします。
いずれにしても、購入からインストール(さらには、EPWING変換)まで、、中古商品を扱うときはすべて自己責任でお願いします。
09:43 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2017.09.01
# いろいろな類語辞典(日本語) - 書籍版
続いて、書籍版です。手元にある類語辞典の一部を並べてみました。
本棚、圧迫されますよねぇ。自炊も考えてはみるものの、書籍としての辞書というモノに愛着があって、なかなか踏み切れません。せめて、索引だけでもEPWINGデータにしたい。
以下、それぞれの特徴を説明しながら、入手状況についても触れています。
『講談社 類語辞典』
オーソドックスな分類型の類語辞典です。以下は、「帰る」を引いたところ。「帰る」に関連したいろいろな言葉とその説明が、細かいカテゴリごとにグループ化して表示されています。
たくさんの類語のなかから使いたい言葉を選ぶときに使います。その点は、電子版が手に入る『日本語大シソーラス』と同じですが、語釈や、ときには使い分け情報まで載っている点が便利です。書籍版が、ふつうに手に入ります。
『使い方の分かる 類語例解辞典』 小学館
同じく分類型で、実際には索引から引きますが、こちらは類語をたくさん並べるというより、書名どおり「使い分け」の説明に重点が置かれています。
そして、実は書籍版を買ってしまってから、電子版が手元にあったことに気づいたタイトルでした。この辞書は、初版が1994年ですが、わりと早くから電子化の波に乗っていたようです。かつては、EPWING版もありました。
私の手元にあるひとつが、セイコーインスツルの初期PASORAMA対応モデル、「SR-G9003」です(まだ、中古で買えます)。
もうひとつは、かつてMicrosoft Officeに付属していたBookshelf 2.0です。こちらは、中古を狙っているとときどき出回ります。
関連リンク:side A: # カシオXD-N10000 - 『日本国語大辞典』とBookshelf
Bookshelf版のほうが、だんぜん見やすいですね。SR-G9003付属(DAYFILERシリーズの前)のPASORAMAは、インターフェースがまだまだ未熟でした。
このように、『使い方の分かる 類語例解辞典』の場合は、同じく「帰る」を引くと、「帰る/引き返す/戻る」の使い分けが、マトリックスも交えて示されます。
私は主に、翻訳答案を添削するとき、微妙に違う言葉を修正するとき、その根拠にこういう使い分け情報を利用しています。添削するときの根拠がほしい---これも、紙の辞書が増えている大きい理由のひとつです。
『使い方の分かる 類語例解辞典』でいいのは、「だが/しかし」のような機能語も出ていること。講談社には載っていません。
書籍版は、ふつうに入手できます。
『現代語古語類語辞典』 三省堂
最近手に入れたこれ、なかなかおもしろい発想で編集されています。
ある言葉を引くと、現代語から古語まで(時代を分けて)類語が載っているという変わり種。分類型ではなく、主見出しの五十音順です。
たとえば、「帰る」を引くと、
[近代](明治から昭和20年まで) というラベルで、「回帰、ひきあげる、リターン」、[近世](江戸期)として「とんぼがへり、まひもどる」、[中世](鎌倉・室町期)として「帰還、帰着、とってかへす」などが載っています。
必然的に、漢語だけでなく、カタカナ語や、
和語もたくさん載っている
というのが特長です。そのうえで、「京都に帰る」のは「帰京、帰洛」とか、「行くことと帰ること」は「ゆきつもどりつ、往返」などと、関連表現も載っています。
また、たとえば「ころがる」を引くと、「ころがるさま」として
[近代]ごろごろ。[近世]すってんころり。[中世]ころころ。ころり。ごろり。
などと擬態語まで載っている。「古語」と銘打ってありますが、いま使えない言葉とは限らないのです。
ページをめくっていると、」楽しくてついつい寄り道してしまう」タイプの辞書と言えます。これも、書籍版をふつうに購入できます。
『表現類語辞典 新装版』 東京堂出版
おもしろい辞典をたくさん出している東京堂出版ならではの一冊です。書籍版が手に入るはずです。
編者のひとり藤原与一による「序」が、やたらと熱い。
これも、主見出しの五十音で引けるタイプで、それぞれの語の説明文が徹底しています。類語から言葉を選ぶという使い方ではなく、じっくりと
それぞれの語義と向き合う
ための辞書という感じです。
たとえば「かなり」という副詞を引くと、主見出し「かなり」の大項目のなかに、「かなり、だいぶ、相当、ずいぶん、よほど、なかなか」が載っていて、程度の大きさを中心に説明されています。
「だいぶ」は、「<かなり>と近い使い方をする」とか、「相当」は「前の二語よりもかなり程度が大きい場合を言う」、「ずいぶん」は「前の三語に比べて、程度のよりはなはだしいさまを言う」とか、それぞれの類義語どうしが比較されている点に注目です(ただ、それが間違いなくそうかどうか、自分の感覚と合うかどうかは別)。
用例は、すべて近代文学から採られているのが特長的。
『日本語 語感の辞典』 岩波書店
類語辞典とはちょっと違うかもしれませんが、ひとつ前の『表現類語辞典』をもっと推し進めたような辞書です。
たとえば上のスクリーンショットは「永遠」の説明ですが、長嶋茂雄の引退スピーチを引用しながら、
時を超越した栄光を称えることばとしては、「永久」より「永遠」のほうがさらにふさわしく耳になじむとする日本人の語感を物語る事実である。
と説明していて、なるほどと思わせます。書名どおり、「語感」を説明する辞書というわけです。編者・中村明の個人的な語感に寄りすぎていると考える人もいるようですが、これも読んでいて楽しい辞書です。
書籍版が、ふつうに入手可能。
『日本語類義表現 使い分け辞典』 研究社
いわゆる類語辞典のイメージとは違います。「帰る」(動詞)とか「かなり」(副詞)のような中心的な語彙ではなく、助詞や助動詞、接続詞などの使い分けを詳細に説明しています。
たとえば上のスクリーンショットは、「~なら、~たら、~ば、~と」という、おなじみの使い分けに関するページ。
ただし、説明に使われる文法用語が容赦ないので、読み解くのはなかなか苦労です。「語感」のような本ではなく、むしろ徹底的に
理屈で使い分けを説明
するタイプの本と言えそうです。
このほか、国語辞典で類語の使い分け情報が充実しているのが、
『小学館 日本語新辞典』
です。
判型が、国語の小辞典ではなく中辞典、つまり広辞苑などと同じなので―厚みはそこまでない---、さらに本棚を圧迫します。
03:25 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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# いろいろな類語辞典(日本語) - 電子版
類語辞典は、国語系辞典のなかでもなかなか電子化が進んでいない部類です。
電子版で手に入るものは全部そろえましたが、必要と趣味から、ここ半年ほどでにわかに、書籍の類語辞典も増えてしまいました。
媒体別に、いろいろな類語辞典を紹介します。
電子データ - PC上で使えるもの
PC上で使える類語辞典として、今も入手できるのは、おそらく以下の2つだけです。
デジタル類語辞典 第8版
ただ類語や関連語が並ぶだけですが、とっさに訳語を検討するときには、わりと重宝します。1年ほど前に詳しく紹介しました。
関連リンク:side A: # 『デジタル類語辞典』のこと
大修館 日本語大シソーラス
リンク先はLogoVista版ですが、EPWING版もまだときどき手に入るようです。LogoVista版でも、汎用ブラウザ上でちゃんと使えので、ご心配なく。
カテゴリ分類型の類語辞典です。詳しくは、過去記事をご覧ください。
関連リンク:side A: # 日本語の類語辞典 ― 『日本語大シソーラス』と「シソ改」
EPWINGジェダイの大久保さんが、変換スクリプトを作ってくださっています。こちらで変換したデータ「シソ改」のほうが、普通の国語辞典のように使えて便利かも。EPWINGからも、LogoVista版からも変換できます。
リンク:シソ改 ~~ 『日本語大シソーラス』の全語彙検索EPWING化 ~~
iOSアプリ
上記『日本語大シソーラス』も出ているほかは、おそらく以下の2つだけです。
角川 類語新辞典(大修館)
分類型ですが、検索機能から引くことができます。
※リンク先はiTunes Storeです。
検索直後は類語が並んでいるようにしか見えませんが、タップすると、詳しい語釈や用例が出てきます。物書堂アプリなので、『大辞林』や『三省堂国語辞典』と相互に行き来できます。
三省堂 類語新辞典(大修館)
※リンク先はiTunes Storeです。
分類型ですが、見せ方がなかなか楽しいインターフェースです。
分類項目をタップすると、画面がずりずり動いていきます。
といっても、たとえばこのスクリーンショットで見えている「かなり」という単語を、「文化 → 認定・形容 → ひろがり → 程度 → かなり」とたどれる人は、たぶんこの辞書を編纂した方たちだけでしょう。当然ながら、こちらも検索から引けるようになっています。
電子辞書端末
今や、見るべきはカシオの製品くらいしかありません。そのフラグシップモデル
には、以下の類語コンテンツが収録されています。
『大修館 日本語大シソーラス』
『小学館 使い方の分かる類語例解辞典』
『角川 類語新辞典』
このうち、『使い方の分かる類語例解辞典』については、次のエントリで詳しく紹介します。
12:36 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2017.08.30
# 9月~10月のイベント情報
私が関わっている翻訳関連のイベント情報をまとめておきます。
11月にはもちろん翻訳祭もありますが、ひとまず、9月と10月だけ。
このほか、通訳・翻訳関連のイベント情報は、こちらが充実していますので、あわせてご覧ください。
リンク:セミナー&イベント | 通訳翻訳WEB
最近、ほんと、通訳・翻訳関連のイベント増えましたね。
9月9日(土) 13:00~17:00
十人十色 2017 Part2
7月に続き、今年2回目となる参加型の勉強会です。テーマは自由で、発表時間は1人20分が目安。定員まであとわずかですが、まだ受付中です。
リンク:十人十色勉強会2017 part 2
※Facebookのグループイベントなので、「見られないけど興味ある」という方は、私にご連絡ください。
9月23日(土) 13:30~18:00
博多で翻訳勉強会2017
このブログでもすでに何度かお伝えしているように、福岡翻訳勉強会が、昨年に続き今年も「博多で翻訳勉強会」を開催します。日英翻訳の遠田先生と、私が登壇します。
リンク:福岡翻訳勉強会 「博多で翻訳勉強会」2017年9月23日
おかげさまで、こちらは満席となりました。あと1か月を切りましたが、追加募集があるといいですね。
10月1日(日) 13:15~16:45
翻訳フォーラム・レッスンシリーズ#7 「『述語から読む・訳す』ワークショップ」
5月のシンポジウムで紹介された「述語から読む・訳す」という話を、ワークショップ形式で取り上げます。ワークショップ形式は、昨年のレッスンシリーズ#4「訳出のバリエーション」でも好評でした。
リンク:「『述語から読む・訳す』ワークショップ」(翻訳フォーラム・レッスンシリーズ#7)
紹介を一部引用します。
「[シンポジウム2017では]《翻訳というのは不自然な作業で、ほっておけばことばのスキルが落ちる》という前提のもと、スキルをなるべく落とさぬ方策として、《述語から読む・訳す》ことの大切さ――つまり、(1)述語を見つけられれば、その過程で述語を中心とする文の構造が見えてくるし、(2)そうすると訳出の自由さが格段にアップするということ――について説明した」
これを、実際に手を動かして体験し、身に着ける一日です。
こちらも、だいぶ席は埋まりつつありますが、まだ空きがあるようです。
10月13日(金) 14:00~16:40
JTFセミナー「それぞれの翻訳品質 ~発注企業、翻訳会社、翻訳者の視点から~」
タイトルのとおり、ソースクライアント、翻訳会社、翻訳者それぞれの立場から「翻訳品質」について考えるパネルディスカッションです。
リンク:JTFセミナー「それぞれの翻訳品質 ~発注企業、翻訳会社、翻訳者の視点から~」
ソースクライアントとして、ネットアップ株式会社の上田有佳子さん
翻訳会社として、川村インターナショナルの森口功造さん
翻訳者として、私
が登壇します。さらに、JTF翻訳品質委員会を代表して、同理事の西野竜太郎さんが、第1部と、全体の進行を担当します。
こちらも、紹介文の一部を引用します。
セミナーの第1部では、翻訳品質に関する業界動向を取り上げる。今年から議論が始まったISO 21999、JTFで検討している翻訳品質ガイドライン、さらに「仕様」に基づく考え方を紹介する。
第2部では、まず発注企業、翻訳会社、翻訳者という3者の代表から品質に関する考え方を発表してもらう。次に、会場からの意見も受けつつパネル・ディスカッションを実施する。今回はIT分野を中心に議論するが、他分野であっても参考になると考える。
まだ募集は始まったばかりですが、対象者が広いため、満員も考えられます。お申し込みはお早めに。
10:08 午前 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.08.27
# AmiVoiceについて少し補足
AmiVoiceについて、少し補足しておきます。
1. 音声認識の限界 - 専門語
まず予想されることですが、一般性の低い専門用語はほとんど認識されません。これには、単語登録で対応します。
私の仕事だと、「マルウェア」は最初から認識されましたが、「ランサムウェア」はだめでした。そのほか、「インシデント」とか「シームレス」とか、カタカナ語はどんどん登録しています。「アシュ=亜種」も認識されなかったので、登録しました。
医薬や金融のように、専門性がもっと高いと、音声入力は厳しいかもしれません。
2. 音声認識の限界 - 音節の少ない単語
単語やフレーズではなく長い文章で発声したほうがいいと書きましたが、音節数の少ない単語は、文脈にかかわらず認識されないことがあります。
何度やってもだめなのが、「ニンイ = 任意」でした。n音のあとに母音が続くので、もともと発音しにくい=聞き取りにくい単語なのでしょう。
それから、「ほぼ」も、先ほどの記事では「ほぽ」(濁点ではなく、半濁点)になっていて、JustRightで間違いが見つかりました。「ひっしゃ=筆者」もダメで、もしかするとハ行始まりは全般的に苦手とも考えられます(私の発音が悪いだけかも)。
3. 音響学習
認識機能を最初からトレーニングする必要はありませんが、使っているうちに、ユーザーの音声の特徴を学習していく機能があります。使えば使うほど認識精度が上がってくるということです。
たとえば、先ほど「ニンイ = 任意」がなかなか認識されないと書きました。実は、今はもう文脈なしに「任意」という単語だけ発声しても正しく認識されています。「ひっしゃ=筆者」も、そのうち正しく認識されるようになるかもしれません。
4. 音声コマンド
改行するとか、何文字か戻るとか、そういうコマンドも音声でコントロールできます。キーの組み合わせを登録してカスタムコマンドを登録することもできます。
私などは、手の補助として音声入力を使っているだけですが、もっと全面的に音声に依存するユーザーが、音声コントロールだけでどこまでコンピューターを使えるものか、今はまだ判断できません。
5. 英語音声の認識
たとえば、「あんどろいど」と発声すると「アンドロイド」のほかに「Android」も候補として表示されます。でも、これは固有名詞として登録してあるだけです。
「英語の発音には対応していない」
とマニュアルに書いてありました。英語音声を入力したい場合は、やはりDragonでしょうか。
6. 発声について
私が音声入力するところを聞いていた家族が、「意外と、ぼそぼそしゃべるんだね」と言ってました。たしかにそのとおりで、頑張って声を張り上げたりしなくても、きちんと認識してくれます。
逆に、周囲の音を拾いすぎてしまうということも、まずありません。いつもどおり、PC脇のスピーカーからBGMが流れていても、まったく影響しないくらいです。もっとも、これはAmiVoiceの性能(だけ)ではなく、マイクのノイズキャンセリング性能のおかげかもしれません。
◆
ということで、翻訳に音声入力を使う場合、分野によっても向き不向きがありそうです。試してみたいという方は、まず体験版からどうぞ。
08:56 午前 パソコン・インターネット 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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# 転んでもただでは起きない - その2:音声入力
前エントリーで書いたように、左肘の骨折に伴ってエルゴノミクスキーボードを導入しましたが、それでも通常の入力速度にはとうてい及びません。
ちょうどいい機会なので、音声入力を本気で導入してみることにしました。
実は、何年か前にも、DragonSpeechが付属するパッケージ版のATOKが出たときに、音声入力は試してみたことがあります。このときとは、インストール直後のトレーニング操作がやや分りにくく、あっさり投げ出しました。
人間、本当に必要に迫られないと新しいことはなかなかできないということでしょう。
今回、試用版から使ってみることにしたのは、AmiVoice。実際に使っている同業者がいらっしゃって、そこからのお勧めでした。
公式サイトから、体験版をダウンロードできます。
リンク:音声認識ソフト AmiVoice SP2
総合評価 ★★★★☆
試用期間は2週間で、なかなか具合がよかったので製品版に移行しました。
※Amazonのこのページでは、評価の平均点がやたらと低くなっています。見てみると、会議の音声メモから文字を起こそうとして購入した方のようです。製品サイトの紹介ページに、議事録作成にも使えるようなことが書いてあるせいかもしれません。
インストール直後から、ほぼ直感的に使えました。ヘッドセットかマイクを接続し、AmiVoiceを起動したら、
左端の録音ボタンを押して発声を始めるだけです。
マイクの性能や環境によって、マイク音量と感度は設定したほうがいいようです。
たしか、デフォルトで最大だったと思います。いろいろ変えてみて、私の環境では結局、最大で落ち着いています。
最初は、家にあった適当なヘッドセットを使ってみましたが、認識精度が芳しくありませんでした。同業者のアドバイスによると、ノイズキャンセリング機能 の付いた有線のマイクを使うとまったく違うということ。
そこで、さっそくこれも購入しました。
アドバイスどおり、効果は抜群でした。
ふだんの仕事で入力するくらいの文章は、かなりの精度で入力できます。この記事も、最初からからずっと、音声入力で書いています。
好みと作業環境に応じて、入力モードも選択できます。
デフォルトは、エディターモードです。入力したいアプリケーションと別に、
このような入力専用エディターが開きます。ある程度まとまったところまで入力したら、「転送」コマンドを使うと、アプリケーションに文字列が確定入力されます。
漢字変換が間違っている場合には、そこにカーソルを持っていけば、変換候補を選び直せるようになっています。
しばらくはこのモードを使っていましたが、今はほぼ直接入力にしています。直接入力モードでは、入力したいアプリケーションのウィンドウ上に確定(転送)前の文字が暫定的に表示されます。仕事には、このほうが向いている気がします。
エディターモードと直接入力モードで大きく違うのは、転送のタイミングです。
直接入力モードでは、ひとまとまりで発声した文字列だけがバッファに保持され、次のまとまりを発声し始めると、前のまとまりは確定されてしまいます。漢字変換が間違っていた場合に別の候補を選び直せるのも、このまとまりで暫定表示されている間だけです。
一方、エディターモードでは、「転送」コマンドを使うまで、入力した文章をためておくことができ、その間はどの部分も自由に変換候補を選び直せます 。ちょっと難しい文章で、変換違いが多そうな場合は、こちらのモードのほうが向いているかもしれません。
使ってみて感心したのは、文脈認識性能の高さです。短い単語やフレーズほど誤認識が多く、
長くまとまった文になるほど精度が高く
なります。
したがって、これを翻訳に使うと、訳文を作るときの頭のはたらき方がかなり変わってきます。
ふつうにキーボードを打つときは、英文を読みながら、いきなり文字を打ち始めることもあります。しかし音声入力では、一定以上の長さでまとまって入力しようと思うと、頭の中である程度の長さの訳文を作ってから、一気に発声することになる。訳文の性質も変わるでしょう。いい方向に変わるように、しばらくは模索が続きそうです。
入力が終わった文章の見直しポイントも、ふだんのキー入力のときとは勝手が違ってきます。
この文章を打ち終わってから見直したときも、こんな誤入力が見つかりました。
キーボート → ○キーボード
議事録作成にも使えるようなことは書いてある → ○~ことが書いてある
ふだんの仕事で入力するくらいの文書 → ○~文章
「キーボード」の濁点が落ちて「キーボート」。ふだんの入力ならこんな誤字はまず起こりません。単語登録してあるからです。
「が」→「は」の助詞の違いは、私が間違ったわけではなく、音声認識のミスです。「を」などの助詞が落ちる場合もあります。
「文章」→「文書」は、発音があまりよくなかったのかもしれません。
◆
おおむね満足なのですが、録音ボタンのキー割り当てはオプションが少なすぎます。
オプションが単独のキーだけで、どれも他の機能に使うものばかりです。なぜコンビネーションキーの選択肢がないのか不思議です。この点だけはぜひ、今後のバージョンアップで改善されてほしいものです。
ケガが治ってからも音声入力を使い続けるかどうかは、まだ何とも言えません。
07:43 午前 パソコン・インターネット 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.08.20
# 転んでもただでは起きない - その1:エルゴノミクスキーボード
先週お伝えしたように、左肘を骨折し、手首までしっかりギプスで固定されてしまったため、ふつうのキーボードはほぼ使用不能になってしまいました。
全治1カ月の間ずっと仕事をせずにいられればいいのですが、骨折した時点で1カ月分近いバックログもあったし、定期・不定期のニュース、ブログもあるので、まったく仕事をしないというわけにもいきません。
ということで、腕を固定された日のうちにこれを注文し、翌日から使い始めました。
1週間ほど使ってみたので、現時点での使用感レポートをお届けします。
総合評価 ★★☆☆☆
ただし、私はもともとメカニカルキーボード(茶軸)を愛用しているので、メンブレンキーボードに対しては点が辛くなります。
第一印象 。とにかく、バカでかい。
奥にあるのが、ふだん使っているFILCO Majestouchの茶軸です。
エルゴノミクスということで、左右に広がっている分大きくなるのは当然なのですが、そのほかにも最奥にホットキー(銀色のキー)を並べた分が場所をとっています。なにより、手前にあるパームレストの存在感が半端じゃない。開梱時には、このパームレストの下に"はかま"---手前をさらに高くするための基部---が付いているので、さらに威圧感があります。
(Amazonの製品紹介より)
この"はかま"を付けたまま使うには、椅子をもっと高くするかキーボード位置を低くする必要があるので、すぐ外しました。
パームレストの質感はなかなかよく、キーボードの傾斜のおかげで、確かにギプスで固められた今の状態でも、かなりふつうにタイピングができるようになりました。
ホットキー、こんなにたくさん要らない
すでに、ふだんのキー操作をそれなりにカスタマイズしている場合、いちばん奥にあるホットキーはあまり必要ありません。ただし、専用ソフトでキーアサインをカスタマイズできるので、一部は重宝しています。なにしろ左手が不自由なので、Escキーも押しにくい。その分を、使わないホットキーに割り当てています。
ファンクションキーの追加機能、まったく要らない
ファンクションキー(F1~F12キー)のキートップに「元に戻す」とか「返信」とか、追加の機能が割り当てられています。通常のファンクションキーとの切り替えには、F12の隣にある[F Lock]キーを使います。
こいつがとにかく邪魔です。「開く」とか「転送」とか「スペルチェック」とか、使いもしない機能ばかり並んでいて、まったく不要。キーアサインで変更できますが、そもそもFキーといちいち切り替えて使うというのは不自由すぎます。
おまけに問題なのが、その切り替えに使う[F Lock]キー。気付かないうちにうっかり触ってしまうと、ファンクションキーを押したとき、思いもかけない動作をします。しかも、このキー自体はアサインを変更できないので……
キーをぶっこ抜いてしまいました。
キータッチは、かなり安物感あり
冒頭に書いたように、メンブレンキーボードはもともと苦手なのですが、この製品はとくにダメな感じです。
個体差もあるようなのですが、打鍵感がかなり悪い。しかも、まだ1週間しか使っていないのに、---一般的にいえば、1週間でもかなり酷使したと思いますが---日に日に悪くなってくるようです。
なんか、どのキーも打つときに妙な"引っかかり"があるのですが、最悪はスペースバーです。当然ながら、かな漢字変換のとき多用するのは、スペースバーの左右の端ですが、そのとき変な"はね返り感"がある。
これだけ図体でかいのに、Enterキーが小さいのも×です。
ファンクションキーが、左側5個、右側7個というのも、一般的な4つ区切りに慣れていると使いにくい。
まあ、総合的には「お値段なり」といったところでしょうか。
いずれ本格的にエルゴノミクスを導入するとしたら、店頭で触ってKinesisとかにしたいな。
06:12 午後 パソコン・インターネット 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.08.17
# EBWin4のURLリスト - 8/17版
EBWin4のWeb連携機能がなかなか便利だということを、前に書きました。
参考リンク:side A: # EBWin4でWeb検索―実はなかなか便利だった
その後、各種のセミナーなどでは、この機能に登録して使えるURLのリストを、機会があるごとに提供しています。
前回の記事から1年以上たち、このブログで公開しているURLリストもだいぶ古くなったので、最新版をお届けしようと思います。
登録の方法は、上記の参考リンクをご覧ください。
言うまでもなく、以下に示すのは、私の環境で設定してあるリストです。必要に応じてカスタマイズするなり、新しいサイトを追加するなりしてください。
[URL]と[Post]を両方あげてあるサイトは、EBWin4で[URL]と[Post String]をどちらも指定してください。URLしか書いていないものは、[URL]だけ指定すればOKです。
ジャパンナレッジ
http://japanknowledge.com/psnl/search/basic/?q1=
コトバンク
[URL]https://dic.yahoo.co.jp/search/?ei=UTF-8&fr=kb&p=
[Post]&dic_id=all&stype=full
WikiPedia(jp)
http://ja.wikipedia.org/wiki/
WikiPedia(en)
http://en.wikipedia.org/wiki/
Wikitionary
https://en.wiktionary.org/wiki/
Google Japan
http://www.google.co.jp/search?output=&sitesearch=&hl=ja&q=
WebLSD
https://lsd-project.jp/cgi-bin/lsdproj/ejlookup04.pl?opt=i&query=
Dictionary.com
[URL]http://www.dictionary.com/browse/
[Post]?s=t
AHD
https://www.ahdictionary.com/word/search.html?q=
Cambridge
http://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/
Collins
http://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/
Longman
http://www.ldoceonline.com/search/?q=
Macmillan
http://www.macmillandictionary.com/dictionary/british/
Merriam-Webster
http://www.merriam-webster.com/dictionary/
Merriam Unabridged
http://unabridged.merriam-webster.com/unabridged/
Oxford Dictionary
http://www.oxforddictionaries.com/definition/english/
Oxford Reference
[URL]http://www.oxfordreference.com/search?q=
[Post]&searchBtn=Search&isQuickSearch=true
Urban Dictionary
http://www.urbandictionary.com/define.php?term=
Green's
https://greensdictofslang.com/search/basic?q=
訳語辞典
http://www.dictjuggler.net/yakugo/?word=
類語玉手箱
http://www.thesaurus-tamatebako.jp/?s=
英辞郎
http://eowp.alc.co.jp/search?q=
MSランゲージポータル
[URL]https://www.microsoft.com/language/ja-jp/Search.aspx?sString=
[Post]&langID=ja-jp
Gartner IT Glossary
http://www.gartner.com/it-glossary/?s=
09:41 午前 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2017.08.16
# 「Weblio英語表現辞典」とは何か~役に立つこともあるのに
このブログでは、Weblioの悪い面ばかり紹介していますが、役に立つ情報がないわけではありません。問題は情報の示し方です。そういう格好の事例に遭遇しました。
never-nude
という、見るからに要注意の語を調べていたときのことでした。もちろん、ふつうの辞書には載っていません。
ありがたいことに、私の辞書環境には、大久保さんが作ってくださったWiktionaryのEPWINGデータが入っていて、そこには載っています。
gymnophobiaというも未見の語でしたが「裸恐怖症」だそうです。世の中には、いろんな恐怖症があるものです^^
おもしろいのは語源欄で、"Arrested Development"というテレビドラマ(邦題『ブル~ス一家は大暴走!』)から生まれた言葉だそうです(ドラマ自体は未見)。
さて、このnever-nudeをネット検索してみると、おそらくトップにWeblioの定義が出てくるはずです。
訳語:全裸になることができない人、またその症状()。
解説:コメディシリーズArrested Developmentに登場するTobiasがこの病気を持っている
すごい! Wiktionaryより詳しいですよ。調べてみると、このドラマに関するWikipediaの項にも、こんな風に書いてあります(今回のウラ取りはこれで十分でしょう)。
Tobias is a self-diagnosed "never-nude" (a disorder comparable to gymnophobia), whose language and behavior have heavily homosexual overtones...
さて問題は、上のスクリーンショットにも出ている「Weblio英語表現辞典」というヤツです。クリッカブルなので飛んでみると、こんなページです。
ところが、これもまた「提供 Weblio」とあるだけで、要するに自前で用意した内容らしいという以上のことは、まったくわかりません。ためしに、上の解説文
コメディシリーズArrested Developmentに登場するTobiasがこの病気を持っている
をググってみましたが、このサイト以外にはヒットしませんでした。
さて、Weblioのnever-nudeの項には、Wiktionaryからの引用も載っています。
Someone who wears clothes all the time, even e.g. when showering.
ということですから、これを翻訳した(もしくは、機械翻訳した)ということでもありません。やはり「Weblio英語表現辞典」独自の語義・解説なのでしょうか。
となると、Weblioの中の人が、独自に語義・解説を書いているとしか考えられません。もし本当にそうなのであれば、
独自に編集している辞書データである
編集の方針はこれこれであり、何々を参考にしている。
といったことを、はっきり書くべきでしょう。
つまり、本来の辞書にある「序文」にあたる部分です。それをやらない限り、Weblio独自データが
「辞書」として信頼されることは永遠にない
のです。せっかくちゃんとした仕事をしているのであれば、それをきちんと表明すべきですよ、Weblioさん。
※ちなみに、このWiktionaryの定義が、私が引いたWiktionaryとは違います。私の手元にある大久保さん作EPWINGは、2017年3月1日版。Wiktionaryの履歴を見ると、4月7日に書き換えられていました。編集が加わるということは、少なくともアメリカではそれだけの知名度があるということなのでしょう。
11:59 午前 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2017.08.06
# 「博多で翻訳勉強会」、満員御礼!
7月中旬から募集が始まった福岡翻訳勉強会のイベントですが、昨日8/5の時点で、予定していた定員がいっぱいになったそうです。
めでたく
満員御礼
です。
リンク:「博多で翻訳勉強会」2017年9月23日
なお、"福勉"さんの記事によると、
追加募集の有無については、あらためて当ブログにてご案内いたします。
ということですので、お申し込みが間に合わなかった人も、ちょこっとだけ希望があるかもしれません。続報をお待ちください。
11:43 午前 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.07.14
# 「博多で翻訳勉強会」、申込み受付中!
先日ご案内した福岡の「博多で翻訳勉強会」、申し込みが始まっています。
リンク:2017年「博多で翻訳勉強会」お申込み方法
お申し込みは、専用フォーム からになっています。
日 時:2016年9月23日(土) 13:30~18:00
会 場:ももち文化センター (福岡市早良区百道2-3-15)
テーマ:「あなたの訳文の磨き方、それでいいの?」
講 師:遠田 和子さん、高橋 聡
定 員:50名
受講料:5,000円(事前振込)
懇親会:5,000円(事前振込)
幹事のみなさんによると、初動ですでにかなりの申し込みがあったとのこと。ありがたいことです。
また、福岡翻訳勉強会さんのブログに、講師からのメッセージが順次アップされています(この記事も、随時更新します)。
リンク:講師からみなさまへ(1)
こちら、遠田先生からのメッセージです。
リンク:講師からみなさまへ(2) …その1
こちらは私から。「前振り」です ^^;
リンク:講師からみなさまへ(2)…その2
私からのメッセージ、本体も公開されました。
各地の勉強会のなかでも、今いちばん元気な感じがする福岡翻訳勉強会。
私も、9月にお邪魔したら、またたくさん元気をもらって帰れそうです。よろしくお願いします!
【追記】
元気なだけじゃないよ~
09:36 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.06.30
# 翻訳者の不安と自信
自分の翻訳に自信を持っているか。
翻訳を仕事にしている限り、きっと最後までついてまわる問いかけだ。
もちろん、ふだんは一定以上の根拠に立って、つまり自分で説明のできる形で翻訳物を納めてはいる。でなければ、恒常的に仕事なんてできないし、まして翻訳学校で「教え」たり、人様が作った訳文を添削したり評価したりなんてできない。
だけど、根拠があって説明もできることと、自信があることとは、ずいぶん違う。
いっとき自信(のようなもの)を持てても、少し時間が経ってみるとダメダメに見えてくる。ちょっとしたことでも、自分の力量に不安を感じるようになる。しばらく仕事をしていると、なんとか少しずつ回復してくる(でなければ、仕事として続けていられない)。たまさか称賛の言葉をもらったりすると、また自信(のようなもの)を取り戻すが、へたをすると、過信に陥ったあげくに痛い目を見ることもある。
自信を支えてくれるのは、日々の鍛錬だけ。その重さに、ときどき逃げ出したくなることもある。それでも、(ある程度以上)納得のいく訳文ができあがると、翻訳って楽しいと、うかつにも思ってしまう。
翻訳を続けていくというのは、そういう波の繰り返しなんだろう。
「自分の名前で訳書を出す」のが夢とか目標みたいに言われることが多いのは、おそらく翻訳者としての自信のひとつの目安になるからだ。
不安と自信と過信の波間を漂いつづける稼業。自信なんて、蜃気楼のように思えることすらある。
ただ、なんとなく分かっていることもある。
自分の翻訳の良し悪しが分からないなら、それはきっとまだ良くないんだろう
ということだ。言い方を変えると、
人の評価や添削を求めているうちは、まだまだ
なのかもしれないということだ。
だから、自分の翻訳を人がどう評価するか、と気をもみながら待っているよりは、それを何度も読み直して、良し悪しを自分で判断するほうがいいんだろう。たぶん、ある程度以上の自信を持てるレベルに達した人は、みんなそうしているのではないか(もちろん、良し悪しを自分で判断できないうちは、ちゃんと人に見てもらうほうがいい)。
では、訳文の良し悪しは何を基準に判断するのか。それはもう、自分の言語体験しかない。これまでの人生で読み、書き、話し、聞いてきたすべてだ。しっかりした基準を持つためには、たくさん読み、書き、話し、聞くしかない。そのなかで一番、誰にでも手軽にでき、かつ効果的なのが「読む」なのだろう。だから、「翻訳がうまくなりたければ、本を読め」となる。
たくさん読んで、たくさん訳して、たくさん考えて、またたくさん訳す。
本当は、しばらくそういう生活をしたいんだ、たぶん。
11:32 午後 日記・コラム・つぶやき 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.06.21
# オンラインのCOBUILDなら、凡例は要らないかも
ひとつ前のエントリを書いた直後に、オンライン版に触れていないことを思い出しました。
実は、
オンライン版でも V-LINK のような独自ラベルが使われていますが、不思議なことにオンライン版ではどこをさがしても凡例がありません――
と補足するつもりで、オンライン版を見にいったのですが、また進化していました。
リンク:Collins Dictionaries
どうも、独自ラベルをやめて、
凡例がなくてもわかる形式
に移行したようです。
その前に、サイトの作りもまた変わっていたので、そこを確認しておきましょう。
以前、オンライン英英のことをまとめたとき には、こういうタブになっていました。
このあと、タブがなくなって、一般辞書の下に Learner 辞書が表示されるという作りに変わったのですが、今は、タブとスクロールが動的に連動するようになっています。
このようなタブに変わっています。いちばん左が[Learner]で、これがCOBUILDに相当する学習辞典です。次が[English]で一般の英語辞典に当たり、[American]という米語のタブもあります。
タブを選択すると、画面がずりり~と下に勝手にスクロールしていきます。
そして、学習用の内容を見ると、
ここにある、passive verb とか link verb のように、「見ればわかる」形式になりました。
たしかに、このほうがわかりやすいですよね。
ちなみに、EBWin4 のオンライン連動で引いてみたら、内蔵ブラウザできれいに表示され、タブの切り替えもスムーズでした。Collins オンラインを使うなら、EBWin4、おすすめです。
09:27 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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# COBUILDの凡例はこちら
学習英英辞典のなかでも定番中の定番、Collins COBUILD(正式名称は、Collins COBUILD Advanced Learner's Dictionary)。
語義だけでなく、センテンス表示で語法などまでわかる解説は、私たち日本人にも、とてもわかりやすい。
ただ、文法・語法の欄で使われているラベルが、けっこう特殊です。
たとえばこのエントリでも、UNCOUNT(不可算)とかVERB(動詞)はすぐにわかりますが、そのほかは、知らないと役に立てられない情報です。せっかく載っている情報を活かさないのはもったいない。
さて、その情報はいったいどこにあるのでしょうか。答えは「凡例」です。では、COBUILDの凡例って、どうやったら見られるのでしょうか……
これ、意外と知られていないかもしれません。
いちぱん手っ取り早いのは、オンラインで見つかる情報です。オンライン有料サイトの一角にありますが、無料で見ることができます。
三省堂ウェブディクショナリー
トップ →[使い方]→[各辞書の凡例一覧]→[コウビルド英英辞典] 、または[コウビルド英英和辞典]
「英英」と「英英和」がありますが、凡例は大差ありません。
ジャパンナレッジ
トップ → [コンテンツ] → 『コウビルド米語版英英和辞典』をさがしてクリック → (黒い帯のなか)[凡例]
三省堂のほうが、全部1ページに収まっていて、しかも説明が詳しいようです。ジャパンナレッジのほうは、ページをめくる必要があります。
どちらも有料サイトですが、こういう情報を参照させていただくくらいは、かまわないでしょう。
それ以外のCOBUILDではどうなっているでしょうか。
CD-ROM製品版の第5版(COBUILD 2006)では、ヘルプから見ることができます。
ちなみに、このCD-ROMはJamming/Logophile でも読み込むことができて便利ですが、もともとがヘルプ形式として独立している情報なので、Jamming/Logophile 上で凡例を見ることはできません。
電子辞書端末は、それぞれのモデルごとに見方があるはずです。参考までに、PASOMARA搭載モデルでは、PC上のPASOMARAからは見ることができません。これはちょっと残念です。本体の液晶画面でCOBUILDを選択し、画面の下部に表示される逆三角形を上にスワイプすると出てきます。
iOSアプリ版もありますね。現在は第8版です(バージョンについては後述)。
これは、評価の高い物書堂さんのアプリ。「付録」のメニューにあります。
ちなみに、物書堂さんからは、COBUILDの米語版・第2版もアプリが出ています。
■
COBUILDって、版がはっきりしないことがよくありますね。JTFの「翻訳ジャーナル」 、第286号(2016年11/12月号)にも書きましたが、ここにも簡単に書いておきます。
私の手元には、第4版(2003年) のEPWINGデータがあります。
Jamming/Logophile にそのまま登録できるのが、第5版(2006年) 。第4版と比べると、smartphone などの新語が追加されました。
第6版は2008年 に出て、電子辞書端末に広く採用されたようです。最後のPASORAMA搭載機種、DF-X10001 にも、第6版が集録されています。carbon footprint などが新語として追加されています。
第7版(2012年) は、書籍のほかにアプリが出ていたようですが、入手してませんでした。
最新版が第8版で、2014年 。こちらは、物書堂さんのアプリを入手できます(上述)。
固有名詞として Android などが追加されています。
2 N-UNCOUNT
Android is an operating system for mobile phoens and tables. [COMPUTING, TRADEMARK]
3 N-COUNT
An Android is a mobile phone or tablet that uses this software. [TRADEMARK, COMPUTING]
OSとしては不可算名詞、端末としては可算名詞と言うことが、ちゃんとわかります。
改めてこうして並べてみると、かなり改訂の間隔が短いんですね。
08:48 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2017.06.17
# なぜ、「Weblio類語辞典」は「辞書」とはいえない、のか
毎日新聞・校閲グループさんが、ブログにこんな記事をアップなさっています。
リンク:ネットの類語辞典は辞書といえるか | 毎日ことば
既に5月のブログでその可能性には言及していましたが、もっと強調しなければなりますまい。「Weblio類語辞典」は「辞書」とはいえないと。
「Weblio類語辞典」は提供元がWeblioとなっています。市販の類語辞典から提供されたものではなく、独自に作っているのです。その中には、プログラムにより自動的に生成されたものもあるようです。
毎日新聞さんの投稿としては、ここまでで十分でしょう。ここから先は、帽子屋が引き受けようと思います。なぜ
「Weblio類語辞典」は「辞書」とはいえない
のでしょうか。
ちなみに、このブログでは過去にも何度かWeblioは取り上げています。
side A: # Weblio のご紹介
最初の記事がこれ。10年以上前です。私としてはただ、「変な用語集へのリンクが集まっているおもしろサイト」だと思っていました。
side A: # Weblio のこと・続
その少しあとには、運営者あてにスペルミスを報告したりしており、好感のもてるサイトでした。
side A: # ググるなとまでは言わないけれど
それから3年後、WeblioだけでなくGoogle全体の信頼度がだいぶ怪しくなってきた頃の記事がこちら。
side A: # Weblioを使うときの注意
さらにその3年後、いまから5年前ですが、この頃には収録データの
出典に注意する
よう、呼びかけています。この注意点には、あちこちのセミナーなどでも、繰り返し触れるようにしてきました。
■
では、Weblioで「そもそも」を引いてみましょう。
ただし、トップページ
から検索したときに出てくるのは、三省堂大辞林です。
出典情報として、ちゃんと「三省堂 大辞林」と書いてある点、覚えておいてください。もちろん、語義・語釈のなかに「基本的」などという類語は載っていません。
Weblioのなかで「類語・対義語辞典」というセクションに移動して---
---あらためて「そもそも」を検索します。
ありました、「基本的に」。
ここで注意するのが、さっきの「三省堂 大辞林」と同じ位置にある出典情報です。ここに
Weblio類語辞典
と書いてあるわけです。ここをクリックしてみましょう。
提供 Weblio
URL http://thesaurus.weblio.jp/
ということなので、このURLに移動してみます…… って、あれ、これは、さっき「そもそも」を検索した「類語・対義語辞典」セクションのトップですよね。戻ってきちゃいました。ここに、ちゃんと、この辞典の説明があったんでした。
Weblio類語辞典は、以下の辞書を利用しています。
「Weblio類語辞書」
Weblioシソーラス(自動抽出機能)
ん? んん?
「Weblio類語辞典は、以下の辞書を利用しています」として挙がっているのが、「Weblio類語辞書」?
これだけでもう、
辞書の出典情報としてはアウト
のはずですが、さらにその下に注目してください。「自動抽出機能」とあります。これについては、もっと下まで進まないと説明が見つかりません。
一部不適切なキーワードが含まれていることもあります
だそうです。
なんだか、どこかで見た気がしませんか。そう、機械翻訳の出力でもよく目にする免責の文言です。
機械翻訳は、この文言を入れておくことによって免責としているわけですが、それは同時に
これはちゃんとした翻訳じゃありませんからね
と宣言しているに等しい。
それと同じように、「Weblio類語辞典」も、
これはちゃんとした類語辞典じゃありませんからね
と宣言しているわけでした。
なんのことはない、「辞典として使っちゃダメですよ」って、Weblioさん自身がちゃんと書いてくれてたわけです。
使う側が気をつけなくちゃいけない……でも、ですよ。免責事項をこんな深いところに書いてたら、ふつうのユーザーはなかなか気づかないんじゃないかなぁ。そういう点では、サービスとして非常に問題だとは思います。
■
どんな辞書だって、無謬ということはありえません。誤植も含めて、どこかに必ず間違いはあるでしょう。でも、だからといって
一部不適切な語義・語釈が含まれていることもあります
と免責している辞典なんて、一冊も見たことありません。なぜか。それが、辞書編纂者の矜持だからです。
内容に間違いはあるかもしれない。だが、間違いがないよう、全力で編纂した辞典を作ったつもりだ。
どんな辞書も、そう言えるだけの過程を経て作られています。その努力は、小説・映画・アニメ『舟を編む』の終盤、「ちしお」のたった1語が抜けているために、『大渡海』の編集部がどれだけの苦労をしたかという、あの場面を見ても分かります。
誤解のないように書いておきますが、人が苦労をして作ったものだから良い、機械的にデータを集めただけのものだから悪い、と言ってるのではありません。
要は名乗り方と、使い方です。
「機械翻訳です」と断っている翻訳が、本来の「翻訳」を名乗ってはいけないのと同じように、「自動抽出データを使っている」と宣言しているデータ集が「辞典」を名乗るべきではない 、そういうことです。
使う側も、そのつもりで使いましょう、ということ。
■
以下は余談。
「どんな辞書も、無謬ということはない。が、編集者は間違いがないよう全力を尽くしている。だから、免責の文言を書いたりしない」
これって、翻訳も同じですね。
「どんな翻訳も、誤訳がないということはない。が、翻訳者は間違いがないよう全力を尽くしている。だから、免責の文言を書いたりしない」
だから、免責の必要な機械翻訳に、人間の翻訳が負けるはずはないのです。
05:08 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2017.06.13
# テリーさんの「翻訳チェック」、関東ではこれが最後!
齊藤貴昭さん、通称「テリーさん」の翻訳チェックに関する話 は、みなさん、もうお聴きになったでしょうか。
昨年のJTF翻訳祭では、「誰も教えてくれない翻訳チェック」と題したセッションが超満員となり、ご参加のみなさんには大変なご迷惑をおかけすることになりました。
それを受けて、先月22日には、JTF翻訳セミナーで同セッションを再演していただきました。こちらも満席でした。
たしかに、翻訳のこととか、翻訳環境のことを学ぶ機会はいろいろありますが、翻訳後に(人の、自分の)
訳文をどうやってチェックするのか
そもそも、訳文をチェックするときには、
どんな心構えで臨むべきなのか
ということは、誰も教えてくれません。多くの方がこの内容に関心をもったのも、当然と言えば当然です。実際に参加なさった多くの方が、今までになかった手応えを持ち帰っていらっしゃるようです。
そして、同じ内容を関東で聴けるのは、これが
最後のチャンス
になります。
6月24日(土)、日本翻訳者協会(JAT)が、年次総会の前に開催する基調講演です。
リンク:JAT通常総会・基調講演会・懇親会
テリーさんの「翻訳チェック」の話をまだお聴きになっていない方は、この機会をお見逃しなく!
翻訳に携わる、ありとあらゆる方、必聴です
費用は、JAT会員が3,500円、非会員が4,500円です。
テリーさんの話は9:45~11:30 ですが、その後、昼食をはさんで、機械翻訳をめぐるパネルディスカッションも続きます。
9:00~ 9:30 受付
9:30~ 9:45 開会の挨拶
9:45~11:30 私の翻訳チェック - 齊藤貴昭氏による基調講演
11:45~13:00 交流会・昼食
13:15~15:15 Is there an elephant in translation? 機械翻訳、まだ見かけていませんか? - パネルディスカッション(日英)
上記費用は、後半のパネルディスカッションまで含めた料金です。気になる機械翻訳のことを知るにも、絶好のチャンスです。
12:36 午後 翻訳・英語・ことば JAT・JTF | このエントリ
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2017.06.11
# 速報 - 「博多で翻訳勉強会」、今年も開催決定!
昨年の9月、福岡翻訳勉強会が主催するイベント「博多で翻訳勉強会」が開催され、私も応援にかけつけたことは以前、ご報告しました。
side A: # 福岡勉強会が始動、9月には第1回勉強会
side A: # 「博多で翻訳勉強会」、盛り上がりました!
今年も、同じ時期に
第2回を開催
することが決定し、勉強会ブログでも正式に発表があったところです。
リンク: 福岡翻訳勉強会:2017年も開催します
日 時:2016年9月23日(土) 午後
会 場:ももち文化センター 特別会議室
講 師:遠田 和子、高橋 聡
はい、今回は私も登壇します。
詳細な内容は、これから決めていく予定ですが――
遠田さんのお話は、
関東以外では、たぶんかなり貴重
です。この機会をお見逃しなく!
私のほうは、主催者の希望する内容に応じるつもりですが、たとえば辞書の話になったとしても、今までにしたことのない
新ネタ
を用意するつもりです。
ということで、今年もみなさん、博多でお会いしましょう!
03:35 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.06.09
# EBWin4でできること
先月の翻訳フォーラム・シンポジウムが終わってすぐに、レッスンシリーズ第6弾の開催が決まったことは、すでに当ブログでもお伝え しました。
リンク:「辞書ブラウザ 手取り足取り」(翻訳フォーラム・レッスンシリーズ#6)
今回のレッスンシリーズは、少人数(定員15名)のハンズオン形式です。EBWin4の導入から、ひととおり検索できるようになるまでを、手取り足取りで説明します。
汎用辞書ブラウザ「EBWin4」は、無料で使えること以外、あまり特長が知られていないような気がします。7月22日のレッスンは、超基本から始めますが、時間の許すかぎり、EBWin4 の魅力をお伝えするつもりです。その一部をちらっと紹介しておきましょう。
成句の検索
たとえば、Jamming/Logophile、LogoVistaで、
成句とか用例がうまく引けない
と思っていませんか? EBWin4 なら、かなり効率的に検索できます。
オンライン辞書の検索
各種のオンライン辞書も、EBWin4 のウィンドウ内で使えます。無料で使える英英辞典、故・山岡洋一さんが遺してくださった「翻訳訳語辞典」、有料だけど素晴らしいジャパンナレッジなども、ブラウザで使うよりずっと手軽です。
リストや本文の保存
検索結果(画面の左側)とか、本文の内容(右側)を保存しておきたいと思ったことはありませんか? EBWin4 なら、どっちもできます。
PC上で使える辞書環境を整備したいとお考えの方、ご参加をお待ちしております!
07:13 午前 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2017.05.29
# 「没交渉」の意味は? - 国語で困ったら和英も引いてみる
月曜日の朝、起きてPCをつけたら、こんなニュース見出しが目に飛び込んできました。
【今日の主要記事】
1.JASRAC、ヤマハ音楽教室とは「完全に没交渉状態」--京大は“引用”と判断
最近とかく話題になっているJASRAC問題。私が見たのは、CNET Japan のニュースレターでした。元記事はこちら。
リンク:JASRAC、ヤマハ音楽教室とは「完全に没交渉状態」--京大は“引用”と判断
「没交渉」って、こういう意味でしたっけ?
本文中では、小見出しと本文の2か所に使われています。
「完全に没交渉状態」(浅石氏)とし、ヤマハ音楽振興会などが立ち上げた「音楽教育を守る会」との直接話し合いは全く行われていない状態とした。
この書き方からすると、どう見ても
まったく交渉していない
状態を指して使っているようです。
「没交渉」と言ったら、具体的なnegotionがあるとかないとかいう話ではなく、「関係がない、付き合いがない」の意味だというのが私の理解だったのですが……、こういう使い方もあるのでしょうか。
気になったので、とりあえずコーヒーだけいれて、手元でさっと調べられる国語辞典を片っ端から引いてみました。
かかわりあいのないこと。また、そのさま。無関係。 【日本国語大】
かかわりあいのないこと。また、そのさま。 【精選版 日国】
交渉がないこと。無関係なこと。ぼつこうしょう。 【学研国語大】
交渉がないこと。無関係。 【岩波国語 七】
交渉をもたないこと。かかわりあいのないこと。ぼつこうしょう。 【明鏡国語 二】
かかわるところが無いこと。ぼつこうしょう。 【新明解 七】
※四、五、六も、かなづかいを除けば同じ
交渉がなく関係が断たれていること。また、そのさま。 【大辞林】
かかわりあいのないこと。無関係。ぼつこうしょう。 【広辞苑 六】
交渉がないようす。無関係。ぼつこうしょう。 【三省堂国語 七】
交渉がなく関係が断たれている。また、その状態。=ぼつこうしょう。 【ベネッセ表現】
交渉のないこと。ぼつこうしょう。【角川 必携】
(「ぼつこうしょう」とも)かかわりあいのないこと。無関係。 【国語大辞典】
(ぼつこうしょう)
交渉がないこと。かかわりをもたないこと。また、そのさま。無関係。 【デジタル大辞泉】
(ぼつこうしょう)
交渉のないこと。無関係であること。 【現代例解】
(ぼつこうしょう)
交渉がないさま。無関係なさま。ぼっこうしょう 【集英社】
(ぼつこうしょう)
交渉のないこと。無関係であるさま。 【国語新辞典】
※下線は引用者
ちなみに、親見出しは最後の4つが「ぼつこうしょう」、残りが「ぼっこうしょう」でした。
「交渉」の語が使われていないのは、下線を引いた4つだけ(日本国語大、精選、広辞苑、新明解)で、ほかはすべて
交渉がない
という否定の形で説明されています。これなら、冒頭にあげたニュースでの使われ方も、間違っていないことになります。でも、もちろんこれではちっとも納得できません。こういうときは、もとになっている「交渉」も引かないとダメです。今度は二、三の例でいいでしょう。
①相手と話合いをして、取り決めようとすること。かけあうこと。「諸外国と―する」「値引きを―する」「団体―」
②かかりあいをもつこと。関係。つきあい。「彼女と―がある」「没―」 【岩波 七】
(1)ある事柄を取り決めようとして、相手と話し合うこと。かけあうこと。かけあい。談判。
(2)かかわりをもつこと。また、かかわりあい。特に男女の性的な関係。 【日国】
どうやら、大きく2系統の意味があるようです。
「没交渉」=「交渉がない」という定義なら、なるほど、どちらの意味の否定でも使えることになります。そうすると、やはり件のニュースの使い方は、問題ないということになる。
ただし、岩波で②のほうの用例として「没-」があげられている点は、注目すべきでしょう。
② 人と人との交わり。かかわりあい。関係。 「没━」【明鏡 二】
2 交際や接触によって生じる関係。かかわり合い。関係。「悪い仲間との―を絶つ」「異性と―をもつ」「没―」 【デジタル大辞泉】
などの用例も同じでした。これを見ると、やはり「没交渉」は「関係」「かかわりあい」がないことであって、「negotiationがない」という話ではなさそうです。
もとの「交渉」に2系統の語義があって、否定形「没交渉」にも、その2系統に対応する使い方があるなら、「没交渉」を「交渉のないこと」と説明してもいいでしょう。しかし、2系統のうち一方の否定でしかないとしたら、「交渉のないこと」という語釈には問題あり 、ということにならないでしょうか。
少納言 で調べても、「negotiationがない」と解釈できる例は、皆無ではありませんが、少数派です。
青空WING もざっくり調べてみました。178件ヒットします(2017/3/4完全版)。
彼の気分とは没交渉に、皆その日の生計を励んでいる。【芥川】
奇妙にも葉子とは全く無関係で没交渉だった。【有島】
其は古代の文法からは、没交渉なものと謂はねばならぬ。【折口】
……などなど、やはり「negotiationがない」系は見つかりません(全部は見てませんが)。
少納言や青空WINGでここまで確認できれば、やはり「没交渉」を「交渉のないこと」と書いてしまうのは、よろしくない気がします。
そして、翻訳者であれば、さらに
和英辞典
まで確認しておけば安心です。
彼の人生は芸術とは没交渉だった His life had nothing to do with art.
彼は世間とは没交渉だ He stands aloof from the world.
あの人たちとは没交渉です I do not associate with them.
国民の感情とは没交渉に政界の駆け引きが行われている Political maneuvering is being carried on regardless [quite independently] of the people's feelings. 【プログレッシブ英和中】
ぼっこうしょう【没交渉】
lack of relation 《to…》. [⇒むかんけい]
…と没交渉である have no connection [relation, concern] with…; have nothing to do with…; have no hand in…; be independent of…
・その後彼女の家とはまったく没交渉である. Since then we have had nothing at all to do with her family.
…と没交渉に independently of…
・彼らは世間と没交渉に生きている. He stands aloof from the world. | He has cut adrift from society. 【和英大】
ぼつこうしょう〔没交渉〕
〈形〉Having no concern with (anything)
◆僕はそんなことには没交渉だ I have no concern with―have nothing to do with ―such matters.
◆これと彼とは没交渉だ This has nothing to do with that.
◆彼は研究に夢中になっているから世間とは没交渉だ He is so absorbed in his study that he has no concernment with the world. 【斎藤和英】
※下線は引用者
このように、negotiationの意味で使われている例は、ひとつもありません。
以上のことから、かなり多くの国語辞典が「没交渉」を「交渉がない」系で説明している現状はいかがなものか……という結論になりそうです。
■
ところで、今回ニュースになったケースでは、この表現を使ったのはJASRAC側だったようです。
進捗については「完全に没交渉状態」(浅石氏)とし、
メディアであるCNETさんがこんな使い方をしたのではないことが、救いといえば救いでしょうか。
11:23 午前 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2017.05.27
# 翻訳は不自然な作業 - CATツール環境はもっと不自然
先日の翻訳フォーラム・シンポジウム、全セッションを通じて、いろいろと印象に残るキーワード、キーフレーズがあったことと思います。
なかでも、高橋さきののパート『述語から読む・訳す』の冒頭に出てきた話は、かなりインパクトがあったようです。
翻訳は不自然な作業
ほっておけば《勘》はどんどん鈍る。
翻訳をすればするほど、日本語単体の文章力は下がる
ふつうの翻訳でさえ「不自然な作業」であって、「翻訳するほど日本語の文章力は下がる」わけですから、
翻訳支援ツールを使うのは、もっと不自然な作業
だということは、容易に想像がつくでしょう。
※ここで言う翻訳支援ツールとは狭義、いわゆる翻訳メモリーアプリケーションのことです。
どんな文章でも、ひとつずつの文が独立して存在しているわけではありません。原文のライターが、1文ずつを、まったくばらばらの意識で書いてるなんて、ありえないからです。
どんな文と文にも、必ずつながりがある。
時系列に沿った説明、原因と結果、理由と結論、言い換え、反復、例示、順接、逆接、添加、反転……。明示的な接続語句があってもなくても、あらゆる文と文の間には、そういう関係がある。もちろん、英語でも日本語でも。
そして、文と文がつながってパラグラフになり、パラグラフとパラグラフがつながって文章ができあがる。
そういう流れ、かたまりを、1文ずつに切り離した状態で訳そうなんて、それはもう不自然のきわみです(差分だけの翻訳とか!)。
CATツールのメーカーは、「前後の文脈も見えるでしょ」と言うかもしれませんし、CATツールを日常的に使っている人なら、「文脈には気をつけて使っている」と言うでしょう(実際、そう意識しているのでしょう)。
でも、人間の感覚って、実はとても脆い。よく言えば、融通がききすぎる。だから、あの窮屈な
1文単位のインターフェース
をずーっと使っていたら、どうしたって影響を受けます。影響されないと考えているとしたら、それは錯覚です。
不自然な行為の影響をなくすには、どうすればいいか。その方法やヒントを、シンポジウムではお伝えしました。
スキルの落ちにくい訳出作業が必要
というのが、ひとつの解答でした。
「1文単位のインターフェース」の弊害はわかっていても、お仕事として使わなきゃならない。のだとしたら、その影響を相殺するには、ふつうの翻訳を並行して続けること、あるいはふつうの翻訳に置き換えてしまうことです。
ちなみに私は、CATツール指定案件でも、ちゃんと訳したいときは、ソース(PDF、Webページなど)から原文を確保して、それをふつうのインターフェース(ただのWordファイル)上で訳してから、最後にCATツールに貼り付けています。
手間は増えますが、私がこの方法をとるときって、そもそもCATを使うべきではない文章にCATが指定されているケースです。原文と訳文が一対一にならない部分も多くなりますが、それは当然だし、こういうケースなら訳文の再利用が発生する可能性はまずない ので、問題化することもほぼありません。
そういうことを前提にしたうえで、CATの影響を回避するための、いわば自衛手段です。
CATツールを使っていれば、弊害には遅かれ早かれ気づくでしょう。もし、日常的にCATを使っていて、不自然さを感じていないとしたら要注意です。それどころか、あのインターフェースのほうが訳しやすい と感じているとしたら、1文単位の思考に慣れてしまい、文と文との間にあるはずのつながりに鈍くなっている兆候かも。
ましてや、翻訳の力が固まっていないうちにCATツールを導入し、メモリーの既存訳や用語集を頼りに「翻訳力をつけよう」という発想は論外です。しばらく続けていたら、表面的には何とか「訳文」を取りつくろえるようになるかもしれませんが、ちゃんとした力は身につかない。第一、そんな付け焼き刃でできるレベルなら、早晩、機械翻訳にとって代わられるでしょう。
シンポジウムに出てきた、鉄人28号の話も、そういうことです。
04:48 午前 翻訳・英語・ことば TRADOS | このエントリ
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2017.05.25
# 翻訳フォーラム・レッスンシリーズ、EBWin4の超基本
翻訳フォーラムのシンポジウムと大オフ、みなさまのおかげで無事終了しました。
当日の様子は、こちらのツイートまとめをどうぞ。
リンク:翻訳フォーラム『シンポジウム2017』『大オフ2017』まとめ
また、ご参加くださった方々によるブログなども、ぼちぼちアップされ始めました。そちらは、しばらくしたらまとめたいと思います。
さて、シンポジウムが終われば、翻訳フォーラム・レッスンシリーズです。さっそく、第6弾となる次回の内容が決まりました。
きっかけは、シンポジウムが終わってから流れた、こんなツイート。
EBWinとEPWINGの発音も聞き分けられない(どっちが何か分からない)わたし。「そこから始める⁉︎ 辞書ブラウザ導入講座」とかあったら絶対に受講する。「腰が引けてる人のための〜」でもいいな。sorryの串刺し検索、してみたい。
やりましょう、「そこから始める!?」
というわけで、辞書ブラウザ「EBWin4 」の超基本を、PC持ち込み、手取り足取りのハンズオン形式でご案内します。
・辞書ブラウザEBWin4の導入
・各辞書の入手と登録
・辞書グループの作成
・複数辞書の串刺し検索
までを半日で覚えます。
申し込みサイトはこちら。
リンク:「辞書ブラウザ 手取り足取り」(翻訳フォーラム・レッスンシリーズ#6)
※申し込み開始は、28日の11:30からです。ただ、今回はハンズオン形式ということで募集が少数です。お気をつけください。
10:28 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.05.18
# 『英和翻訳基本辞典』もEPWINGに--見出しプラスアルファ
EPWINGジェダイの大久保克彦さんが、『翻訳訳語辞典』の見出しEPWINGを公開してくださったと、先日お知らせした ばかりですが、今度は、宮脇孝雄さんの『英和翻訳基本辞典』 もEPWING化してくださいました。
リンク:Project Zephyr 宮脇孝雄『英和翻訳基本辞典』のEPWING(化)
見出しだけでなく、ごく簡単な説明文も付いています。そして、書籍のページ数が書かれているので、詳しくは書籍でそのページに当たることになります。
データ自体は、3年ほど前に越前敏弥さんが(もちろん、著者の許可をとって)作成してくださったテキストファイルが元になっています。
リンク:『英和翻訳基本辞典』インデックス: 翻訳百景
今までのデータでも、Jammingに登録すれば(ユーザー辞書という扱いになる)使えていました。
※なんか、いろんな記号が出てきちゃうのは、ウチのJammingだけかもしれません。これについては未検証。
これが、大久保さんのおかげでEPWINGになり、他の辞書と同じような体裁になったわけです。
ページを見て実際の書籍を開くのは、もちろん今までどおりですが、リンクがリンクとして機能します。
スクリーンショットは載せませんが、EBWin4にももちろん登録できます(Logophileは未確認)。
元データを作ってくださった越前さん、大久保さん、ありがとうございます!
■
前回の『翻訳訳語辞典』も、この『英和翻訳基本辞典』も、きちんとしたデータは他のサイトや書籍に当たらねばなりません。
しかし、このように手元の辞書で、まずエントリーの有無から確認できるという、それだけのことが私たち翻訳者にとってどれだけありがたいことか、お使いの方には十分おわかりでしょう。
まだお使いでない方は、ぜひ使ってみてください。言うまでもなく、『英和翻訳基本辞典』が必要ですが、これは翻訳者必携です。この機会に入手しましょう。
データ化されていない紙の辞書を、このような形で利用できるというのは、汎用辞書ブラウザの新しい使い方かもしれません。
紙の辞書の索引をスキャンしてテキストデータにできれば、それを元にいろいろなEPWINGデータが作れるはずです(実は私も試しているのですが、まだうまくいっていません)。それを公開するには、やはり著者の許諾が必要だろうと思いますが、この形はけっして、元の書籍の権利を侵すものではありません。
むしろ、書籍の売り上げ増につながるのですから、誰にとってもありがたいモデルではないでしょうか。
EPWING、いまだ滅びず!
21日(日)の翻訳フォーラム・シンポジウムでも、この話には簡単に触れる予定です。
02:56 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2017.05.14
# JTFジャーナル、配信と発送が変わります
右カラムにカバー写真を載せていますが、日本翻訳連盟の「日本翻訳ジャーナル」、最新号となる5/6月号(289号)が発行されました。
そして、今号の公開をもって、JTFジャーナルの提供システムは以下のように変更されました。
JTFジャーナルは、今号より、JTF会員誌として会員向け限定の公開となります。
ただし、移行措置として2018年3月末まで(294号まで)は、アカウントを作成するだけで誰でも無料でお読みいただけます 。
JTF会員には、毎号(隔月)、印刷した紙版を郵送にてお届けします。
最新5/6月号の紙版が私の手元にありますが、なかなかいい感じの仕上がりです。
1年間の移行措置の後でも、非会員向けには、できるだけの情報提供を続けていく予定です。詳細は、ご報告できるようになったら、このブログでもお伝えします。
念のため、アカウント作成とログインの手順を記しておきます。
なお、JTF会員の方は、JTFジャーナルサイトへのログインについてご注意いただきたい点がありますので、以下をご確認ください。
JTFジャーナルWeb版 | 一般社団法人日本翻訳連盟 機関誌
で、今までのように表紙をクリックすると、
このようなページが表示されます。
このページにある「ログインページへ」のリンクから、あるいはページ右上の
ここから、ログインページに進みます。
初めての方は、ここでアカウントを作成してください。
なお、ジャーナルのPDFを閲覧するには、
JTF会員もアカウント作成が必要
ですので、ご注意ください。
JTFサイト で「会員ログイン」するだけでは、ジャーナルは閲覧できません。
JTF会員サイトとは違うアカウントになりますので、ご注意ください(会員サイトは、会員ID/パスワード。ジャーナルサイトは、メールアドレス/パスワード)。
ということで、今までよりちょっと手間が増えましたが、その手間に値する充実のコンテンツになっているのではないかと思います。
今後も、JTFジャーナルを、ご愛読いただければ幸いです。
06:11 午後 翻訳・英語・ことば JAT・JTF | このエントリ
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2017.05.12
# 『翻訳訳語辞典』の見出しEPWINGデータが登場!
翻訳フォーラムのシンポジウムが、いよいよ来週に迫ってきました。5/21(日)開催です。残席が僅少となりましたので、ご参加検討中の方は、お急ぎください。申し込みサイトはこちら 。
さて、そのシンポジウムで、私はまた辞書の話をします。今年は、汎用辞書ブラウザ EBWin4 を中心に、辞書ブラウザの使い方について、最新情報をお伝えする予定です。
そんな矢先、EPWINGの世界でまた、うれしいデータが公開されました。故・山岡洋一さんが遺してくださった貴重な訳語集(英日・日英 翻訳訳語辞典 — 辞遊人(DictJuggler) )です。
山岡洋一『翻訳訳語辞典』の見出しだけEPWING
データを作成してくださったのは、もちろんEPWINGマスターの大久保さん。いつもながら、ありがとうございます!
辞書の内容がそのままEPWING化されたわけではなく、見出しと、そのURLが示されるだけという単純な構造ですが、汎用辞書ブラウザで串刺し検索を実行すれば、その結果からすぐに該当項目に飛ぶことができます。
つまり、今までのように、該当項目が
あるかどうかわからない
状態でサイトを調べにいくのではなく、
あるのを確認したうえで
サイトを参照できるわけです。
これが、どれほどありがたいことか、使ってみればすぐにわかると思います。
どの汎用ブラウザにも登録できるはずですが、Logophileは試していません。理由は以前書いた とおりです。
EBWin4 の場合
大久保さんも EBWin4 での使用を想定しているので、EBWin4 で使うのがいちばん簡単です。通常のEPWINGデータと同じように登録して検索すると、
このようにURLが表示されます。これをクリックすれば、EBWin4 内部で表示されます(使われるのは、Internet Explorer のエンジン)。
「詳細表示」をクリックすると、元の例文と出典がわかりますが、若干レイアウトが崩れます。これはしかたがないようです。
また、訳語自体もリンクになっていて、たとえば「楽しみ」をクリックすると、同じサイトの「翻訳類語辞典」に飛ぶようになっています。
つまり、調べたい単語 → 訳語 → 類語と流れるように検索していけるわけで、これまでこのサイトを愛用していた方も、それが最大の魅力だったようです。
EBWin4 には「進む/戻る」の左右矢印ボタンがありますから、訳語ページと類語ページの行き来も簡単。
Jamming の場合
Jamming でもURLは表示されますが、残念ながらクリックできません。
ここからURLを開くには、方法が2つあります。
まず、AHKを使う方法。これについては、くにしろさんがブログで紹介してくださいました。
リンク:AHKを利用して、Jamming で『翻訳訳語辞典』のURLにジャンプする | Memo 9246 :: 翻訳備忘録・雑記帳
もうひとつは、Jamming のWeb 検索機能を使う方法。
あるんですよ、実は、Jamming にもこの機能が。ただ、別ウィンドウを開いたままにするというのが、なんとなくスマートじゃない気がします。
それでも、Jamming 大好きで、AHK導入が難しい人は、この方法をお試しください。手順は、以下のとおり。
Jamming の[ファイル]→[検索用URLを開く]で[URL]ウィンドウを開きます。
[操作]→[新規URL]を選択して、[URLの編集]ウィンドウを開きます。
[名称]に任意の名前を入力し、[URL]には
http://www.dictjuggler.net/yakugo/?word=[WORDS]
と入力します。
設定が終わっても、このウィンドウは開いたままにしておきます。Jamming 本体で何か検索してから、[URL]ウィンドウに表示されている名称(3.で決めたもの)をダブルクリックすると、ブラウザで該当ページに飛びます。
ちなみに、Logophileでも、Web連携のしかたはだいたい同じです。
■
こんな風に、今まで汎用辞書ブラウザでは使えなかったコンテンツが、翻訳者にとってありがたい形でデータ化される。素晴らしいことだと思います。
以前も、宮脇孝雄さんの『英和翻訳基本辞典』が、これに近い形でEPWING化されました。こちらは本体が書籍なので、書籍版を持っていないと意味がありません。当ブログの過去記事をご覧ください。
リンク:side A: # 『英和翻訳基本辞典』をJammingに
10:22 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2017.04.21
# 第27回 翻訳祭、始動!
※1年前の記事のコピーではありません!
昨年、第26回の翻訳祭 は、おかけさまで大成功と言っていい成果をあげることができました。
今年、第27回翻訳祭も、昨年と同じくこの時期から準備がスタートします。
2017年の翻訳祭、開催の日時と場所は以下のとおりです。
日程:11月29日(水)
場所:アルカディア市ヶ谷
そして、これが今年の翻訳祭実行委員の面々です。
・
・
・
って、昨年とあまり変わっていないようにも見えますねー。
実は、昨年の成功を受けて、今年の翻訳祭も昨年に続き
個人翻訳者にとって魅力的なコンテンツ
を中心に組み立てていこうということに決まりました。
その方針のもと、実行委員会も、昨年の委員が全員残ったうえで、新たに2人が加わるという布陣になった次第です。
ちなみに、今年の実行委員長は、不肖・帽子屋が務めさせていただくことになりました。
委員長を拝命したからには、昨年に負けないコンテンツをそろえるつもりです。
また、会場は残念ながら、引き続きアルカディア市ヶ谷となります。
昨年は一部のセッションが超満員になり、ご参加の皆さんにはたいへんご不便・ご迷惑をおかけすることになりました。昨年並みの人気が予想されるコンテンツを用意しながら、会場については運営・整理の態勢を万全に整え、気持ちよくセッションを聞いていただこうと考えています。
そのほか、いろいろな面で昨年以上にご満足いただけるような翻訳祭にしたいと思っています。
(今年も)ご期待ください!
06:21 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.04.09
# 翻訳フォーラム・シンポジウム、申込みは本日10:00から!
すでに日程だけはお伝えしていましたが、今年の翻訳フォーラム・シンポジウム、イベント告知サイトができました。
リンク:シンポジウム2017 ~直訳と意訳の間で~
申込みは、シンポジウム、大オフとも、昨年と同じく第一次と第二次に分かれています。
第1次発売 4/ 9(日) 10:00~5/18(木) 19:00
第2次発売 4/14(金) 18:00~5/18(木) 19:00
ということで、第一次発売は、本日の朝10:00 です。
忘れずに、スタンバイを!
01:12 午前 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.03.18
# 東京ほんま会、「ワイルドカードVS正規表現セミナー」
5月くらいまでのイベント予定でもお伝えしましたが、東京ほんま会、久しぶりにセミナーを開催します。
リンク:ワイルドなセイキの対決! ワイルドカードVS正規表現セミナー
日時:4月23日(日) 13:00~17:00(懇親会あり)
場所:株式会社翻訳センター
以前も書きましたが、案内サイトから抜粋します。
・ときどき使ってはみるが、応用まではできていない
・うろ覚えの正規表現は、Microsoft Wordでは使えなかった
・あやふやなワイルドカードが、エディタやTradosで通用しなかった
・WildLightやSimplyTermsなどのツールで、検出パターンを定義したい
今回、ワイルドカードと正規表現を初歩から扱うことはしませんが、どちらか一方を、少しくらいは使っているという方にはおすすめです。
募集開始から2週間ほど経っているため、お席はすでに4分の3ほど埋まっています。いつものペースですと、あと1か月弱で満席~キャンセル待ちになります。
興味のある方はお急ぎください。
■
ということで、ワイルドカードと正規表現についてのアンケートも実施しています。
・こんな検索や、あんな置換をしてみたい。
・ふだん秀丸エディタでやっている検索を、Wordのワイルドカードではどうやるのか。
そんな質問を募集しています。
04:24 午後 翻訳・英語・ことば 翻訳者のPCスキル | このエントリ
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2017.03.12
# 柳父章『日本語をどう書くか』
(3/14修正:なんか、タイトルもAmazonのリンクも違ってた~)
自分の不勉強を、あらためて恥じ入っている。
柳父章の著作は、右カラムの書棚にも置いてある『翻訳語成立事情』くらいしか読んでおらず、最近になってようやくこれを読んだ。
こんなことを書くだけでも浅学をさらけ出すことになるが、いやそもそも浅学は広く知れわたっているのだから気にせずに書いてしまおう、私が今までに出会った翻訳関連の本のなかでは、故・山岡洋一氏の『翻訳とは何か―職業としての翻訳』 以来の衝撃だったかもしれない。
もっと早く読んでおきたかった一冊だ。
・日本語の「文」とはどんな単位なのか。
・どうして、読点の打ち方は難しいのか。
・助詞の「は」が、なぜ文を超えて効力をもち続けるのか。
・常体と敬体とは何なのか。
・日本語の文末の種類が乏しいのはなぜか。
・「だ」と「である」はどう違うのか。
・「~のだ、~のである」文末はどんな機能を果たすのか。
・英語と日本語のテンスとアスペクトはどう違うのか。
・「~ている」という表現は何なのか。
・漢語(熟語)はどういう性質をもっているのか。
--- といったことの手がかりが、全部この本には載っている 。
あくまでも「手がかり」であって、「答え」ではないかもしれない。少なくとも、この本だけで何もかも解決するわけでは、たぶん、ない。
が、上に挙げたような疑問---翻訳者なら何度も遭遇しているはずの---について、今までにきちんと考えたことがあり、別の機会に聞いたり読んだりしていれば、この本を読んでいろいろと腑に落ちるはずだ。
以下、特に印象的だった箇所をふたつだけ引用する。
この熱心な翻訳受け入れ国、日本の翻訳方法は、通常考えられている二言語併用の立場とは本質的に違っていた。それは、彼方の話し言葉をこちらの話し言葉に移し入れる、という方法ではなかった。彼方とこちらの二つの話し言葉の間に、言わばもう一つの日本語とも言うべき、翻訳用の書き言葉を作り出す、という方法によったのだ。
私は日本語学の専門家ではないし、この言説が学問的にどう評価されているのかは知らない。だが、この一文で、翻訳をめぐるいろいろなモヤモヤが、すとんと収まった。
言葉は、その使用者が知って意識している以上の意味を、自ずと心得ている。人が知っているのは、その一部にすぎない。使用者が知っている以上の意味は、いざ使用してみたときの、ほとんど無意識的な、感覚が教えてくれる。語感である。そして、歴史の古い言葉は、この語感が豊かなのであり、逆に新造語は、何与野もこの語感に乏しい。
辞書を引くとき、訳語を選ぼうとするとき、頭の片隅にしっかりとどめておこうと思う。
こんな風に、(私にとっては)ハッとさせられる指摘が随所にあった。翻訳者として日本語を見つめ、英語と日本語という二言語のあいだに立って考えをめぐらすとき、この本は大きい指針になる。
そういうわけで、これから柳父章の著作は、手に入るかぎり読み尽くそうと考えている。
聞くところによると、この本もなかなか "スリリング" らしい。
到着を心待ちにしているところだ。
01:04 午後 書籍・雑誌 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.03.07
# お持ち帰り
帽子屋の別ブログ「私家版英語辞典@帽子屋」に、takeawayという単語のことを書きました。
リンク:私家版英語辞典@帽子屋: take-away, takeaway
どんな意味かは、リンク先をご覧ください。
これに関連して、研究社のKODには収録されているのかどうか、Facebookで訊いてみたところ、まだだということです。しかも、そのFBスレッドにおもしろいコメントをいろいろいただきました。
まず、最近やはり仕事で遭遇した、という声もいくつかありました。
ここ数年、セミナー関係文書によく出てきますよね。でも、私が見た例は「結論」とか「教訓」とかいうよりも、「このセミナーで持って帰っていただきたい重要な事柄」みたいな感じでしたが…んー「結論」とも言えるんですかねぇ…
そうそう、やはり字面どおり、基本的には「参加者に持ち帰ってもらうもの」という発想から広まった言葉のようです。
なかには、もう10年くらい前に最初の例を見たというコメントもあったので、けっこう前から使われていたのでしょうか。
そして、当然ですが、名詞化される前に動詞としてこの意味で使われていたという証言も通訳者からいただきました。成り立ちの経緯としては、実によくわかります。
The message that I want you to take away from today's lecture is...みたいな。それが、次にtakeaway messageになり、message が落ちてtakeawayになった、そんな印象です。
また、生で耳にしたという体験も。
Then, XXXX, what is your takeaway?
とやられました。とっさにリフレーズを求めてwhat you learnt can bring to our business. くらいな説明してくれました。
「giveaway と対になっている」というご指摘も。たしかにそうですね。
それで、なんとなく「気づき」みたいな気持ち悪さを感じると私が書いたら、
うざい業界用語の10番に入ってる
んだそうです。こんなページ。
リンク:17 irritating jargon phrases, and awesome new sayings we should use instead | Nonprofit With Balls
あはは。やっぱり~。
そう言えば、以前、やはりマーケティング系で多用されていたleverageについて調べていたときも、
Apparently you can leverage anything.
なんてフレーズを見かけました。
ちなみに、成り立ちから考えて「お持ち帰り」みたいな言葉がいずれ定着するかも、と思いながら「お持ち帰り」をググったら、まったく違う俗語がヒットします。が、そんな俗の語義も三省堂国語辞典には収録済みでした。
②〔俗〕飲み会などで知り合った異性を、そのままつれて帰ること
03:49 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.03.05
# 3、4、5月の翻訳関連イベント
もちろん、ほかにも翻訳関連のイベントはあるはずですが、帽子屋が把握している/関係している範囲で、まとめておきます。
毎年だいたい、イベントが増えてくるのはこのくらいの時期から、という気もしますね。
3月23日(木)
JTF翻訳セミナー(2016年度第6回)
翻訳界に、Game Changer『使える自動翻訳』が、降臨!
時間:14:00~16:40(懇親会もあり)
場所:明治薬科大学 剛堂会館
機械翻訳研究の第一人者、隅田英一郎(NICT)さんの講演です。隅田さんは、昨年の翻訳祭でも、機械翻訳の現状について、かなり詳しくお話しくださいましたが、今回は切り口が違うとのことです。
以下、案内サイトから抜粋します。
【講演のポイント】
◎全ての関係者が自由に本音でコミュニケーションできる場と議論の種を提供する。
・ニューラル翻訳は高精度か、統計翻訳はどうか、参加者で検証する。
・自動翻訳は翻訳関係の仕事を奪うか、新たな付加価値の高い仕事を生み出すのか、議論する。
・『使える自動翻訳』の出現という変化に応じて打つ手を考える。
・衆知を集めて、翻訳サービスのより良いステージを目指したい。
◎今回はDVDはつくりませんので現場に参加してください。
機械翻訳の発展で自分のこれからの仕事がどうなるのか、と気になっている人は足を運ぶ価値があるでしょう。もちろん、私も聴きにいきます。
★お申し込みは3営業日前だそうなので、3/20までかな。
4月23日(日)
東京ほんま会
ワイルドなセイキの対決! ワイルドカードVS正規表現セミナー
時間:13:00~17:00(懇親会あり)
場所:株式会社翻訳センター
東京ほんま会、昨年はセミナーの実施回数が少なかったのですが、今年はやっと動き出します。
第1弾は、テリーさんと帽子屋がダブルで担当し、ワイルドカードと正規表現をいっぺんに扱います。こんな方におすすめします(案内サイトから抜粋)。
・ときどき使ってはみるが、応用まではできていない
・うろ覚えの正規表現は、Microsoft Wordでは使えなかった
・あやふやなワイルドカードが、エディタやTradosで通用しなかった
・WildLightやSimplyTermsなどのツールで、検出パターンを定義したい
★こちらは、定員になりしだい〆切になります。すでに募集は始まっていますので、興味のある方は、お早めにどうぞ。
5月21日(日)
翻訳フォーラム
シンポジウム2017&大オフ2017
時間:11:00~17:00(シンポジウム)→ 18:30-20:30(大オフ)
場所:お茶の水女子大(シンポジウム)→ 池袋(大オフ、予定)
今年もやります!
詳しい内容などについては、上記リンク先ページで随時お知らせしますが、すでにスタッフでいろいろと仕込み中です。お楽しみに。
★申し込み開始は、4月上旬を予定しています。
昨年も一昨年も、申し込み開始後、かなりのスピードで座席が埋まってしまったイベントです。申し込み開始の前には、必ずこちらのブログでもあらためて告知します。今しばらくお待ちください。
5月22日(月)
JTF翻訳品質セミナー 第1回/第2回
時間:10:00~12:00(第1回)/13:30~15:30(第2回)
場所:明治薬科大学 剛堂会館
翻訳フォーラム・シンポジウムの翌日です。遠方からいらっしゃる方は、ぜひ続けてどうぞ!
第1回(午前)が、テリー斉藤さんの「誰も教えてくれない翻訳チェック~翻訳者にとっての翻訳チェックを考える~」
タイトルからわかるとおり、昨年の翻訳祭で超満員となり、入場できなかった人もいた超人気セッションの再演です。翻訳祭で聞けなかった方は、ぜひどうぞ。
第2回(午後)は、石黒圭さんの「文書作成における接続詞の役割 ~接続詞を使うと文書は論理的になるのか~」
こちらについては、先日、石黒さんの著書をご紹介した記事 でお伝えしたとおりです。
5月26日(金)
JTF翻訳品質セミナー 第3回
時間:10:00~12:00
場所:明治薬科大学 剛堂会館
同じ週に、第3回も開催されます。
「論理的で翻訳しやすい日本語を書く」というタイトルで、テクニカルコミュニケーター(TC)協会理事の中村哲三さんが登壇します。テクニカルコミュニケーター協会と言えば、この本です。
★JTF翻訳品質セミナーは、第1回~第3回まで申し込みがすでに始まっています。通常のJTF翻訳セミナーとは違い、オンラインフォームではないので、ご注意ください。
なお、JTF翻訳品質セミナーを開催するのは、JTFの「翻訳品質委員会」です。「標準スタイルガイド検討委員会」から改称されました。
6月以降には、また翻訳フォーラムのレッスン・シリーズなども予定されていますが、ひとまずは5月までの予定をお知らせしました。
08:54 午後 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.02.26
# 無料で使える文章チェックツール
先日、WildLight のサンプルを紹介しました。
参照リンク:side A: # こそあど、~という、~こと、~ている - WildLightの活用例
私自身がふだんからやりがちなポイントを定義ファイルに書き、WildLightで実行してマーカーを付けるという(←ほら、すぐ「~という」を使っちゃう)基本的な使い方でした。定義の内容は、(前回からすこし修正し)
・こそあど言葉のうち、「これ 」系と「それ 」系
・形式名詞の「もの 」と「こと 」
・文末の「~てい る、strong>ていた、strong>ています」
・文末、文節末の「~ており 」
・文節末の「~が、 」
です。
このうち、「~てい」と「~ており」だけは、前に来る動詞が音便---「騒いでい る、読んでい る」のような形のこと---を起こしているときのために、ワイルドカードを使って
[てで]い
[てで]おり
としています。
さて、WildLightも無料で公開されていますが、ほかにも無料で公開されている文章チェックツールがあるので、ご紹介しておきます。
リンク:小説推敲補助ソフト「Novel Supporter」 - クロノス・クラウン -
リンク:Tomarigi | PaWeL:日本語表現法開発プロジェクト-青山学院大学-
まず、サンプルとしてWilidLightを実行したファイルを貼っておきます。使ったのは、昨日2/25の当ブログの記事です。予想どおり、「~という」とか「~が、」がけっこうありますね。恥ずかしいですが、サンプルなのでこのままにしておきましょう。
「225.docx」をダウンロード
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さて、ご紹介する1つ目は、クロノス・クラウン(柳井政和さん)で最近公開されたツールです。以前---Windowsであまりにメモリー管理がずさんだったころ---からフリーウェア「めもりーくりーなー」で有名だったサイトですね。
(余談ですが、ついに小説家としてもデビューしたようです。しかもイラストは『スティーブズ』の、うめ!)
「小説推敲補助」という名のとおり、そのまま翻訳に適しているとは限りません。
現時点で実装されているチェック機能は、以下のとおり。
・単語近傍探索(同じ単語の連続)
・こそあど確認(こそあど言葉)
・文末重複確認(同じ文末(現在形や過去形の連続))
・段落先頭重複確認(段落の先頭が同じでうるさく見えないか)
・文章警告(表現上注意すべき点や凡ミスを)
・画数ヒートマップ(文字の画数を元に文字の背景色を変え、読みやすさを視覚化)
・文長ヒートマップ(1文の長さに応じて文字の背景色を変え、長すぎる文を可視化)
・ルビ追加(様々な形式でルビを追加)
・文字種表示(文字種で文字の背景色を変更。漢字とかなの混じり具合や比率を確認)
・指定文字数改行(指定した文字数で改行)
使い方は簡単。起動したら、ファイルを開き(完成したファイルでなく、一時的なチェックなら、左ペインに貼り付けるだけでもOK)チェック項目を選んで「全て実行」をクリックするだけです。「ブロック実行」なども可。ほぼ一瞬で、右ペインに結果が表示されます。
同じく2/25の当ブログ記事で「単語近傍探索」を実行してみたところです。
実際にどの機能が有用かどうかは、各自お試しください。たとえば日英翻訳なら、原文の日本語に対して「単語近傍探索」を実行すれば、キーワードの確認に使えるかもしれません(英文には使えないので、英日翻訳では使えない)。私は、「画数ヒートマップ」がけっこう気に入っています。
また、設定を変えるにはJSONファイルを直接編集しなければならないので、ちょっと上級向けです。起動ファイルが、ふつうにexeファイルではなくbatファイルというところも、発想が技術屋さんです。
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2つ目の「Tomarigi」は、青山学院大学で、言語研究プロジェクトの一環として開発されたツールです。
形態素解析 の機能まで備えており、使いこなせばけっこういいツールになりそうです。翻訳者(や志望者)なら、うまく使えばかなり役に立つと思われます。
Tomarigi 本体のほかに、
・形態素解析ツール Mecab v0.996以上
・係り受け解析ツール Cabocha v0.68以上
が必要ですが、サイトの指示に従ってインストールすれば、特に難しくはありません。
文字数にはある程度の制限があるようですが(実際の制限と速度は、おそらくPCのリソースしだい)、機能はかなり抱負で、指摘の結果もいろいろと参考になります。
こちらも使い方は簡単。ファイルを開くか、ウィンドウに直接貼り付けて「実行」ボタンをクリックするだけ。
上の例では、敬体の文末(です、ます)が緑色で指摘されているほか、
「接続表現を中心とした著作の多い石黒先生」
という箇所もピンク色になりました。右ペインでそこをクリックすると、右下に詳細な指摘内容が表示されます。
二段構えの修飾節が存在する長文です.
と指摘されています。これが、JustRightなどにもない注目の機能です。具体的にどんなことなのかは、「図表」ボタンをクリックしてみるとわかるでしょう。
・「接続表現を中心とした」が、<連体修飾節>として「著作」を修飾しており
・その修飾節を含む「接続表現を中心とした著作の多い」が、次の<連体修飾節>として「石黒先生」を修飾している
という二段構えの修飾構造になっている。そう指摘されているわけですね。もちろん、これを修正するかどうかは、また別の問題。
さらに、「修正」の隣にあるボタンを押すと、
こういう係り受けの図も表示できます。学校やトライアルの答案でも、係り受けの変な訳文をかなりの頻度で見かけます。係り受けに自信がない人は、この図で自分の訳文を分析すれば参考になるのではないでしょうか。
別の指摘例も挙げておきます。
こちらは、MS Wordの校正機能でも指摘される「連用形中止法の多用」です。4か所と指摘されていますが、実際に連用形中止法になっているのは、
~読んで
~強くなり
です。たしかに、しまりがない感じ。
また、ここで指摘されているセンテンスの最後にはグレーの四角とピンクの丸もあります。グレーの四角をクリックすると同音語が注意され、
ピンクの丸をクリックすると、長文だと注意されます。
ただし、上の例で「読ん/詠ん」と書かれているのを見てもわかるとおり、同音語のチェックはちょっとうるさすぎるようです。
チェック項目は、かなり細かくカスタマイズできます。
これは、敬体/常体によって文末の指摘を選べる設定。
これは助詞の連続。「の」だけ、または「それ以外」も含めてチェックでき、連続回数も指定できます。
かな/漢字の使い分けは、デフォルトでも設定されていますが、任意で追加できます。
以下、チェックできる項目だけ挙げておきます。
・ひらがな書きすべき副詞のチェック(カスタマイズ可能)
・漢字書きすべき副詞のチェック(カスタマイズ可能)
・英数字の全角/半角(設定の切り替え可能)
・漢数字のチェック(オン/オフのみ)
・読点のチェック(オン/オフのみ)
・常用漢字のチェック(常用漢字のほか、学年別指定にも対応)
・ひらがな書きすべき接続詞のチェック(カスタマイズ可能)
・連用中止形のチェック(オン/オフのみ)
・助詞の連続(カスタマイズ可能)
・ひらがな書きすべき形式名詞のチェック(カスタマイズ可能)
・同音語/同訓語のチェック(同音、同訓ごとにオン/オフ)
・不適切な表現(若者ことば)のチェック(オン/オフのみ)
・指示語の多用(しきい値のオプションあり)
・体言止めのチェック(オン/オフのみ)
・送りがなのチェック(カスタマイズ可能)
・句読点の統一(設定の切り替え可能)
・長文の指摘(オン/オフとしきい値を設定可能)
・敬体/常体のチェック(設定の切り替え可能)
・文末の冗長表現(カスタマイズ可能)
・ひらがな書きすべき補助動詞のチェック(カスタマイズ可能)
・当て字のチェック(カスタマイズ可能)
以上のオプションを見ただけでも、かなりの高機能です。ものによっては、JustRightでは拾えない項目もたくさんあります。
それから、あちこちに再生ボタン(右向き三角)もありますね。なんと、音声読み上げもしてくれます(音声エンジンは、環境によって異なる)。
これが無料というのは素晴らしいことです。ただ、あくまでも大学の研究室のプロジェクトですから、いきなりなくなってしまう可能性もあります。
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JustRight!は、個人で買っても40,000円(税別)します。値段に見合う機能はあります。表記のゆれや、誤字・脱字の指摘はやはり強力(それでも、十分ではない)。
WildLightは、自分で定義ファイルを作ってサクっとチェックするには便利ですし、単なるチェック以外の機能も豊富です。
Tomarigiは、自分の書いた日本語をじっくり分析するのによさそうです。
ひとつ注意したいのは、チェックした結果からどこをどう直すかは、あくまでも自分の力量しだいだということです。単純なミスなら修正すれば済みますが、たとえば連用形中止法を自分でよしとするか修正するかは、最終的に自分の判断です。
とはいえ、翻訳をしていて大切なのは、自分の訳文をどこまで客観的に眺められるかいうこと。そのためには、こういうツールの導入は有効でしょう。
02:52 午後 パソコン・インターネット 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.02.25
# 最近読んだ/買った国語関係の本
最近読んだ国語関係の本を紹介します。
接続表現を中心とした著作の多い石黒先生の、ちょっと前の本です。
英日翻訳で、日本語に悩んでいる人におすすめです。私も、付箋だらけになりました。
1 文法のルール―その定石と裏ワザ
(テニヲハはきちんと守る、「~をしたい/~をできる」は使わない ほか)
2 文末のルール―その定石と裏ワザ
(文末の時制は統一する、受身の表現は避ける ほか)
3 語彙のルール―その定石と裏ワザ
(文章では話し言葉を使わない、漢語を使うと文章が硬くなる ほか)
4 表記のルール―その定石と裏ワザ
(漢字が少ないと読みにくい、迷ったら平仮名がよい ほか)
5 構成のルール―その定石と裏ワザ
(接続詞は前後の文の関係を示す、接続詞は文章を読みやすくする ほか)
(Amazonの目次情報より)
「裏ワザ」というタイトルどおり、いい文章を書くときの"定説"になっているルールをまず紹介し、「そうとも限らない」という「裏」を示すという構成です。
今日の授業でもちょうど、
「訳すとき、接続詞をどこまで補っていいのでしょうか」
という質問があり、この本のpp.174~185を紹介したばかりです。
英語と日本語では、論理の構成のしかた、文脈の運び方が違う。だから、原文にない接続詞を訳文で補うのが絶対に禁止というわけではない。ただし、日本語ではいわゆる接続詞を使わなくても文脈を作れる場合が多いので、そういう文の書き方も覚えよう。
そういう話を、授業でもしました。
同じ石黒先生の、接続詞(接続表現)に絞った本がこちら。
石黒先生の言う「接続詞」はかなり広い概念です。たとえば、使い方が難しい「~のだ(のである、のです)」という文末の使い方も、この本でよくわかるはずです(第七章「文末の接続詞」)。
なお、石黒先生は、5月にJTF(日本翻訳連盟)のセミナーにご登壇なさいます。
第2回JTF回JTFセミナー「文書作成における接続詞の役割 ~接続詞を使うと文書は論理的になるのか~」
ちなみに、同じ日の午前中がテリーさん。
第1回JTF回JTFセミナー「誰も教えてくれない翻訳チェック ~翻訳者にとっての翻訳チェックを考える~」
こちらは、昨年の翻訳祭で超満員となったセッションのアンコール企画です。
おなじみ飯間先生。
底本は、『三省堂国語辞典 第七版』が出たとき(2014年)、プロモーションの一環として出版された書籍(『三省堂国語辞典のひみつ』)。
文庫化されたので読んでみたのですが、文語版あとがきに、
今回、本書が新潮文庫の一冊として刊行されるに当たり、あまりにも「『三国』万歳」的な部分には手を入れました。
と書いてあったので、元本も読んでみたくなりました。
この本を読んで、「iPadに入っている三国を、ふだん使っているPCからもっと手軽に引けないものか」という思いが強くなり、それが先日のEBPocketの話につながったしだいです。
これは、読んだというより、買ってきたのを拾い読みしています。神田の古書店で見かけて買ってきた初版本です。
「明治大正~」というタイトルですが、発行は昭和59年と、わりと最近の辞書です。
本書は明治元年からから昭和二〇年までの間に誕生した新語・俗語八〇〇語を対象とした。
(凡例より)
ということですが、もっと時代が下った用例も採録されています(昭和54年の見坊豪紀とか)
実用的に使えるというより、完全に趣味の本です。適当に拾うだけでも実に楽しい。
たとえば「青田買い」という言葉が昭和初年にはもう使われていたことがわかります(確かめたら、使われている用例は日国と同じでした)。
「あんパン」の項には、こんな話も載っていました。
また、「あんパンを食う」とは、上等兵が新兵に小言をいう場合、「そういう事をしちゃいかんじゃないか、アーン」と言ってすぐにパーンと平手で頬をなぐることから、お目玉頂戴の意味
てなことが書いてあり、日国の解説より詳しくなっています。「あんパンを食う」っていう表現、子どものころ聞いた覚えがあります(使った記憶はない)が、今の国語辞典には載っていません。
「八百長」の語源説も---信憑性はわかんないですけどね---、日国よりずっと詳しく載っています。
(八百屋の長兵衛、通称八百長という人がある相撲の年寄とよく碁をうち、勝てる腕前を持ちながら、巧みにあしらって常に一勝一敗になるように手加減したところからという)【日国】
語源は明治時代のはじめ、相撲会所の出入りであった八百屋の長兵衛通称八百長が、当時の相撲年寄であった先々代伊勢の海五太夫の碁の相手をたびに、強いくせに、お得意様のご機嫌をとるために、わざと勝を譲ったことが仲間に知れわたり、それから相撲で故意に負けることを八百長するといい始め、いつしか相撲の隠語となった。【新語俗語辞典】
(表記はママ)
実は、別の辞書を古本で探しにいったのですが、思わぬ収穫でした。
10:47 午後 書籍・雑誌 翻訳・英語・ことば | このエントリ
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2017.02.21
# EBPocketで、アプリ辞書を串刺し!
前エントリまで、しばらくEBWin4のことを書いてきました。
ところで、EBWin4の作者であるhishidaさんは、iOS/Android上でEPWINGデータを使えるアプリも作成なさっています。
リンク:EBPocket for iOS
リンク:EBPocket for Android
Android版(とMac OS版も)もあるのですが、私が使える環境ということで、以下はiOSの話になります。
個人的には、PC上で(EPWINGデータを中心に)整備してある辞書環境を、iPadにまで持ち出す必要性はあまり感じていません。むしろ、iPadではiOSアプリでしか使えない辞書を中心にそろえています。そのため、EBPocketも、存在は知っていたのですが、試したことがありませんでした。
今回の一斉アップデートを機にちょっと見てみようと思い、Professional版を購入・インストールしてみたら---実はかすかに期待しながら---ちゃんと、他のアプリとの連携機能が用意されているじゃないですか!
なお、EBPocketをインストールすると、フリーの辞書データとしてEDICT2が入ってきます。この辞書の素性については、拙ブログの過去記事をご覧ください。
参考リンク:side A: # EDICTとE-DIC:ときどきおもしろい辞書たち
iOSアプリどうしが相互にデータをやり取りする(テキストをやり取りしたり、起動したりする)ために、「URLスキーム」という仕組みがあります。「検索ハブ」(残念ながら、諸事情でアップデートが止まってしまいました)も、この機能で各アプリを呼び出していました。また、物書堂さんの辞書では、検索後に他の辞書を呼び出すことができます。これも、おそらくURLスキームを使っているようです。
EBPocket Professionalをインストールして、設定画面を開いてみると、[Web検索]という設定項目があります。
これを開くと、デフォルトではYahooとかWeblioなどのサイトが登録してあります(下図は、もう設定が変わっています)。
ここを、使いたいアプリ辞書のデータに書き換えれば、EBPocketの検索結果から他のアプリに飛ぶ、つまり擬似的にではありますが、アプリの串刺し検索ができるというわけです。
ただ、URLスキームというのは開発者が独自に決めるので、公開されていないと使えません。この点でも、物書堂さんはユーザーに親切な会社で、基本的にすべてURLスキームを公開なさっています。
リンク:物書堂:辞典Appで検索
物書堂さん以外のアプリは、検索するとURLスキームが見つかるもの(BIGLOBEの『オーレックス』や、計測技研の『プログレッシブ』など)もあれば、公開されていないもの(MobiSystemsのAHD、ODEなど)もあります。
あとは、ここにあるデータをどうやってURLの形にすればいいか、が分かればいいのですが、この段階で私も試行錯誤しました。
指定の基本は以下のフォーマットです。
<辞典スキーム名>://<辞典アプリID>/search?text=
たとえば、『精選版 日本国語大辞典』の場合、<辞典スキーム名>が mknds 、<辞典アプリID>が NDS です。このほか、アプリとその会社ごとにURLの構成要素は違ってきます。物書堂さんの『精選版 日本国語大辞典』の場合、URLは
mknds://jp.monokakido.NDS/search?text=
となります。この後にいろいろと検索オプションを付けることもできるのですが、今回はそこまでやっていません。
以下、私のiPadにあって、しかも私が優先的に使いたい8つの辞書について、設定を挙げておきます。私が設定していない辞書アプリについては、物書堂さんの上記サイトなどを参考に、試してみてください(うまくできない場合は、メールでご相談ください)。
以下に挙げる Name と URL を、EBPocket の[設定]→[Web検索]の該当フィールドに入力すれば、使えるはずです。Name は何でもOKです。
Name:ウィズダム2(物書堂)
URL:mkwisdom2://jp.monokakido.WISDOM2/search?text=
Name:オーレックス(BIGLOBE)
URL:olexbiglobe://search?query=
Name:プログレッシブ英和中(計測技研)
URL:osw-progressiveEJ5JE4://*?k=f&q=
Name:Collins(物書堂)
URL:mkced://jp.monokakido.CED/search?text=
Name:精選日国(物書堂)
URL:mknds://jp.monokakido.NDS/search?text=
Name:大辞林(デフォルト)
Name:新明解(物書堂)
URL:mksmk7://jp.monokakido.SMK7/search?text=
Name:三国七(物書堂)
URL:mksankoku7://jp.monokakido.SANKOKU7/search?text=
「大辞林(デフォルト)」というのは、Web検索の設定に最初から設定されていたので、そのまま使っています。
また、Collinsというのは、学習英英の定番COBUILDではなく、Collins大辞典です(あまり知られていませんが)。
これで、iOS上の環境はできあがりました。EBPocketで何か検索すると、EDICT2の結果が並んだ最後に、登録したアプリの名前が並び、
と、ここまでがiOS上の動きです。これを、PASORAMA的にPC上から使うには、以前ご紹介した「Wifi Keyboard」というアプリを使います。
実は、上に挙げた8個のアプリ辞書の名前や、特にURLは、iOS上で入力しようとしたら大変です。これを設定する段階で、私は「Wifi Keyboard」を利用しました。これを使えれば、PC上でURLをコピペしてiOSに転送できるので、URLの指定もかなり楽になります。
いろいろと設定は手間かもしれませんが、ご参考までに。
12:59 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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2017.02.20
# EBWin4 4.4.2、「連続」と「全ての項目」の違い~国語
続いて、国語辞典ではどうなるかを紹介します。
結論から言うと、ほとんどのタイトルは前項で紹介した研究社英和大、その他と同じように動作します。
見え方が一気に変わるのが、『学研国語大辞典』です。
※残念ながら、この辞書のデータ版は入手が難しくなっています。Amazonなどで"Super日本語大辞典"を検索すると、まだときどき出回っていますが、そのままではEBWin4に載りません。変換スクリプトを使ってEPWINGデータに変換する必要があります。
参考リンク:side A: # Windows 7環境構築のまとめ - 辞書編
変換スクリプトは、EBWin4の作者のサイトにあります。
リンク:EBStudio 変換スクリプト集
『明鏡国語』を「自動検索」すると、こうなります。
「全ての項目」オフ
「全ての項目」オン
前項の英和で見たとおりの差が出ます。
次が『学研国語大辞典』です。ここでは、「完全一致」で検索しました。
「全ての項目」オフ
「連続」なので、発足、罰則、閥族、初空…… と続いています。
「全ての項目」オン
左ペインの一致候補に注目してください。
(ふだんより、ちょっと横に広げています)
お分かりでしょうか。
はっそく【発足】
ほっそく【発足】
というエントリに続いて、
【発足】のシソーラス
という項目なども並んでいます。つまり、『学研国語大辞典』をEPWING化したデータは、完全一致で検索するだけでも、項目そのもののほか、シソーラス情報がヒットするということです。したがって、これを「全ての項目」表示にすると、シソーラスまで一気に表示されるわけです(通常、シソーラスがリンクになっている)。
シソーラスだけではありません。上の例ではウィンドウ外にあるので分かりませんが、実は用例も出てきます(通常、用例もやはりリンクになっている)
用例のエントリは最後に並ぶので、右ペインで下にスクロールすると出てきます。
経緯は不明ですが、『Super日本語大辞典』をEPWING化するスクリプトを作るとき、作者のhishidaさんがDDWinの「全ての項目」表示を意識してこのように作ったのかもしれません。
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こういう機能が増えてみると、最近のLogoVista版タイトルをEBWin4(など)に載せられないのが、かえすがえすも残念です。
参考リンク:side A: # 翻訳者の辞書 - データ編 - 第2回
ここにも書いたとおり、『研究社 日本語表現活用辞典』、『研究社 日本語口語表現辞典』、『研究社 日本語コロケーション辞典』などは、EBWin4で使えたらずいぶん便利なのに...
05:23 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | このエントリ
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# EBWin4 4.4.2、「連続」と「全ての項目」の違い~英和・和英
EBWin4に追加された「全ての項目」表示機能は、複数の辞書を検索したときに、その内容を右ペインでまとめて表示する というのが本来の趣旨です。
が、辞書タイトルによっては、単独で使っているときでも見え方が変わるという副次的な効果もあります。
さらに、4.2.2(2/18公開)で実装された「連続表示」と「項目毎」の切り替えボタンも併せて使ってみるとどう違うのか---さっそく試してみました。
なお、使ってみるとすぐに分かりますが、「連続表示」/「項目毎」の切り替えボタンは、表示されているのが今の状態です。つまり「連続」 と表示されていたら「連続」表示であり、押すと「項目毎」表示に切り替わります。「連続」を押すと連続表示になる、のではない ことに注意してください。
研究社英和大 第6版
まず、研究社英和大で、「全ての項目」はオフにして、「完全一致」検索します。
「項目毎」 表示
「連続」 表示
「連続」にすると、footprint以降、foot pump、footrace、footrail ... と続きます。見出しごとに区切り線が入っています。
ただし、項目によっては、必要以上に区切れている場合もあるようです。
for everという成句は、なぜか用例ごとに区切れてしまいます。「項目毎」表示では情報をすべて見られていない ということです。
ジーニアス英和大
すでに書いたように、残念ながらG大は項目区切りにバグがあります。「項目毎」では必要な情報すらろくに表示されません。
必ず「連続」表示にしてください。
研究社和英大 第5版
ランダムハウス 第2版
リーダーズ 第3版(LV)
リーダーズ 第2版
うんの V5
英和中辞典 第7版
斎藤和英
COBUILD ※
OED 2 ※
WordNet
主立ったタイトルはいずれも、英和大と同じ動作です(変な区切れはなさそうです)。なお、LVと書いたのはLogoVista版、※は、オリジナルデータEPWING変換したデータです。
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「全ての項目」をオンにすると、「連続」/「項目毎」の状態にかかわらず、左ペインでヒットした項目すべてを対象にして「全ての項目」が表示 されます。
したがって、「全ての項目」で表示される結果は、検索方法によってもだいぶ変わって