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2020.08.15

# ブログ引っ越し予定のお知らせ

お知らせ

ブログのお引っ越し

を予定しています。当面は、試験的ながらひとまず、はてなブログ。

https://baldhatter.hatenablog.com/

こちらです。

といっても、膨大な過去記事をすべて移行するのはとうてい無理なので、このブログ記事はこのまま残しておきます。


ココログさん、2004年からありがとうございました。昨年(一昨年?) の仕様公開が、あまりにも

クソ

でございました。我慢しつつ使ってきましたが、限界です。

07:27 午後 日記・コラム・つぶやき | | コメント (0)

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2020.08.05

#『マスコミ用語担当者がつくった 使える! 用字用語辞典』

ちょっとおもしろい用字用語辞典が出ました。

マスコミ用語担当者がつくった 使える! 用字用語辞典 (三省堂)です。

私たち翻訳者が準拠する用字用語辞典といえば、

『共同通信社 記者ハンドブック』

とか

『時事通信社 最新 用字用語ブック』

が一般的ですが、「マスコミ用語担当者がつくった」と謳っているだけあって、なかなかおもしろい工夫があります。

しばらくは、これをいろいろと使ってみようと思います。

『記者ハンドブック』のように項目ごとに章立てするのでなく、ほぼすべての情報がふつうの国語辞典と同じように五十音順で並んでいます。

あ、そうそう。横書きなのも用字用語辞典としては珍しい。

2008051
まとう[◆纏う]「身にまとう」

のように常用漢字外の漢字は◆で、また

けれん[◇外連]「けれん味のない文章」

のように常用漢字外の読みなどは◇で表し、最小限の例文を「一般的な表記」のほうで示しています。このあたりは他の用字用語辞典とだいたい同じですが、漢字の使い分け情報などは記者ハンより詳しい気がします。

おさまる・おさめる
収まる・納める 中に入れる。収拾する。取り込む。良い結果を得る。
「争い・インフレ・風=が収まる / 丸く収まる / 不平が収まらない / 怒り・成果・利益=を収める / カメラに収める」
納まる・納める あるべきところに落ち着く。とどめる。引き渡す。納付・納入する。「椅子・写真・ビデオ=に納まる / 得意先に品物を納める / 税金を納める / ひつぎ・胸=に納める / 納まり返る / 歌い・聞き・見・仕事=納め」
治まる・治める[←→乱]問題のない状態になる。鎮まる。統治する。癒える。「痛み・気・せき・国=が治まる / 暴動・水・領地=を治める」
修まる・修める 人格・行いを立派にする。身につける。「身持ちが修まらない / 学業・身=を修める」

漢字の意味と使い分けの例が、このように簡潔に、かつ必要十分に書かれています。国語辞典や他の類語辞典でも、なかなかこうはいきません。簡単なコロケーション集にもなっています。

かと思うと、

マティーニ[martini][カクテル]
マナグア[Managua]ニカラグアの首都。
マツダ 日本企業。*1984年に「東洋工業」から社名変更。ロゴは「MAZDA」。

といった百科的な名詞が、ごく簡単な説明とともに(場合によっては英語の綴りも)載っています。[カクテル]というのはカテゴリー表記ですね。ちなみに、「マティーニ」は記者ハンのカタカナ語リストにも載っていますが、記者ハンには英語綴りも説明もありません。「マツダ」の説明文も、分量と加減がなかなかいい感じじゃありません?

まつもと 姓
松本 松本幸四郎(歌舞伎俳優。十代目=1973~)
松元 松元恵実(ミュージカル俳優。1988~)

代表的な日本人の姓を示した項には、主な著名人が登場します。

コロコロ|商|〔ニトムズ〕→ 粘着式クリーナー
manaca(マナカ)|商|〔名古屋交通開発機構、エムアイシー〕 → 交通系ICカード

登録商標の言い換えは、かなり充実しています。何がいいって、上の〔ニトムズ〕みたいに、商標を所有している企業が書かれているところです。これはなかなか楽しい。

ってか、「コロコロ」って商標だったんですね。「チンする」みたいな、ただの俗称かと思ってました。また、この逆に、

サイコロキャラメル *商標は「北海道サイコロキャラメル」〔明治〕

と一般名詞から商標を教えてくれる項目もあります。

誤用や俗用も載せていますが、一方的に「誤り」とするのではなく、世論調査のパーセンテージを示したうえで、○や△を付けるという方針です。

しきいがたかい 敷居が高い |世論調査|「あそこは敷居が高い」
○相手に不義理をしてしまい、行きにくい。*2008年度 42.1%
△高級過ぎたり、上品過ぎたりして、入りにくい。*同45.6%
△「店構えが立派過ぎて私には敷居が高そうだ」は「気後れしそうだ」などと言い換える。「ゴルフを始めていきなりコースに出るのは敷居が高い」のように、達成するには難度が高いと言う場合は「ハードルが高い」などとする。

誤用には、こういう重言の指摘もあります。

|重|初デビュー → デビュー *debut(仏語)=初舞台。

「ソーシャルディスタンス」とか「コロナウイルス」「COVID-19」などの新語が載っているあたりは、さすがに新刊だけありますが、そのほかにも、たとえば

ディーエイチシー DHC 日本企業。*登記名は「ディーエイチシー」。DHCは旧社名「大学翻訳センター(Daigaku Honyaku Center)」の略。

こんなのまでありました。

そのほか、本書は「マスコミ」が前提なので、アクセントの表記や解説もたっぷり。たとえば、

「時」を表す言葉のアクセント

というコラムには
①「おとといは雨だった」
②「おととい受けた試験」
この2つで「おととい」のアクセントが違うことも解説されています。

ただし、「言い換え」が必要という点ではぜひ載せてほしい不快語・差別語はあまり(ほとんど?)載っていません。「外人 → 外国人」など、わずかです。

また、記者ハンにある「肩書きの付け方」とか「数字の書き方」などの情報はまったく載っていないので、記者ハンなどを完全に代用するものではありません。

かなり実用的で、それでいて、ときどきおもしろい発見がありそう。近年にない収穫です。

※記事中、|重|、|商| のように表記した箇所は、実際には丸付き文字です。

10:14 午後 書籍・雑誌 翻訳・英語・ことば | | コメント (0)

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