# 辞書サービス「DONGRI」
「DONGRI」というかわいい名前の辞書アプリがあります。
物書堂の「辞書」と同じように、購入した辞書を1つのアプリで使えるタイプですが、辞書ラインアップがあまり翻訳者向きではなかったので、こちらでは紹介していませんでした。
こんな感じです。「翻訳者向きではない」と書きましたが、主に学校向けのサービスなので、学習辞典が充実しています。私も、限定的な用途で少しだけ使っていました。
このサービスに研究社の『コンパスローズ英和辞典』が入るとしばらく前から聞いていましたが、この5月にようやく実装されました。しかも、iOS/Androidのアプリだけではなく、Web版とWindows版もあるというので<さっそく使ってみることにしました。
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まず、運営会社EAST EDUCATIONのサイトからDONGRIのページにアクセスし、アカウントを作成して「マイページ」を使えるようにします。
次に、「一般のお客様」を選択して下にスクロールしてください。
「ラインアップ」で、どんな辞書があるのか確認できます。ここでわかるように、DONGRIの辞書は買い切りではなく、3か月/6か月/1年ごとのサブスクリプションサービスです。
※iOS版DONGRIの辞書は買い切り、つまり物書堂などと同じです(学校ライセンスだと違うのかもしれません)。ここがちょっとややこしいので、また改めて補足します。
英語系のなかで翻訳者も使うタイトルは、
『ジーニアス英和 第5版』(和英もセット)
『ウィズダム英和辞典 第4版』(和英もセット)
『コンパスローズ英和辞典』
『コウビルド英英(Advanced 米語版)』
『コウビルド英英(Learner's 英語版)』
あたりでしょう。
ただ、ライセンス料はタイトルによってずいぶん違います。ジーニアスとウィズダムは、率直に言ってけっこう割高(「学校のお客様」は、ライセンスの設定も値段も違います)。翻訳者であれば、ジーニアスならLogoVista版(7,700円)か物書堂版(5,140円)、ウィズダムなら物書堂版(4,040円)か書籍版(Web版付き、3,850円)という選択肢もあります。
私が必要だったのは、『コンパスローズ英和辞典』。
ほかでは電子版が出ていない
からなのですが、こちらはジーニアスやウィズダムに比べるとずいぶん安く済みます。
ほぼ同列の学習辞典(書籍版も価格はまったく同じ)で、価格がここまで違うのは珍しい気がします。ジーニアスは、今でもいちばん売れている学習英和だそうなので、その分、大修館さんが強気なんでしょうか ^^;
また、COBUILDは2種類ありますが、どちらも米語版で、Advanced Learner'sとLearner'sがあることに注意してください。私たち翻訳者がふだん使っているCOBUILDはAdvanced Learner'sです。辞書ごとに確認できる詳細ページを見ると、CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)レベルで
Advanced Learner's がB2以上
Learner's がA2/B1以上
と書かれています。米語版だけなのは、中高の学校英語が米語ベースだからかなぁ。
国語系には、
『明鏡国語辞典 第二版』
『新明解国語辞典 第七版』
『現代国語例解辞典 第五版』
などがあります。『大辞林』は最新の第四版ではなく、第三版ベースです。
注目は『現代国語例解辞典 第五版』で、これも電子版はここにしかありません。類義語の解説が充実しているので、私もたびたび使っている国語辞典のひとつです。
使いたい辞書を購入(カートに入れる → カートに進む)すると、マイページに(ログインして)切り替わり、そこから最終的な購入手続きをすることになります。
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ここからは、実際の使い方です。まず、マイページにログインしている必要があります。EAST EDUCATIONにはほかのアプリもあるので、アプリを選択する画面から始まります。
アプリを選択したら、そこから先が辞書の画面です。なかなか端正なインターフェースで、なかなか好印象。
辞書は左上のドロップダウンで切り替え、
検索オプションは右側のドロップダウンで切り替えます。使えるオプションは辞書ごとに違います。この点は、EPWING仕様の辞書のインデックスが異なるのと同じ。
語句を検索すると、該当する項目の一覧が出てから先に進むので、たとえば「で始まることば」にして come を引くと、
こうなり、選択すると本文に進みます。
おもしろいのは、コンパスローズの場合、書籍版の見た目がほぼ再現されていること。思わずスキャン画像か? と疑いましたが、そんなことはなく、ちゃんとページ内の検索もききます。『現代国語例解辞典』も、ほぼ書籍と同じ見かけです。
COBUILD Advanced は、物書堂版と比べると、表示のしかたがだいぶ変わっています。
残念なのは、Web版だと「串刺し検索」にならないところですね。iOS版だと、アイコンを切り替えるだけで辞書を移動できるのですが、Web版は(今のところ)同じようには動いてくれません。
そのiOS版については、記事を改めることにしますが、ひとつだけ。Web版としてサブスクリプションサービスを購入した辞書は、iOS版でも使えるようになります。
ということで、まだ開発途上という印象もありますが(たとえば、マイページから直接は辞書を購入できないなど)、
・ほかでは電子版がないタイトルがある
・Web版とiOS/Android 版を使える(端末は3台まで)
という点が、なかなかの魅力です。
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