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2020.06.28

# では、有料の辞書サイトだったらどこまでいける?

前回の記事、

「# 無料の辞書サイトでどこまでいける?」

の最後にまとめた総論をもう一度引用します。

無料で使える辞書サイトは―
英英は◎ 学習レベルから一般レベルまで、無料サイトだけでも十分
英和・和英は× 無料サイトだけではどうにもなりません
・国語は△ 大辞泉、大辞林は役に立ちますが、小型国語辞典は必要です

これでわかるように、英和・和英と国語を補完しなければなりません。

では、有料の辞書サイトまで広げてみたら、上記の不足分を補完して、翻訳者としていちおう恥ずかしくない

最低限の辞書環境

そろえられるのでしょうか。そろえられるとしたら、

どのくらいの投資が必要

なのでしょうか。

有料の辞書サイト一覧

まず、有料の辞書サイトにどんなものがあるか、いくらかかるのかを一覧にしてみます。料金はすべて税込みです。

ジャパンナレッジ
JKパーソナル …… 16,500円/年
JKパーソナル+R …… 22,000円/年
※JAT、JTFの会員は2割引き

研究オンライン・ディクショナリー KOD
個人スタンダード …… 6,050 円/年
個人アドバンスト …… 12,100円/年


このほか、三省堂にも有料サイトはあるのですが、今年の9/30で終了になると発表されているので今回は除外しました。

DONGRI
辞書ごとに購入。1コンテンツあたり1,000円/年前後から。

三省堂デュアル・ディクショナリー
サイト自体は無料だが、書籍辞書の購入が必要

Oxford English Dictionary
$295/year
前々回の記事で詳しく書きました。

Merriam Webster Unabridged
$29.95/year
前回の記事で軽く触れています。


最後の2つは英英の一般辞典で、ここまでは要らないという人も多そうなので除外し、国内の辞書サービスに限って見ていくことにします。

なお、前回の無料サイトにはありませんでしたが、「専門辞典」というカテゴリーも加えています。有料サイトになると、専門系の辞書も充実してくるのが特長のひとつだからです。


ジャパンナレッジ

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(クリックで拡大できます。以下同)

詳しくは、コンテンツ一覧をご覧ください。アスタリスク*を付けたコンテンツは、「パーソナル+R」で使えます。

英和・和英辞典のラインアップ:
『ランダムハウス英和大辞典』
『プログレッシブ英和第5版、和英第4版』
『ビジネス技術実用英語辞典V6』(うんのさん)*

専門辞典のラインアップ:
研究社『理化学英和辞典』*
研究社『医学英和辞典』*
小学館『SPED理工系英和辞典』*
小学館『プログレッシブビジネス英語辞典』*

国語辞典のラインアップ:
小学館『日本国語大辞典第2版』
小学館『デジタル大辞泉』
小学館『デジタル大辞泉プラス』

ランダムハウスをオンラインで使えるのは、現在ここだけです。プログレッシブは、コトバンクより版が1つずつ上がっています。うんのさんは、パーソナル+R コースでないと使えませんが、オンライン版は更新が続いています。

このほか、+R にすると各種専門辞書がぐっと増えるので、6,000円弱の差額分の価値は十分あります。+Rで増える専門辞典のうち、『プログレッシブビジネス英語辞典』は、日向清人さんも執筆に加わっている名辞典の電子版です。

国語辞典は、日国を除くと無料のコトバンクと変わりません。日国は、あればもちろん便利なのですが、さらに上級向けという位置付け。ひとまず辞書をそろえたいというニーズから考えると、翻訳者必携というほどではないでしょう。

(帽子屋よりひと言)
残念ながら、総合的には文句なくトップランクと言えるジャパンナレッジも、こと英和・和英に関しては△です。英和・和英の拡充という目的だけ考えると、お薦めからやや外れてしまいます。国語辞典も一般的には十分ですが、翻訳者の用途を考えると、まだ△です。一方、専門辞典の充実ぶりは、他のサイトの追随を許しません。


研究オンライン・ディクショナリー KOD

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アスタリスク*をつけたコンテンツは、「アドバンスト」で使えます。上のスクリーンショットで選択できないのがアドバンストのコンテンツです(私はスタンダード契約なので)。

英和・和英辞典のラインアップ:
研究社『新英和大辞典第6版』
研究社『新和英大辞典第5版』
研究社『リーダーズ第3版+プラス』
研究社『ルミナス英和・和英』
研究社『新編英和活用大辞典』*

専門辞典のラインアップ:
研究社『英和コンピュータ用語辞典』*
研究社『理化学英和辞典』*
研究社『医学英和辞典』*

国語辞典のラインアップ:
三省堂『スーパー大辞林3.0』
研究社『日本語表現活用辞典』*
研究社『類義語使い分け辞典』*

翻訳者必携の新英和・和英大辞典とリーダーズがオンラインで使えるのはここだけです。これだけでも、使う価値は十分。そのうえ、オンラインの特性を生かして、新語も定期的に追加されています(Oxford や Merriam Webster ほどの早さはありませんが)。

アドバンストコースにすると専門辞典が増える点はジャパンナレッジと同じですが、日英翻訳に欠かせない『新編英和活用大辞典』も使えるようになります。また、国語系も増えるのがKODの特長です。

『日本語表現活用辞典』は、こちらの書籍の電子版。

また、『類義語使い分け辞典』の元本はこれ。

(帽子屋よりひと言)
翻訳者必携の英和・和英をオンラインでそろえる、という条件だけ考えれば、KODは唯一の選択肢となります。こちらも、どうせならアドバンストにして専門辞典も利用できるようにするといいのかもしれません。


DONGRI

少し前に記事を書きました(# 辞書サービス「DONGRI」)。

辞書コンテンツを年間ライセンスで購入するタイプです。学習者(小中高生)がメインのターゲットなので、翻訳者ご用達のコンテンツは多くありません

ただし、どこでも電子化されていない『現代国語例解辞典』があります。それも含めて、『明鏡国語辞典 第二版』と『新明解国語辞典 第七版』もあるので、オンラインで小型国語辞典を使いたいというニーズなら、ここしかありません。

『明鏡国語辞典 第二版』1,100円/年
『新明解国語辞典 第七版』980円/年
『現代国語例解辞典』980円/年

と、お値段も手頃です。『明鏡国語』の再現性もなかなかです。

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三省堂デュアル・ディクショナリー

サイト自体は無料で、

書籍辞書を購入すれば利用できる

という変わったサービスです。『ウィズダム英和辞典』のほかにもコンテンツはありますが(多くありません)、ウィズダムのためだけに利用しても十分に元が取れるサービスです。ちなみに、ウィズダムに関しては、第2版~第4版までそろっています。

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(帽子屋よりひと言)
個人的には、ある意味、最も理想的な辞書サービスの形態だと思っています。学習英和辞典は、やはり紙で引きたいときが少なくありません。基本語などを集中的に読みたい場合などです。その一方で、オンラインの手軽さも捨てられない。その両方を満たしてくれるからです。『三省堂国語辞典 第七版』もぜひ収録してほしい。


以上が有料の辞書サイト。思いのほか少ない。ちなみに、英辞郎にもWeblioにも有料版はありますが、ちょっと趣旨が違うので今回も取り上げていません。

さて、無料で足りなかった分を、有料サイトで補完できたでしょうか。

●英和・和英辞典
まず選択肢になりそうなのは、KODのスタンダードでしょうか。6,050 円/年ですから、まだ初期投資が厳しい学習段階などでも手が届きそうです。ただし、三大英和のうち『ランダムハウス英和大辞典』と『ジーニアス英和大辞典』はあいかわらず欠けたままなので、翻訳者の辞書環境としては、ぎりぎり最低限です。

もう少し余裕があるなら、ジャパンナレッジのパーソナル+R なのですが、22,000円/年というのはかなり割高感があるでしょうか。他のヨーロッパ語もときどき扱うとか、いろいろな分野を相手にするので百科系が必要という方にはお薦めなのですが……。

学習英和は、ルミナスとプログレッシブばっかりです。ウィズダムの書籍版を買って、ぜひデュアル・ディクショナリーを使いましょう。


●国語辞典
有料まで広げても、一向にそろわないのが国語辞典です。どうも、世間的には中辞典とか大辞典があればいいだろうという認識なのでしょうか。

「辞書に限っては、大が小を兼ねない」というのは、出版社側として当然の常識のはずなのに、小型の国語辞典がどうも冷遇されています。そんななかで唯一DONGRIだけは、小型国語辞典が充実しています。『明鏡国語辞典』と『現代国語例解辞典』の2冊を使うためだけでも、利用する価値があります。


●専門辞典
専門辞典は、KODでもジャパンナレッジでも、上級コース(アドバンスト、+R)にしないと使えないようになっています。はなっから、専門辞典は投資の対象という前提のようです。


以上、前回と今回とで「無料と有料の辞書サイト」をまとめてご紹介しました。翻訳者として仕事をしていける辞書環境をそろえるには、やはりまだ足りません。

では、オンライン以外の辞書に、あとどのくらい投資すればいいのでしょうか。次の記事をお待ちください。

p.s.

個人的には、オンラインでどれだけそろったとしても、それだけで安心はできないと考えています。無料サイトは、明日いきなりサービスが終了しても文句が言えません。実際、『ランダムハウス英和大辞典』はしばらく前まで、無料のgoo辞書で使えましたが、何の予告もなく、いきなり消えてしまいました。

有料サイトでも、サービスの終了(今回の三省堂のように)もありますし、先方のサービスが落ちたり、最悪のシナリオとして自分のネット接続が不調になったりしたら、たちまち使えなくなってしまいます。

それでは、プロが使う道具

とは言えない、そんな気がします。

05:35 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | | コメント (0)

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2020.06.27

# 無料の辞書サイトでどこまでいける?

前回は、オンライン辞書のなかでもおそらく最も料金の高いサイトを取り上げました。そこで、今回は逆に

無料の辞書サイトで、どこまでまかなえるか

を考えてみます。オンライン辞書については、これまでも何回かご紹介していますが(参照:オンライン辞書サイトを比較してみた)、情報は毎回新しくなっているので、何度やってもいいでしょう。

なお、英辞郎とWeblioは取り上げていません。自己責任でお使いください ^^;

無料で使える辞書サイト

コトバンク

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(クリックで拡大できます。以下同)

国内の無料辞書ポータルとしては最大です。収録されている辞典・事典の一覧はこちら。更新情報も載せているので、辞書ポータルとしては良質と言えます。

【概要】
国語辞典と百科事典は充実しています。英語系は学習レベルのみ

【英語系コンテンツ】
小学館『プログレッシブ英和中辞典(第4版)』
小学館『プログレッシブ和英中辞典(第3版)』

プログレッシブの最新は英和が第5版(2012年)、和英が第4版(2011)ですが、学習辞典という目的からは問題ないでしょう。

(帽子屋からひと言)
学習英和としては悪くありませんが、さすがに、翻訳者として使う以上これだけではどうにもなりません。コトバンクは小学館系列のサイトなのですから、せめて『ランダムハウス』が入ってくれたら、それなりに翻訳者ご用達になると思うのですが……

【国語系コンテンツ】
小学館『デジタル大辞泉』
小学館『デジタル大辞泉プラス』
三省堂『大辞林 第三版』
小学館『精選版 日本国語大辞典』

大辞泉シリーズは、どちらもオンラインで更新され続けているので、版の表示はありません。『デジタル大辞泉プラス』は、

人物・企業・商品・文学や映画などの作品・作中人物・観光スポットなどを広く集めた「固有名詞に特化した辞典」

なので、映像とかエンタメ系の翻訳者には便利です。

『大辞林』も、最新は第4版(2019)ですが、翻訳者が使う国語の中辞典としては『広辞苑』より向いています。

『精選版 日国』は、なんで無料で使えるの? というラインアップですが、翻訳者が常用する国語辞典ではありません。

(帽子屋からひと言)
翻訳者に必要なのは、大~中規模の国語辞典よりむしろ小型国語辞典です。語法にうるさい『明鏡国語辞典 第二版』(大修館)や、現代日本語の相をよく反映している『三省堂国語辞典 第七版』『新明解国語辞典 第七版』(三省堂)などが別途必要です。

【百科系・現代用語系コンテンツ】
小学館『世界大百科事典 第2版』
ブリタニカ・ジャパン『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』
小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』
朝日新聞出版『知恵蔵』

百科系は、ほぼ十分という感じです。

その他、人名事典とか、各種のビジネス系用語辞典も収録されています。よくも悪くも、とりあえずまず調べてみるサイト、と位置付けておけそうです。


ルミナス英和・和英辞典

ご存じのように、研究社にはKODという有料の辞書サイトがあります。『ルミナス英和・和英』はそちらにも収録されていますが、なぜかルミナスだけは無料版もあります(明記されていないが、内容は第二版のはずです)。

(帽子屋からひと言)
無料で使える英語系のコンテンツは、以上で終わりです(Weblioには少しある)。三大英和辞典やリーダーズなど、翻訳者として必携と言えるメインの辞典は、オンラインだろうとインストール版だろうと、やはりお金を出してそろえる必要があります。

ここからしばらくは、英英辞典が続きます。


Collins Dictionary

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同じサイトで、COBUILD(学習英英)も、English版、American版も一度に見られるのが便利です。上の図は、私がよくCOBUILDの特徴を説明するために示す insight の例です。COBUILDの「センテンス定義」がなぜ英語学習者にとって、ひいては日英翻訳にも有益か、この例でおわかりいただけると思います。

If you gain insight or an insight into a complex situation or problem, you gain an accurate and deep understanding of it.

① 可算としても不可算としても使える名詞であること、② gainという動詞を使うこと、③ 後ろの前置詞には into を使うこと、という文法・語法まで、意味と同時にわかるわけです。

さらには、コロケーションとかトレンドといった情報も載っていて、情報はなかなか充実しています。

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(帽子屋からひと言)
英英の辞書サイトとして必ず押さえておきたい筆頭です。なお、しばらく前からEBWin4では表示できなくなっています。表示できないだけではなく、EBWin4自体が死んでしまうので、いったん[Web辞書の編集]機能で[Enabled]のチェックを外しておくといいでしょう。

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Cambridge Dictionary

辞書特集などでもあまり名前はあがってこないのですが、Cambridge University による辞書サイトです。イメージ的に古そうな印象があるかもしれませんが、ちゃんと新しい単語や語義も載っています。

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ちなみに上の例は、「プレスカンファレンス」の意味の presser です。現時点で、英和辞典にはほぼどれにも載っていません。

おもしろいのは、BUSINESS としてときどきビジネス系の語義が載っていること。

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予想以上に、産業翻訳にも使えるということです。

(帽子屋からひと言)
学習英英として、Cambridge Advanced Learner's Dictionary 3rd(CALD3)が手元にありますが、その内容をベースに新しい単語・語義が追加されているので、思いのほか重宝します。用例も豊富。なお、English-Japanese にも対応していることになっていますが、出てくる日本語は……まあ、期待できません^^


LONGMAN

macmillan dictionary

語義説明の流儀によって、お好みでどうぞ。個人的に、Macmillan の平易さはけっこう好きです。

(帽子屋からひと言)
Macmillan のほうは最近、新語に強くなりました……と思ったら、どうやら読者投稿による語義が載るようになったようです。これは鵜呑みにはできません。


Merriam Webster

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"Webster"という名前は、紆余曲折を経て、辞書を表す一般名詞になってしまいましたが、こちらはいわゆる「Webster の大辞典」(Webster's Third New International Dictionary)の伝統を継ぐ本家 Merriam Webster のサイトです。さすがに、新語対応が早い。内容は Collegiate 版に当たります


Merriam Webster Learner's Dictionary

Merriam Webster 版の学習英英です。学習英英といっても、Longman やCOBUILDより定義がネイティブ向けに近く、こちらのほうがしっくり来るときも、よくあります。

(帽子屋からひと言)
LogoVista から出ている『メリアム・ウェブスター英英辞典』は、上の学習英英に当たります。製品名称が非常によろしくない。また、上の2つとは別に、Webster's Third New International Dictionary に当たる Unabridged 版は、有料サイトとして公開されており、しかもオンラインで更新が続いています。第4版が出る見込みはまずないということでしょう。


Oxford Dictionary

ちょっと、入口が使いにくくなった印象です。ODE(Oxford Dictionary of English)に相当する無料版は、Lexicoという名前になりました。

LEXICO

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こちらも新語対応が早く、Thesaurus や Grammar へのリンクもあります。Oxford はもちろんイギリス英語のサイトですか、US にも対応しています。

(帽子屋からひと言)
Oxford系の辞書といえば青系、だったのですが、Lexico では基調が緑になりました。何があったのでしょうか^^


Wordsmyth

ご紹介するのは初めてです。しばらく前に見つけたのですが、一般の出版社系ではなく、Robert Parks さんという人が始めたプロジェクトから生まれ辞書サイトのようです。

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このサイトでおもしろいのが、検索フィールドの下にある
・Beginner's Dictionary
・Intermediate Dictionary
・Advanced Dictionary
というレベル選択の機能です。たとえば、同じく insight を[Beginner]で引いてみると、

definition 1: the power to understand deep meanings or truths.
definition 2: an instance of this power.

と定義されています。1と2の違いは、COBUILDが "insight or an insight" と説明していた可算/不可算の違いに当たります。レベルを[Advanced]にしてみると

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definition 1: the power of mind to grasp an essential meaning or truth.
definition 2: the understanding or knowledge of essential meanings or truths.

とだいぶ詳しくなります。こんな風に、レベルを変えて説明されていると多角的に把握しやすくなることがあるので、とらえにくい単語に遭遇すると、ときどき使っています。


ライフサイエンス辞書

名称とは違い、科学一般の語句に広く対応しています。

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英和・和英のインターフェースだけ使っていると、ただの用語集くらいにしか見えませんが、[シソーラス]に切り替えると、類語ではなくいろいろな関連用語が見つかります。また、[コーパス]にすると、

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膨大な数のコーパスを見ることができます。

(帽子屋からひと言)
『ライフサイエンス辞書』は、毎年EPWINGデータも販売されています。絶滅危惧種のEPWING仕様を応援したい方は、こちらの購入もご検討ください。


DictJuggler.net 辞遊人

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一見すると、古風な辞書ポータルといったインターフェースなのですが、ここにある「翻訳訳語」は、たいへん貴重な辞書です。詳しくは、こちらの説明をご覧ください。


以上、無料で使える辞書サイトについてまとめると、こういうことになります。

・英英は◎ 学習レベルから一般レベルまで、無料サイトだけでも十分。
・英和・和英は× 無料サイトだけではどうにもなりません
・国語は△ 大辞泉、大辞林は役に立ちますが、小型国語辞典は必要です。

02:04 午前 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | | コメント (0)

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2020.06.26

# OEDのオンライン版~まさに格の違い~

3月くらいから、Oxford English Dictionary(OED)のオンライン版を使い始めました。

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通常のサブスクリプション料金は年間215ポンドまたは295ドルと、国内辞書サイトで最も高いジャパンナレッジと比べても、かなりいいお値段です。

さすがにこの値段だし、手元にはCD-ROM版の『OED 2nd』がある(こちらでも、2006年くらいまでの比較的新しい語句が Draft Entry として収録されている)ので、今まで見送っていたのですが、3月頃ふと見たら、割引きキャンペーン中でした(来年の3月いっぱいやってます)。なんと

年間90ポンド!

当然その先は通常料金に戻るのでしょうが、それでもこれはお試しのいい機会、ということで使い始めました。

結論から先に書くと、産業翻訳者にも間違いなく役に立ちます。私は、来年以降も正規料金で使い続ける予定です。それ以上に、ひと言で言って、

辞書(サイト)としての格の違い

をまざまざと見せつけられた思いです。

「世界最大の辞書」の名にふさわしい内容は言わずもがな、辞書サイトとしての機能という点でも、他のサイトを圧倒しています。


まず、インターフェースに品があります。日常的に使う以上、これって実は重要。

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(クリックで拡大できます。以下同)

検索フィールドのほか、最新の更新情報なども載っていることがひと目でわかります。

たとえば、私がつい先日調べた presser という単語を引いてみます。

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最初の検索結果ページでは、
・2 つのエントリがあること、
・各エントリの概要(最初の2行)
などが示されます。それだけではなく、Widen search? として、いま調べている単語を phrase 検索する、definition の中から検索する、full text 検索するなどのオプションが並んでいます。

しかも、ページの右のほうにはさらにオプションが表示されていて、いろいろな観点で検索を絞り込むことができます。

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今回探していたのは、noun の2番目です。そちらをクリックしてみると、

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いわゆる「プレスカンファレンス」を意味する口語ということがわかります。ちなみにこの語義、今のところ英和辞典ではどれにも載っていません。英辞郎くんも含めて。一方、英英だと American Heritage とか Cambridge、Merriam Webster に載っていました。英語圏の辞書サイトと、日本の各出版社との間で時差がある一例でしょう。

項見出しのすぐ下には、View as: Outline | Full entry というスイッチがあります。右上にはQuotations: Show all | Hide allという切り替えもあり、もちろん Thesaurus などへのリンクもあります。

ページの右端には、前後の見出しも出ています。

そして、「辞書(サイト)としての格の違い」の最たるポイントが、

This is a new entry (OED Third Edition, March 2019).
Entry history
Entry profile

と書かれた部分。この見出しがいつ収録されたか、初出の用例はどこから採取したかといった詳しい情報が載っています。

まあ、ふつうに辞書を使っている分には、こんなところまで見ることはそうそうないかもしれませんが、この例のように新しい語義だと、「いつ頃から使われてるんだろ?」と疑問に思いますよね。そういう情報がちゃんと載っている。


別の例として、authenticate という動詞を引いてみます。

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6. の語義 Computing というラベルで、IT の文脈に出てくる意味がちゃんと載っています。自動詞も他動詞もあり、初出は1977年の Computerworld。IT 屋さんにはおなじみの雑誌名ですね。1993年の用例も UnixWorld

そして、ここで注目なのが、右のほうにある書誌情報(←この用語の使い方はあってるのかな……)です。

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この項目が2014年6月に更新されていることがわかるだけでなく、Previous version: OED2 (1989) というリンクもあります。そう、

旧版の様子まで見られる

のです。これって、すごくないですか? 「格の違い」ということを、わかっていただけたでしょうか。

OEDの偏執狂的なまでの編集方針については、ご存じの方も多いと思います。

とか、

あるいは

が参考になります。OEDの背景にある哲学を簡単には言い表すことはとてもできませんが、

英語という言語の、時間的にも空間的にも広大な世界に散らばっている、そしと次々と現れる無数の言葉の実相を記録にとどめておきたい

そんな執念が形をとったものと言えます。その執念が、オンラインでも見事に再現されている、そんな感じがします。

OEDなんて、英文学の専門家くらいしか使わないんじゃん?――

OEDという辞書の存在は知っていても、大半のイメージはこんなものではないでしょうか。でも、繰り返しますが、産業翻訳者にも間違いなく役に立つはずです。ためしに、

Updates to the OED

のページを見てみてください(こちらはサブスクライブしてなくても見られます)。今年4月だけでも、

Covid-19
infodemic
self-isolate/isolation
self-quarantine
social distancing

などが追加されています。

08:33 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | | コメント (0)

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2020.06.20

# 日本通訳翻訳フォーラム2020(JITF)のご案内

日本会議通訳者協会(JACI)が主宰するオンラインイベントのご案内です。

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日本通訳翻訳フォーラム2020

8月のまる1か月をかけて開催するという、通訳翻訳業界としてはおそらく史上最大規模のイベントになります。

申し込みサイトはこちら。早割は本日まで。


なお、こちらは

「翻訳フォーラム」のイベントではありません。

翻訳フォーラム」(http://www.fhonyaku.jp/)は毎年5月末に「シンポジウム」を開催していましたが、今年は中止になったことをお伝えしたばかりです。

また、略称はJITFで、

日本翻訳連盟(JTF)のイベントでもありません。

とは言いつつ、私も登壇しますし、翻訳フォーラムの4人(高橋さきの、井口耕二、深井裕美子、高橋聡)も登壇します。さらに、高橋さきの、深井裕美子のセッションもそれぞれあります。

翻訳フォーラム:「翻訳者のなり方・続け 方」
高橋さきの、白倉淳一:「翻訳者と通訳者が語順について語る」
深井裕美子:「パンクチュエーションのひみつ」
高橋聡:「翻訳者と辞書」

そのくらい、通訳・翻訳業界を広く巻き込んだイベントになる予定です。ということで、かなり豪華な顔ぶれです。

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(クリックで拡大できます)

翻訳フォーラムのYouTubeチャンネルでも、さっそく4人で紹介しています。

オンラインということで、いつものイベントとは違った雰囲気になると思いますが、お楽しみに!

06:24 午後 翻訳・英語・ことば | | コメント (0)

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2020.06.05

# 「DONGRI」のアプリ版~これからが楽しみ~

前回のWeb版 DONGRI に続いて、以前からあった iOS版の「DONGRI」アプリもご紹介します。

※Android版もあるのですが、使える環境を持っていないのでご紹介できません。たぶん、設定や操作は同じはず……。

これまでアプリ版を使っておらず、これからWeb版と一緒に使うという場合は、特にややこしいことはなさそうです。途中までは、前回と同じで、

  1. DONGRIの公式ページで、「一般のお客様」からユーザー登録する(「マイページ」を作成する)。
  2. 必要な辞書ライセンスを購入する。
  3. iOS アプリをダウンロードして設定する ← これを追加。

こんな流れになります。

アプリについては、「一般のお客様」をずずずいーっと下までスクロールすると、書いてあります。

iOS版はこちら。

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Android版はこちら。

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少しだけややこしいのは、すでにDONGRIアプリを使っていた場合です。

前回、最初に示したスクリーンショット、

2006031_20200605191101

ここにある4つは、私がアプリ上ですでに購入していた、いわば "買い切り" の辞書タイトルです。今でも、アプリ上で辞書を購入する場合は "買い切り" になります。

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ここから購入に進むと、

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こうなるので、長く使うことを考えると、買い切りのほうがお得です(ただし、Web版では使えない。後述)。


Web版は期間ライセンス、アプリ版は買い切りライセンスなので、このままでは連携しない気はしていたのですが、アプリの「…」メニューに「ログイン」というのがあるので、とりあえず、ここを開いてみました。

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すると、[グループ]というフィールドがあってお手上げ。ログインできません。この時点でサポートに問い合わせたところ、[ログイン]画面の右下にある歯車アイコンから[アカウント設定]に進み、[一般アカウント]に切り替えるということでした。

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なるほど! アプリもやはり学校向けが基本で、アカウントもデフォルトでは学校アカウントになってるんですね。

アカウントを切り替えてから[ログイン]に戻ると[アカウント]と[パスワード]だけのログイン画面になり、ログインできました。ログインして辞書一覧を見ると、

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このように、もともとあった買い切りのタイトルに加えて、ライセンス購入したタイトルも表示されました(ログアウトすると、買い切りタイトルだけに戻ります)。


逆に、アプリ上で買い切り購入したタイトルは、Web版には出てこないので、この点はご注意ください。

整理すると、

・ライセンス購入 した辞書 …… Webでもアプリでも使える
・買い切り購入した辞書 …… アプリのみで使える

ということです。この点が今後変わるのかどうかは、注目したいところです。

さて、肝心な辞書の引き方です。

左下の虫めがねアイコンをタップすると検索できます(検索オプションも、ここで表示されます)。 左カラムに並んでいる辞書アイコンをタップしてからでも、タップしてなくても(意識してなくても)かまいません。

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検索結果の一覧が表示されている段階で、辞書アイコンを切り替えれば辞書を移動できます。つまり、「串刺し検索」ができることになります。検索結果をタップすると本文に移動します。

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本文表示はタブ形式になっているので、複数の辞書を引き比べるときとても便利。この点は、物書堂よりいい感じです。ただし、タブ表示で残念なのは、同じ辞書を選んだとき、すでに開いているタブに切り替わるのではなく、同じ本文のタブが追加されてしまうこと。上のスクリーンショットでは、『ジュニアアンカー』の「lap」のタブが2つ表示されています(画像はクリックで拡大)。

タブに出ていない辞書をさらに引きたい場合は、左下の虫めがねアイコンをタップして検索画面に戻るだけです。

検索オプションのいちばん右に指さしアイコンがある点もご注目。手書き入力から検索できる。電子辞書端末によくある機能で、漢字を調べるときに便利。これも物書堂にはない機能です。

ちょっと残念なのは、検索画面に出てくる[閲覧履歴]ボタン。検索画面で履歴が出てくるのではなく、検索結果のタブ画面が表示されます。つまり、履歴を見るだけで、履歴から再検索するという動きにはならないところです。


虫めがねアイコンの隣にある三本線アイコンをタップすると、アルファベット順/五十音順の索引やコラム、「この辞書について」「付録」などのメニューがあります(当然、辞書によって違います)。


本文の画面では、本文中の語句をタップするとその語句にジャンプするという便利な機能があります。ただし、発音記号があったりするとうまく動かないなど、惜しい点もあります。


ということで、現時点の完成度は「それなり」ですが、学習者向けらしい配慮もあり、今後が楽しみです。

他のプラットフォームにない、

書籍版しかない辞書タイトル

が増えていくといいなぁ。

07:37 午後 辞典・事典 | | コメント (0)

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2020.06.03

# 辞書サービス「DONGRI」

「DONGRI」というかわいい名前の辞書アプリがあります。

物書堂の「辞書」と同じように、購入した辞書を1つのアプリで使えるタイプですが、辞書ラインアップがあまり翻訳者向きではなかったので、こちらでは紹介していませんでした。

こんな感じです。「翻訳者向きではない」と書きましたが、主に学校向けのサービスなので、学習辞典が充実しています。私も、限定的な用途で少しだけ使っていました。

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このサービスに研究社の『コンパスローズ英和辞典』が入るとしばらく前から聞いていましたが、この5月にようやく実装されました。しかも、iOS/Androidのアプリだけではなく、Web版とWindows版もあるというので<さっそく使ってみることにしました。

まず、運営会社EAST EDUCATIONのサイトからDONGRIのページにアクセスし、アカウントを作成して「マイページ」を使えるようにします。

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次に、「一般のお客様」を選択して下にスクロールしてください。

「ラインアップ」で、どんな辞書があるのか確認できます。ここでわかるように、DONGRIの辞書は買い切りではなく、3か月/6か月/1年ごとのサブスクリプションサービスです。

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※iOS版DONGRIの辞書は買い切り、つまり物書堂などと同じです(学校ライセンスだと違うのかもしれません)。ここがちょっとややこしいので、また改めて補足します。

英語系のなかで翻訳者も使うタイトルは、

『ジーニアス英和 第5版』(和英もセット)
『ウィズダム英和辞典 第4版』(和英もセット)
『コンパスローズ英和辞典』
『コウビルド英英(Advanced 米語版)』
『コウビルド英英(Learner's 英語版)』

あたりでしょう。

ただ、ライセンス料はタイトルによってずいぶん違います。ジーニアスとウィズダムは、率直に言ってけっこう割高(「学校のお客様」は、ライセンスの設定も値段も違います)。翻訳者であれば、ジーニアスならLogoVista版(7,700円)か物書堂版(5,140円)、ウィズダムなら物書堂版(4,040円)か書籍版(Web版付き、3,850円)という選択肢もあります。

私が必要だったのは、『コンパスローズ英和辞典』

ほかでは電子版が出ていない

からなのですが、こちらはジーニアスやウィズダムに比べるとずいぶん安く済みます。

ほぼ同列の学習辞典(書籍版も価格はまったく同じ)で、価格がここまで違うのは珍しい気がします。ジーニアスは、今でもいちばん売れている学習英和だそうなので、その分、大修館さんが強気なんでしょうか ^^;

また、COBUILDは2種類ありますが、どちらも米語版で、Advanced Learner'sLearner'sがあることに注意してください。私たち翻訳者がふだん使っているCOBUILDはAdvanced Learner'sです。辞書ごとに確認できる詳細ページを見ると、CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)レベルで

Advanced Learner's がB2以上
Learner's がA2/B1以上

と書かれています。米語版だけなのは、中高の学校英語が米語ベースだからかなぁ。


国語系には、

『明鏡国語辞典 第二版』
『新明解国語辞典 第七版』
『現代国語例解辞典 第五版』

などがあります。『大辞林』は最新の第四版ではなく、第三版ベースです。

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注目は『現代国語例解辞典 第五版』で、これも電子版はここにしかありません。類義語の解説が充実しているので、私もたびたび使っている国語辞典のひとつです。


使いたい辞書を購入(カートに入れる → カートに進む)すると、マイページに(ログインして)切り替わり、そこから最終的な購入手続きをすることになります。

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ここからは、実際の使い方です。まず、マイページにログインしている必要があります。EAST EDUCATIONにはほかのアプリもあるので、アプリを選択する画面から始まります。

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アプリを選択したら、そこから先が辞書の画面です。なかなか端正なインターフェースで、なかなか好印象。

辞書は左上のドロップダウンで切り替え、

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検索オプションは右側のドロップダウンで切り替えます。使えるオプションは辞書ごとに違います。この点は、EPWING仕様の辞書のインデックスが異なるのと同じ。

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語句を検索すると、該当する項目の一覧が出てから先に進むので、たとえば「で始まることば」にして come を引くと、

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こうなり、選択すると本文に進みます。

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おもしろいのは、コンパスローズの場合、書籍版の見た目がほぼ再現されていること。思わずスキャン画像か? と疑いましたが、そんなことはなく、ちゃんとページ内の検索もききます。『現代国語例解辞典』も、ほぼ書籍と同じ見かけです。

COBUILD Advanced は、物書堂版と比べると、表示のしかたがだいぶ変わっています。

残念なのは、Web版だと「串刺し検索」にならないところですね。iOS版だと、アイコンを切り替えるだけで辞書を移動できるのですが、Web版は(今のところ)同じようには動いてくれません。

そのiOS版については、記事を改めることにしますが、ひとつだけ。Web版としてサブスクリプションサービスを購入した辞書は、iOS版でも使えるようになります。

ということで、まだ開発途上という印象もありますが(たとえば、マイページから直接は辞書を購入できないなど)、

・ほかでは電子版がないタイトルがある

・Web版とiOS/Android 版を使える(端末は3台まで)

という点が、なかなかの魅力です。

03:56 午後 辞典・事典 | | コメント (0)

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