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2019.09.23

# EBWin4 v4.7.2 - 短縮名の完全制御が可能に!

辞書ブラウザ「EBWin4」、8月28日に最新版が公開されていました。Ver.4.7.2です。

リンク:EBWin4

4.7.0でドッキングウィンドウ化されたとき、作者のishidaさんがそろそろ最終形みたいなことをおっしゃっていましたが、今回のバージョンアップでいよいよ本当に最終形に近づいた気がします。ついに、辞書の「短縮名」が自由に編集できるようになったからです。

EBWin4に辞書を登録すると、デフォルトでは3文字の名前が辞書バーにならびます。これが辞書の「短縮名」です。

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特に何もしなければ、内部的に設定されている名前が自動的に使われますが、[ファイル]→[辞書の編集]で[短縮名]に任意の名前を入力して変更することができる……はずなのですが、実はそれがうまく反映されないことがあって、長らく不満でした。

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4.7.2.では、これがちゃんと変更できるようになりました。個人的には、とてもうれしい進化です。

注意:
EBWin4、進化しているのはうれしいのですが、バージョンアップしようとしてインストールに失敗する例も報告されています(私の環境でもありました)。必ず旧バージョンのインストーラは確保しておいてください。また、公式ページに「EBWin4.5.5 R2 - ドッキングウィンドウ化前の安定版」というのが公開されているくらいなので、4.7.0以降は特に不安定になっている可能性もあります。





原因は前からわかっていました。

たとえば、"うんのさんの辞書"(ビジネス技術実用英語大辞典)の第1版から第6版改訂版(6.0.2)までを登録したグループを作ると、デフォルトでは辞書バーはこうなります。

1909232

(拡大してご覧ください)

ぜんぶ違う辞書のはずなのですが、「ビジネ」とか「用例フ」とか、同じ短縮名がいくつも並んでいます。[辞書の編集]でがんばって短縮名を変えてみても、うまくいませんでした。原因は、EPWINGを格納しているフォルダー名にあります。

うんのさんの辞書、ここ最近はフォルダー名が変えてあるのですが、少し前のEPWINGデータを見ると、

バージョン5:
EIWAWAEIフォルダー(本文)
YOUREIフォルダー(用例)

バージョン4:
BODYフォルダー(本文)
BODY2フォルダー(用例)

バージョン3:
BODYフォルダー(本文)
YOREフォルダー(用例)

バージョン2:
BODYフォルダー(本文)
YOREフォルダー(用例)

バージョン1:
BODYフォルダー(本文)
YOREフォルダー(用例)

と、特にバージョン4以前はフォルダー名が重複しています。こうなっていると、EBWin4がグループデータを設定するとき、このフォルダー階層が優先されてしまい、[辞書の編集]で[短縮名]をいくら変更しても上書きできない仕様になっていたようです。

今回のバージョンアップのおかげで、「うんのさん」グループの辞書バー、とてもきれいになりました。

1909234_20190923175701

うんのさんの辞書、持っていないバージョンもあったので、オークションやフリマアプリで探し回り、少し前にコンプリートしました。

06:07 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | | コメント (0)

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2019.09.21

# 第29回翻訳祭、会員メリットもあわせてご紹介

今回も、テリーさんのブログの後追いだなぁ^^;

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第29回JTF翻訳祭の早割申し込みは、あと1週間ほど、

9月30日(月)

で締め切りです。

すでに、個人翻訳者からも多数の申し込みがあり、FacebookやTwitterでも全国各地から「翻訳祭いきま~す!」という声が次々と届いています。

ところで、個人会員として翻訳祭と同時入会するとかなりお得だということはご存じでしょうか。

せっかくなので、新しく決まった来年からの年会費の案内も含めて、計算してみましょう。

  • 翻訳祭と同時入会なら、会員価格が適用されます。

  • 個人会員の年会費はまだ20,000円ですが、月割になるので来年の3月までで10,000円です。

  • 来年度からは、個人会員の年会費が10,000円になります。

  • JTF翻訳セミナー・関西セミナー参加費が非会員の半分です。

  • ジャパンナレッジを、20%割引で利用できます。

もう少し詳しく計算してみましょうか……。


まず、翻訳祭の申し込みと同時に入会すると、その時点から会員価格が適用されます(正式には、理事会の場で行われる入会審査を経てからの入会となりますが、会費関連は先に適用されます)。

翻訳祭の参加費は、非会員10,800円(早割期間、税込み。以下同)のところ、会員は半分の5,400円です。

入会関連の費用はどうなるかというと、
入会金10,000円が免除
・来年3月までの月割年会費として10,000円が必要

です。早割期間での申し込みについて比較計算してみると、

非会員として翻訳祭に参加する場合:
10,800円で、翻訳祭参加のみ

個人会員として同時入会した場合:
年会費10,000円と翻訳祭5,400円の計15,400円で、会員メリットをすべて利用できる

ということです。その差額わずか4,600円

――だんだんテレビショッピングみたいになってきましたがw

そして、JTF翻訳セミナー(東京)と関西セミナーの受講料は、

会員3,000円+税、非会員6,000円+税(10月以降は異なるので税別表記)

なので、1回受講すれば3,000円は元が取れることになり、それ以上は受講するほどメリットになる計算です。

また、ジャパンナレッジの20%割引というのもけっこう魅力的で、

JKパーソナルの年会費なら、15,000円+税 → 12,000円+税
JKパーソナル+Rの年会費なら、20,000円+税 → 16,000円+税

ですから、もうあっという間に元が取れてしまいます。

(JTFに限りませんが)会員になるということについては、もうずいぶん前に、こんな記事を書いていました。

# 翻訳業界というところ(2012年6月9日)

ちょうど、IJET-23(広島)に参加した直後だったようです。

私の個人的な考え方は今も変わっていません。でも、新年度からの個人年会費値下げと、今回の同時入会特典で、現実的な会員メリットもだいぶありますよ、と言えるようになりました。

せっかくの機会です。うまくご利用ください!


 

04:43 午後 JAT・JTF | | コメント (0)

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2019.09.15

# 『トールキン 旅のはじまり』

★★★★☆ ここ1週間くらい、イヤ~なものばかり見続けていて、ソウルジェムが真っ黒になりかかってました。
 

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(本文とは無関係)

 
 昨日この映画を観たおかげで、だいぶ浄化された気がします。
 
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 束教授ことJ. R. R. トールキン(1892~1973)の青年期を描いた、わりとオーソドックスな青春映画です。The HobbitThe Lord of the Rings を執筆した当時のことを詳しく描いているわけではありませんが、Middle Earth 世界を創造した作者の前半生と、なによりあの世界の背景にある 
 
トールキンの心象風景
 
が、とてもよく映像化されていました。 ピーター・ジャクソン監督作品のシーンとか流用するのかと思ってましたが、プロダクション的にまったく無縁だったようです。
 
トールキンはなぜ Middle Earth を作り上げたのか、Beren と Luthien の物語のモチーフはなんだったのか、The Lord of the Rings 全編を貫く fellowship というテーマはどこから生まれたのか ―― トールキンファンなら、あちこちで頷くはずです。
 
そして、ラストは感涙もの。
 
そうそう、スタートレックTNGとDS9を見ている方には、うれしいおまけもついています。あのオブライエンが、いい感じに歳をとって、後見人となる神父さんの役で出てきます。
 
たぶん、間もなく上映は終わってしまうと思います。そのうちDVDなどで観ようとい方は、ぜひ、The Hobbit の英語版を読んでから観ることをおすすめします。

12:20 午後 映画・テレビ | | コメント (0)

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2019.09.14

# 知識不足、経験不足で語る強さ|怖さ - 最新のある事例について

1週間ほど前から、ある事例が翻訳業界を騒がせています。
 
すでに、テリーさんもブログ記事にしてくださいました。
リンク:翻訳横丁の裏路地 - 翻訳会社関係各位:ご注意を  
もちろん、テリーさんは名指ししていませんし、私もURLなどはいっさい出しません。ただし、テリーさんが書いている実績疑惑は問題の一角にすぎません。その問題のほとんどは、渦中の人物の知識不足・経験不足に起因しています。
 
このブログを呼んでくださっている同業者は先刻ご承知のことばかりですが、最近は志望者や学習中の方もけっこう読んでくださっているので、念のために私が把握している問題点を挙げておきます。以下、渦中の人のことはZ氏と書きます。
 
なお、以下はすべて、公開されている情報から私が確認した範囲の内容です。
 
 
 

「翻訳実績」の記載について  
これについては、すでにテリーさんが記事で書いています。
 
練習問題やトライアルで扱った題材を「実績」として載せてよい  
こんな話が通用しないのは、翻訳に限らずどんな業界でも常識です。

実際の功績・成果。【岩国五】
それまでに残してきた成績や功績。【明鏡二】
実際にやり遂げた成果・業績。【大辞林】

当たり前すぎてどの業界でも「実績」の定義などしていないでしょうが、日本語として当たり前のことです。だからこそ、その常識の裏をついてきたとも言えますが、動画を見るとZ氏は必ず「~と思います」と付けていることに注意してください。
 
練習問題などで扱った題材は「実績」と書いていいと思います  
です。つまり、これはあくまでもZ氏の個人的見解にすぎません。翻訳会社が100社あれば100社とも拒否するはずです。こんな言説を、うかうかと信用してはいけません。
 
 
翻訳に英語力は要らない。大切なのは検索力  
具体的には「TOEIC 500点あれば」という数字をあげています。いちばん問題な発言はこれです。というか、巧妙に論点をずらしている(あるいは、気づかずに論点がずれているのかも)。
 
これが、「今はTOEIC 500点くらいの英語力でも、私の指導を受ければ(英語力が上がって)翻訳者になれます」という言い方なら分かる。それを本当に実践しているとしたら、むしろ頭が下がります。でも、翻訳するのにTOEIC 500点くらいの英語力しか必要ない、というのがZ氏の主張。英語力や専門知識がなくても、今の時代は辞書とネットをちゃんと検索できれば翻訳はできる、のだそうです。
 
そんなやり方でいい翻訳なんて、残念ながら、というか幸いにして、私は知りません。
 
実際、そうやってZ氏が検索だけで英文を「翻訳」している例も、ある動画で見ることができますが、そこで示されている訳文は商品として通用するレベルではありませんでした。
 
参考までに、TOEICは翻訳の実力の目安になるとかならないとかよく取り沙汰されますが、一般的に翻訳会社が出すのは800~900点の範囲です。そのうえで「TOEICの点数だけでは何の参考にもならない」と言っています。
 
 
トライアルに受かれば仕事が来る、プロになれる  
これ、私の知っている常識とはずいぶん違います。私はいつも、「トライアルに受かっても、すぐに仕事が来るとは限らない」と話していますし、業界内でもたいていそうだと聞いてるんですけど、私、間違ってます?
 
Z氏によると、CVにいいかげんな「実績」を載せる理由もここにつながっています。「トライアルに受かれば仕事は来るのだから、トライアルにたどり着くことが必要。そのためにはCVにいろいろ盛る必要がある」んだという理屈です。
 
 
トライアルより実際の案件のほうがずっと簡単  
これも初耳です。そうなんですか? そんなお仕事があるんだったら、紹介してもらいたくらいですけど……。いや、やっぱ要らない。
 
 
特に「産業翻訳」は簡単  
Z氏が請けているのは「産業翻訳」で、「産業翻訳」とは「マニュアルや企業のホームページ」なんだそうです。IT分野もあるけど、それは「IT翻訳」とは別だということで、この分け方も私にはよく分かりません。
 
特許翻訳は難しいので取得に時間がかかる。映像翻訳は特殊。金融や法律は専門知識が欠かせない。だけど、「産業翻訳」は簡単なので英語力も専門知識もたいして要らない、と。いったい、どんな世界の「産業翻訳」なのかなぁ。
 
 
翻訳学校には通うな  
 
個人的には、かなり迷惑する謳い文句ですね^^ Z氏も半年間通ったけどまったく役に立たなかったんだとか。まあ、そういうことはなくもないので別にいいのですが、問題はこんな発言です。
 
「翻訳学校というのは、課題を出して添削して答えを示すだけ。翻訳するプロセスを示してくれないから、通っても意味がない」
 
あー、うーん、なかにはそんな指導をしている学校もあるの? ないと思うけどなぁ。少なくとも、私はしてませんし、私が知っている範囲で講師をしている人に、そんな授業やってる人はひとりもいません。
 
 
トライアル不合格の分析をしている  
法的にいちばん問題かもしれないのはここです。Z氏の講座では、トライアルに受からなかった場合に、その理由を分析しているそうなのですが、ってことは、トライアルの文章を共有してるってことですよね? これ、
 
業界的には完全にアウト  
の行為ですからね。トライアルの文章を受領するとき、たいていは部外秘であることが書いてあります(書かれていないこともあるんですが)。それを、たとえ一部とはいえトライアル受験当事者以外に公開・共有しているとしたら、これは重大なルール違反になります。
 
しかも、Z氏はこの行為の問題性を認識しているはずです。というのも、実は1年ちょっと前に、Z氏はある翻訳者グループで「トライアルの課題と答えを共有しませんか」と持ちかけたことがあり、そのとき他の翻訳者から厳重にたしなめられているからです。本人もそのときには「わかりましたから」と発言しています。
 
 
機械翻訳の精度はまだまだ低い  
だから、翻訳という仕事は10年~20年は安泰だ、と。うれしいお言葉ですね^^
 
でも、Z氏は「検索力とITスキルだけで翻訳はできる」と謳っているわけで、それってまさに、近いうちに機械翻訳にごっそり持っていかれる部分なのでは?
 
要するに、どうやら極端に狭いご自分の経験と知識だけで物を言っているように、私には見えます。それが、意図してのことなのか、気づいてすらいないのか分かりませんが、どれもこれも業界の一般常識に反することばかりです。一般常識に反していても、なにか画期的な学習方法とか翻訳方法でイノベーションを起こそうとしているということなら、百万歩譲ってまだ分かりますが、別にそういうわけではない。
 
そんなやり方がそうそう通用するほど、翻訳業界は甘くありませんよ。
 
運よく自分はそれで通用しているのかもしれないけど、よく分かっていない素人を巻き込むのも考えものです。

02:35 午後 翻訳・英語・ことば | | コメント (1)

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