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2019.07.07

# 今野真二『日日是日本語』

『日本語が英語と出会うとき』に続いて、こちらも読みました。

『日本語が英語と出会うとき』と違って国語系・国文学系の話が圧倒的に多いので、私には最初のうちちょっと取っつきにくかったのですが、読み進めていくとなかなか味わい深く、示唆に富んだ一冊です。

感想をひとことで。

研究室のお金でいろいろと古書を買えるの、うらやましい~

そう叫びたくなるくらい、いろいろな古書が出てきます。大半は国文学系なので私には無縁ですが、なかには古い辞書もあって、もちろん無制限ではないでしょうが、研究室として購入できるんですね。

そういえば、6月1日のトークショーのときも、日国の初版セットが大学にはなくなっていて(しばらく前に処分されたらしい)、今回のイベントのために古書でそろえ直してもらった、とおっしゃってました。

 

本書は、タイトルどおり日記形式の本(2018年1月~12月)で、今野先生の日々の心情、言葉に対する思いや考え方がぽろぽろと語られます。『日本語が英語と出会うとき』を執筆なさっていた時期とも重なるので、あわせて読んで正解でした。

印象に残った言葉を拾ってみます。日記ということもあり、全編を通じてけっして声を大にすることはなく淡々と日々の様子と思いを語っているのですが、ときどきハッとするようなくだりがあります。

筆者は自信が購入した本も、預かり物だと思っている。またちりぢりになって次の人の手にわたるまでいったん預からせてもらっている。だから、せいぜいいいコンディションを保つようにする、という気持ちだ。

長野にある古書店「バリューブックス」の企業哲学ともちょっと通じる考えかもしれません。

歴史に(必然的に)含まれている「詩的なもの」というとらえかたはおもしろい。ふと白土三平の『カムイ外伝』第十九話(『週刊少年サンデー』一九六七年一月八日号初出掲載)で、カムイがリンドウを見ながら「あれがこの世で見る最後のもの……」と思うシーンを思い出した。現在はさまざまなことに「詩的なもの」が欠落しているということはないだろうか。

(赤字は帽子屋)

たしかに、あの話は特に秀逸です。

先生、私より少し年長なだけなので、マンガもけっこうお読みなんですよね。なにしろ、先日のイベントでも、「日国を読み通したときメモに使った」として見せてくださったノートが、バルタン星人の表紙でしたし^^

それにしても、その『カムイ外伝』を紹介するとき、ちゃんと初出の情報を出してくるところが、いかにも、です。

細かな概念差、表現差が捨象されて、おおざっぱな表現になる。それが「わかりやすい」といわば勘違いされているのではないだろうか。筆者などには、こうした(おおざっぱな表現に向かって行く)「日本語再編成」が急速に進行し始めたように感じられている。

(赤字は帽子屋)

12月21日の記事です。この指摘には、同業者の皆さんも198回くらいうなずくはずです。機械翻訳の話は、この傾向を抜きに語るわけにはいきません。

ちなみに、この次の記事(23日)には、S&GのHomeward Boundが出てきます。やはり世代が近い^^

2冊のご著書とイベントで、今野先生がとても身近になりました。

01:41 午後 書籍・雑誌 翻訳・英語・ことば |

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