# 国語(系)辞典、五十音別項目数
辞典のなかには、小口にこんな風にインデックスが付いているものもあります(最近は、学習用を除くと少数派かも?)。英語の大辞典なんかだと、ここに切り欠きがあって、thumb indexになってたりする、アレですね。たとえば―
右から『岩波国語辞典 七』、『現代国語例解辞典 五』、『てにをは辞典』の3冊を並べて小口を撮ってみると、こうなります。
ざっと見てもわかるとおり、「あ」「か」「さ」までが圧倒的に多くて、ほぼ半分くらいを占めています。「な」行はかなり少なく、「は」行はけっこう多い。
3冊ともバランスはほぼ同じです。三浦しをん『舟を編む』でも、後半に入って、こういうくだりがありました。
馬締は、書棚から何種類かの中型辞書を抱えてきた。ページを閉じたままの状態で、岸辺のまえに辞書を並べる。
「引きやすいように、辞書は小口(ページを開く部分)に黒い印がついていますよね。これを見ると一目瞭然なのですが、日本語は、単語の頭に来る音が『あ行』か『か行』か『さ行』であることが、とても多いんです」
「本当だ」
岸辺は数冊の辞書を見比べた。どの辞書も、「あ行」から「さ行」までの分量が多く、「た行」がはじまるのは、全体の半分以上を過ぎたあたりだ。
さて、このインデックスが付いていない場合、私はマーカーなどを使って勝手に付けてしまうことがあります。それが冒頭の1枚だったわけです。
さっき見た国語辞典3冊と比べると、なんとなくバランスが違う気がしませんか?
特に違っているのが、水色でインデックスを付けた、いちばん左の1冊です。
実はこれ、東京堂出版から出ている国語系の特殊辞典「現代」シリーズの3冊です。右から『現代形容詞辞典』、『現代副詞辞典』、『現代擬音語擬態語辞典』(いずれも、飛田良文・浅田秀子著。今は、いずれも新版がでています)
つまり、水色は『現代擬音語擬態語辞典』なのですが、これだけ五十音別のバランスがかなり違っています。
「あ」行が普通よりかなり少なく、「か」行がやや多い。それよりも目立つのが、「は」行の多さ。実際に引いてみればわかりますし、そうじゃなくても「ひらひら」とか「ぽんぽん」とか、「は」行の擬声語擬態語が多いのは想像がつきますよね。
まあ、だから何だと言われても困る、何のオチもない話なのですが、きっかけになったのは、この本です。
これに、「つかつか」という擬態語の話が出てきて、それを引こうとしたときに、ふと気づいたんでした。
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