# 第28回翻訳祭 - すばらしい出会い
翻訳祭には毎年、ほんやく検定1級合格者をご招待し、交流パーティーで紹介・表彰しています。今年は、例年よりその参加者が多かったのですが、情報処理の分野で合格したある女性に声をかけていただきました。私を見つけて、えらく勢い込んでこう切り出します。
「わたし、アメリアの定例トライアルで先生にA評価を2回いただいたんです!」
アメリアの定例トライアルについては、ちょっと前にこんなブログ記事が公開されています。
リンク:「定例トライアル」評価基準
前任者から引き継いで定例トライアルを担当するようになって5年以上たちますが、「AA」を出したのはたしか1回だけ、「A」はいつも数名です。
また、アメリアには
同一分野で12カ月以内に2回A以上を取得するとクラウン会員登録資格取得!
という規定があります。クラウン会員になると、求人応募が有利になる(らしい)のですが、A評価の頻度から言って当然、これに該当なさる方もごく少数です。
「A評価だったのは、どの問題でした?」などと詳細を伺ったところ、2問とも私が○を付けた(プラス評価した)箇所があったとのこと。たしかに、どちらも難解な厄介な箇所でした。
言うまでもありませんが、採点するときには受験者の名前は分からないしくみになっています。誰にAを付けた、ということも分かりません。
審査員などと偉そうな名前で答案を拝見はしていますが、自分の採点と評価判断にいつも揺らぎない自信があるとは限りません(責任は持っているつもりです)。でも、こうして声をかけていただいたおかげで、
同じ人にちゃんとA評価を出していた
つまり、自分の評価判断に、まずまずブレがなかったということを確認できたわけです。いつも思いがけない出会いがある翻訳祭ですが、今回は個人的にこのうえなくうれしい年になりました。
Kさん、お声をかけていただき、ありがとうございました!
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このエピソード、さらに驚きが続きます。翌26日、すべての日程が終了した頃のことです。あるセッションにもご登壇くださった広島の翻訳者T氏(だじゃれ魔王の、あの方です)が、このKさんと一緒にいるところを見かけました。T氏は、広島の翻訳会社が運営している翻訳スクールで講師をなさっているのですが、なんと、Kさんはそのスクールの受講生さんだったとのこと。
しかもその翻訳スクール、東京でも今年の春から半年実施され、こちらは私が講師を務めていました。
まとめると、
1 私も縁のある翻訳スクールの受講生さんが
2 私の担当する定例トライアルでA評価を2回とり
3 JTFほんやく検定でも1級をとった
ということです。
もちろん、Kさんは最初から一定以上の実力がおありだったのでしょう。でも、翻訳スクール、定例トライアル、ほんやく検定という3つ別々の場がそれなりの機能をちゃんと果たしているらしい、と改めて確認できたと事例だったと言ってもいいのかな、と。
講師業にしてもトライアル採点業務にしても、同業者の間ではあまり歓迎されない仕事です。翻訳しているのと比べれば、実入りがいいとはけっして言えないからです。でも、こんな出会いがあるだけで、その苦労もいっぺんに報われる思いがします。
今年は、少なくともその点で特別な翻訳祭となりました。
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