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2018.09.24

# 「JTFジャーナル」のこと

日本翻訳連盟(JTF)が隔月で発行している「JTFジャーナル」。

今年に入ったあたりから、誌面の傾向が変わったという声がちらほら届いています。同連盟の理事という立場で、別に今のジャーナルを弁護も養護もするつもりはなく、その声は真摯に受け止めたいと思っています。


そんな折も折、日本工業英語協会が発行している「工業英語ジャーナル」の目次を見る機会があり、ああそういうことなのかな、と思い至った点があります。

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今のJTFジャーナルは、

情報は豊富だが、コンテンツが少ない

ということなのかもしれません。

「工業英語ジャーナル」最新号の目次はこうです。

・仕事はスピードと精度 ビジネス技術英語ライティングの基本(2) 中山裕木子
・工業英検4級頻出文法(33):動詞3 岡裏佳幸
・職場における「英文ライティング教育」(74):電磁気の基礎(その5) 酒井正臣
・科学技術政策と科学技術英語(45) 高橋正人
・科学技術英文作成における注意すべき英語表現(22) 興野登
・楽しく学ぶ英語語法(73):almostとnearlyの差について 田中成幸
・工業英検2級、1級受験勉強のためのアイデア(32):油と脂肪の話(2) 足立圭介
・技術翻訳としての特許翻訳(13):電気化学的に卑な金属 倉増一
・自動車産業の新たな人材、外国人留学生 郷古実
・特許明細書における論理の重要性(80) 仲吉洋一
・図面の英語(5):図面の注記例文ー成型加工 板谷孝雄
・大学英語教育の現状と課題、その対策と背景(2) 時國滋夫
・平成29年度工業英検 文部科学大臣賞受賞者
・E-コマース/E-ビジネス-テクニカル・コミュニケーションー(27) 藤岡慎弥

これだけ「コンテンツ」がそろっていれば、読んでみたい、という気も起きようというもの。


コンテンツというのは、「ほかでは読めないもの」、「読んでみたい」と思わせる内容、だと私は思っています。


一方、今年に入ってからの「JTFジャーナル」の特集タイトルを並べてみると―

2018/1月号「第27回JTF翻訳祭」

2018/3月号「巻頭対談:ニューラル翻訳を超える未来へ」

2018/5月号「翻訳会社の声」

2018/7月号「TCシンポジウムに行こう」

2018/9月号「IJET-29大阪/ISO規格の最新動向」

こうなっています。

これは「コンテンツ」ではなく「情報」。翻訳業界の現状や、それを取り巻く技術の動向を知るために、読む必要がある内容です。

業界団体の雑誌である「JTFジャーナル」には、業界関係者に必要な情報を発信するという大切な役割があります。その情報が業界にとって有益であることも確かです。こうした情報発信は、今後も続けていかなければなりません。

が、有益な情報も、読んでもらわなければ意味がない。雑誌を開いてもらうには、必要に迫られて読む情報だけでなく、読みたいと思えるコンテンツが必要なはずです。

特に個人翻訳者には、そういう「読みたい」という吸引力がなければ、まった振り向いてもらえません。

私が「JTFジャーナル」に関わり始めたのは、2011年5月号からです。

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まだ内容は刷新されていませんが、少しでも個人翻訳者に興味を持ってもらおうと、翻訳者の間でだいぶ使われ始めていたTwitterのアイコンを並べるようにしました。ちなみに、この号でさっそく登場した Madhatter が当時は私のアイコンでした。

翌2012年には、テリーさんや松田さん、遠田さんと一緒にジャーナル編集委員を拝命し、それぞれが連載コーナーをもつようになります。

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手前味噌にはなりますが、このコーナー連載が続いた2012~2015年の4年間は、個人翻訳者にも読んでもらえるコンテンツが、それなりにはあったように思います。

たとえば、この間に私のコーナー「フリースタイル、翻訳ライフ」には、こんな方々に寄稿いただきました。

鈴木立哉さん●朝型フリーランスの優雅な(?)1日
大光明宜孝さん●「ストレスフリーの仕事スタイル
庄野彰さん●生活リズムは夜型ベースで時にランダム。田舎での電脳生活を満喫
仙野陽子さん●字幕翻訳者・仙野陽子のハッピー翻訳ライフ
マーナー摩美子さん●「ちょうどいい」を大切に、マイペースで楽しむフリーランス翻訳ライフ
松丸さとみさん●マインドフル、フルマラソン、充実フリーランス
渡部優一さん●新鮮な刺激を求めて――京都で楽しむフリーランス翻訳ライフ
国枝史朗さん●仕事でも趣味でもことばと格闘
高橋聡●特集:名古屋の翻訳ライフ
青山万里子さん●海を眺めながらのんびり楽しむ翻訳ライフ
セランド修子さん●言語が与えてくれる本質への視点
中村泰洋さん●不明瞭な会社の将来像と明瞭な自身の将来像
大久保雄介さん●「半農半翻訳」はじめました
井口 富美子●かけがえのないもの ― IJET-25実行委員を経験して
三浦朋子さん●ほんやく検定受験 ― 私の場合
中澤甘菜さん●勉強会が教えてくれること
中島拓哉さん●地方都市におけるネットワーキング
糸目慈樹さん/西垣内寿枝さん●ほんまかい
畝川晶子さん●異業種による学びの場「西日本医学英語勉強会」
井口富美子さん●翻訳勉強会十人十色

今こうして振り返ってみても、ご執筆いただいたみなさんには、いくら感謝してもしきれません。

このほかにも、2012~2015年の連載コーナーはいま見ても読み応えたっぷりです。バックナンバーで読めますので、まだの方はぜひ(すべて、無料でダウンロードできます)。

2016年の春には誌面が一新し、新しく(ほぼ)固定の執筆陣による連載がスタート。これが2年間続きました。

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この連載もバラエティー豊かで、やはりそれなりの「コンテンツ」だったと思うのですが.、いかがだったでしょうか。


この春から、遠田さんなどの連載も始まっていますが、やはりまだバランスが気になります。もう少し、個人翻訳者や、翻訳会社の中の個人に届く「コンテンツ」を増やしたいですよね。

ついでに言うと、日本工業英語協会は、個人の年会費が15,000円。これだけのコンテンツが年3回発行され、セミナー等のイベントでも会員と非会員の参加費に2倍の差があります。

これで、個人会員はどのくらいいるんでしょうね、ちょっと気になっています。


01:41 午後 翻訳・英語・ことば |

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