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2018.07.20

# サン・フレアで辞書セミナー ~TQE過去問も使いながら~

ほぼ2年ぶりくらいだと思いますが、サン・フレア アカデミーさんで、辞書のセミナーを担当します。

リンク:実例から学ぶ辞書活用セミナー~TQE過去問を題材に~ | サン・フレア アカデミー

9月1日(土) 14:00~17:00

の3時間コースです。


辞書については、もうあちこちで話していますし、フェロー・アカデミーでも全3回にわたるオンライン講座が年2回くらいのペースで公開されています。

が、今回は3時間とたっぷり時間のあるコースなので、いろいろな情報をかなりまとまってお伝えできるのではないかと考えています。具体的には―

・辞書の種類(英和、和英、英英、国語、類語:規模など)
・辞書のメディア(書籍、CD-ROM、アプリなど)
メディアごとの上手な使い方
・汎用辞書ブラウザの特徴と使い方
・LogoVista辞書データの扱い方
・EBWin4の使い方
各辞書の特徴
おすすめ辞書ラインアップ
・実際に辞書を使ってみる~TQE過去問を使って~

といったアジェンダを予定しています。特に、赤字で書いた部分は、時間制限の関係で今まであまり取り上げられなかった内容です。

また、扱うTQE過去問は、ITに限定しません。広報やマーケティング、時事関連などの文章も使って、そのなかで特徴的な、ぜひ辞書で確かめたい単語を取り上げます。


いつも、できるだけ「常に新しい情報があること」を心がけていますが、今回も3時間という枠をめいっぱい使って、翻訳者の辞書ライフ充実にお役に立てるような講座にしたいと考えています。


とくとお急ぎでない方は、ぜひお越しください。

01:03 午後 翻訳・英語・ことば, 辞典・事典 | | コメント (0)

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2018.07.16

# うんのさんの辞書に関するご質問

翻訳フォーラム・シンポジウムの直後に書いたエントリ、

side A: # 「うんのさん」V6でまず気づくこと

に、kelpyさんから質問をいただきました。


状況がだいたい分かったので、kelpyさんのコメントを引用したうえで、私の環境で見えている辞書ブラウザの画面を貼ります。これでお答えになるといいのですが。

※以下、スクリーンショットはクリックで拡大できます。

kelpyさんの最初のコメント:

もしご存じでしたら教えてください。
Logophileが常に「連続」表示のため、V6の用例ファイルを全文検索すると"英和編最初のほうの内容" が表示されてしまいます。回避する方法はありませんでしょうか?

この「英和編最初のほうの内容」というのは、私がこのときの記事本文で書いていますが、うんのさんの辞書を「連続表示」で見たときと「項目別」で見たときの違いの話です。


次のコメント:

ご回答ありがとうございます。
スクリーンショットをアップすることができなくて、また禿頭帽子屋様がビジネス技術実用英語大辞典をlogophileで使用していないことから、お時間を取らせてしまい申し訳ありません。もしお時間があれば、logophileで「yesterday」を「全文検索」し、ビジネス技術実用英語大辞典の「V6用例ファイル」での検索結果を確認していただけるとありがたいです。

私は、logophileDicManagerで「用例ファイル」を「全文検索」「インデックスを解析」を選択してインデックス作成しているのですが、それがいけないのか、
...昨日の記者会見[発表]で述べた
...米国版「永田町メンタリティー」
...
と延々と700項目ほど検索され、検索結果最後の「NEXT」で次の項目を表示するとやっと普通に表示されるようになります。

全文検索したときに、この「延々と続く約700項目」の中に含まれる単語を検索すると、引っ掛かってしまうのでは、と推測しています。(operateなど、「延々と続く約700項目」に含まれていない単語は正常に検索できます)

また、この「延々と続く約700項目」は「"...," she said...」など記号から始まる文章の集合のようです。

EBWinの「連続モード」で「Yesterday」を全文検索すると同様の検索結果が得られることから、logophileでも「項目表示モード」があれば正常に表示されるのかも、と思い、コメントした次第です。


なるほど、たぶん状況は分かったと思います。

まず、問題のLogophileから。ヒット数は76件です。

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kelpyさんがおっしゃっているのとは違って、ちゃんと

yesterdayの入った用例が順番に表示されています。1つ目はたしかに "~昨日の記者会見[発表]で述べた" ですが、2つ目は "~ポールソン財務長官は~" です。

これ、kelpyさんが書いてますが、おそらくインデックスを作成するときのオプションが原因かと思われます。

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いったんインデックスを削除し、「インデックスを解析」ではなく「本文を解析」を選択して作り直してみていただけませんか。

ちなみに、Logophileのユーザーズガイドでも、

基本的には本文を解析を選択してください。

と書かれています。


では、Logophile以外の辞書ブラウザだとどうなっているでしょうか。併せてご紹介しておきます。

まず、EBWin4で「連続」表示したところです。

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kelpyさんが、

延々と700項目ほど検索され、~

と書いていらっしゃるのが、まさにこの状態でしょう。たしかに、yesterdayとは無関係の "~「永田町メンタリティー」~" という例文が見えています。


「連続」表示というのは、ある語句を引いたとき、該当する箇所だけでなく、

そのあとに続く本文も連続して表示する

モードです。つまり、紙の辞書を引いたとき、目的の語を見つけたら、そのまま同じページをずーっと読み続けるようなイメージです。

EPWINGというのはもともと、辞書に限らず電子データを表示・閲覧するための規格です。たとえば青空文庫データなら、ある語句を引いてそのまま本文を読み続けることができます。

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このように、「参謀本部」を引いたら、『高野聖』の全文を読み進められるわけです。なお、EBWin4の場合は、右下にある▽△ボタンで、さらに前後に移動できます(この青空文庫データの場合、冒頭の書誌データにまで遡れる)。


同じEBWin4を「項目毎」表示にすると、こうなります。

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左ペインに並んでいる結果一覧をひとつひとつ移動すると項目ごとに表示される、というモードです。

そして、ここで「全ての項目」オプションをオンにすると、先ほどのLogophileと同じ表示になります。

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yesterdayを含む例文だけが、順番に表示されています。

EBWin4には、もともとこの「全ての項目」表示モードがなく、海野ご夫妻がEBWin4の作者に依頼して実装されました(参考リンク:side A: # EBWin4の新機能「全ての項目」表示~その1)。


ここまでを整理すると、

・EBWin4では、「連続」表示と「項目毎」表示のモードを切り替えられる。

・EBWin4では、「項目毎」にしたうえで「全ての項目」オプションも使える。

・Logophileは、「連続」/「項目毎」のモード切り替え機能がない。インデックスの作り方にもよるが、「項目毎」表示が基本。

ということになります。


ちなみに、Jammingにはこのモード切り替えがありました。

[表示]メニューから[本文]→[単孔目表示]か[連続表示]

を選ぶだけで、上のEBWin4と同じように動作します。


kelpyさん、これで答えになったでしょうか。

01:48 午後 辞典・事典 | | コメント (2)

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2018.07.15

# 電子辞書端末にしかできない使い方

前エントリで書いたように、PASORAMA対応の電子辞書端末には、端末上でしか使えない機能がかなりいろいろあるということを、関山先生に教わりました。

ともかく、買ってきたらすぐPCにつないでしまったので、そもそも本体を開いたのは片手で数えられるくらい。機能としても、序文や凡例を端末上でしか見られない、ということくらいしか知りませんでしたので、この情報を得られたのはとても貴重でした。


長くなったので、前エントリと別の記事にしました。


※以下、できるだけ手元の実機(DF-X10000改)でも確認してみました。さらに、同じ機能を他の辞書環境で使えるかどうかも検証しています。

●平凡社 世界大百科事典

収録項目数が約84,000項目、索引数が約350,000項目です。このうち、PASORAMA上では見出し語の約84,000項目しか検索できませんが、端末上だと索引検索ができるので、候補がずっと増えます。

また、端末上だと分野別のツリー表示もできるそうです。

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●リーダーズ第3版

訳語から、和英の逆引きができます。

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これは実機で試してみました。

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ちなみに、他のプラットフォーム上のR3でも似たような検索はできますが、まったく同じ動作にはならない感じです。

たとえば、PASORAMAの直接の後継に当たる「語句楽辞典」では、「その他」のメニューに「訳語」がありますが、

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和英検索というより、用例から「硬い」(およびその活用形)を拾ってきているようです。

LogoVista上では、明確に使い方が書いてありませんが---こういうところが気になるんですよね---、「前方一致」で和英方向の検索ができました。ただ、結果は端末上とも「語句楽辞典」とも違います。

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また、LogoVistaデータを登録した汎用ブラウザ上だと、
Jamming/EBWin4の「前方一致」は、LogoVistaと同じで16件、
Jammingの「一網打尽」とEBWin4の「自動検索」がともに18件、
でした。


●OSDを単語の属性で検索

OSD(Oxford Sentence Dictionary)とは、20億語のデータベースからなる「Oxford English Corpus」から採用した約100万の例文集です。DF-X10001や、最近のカシオ製品などにもたいてい収録されています。


PASORAMA上では、「例文検索」機能で出てきますが、「例文検索」だと辞書が選べないため、えんえんとスクロールする必要があります。しかも、辞書メニューからOSDを選ぶこともできません。

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こういう使い方をするまでもなく、端末上ならOSDを指定して検索できます。

PASORAMA、成句検索はけっこう強いのですが、用例検索機能はけっこう不完全ですね。


●Britannica Concise Encyclopediaの全文検索

サーチエンジンのように使える、ということです。ふだんから百科はあまり使わないので、これはいいかな^^


●角川類語辞典のカテゴリ検索

たしかに、PASORAMAからは単語でしか検索できません。

iOSアプリ(物書堂)版が、カテゴリ検索に対応しています。


●新編 英和活用辞典の連語パターン検索

ちょっと分かりにくいかもしれませんね。これは、英語のコロケーションを調べる辞書ですから、見出しから、たとえばexciteを引くと、

【副詞1】 例文
【+ 前置詞】例文
【to do】 例文
【+ -selft】例文
【雑】

のように、連語のパターン別に例文が表示されます。ふだんは、こういう分類から例文を探しますが、連語パターン検索だと、最初から連語のパターンを絞って検索できるということです。

たとえば

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こうやって条件を絞ってからexciteを検索すると---そのたびに入力が必要なのは不便ですが---、

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このように、うしろに前置詞が続くパターンだけ探せるわけです。たしかに、そういう検索が必要になる場面はあるかもしれません。


これ、LogoVistaではできませんが、EPWING汎用ブラウザならできます。

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EBWin4なら、検索方法として[複合検索]を選択します。[Complex Seach]というダイアログが開くので、[連結パターン]から[動詞 + 前置詞]を選択し、[単語1]に「excite」と入力します。これで、さっきと同じ結果が得られます(Jammingでもできます。Logophileには「詳細検索モード」というのがありますが、こういう使い方はできません)。


実は、このEBWin4の「複合検索」という機能、私の各種セミナーでもあまり説明はしていません。辞書ごとに、指定する項目かせばらばらだからです。

ただ単語を複数入力して検索する辞書もあれば、この新編活用の「連結パターン」のように指定項目がある辞書もあります。


あ、そうだ。最後に。

電子辞書端末の中古を買うときの注意がありました。液晶画面の経年劣化の問題です。

「ビネガー症候群」と言うそうですが、液晶画面を使わないまま長期間(場合によっては4、5年程度で)放置しておくと、画面が黒ずんでしまうそうです。開いて使っていれば、つまり液晶画面を「空気に触れさせていれば」いいが、開かずに時間がたつのがよくないらしい。


ちなみに、関山先生は、電子辞書端末を百数十台お持ちだそうです……。

05:21 午後 翻訳・英語・ことば, 辞典・事典 | | コメント (0)

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# 7/13 関山先生のJTF翻訳セミナー、印象的だったこと

前エントリで書いたとおり、7/13(金)は関山先生のJTF翻訳セミナーでした。

予想と期待にたがわず、参考になる情報が満載。まさに「ネットに頼らない,日英語辞書環境構築入門」という内容でした。

休憩時間には、先生がお持ちになった書籍辞書に参加者がおおぜい集まり、講演中に紹介された辞書は、Amazonなどで次々と売れて中古価格が急上昇したほどでした。

参加者の満足度も高かったことでしょう。


内容はもちろんですが、個人的にはプレゼンテーション技術にも感服しました。

スライド画面は原則的に撮影禁止でしたが、撮影していいスライドはちゃんとアイコンで示してくださいます(資料的な画面は、必ずこれでした)。真似しよう。

また、レーザーポインターではなく、PCを直接操作するタイプをお使いで、剛堂会館の2面スクリーンにもきちんと対応。あれはいい。私も買お。


ということで、今回のセミナーで特に印象的だったことをレポートしておきます。


なお、以下の記事のうち書誌的な情報については、関山先生の『英語辞書マイスターへの道』の読者特典冊子

「2018年度版 英語の辞書へのアプローチ」

からも情報を補足しました。この冊子、今回のセミナーでも参加者特典としてダウンロード提供してくださいました。この日に参加できなかった方や、冊子PDFをダウンロードしそこねた方は、このブログで以下の記事を参照してください。

side A: # 『英語辞書マイスターへの道』、翻訳者にもおすすめ

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●辞書の収録語数は、数え方に注意!

日本の英和辞典は、語形変化形や句動詞もすべてカウントしているので、実際には、ずっと少なくなります。

たとえば、関山先生が編集委員を務めた『ベーシックジーニアス英和 第2版』は、公称55,000。実際の主見出しは、半分ちょっと。

海外の英英辞書になると、語義の数でカウントするので、さらに実数との差が開くそうです。たとえば、OALD 7th は公称約183,500語、G5は約90,000語だが、実際にそこまで差があるわけではありません。

そういえば、この辞書に関するエピソード紹介もありました。

表紙(男の子と女の子)とか、挿絵とか、教育的配慮のための苦労がかなりあったそうです。たとえば、冒頭にある「ピクチャー・ディクショナリー」というコーナー、最初の見開き(pp.4~5)は
What is in your bag?
というページなのですが、「高校生の男女としてふさわしい持ちもの」じゃなければダメと、いろいろ指導が入ったと。

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ちなみに、この辞書、昨年の翻訳祭にご登壇くださったとき、関山先生ご自身からいただきました。いいでしょ^^


●PASORAMAモデルの単体としての使い方

私も辞書セミナーではよく紹介しますが、SIIからかつて出ていたPASORAMA機能対応の電子辞書端末、中古でまだまだ手に入るというご紹介がありました。

そのうえで、「PASORAMAでは使えず、端末でだけ使える機能」の説明。これは衝撃的でした。私ほんと、端末としては使っていないんだなぁ。

この点については、書いていたら膨らんできちゃったので、エントリを改めることにします。


●英英辞典 - COBUILD

COBUILDは、2nd、3rdがおすすめとのこと。


●英英辞典 - 子ども向け英英

非ネイティブ向けの学習英英(OALD、LDOCEなど)がよく推奨される一方、ネイティブ子ども向けの辞典はあまり推奨されません。が、関山先生によると、これも用途によってはなかなか有益とのこと。一例として ear の語義が挙げられました。

先生がすすめられていたのは Merriam Webster Elementary Dictionary でしたが、私もちょっと引き比べてみました。比喩的な語義は除外しています。

1 [C] either of the organs on the sides of the head that you hear with:
4 [C] the top part of a grain plant, such as wheat, that contains the seeds: 【OALD8】

1 part of your body [countable] one of the organs on either side of your head that you hear with:
2 grain [countable] the top part of a plant such as wheat that produces grain 【LDOCE5】

1 a : the characteristic vertebrate organ of hearing and equilibrium consisting in the typical mammal of a sound-collecting outer ear separated by the tympanic membrane from a sound-transmitting middle ear that in turn is separated from a sensory inner ear by membranous fenestrae b : any of various organs (as of a fish) capable of detecting vibratory motion
2 : the external ear of humans and most mammals 【MW Collegiate 11th】
※穀物について言う語義は別項目扱い

1 : the organ of hearing and balance of vertebrates that in most mammals is made up of an outer part that collects sound, a middle part that carries sound, and an inner part that receives sound and sends nerve signals to the brain
2 : the outer part of the ear 【MW Dictionary for Children】
※穀物について言う語義は別項目扱い

赤字の部分に注目してください。①平衡器官である、②耳殻、耳たぶにあたる部分もearという、この2つの情報が、Merriam WebsterのCollegiateに書かれいるのは当然として、Dictionary for Childrenにもちゃんと載っている。一方、非ネイティブ向け学習英英には載っていない。

事物を引くときは、子ども向けの辞書から入ってみるべきかもしれません。これは、まったくの盲点でした。


ちなみに、各種国語辞典で「耳」の語釈がどうなっているのか、引き比べてみるのも一興かと思います。


●英英の類語辞典

Longman Language Activator, 2nd

※Amazonのデータでは1stとなっていますが、1stは1993年なので、2002年のほうは、「2018年度版 英語の辞書へのアプローチ」にあるとおり第2版のはずです。

フレーズ単位で、類書より口語的なのが特長とのこと。

CD-ROM版を買うと入っています。

ただし、書籍版と内容がどこまで同じか私は確認できません。このCD-ROMは、Logophileにも登録できるバージョンです。類語情報はLogophile上でも見ることができますが、Activatorとしての使い方はできません。


Oxford Learner's Wordfinder Dictionary

類語辞典というより、

基本的なキーワードを見出し語にして、その後に関する表現や関連語を従来のシソーラスよりも幅広く載せています

(「2018年度版 英語の辞書へのアプローチ」より)
だということです。私も取り寄せ中。


Longman Lexicon of Contemporary English

セミナー中にAmazonで中古価格が急騰したのがこれ。たぶん、最初500~600円前後だったのが、最終的には4,000円ほどになったようです。

語彙のカテゴリー分けが、類語辞典初心者でも分かりやすく、もちろん索引から単語で引くこともできます。カテゴリーごとの語彙増強や英文ライティングに役立つのはもちろん、英和方向でも活用できそうです。

たとえば、私がいつも挙げるexcitingだったら、まず索引で exciting を引き、そこからカテゴリー F225 を見ると、

F225 adjective interesting and exciting

という項があって、interesting、absorbing、exciting、thrilling、sensational、exhilarating、breathtaking と単語が載っています。

また、そのすぐ次の項目は

F226 adjective interested and excited

という関連項目になっていて、interested、excited、frantic、thrilled、exhilarated、fenzied、keen、eager、enthusiactic、zealous、aradent、avid、desirousと並んでいます。もちろん、すべて例文付き。

つまり、似た言葉の違いを調べるのではなく、似ている語のグルーピングから手がかりを得るという使い方ができるということです。

関山先生によると、カシオの電子辞書端末に収録されているということなのですが、私は確認できていません。


●『広辞苑』 が権威になったのはなぜ?

いきなりこの質問を振られ、思わず、会場にいた西練馬さんにも振ってしまいました^^

先生によると、百科事典項目を初めて採用したからではないか、とのこと。その背景には、OECやCODといった英国流からの脱却と、Merriam Websterなどの米国流の影響があったのではないか、ということです。

ちなみに、昨日この件を川月現大さんにしたら、別の説をお持ちでした。川月さん曰く、「初版および改版時に、当時の各分野専門家をかき集めたからじゃないか。だから、知識人はみんな自然と岩波びいきになった」と。これも、なかなか説得力がありました。


●国語系でおすすめの辞書

現古辞典 (河出文庫、Kindle版もあり)

これも、セミナー中にけっこう売れたようですが、在庫があるので中古価格高騰という事態には至らなかったようです。


大和ことば辞典(東京堂書店)


●辞書編纂の現状

「若手のレキシコグラファーが不足している」とのこと。原因はいろいろあり、なかなか明るい要素はなさそうでした。

・「辞書学会」というものがない。辞書の編纂は、出版社ベースでしか進められないため、学会のような単位で横断的に辞書のことが話し合われる場がほぼない(あるのは、岩崎研究会のような規模どまり)。

・大学院生の就職事情。教員と学生の関係が変化していて、「下積み」の機会が減っているせいもある?

・業績として評価されない。紀要論文1本より評価が低い。
 辞書、翻訳書 < 教科書 < 論文


●辞書メディアの変化

定期的な改訂作業ができる辞書はごく一部で、新規の辞書企画はほぼ皆無に近い現状。

なにより、「情報はタダで得る」のがあたりまえという世情。この辺は、翻訳者としても考えさせられる要因です。

辞書を使わなくても高校を卒業できるし、大学に入れるということを、嘆いておられました。


そんななかで、辞書の研究と編纂に携わることの自負を、先生は最後に語ってくださいました。柔らかい口調はあいかわらずでしたが、最後にとても力強いメッセージをいただいたように思います。

04:09 午後 | | コメント (0)

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2018.07.05

# 7/13(金)JTF翻訳セミナーは、翻訳者必聴!

前々エントリでもご紹介したとおり、来週7/13(金)には、辞書のプロ関山健治先生がJTF翻訳セミナーにご登壇なさいます。

リンク:ネットに頼らない,日英語辞書環境構築入門


以下、講演概要から引用します。

インターネットの普及に伴い,誰もが無料で膨大な情報にアクセスできるようになって久しい。駆け出しの翻訳者も,ベテラン翻訳者も同じ情報検索環境を享受できるようになった一方で,辞書についての正しい知識を身につけ,様々な辞書を使い分けながら,ネット検索では得られない信頼性の高い情報を手にする機会が少なくなってはいないだろうか。

本講演では,昨年秋に開催されたJTF翻訳祭における講演をふまえつつ,英語に加え,日本語の辞書の使い方,使い分け方も紹介したい。英語辞書学の研究者として,実際に辞書の校閲,編集にも携わった経験から,「ことばのプロ」である翻訳者がどのような辞書を揃え,使い分ければいいのかを考える。オークションで安く入手できるようになった電子辞書専用機の意外な活用法,辞書の執筆,編集の現場から見た辞書活用のあり方など,他では得られない内容も盛り込みたい。

申込期限は7/10(火)ですが、翻訳セミナーはいつも直前で一気に席が埋まるので、興味のある方は今週中に申し込んだほうがよさそうです

関山先生については、このブログでも過去に何回かご紹介しています。

side A: # 『英語辞書マイスターへの道』、翻訳者にもおすすめ


これらの本の著者であり、私があちこちでおすすめしている『ウィズダム英和辞典 第3版』でも執筆なさっています。


私もこの数年、辞書についていろいろと話をしていますが、関山先生の知識見識博識眼識にはとうてい及びません。

電子辞書端末、書籍辞書、オンライン辞書、英和・和英・英英・国語と、ともかく私たち翻訳者がふだん使っているあらゆる辞書に精通なさっています。

ふだんは、どちらかというと高校生・大学生を対象にして情報を発信なさっていますが、昨年の翻訳祭でお話しくださった内容からも分かるとおり、私たち翻訳者にとっても有益な情報がたくさん出てきます。


講演のポイントにも注目。

◎ 今,なぜネットに頼らない辞書環境が求められるのか
◎ 電子辞書専用機ならではの機能を翻訳に活かす
◎ 国語辞典の個性を知る
◎ 学習英和辞典・一般英和辞典・和英辞典・英英辞典の「御三家」とは
◎ 特殊辞典はこんな時に役立つ
◎ 翻訳者・辞書編集者・辞書研究者が相互に連携することで辞書は変わる
◎ 昔の辞書・今の辞書・これからの辞書

というわけで、貴重な2時間半になることは間違いなさそうです。


私も、懇親会まで含めて参加します。

02:00 午後 翻訳・英語・ことば, 辞典・事典 | | コメント (0)

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