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2018.06.15

# 『BANANA FISH』20巻?!

久しぶりに、趣味100%の記事です。

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吉田秋生 and/or 『BANANA FISH』をよく知っている人なら、この写真を見て「エッ、20巻?!」と思ましたよね。


はい、そのとおり。フラワーコミックス版の『BANANA FISH』は全19巻です。

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信じられないことに、フラワーコミックス(FC)版はすでに絶版です(現在手に入るのは、Kindle版か文庫版だけ)。

それが、アニメ化を記念して「復刻」されました。

もともとのFC版を4つのBOXにして、それぞれに写真集などの特典を付けて売るという、まあ、よくある固定ファン狙いの商法ですな。マーケティング的に言うと、アップセル?


場所もとるし、さすがに見向きもしていなかったのですが、たまたま書店でBOX vol.4を見かけたら、vol.4だけは特典が

奥村英二ファースト写真集「NEW YORK SENSE」

だと!

2001年に限定販売された「BANANA FISH SPECIAL BOX」というファンアイテムがあって、これもさすがに手を出してませんでしたが、それに入っていたやつです。


……と、これだけだったらまだ3分27秒ほど悩んだかもしれませんが、ふと、この「20巻」が目につきました。ほかの巻より薄かったので、ピンときて即レジへ。


なんということはない、20巻の中身って、実はこれの採録です。

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これも、今は中古しかないようですね。


『BANANA FISH』には、4本の番外編(後日譚と前日譚)があります。

『ANGEL EYES』(1994年別コミ6月号)

『光の庭』(1994年別コミ8、9月号)

この2本は、最終話と一緒にFCコミックス19巻に収録されています。作者本人によると、18巻ちょうどで終わらせるはずだったのに、1話分はみ出したんだとか。

そして、

『PRIVATE OPNION』(1995年別コミ1月号)

『Fly boy, in the sky』(1984年別冊LaLa WINTER号)

『うら・BANANA』(書きおろし)

が、今回20巻として出た、元『PRIVATE OPNION』に収録されています。


『ANGEL EYES』は前日譚。少年刑務所時代、ショーターとの出会いが描かれています。

『光の庭』は後日譚で、本編最終話の7年後という設定。私がいちばん好きな---たぶん、オール吉田秋生作品のなかでもベスト3に入る---1本。

『PRIVATE OPNION』も前日譚で、ブランカと出会った頃の話。

『Fly boy, in the sky』は、前日も前日、英二が高校生の頃です。そもそも、発表自体が本編より大昔、『河よりも長くゆるやかに』の頃です。もちろん、あの当時の絵柄なので、人によっては違和感ありありかも。

『うら・BANANA』は、書きおろしで『PRIVATE OPNION』に収録された、作者あとがき漫画です(ので、番外編としてはカウントせず)。


なお、今でも手に入る文庫版には、この4本+1本がまとまった『ANOTHER STORY』というのがあります。

ただし、漫画の文庫版は、いかんせん絵が小さい。それでもわざわざ手元にあるのは、岡田斗司夫の解説が絶品だから。


リンク:Yoshida Akimi's Diary | 小学館コミック「月刊flowers」

アニメ化にあわせて、このほかのイラスト集なども復活するようです。

04:33 午後 アニメ・コミック・サブカル | | コメント (0)

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2018.06.14

# 十人十色イベント、「辞書を巡る冒険」

7月8日(日)13:00から、翻訳勉強会グループ「十人十色」のイベントがあります。

リンク:辞書を巡る冒険 - 辞書セミナー+ミニミニ辞書発表会
※Facebook上のイベントページです。アクセスできない方は、以下の情報をご覧ください。


今回は、セミナー形式と、全員参加形式の2本立てです。

参加者全員

が、イチオシの辞書または珍しい辞書について、一人3分以内で発表する形をとります。


発表が必須だからと言って、臆することはありません。不安な方は、以下をよ~くお読みください。

参加者には、ミニミニ発表用の定型フォームを用意しています。


・ふだんよく使っている辞書

・これがなかったら仕事にならない、という辞書

・特定の専門分野にとにかく強い辞書

・電子版がなくてお世話になっている紙の辞書

・こだわって使っている古い版の辞書

・今は手に入らない秘蔵の辞書

・学生時代に赤線を引きまくってボロボロになった辞書

・著者(編者)のサイン入り辞書

・なんらかの思い入れのある辞書

……などなど、どんな内容でもOKです。


「発表」というと身構えてしまうかもしれませんが、心配には及びません。前に出て話すのではなく、各自の席で順に話していくことにしました。いわば、全員で、

辞書について少しずつネタを提供する

くらいの軽いノリで考えれば大丈夫でしょう。


勉強会「十人十色」はもともと、

翻訳に関するいろいろなことを、お互いに見せ合う

ところから始まった会です。

一方的に聴くだけではなく、「自分も発表者になる」ことで見えてくる世界があります。そして、発表しようとすれば、必ず自分の辞書環境について発見、再発見があるはずです。

セミナーパートのほうは、以下のような内容を予定しています。

高橋さきのさん 「辞書を科学する」

アルク『翻訳事典2018~2019』に載った「辞書を科学する:辞書は組み合わせて使う」に関連する内容です。


川月現大さん 「頭の中の辞書*を拡張する」

* 頭の中の辞書=メンタルレキシコン(心的辞書)

辞書は「使われる」ものではなく「使う」もの。辞書に正解を求めるだけではいけない。その場面で最もふさわしい言葉を見つけるにはどうすべきか、というお話です。


帽子屋 「紙の辞書もいいぞ!」

私は、紙の辞書の話をします。

以下、募集要項を貼っておきます。

★Facebookの参加ボタンを押しただけでは参加になりません★

6月13日(水)午後8時からメールによる募集を開始します。メールの先着順ですが、初参加またはご遠方の方を7名優先します。

◆必ず以下の件名でお送りください(返信される際も件名は変更しないでください。Gmailでは同じ件名はひとまとまりになるので事務処理がしやすく助かります)

【★初参加・遠方:辞書を巡る冒険 - 辞書セミナー+ミニミニ辞書発表会
】+(フルネーム+Facebook登録名)

その他の方は

【★★一般:辞書を巡る冒険 - 辞書セミナー+ミニミニ辞書発表会
】+(フルネーム+Facebook登録名)

としていただき、FBで使用されているフルネームを本文にも記入の上、十人十色のメアド
10.10.honyaku@gmail.com
宛てに、6月13日(水)午後8時以降、メールをお送りください。

★★それより早く届いた方は無効となります★★。

人数が確定した時点で、返信メールを差し上げます(すぐには返信できませんのでご了承ください)。返信メールで参加費の振込先をお知らせいたしますので、振り込まれた時点で参加確定となります。


参加者全員で、楽しく辞書について語り合う―― 十人十色ならではのイベントです。

ぜひ、気軽にご参加ください!

11:36 午後 翻訳・英語・ことば | | コメント (0)

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2018.06.10

# 複数単語(連語)の検索方法 - Jamming/Logophile

複数単語(連語、その他)の検索、お次はJammingとLogophileの場合です。

復習しておくと、

スペースを入れずに検索すると、連語とみなされる(語順が考慮される)

スペースを入れて検索すると、AND検索とみなされる(語順は無視される)

全文検索のときは、指定した語がそのまま検索される

これが基本です。



Jamming

まずは、Jammingから。前回と同じく、take off を引いてみます。

takeoff(スペースなし)、[前方一致]
1806081

でも

take off(スペースあり)、[前方一致]
1806082

でも差は出ません。

これを[一網打尽]に切り替えるとどうなるかと言うと、以下4つのスクリーンショットで、スペースの有無と検索オプションをよーく見てください

takeoff(スペースなし)、[一網打尽]の[熟語]
1806086_2

takeoff(スペースなし)、[一網打尽]の[And]
1806087_3

takeoff(スペースあり)、[一網打尽]の[熟語]
1806088

takeoff(スペースあり)、[一網打尽]の[And]
1806089


お分かりでしょうか。お代わりしてもいいですが……。上の3つはヒット数が同じで、4つ目だけ5,000を超えています。

つまり、

スペースなし = 熟語とみなされる = 語順が考慮される

ので、上の2つはオプションが[熟語]でも[And]でも結果は変わらない。そして、

スペースあり = AND検索とみなされる = 語順が無視される

ではあるのですが、[熟語]オプションにすると(ANDではなく)熟語を検索してくれるので、やはりヒット数は変わらない。[And]オプションにして初めて、本当にAND検索になって、5,000を超えるというわけです。


残念ながら、これらの検索方法のうち、どれを使うと辞書ごとにどんな項目がヒットするのかはインデックスの作り方によってぜんぜん違ってくるので、辞書ごとに試していくしかありません。


Logophile

Logophileでも、動作はだいたい同じですが、違うところがあります。

takeoff(スペースなし)、[前](前方一致)
1806083_2

スペースなしの場合はJammingと同じです。ちなみに、他のオプションはこの図のとおりに。[完]を押すと完全一致になるのでヒット数はもっと減ります。

ところが、スペースを入れると、[前]だけでも[成句]/[And]のオプションが効いてきます。ここがJammingと大きく違う点。

take off(スペースあり)、[前]、[And]
1806084_3

take off(スペースあり)、[前]、[成句]
1806085_2

[And]のほうがたくさんヒットするように思うのですが、前方一致だと"take off"を検索してもtake offがヒットせず、結果はゼロになるという不思議仕様。[後]も押すともっと増えます。

18060852


Jammingの[一網打尽]、EBWin4の[条件検索]に近いのが、Logophileでは[キ](キーワード)検索です。

takeoff(スペースなし)、[前][キ]、[成句]
18060810

takeoff(スペースなし)、[前][キ]、[And]
18060811

take off(スペースあり)、[前][キ]、[成句]
18060812

上の3つでは、違いがありません。ここは、Jammingの[一網打尽]で見た最初の3つと同じ結果になっていることが分かります。

take off(スペースあり)、[前][キ]、[And]
18060813

これも、Jammingの[一網打尽]でスペースあり、Andにしたときと同じですね。

なお、いずれも[前]だけでしたが、[後]も押し込むとどれも少しヒット数が増えます。

ということで、JammingとLogophileの動作は基本的にほぼ同じ。違いがあるのは、[前]でも[成句]/[And]が効くという点でした(Jammingにはそもそも、[前方一致]のときに選べるオプションはない)。


ややこしいですよねー。うまく使いこなしてくださいw

08:45 午前 辞典・事典, パソコン・インターネット | | コメント (0)

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2018.06.08

# 複数単語(連語)の検索方法 - EBWin4

Jamming/Logophile/EBWin4などの汎用辞書ブラウザで、

複数単語の間のスペース

はどう扱うのが正しいか、意外と知られていないようです。

何となく当たり前のように思っていましたが、私の辞書セミナーでも、最近は説明するようにしています。


前方検索の場合、スペースの有無はあまり関係ありません(Logophileでは例外あり)。単語間のスペースが影響してくるのは、Jammingの「一網打尽」や、EBWin4の「条件検索」、「自動検索」のときです。

原則的には、以下のように動作します。

スペースを入れずに検索すると、連語とみなされる(語順が考慮される)

スペースを入れて検索すると、AND検索とみなされる(語順は無視される)

全文検索のときは、指定した語がそのまま検索される


まずは、EBWin4の場合から説明します。


たとえば、take off を[前方一致]で検索すると、こうなります。

takeoff(スペースなし)、[前方一致]
18060821_2

take off(スペースあり)、[前方一致]
18060822

このとおり、前方一致だとスペースの有無は結果に影響しません。

※EBWin4の「条件検索」は、Jammingの「一網打尽」、Logophileの[キ]押し込みと、ほぼ同じです。


では、[条件検索]にしてみます。

takeoff(スペースなし)、[条件検索]
18060823

先ほどの72件から274件に増えました。R2などのヒットが増えています。

連語とみなし、語順は考慮されますが、take と offの間に別の文字列が入っているものもヒットしています。

18060824


take off(スペースあり)、[条件検索]
18060825

スペースありは、AND検索。つまり「語順は問わず、指定した単語がすべて入っていればOK」という検索なので、たとえば上の図のように、まったく関係のないものもヒットしてしまいます。あまり実用的とは言えません。


したがって、EBWin4で熟語を検索するときは、

スペースなしの[条件検索]

がいちばん確実のようです。


一方、[全文検索]では指定した検索語がすべてそのまま検索されるので、

takeoff(スペースなし)と入力すれば、takeoff を検索

take off(スペースあり)と入力すれば、take off を(この語順のみで)検索

することになります。

また、全文検索で演算子&(AND)を使うと、全文を対象にしたAND検索になりますが、とにかく一部でもヒットすればいいわけですから、たいへんな数がヒットします。あまり実用的とは言えないようです。

ただし、全文検索では演算子&(AND)にこんなおもしろい使い方もあります。


単語と訳語の組み合わせを検索できる

たとえば、「excite」と「感動」を & で結んで全文検索すると、こうなります。

18060826_2

exciteを「感動」と訳している例文が、研究社新英和大で見つかりました。

exciteの項自体に、「感動」という訳語はありません。ほかの項目の例文で、こう訳されているのを検索できたわけです。

上の図がどの単語の例文なのかは、ちょっと上にさかのぼると分かります。ただし、スクロールバーでは移動できません。

ウィンドウ右下の△ボタンを使うと、上にさかのぼれます。

18060827

visiblyという副詞の例文だったんですね。


語義のなかの任意の文字を探す - イメージ連想検索

たとえば、「過去の行いを悔いること」は何と言うのか--これ、授業で質問された実例です。類語辞典で「悔いる」などを引いてもそれなりに見つかりそうに思いますが。国語辞典グループで、「過去&悔い」を検索してみました。

18060828

「悔悟」という語が見つかります。そのほか、語義に完全に一致するわけではありませんが、

18060829

このような例文も見つかるので、「先非を悔いる」という表現も確かめられます。

SSDでないと、全文検索にはかなり時間がかかってしまうかもしれませんが、なかなか便利な使い方ができます。

なお、単語間のスペースの扱いについては、「うんのさんの辞書」でもちゃんと説明されています。

最新版のV6では、

『ビジネス技術実用英語大辞典V6 英和・和英』について」

にこう書かれています。

英語の熟語など複数語から成る見出しは, 間のスペースやハイフンを詰めて入力して見出しを「前方一致」または「完全一致検索」できるほかに, 「複合検索」で複数キーワードを指定して検索することもできます.

11:40 午前 辞典・事典, パソコン・インターネット | | コメント (0)

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# EBWin4を32bit版に戻した話とAutoHotKey

5月中旬に、EBWin4を64bit版に切り替えた話を書きました。

リンク:side A: # EBWin4 64bit版

アプリケーション自体には問題ありません。が、なぜかAutoHotKey(AHK)経由で使えなくなってしまいました。

いつもどおり、

Clipboard =
Send,^c
ClipWait,1
StringReplace, New, Clipboard, %A_Space%, , All
Run, B:\Dictionaries\EBWin4(x64)\EBWin4.exe /M=a /S="%New%"

こんな感じのスクリプトなのですが……。

ちなみに、私はEBWin4の起動オプションを使って、検索方法をいくつか使い分けています。

検索語を指定して--

Ctrl + E → 前方検索:起動オプションは /M=p

Ctrl + Shift + E → 自動検索:起動オプションは /M=a

Alt + Shift + E → 条件検索:起動オプションは /M=k

Ctrl + Alt + Shift + E → 全文検索:起動オプションは /M=f

Ctrl + Alt + Shift + E → 全文検索:起動オプションは /M=f

Ctrl + Shift + A → 全文のAND検索


また、自動検索のときは、検索語に対しては

StringReplace, New, Clipboard, %A_Space%, &, All

という文字列操作を行い、複数単語の間のスペースを詰めています。これ、大切な話なので、次の記事で書きます。


ところが、EBWin4を64bit版にしたら、どうもこのスクリプトがうまく動きません。丸2日くらい格闘しましたが、どうにもならない。

ので、結局もう一度EBWin4 32bit版(最新の4.5.5)をインストールしたら、無事に動くようになって、AHKスクリプトも今までどおり使えるようになった、というオチです。

08:33 午前 辞典・事典, パソコン・インターネット | | コメント (0)

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2018.06.07

# 柳瀬尚紀の『ことばと遊び、言葉を学ぶ』

先週末に買って読んだエッセイ本を、もう一冊ご紹介。

久しぶりに柳瀬節を読みました。

私の好きな翻訳者のひとりで、エッセイも昔から好んで読んできましたが、最近しばらくまじめに追っていなかったので、うかつにも、『日本語は天才である』というのが出ているのを知りませんでした。

これも慌てて注文しましたが、本書でも

日本語の豊かさを信頼していて、探せば必ずぴったりの語が見つかるという信念があるからです。

という言葉が、とても印象的でした。


さらに、あとがきではこうも書いています。

私は、翻訳というものについて、翻訳者の個性というよりは、翻訳の言葉が日本語のほうから降ってきてくれるものだと考えるようになりました。翻訳をするときには、私は、日本語を通訳しているだけなのです。

英語も日本語もあれほど自由闊達縦横無尽変幻自在空前絶後に操れるようになって初めて出てくる言葉ですね。ずっしりと、重みがあります。


柳瀬氏の訳業は、ルイス・キャロルからロアルド・ダール、ジェイムズ・ジョイスまで幅広く、私もさすがに『ユリシーズ』は読んでいませんが、たとえばこんな作品で手軽に接することができます。

19世紀イギリスのナンセンス作家、エドワード・リア。たぶん、日本には柳瀬氏が紹介したと言っていいはず。

伝承童謡 Nursery Rhymes(マザーグース)から、ルイス・キャロル、そして20世紀的痛烈ギャグ集団モンティ・パイソンまで連綿と続く、英国ナンセンスジョークの系譜に位置する重要なひとりです。


そして、柳瀬氏が、文字どおりぼろぼろになるまで使い込んだというのが、

『熟語本位 英和中辞典』

言わずと知れた、斎藤 秀三郎編の名辞書です。今では、CD-ROMも付いた新版が出ています。

今までなかなか買えずに--むかし書籍版を持っていたので、正確には買い換えられずに--いたのですが、これを機に購入に踏み切りました。

だからといって、柳瀬尚紀の真似ができるわけではとうていありませんが、氏がほれ込んだ辞書に、あらためて触れてみたいと思いました。

ところで、本書『ことばと遊び、言葉を学ぶ』のイラストは、古川タクが付けています。

古川タク

って、ご存じでしょうか。知る人ぞ知るアニメーション作家なのですが、日本のいわゆる「アニメ」ではないアニメーション作品の世界の人です。

こんな感じの絵、見たことありませんか?

1806071

「みんなのうた」、などでもときどき見かけます。


エドワード・リアは、イラストも自分で描くのですが、古川タクの絵はちょっとリアの絵にも通じるところがあります。

10:08 午後 翻訳・英語・ことば, 書籍・雑誌 | | コメント (0)

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2018.06.05

# 東江一紀さんの『ねみみにみみず』

読み終わってから、改めて帯を締めたら、いや本の帯を見たら、

おもしろうてやがていとしきエッセイ集

と書かれていました。まさに、そういう一冊でした。

残念ながら、生前の東江さんには(もちろん、生後の東江さんにも)面識はないのですが、この本を読み終わった頃には、そのお人柄の1億分の1くらいには触れられたかもしれないという気になった感じがしないでもありません。

そんな私がこの本のことを書いたりするのは、僭越至極恐縮千万呉越同舟傍若無人で、畏れ多くて恐れ入谷の鬼子母神なのですが、まあここは私のブログなので、好きに書きます。


翻訳に携わっている人、翻訳者をめざしている人にとって必読かどうかは分かりませんが、少なくとも

「厄介な仕事だ、まったく」

の章だけは読んでください。山岡洋一さんの『翻訳とはなにか』とは、言うまでもなく文体もスタンスも何もかも違いますが、でもこの短い章に書かれていることって、どれも翻訳という仕事の本質です。

もちろん、東江さんの魅力に触れたければ、そのほかの章もやっぱり読みましょう。本が売れたほうが、ご本人もきっと喜んでくださるでしょうし。


アマゾンでひとつだけ付いているコメントを見ると、『ストーナー』などで東江さんの文体に触れた人にとっては、『ねみみにみみず』の全編に流れる"おちゃらけ"文体は意外なようです。

私などは、どちらかというとデイブ・バリーのシリーズみたいなノリが大好きだったので、この文体は、さもありなんでした。


本書に収められた数々のエッセイ、その洒脱な文章の裏に垣間見える故人の巨大さ。まさに「翻訳の巨人」です。

もちろん、こんな巨人の文章を真似しようとしたら火傷をするに決まっているので、翻訳にしてもエッセイにしても、ただただ名人芸を楽しむのみ。

後進を育てる際の厳しさとやさしさも、ときどき顔をのぞかせます。自分の甘さを恥じ入るばかり。

とは言っても、けっして堅苦しい本ではないので、好きなお酒でものみながら読むというのが、本書の正しい取り扱い方でしょう。私もそうしました。


それなのに、そんな読み方をしていても、読み終わると襟をただしたくなるのが不思議です。その秘密のひとつは、たぶん編集後記にあります。

「変な表記、じゃない、編者後記」

と題した編集後記は、編者を務めた越前敏弥さんによるものですが、これが本書の仕上げです。ただの編集後記ではありません。

東江さんの遺した文章を並べて、おそらくは何度も再読し、再構成しながら東江さんの姿を思い出し、そして最後には、遺影のようにその姿を前にしながら、越前さんは編集後記をお書きになったのではないか――勝手な想像ですけど、そう想像したくなるほど、編者後記まで含めて完成した形になっている。私はそう読みました。

東江さんと越前敏弥さんのことで、どうしても心残りなことがあります。この機会に書いておきます。


東江さんがお亡くなりになったのは、2014年6月21日でした。

私はというと、ちょうど前日から東京ビッグサイトのそばに泊まって、翻訳業界の一大イベントのまっ最中。そう、東京で開催されたIJET-25のちょうど期間中でした。

そして、越前さんには、私がお願いして、そのIJET-25の2日目(22日)にご登壇をお願いしてあったのです。

たしか、21日のうちに越前さんから「東江さんが亡くなった」と連絡があり、委員会側ではこんなチラシも用意していました。

1806051

それでも、越前さんは予定どおり、翌22日にはビッグサイトにお越しくださったのですが、ふだんとは明らかに様子が違っていました。

私はたぶん、哀悼の意すらろくに示さず、ともかく越前さんの登壇するセッションのことしか考えていなかったと思います。

あのときの越前さんのご心中を察していれば、こちらからもっと強硬に、「登壇なんかキャンセルして、あちらにいらっしゃってください」、と申し出るべきだったんじゃないか……。


あれ以来、ずっと気になっていました。

それだけに、編者後記の最後の一文が、よけいに響きます。

01:02 午後 翻訳・英語・ことば, 書籍・雑誌 | | コメント (0)

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