# Wifi Keyboard + EBPocketで作る準PASORAMA環境
2/4の「脱・辞書の持ち腐れ」セミナーでは、アプリの名前をちらっと出しただけだったので、改めてご紹介しておきます。
かつてのPASORAMAのように、パソコンからスマートフォンやタブレット上の辞書を操作できる環境を、PASORAMAほど完全ではないながら、部分的に再現するしくみです。
≪重要≫
PCとスマートフォン/タブレットは、同じネットワーク上にある必要があります。たとえば一般家庭であれば、PCを有線/無線接続している同じルーターに、スマートフォン/タブレットもWi-Fi接続していることが前提です。
使うのは、次の3つのアプリです。
※私がAndroidを使っていないので、紹介するのはiOS環境だけです。「Wifi Keyboard」はAndroid版もあるのですが、同じかどうか確認していません。
ただし、「辞書を操作できる」と言っても、できるのは基本的に、
PC上のブラウザを使って端末上で入力する
言い換えれば、「ブラウザ上で入力した文字列を端末に渡す」だけです。
PASORAMAのように辞書の内容がPC上に表示されるわけではなく、表示されるのは端末のアプリ上です。検索以外の操作(検索方法の切り替え、スクロール等)はアプリ側で行うことになりますし、もちろんコピーもできません。それでも、検索語をPC側、つまりふだんのキーボード上で入力できるというのは雲泥の差です。この環境のおかげで、アプリ辞書の導入がだいぶ気軽になりました。
逆に、「ブラウザ上で入力した文字列を端末に渡す」しくみなので、用途は辞書引きに限りません。たとえば、PCで見ているページをiPadで開きたいときは、URLをコピーそのままiPadに入力できます。
以下、iPadで説明しますが、iPhoneでもだいたい同じだと思います。
1. Wifi Keyboard
無料アプリですが、日本語対応させるには240円かかります。Wifi Keyboardは自体は、インストールしても何もしません。ATOKなどと同じように、使えるキーボード設定が増えるだけです。
[設定]→[一般]→[キーボード]→[キーボード]と進み、[新しいキーボードを追加...]をタップして[Wifi Keyboard]を選択します。
こうなればOK。
これで、オンスクリーンキーボードを切り替えると、Wifi Keyboardが表示されるようになります。切り替えると、一瞬だけ
と表示され、すぐにIPアドレスの表示に切り替わります。
このIPアドレスを、PC上のブラウザのアドレスバーに入力すれば、
ブラウザ上でこんなインターフェースが開くはずです。この画面で文字列を入力し、Enterキーを押せば、iPad側に文字列が渡されます。
ただし、この入力インターフェースは、iPad上で入力フィールドにフォーカスがある状態でないと使えません。それ以外の状態のときは、
このようにDisconnectedとなって入力できなくなります。
■
このしくみを、iPad上の個々の辞書アプリで使ってもいいのですが、準串刺し環境になるように組み合わせるられのが、EBPocketです。EBWin4と同じシリーズとしてと公開されているアプリで、iPad上でEPWINGデータを使うことができます(ここでは、EPWING辞書を使うのが目的ではないので、その説明は割愛)。
有料版と無料版がありますが、できれば有料版を。以下に紹介する串刺し的使い方には、有料版が必要です。
EBPocketには、EPWINGデータを登録して使うことができるほか、「Web検索」という便利な機能があります(有料版のみ)。文字どおり、よく使うWebサイトを登録して辞書引きと並んで検索できる、つまりEBWin4の「Web検索」と同じ機能です。
ところが、EBPocketのWeb検索には、もうひとつ便利な使い方があります。iOSにはアプリから別アプリ呼び出すしくみがあり、その呼び出しをURLで指定することができます。このしくみを「URLスキーム」といい、アプリ固有のURLが公開されていれば、それをふつうのURLと同じようにWeb検索に設定できるのです。
物書堂のアプリはほとんど、このURLが公開されています。
リンク:物書堂のサポートページ
このページを見ると、辞書ごとのスキーム名と、指定方法が書いてあります。
たとえば、物書堂『ウィズダム英和・和英辞典 2』のURLスキーム名はmkwisdom2と分かるので、
設定メニュー(歯車アイコン)から[Web検索]を選んで---
mkwisdom2:///search?text=
と入力するだけです(名前は適宜)。
Web検索に、辞書は8個まで登録できます。
なお、物書堂アプリは、右上の[…]メニューを開くと[URLスキームをコピー]というコマンドが用意されているので、登録はさらに簡単になっています。
実際にブラウザ上で入力し、EBPocketで検索した画面は、たとえばこのようになります。
「内蔵辞書」というのはEPWING辞書。「外部辞書」以下に出てくるのが「Web検索」に登録したアプリ辞書です。ここから辞書名をタップして選択すると、各アプリに移ります。
他の辞書を見るには、いちいちこの画面に戻ってくる必要があります。ただし、物書堂のアプリどうしは、アプリ内でも移動できるようになっています。
ということで、Wifi Keyboardの準備をし、EBPocketでWeb検索を設定すれば、iPad上でアプリ辞書を引くのは格段に楽になります。
■
さて、PASORAMAと大きく違うのは、iPad上で検索した結果をPC側に取り込めないという問題です。これは、Evernoteを使って解決しました。
iPad側で検索結果をコピー(部分でも全部でも)したら、iPad上のEvernoteで新規ノートを作り、そこに貼り付けます。PC上のEvernoteで同期を実行すれば、コピーした内容をPC側ですぐに利用できます。
辞書データがアプリ中心になってきた今、この
Wifi Keyboard + EBPocket + Evernote
というセッティングは、私にとっては重要な辞書環境のひとつになりました。iPadをお持ちの方はぜひお試しください。
02:42 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | URL
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