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2018.01.19

# 『翻訳スキルハンドブック』と、記念トークショー

昨年の11月に発売され、翻訳者のあいだで話題になっている本があります。


そして、この本の刊行を記念して、著者の駒宮俊友と、テリーさんこと齊藤貴昭さんとの対談イベントがあります。

リンク:駒宮俊友さん×齊藤貴昭さんトークショー 「翻訳者に求められるスキルとは?~みなさんの疑問にプロが答えます!」

日時:1月24日(水)19:00~21:00
場所:ブックファースト新宿店地下2階Fゾーンイベントスペース(新宿区西新宿1-7-3)


後述するように、本書『翻訳スキルハンドブック』は、翻訳を勉強中の方や仕事を始めて日の浅い人にとって最良の指針になるのはもちろんのこと、すでに何年か翻訳で食べている人にも参考になる一冊です。

トークイベントでは、著者の駒宮さんと、"翻訳チェックのプロ" テリーさんに直接、質問もできます。『翻訳スキルハンドブック』を予習して、おふたりに疑問をぶつけてみませんか?


※開催まで1週間を切ってしまいましたが、もちろん、私も聴きにいきます!

『翻訳スキルハンドブック』は、世に出ている翻訳指南書のなかで、いちばん

仕事としての翻訳という現実

を知り、実践するのに適していると言えます。

目次
第1章 翻訳者に求められるスキルとは
第2章 翻訳のプロセスと基本スキル1 原文分析スキル
第3章 翻訳のプロセスと基本スキル2 リサーチスキル
第4章 翻訳のプロセスと基本スキル3 ストラテジースキル
第5章 翻訳のプロセスと基本スキル4‐1 翻訳スキル“翻訳作業スタート編”
第6章 翻訳のプロセスと基本スキル4‐2 翻訳スキル“完成までのブラッシュアップ編”
第7章 翻訳のプロセスと基本スキル5 校正スキル
第8章 納品時の注意点
第9章 より良い翻訳のためのヒント
(目次はAmazonより)

注目すべきは、本書の17ページ以降で紹介される「英日翻訳の基本プロセス」です。

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駒宮さん、図版の無断引用、ごめんなさい!


いわゆる翻訳指導というのは、とかく「翻訳」の部分に終始していますが、それ以上に大切なのは、最初の2つのプロセス、

・原文分析

・ストラテジー

です。

簡単に言えば、

・原文をきちんと読み込み(原文分析)

・どう翻訳するか作戦を立てる(ストラテジー)

ということですが、具体的にどんなプロセスかは、ぜひ本書をお読みください。


もちろん、ある程度きちんと翻訳に向かい合った人であれば、とっくに分かっているはずのことでしょう(分かっていなかったら、それはそれで、かなり問題)。

手前味噌ながら、翻訳フォーラムの4人が書いた『翻訳のレッスン』で、「読めないものは訳せない」とか「準備7割」とか書かれているのも、この部分を指しています。

私も翻訳学校などではこういう点を説明はしていますが、上の図のようにきちんとこの概念を定義して図式化したうえで、翻訳経験の浅い人にも分かりやすく示してくれているのが、本書最大の特長です。この辺は、インペリアル・カレッジ・ロンドンで翻訳研究を実践したという駒宮さんならではでしょう。

「何年か翻訳で食べている人にも参考になる」と書いたのも、こういう基本姿勢を再確認できるからです。

一方、「翻訳」と「校正」のプロセスに進むと、流儀は人によって違ってくるかもしれません。

たとえば、本書が「校正スキル」として取り上げているなかで---

校正スキル3 長過ぎる主部は短くする

校正スキル6 「柔らかな表現」というテクニック

校正スキル7 読点のプロを目指す

校正スキル8 主語と述語の関係を明確にする

校正スキル9 修飾語の位置を検討する

校正スキル10 言葉のニュアンスを意識する

校正スキル12 重要な情報はなるべく前に

などは、私としては「翻訳」プロセスに入ります。もちろん、見直し・読み直しの段階でこういう点に注意するという姿勢に反対するものではないのですが、こういうポイントを後から仕上げようとは、あまり考えません。

つまり、よく言われるような「粗訳してから最終的に仕上げる」というのを私はあまりやらないのですが、この辺の翻訳スタイルは人それぞれでいいと思います。

いずれにしても、こんな風に自分のふだんの翻訳プロセスを見直す、いいきっかけにもなる。これも本書の効用です。


逆に、第5章「翻訳」はある意味もの足りないと感じられるかもしれません。が、この部分は類書で補えるでしょう。

本書の肝は第2、3、4章であり、そして全編を通して明晰に整理されている

「翻訳というプロセス」

の全体像です。


24日のトークイベントでも、駒宮さんが考える「翻訳プロセス」がどう語られるのか、とても楽しみです。

しかも、そこにテリーさんがからむというのは、これは必聴でしょう!

【追記】

整理券方式ですが、電話予約もできます。

ブックファースト新宿店 電話:03-5339-7611

01:34 午後 翻訳・英語・ことば | | コメント (0)

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2018.01.17

# ジャパンナレッジ、JTF/JAT会員向けキャンペーンについて

小学館の有料辞書サイト「ジャパンナレッジ」、今年も「お友達紹介キャンペーン」が実施されています。1月31日までです。

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もし、この紹介キャンペーンをお使いになりたい方は、帽子屋までご連絡ください(メールアドレスは、右カラムの「プロフィール」から確認できます)。


ただし、昨年ご案内したとおり、ジャパンナレッジ(以下、JK)を

JTF/JAT会員は永年20%割引

で利用できるという特典があります。

リンク:side A: # ジャパンナレッジ、JTF/JAT会員は永年20%割引に!


昨年の今ごろJKに登録した方には、ぼちぼち『更新手続きのご案内』というメールが届き始めているかと思います。このメール案内に従って更新手続きをしてしまうと、JTF/JAT

会員向け特典が適用されない

ので、ご注意ください。

会員特典を適用する手順を、以下にまとめました。


以下、JKの運営会社であるネットアドバンス様からご案内いただいた手順です。

  1. 契約満了の1か月前に、登録メールアドレス宛てに『更新手続きのご案内』というメールが届きます。現在の契約の満了日は、JKにログインして、画面右上のメニューから

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    [登録情報の確認と変更]→[登録コース確認]に進むと確認できます(途中でアカウント確認が入ります)。


    ただし、この案内メールから更新手続きをしてしまうと、割引が適用されません。

  2. 現在の登録は何も手続きをしなければ月末に「自動退会」となります(年間契約は初月無料の特典がありますので、1月31日までの契約期間の場合は2月1日に再入会の手続きを行えばぴったり13か月ご利用いただけます)。
  3. 自動退会になるのを待ってから、改めて下記URLから入会手続きを行ってください。その際にキャンペーンコード(次項を参照)を入力します。

    【ジャパンナレッジ 入会手続き(優待利用)】
    http://cam.japanknowledge.com/

    こういう画面のはずです。

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  4. キャンペーンコードは昨年、

    ・JTF会員向けにはチラシで
    ・JAT会員向けにはメーリングリスト(およびチラシ)で

    届いています。が、おそらく紛失してしまったという方もいるのではないかと思います。そこで、JTF/JATから会員向けにキャンペーンコードを連絡してもらうように手配しているところです。

  5. システムの関係上、再入会手続きの際には、元の会員IDを使えないそうです。新しい会員IDを使ってください。ブラウザのログイン設定なども更新することになります。

特に面倒なことはないと思いますが、退会 → 再登録の際に何かトラブルなどありましたら、ご報告ください。

01:44 午後 翻訳・英語・ことば, 辞典・事典 | | コメント (0)

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2018.01.14

# EBWin4 4.5.1 --- いろいろ進化してた!

11月から年末・年始は、ほんとに

あっ

という間に過ぎてしまった気がします。その間に、辞書ブラウザEBWin4が大きく進化していました。最新バージョンは、4.5.1です。

リンク:EBWin4

EBシリーズ全体のサイトはこちら

着実なバージョンアップ、作者のhishida様、いつも本当にありがとうございます。

【速報追記】

4.5.1をインストールしたら起動しなくなったというご報告がありました。

実はウチでも最初はそうでした。ウチの場合、いったんアンインストールしてから再度インストールしたら、起動するようになりました。原因は不明です。なお、アンインストールしても辞書設定などは削除されません(……のはずです)。EBWin4の設定は

C:\Users\\AppData\Roaming\EBWin4

にあるので、心配な場合はこれをバックアップしてからアンインストールしてください。

フォントのサイズや色など、[ファイル]→[設定]にあるオプションはデフォルトに戻ってしまいますが、これは上書きインストールのときでも同じです。


EBWin4のバージョンアップに伴う最近の大きい変化は、こんなところでした。

2017/06/18 v4.4.4
・コマンドライン引数に/M=検索方法 を追加

 たしか、テリーさんのリクエストに応えてくださった形でした。


2017/07/28 v4.4.5
・Visual Studio インストーラに変更。
・PCに必須コンポーネント(.Net Framework4, Visual C++2010 ランタイム)がインストールされていない場合、自動的にインストールを行う。

 これ、レッスンシリーズのときに、新しいインストーラでインストールできないケースが出て慌てました。


この後しばらく大きい更新はなかったのですが、11月以降、更新ラッシュがあったようです。以下、特に大きい変更点は赤字にしてみました。

2017/11/08 v4.4.6
・ドラッグ&ドロップによる辞書追加
・GIF画像の表示(EBStudio2で作成できるようになったため)

2017/12/02 v4.4.8
・PDIC/Unicodeの長い訳語が表示できない問題を修正
・PDIC,StarDict,MDictでアクセント記号付Latinはアクセント記号無で検索

2017/12/09 v4.4.9
・PDIC,StarDict,MDictでアクセント記号無で検索をオプション化

2017/12/25 v4.5.0
・ALT+←→で戻る・進む
・辞書バーの複数行表示
・本文中のfile://をリンクとして解釈
・辞書個別CSSサポート。CATALOGSの存在するディレクトリに、<辞書ディレクトリ名>.cssを配置する。


ひと目で分かる変化は、v4.5.0で実装された

辞書バーの複数行表示

でしょう。

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今までは、ウィンドウ幅に収まらない分は省略表示(残りを見るには右端をクリック)されていたので、常用辞書をすべては並べきれず、私も「英語グループ」、「国語グループ」のようにグループ分けして使っていました。でも、これでいつでも「すべての辞書」の状態で使えます。これはうれしい。


そして、v4.4.6で実装された

ドラッグ&ドロップによる辞書追加

は、今までの辞書ブラウザになかった画期的な機能です。これで、EBWin4導入のハードルが一気に下がるのではないでしょうか。

使い方はいたって簡単です。

EPWING形式の場合はCATALOGファイル、LogoVista辞書の場合は.idx(.IDX)ファイルを、EBWin4の辞書リストウィンドウまでドラッグ・アンド・ドロップするだけ。

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LogoVista辞書は、ものによって .idx(.IDX)ファイルが複数あったりします(『研究社大英和』などがそうです)。その場合は、いちばん「それらしいファイル名」を選んでください。

この手軽さはすばらしいですよ。

表示名の変更などは、今までどおり「ファイル」→「辞書の編集」を使うことになりますが、追加だけなら本当に簡単。これなら、今までJamming/Logophileなどを使っていてEBWin4をためらっていた方も、手持ちの辞書データをドラッグ・アンド・ドロップで追加して、EBWin4を気軽に試せるのではないでしょうか。


そのほか、表示履歴をAlt + ← → で前後できるというのも、使い勝手のうえではなかなかありがたい更新です。

ただ、インストールのときに困る人が出てくるかもしれないので、インストールについて補足しておきます。

インストーラをダウンロードして解凍すると、

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こういう内容が展開されます。setup.exeを実行すると、まずこんなダイアログが表示されるはずです。

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「Visual C++ 2010ランタイム」(プログラムに必要な実行環境です)がインストールされるというメッセージですが、これより新しいランタイムがすでに入っているPCだと、次のようなエラーが出てしまいます。

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ここで慌ててはいけません。同梱のREADME.txtを読めば、ちゃんと書いてあります。README、大事ですね~。

「より新しいバージョンのMicrosoft Visual C++ Redistributableがコンピューター上で検出されました」  と表示されてインストールが中断した場合は、EBWin4.msiを実行してください。

インストーラのほかにEBWin4.msi というファイルがあるので、こちらから使えということですね。


ただ、マニュアルには書いてありませんが、ここでさらにつまずくことがあります。というか、私は先ほどトラブりました(v4.4.5までは大丈夫だった。たぶん、後述する設定をどこかで変えていたのかも)。

以下は、マシンによって症状が違うかもしれませんので、Windows 7での例として参考までに。


README.txtに書かれているとおりに、EBWin4.msi をクリックしたら、私のマシン(Windows 7 64bit)では、こんなエラーが出ました。

1801146msi_error

変な日本語ですが、要するにこのマシンのセキュリティ設定によってインストールが制限されているということ。

これを回避するには、ちょっとシステム設定を変える必要があります。

[スタート]メニューから[ファイル名を指定して実行...]を選び、gpedit.mscと入力して[OK]をクリックします。

1801147_gpedit

[ローカル グループ ポリシー エディター]という、なにやらコワそうなダイアログが開くので、下のスクリーンショットのような設定を探します。

1801148_local_policy

[コンピューターの構成]→[Windows の設定]→[セキュリティの設定]→[ローカル ポリシー]→[セキュリティ オプション]の、[ユーザー アカウント制御: 管理者承認モードですべての管理者を実行する]です。これが[有効]になっていると思います。

これをダブルクリックするとダイアログが開くので、オプションを[無効]にします。最後に、PCを再起動。

これで、EBWin4.msi を実行できるはずですが、msi 関連のエラーは、ほかにも何パターンかあるようなので、困った方がいらっしゃったら、EBシリーズのサポートをご利用ください。

01:51 午後 翻訳・英語・ことば, 辞典・事典 | | コメント (2)

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# EBWin4、いろいろ

12:03 午後 翻訳・英語・ことば, 辞典・事典 | | コメント (0)

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2018.01.07

# JTF翻訳セミナー、異色のトリオが語る通訳と翻訳

2月のレッスンシリーズと3月の関西セミナーについては、すでに告知したとおりです。

リンク:side A: # 「脱・辞書の持ち腐れ」セミナー、東京と大阪で開催


加えて、急な話ですが、2月のJTF翻訳セミナーにも登壇することになりました。

テーマとしては「通訳と翻訳」を取り上げ、顔ぶれがなかなかユニークです。

リンク:JTF翻訳セミナー「翻訳と通訳のあいだ~思考プロセスの狭間を可視化する」

日時:2月8日(木)14:00~
場所:千代田区紀尾井町3-27 剛堂会館ビル1F(明治薬科大学 剛堂会館)

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一緒に登壇するのは、会議通訳者でありJACI(日本会議通訳者協会)理事を務める関根マイク氏と、実務翻訳者・ライターの松丸さとみさんです。


関根マイク氏は、かなりズバズバとものを言う強烈なキャラクターで知られています。先日の第27回JTF翻訳祭に登壇し、「翻訳者の営業」について、かなりセンセーショナルなプレゼンテーションを演じてくださいました。

冒頭で帽子屋をdisったw

とも聞いていますが、マイク氏の話は、JTFのイベントではなかなか聞けない内容でした。そもそも、話のノリがふだんのJTFセミナーとはかなり違うので、今回の翻訳セミナーも、いい意味で予想のつかない展開が予想されます。


松丸さとみさんは、2年続けて翻訳祭実行委員を務め、今年は交流パーティーの司会も担当してくれました。BBCニュースの翻訳だけでなく、そのナレーションも担当しているだけあって、聞き惚れてしまうような美声です。

また、出版翻訳を語るセッションにも井口耕二さんとのコンビで登壇し、「聞き役」として名人芸を披露してくださいました。今ではすっかり、

翻訳業界の黒柳徹子

と呼ばれています。その異名はだてではありません。


私としては、10月に続いて同じ年度内で2度目のJTF翻訳セミナー登壇、ということになりました。これも異例のことです。マイクさん、さとみさん、帽子屋---この3人で語るお題は、

通訳と翻訳のはざま

です。

JTFが通訳も扱うようになったことは、まだあまり知られていません。通訳の方は、時間と場所の制約があるという業務の性質上、平日のセミナーには翻訳者ほど気軽に参加できないとも聞いています。そこで、通訳だけを対象にするのではなく、

翻訳者と通訳者の基本的な思考プロセスを比べ、市場に求められる翻訳・通訳の品質に関して議論し、ビジネス面も含めて翻訳者から通訳者(またはその逆)へのキャリアシフト、または兼業の可能性を検討する

ことにしました。

通訳・翻訳を問わず、Translationに携わるどなたにも参考になるはずです。


通訳と翻訳のはざまで繰り広げられるバトルにご期待ください。

08:47 午後 翻訳・英語・ことば | | コメント (0)

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2018.01.03

# あけましておめでとうございます - 2018年

あけましておめでとうございます。

1801031
(なんか、昨年の「酉」と比べると、デザインいまいちですが)


2017年は、JTF翻訳祭の実行委員長という大役を仰せつかり、11月29日の当日までほとんどその準備に終始しました。

おかげさまで、翻訳祭そのものはおおむね大成功に終わり、安堵のうちに年を越すことができました(参照:# 第27回JTF翻訳祭、終わりました!)。


一方、日本中を飛びまわった一昨年と違ってお出かけはぐって減り、9月に福岡翻訳勉強会にお邪魔しただけでした。


今年は、すでに3月(関西セミナー)、6月(IJET大阪)、10月(JTF翻訳祭)の大阪・京都行きが決まっていますが、いったいどんな年になるのでしょうか。

1801032

毎年恒例、地元神社のおみくじによると、あまり派手に動かないほうがいいのかもしれません。足元をしっかり固めつつ、じっくり歩んでいきたいと思います。

関係各位、今年もよろしくお願いいたします。m(__)m

03:14 午後 | | コメント (0)

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