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2017.12.07

# 第27回JTF翻訳祭、終わりました!

(なかなか時間がとれず、1週間も経ってしまいました……)

かねてからご案内していたとおり、さる11月29日、日本翻訳連盟主催の「第27回JTF翻訳祭」が開催されました。

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ご参加くださった方の声を聞いたり、その後のブログやツイートを読んだりしたかぎりでは、ひとまず好評のようです。

これもひとえに、実行委員会と事務局のみなさん、当日のボランティア、登壇者のみなさま、そして何より、朝早くからご参加くださった皆さまのおかげです。

あらためて、厚くお礼を申し上げます。


「個人翻訳者にもっと足を運んでもらおう」

という方針のもと、昨年は委員のひとりとして、今年は委員長として2年にわたり翻訳祭の準備・運営に携わってきました。

昨年も今年も、その趣旨に見合ったコンテンツをどうにかそろえることができたようで、

個人翻訳者の目をJTFに向ける

という役目は、ひとまず果たせたのではないかと思っています。


昨年は、前年比で個人翻訳者の参加が2倍になるなど大きい目標は達成できた反面、会場の制限もあって、運営面にいろいろと悔いや課題が残りました。

また、内容面でも、もっと魅力的なコンテンツを用意したい、業界全体が盛り上がるイベントにしたいという欲が出てきました。

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(第27回JTF翻訳祭パンフレットより)

そのための核になるもの、翻訳者と翻訳業界を支えているものは何だろう――そう考えて出てきた答えは、やはり「言葉」でした。今年のテーマに委員会一同が込めたのは、そんな思いです。


思いがかたまったとき、コンテンツの方針も自ずと決まり始めました。


出版翻訳のセッションは絶対に入れよう。

結果的に、出版系としては2つのセッションが実現。委員でもある井口耕二と松丸さとみが、"徹子の部屋"風の対談をやってのけてくれました。

そして、村井理子さんと編集者の伊皿子さん! このお二人をお呼びできたのは、今年の翻訳祭でも特に大きい成果だったと思っています。

もともとは同じく出版系というつもりでお呼びした柴田耕太郎さんは、私たちの予想を超えた「翻訳教育」という枠で「翻訳」を語ってくださりました。


ひとりでも多くの方に、業界へ向けて何かを発信してもらいたい。

そんな思いつきから、「10分間ミニ講演会」というのも、初めて企画してみました。はたして応募はあるのか――そんな不安をよそに予想以上の反応があり、1コマ予定だったこの企画を、急きょ2コマとしました。結果的には、これがなかなかおもしろかったそうで(私は見られませんでした)、今後も少しずつ形を変えて続けていけそうな手応えがありました。


通訳のセッションも充実させないと……。

JTFの約款に通訳も加わったため、昨年から通訳のセッションは増えています。

今年は、日本会議通訳者協会の関根マイク氏に早くから協力を依頼し、単に通訳という枠ではなく「通訳者への転身」(白倉淳一さん)、「大学と通訳翻訳業界の連携」(松下佳世さん)という魅力的な内容をそろえていただきました。

そのマイク氏ご本人も、「ぶっちゃけるので運営による録画も禁止」というくらいの過激さで、個人翻訳者の営業について語ってくれました。


「言葉」がテーマなら、やっぱり辞書の話を入れたい……。

そんなことを考えていた折も折、以前このブログでも紹介した『辞書マイスターへの道』という本が出ます(7月)。

さっそくコンタクトをとった関山健治先生が快諾してくださり、このセッションは私が自ら司会も務めました(8月には一度お会いし、翻訳祭の2倍以上の時間、個人的にお話を伺いました。ささやかな役得)。


これからの翻訳を考えるなら、翻訳の歴史を振り返ろう。

今年の5月に"チラ見せ"だった、高橋さきのさんの翻訳史をロングバージョンで再演してもらいました(深井裕美子さんのナビゲーション付き)。


そのほか、フリーランスにとって大切な「お金の話」(古川智子さん)や、「中国語翻訳の品質管理」(村井見栄子さん)などは、今までの翻訳祭になかった異色のセッションです。一方、"定番"としておさえたのが、新田順也さんの「Office製品の活用術」。


機械翻訳についても、2つのセッションを用意しましたが、予想どおり、どちらも立ち見が出るほどの盛況でした。


日英翻訳の需要も大きいようで、朝いちばんにもかかわらず、ベンジャミン・トンプキンスさんのセッションは超満員。今まで西日本でご登壇になったことは多かったものの、東京では初開催というのも一因でした。

一方、キャパとして限界に近づきつつある会場の混雑をどうするか、というのが、今年の委員会にとって最大の懸念材料でした。

そこで、昨年のMaxより大きい部屋を用意したうえで、「時間割と会場は後から決める」という思い切った方針に踏み切りました。そのために、事前にはセッションの内容だけをご案内し、セッション聴講アンケートの様子を見ながら、後から時間割を決め、会場まで決定したのは、11月なかばとなりました。

お申し込みの段階でタイムテーブルが分からないということで、皆さまにはご不便をおかけしましたが、結果的には、この方針が功を奏したように思います。幸いなことに、同じ会場、ほぼ同数の参加者数にもかかわらず、昨年のような大混乱はなく当日を乗り切ることができました。


今年は、思い切ってパンフレットのデザインも一新しています。昨年までと大きく変わったパンフレット、いかがだったでしょうか。

このパンフレットをデザインしてくださったのは、JTFジャーナルの編集、デザイン、レイアウトにも協力してくださっている、Charlie's HOUSEの "チャーリー" こと、中村ヒロユキさんです。

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そして、来年の第28回JTF翻訳祭は、なんと

京都で開催

することが決まっています。今回の交流パーティーのとき、正式に発表されました。日程は、

2018年10月25~26日

です。東京以外での開催というのも初めてなら、2日間(実際は1.5日間)というのも初めてです。

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まだJTFサイトはオープンしていませんが、Facebookページができています。

第28回翻訳祭

コンテンツはこれから決めていくわけですが、目玉として、

飯間浩明さん

のご登壇がすでに決定しています!


というわけで、第27回翻訳祭にかかわったみなさん、ありがとうございました!

そして、第28回翻訳祭も、どうぞ、お楽しみに!

07:36 午前 翻訳・英語・ことば |

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コメント

こんにちは。
今回初めて翻訳祭に参加させていただきました。
「ニューラル機械翻訳は翻訳プロセスをどう変えていくか」を聴講させていただこうと思っていたのですが、会場に着いたらもう満員で立ち見もできず資料も取りに行けませんでした。
その他の講演の中にも、聴きたいけど時間帯が重なってしまっていたものがいくつかあります。
配付資料だけでもいただくことはできないものでしょうか。

投稿: 小川聖子 | 2017/12/07 19:15:42

小川さん、コメントありがとうございます。

また、翻訳祭にご参加くださり、ありがとうございます。当日は、お聴きになりたいセッションをお聴きいただけず、誠に申し訳ございませんでした。

当日の資料は、当日のうちであれば他の会場のものも含めて、残部があればもらえると思うのですが、後日の配布は、講演者の方しだいですね……。

今年の講演者の分はどうなるのか、ちょっと確認してみます。もし、何か分かったらこちらで書くか、メールアドレスもご記入くださっているので、直接メールします。

投稿: 高橋聡 | 2017/12/07 20:40:41

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