# 「Weblio英語表現辞典」とは何か~役に立つこともあるのに
このブログでは、Weblioの悪い面ばかり紹介していますが、役に立つ情報がないわけではありません。問題は情報の示し方です。そういう格好の事例に遭遇しました。
never-nude
という、見るからに要注意の語を調べていたときのことでした。もちろん、ふつうの辞書には載っていません。
ありがたいことに、私の辞書環境には、大久保さんが作ってくださったWiktionaryのEPWINGデータが入っていて、そこには載っています。
gymnophobiaというも未見の語でしたが「裸恐怖症」だそうです。世の中には、いろんな恐怖症があるものです^^
おもしろいのは語源欄で、"Arrested Development"というテレビドラマ(邦題『ブル~ス一家は大暴走!』)から生まれた言葉だそうです(ドラマ自体は未見)。
さて、このnever-nudeをネット検索してみると、おそらくトップにWeblioの定義が出てくるはずです。
訳語:全裸になることができない人、またその症状()。
解説:コメディシリーズArrested Developmentに登場するTobiasがこの病気を持っている
すごい! Wiktionaryより詳しいですよ。調べてみると、このドラマに関するWikipediaの項にも、こんな風に書いてあります(今回のウラ取りはこれで十分でしょう)。
Tobias is a self-diagnosed "never-nude" (a disorder comparable to gymnophobia), whose language and behavior have heavily homosexual overtones...
さて問題は、上のスクリーンショットにも出ている「Weblio英語表現辞典」というヤツです。クリッカブルなので飛んでみると、こんなページです。
ところが、これもまた「提供 Weblio」とあるだけで、要するに自前で用意した内容らしいという以上のことは、まったくわかりません。ためしに、上の解説文
コメディシリーズArrested Developmentに登場するTobiasがこの病気を持っている
をググってみましたが、このサイト以外にはヒットしませんでした。
さて、Weblioのnever-nudeの項には、Wiktionaryからの引用も載っています。
Someone who wears clothes all the time, even e.g. when showering.
ということですから、これを翻訳した(もしくは、機械翻訳した)ということでもありません。やはり「Weblio英語表現辞典」独自の語義・解説なのでしょうか。
となると、Weblioの中の人が、独自に語義・解説を書いているとしか考えられません。もし本当にそうなのであれば、
独自に編集している辞書データである
編集の方針はこれこれであり、何々を参考にしている。
といったことを、はっきり書くべきでしょう。
つまり、本来の辞書にある「序文」にあたる部分です。それをやらない限り、Weblio独自データが
「辞書」として信頼されることは永遠にない
のです。せっかくちゃんとした仕事をしているのであれば、それをきちんと表明すべきですよ、Weblioさん。
※ちなみに、このWiktionaryの定義が、私が引いたWiktionaryとは違います。私の手元にある大久保さん作EPWINGは、2017年3月1日版。Wiktionaryの履歴を見ると、4月7日に書き換えられていました。編集が加わるということは、少なくともアメリカではそれだけの知名度があるということなのでしょう。
11:59 午前 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | URL
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