# EBPocketで、アプリ辞書を串刺し!
前エントリまで、しばらくEBWin4のことを書いてきました。
ところで、EBWin4の作者であるhishidaさんは、iOS/Android上でEPWINGデータを使えるアプリも作成なさっています。
リンク:EBPocket for iOS
リンク:EBPocket for Android
Android版(とMac OS版も)もあるのですが、私が使える環境ということで、以下はiOSの話になります。
個人的には、PC上で(EPWINGデータを中心に)整備してある辞書環境を、iPadにまで持ち出す必要性はあまり感じていません。むしろ、iPadではiOSアプリでしか使えない辞書を中心にそろえています。そのため、EBPocketも、存在は知っていたのですが、試したことがありませんでした。
今回の一斉アップデートを機にちょっと見てみようと思い、Professional版を購入・インストールしてみたら---実はかすかに期待しながら---ちゃんと、他のアプリとの連携機能が用意されているじゃないですか!
なお、EBPocketをインストールすると、フリーの辞書データとしてEDICT2が入ってきます。この辞書の素性については、拙ブログの過去記事をご覧ください。
参考リンク:side A: # EDICTとE-DIC:ときどきおもしろい辞書たち
iOSアプリどうしが相互にデータをやり取りする(テキストをやり取りしたり、起動したりする)ために、「URLスキーム」という仕組みがあります。「検索ハブ」(残念ながら、諸事情でアップデートが止まってしまいました)も、この機能で各アプリを呼び出していました。また、物書堂さんの辞書では、検索後に他の辞書を呼び出すことができます。これも、おそらくURLスキームを使っているようです。
EBPocket Professionalをインストールして、設定画面を開いてみると、[Web検索]という設定項目があります。
これを開くと、デフォルトではYahooとかWeblioなどのサイトが登録してあります(下図は、もう設定が変わっています)。
ここを、使いたいアプリ辞書のデータに書き換えれば、EBPocketの検索結果から他のアプリに飛ぶ、つまり擬似的にではありますが、アプリの串刺し検索ができるというわけです。
ただ、URLスキームというのは開発者が独自に決めるので、公開されていないと使えません。この点でも、物書堂さんはユーザーに親切な会社で、基本的にすべてURLスキームを公開なさっています。
リンク:物書堂:辞典Appで検索
物書堂さん以外のアプリは、検索するとURLスキームが見つかるもの(BIGLOBEの『オーレックス』や、計測技研の『プログレッシブ』など)もあれば、公開されていないもの(MobiSystemsのAHD、ODEなど)もあります。
あとは、ここにあるデータをどうやってURLの形にすればいいか、が分かればいいのですが、この段階で私も試行錯誤しました。
指定の基本は以下のフォーマットです。
<辞典スキーム名>://<辞典アプリID>/search?text=
たとえば、『精選版 日本国語大辞典』の場合、<辞典スキーム名>が mknds 、<辞典アプリID>が NDS です。このほか、アプリとその会社ごとにURLの構成要素は違ってきます。物書堂さんの『精選版 日本国語大辞典』の場合、URLは
mknds://jp.monokakido.NDS/search?text=
となります。この後にいろいろと検索オプションを付けることもできるのですが、今回はそこまでやっていません。
以下、私のiPadにあって、しかも私が優先的に使いたい8つの辞書について、設定を挙げておきます。私が設定していない辞書アプリについては、物書堂さんの上記サイトなどを参考に、試してみてください(うまくできない場合は、メールでご相談ください)。
以下に挙げる Name と URL を、EBPocket の[設定]→[Web検索]の該当フィールドに入力すれば、使えるはずです。Name は何でもOKです。
Name:ウィズダム2(物書堂)
URL:mkwisdom2://jp.monokakido.WISDOM2/search?text=
Name:オーレックス(BIGLOBE)
URL:olexbiglobe://search?query=
Name:プログレッシブ英和中(計測技研)
URL:osw-progressiveEJ5JE4://*?k=f&q=
Name:Collins(物書堂)
URL:mkced://jp.monokakido.CED/search?text=
Name:精選日国(物書堂)
URL:mknds://jp.monokakido.NDS/search?text=
Name:大辞林(デフォルト)
Name:新明解(物書堂)
URL:mksmk7://jp.monokakido.SMK7/search?text=
Name:三国七(物書堂)
URL:mksankoku7://jp.monokakido.SANKOKU7/search?text=
「大辞林(デフォルト)」というのは、Web検索の設定に最初から設定されていたので、そのまま使っています。
また、Collinsというのは、学習英英の定番COBUILDではなく、Collins大辞典です(あまり知られていませんが)。
これで、iOS上の環境はできあがりました。EBPocketで何か検索すると、EDICT2の結果が並んだ最後に、登録したアプリの名前が並び、
と、ここまでがiOS上の動きです。これを、PASORAMA的にPC上から使うには、以前ご紹介した「Wifi Keyboard」というアプリを使います。
実は、上に挙げた8個のアプリ辞書の名前や、特にURLは、iOS上で入力しようとしたら大変です。これを設定する段階で、私は「Wifi Keyboard」を利用しました。これを使えれば、PC上でURLをコピペしてiOSに転送できるので、URLの指定もかなり楽になります。
いろいろと設定は手間かもしれませんが、ご参考までに。
12:59 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | URL
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コメント
すばらしい情報ありがとうございます!
さっそく物書堂さんから出ている小学館の独和大辞典を以下のように登録してみました。
いったん別のアプリには飛びますが、EBPocketに入れているEPWINGの辞書とiOSアプリの辞書を1回で引けるのはとても助かります。
Name:独和大辞典
URL:mkgrossesde2://GrossesDe2/search?text=
投稿: Maki | 2017/02/21 15:55:49
Makiさん、情報ありがとうございます。
そうだった。Makiさんは物書堂さんに詳しいんだった^^
投稿: baldhatter | 2017/02/23 15:53:19
Baldhatterさん、こんにちは。
EBPocketの「外部辞書検索」は、左側の連携辞書一覧からも選べますが、辞書本文内の単語を選択してもジャンプできます。単語を選択したら、吹き出しに「外部検索」と出ますから。もちろん
内蔵「辞書」も同様にできます。
*EurecaやWordboardのスクリーンショット、時間ができたら送ります。
投稿: 縞猫 | 2017/06/03 12:32:28