# 『デジタル類語辞典』のこと
これまでの辞書セミナーなどでも、実はあまり詳しくお伝えしてこなかった辞書があります。
そのひとつが、これです。
なぜあまり紹介していないかというと、販売状況が微妙なことがあったからなのですが、現在の販売元(上記のサイト)に行けば入手できるようです。
※
7/24現在も、Amazonでは「取り扱っていません」あるいは「出品者からお求めいただけます」となっています。出品者名は上記サイトのメーカーです。
【7/25追記あり】
JammingとEBWin4の場合について、ちょっと補足しました。
その名のとおり、日本語の類語辞典です。
EPWINGなどの統一規格ではなく、データの変換もできないようなので、このように単独のアプリケーションとして使用します。
『日本語大シソーラス』のように、概念カテゴリで分類して示すのではなく、類語を羅列するだけです。訳語を悩んでいるときには、この形で候補をざっと眺めたほうがいいときも多いものです。
ただし、「同義語」、「広義語」、「狭義語」、「関連語」などの分類はあります。
こういう一覧を表示する最小限の使い方だけでも重宝しますが、いくつか便利かもしれない使い方を書いておきます。
類義語に移動
上のスクリーンショットは「冗談」を引いたところです。「諧謔」、「ユーモア」などの類義語が並んでいるので、これをダブルクリックすると、その語で改めて検索できます。つまり、表示された候補を次々とダブルクリックしていけば、類語ネットワークをどんどん移動していけるという仕組み。
移動した履歴は、ツールバーにある「前」/「後」ボタンで行ったり来たりできます。
他の辞書を引く
機能性にちょっと難点もあるのですが(後述)、なかなか便利な機能です。
候補の語を選択して右クリックすると、[他の辞書を引く]というコマンドがあります。これを使うと、設定してある辞書を検索できます。
製品の案内ページを見ると、連携できる辞書が実はかなり多彩です。
【連携可能な電子辞書】
・LogoVista辞典ブラウザ
・Microsoft Bookshelf 3.0
・Microsoft/Shogakukan Bookshelf Basic 2.0/3.0
・DDWin Ver2.59/Ver2.66
・Jamming Ver2.1/Ver2.3.1/Ver2.6.4/Ver3.9.9
・Personal Dictionary for Win32Ver4.33/Ver4.42/Ver4.53/Ver4.74
・PDIC/Unicode Ver.5.2.5
・広辞苑 第六版
・エンカルタ百科事典2001
・現代用語の基礎知識
・新英和・和英中辞典
・類語例解辞典
・マイペディア百科事典
・学研super日本語大辞典ver1.0.2
・マルチメディア総合辞典
・スーパー大辞林
・デジタル大辞典
・ザ・完字変換
・理化学辞典
・ViewIng Ver2.42/Ver3.0
・DTONIC Ver2.44
・ことといLight Ver3.5.2
(http://v-networks.co.jp/SHOP/VNC_TH08.html より)
EBWin4はこのリストに入っていませんが、試してみたら大丈夫でした。
設定は簡単です。
- [ツール]→[他の電子辞書との連携設定]を選択する と、こんなダイアログが出てきます。
- [名前]に辞書名を入力します(名前は任意ですが、入力は必須)。
- ダイアログにあるこのボタン
を、使いたい辞書の入力フィールドまでドラッグ&ドロップします。この操作、「かんざし」に似てますね。 - [状態]はデフォルトで[可]になるはずなので、そのまま[終了]をクリックします。
これで、語句を右クリックして[他の辞書を引く]すれば、たの辞書を引けるようになります。辞書はいくつでも登録できます。その場合は、「かんざし」のときと同じように1回の動作で複数の辞書が勝手に検索されます。
ただし、ちょっと機能に限界があります。
いったん辞書を設定しても、辞書の側で検索方法を切り替えたり辞書を切り替えたりすると、そこで連携が切れてしまうということです。
しかも、元の設定に戻してもダメで、「デジタル類語辞典」のインターフェース自体を再起動すれば、また使えるようになります。
たぶん、連携設定した時点の辞書側のウィンドウ状態を記憶しているからで、その状態がいったん変わってしまうと、元に戻してもダメなんでしょう。
ちなみに、私の環境では、こんな感じでした。
Jammingだと---
検索方法(前方、一網打尽など)を切り替えるとダメ。辞書を切り替えてもダメ。
EBWin4だと---
検索方法(前方、自動など)の切り替えだけなら連携は切れない。辞書を切り替えるとダメ。
Webサイトを検索する
EBWin4とかLogoVistaブラウザでもおなじみのWeb検索機能です。
[ツール]→[ウェブサイトの設定]で、Webサイトを設定します。
デフォルトで、Googleなどいくつかの検索エンジンが登録されています。[状態]が[有効]になっている検索エンジン全部で検索を実行してくれるので、オンラインの国語辞典を使っている人は、ここに登録しておくといいかもしれません。
不要なエンジンは[削除]もできますが、[状態変更]を押して[無効]にするだけでもOK。
で、おもしろいのはここからです。
デジタル類語辞典のインターフェースでは、複数の候補を選択できます。その状態でこのWeb検索機能を使うと、そのすべてをキーワードにしてWeb検索されます。
たとえば、上のスクリーンショットで「ユーモア」と「戯れ言」を選択してGoogle検索すると、
こうなります。
候補をコピーする
ヒットした各ウィンドウで語句を選択し、右クリックで[コピー]を選択する(または Ctrl+C を押す)と、その語をコピーできますが、複数選択(Shiftキーを押しながら、とかCtrlキーを押しながらとか)してコピーすることもできます。
類語候補をまとめて別ファイルに貼り付けて確保しておく、みたいな使い方ができそうです。
ただし、(おそらく著作権の問題で)複数コピーできるのは最大で10個ずつです。候補がそれ以上あるときは、改めて次のまとまりを選択する必要があります。
また、デフォルトでは、複数候補をコピーすると、区切りがまったくありません。つまり、たとえば上の例で「同義語」をすべて(6つの語句)をコピーし、貼り付けると、
諧謔こっけいユーモアかいぎゃくジョークじょうだん
こうなってしまいます。もちろん、設定で変更できます。
メニューから[編集]→[コピーセパレータ]を選択すると、
このダイアログで区切り文字を選択できます。
というわけで、基本機能だけ使っていたのではもったいない辞書の話でした。
【7/25追記】
Logophileには日本語辞典をほとんど入れていないので、JammingとEBWin4の場合について補足しておきます。
「辞書の側で、検索方法や対象の辞典(グループ)を切り替えると動かなくなる。類語辞典を再起動すると直る」
という点は変わりませんが、辞書によってこの辺の状況も変わります。
Jammingの場合、検索方法別に連携を登録しておく必要があるようです。
たとえば「前方一致」の状態でのみ登録した場合、「一網打尽」に切り替えると動作しなくなるのは通常どおりですが、類語辞典を再起動しても「一網打尽」に対しては動作しません。この2種類の検索方法をよく使う場合には、「前方一致」と「一網打尽」それぞれの状態で連携を登録する必要があります。
EBWin4の場合、検索方法を切り替えただけなら、類語辞典の再起動は不要です。この点は便利です。辞典(グループ)を切り替えたときは、もちろん類語辞典の再起動が必要。
12:57 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 | URL
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