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2016.07.15

# 『悩ましい国語辞典』

いわゆる「ことばの乱れ」とか、慣用句などの誤用を指摘する類の本って、あんまり好きではないのですが、これは書店で手に取ってみて、ちょっと違ったので。


書店で目についたのは、たとえば「まじ」。この言葉が実は江戸時代とかあった、みたいな話。

あるいは「右開き」。誤用とかではなく、実は解釈がいろいろあって困るという話。


タイトルに「国語辞典」と付いているのは、国語辞典だということではなく

「国語辞典を編纂するとき、こんなことが悩ましい」

ということですね。そんな悩みを綴ったエッセイが五十音別に並んでる感じの本です。


今朝、

「物議をかもす」

っていう句を使った訳文を納品してから、はたと

これ、間違ってなかったよな。間違ってるのは「かもし出す」だよな...

と不安になって、この本を見ましたが、もちろん「かもす」で合ってました。

最近は「物議を呼ぶ」という言い方も多いらしい(そっちを私は知らなかった)とか、「物議を起こす」という用例が正岡子規にあるとか、そんな話も載っています。


それからまた、前のほうをぱらぱらと読んでいて見つけたのが、

すくう【掬う】

という見出し。リードにはこうあります。

掬われるのは「足」か「足もと」か?


これですよ。これ!


翻訳フォーラムの、もうだいぶ前の勉強会のときのことです。私が、訳文で「足もとをすくう」というのを使ってて、Kさんに「"足をすくう"だよね?」と指摘されたのです。

そのときは、しまったーと思い、その後も、ことあるごとにそのときのことを思い出すのですが……


この本によると、「足もと」には「足のあたり」だけではなく「足の下部」という意味もある。だから、「足もとをすくう」もありえるのではないかと。そして、劇作家・三好十郎の用例も載っている。

ここで、中納言とか調べてもいいのですが、ここはあくまでも、本のご紹介でした。

(7/15 19:00追記)

そうだ、これを書こうと思っていて忘れました。

LogoVista版の『明鏡国語辞典 第二版』には、ちょっと変わったインデックスがあります。


左上のドロップダウンにある通常の検索方法ではなく、検索ウィンドウにある[問題なことば検索]というウィンドウです。これが、「物議」を引いたところ。

1607161

このインデックスは、Jamming/LogophileやEBWin4では再現されないので、LogoVista純正ブラウザでないと見られません。

ちょっとおもしろい機能です。

なお、上の図で[問題なことば]タブの右に見えている[付録]タブにも、ときどき眺めるとおもしろい情報がたくさん載っています。中高生が配られる――そして、あまり使わない――「国語便覧」の電子版といったところです。

1607162

この情報は、EBWin4などでは[メニュー]検索から見ることができます。

03:43 午後 翻訳・英語・ことば, 書籍・雑誌 |

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コメント

『記者ハンドブック』の記述。

【足元をすくう】
 →足をすくう

 一刀両断です。
 ただし、当方のメモでは「足もとをすくう」は朝日新聞で何度か使われています。

投稿: tobirisu | 2016/07/15 16:37:33

あ、ほんとだ。ATOK(記者ハンドブック入り)でも注意されます。

記者ハンドブックはそれでいいと思います。

朝日の記者が間違ってる、という気もしますね。

投稿: baldhatter | 2016/07/15 16:48:11

 今回の参照サイトは下記です。
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-244.html
「足」で検索すると、32件。ほとんどが「足元をすくう」のはずです。
 

投稿: tobirisu | 2016/07/15 23:37:34

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