# 『シュナの旅』を買い直す
マスナガさんがこんな記事を書いていたので。
リンク:30年以上前に描かれた宮崎駿の『シュナの旅』を久しぶりに読み直してみた - 頭ん中
私もつい、つられて引っ張り出してきました。
本棚をなんど入れ替えようと、一部を倉庫に移動したり売ったりしようと、絶対に手元に残しておく本というのがあります。これも、そのなかの一冊。
ところが、再読しようとこれを開こうとしたら、古くて壊れそうだったので、再読用にもう一冊買うことにしました。
左が、手元にずっとある初版本。1983年6月15日発行。
右が、今回買い直したもの。2013年9月25日発行の82刷。
初版の帯にあるとおり、「アニメージュ文庫」として初期に出た一冊でした(文庫の刊行開始が前年の1982年)。
作者の活動時期で言うと、アニメージュ本誌にナウシカを連載中で、そのアニメ版が公開されるより前のことです。もちろん、スタジオジブリはまだ生まれていません。
裏表紙がかなり違います。値段は、初版が380円。今は448円+税。
既刊本のリストを見ると、時代がわかります。
『ヤマト完結編』、文が岬兄悟ですよ、イラストが金田伊功ですよ。高畑さんの『セロ弾きのゴーシュ』、大塚さんの『作画汗まみれ』ですよ...(すいません、ちょっと焔モユル入っちゃいました)。
■
さて、『シュナの旅』。
その後の宮崎駿がぎゅっと詰まっていると言えば、だいたいわかるでしょう。ナウシカのベースになっているのはもちろん、ラピュタっぽいところも、もののけ姫っぽいところもある。
そういえ絵師としてのおもしろさだけでなく、この本では、宮崎駿の語り口も注目に値します。以下、それほどネタバレにならない範囲で引用してみます。
乾いた土をひっかいても
ヒワビエの苗を植えても
やせた大地は
わずかな実りすら
出ししぶる
女たちはいつもの狩りにしては 多すぎる弾丸の数を見て
シュナの決意が固いのを知った
こういう語りと、この当時の宮崎駿の絵---漫画と絵コンテの中間のような、独特の間を持った---を楽しめる一冊。文庫なので、たいへんお買い得ですが、絵のクオリティーを楽しむために、大判になってくれてもいいと思います。
ちなみに、ほぼ同じ時期に出たこういう本もあって、
やはり買い直そうと思ったら、こちらは絶版で高値が付いていました...。
05:11 午後 アニメ・コミック・サブカル | URL
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コメント
『シュナ』は全然悪くないのですが、後世に印象をおとしめられましたね。
ほら、宮崎Jr.が監督のアニメ映画『ゲド戦記』(2006年)で、「原案」とされたってヤツ。
妙なものに関連付けられたことは、ル・グィンの『ゲド戦記』にとっても、宮崎駿の『シュナの旅』にとっても、不幸な出来事でありました。
ところで、あの騒動からもう10年になると今、気付いて愕然としたところです。
投稿: 白い都 | 2016/07/01 9:41:55
こらこらこらw
その話はあえて出さずにいたんですってば。あの事件をきっかけに、一気にアンチジブリになってしまったのが、約1名こちらにおりますからw
> あの騒動からもう10年
時間の矢は、かくして飛び去るのであります。私が大病してからもちょうど10年。
投稿: baldhatter | 2016/07/03 10:52:33