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2016.06.22

# 古い辞書を調べるということ

Facebookにちらっと書いたとおり、たまたま空き時間ができたので、久しぶりに神保町に立ち寄り、古書店ものぞいてきました。

短時間だったし、あてもなくぶらぶら店頭をブラウズしただけですが、1軒だけちょっと時間をかけたのが、こちら。

リンク:英米文学・言語学・日本学・洋雑誌 小川図書

語学書や辞書の専門店なので、大学時代から必ず毎回寄っていたお店です。CODの旧版とかみ、ここで買いました。


『ランダムハウス英和大辞典』の元になった英英辞典(今ある、Random House Webster's ではない)とか、気になる辞書もたくさん並んでいるわけですが、もちろん紙です。お値段も当然、5桁。おいそれと手が出るものではないし、だいいち持って帰る気になれません。置く場所もない。


それで、特にビブリオ的に価値があるわけではない、こんなのを300円で買ってきました。

1606221

『斎藤和英大辞典』の編者、斎藤秀三郎と非常に紛らわしい名前ですw

それに「外国からきた」ってのも、時代を感じさせます。

初版が出たのは1961年のようですが、私が買った版の奥付には、こうあります。

昭和四十四年十月十日 改訂二十三版発行
昭和四十七年四月十日 新版八版発行

前書きは「増補改訂に際して」と題して、1970年5月 という日付になっています。

つまり、この辞書は

1970年5月時点の新語辞典

ということです。


当然、カタカナばっかり並んでいるわけですが---


たとえば、「ビット」は載っていますが、「バイト」は載っていません(当然、「キロバイト」、「メガバイト」なども)。

ビット[bit]情報量の単位.記憶容量を表わすのによく用いられ,0と1の2進数が保有し得る最大の情報量を表わす

と書かれています。


「ディスク」は、次のように②の語義まで載っていました。

ディスク[disk]①円盤,蓄音機のレコード.②電子計算機で,磁気ディスク記憶装置の略.

つまり、1970年の時点でコンピュータに使う「磁気ディスク記憶装置」というのが、一般的に知られていたことがわかります。ところか、今ならそれを「ハードディスク」と呼ぶはずですが、「ハードディスク」は載っていません。まして、「フロッピー」も見当たりません。

すこし調べればわかりますが、フロッピー、つまり「ハード」でないディスクが登場したからこそ、それまでの「ディスク」をわざわざ「ハード」と呼ぶようになったということでしょう。


こんな風に、今なら当たり前になっているカタカナ語が、40年以上前には使われていたのか、(辞書に収録されるくらい)一般的だったのか、ということを調べられて、なかなか楽しい。


ちなみに、初期の『仮面ライダー』で、ショッカーの首領が口にしていた「バーリア」---「バリアー」ではない---は載っていませんでした。それどころか、「バリアー」のほうもありません。

うーん、子どもたちまで「バリアー!」とか言い出した、もうすこし後だったかなぁ。


逆に、私はこんな単語が載っていてビックリしました。

シズル[sizzle]フライパンで肉を焼くときの音.用例:シズル効果(見込み客の感覚を刺激して引きつけること.次項参照)

で、その次項には「シズル セール」という項目がある。

それから、こんなのも。

ワン ストップ ショッピング[one stop shopping]消費者が商品を買う場合,1か所ですべての買いものをすませる購買行動.

もちろん、どちらもマーケティング用語ですから、その分野の人なら「けっこう昔からあったよ」と思うくらい当たり前の話なのかもしれません。でも、この2つ、どちらも私は、過去10年くらい以内に知った言葉でした。

使い方からして、かなり新しそうだと思うじゃないですかぁ。それが、大阪万博のころにもうあったなんて......。

こういうことって、英語ならGoogleのNgram Viewerで調べられるんですが、日本語はダメですよね。だから、こんな紙の情報が役に立つ。


これが300円なんて、とてもお得でした。

12:32 午後 翻訳・英語・ことば, 辞典・事典 |

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コメント

バリアという言葉なんですが、ウルトラマンの「ミイラの叫び」にバリアマシンというのが登場するんですが、その時点ですでに誰でも知ってる言葉みたいな使われ方なんですよね。しかし私もそれ以前の使用例は知らず、どういう経緯でこういう使われ方をするようになったのか不明です。

関係ないんですが先日ハインラインのAnd He Built a Crooked Houseという短編を原文で読んでいて初めてslap happyという言葉が実際に使われている例を確認しました(笑)

投稿: おじゃま丸 | 2016/06/25 10:31:11

おじゃま丸さん、そうですよね。たぶん、その頃から聞いてたはずなのに…… おもしろいので、また古いこの手の本を探して調べてみようと思います。

投稿: baldhatter | 2016/06/27 21:01:44

「バリア」という言葉は、私が幼稚園時代に既に、子供のたちのごっこ遊びに一般的に取り入れられていました。
どちらかといえば、防衛チームの基地や戦闘機の防御システムとしてより、
怪獣や星人と格闘する上での対抗戦術との認識でしたから、
出典はご指摘の通り、『ウルトラマン』(1966年)と思われます。ウルトラマンたちはバリアを張る技を持っています。

しかし、同時代の他の特撮SFドラマ等にも、バリアは使われていたかもしれません。あの頃は色々な作品がありました。
私の印象にあるのは『マジンガーZ』(1972年)の光子力研究所で、
機械獣が攻めてくるといつも、ガラスのような多面体のバリアを張ります。そしてすぐ、ガシャガシャと破られるwww

投稿: 白い都 | 2016/06/28 10:40:28

> ガラスのような多面体のバリアを張ります

バリアをああいう風に視覚化したのは、当時でもけっこう珍しかった気がします。

投稿: baldhatter | 2016/06/29 11:34:05

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