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2016.06.14

# 1913年版のWebster辞書

『翻訳のレッスン』、p.70の脚注に、

1913年発行の英英辞典
Webster's Revised Unabidged Dictionary

というのが出てきます。

本文を見ると、これが「古い辞書」であることはわかるのですが、もう少し補足しておきたいと思います。


なお、本記事と併せて、「JTFジャーナル」5/6月号で連載を開始した私の記事もお読みいただくといいと思います。

リンク:JTFジャーナルWeb

※リンク先のWebページではなく、PDFをダウンロードしてご覧ください。PDF版のp.16からです。

私たちが直接知っている「Websterの大辞典」は、1961年に発行された

Webster's New International Dictionary of English Language, 3rd ed., 1961

です。

Webster3rdinternational_2

タイトルに"New International"と付いてからの、これが第3版です。発行から50年以上経っていますが、第4版が出ていないので、これが「最新版」です(オンラインでは新しい語も追加されています)。

"New International"は、初版が1909年、第2版が1934年に発行されました。


タイトルに"New"が付いているので見当がつきますが、これ以前には、"New"の付かない"International"版がありました。

Webster's International Dictionary of English Language(1890)

Webster's International Dictionary of English Language(増補、1900)

です。1900年に発行されたこの"International"増補版の1913年版が、名前を変えて

Webster's Revised Unabridged Dictionary(1913)

となります。

これが、今オンラインで入手できる「1913年発行のWebster辞書」というわけです。


なお、オンラインではいろいろなサイトで公開されていますが、私たちが使うには、EPWING版のこちらがいちばん便利でしょう。

リンク:Webster's 1913(EPWING)

『翻訳のレッスン』にも、このWebster 1913の例が載っていますが、ここでは、computerを引いてみましょう。

n. One who computes.

今のようなコンピューターが生まれる以前にもcomputerという単語はあったのですが、当然ながら、「computeする人」という意味だったわけです。

あるいは、network はこうなっています。

1. A fabric of threads, cords, or wires crossing each other at certain intervals, and knotted or secured at the crossings, thus leaving spaces or meshes between them.
2. Any system of lines or channels interlacing or crossing like the fabric of a net; as, a network of veins; a network of railroads

09:45 午後 翻訳・英語・ことば 辞典・事典 |

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コメント

やっぱり「昔の辞書」で引いてみたいのはcomputeですよね。わたしは以前(20年位前かな)翻訳学校に転がっていた^^;英和でcomputerを引いてみたところ、「計算者」「計算する人」と書いてありました。

あ。今、国立国会図書館デジタルコレクションを見てみたら、エッセンシャル英和辞典(1948)に「Computer [名]1計算者 2計算器」とありました!
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1151521/129

博報堂・学生英和辞典(1910)にはcomputeしかなくて、「計算する、勘定する。量る。」
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/902994/75

武田福蔵・ダイヤモンド英和辞典(1888)ではcomputeで「算用する。」
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/870163/118

おもしろーーい。

投稿: Nest | 2016/06/14 21:59:11

古い辞書って、ほんと、おもしろいですよねー。

ちなみに、今回の記事とJTFジャーナルの連載第1回は、この本をベースにしています。

『ウェブスター辞書と明治の知識人』早川勇(春風社)

投稿: baldhatter | 2016/06/14 22:05:00

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