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2016.05.04

# ミスリード

このタイトルを見て、どんな綴りを思い浮かべましたか?


日本語で使われるこのカタカナ語、元は mislead だと思うんですよね。国語辞典にもそう書いてあります。


《他動詞。「する」と結合してサ変動詞としても用いる》 誤った方向にみちびくこと。
〔新聞・雑誌などで〕見出しが記事の内容と異なること。▽mislead 【学研国語】

mislead
(名)スル(1)誤った方向に人を導くこと。
(2)新聞・雑誌などで、見出しと記事の内容が著しく異なっていること。 【大辞林】

[mislead]
①誤った方向に導くこと。誤解させること。
②新聞・雑誌などで、見出しが記事内容と違うこと 【広辞苑】

岩国、明鏡、新明解には立項がありませんでした。


ところが、最近いくつか見かけた使い方は、どう見ても misread のようです。あるいは、mislead のつもりで、間違った使い方がだいぶ広がっているのかもしれません。

ひとつ目は、実写映画がヒットしているらしい『ちはやふる』です。

1605031

(講談社『ちはやふる』第27巻より)


そして、もうひとつ。ゆうきまさみの『白暮のクロニクル』を再読していて気づきました。

1605032

(小学館『白暮のクロニクル』第4巻より)


上の例は「ミスリードさせられる」、下の例は「ミスリードさせようとする」で、品詞分解するとこうなります。

ミスリードさ + せ + られる

ミスリードさ + せ + よう + と + する

「せ」は使役の助動詞「せる」で、メインの動詞は「ミスリードする」というサ変動詞です。


さて、これが国語辞典にあるような mislead 由来の「ミスリード」だとしたら、他動詞で「<人を>間違った方向に導く」の意味なので、それぞれ

<私が>ミスリードされた

<俺を>ミスリードしようとしやがる

となるはずです。


一方、これがもし misread 由来だとしたら、「ミスリードする」は、「<内容を>誤って読み取る」の意味なので、それぞれ正しい使い方ということになります。


たぶん、末次由紀もゆうきまさみも、mislead か misread か、なんて意識せずに使ったんだと思いますが、編集さんは、何にも思わなかったんでしょうかねー。


調べてはいませんが、活字でも、こういう使い方、広がっているんでしょうか。

10:06 午前 翻訳・英語・ことば, アニメ・コミック・サブカル |

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コメント

【■[外来語]ミスリードしてしまった】
http://d.hatena.ne.jp/kazsa/20120320/1332232154

>たしかに‘misread’(読み違える)という英単語はあるのですが、外来語として日本語に採り入れられたのは‘mislead’のみです。カナ書きで「ミスリード」と使うときには「誤解させる」の意味に限定しましょう。

 知らなかった(泣)。
 当方がこの言葉を初めてみたのは、推理小説の解説かなんかだったような。「誤導」とスンナリ理解していたので、「誤読」という解釈は考えたこともないような……。

投稿: tobirisu | 2016/05/04 15:22:52

さすが... もう取り上げてらっしゃった。

ふつうに見かけるのは推理小説とかですよね。だから私も、当然「誤導」だと思ってました。

この漫画家さんたちも「誤読」の意味で使ってるわけではなく、misleadを間違って使ってるんじゃないかと思います。ゆうきまさみなんて、私よりやや上の世代ですし。

投稿: baldhatter | 2016/05/04 15:33:43

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