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2016.02.10

# 翻訳中の頭と作業インターフェースの話

翻訳に使うインターフェースについては、これまでにも、

side A: # 原文-訳文の縦並びと横並びについての仮説

などで、何回か書いたことがありました。


今回は、翻訳しているときの「頭のはたらき」との関係から、このことをまたちょっと考えてみました。もちろん、今回も個人的な感覚の域を出ない話ではあります。

翻訳フォーラムなどで翻訳の話をすると、よく

英語と日本語の間を、何十回、何百回と行き来する

というような言い方をします。1秒間に何万回とか、ヘルツで測れそうな極端な言い方もありますが ^^


たしかに、翻訳中の翻訳者の頭の中では、英語と日本語の間を、意識的にでも無意識にでもいろんなレベルで行ったり来たりします。

もしかすると、翻訳インターフェースって、こういう頭のはたらきと無関係ではないのかもしれない、というのが今回の仮説です。


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これは、2007までのTradosの画面です。Tradosと言っても専用のインターフェースがあるわけではなく、Word上でこのように、原文と訳文が交互に並んでいました。

今でも、特定のジョブにはこのインターフェースを使っています。定型の文や表現がそれなりに出現するからですが、定型以外には、既訳の再利用という目的はほとんどなく、むしろ過去の言い回しを避けるために使っています。


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こちらは、特になんの指定もなく、いちばんフリーハンドで作業できるときの一例。

パラグラフ単位で、原文の下に訳文を書いていき、最後に訳文を消して納品状態にするという、わりと原始的な使い方です。Tradosなどの翻訳支援ツールは使っていませんが、こういうバイリンガル状態で残しておけば、過去の訳し方はだいたい参照できるものです。


さて、支援ツールの有無はありますが、上ふたつの使い方で共通しているのは、インターフェース上で

原文と訳文の間を行き来しやすい

という点です。同じファイル上で、どこにでもカーソルキーだけで移動でき、英語と日本語のあいだが、なんというか地続きになっています。


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一方、こちらがTrados Studioのインターフェース。

横並びになったうえに、英語と日本語のあいだを行き来するには、デフォルトだと[F6]キーを押す必要があります。感覚的にわかりやすくするために、私は[Tab]キーを割り当てていますが、それでも英日間を移動するたびに、なんというか

よっこらしょ

と、敷居をまたぐような感覚があります(少なくとも、私には)。


Trados Studioに限らず、最近の翻訳支援ツールはこれと似たインターフェースが多いようです。


まず、英語と日本語がそれぞれ「枠」で囲まれていますよね。その時点でもう、上のような地続きの感じがほぼ失われています。だから、英日間を移動するたびに、壁の存在が意識され、「英語と日本語の間を、何十回、何百回と行き来する」という感覚が阻害されてしまいます。


頭の中で無限回の行ったり来たりをする以上、その「頭」と「手」と「目」をつなぐインターフェースも、同じように自由に行ったり来たりできなければいけないはず。


そう考えると、どんな形にせよ、

翻訳者の思考に不要な負荷をかける

インターフェースには、くれぐれも用心すべきです。

03:42 午後 翻訳・英語・ことば |

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