# ATOKの辞書環境 ~イミクルで注目度アップ
ジャストシステムの日本語入力システム「ATOK」は、翻訳者のあいだでも以前から定評があります。
いろいろな辞書アドインを連携する機能は以前からあったのですが、この2月に発売された新バージョン「ATOK 2016」に、イミクルという機能が追加されたのを機に、少なくとも私のまわりでは、ちょっとした話題になっています。
簡単に言うと、従来はあくまでもATOKの補助機能だったので、入力中や変換中に辞書を参照することもできる、というくらいの扱いでした。
一方、新しいイミクルだと、
範囲選択して任意に引ける
ようになった。この1点がかなり大きいのかもしれません。
この新機能のおかげで、初めて(もしくは、久しぶりに)ATOKを入れてみる、という方もちらほら。
ただし、ATOKにおける辞書の設定や動きはちょっとわかりにくいかもしれません。そこで、いつものように自分の整理も兼ねて、ATOKの辞書についてまとめてみました。
【追記】
翻訳者であり勉強会「十人十色」の代表でもある井口富美子さんが、ほとんど同じタイミングでATOKの記事をアップしていらっしゃいました。そちらのほうが丁寧に説明してある点も多いので、ぜひ併せてご覧ください。
リンク:ATOK2016新機能とATOKのおさらい | It's a Wonderful Life
通常の変換中
まず、スペースバーを押してふつうに変換するとき、候補ウィンドウが出てきて、ちょっと遅れてその右に辞書ウィンドウが開きます。
候補ウィンドウで、右向き > が表示されている候補には、なんらかの辞書情報があります。辞書が複数ある場合にはタブ表示され、Ctrl+Endキーでウィンドウを切り替えることができます。
※右向き矢印が何種類かありますね。この違いは、今のところ私にもわかりません。
※スペースバーを何回押すと候補ウィンドウが表示されるかは、[プロパティ(環境設定)]→[ATOKのプロパティ]→[設定項目]→[候補ウィンドウ]と進み、[候補ウィンドウ表示までに必要な変換回数]で設定できます。辞書ウィンドウが開くまでの待ち時間設定はないようです。
特定の辞書で変換
上のスクリーンショットは「こんめい」を変換したところですが、漢字候補のほか、いちばん下には confusion という英訳の候補も出ています。これはジーニアスが変換辞書として機能しているからです。
いわば、「辞書を引きながら変換する」という感じでしょうか。
ふつうに変換するとこうやってずらって出てきますが、特定の---たとえば、「こんめい → confusion」のような---和英変換をいきなり引くという使い方もできます。
たとえば、同じく「こんめい」と入力して[F4]キーを押すと、こうなります。
さらに[F4]キーを押すと、
こうやって辞書の内容も出てきます。つまり、ふだんのスペースバーではなく、別のキーで変換候補を出すということです。
※[F4]キーというのは、たまたま私の環境でそうなってるだけです。
これが私の環境での設定画面です。
イミクルで引く
これが今回いちばんの売りですね。単語を選択してCtrlキー2回を押すと、登録されている辞書をすべて検索できます。
起動キーは変更できるのですが、Ctrl x 2のほかも、Alt x 2か Shift x 2だけしか選択肢がないので、ここはちょっと変わるといいかもしれません(AHKで変えるという手はありそう)。
それから、変換中に辞書が出てきたときは、Ctrl+End で辞書を切り替えられたのですが、イミクルの場合は、同じショートカットがきかず、マウスでクリックするしかありません。Ctrl+Endすると、文章の最後に移動してしまいます。
これは、イミクルを使っても、フォーカスは元のアプリケーションから移動しないので、たぶんそのせいだと思います。
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なお、今回はATOK 2016プレミアム版などに付属する『精選版 日本国語大辞典』と『ジーニアス医英和辞典 第5版』が話題になっていますが、これまでジャストシステムからATOK用に発売されていた辞書はどれも、イミクルに対応しています。
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ややこしいのですが、上記のような辞書機能のほか、ATOKには「連想変換」という機能もあります。こちらは、類語辞典のような機能です。
「日本語使いさばき辞典」と「文章表現辞典」は、もともと組み込まれている標準辞書、「角川類語」はオプションで追加した辞書です。
横長にしか広がらないという、ちょっとがっかりなインターフェースですが、類語をさっと確認したいときには便利です。
11:29 午前 辞典・事典 翻訳者のPCスキル | URL
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