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2015.11.30

# 訃報 - 水木しげる

全集の完結、間に合わなかった……。

リンク:「ゲゲゲの鬼太郎」の水木しげるさんが死去 93歳(1/2ページ) - 産経ニュース


徹夜自慢していた同業者はみんな先に逝ってしまった、自分はたっぷり寝て長生きするんだ、って言ってたのに。

あんなに美味しそうにハンバーガーほおばっていたのに。

連れてったのは、やっぱ、こいつだよね。

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(『水木しげる漫画大全集 055 「ぼくら」版 カッパの三平』より)


でも、こいつも、いったんはラバウルまで迎えにいって、それ以来ずっと待ち続けてたんだろうなぁ。今まで70年も、よく待っててくれたもんだ。


漫画家では、手塚以来の喪失感。


今日はもう仕事ぜんぶやめて、一日じゅう全集読みながら追悼していたい気分。合掌。


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01:21 午後 アニメ・コミック・サブカル, 社会・ニュース | | コメント (0)

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2015.11.21

# 今年最後の辞書セミナー ~ ノウハウを中心に

こちらでの告知が遅くなりました。


私が今年の後半にあちこちでやってきた辞書セミナーについては、以前こちらにまとめました。

リンク:# 辞書について思うこと


そして、今年最後(来年あるかどうかは未定)の辞書セミナーを、東京ほんま会の主催でお届けします。

リンク:【開催予定】「辞書ブラウザを使いこなせ!」セミナー

日時 :12月13日(日)13:00~16:30
定員 :40名
受講料:3,500円

【11/29追記】
おかげさまで、満員御礼となりました。これ以降は、キャンセル待ち受付となります。ご了承ください。


時間は3時間以上あるので、8月に大阪のほんま会でやった内容に近くなりますが、東京開催では今まででもっとも時間をとって話をすることになります。

かつ、今回はタイトルにあるとおり、辞書ブラウザの使い方を徹底的に説明する予定です。


具体的には、以下のような内容になる予定。

・翻訳者の辞書環境

・これから揃える辞書環境

・Jamming/Logophile/EBWin4/LogoVista各辞書ブラウザの特徴

・各辞書ブラウザの具体的な使い方

WordNet 3.1の紹介と詳しい使い方

類語辞典(Oxford Learner's Thesaurus、他)の詳しい使い方

など。

※英和、和英、英英、国語のいずれも扱いますが、専門用語については触れません。


前にも書いたとおり、この半年くらい、辞書については私自身でもいろいろと発見の連続でした。だいぶ投資もしました^^

その発見を共有するためのセミナーでもあります。


これから辞書をどうしようかと迷っている方、手元の辞書を活用しきれていないと思っている方、ぜひご参加ください。
(お申し込みは、上記、東京ほんま会のページからお願いします)

09:43 午後 翻訳・英語・ことば, 辞典・事典 | | コメント (0)

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2015.11.19

# 『日本語大シソーラス』と「シソ改」の事例比較

以前、大修館の『日本語大シソーラス』と、そのデータを大久保克彦さんが加工してくださった『シソ改』の話をかきました(参照リンク:# 日本語の類語辞典 ― 『日本語大シソーラス』と「シソ改」)。


そのときも例は出したのですか、何が違うのかよくわからなかったかもしれません。
もう少しわかりやすい例があったので、改めて紹介しておこうと思います。


なお、大久保さんの解説サイトでは、「前方一致」または「条件検索」が使われていますが、語句によってはそれではヒットしないことがあります。やはり「自動検索」がいいのだろうと思います。


「かなり」を引いた例

こちらが本家『日本語大シソーラス』

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こちらが『シソ改』

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本家では、「然るべき・~に足る」から「随分」まで4つの概念分類が並び、その先に進むと詳しい画面が現れます。

『シソ改』では、「然(しか)るべき・~」と「随分[程度[質的・意力]]という2つの概念分類のあとに直接、類語が並んでいます。概念分類(青字)をクリックすれば、本家と同じように詳細画面に進みます。ただし、本家にあった「凡そ」と「一通り」という概念分類はなくなっています。

この例だと、どちらがいいと一概には言えない感じですが、シソ改のほうが一覧性に優れている、ひとまずざっと見たいときにはいい、というところでしょうか。


「そこそこ」を引いた例

こちらが『日本語大シソーラス』
(引いた直後ではなく、「そこそこ」)を選んだ状態

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こちらが『シソ改』

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本家では、「縁が薄い・縁がない」から「温情主義」まで、概念分類の数がだいぶ多く、これをすべて見ていくのは、そこそこ大変そうです。

これが『シソ改』となると、概念分類ごとにすでに類語が並んでいるため、いろいろな類語が一目瞭然。さきほどの例よりずっと、一覧性が高いことのメリットが感じられます。

『日本語大シソーラス』のデータ変換は、慣れていればさほど難しくないのですが、もし不明な点などあれば、翻訳フォーラムのメーリングリストで質問するか、こちらにコメントをいただいてもOKです。

07:06 午前 翻訳・英語・ことば, 辞典・事典 | | コメント (0)

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2015.11.15

# 『スティーブズ』第3巻~これぞ漫画!

第3巻、出ましたぞ~。


この表紙からして、すでにカッコよさ200%です。

1巻も2巻も、ふたりのスティーブだけが表紙でしたが、今回は初期Appleのメンバーがせいぞろい。

左から、マイク・マークラ、マイク・スコット、ウォズニアック、ジョブズ、ランディ・ウィギントン、クリス・エスピノーザ、ロッド・ホルト、ダン・コトケ。


ヤマザキマリ版のほうが写実的だという話は前回しましたが、とにかくこちらは、漫画、まんが、マンガです。


以下、ネタバレ含むのでご注意ください!





ネタバレバリア展開中





第3巻では、マイク・マークラとマイク・スコットの描き方がけっこう好きです。

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このふたりが実際に何を考えていたのかわかりませんが、マンガとしては実に「アリ」な描き方。

子どもとか若者が無茶苦茶やるとき、まわりにいる大人がそれにどう対応するかを描くのって、マンガとかアニメではとても大事だと思っています。

たとえば、ガンダムのランバ・ラル。

エウレカセブンの、ホランドとタルホ(彼ら自身の未成熟さも含めて)。

パトレイバーの後藤さんと南雲さん。


そうですよ。第3巻には、パトレイバーのキャラクターが出てきちゃうんだから。

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ほらね。「おやっさん」こと榊班長と、

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その下のシゲさんまで!


この巻、クリスチアンとの同居とかリサが生まれるくだりとか、かなり重い場面もあるのですが、そこの扱いもうまい。

クリスチアン「ええ、だから名前をつけてもらうの。そう……いうなれば これは 呪いね」

そしてジョブズが決めた名前が「リサ」。


「リサ」が呪いの名前って、これはスゴい。


その直前、ロバート・フリードランド(カリスマ的なヒッピー)と対峙するところもシビれました。

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現実歪曲フィールドぶつかりあいの超能力勝負!!

いいんです。マンガだから。

03:45 午後 アニメ・コミック・サブカル | | コメント (0)

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2015.11.13

# RSSフィードのないブログをFeedlyに登録 -- 自分メモ

おお、これは便利だ。


ほとんどのブログは、トップページのURLをFeedlyに貼ればそのまま登録できるのですが、たまに「できまへーん」と言われることがあります。

翻訳会社アークコミュニケーションズさんのブログもそうでした。

(取引はありませんが、名前はもちろん以前から知っていて、社長には6月のJTF総会のとき、やっとお目にかかれました)

リンク:翻訳会社ブログ | 翻訳サービス | アークコミュニケーションズ

それで調べたら、こんな方法があると紹介されていたので、さっそくやってみました。

参考にしたサイト:【feedly】RSSが取得できないページでも更新情報を取りにいく! | くるみる記。


方法は、上のサイトにも書いてあるのですが、簡単に紹介しておきます。

要は、こういうサービスがあって、

リンク:Page2Feed API | EDGE

そこに表示されるフィールドに、使いたいURLを貼るだけです。


今回は、http://www.arc-c.jp/translation/blog/index.html というURLからフィードを取りたいので、このURLを

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ここに貼って、[Generate]ボタンを押せば、URLが生成されてブラウザのアドレスバーに表示されます。それをFeedlyに登録すればOK。


ただし、EDGEのサイトに書いてあるとおり、いつ終わるかわからないサービスなので、過信は禁物です。

09:05 午前 パソコン・インターネット | | コメント (0)

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2015.11.10

# 翻訳祭前夜祭 ~ セミナーと飲み会

(2013年には、昼間にしんハムさんのセミナーもあったけど、飲み会だけを「前夜祭」と呼んでいた模様です)

2013年、2014年に続いて、今年もJTF翻訳祭の前日に、Facebookの勉強会「十人十色」主催の前夜祭を開催します。


リンク:十人十色 2015年 翻訳前夜祭

リンク:十人十色 翻訳前夜祭 懇親会


※上のリンクは、Facebookのイベントページです。Facebookを使ってなくて、もしこのイベントに興味がある方は、ひとまず帽子屋までご連絡ください。
セミナーの開催詳細は、この後に書きます。
(メールアドレスをご存じない場合は、この記事のコメント欄でもけっこうです)


今年の前夜祭セミナーは、昨年、一昨年のように講師をひとりだけお呼びする形式ではありませんが、発表メンバーは超豪華です。

全体テーマは

「大公開! 私の翻訳ノウハウ」

です。



日時 :11月25日(水)13:00~17:00
場所 :日比谷図書館
参加費:2,000円

内容

遠田和子さん

「世界で最も……」を英訳しよう

概要:今回の発表は一点集中のテーマで、内容はタイトルどおりです。製品説明や企業紹介などでは、「世界で最も……」というフレーズが冒頭に登場することがよくあります。言葉の置き換えで訳すと、つっこみどころ満載の英文になってしまいます。英訳時には、文脈に応じた言葉の補いや訳語の工夫が必要です。短い例文を数個用意する予定です(参加型発表にしたいです)。


井口耕二さん

脳みその筋トレ、やってますか?

概要:こういう文はこう訳すといい、あるいは、こういう訳し方は避けるべきだ……そういう具体的な話はあちこちに出ています。翻訳学校に通った人なら、先生からそういう手法をいくつも習っているはずです。
 そういう基礎技能を身につけるための練習、していますか? たとえば「の」の連続、たとえば「は」と「が」の使い分け、たとえば「テン」の打ち方。習っただけ、知っただけでは役に立たない、役立てるには練習が必要だというのはスポーツにかぎりません。脳みそだって、筋トレで汗をかかなければ強くならないのです。


高橋さきのさん

訳し方の「原理原則」――具体例から考える

概要:いわゆる「タテヨコ」・「ヨコタテ」の翻訳ではまずいのはよいとして、ではどうすればよいの?
 「高校までの英語」ではほんとうにダメなの?
 今回は、そうしたことがらについて、基本頻出語彙(most他)をいくつかとりあげながら考えてみようと思います。
 「翻訳道」の道筋としては、毎回手探りで訳出を行い、その経験を蓄積していくという王道しかないわけです。そこで、今回も、《どうやって訳出時の発見事項を増やし、発見事項を蓄積するのか》について考えながら、上記のような疑問について検討してみたいと思います。


大光明宜孝さん

悩ましい表現をみんなで一緒に考える

概要:翻訳をやっていると、和訳でも英訳でも、ぴったりの表現がなかなか思いつかずに悩むことが多いのではないでしょうか。今回は実際の仕事や翻訳勉強会で出会った悩ましい表現を何点かピックアップして、どういう手順で読みやすい訳文に仕上げていくか、参考になる訳例を出してみなさんと一緒に考えてみたいと思います。分野は無線通信、航空、自動車、IT、その他全般です。


矢能千秋さん

ハチの本の原文と訳文比較~産業翻訳との二足の草鞋~

概要:昨年の11月にハチの本の共訳に携わりました。最終稿を見ながら原文と比較してみたいと思います。また時間があれば並行して進めた産業翻訳とのやりくりも振り返ります。日々の産業翻訳を効率化させることは、出版翻訳の時間を作ることにも繋がりました。身体はひとつ、1日は24時間。ハチの本の原文と最終稿を事前に配布するので、皆さんも読んでみてください。


募集は始めたばかりですが、たいてい満席になりますので、参加ご希望の方はお急ぎください。m(__)m

12:45 午後 翻訳・英語・ことば | | コメント (2)

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2015.11.07

# 英語の類語辞典 ― Oxford Learner's Thesaurus

前エントリで、日本語の類語辞典を紹介しました。続いて、英語の類語辞典も紹介しておきます。

もともと、類語辞典(Thesaurus)は英語圏のほうが充実していますし、ふつうの英語辞典(英和、英英)にも、類語情報はかなり載っています。


が、今回のイチ押しは何といってもこれです。


英語世界で最初の類語辞典はRoget's Thesaurusということになっています。

その1911年版がオンラインで検索できるようになっています。

リンク:Roget's Thesaurus (1911) - The ARTFL Project

たとえば、このサイトでcriticalという語を引いてみました。

ただし、[Search headwords:]で検索してもヒットせず、[Search full text:]で検索するとヒットします。つまり、criticalは見出し語にはなっていないということです。

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上のスクリーンショットでは一部しかわかりませんが、

134. Occasion.
480. Judgment. [Conclusion.]
642. Importance.
665. Danger.
704. Difficulty.
8. Circumstance.
932. Disapprobation.
934. Detraction.

と並んで、その中に類語が品詞別に並んでいます。つまり、この辞書は前エントリで紹介した『日本語大シソーラス』と同じように、概念カテゴリーでグループ化する「分類型」だということです。

これと同じデータが、EPWING版でも公開されています。

リンク:FPWBOOK

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が、はっきり言ってこれ、私には使いこなせません。英語ネイティブでも……どうなんでしょうか。


そのほか、私の手元には、

Merriam Webste'r Collegiate Thesaurus(同 Dictionary 11thとセット)

『Oxford Thesaurus of English 3rd(DF-X10001)

などがあるほか、LDOCEでも類語情報はかなり充実しています。

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この赤枠のなかに、ThesaurusとLongman Language Activatorというのがあって、機能は違いますが、いろいろな関連語を調べられるようになっています。


また、Oxford Learner's Thesaurusと同系列であるOALDでも、類語情報は豊富です。

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このように、共通の語義(These word all describe... )を書いたうえで、各単語の詳しい説明や用例を載せ、さらには、特にまぎらわしい語には比較説明もあります(crucial or critical など)。


Oxford Learner's Thesaurus(OLT)も、実はこのOALDの類語情報と、基本的には同じです。が、類語という観点で調べたいときには、OLTのほうがだんぜん便利です。

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criticalを引くと、まず

CRITICAL
ESSENTIAL
SERIOUS

のように語義の大分類があって、それぞれに類語情報が表示されます。ここでは、ESSENTIALの項を見ています。


最初に、類語の一覧と共通語義が示されます。これはOALDと同じ(ただし、OALDではいつも出てくるわけではない)。

essential • vital • crucial • critical • decisive • indispensable • imperative • pivotal • of the essence
These words all describe sb/sth that is extremely important and completely necessary because a particular situation or activity depends on them.

criticalを探すと、crucialとしか書いてありませんが、crucialを見ると、

extremely important because a particular situation or activity depends on it

と書いてあり、さらには

NOTE crucial or critical? There is no real difference in meaning between these words and they can be used with the same range of nouns and structures. However, there is sometimes a slight difference in context. Critical is often used in technical matters of business or science; crucial is often used to talk about matters that may cause anxiety or other emotions.

と、比較説明もあります。

載っている情報はおおむねOALDと同じですが、肝心なのは、この見やすさ。


まずポイントになるのが、最初に並ぶ類語の一覧です。これを見れば、いくつかの単語が

そもそも類語と見なされているのかどうか

がわかります。


たとえば、先日も授業でこんな英文を扱いました。

It is every traveler’s nightmare: weather hazards causing large numbers of unexpected flight cancellations and disrupting the plans of passengers, resulting in anguish and anxiety.

anguishとanxiety、OLTではどうなっているでしょうか。


例によって、この2つの単語の違いがよくわかっている人はいいんです。

でも、現にこれを「苦悩と不安」と訳してくる方はたくさんいて、じゃあ、その違いってなんなんでしょうと聞くと、実はよくわかっていない。英単語を日本語に置き換えただけで、anguishとanxietyの語義を本当にはとらえていないからです。


OLTでこのふたつを引くと、こう出てきます。

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これが、anguishを含む親見出し、distressです。

distress • pain • suffering • anguish • torture • agony • hurt • misery

と並んでいますが、ここにanxietyはない。

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一方、anxietyの親見出しはconcernでした。

concern • worry • anxiety • apprehension • unease • angst • agitation

やはり、類語グループにanguishはありません。

この段階で、このふたつは類語と思われていないということがわかります。それぞれの共通語義を見てみると、

anguishのほうは「感情的な痛み、苦しみ」、anxietyのほうは「不安、心配」ということです。anguishのほうが実際に起きてしまったことによって受けている精神状態、anxietyのほうはこれからのことに対する不安、とも言えるかもしれません。


もちろん、このように違いがわかっても、さてそれをどう訳すのか……というのは別の問題です。が、少なくとも、それぞれの共通語義を見たら、「苦悩と不安」だけでは

原語の違いが伝わらないんじゃないか

と疑問を持つことはできるはずです。


上に挙げたスクリーンショットは、OLTの固有ブラウザですが、

LogophileはOLTに対応

しています。この点は、Logophileを使う大きいメリットと言っていいでしょう。

ただし、Logophileで読み込めるのは、冒頭に紹介したバージョンです。『オックスフォード英語類語活用辞典』という名前で、日本語解説付きのバージョンも出ていますが、こちらのデータを読み込めるのかどうか、Logophileのサイトでは保証していません(CD-ROMデータ自体は同じようにも思いますが、当然ながら未検証です)。


ちなみに、しばらく前から話題にしているWordNetでも、基本的にこれと同じような類語の調べ方ができます。

そして、このOLTの(完全ではないが)翻訳版も出ています。つまり、語義説明と類語に訳を当てたものです。もともとは書籍版で、CD-ROM版は出ていませんでしたが、つい最近iOSアプリが出ました。

リンク:小学館 オックスフォード英語類語辞典 | iPhone | 物書堂

これを単独で使うのは、あまり意味がないように思います。語義説明は、あくまでも上の例のように、まず英語で確認すべきです。

ただ、こちらのバージョンも併せて使うと、訳語を探すヒントになるかもしれません。

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この「類語訳」のところに並んだ訳です。

03:48 午前 翻訳・英語・ことば, 辞典・事典 | | コメント (0)

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2015.11.05

# 日本語の類語辞典 ― 『日本語大シソーラス』と「シソ改」

日本語の類語辞典もいろいろ出ていますが、大きく分けると分類型と非分類型があります(正式な用語じゃないかも)。

分類型というのは、概念を項目にして(場合によっては、大項目-小項目のようにレベルを設けて)、そこに分類される単語を示すタイプ。

大修館の『日本語大シソーラス』などが代表です。


非分類型というのは、単語を項目として、その類語を羅列するタイプ。

このタイプでは、『デジタル類語辞典』が手軽に使えます。

そのほか、『学研国語大辞典』(Super日本語大辞典版)にも類語の機能があります。



これが『デジタル類語辞典』の画面(単独アプリケーションです)。

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非分類型ですが、「同義語」、「狭義語」、「関連語」などのカテゴリに分類されているので、とにかく見やすく手軽。訳語さがしには重宝します。


こちらが『学研国語辞典』の画面。
Super日本語大辞典版をEPWING化したデータです)

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ずらっと並んでくれるのはいいのですが、ルビがちょっと邪魔です……。


そして、これが『日本語大シソーラス』の画面。
(LogoVistaデータをEBWin4で使っています)

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「賢い」を引いても類語がすぐに出てくるわけではなく、このように「0385 賢い」という親見出しの下に、「0385.01 知的」とか「0385.07 賢い」のように下位概念が並び、その先に進むと

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このように類語が表示されます。この構造が分類型の特徴です。

注:EBWin4で『日本語大シソーラス』を使う場合は「自動検索」がいいようです。

この分類型も、用途によっては非常に便利です。たとえば私は、英英で概念をつかんだあとに、そのぼんやりした輪郭を抱えたままこの『日本語大シソーラス』に進んで言葉を探しはじめることがよくあります。

でも、とにかく類語を一覧したいというときには、こういう構造にしばられず、もっと自由に---ふつうの国語辞典のように---検索したいこともあります。

実は、そう感じた人がほかにもいました。EPWINGの救世主、大久保さんです(下のリンク先を読むとわかりますが、故・山岡洋一さんも同じようにお考えだったらしい)。

リンク:シソ改 ~~ 『日本語大シソーラス』の全語彙検索EPWING化 ~~

LogoVista版のデータを持っていれば、このページの説明に従って、分類型の構造にしばられないデータを作ることができます。

大久保さんのサイトであげられているのとは違う例を出しておきます。

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これが、ふつうの『日本語大シソーラス』を引いたところです(自動検索)。ここから概念分類に沿って、たとえば「0413.01 意義深い」に進んで言葉を探すことになります。

これを「シソ改」に切り替えてみるとこうなります。

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ヒットするのは、ふつうの国語辞典と同じように五十音順の見出し(ここだけで、簡易なコロケーション辞典にもなります)。この中で「興味」を見れば、とりあえず類語を一覧することができ、「趣き」方向かなーと思ったら「趣き」をクリック、「おもしろい」系かなーと思ったら、そこにある「0413.01」のリンクをクリックすれば、最終的には元々の分類にたどり着きます。

リンクを行ったり来たりするので、これを使うなら断然、EBWin4が便利です。


もとは同じデータでありながら、分類型の類語辞典としても使え、シソ改に切り替えれば国語辞典的にも使えるので、もし類語辞典がピンとこない人は、シソ改から入ってみるといいかもしれません。

ところで、『日本語大シソーラス』はもともとLogoVista版なのですが、当のLogoVistaブラウザでは使い方に注意しないといけないようです。

上のEBWin4で「賢い」を引いたときは「自動検索」を使いましたが、LogoVistaブラウザにそういう機能はありません。

「前方一致」の検索結果はこれだけ。

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「0385.07 賢い」がヒットするだけで、親項目である「0385 賢い」が出ててきません。

「条件一致」にしてみました。これがいちばん多くヒットしそうだからです。ところが---

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これでも、0385.07、0385.15、0853.07という3つの分類しかヒットしません。正解は---

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「部分検索」でした。これでようやく、「0385」の親項目がヒットし、「0385.01 知的」~「0385.16 愚者も一得」までの観点が並びました。

LogoVistaブラウザは、もっとがんばってもらいたいものです。

【追記】

『日本語大シソーラス』は、電子辞書(DAYFILERやカシオ製品など)にも収録されているモデルがあります。私の手元のDF-X10001にも実は入っているのですが、なんとこれが、

PASORAMA非対応

なんですね。つまり、本体でしか使えない。なんでそんなことになってるのかよくわからないのですが---。

で、めったに使わない本体を開いて、ためしに「賢い」を引いてみました。

結果は、LogoVista版の「条件検索」と同じようです。ある程度の検索はできていますが、この辞書の本領は発揮できていません。カシオ製品とかだと、どうなのかなー。


【さらに追記】

カシオ製品、ちょっと古いモデルですが、手元にありました(XD-GW9600)。

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やはり、LogoVistaブラウザの「条件検索」と同じ結果でした。

これでいいのか?

02:51 午前 翻訳・英語・ことば, 辞典・事典 | | コメント (0)

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2015.11.01

# 英英辞典ひかない、なんてありえない

イカロスさんから、こんなムックが出ました。

私も、辞書についての記事を1本書きましたが(pp.16-21)、英英辞典についてはちょっと補足しないといけないような気がしてきました。

英英辞典を引くということについて、「訳語」ではなく「語義」をつかむことが必要だと書いたうえで、

それが、遠回りのように見えて実は最も確実な道筋です。

と私は書いています(p.20)。


また、同じく辞書について書いておられる松田浩一さんは、こう書いていらっしゃいます。

適切な訳語が英和辞典に載ってない場合は原点に立ち返りましょう。(中略)英英辞典をうまく活用することが上達の早道だと思います。

ふたりとも、「何がなんでも英英を引け」という書き方ではなく、どちらかというと「できるだけ引こう」くらいにしか書いていません。でもやっぱり、

英英辞典引こう

ではなく、

英英辞典から引こう

だな、と思うわけです。


実例として、sidekick という語を考えてみます。

あ、もちろん、この語の使い方とか語感をよーく知っていて辞書なんか必要ない、という人はいいんですよ。この語に限らず、自分の語彙力が豊富であれば、原語を読んで理解するにしても、それを訳文として出力するにしても、自分の語彙を使いこなせばいい。

10/15のセミナーでもちらっと言いましたが、辞書の話をするときに実例を出すのって、「自分はこんなことも、調べないとわかりませんでしたー」というのを暴露する行為なわけですね。でも、別に隠すことでもないでしょう。

ということで、sidekick です。「人物Aが、あるプロジェクトで人物Bのsidekickだった」という文脈で使われていました。まず自分の頭から引き出せる情報は、こんな程度です---

「sidekickって、何かいっしょにやる人とか、助手みたいな意味だったよなあ……」

そうなると、人物AとBの関係も知る必要があります。調べてみると、AとBはほぼ同年齢なので、「助手」ということはないんじゃないか…… そう考えながら辞書を引いてみます。

ランダムハウス 2nd
1 ⦅俗⦆ 親友.
2 ⦅俗⦆ 共謀者,相棒(confederate);助手

研究社大英和 6th
⦅口語⦆ 仲間 (companion); 親友 (close friend); 相棒, 同類 (partner, confederate).

ジーニアス大英和
⦅米略式⦆ 1 親友;仲間;助手.
2 共謀者.

リーダーズ 3rd
《口》 親友,助手,相棒,共謀者

ロングマン英和
(映画の登場人物などの) 右腕(役),相棒,仲間


…… こういう英和を見て「仲間」とか「同僚」みたいにしていいものでしょうか。英英を確認してみましょう。

LDOCE 5th
n [C] informal
someone who spends time with or helps another person, especially when that other person is more important than they are

Collins COBUILD
noun (informal)
a person who helps another more important or more intelligent person:
◇Batman and his young sidekick Robin

OALD 8th
Someone’s sidekick is a person who accompanies them and helps them, and who you consider to be less intelligent or less important than the other person.[INFORMAL]

ODE 3rd
a person’s assistant or close associate, especially one who has less authority than that person.


赤字の部分に注目してください。どれを見ても、上下関係というか優劣というか、そういうことが書いてあります。COBUILDの例文でも一目瞭然。

バットマンから見て、ロビンがsidekick

なんですね。

ちなみに、英和でも学習辞典でこの補足が見つかりました。

オーレックス英和
((口))仲間, 同僚, (自分より役柄が下の)相棒、助手


やはり、年齢差はあまりなくても、人物Aは人物Bの助手的なはたらきだったようです。

英和を調べただけの段階で「仲間」としてしまったら、実際とズレた訳になってしまったかもしれません。

こういう例を考えると、やはり「英和を調べてぴったりする訳語がなかったら英英も調べる」ではダメだ---少なくとも、ダメな場合がある---ということになります。


だいいち、英和を調べて「ぴったり」だという自分の判断は、どれほど当てになるものでしょうか。


もちろん、「サイドキック」という言い方は(映画などの用語として)だいぶ見かけますし、Wikipediaにもこういうエントリーがあるわけで、

サイドキック (Sidekick) は物語やゲームに登場するキャラクターの役割の一つであり、主に、等身大ヒーローである主人公と行動をともにして、主人公の補佐を行う登場人物(脇役)のことである。相棒、親友といった意味合いに日本語訳されることもある[1]。

ちゃんと自分の語彙として知ってるならいいんですよ。

でも、なんでもかんでもよく知っているということがありえない凡人としては、やはり辞書を引く、しかもちゃんと引くということを何度も何度も繰り返さないといけないのでした。

04:14 午後 翻訳・英語・ことば, 辞典・事典 | | コメント (0)

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