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2015.09.12

# オンライン辞書のことも少し~ただし英英

続けて辞書の話ばかりしていますが、ここらでオンライン辞書のことも書いておきましょう。

といっても、私自身は実はあまり使っていないので、このブログをお読みの方のほうが詳しいんではないかと思います。オンラインを串刺しで検索するDicregateのこともまったく知りませんし……

別にオンライン辞書の実力を軽視しているからではなく、私の場合は単に「辞書を手元に集めるのが好き」という好みの問題です。

翻訳者ご用達で代表的なのは、やはり研究社のKODでしょうか。でも、私はここを有料利用していないので、今回は除外します。

そのほか、日本のサイトはちょっとおいといて、英英のサイトに絞ってみることにしました。以下6つのサイトをご紹介します。

WordNet Search - 3.1

Collins Dictionaries

Longman English Dictionary Online

Oxford Dictionaries

Merriam-Webster

American Heritage Dictionary

先日もエントリにしたWordNetと、学習英英ご三家、そしてネイティブ向けとして2つのサイトです。

このほかにも、Macmillan Dictionaryなどいくつかのサイトがありますし、

Dictionary.com

OneLook Dictionary Search

のような辞書ポータルサイトもありますが、今回は取り上げません。

いろいろな紹介のしかたがあるはずですが、今回は「新しい語彙を引いて、定義のしかたを比べてみる」ということをしてみようと思います。

WordNet Search - 3.1

もちろん、無料です。

こちらは、検索フィールドと表示オプションがあるだけで、先日紹介したEPWINGのような細かい使い方はできません。もっとも、オンライン辞書のほとんどはそういう細かい検索オプションはないのがふつうです(私が個人的にオンライン辞書をあまり使わない理由のひとつがこれです)。

carbon footprint

を引いてみましたがヒットしませんでした。語釈のしかたは、先日のエントリに書いたとおりです。carbonだけ引用してみましょうか。

1509121

an abundant nonmetallic tetravalent element occurring in three allotropic forms

専門語を遠慮なく使ってギューっと濃縮された感じの説明です。abundantというひと言が入っているのがおもしろいですね。


Collins Dictionaries

サイトの見出しに"ALWAYS FREE"と書いてあるとおり、完全無料です。すごいなぁ。

まず、このインターフェースにあるタブに注目してください。

1509122

[English]のほかに[English for Learners]とあります(なんと英語以外も引ける)。

"carbon footprint"を引いて、この2つの違いを並べてみましょう(1回検索してタブを切り替えるだけでOK)。

[English]タブ:

a measure of the amount of carbon dioxide released into the atmosphere by a single endeavour or by a company, household, or individual through day-to-day activities over a given period

[English for Learners]タブ:

Your carbon footprint is a measure of the amount of carbon dioxide released into the atmosphere by your activities over a particular period.

Your... というのがCOBUILDの特徴的な書き方ですが、そのほか下線部が大きい違いです。学習レベルの読者に対する配慮はさすが。


COBUILDについては、後でもう一度触れます。


Longman English Dictionary Online

やはり無料です。有料サブスクリプションはないようです。

同じように"carbon footprint"を引いてみると……あれ、ヒットしません。いつの辞書データなんでしょうか。LDOCE 5thには収録されてるんですが。

the amount of carbon dioxide that a person or organization produces by the things they do, used as a way of measuring the amount of harm they do to the environment

とてもわかりやすい。排出源が平易に書いてあるほか、なんでこんな指標があるのか、その用途が後半に書いてあります。オンライン版は、無料な分すこし古いってことでしょうか。


Oxford Dictionaries

無料ですが、広告表示がなくなるなどの有料サブスクリプションサービスもあります。また、同じOxfordに、

Oxford English Dictionary

を使える有料サイトもあります。ひとまず無料の範囲で"carbon footprint"を引いてみます。

1509123

The amount of carbon dioxide released into the atmosphere as a result of the activities of a particular individual, organization, or community.

COBUILDの[English]と[English for Learners]の中間くらい……という感じ。これはODEのコンテンツのようですね。デイファイラーなどに収録されているのと同じ定義です。

おもしろいのは、

See definition in Oxford Advanced Learner's Dictionary

と、OALDへのリンクがあるところです。そちらに飛んでみると---

a measure of the amount of carbon dioxide that is produced by the daily activities of a person or company

となります。COBUILDの[English for Learners]と難易度はほぼ同じです。

ここでおもしろいのは、例文の下に Collocations というある領域。「+」アイコンをクリックしてみると、Environmentに関するコロケーションがずらーっと出てきます。これは参考になりそうです。同じ機能は、デイファイラーに収録されているコンテンツにもあります。単独で売られているタイトルでも同じでしょう。

あ、そういえば、OALDは新版がもうすぐ出ますね。


Merriam-Webster

こちらは無料版です。

the amount of greenhouse gases and specifically carbon dioxide emitted by something (as a person's activities or a product's manufacture and transport) during a given period

他のサイトと大きく違うのは、二酸化炭素に限定せず「温室効果ガス」と言って、「なかでも特に(specifically)二酸化炭素」と詳しく書いているところです。

このあたりは、「百科事典的な要素をとりいれる」というWebsterの伝統をしっかり受け継いでいるのでしょう。初出年のデータも載っています。

もうひとつおもしろいのは、Oxfordのサイトと同じく易しいバージョンも紹介されているところ。すこし下にいくと、

CARBON FOOTPRINT Defined for Kids

として

the amount of greenhouse gases and especially carbon dioxide given off by something (as a person's activities) during a given period

と書かれています。こちらも、排出源の細かい説明を省いただけで、"greenhouse gases and especially carbon dioxide"という定義は譲っていません。

なお、Merriam Websterには有料サイトとして Unabridged も用意されています。こちらでも定義は同じでしたが、例文、語源などの情報が増えていました。


American Heritage Dictionary

1509125

The amount of carbon-containing greenhouse gases released into the environment by an activity, process, individual, or group, expressed usually as the equivalent in kilograms of carbon dioxide.

これも、百科事典的にかなり詳しい。「炭素を含む温室効果ガス」というところと、「二酸化炭素当量」になっているところがいいですね。

COBUILDについてちょっとだけ補足しておきます。

そもそもCOBUILDという名前は、"Collins Birmingham University International Language Database"の略で、WordNetと同じように膨大なコーパスをもとに作成されています。このコーパス、Bank of Englishと言って、もともと5億語のデータでできています。Collinsのサイト(http://www.collinsdictionary.com/wordbanks)によるによると "550 million" とあります。一方、PASORAMA辞書 FD-X10001に搭載されている COBUILD(第6版)の説明によると、新語を入れて "645 million" に増えているそうです。

そして、COBUILDというと学習用というイメージですが、実はこのコーパスを元にした大辞典も出ています。

ただし、書籍版とKindle版だけで、CD-ROM版は、少なくとも最近の版では出ていないらしい。iOSアプリは、物書堂さんから出ています。

リンク:コリンズ英語辞典+シソーラス | iPhone | 物書堂

(この、物書堂さんは、辞書アプリでなかなかいい仕事なさってます)

この大事典に当たるのが、オンラインでは[English]タブに当たると思われます。[English for Learners]が、定番のLearners版です。

こうして英英のオンライン辞書を見てみると、定義の違いがおもしろいというほかに、いくつかの特徴に気づきます。

無料版でも、かなり十分な情報を提供している

学習者向けに配慮されていることが多い

ということです。

これはやはり、世界語ならではというところなのかもしれません。日本語辞書のサイトに同じことを求めるのは酷かもしれません。

04:21 午前 翻訳・英語・ことば, 辞典・事典 |

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