« # hiberfil.sysを無効に---メモリーをたくさん積んだら特に | トップページ | # 「日本翻訳ジャーナル」9/10月号 »

2015.09.05

# そもそも、翻訳業界って存在するの?

昨日、宝町の事務局でJTFジャーナルの編集会議をやっていたとき、編集長からの発議に対して私がふと口にしたのが、タイトルの言葉でした。


日ごろから深く考えていたわけではなく、でもたぶん、ぼんやりと頭の片隅にあったのかもしれません。


翻訳業界なんて、存在しないんじゃないの?




当のJTF(日本翻訳連盟)は、"業界" 団体ということになってますし、2013年には、「翻訳業界調査」も実施しました。


でも、たとえば出版業界とかデザイン業界、写真業界のような "業界" と比べたら、あまりに規模が小さすぎて、全体としては "業界" の体を成していないんじゃないか、と思ったのです。


そのなかで、しいて言えば

ローカライズ(ローカリゼーション)業界

というのはありそうな気がする。

だから、Tradosっていうのは、翻訳業界のデファクトスタンダードなんかではなく、ローカライズ業界のスタンダードにすぎない、という言い方ならできる。


でも、「特許翻訳業界」なんてなくて、実は「特許業界」のなかに「翻訳課」があるだけなんではないだろうか。

ほかの分野のことはよくわからないけどね産業翻訳の各分野は、ほとんどどれもその程度が実態なんじゃないか。


ひるがえって、出版翻訳にしても、あれは「出版業界」のなかで「翻訳部門」がいろいろと苦労しているだけなのかもしれない。


---などと、漠然と考えました。


と言って、別にそれを悲観してるとか嘆いているということじゃありません。


「翻訳業界」という名前でくくってしまって、いろんなことをざっくり考えるのではなく、こんな風に、

他業界のなかの特殊な機能がスピンアウトして、緩やかに結びついた特別な業界

くらいに考えてもいいんじゃないかということ。


それを前提として、でも共通の部分はあるはずだから、そこを制度化するなりルール化するなりする。そのうえで、「翻訳業界」から、もとの他業界に対して、できるところから働きかけていく。


そうしないと、いつまで経っても、

ソースクライアント---翻訳会社---翻訳者

というトライアングルが全体としてハッピーになれないんじゃないか。


いつもながら、アバウトですが。

というわけで、そのJTFが開催する翻訳祭は、今年いよいよ25周年を迎えます。

リンク:翻訳祭 : 日本翻訳連盟

プログラムももうすぐ発表されるようです。

05:29 午後 翻訳・英語・ことば |

はてなブックマークに追加

« # hiberfil.sysを無効に---メモリーをたくさん積んだら特に | トップページ | # 「日本翻訳ジャーナル」9/10月号 »

コメント

翻訳をするには高度な語学力(ともちろん翻訳技能)という専門性が求められるので、それが何かをくくる基準であるとまず認識されるのかもしれないですね。つまりITとか医薬とか、ソースクライアントの業界という基準でくくる方法もあるはずなのに、専門性にまず目が向いてしまう。

記事で指摘されているように、こうやってくくるのにはデメリットもありますよね。翻訳は原文があって初めて成立するので、ソースクライアントとの関わりが薄くなると(情報不足などで)翻訳そのものがうまくできなくなってしまう。原文が生まれる場所とは緊密に関わっておきたいところです。だから"翻訳業界"が横軸だとしたら、高橋さんのおっしゃる「ソースクライアント---翻訳会社---翻訳者」は縦軸で、この両方に目を向けないといけない。

あと記事ではローカリゼーション業界がありそうだという話をされていて、確かに80〜90年代頃にアメリカのIT企業が翻訳を外注し始めた頃から業界として成立したというのが歴史的な流れかと思います。しかし、今みたいにアジャイル開発が進むと外注が難しくなり、今後も業界として成り立っていくのかという懸念もありますね。「ソースクライアントが翻訳会社経由でフリー翻訳者に出す」という流れというより、「ソースクライアントが社内翻訳者(PMやプログラマー兼任も)を雇う」というケースがもっと増えてくるかもしれない。これは80年代のやり方に近いのかもしれませんが。

いずれにしても、現在の枠組みが絶対で将来も変わらないという考えは捨てておきたいですね。

投稿: 西野 | 2015/09/07 9:56:55

さすが西野さん、というコメントですね。

> それが何かをくくる基準であるとまず認識されるのかもしれない

だから、ISOが決まってくると、またいろいろ違ってくるのだろうとは思います。一昨日、フェローの前期最終日でランチをしましたが、受講生さんのなかにもISOの動向を気にしている人が何人かいました。

投稿: baldhatter | 2015/09/07 10:29:32

ISOについて上の「翻訳業界という横軸」にばかり目が向いてしまうのはまずいのではという話題とからめると、資格要件を満たせるという理由で翻訳の学位を取りに行くというのは必ずしも良いことかどうかは分からないですね。
翻訳の学位を取ったとしても、汎用的な知識やスキルは身につくかもしれませんが、ソースクライアントの業界に関する知識は必ずしも身に付かない。結局、ある業界(ITなど)でしばらく働きつつ翻訳学校で学び、翻訳者になる方がその後で伸びるかもしれない。
まあ、ISOの話はそのうち家でしましょうw

投稿: 西野 | 2015/09/07 10:53:06

実態はbaldhatterさんが言われているようなことなんだと思うのですが(Sakinoさんは昔っからそう行ってます)、一方、その「翻訳課」「翻訳部門」を横断する形で翻訳会社があり、仕事のそれなりの割合がそこを通ってきたという経緯があって、翻訳業界って意識なり考え方なりが生まれたってことなんだとも思っています。その経緯から外れていくなら、翻訳者主導でなけれは無理でしょう。翻訳会社にとっては翻訳業界があったほうが都合がいいわけですから。

投稿: Buckeye | 2015/09/07 21:20:24

コメントを書く

## コメントは承認制なので、公開されるまでに時間のかかることがあります。



(必須ではありません)