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2015.04.27

# 最近読んだ秀作マンガ2点

もう何か月か前なのですが、六本木のABC書店のマンガコーナーで、ピンと来て買った2作を紹介しておきます。ちなみに、六本木ABCのマンガコーナーは、なかなかいい空間です。

1つはビームコミックスの『ダンジョン飯 1』。連載誌は「ハルタ」(エンターブレイン)。


もう1本は、あ、これもビームコミックスだった。『あれよ星屑』1と2。連載誌は「月刊コミックビーム」(エンターブレイン)。

いや、ここ最近のエンターブレインさんは、いい仕事してますなぁ。

『ダンジョン飯』のほうは、買った後にすぐFacebookに書き込んだら、知ってる人も多かった。Amazonの評価も高いし、たぶん遠からずアニメ化されるんじゃないだろか。

作者は、このほかにもちょっと毛色の変わったファンタジーものが多い九井諒子。Pixiv出身だそうです。


RPGゲームをやったことがない人にはまったく受けないけど--そういう人に説明したことがありましたが、まったく通じませんでした--、すこしでも経験があれば、ほぼ例外なくウケるネタだろうと思います。

タイトルからだいたい想像はつくし、Amazonの内容紹介にも概要は書いてあるので、あえて詳しくは書きません。

RPGのマンガ化というのは、かなり前からありますが、ここまでメタなのはめずらしいんじゃないでしょうか。なにしろ、出てくるキャラクターが

「はじめて死んだのは……」

とか言っちゃうくらいですから。あの世界のいろんな約束事を知っていれば楽しめます。ウチでは家族全員が大はまり。

もう1本は、まったく世界が変わります。終戦直後の東京を舞台にした、うーん、人情モノになるのだろうか。

『あれよ星屑』。もう、タイトルからしていい。

作者は山田参助。え、「サブ」の出身ですか? そうですか。この作品は、そっち系ではありませんので、ご安心ください。

こっちは、良さを説明しにくいなぁ。質のいい日本映画を思わせます。といっても、どの監督の類型でもないか。

2巻になると、回想の形で戦時中の話が展開します。

軍隊生活の描写が、マンガでも映画でも近年にはちょっとなかったレベルなんじゃないかと思います(私が知らないだけという可能性も大ですが)。

そういえば、水木しげる全集を毎月紹介する企画は挫折したままですが、第2期に入って3回目、4月配本のうちの
『糞神島 他』も圧巻でした。

なんと、前半の何本かは野坂昭如原作のマンガ化作品です。

巻頭の『マッチ売りの少女』は、原作以上の迫力でした。

02:44 午後 アニメ・コミック・サブカル | | コメント (0)

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2015.04.23

# シーブレインさんのわかりやすいスタイルガイド記事

しばらく前にここで予告したとおり、先週13日に、JTFスタイルガイドセミナーの第1回を担当しました。

同じ日の午後には、株式会社シーブレインさんの伊藤さんと野崎さんが登壇。私が前半でやったスタイルガイドの入門に続いて、翻訳会社ではそれをどんな風に運用しているのか、わかりやすく説明してくださいました。


そのシーブレインさんが運営しているブログが、「つぼログ」

IT系の小ネタからツール情報、翻訳の話など、不定期におもしろい記事が登場しますが、こちらは同社で複数の担当者が持ち回りで記事を書いていらっしゃる。そして、伊東さんと野崎さんもそのメンバーなのでした。

さて、このブログの過去記事も、Twitterでときどき紹介されています。

今朝も

【過去記事リターンズ】IT 産業翻訳のための日本語テクニカル ライティング (4)

というのがあって、先週のセミナーに連動した投稿かもしれません。タイトルとは違って、スタイルガイドとも言えるような内容がまとまっている良記事です。が、過去記事なのですぐにはシリーズ全体が見つかりません。

もったいないので、探し出してリンクを貼っておくことにしました。


つぼログ。-IT翻訳の現場から-: IT 産業翻訳のための日本語テクニカル ライティング (1)

つぼログ。-IT翻訳の現場から-: IT 産業翻訳のための日本語テクニカル ライティング (2)

つぼログ。-IT翻訳の現場から-: IT 産業翻訳のための日本語テクニカル ライティング (3)

つぼログ。-IT翻訳の現場から-: IT 産業翻訳のための日本語テクニカル ライティング (4)

いわゆるスタイルガイドのように「ここをこうしなさい」という内容ではなく、スタイルガイドによく載るポイントが簡潔にまとめてあります。つまり、IT系で何か書くときは、こういう点に気を付けましょうということが整理されている。

これからIT翻訳業界のことを知りたい人

には、特におすすめです。

06:05 午前 翻訳・英語・ことば | | コメント (5)

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2015.04.10

# アメリアで初の試み--「定例トライアル連動講座」

しばらく前から、アメリアさんの会員向け雑誌『アメリア』で、定例トライアル(実務・テクニカル)を担当しています。

1年に3回の出題で、数か月後に成績発表と訳例、講評が、同誌に掲載されます。


この講評、だいたい4,000字前後なのですが、いつもちっとも紙数が足りません。毎回、それほど難しい出題のつもりはないのですが、いざ採点になってみると、予想外の訳語・訳文が出てきまて(論外、というような答案は別にしても)、解説したい、しなければならないこともた~くさん出てきます。


それで、以前ここでやったように補足したりもしました。
リンク:禿頭帽子屋の独語妄言 side A: # セキュリティ警告画面(アメリア定例トライアル補足)


それで、ふと思いついて事務局と相談した結果、なんと、アメリアさんとしては初の試みになりますが、

定例トライアル連動講座

というのを開催することにしました。

定例トライアルの課題についての解説を、誌面に載る講評だけではなく、直接の講義でお話ししようというわけです。

お題は、2月号に載った課題「Analog computers」。

5月21日(木)の午後、フェロー・アカデミーで実施します。


……と、ここで書いてはいるものの、どなたにもご参加いただけるわけではありません。2月号定例トライアルを受け、かつB以上の成績をとった方のみが対象(希望者多数の場合は抽選)ということになっています。

ごめんなさい m(__)m


翻訳業界でも、いろんなトライアルや資格試験がありますが、試験と連動した講座って、もしかしたら初の試みかも……?……と思って、紹介だけしてみました。


03:57 午後 翻訳・英語・ことば | | コメント (0)

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2015.04.07

# ブロガーと翻訳者のたいせつな違い

ブログを持っている翻訳者は多い。


「翻訳者です」とは特に書かずに個人的なことだけ書いているブログもあるんだろうけど、翻訳者と名乗って、翻訳のことも日常のことも書いているブログがやはり多い(このブログも同様)。

ブログを営業ツールの一環と位置付け、仕事の案内まで載せているところもけっこうある。


そういうブログのいくつかで、気になる記事を、たまたま続けて見かけた。以下、特定のブログに対する攻撃ではありませんと断ったうえで、結論から書いておこう。それは、


翻訳者はブロガーの真似をしてはいけない

ということだ。

ブロガー、特に「トップブロガー」と言われる方たちが、なぜブロガーたりえているのか。という論考は面倒なのでしない。上に書いたように、翻訳者との比較でだけ話を進める。


ブロガーは、ブロガーであることを仕事にしているし、ブロガーとして完結している。

リンク:今日で独立4周年! フリーで豊かに生き続けるための 7つの心構え | No Second Life

これは、私が直接知っている数少ないブロガーのひとり、立花岳志さんの最近のエントリーだ。ついでに、その少し後に書かれた、こちらもおすすめなので紹介しておこう。

リンク:ずっと上手くいくカップルは、皆お互い「○○しあっている」。たった一つの共通項 | No Second Life


ここで書かれていることに共感しようと疑問を感じようと怒りを抱こうと、それは人それぞれだけど、どう反応するにしても、それはすべて、

ブロガー立花岳志個人に向けられる。

この人いいこと言ってるなぁ、とか。何をバカ言ってやがる、とか。

そういうレスポンスが、ブログでの炎上につながることもあれば、引用されたTwitterやFacebook上でバズになることもあるだろう。だが、それを引き受けるのは、すべて立花岳志その人だけだ。


要するに、ブロガーというのは、企業とか業界とかいった所属先をまったく持たない、完全に独立した立場だ。だから、そこで生じるいろんなことにすべて個人の責任で対処できるし、対処しなければならない。


ひるがえって、翻訳者(ここではフリーランスの、と限定)のブログというのはどうだろうか。

誰がどんな個人名でやっていようと、どんなに小さいブログであろうと、「翻訳者」と名乗っている以上、それは「翻訳者のブログ」だ。そうすると、そこに書かれているエントリーは、

翻訳者の発信した情報

として読まれることになる。ということは、


翻訳について何かまちがったことを書けば、それを鵜呑みにする関係者や翻訳学習者が一人や二人や三人や四人はいるかもしれない。

翻訳以外の業界とかフリーランス以外の人について何かを書けば、それが翻訳業界あるいはフリーランスという人種からの激しい敵意と受け取られるかもしれない。

ブロガーとの違いはもう明らかだろう。ブロガーが背負っているのは個人名だけだが、翻訳者は、その後ろに

「翻訳業界」というものを背負っている

ということなのだ。


「個人ブログですから」

などという言い訳は通用しない。そんな言い訳をするくらいなら、いますぐ「翻訳者」という看板をすべて下ろして、あくまでも個人として発信してほしい。


「どうせウチのブログなんて、PVもたいしたことないし、影響力なんてないでしょう」

と考えているとしたら、ブログ草創期ならいざ知らず、今では甘いと言うしかない。まして、駆け出しの翻訳者や翻訳学習者はインターネットとの親和性が高い。知りたいと思うことがあればすぐにググる。もし自分のエントリーがヒットして、そこであらぬ誤解や誤情報を与える可能性を考慮していないとしたら、それは情報発信者としての責任放棄である。


最後にひとつ。

ブロガーの真似をしようと思うなら、トップブロガーをもっと研究したらいい。

上に引用した立花岳志さんのふたつのエントリー。そこに書かれているWHATだけでなく、HOWもしっかり読み取ってみてはどうだろうか。トップブロガーという人が、どれほどの神経をつかってエントリーを書いているか、わかるはずだ。

それがわからないようなら、やはりブロガーの真似などすべきではない。

09:26 午後 翻訳・英語・ことば, 日記・コラム・つぶやき | | コメント (0)

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2015.04.04

# 記者ハンドブックにおける漢字の扱い(11版、12版)

4/13のスタイルガイドセミナーに向けて資料を作りながら、あらためて『記者ハンドブック』第11版と第12版における常用漢字表の扱い方を調べてみました。


ちなみに、まだ第12版は持っていなかったのですが、土曜の朝7:00にAmazonで注文したら、夕飯中に配達されました(プライム)。



『記者ハンドブック 第11版』

常用漢字表のうち使わない11字

謁 虞 箇 且 遵 但 脹 朕 附 又 濫

常用漢字表にないが使う45字
磯 牙 瓦 鶴 釜 玩 亀 臼 脇 錦 駒 詣 拳 鍵 舷 虎 虹 痕 挫 柿 餌 腫 袖 哨 尻 腎 須 腺 狙 曾 誰 酎 賭 瞳 頓 丼 謎 鍋 汎 斑 枕 闇 妖 嵐 呂

常用漢字表にない音訓を加えた12字
証(あかし) 癒(い-える、い-やす) 粋(いき) 個(か) 描(か-く) 要(かなめ) 応(こた-える) 旬(しゅん) 鶏(とり) 放(ほう-る) 館(やかた) 委(ゆだ-ねる)

『記者ハンドブック 第12版』

常用漢字表のうち使わない7字
虞 且 遵 但 朕 附 又

従来不使用だったが使用するようになった3字
謁 箇 濫

常用漢字表にないが使う6字
磯 炒 絆 哨 疹 胚

第11版で「常用漢字表にないが使う45字」に入っていて、常用漢字の改訂で追加された196字でカバーされた43字
牙 瓦 鶴 釜 玩 亀 臼 脇 錦 駒 詣 拳 鍵 舷 虎 虹 痕 挫 柿 餌 腫 袖 尻 腎 須 腺 狙 曾 誰 酎 賭 瞳 頓 丼 謎 鍋 汎 斑 枕 闇 妖 嵐 呂

同、今回もカバーされなかった2字
磯 哨

常用漢字表から削除された5字
勺 錘 銑 脹 匁

第11版で「常用漢字表にない音訓を加えた12字」に入っていて、新たに音訓が加わった28字でカバーされた9字
癒(い-える、い-やす) 粋(いき) 描(か-く) 要(かなめ) 応(こた-える) 旬(しゅん) 放(ほう-る) 館(やかた) 委(ゆだ-ねる)

こうしてみると、たしかに旧・常用漢字には、日常的にわりと使ってて、「あれ、これも入ってないの?」という字が多かったこと、そのほとんどが新・常用漢字で追加されたことがわかります(改訂の当時、だいぶそういう話が出てました)。

旧・常用漢字の「脹」ってなに? と思いましたが、「膨脹」の脹でした(今は「膨張」の字を当てる)。


そのほか、いろいろと発見もありました。

読みが追加された「放(ほう)る」ですが、これって、音読みなのに送りがなが付いてるんですよね? ちょっと不思議。

とか、

「磯」の字って、某国民的アニメの登場人物たちの苗字ですよね。それなのに、まだ認められてないんだ……

とか、

それから、これ、今ごろ何なんですが、第11版のp.18には、

☆印は常用漢字表外音訓だが、本社が使う十二字の音訓である。

とかいてあるんですが、本文見ると、実際に付いてるのは☆印じゃなく、□印なのね

とか。


09:52 午後 翻訳・英語・ことば | | コメント (5)

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2015.04.03

# 漢字-ひらがな-カタカナの比率をチェックするマクロ

分野や文章の種類、用途によってかなり違ってくるので一律には語れませんが、漢字の比率で、文章の硬さはかなり変わってきます。漢字が一定の比率を超えると、ぱっと見た感じで原稿が黒っぽい感じになる。

おおざっぱですが、20~30パーセントの範囲が「読みやすい」目安なんだそうです。

文字数と漢字使用率を同時にチェック|WEBライティング用ツール

このサイトには

新聞の社説(約50%)>マニュアル(約40%)>教科書(約30%)>雑誌(約30%)>WEB(約25%)です

と書いてあります。裏はとっていません。


MS Wordには、文章校正の一環として「読みやすさ」という項目があって、そこで漢字/ひらがな/カタカナの比率を表示できるようになっています。

設定が必要です。


[ファイル]→[オプション]→[文章校正]を開いて、[文章の読みやすさを評価する]をチェックしておきます。

1504031
(私の環境では他のオプションをオフにしてあるのでグレイアウトされていますが、これでも機能します)

チェックするファイルを開いたら、[校閲]リボンで[表記ゆれチェック]を実行すると、最後にこんなダイアログが表示されます([スペルチェックと文章校正]を実行しても最後には表示されるのかな、未確認です)。

1504032_2


ちなみに、冒頭にあげたリンク先には、文章をペーストすると同じような文字種バランスをチェックしてくれる機能もあるのですが、つい一昨日のエントリで、翻訳内容の漏洩事件を取りあげたばかりです。お仕事の内容をこういうところにむやみにペーストしちゃうのは考えものです(プライベートな文章ならかまわないと思います)。ペーストされた内容の保持などについて、何も解説がないので、念のため避けましょう。


Wordを使えば、上に書いたような機能が使える……はずなのですが、どういうわけか、私の環境ではなぜかこの機能が使えないファイルもあったりします。

そういうツールがあってもよさそうだな、と思ってちょっと調べてみましたが、案外ないもんですねー。

ということで、秀丸マクロを作ってみました。

秀丸マクロファイル
「CheckReadability.mac」をダウンロード
(右クリックで保存してください)


Windowsの再描画を一時的に停止するので、マクロを実行すると、秀丸のウィンドウが少し崩れることがありますが、問題ありません。

文字数の計算方法には、Wordと秀丸でそれぞれクセがあるので、完全には一致しないこともありますが、あくまでも「目安」なので、その目的くらいには使えると思います。


07:31 午前 翻訳・英語・ことば, 翻訳者のPCスキル, パソコン・インターネット | | コメント (0)

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2015.04.01

# トンデモな発注で情報流出だって

先日、機械翻訳のトンデモ出力のことを書きました。そのときの要点をまとめます。

・機械翻訳には、もっともっと進化してもらいたい

・ソリューションを提供する側も使う側も、もっとちゃんと考えてほしい

・お役所仕事の典型なんだろうけど


それから1か月も経たないうちに、今度は、そんなお役所仕事のもっとお粗末な顛末が発覚しました。

リンク:原子力規制庁:内部資料が流出…ネット上に新人研修資料 - 毎日新聞

ニュース記事はすぐリンクが切れてしまうので、魚拓を貼っておきます。

魚拓:http://megalodon.jp/2015-0401-1020-55/mainichi.jp/select/news/20150331k0000m040165000c.html


ニュースでは「インターネットの掲示板で仕事を依頼するサイト」としか書かれていませんが、こちらのブログで、ランサーズという会社のサービスであることがわかります。

リンク:原子力規制委員会の内部文章がランサーズ経由で漏洩!? - Hagex-day info

その後の経緯についても、同ブログの後続記事で詳しく書かれています。

リンク:原子力規制委員会のデータはやっぱり流出してはダメな奴でした - Hagex-day info


そして、その翻訳案件の依頼記事も、まだ見られる状態。

リンク:至急 原子力パワーポイントスライドの翻訳 の依頼/外注 | 英語翻訳・英文翻訳の仕事 | ランサーズ

ただし、こちらはいつなくなるかわからないので、スクリーンショットも貼っておきます。

150401
(縦長の画像です。ブラウザの新規ウィンドウ/タブで開いて等倍にしてみてください)

機械翻訳とならんで最近、急成長しているのが、こういうオンラインの翻訳サービスです。形態は少しずつ違いますが、だいたい「クラウド翻訳サービス」と呼ばれています。

ネット上で翻訳依頼が発生し、登録している翻訳者が基本的には早い者勝ちでその案件をゲットして翻訳する、という流れ。

そういう需給が成り立つ場面では、なかなか有効なサービスだろうと思います。翻訳の品質を保証する仕組みもいろいろとあるみたいです。


が、機械翻訳と同じく、やはり使い方を間違えたらトンデモないことになるのは当たり前。そのうち何か起きるだろうとは思っていましたが、いきなりこれです。


依頼内容の秘密保持なんて、基本中の基本でしょう。

それが、こうやって平気で流出し、しかも依頼したほうはその事態の重要さにあまり気付いていない様子。


今回のケース、国の行政のあり方とか、原子力行政の呆れた実態とか、いろんな要素がからんでいるとは思います。翻訳業界の問題としてだけ考えます。


安直な機械翻訳でも、いいかげんなクラウド翻訳でも、ひとことで言うと

翻訳ということをナメすぎてる

と思うわけです。


発注する側も、ソリューションを提供する側も、

翻訳なんて、たいしたリソースをかけなくても、なんとかなるでしょ。

くらいの意識でしかない。


翻訳者のステータスがないがしろにされているとか、そういう話ではありません。よく言われることですが、欧米では、翻訳者名が作品に載らないことも多いそうで、日本のほうが翻訳者の名前は表に出てきている。そういうことではないのです。

欧米には、大学にも翻訳課程というのがあって、学位や資格もある。つまり、翻訳者個人ということではなく、翻訳という情報処理の重要さが社会的にきちんと認識・認知されているということです。


話が飛ぶようですが、先の大戦で、連合国側が暗号化と暗号の解読ということに、どれだけのリソースを使ったことか。先日公開された、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』とか、2002年の映画『ウインドトーカーズ』を見るとよくわかります。

つまり、連合国側は、情報ということの大切さを当たり前のようにちゃんと理解していた。そこの認識に雲泥の差があったから、ナチスドイツはエニグマの暗号化性能を過信したし、日本だって暗号を完全に解読されて山本五十六を死なせてしまった。


翻訳というプロセスを軽視することには、なんだか、そういう情報軽視の風潮と通じるものを感じます。

文化の定義はいろいろですが、文化を支えているのは情報です。情報を軽んじた文化は、衰退するんじゃないか、そこまで危惧してしまう、この1か月でした。

10:57 午前 翻訳・英語・ことば, 社会・ニュース | | コメント (0)

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